サクラ大戦~来たれ次世代の戦士~   作:ユウジン

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犬猿?

「全く。貴方達と来たらやってくれたわね」

『すみません……』

 

警察から無事解放され、ローア達は大帝国劇場に撫子につれられて帰ってきた足でそのまま支配人室に引っ張られ、説教を受けていた。

 

「まぁ、今回は状況だけなら誉めてあげたいんだけどね。でも蠡豢。貴方は馬鹿力なんだから少し加減とか覚えなさい」

「はぃ……」

 

ショボン、と2m越えの大きな体を蠡豢は小さくさせていた。そこに、

 

「ちょっと撫子さん!蠡豢さんがヤクザと大立ち回りをして全身に銃弾を喰らって病院にいったって本当ですの!?宜しければ神崎重工の力で世界的な名医でも……ってあら?」

『……』

 

血相を変えて飛び込んできたのはアツバだ。皆がびっくり(まなこ)で見つめ、アツバは蠡豢を目視して3秒ほど沈黙したのちに立ち姿を直し、

 

「あ、あら元気そうですわね。蠡豢さん」

「んーまぁヤクザと喧嘩なんてしてねぇからな」

 

すると蠡豢の言葉にキッとアツバは睨み返す。

 

「は、はぁ!?人が心配して差し上げたんですからまずはありがとう心配かけたな、とかが先なんじゃありませんの!?」

「あぁ?そいつはどうも。だけどなお嬢様。普通そこまでの事態があったらテレビでニュースになるしもっと大帝国劇場が慌ただしくなってるっつうの!どこでそんなコートームケーな話聞いたんだよ」

「噂になってましたのよ!と言うか貴方は荒唐無稽もちゃんと言えませんの!?私より年上の癖に!」

「年上は関係ないだろ!?別に言えれば問題ないんだよ!」

 

そうしてぎゃいぎゃい喧嘩し出す二人を、八重はため息を吐き、紅葉はケラケラ見て笑う。そしてローアは、

 

「あれっていつもなの?」

「えぇ、あの二人すーぐ気がつくと喧嘩するんですよ」

 

ほほぅ……そうローアは言いながら二人を見ると、

 

「嫌よ嫌よも好きのうちーって奴だね」

『全然違(う)(いますわ)!』

 

蠡豢とアツバはギロッとローアを見ると、ギャーギャー言いながら猛抗議……した次の瞬間、

 

「貴方達!いい加減にしなさぁあああああああい!」

 

撫子の怒声が帝劇に響いたのは……まぁ仕方ないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁあああ!」

「はぁ!」

 

コォーン!と帝劇の中に、綺麗な音が木霊する。

 

「いってぇええ!」

「はい、ローアさんこれで5戦中0勝5敗ですね」

 

ローアは八重に木刀で打ち据えられt額を擦り、八重自身は笑っている。

 

「ちぇ~。もうちょっと行けると思ったんだけどなぁ」

 

そう言いながらローアは、木刀を二本それぞれの手に持つ二刀流の構え。するとそこに、

 

「お?修行中か?」

「あ、蠡豢さん。えぇ、今ローアさんに……」

「隙ありいいいいいいいい!」

 

 

蠡豢が顔をだし、八重が対応して隙を見せたところにローアが襲いかかった。だが、

 

「はぁ!」

 

ローアの方を見ずに木刀横に振って脇腹を叩く。因みにこういった行為は八重が16歳と言う若さで、北辰一刀流免許皆伝の腕前を持つほどの天才剣士だからこそ、ローアに怪我をさせず、更に怪我をさせられることもなく行えるので、一般人は止めておいた方がいい。

 

「うぐぅうううう……」

「お前不意打ちまでしてあっさりカウンター喰らった挙げ句蹲ってるとかカッコつかねぇなあおい。騎士道精神はねぇのかよ」

「騎士道精神はイギリス。俺はフランス人だから違うよ蠡豢さん……」

 

だが紳士の国ではあるだろ?と蠡豢は笑ってローアの手を引っ張って立たせる。

 

「しかしなんでお前らこんなことしてたんだ?」

「撫子さんに乗り手も鍛えた方がいいって言われたから……」

 

そう言うことか、とローアの返事に蠡豢は頷く。光武は乗り手の力が反映される。つまり乗り手が強ければ光武もその分強くなるのだ。まぁ勿論運転の技量も関わってくるが、腕っぷしが強いに越したことはない。

 

「でも素人が二刀流はキツくねぇか?」

「私もそういったんですけどローアさんが聞かなくて」

 

蠡豢に反論したのは八重。八重もそれに関しては言っていたものの、青龍との時にガムシャラになった際にやった二刀流が手に馴染んだのもあるのだが、

 

「だって1本より2本のほうが強そうじゃん!」

『……』

 

ドーン!とローアは胸を張って言い、蠡豢と八重はため息をつく。正直二刀流はロマン剣術の要素が強いのを、二人は分かっているのだが、ローアが楽しそうな顔をしているので余り強く言えない。なので、

 

「分かったローア。少し触るぞ」

「え?ごめん蠡豢さん。俺そういう趣味は……」

 

は?と蠡豢がジト目になる間にローアは安全圏に、

 

「アホかちげぇよ!そういう意味じゃねぇ!」

「そうなの?」

そうだよ!と言いながら蠡豢はローアの体を触ると、

 

「お前細いな……まず二刀流したいなら全体的に鍛えた方がいい。特に足腰はな必須だ。あと左を多めに鍛えろ。左右で筋肉量が違う。これだと二刀流やったときにバランスが悪くなる」

「さ、触るだけで分かるの?」

「一応これでも琉球空手桐島流の継承者だぜ?あと俺、スポーツインストラクターとかそっちの道も良いなって思っててさ、大学もそう言うの行きたいんだよ」

 

意外と既に将来の道は決めている蠡豢に、ローアは思わず感心してしまう。いやまぁ18歳の高校3年。決めていても可笑しくはないのだが、それでも関心してしまった。

 

そんな和やかな時間が流れていた時、

 

『っ!』

 

ビー!ビー!っと警報が鳴る。3人は互いに顔を見合わせてから走りだし、帝劇内に隠して設置してあるダストシュートみたいな所に3人はそれぞれ飛び込むと、滑り台のように滑りながら、自動で服を脱がされ戦闘服に変わる。

 

そしてそのまま外に出されると、そこは帝劇の地下にある作戦司令室だ。

 

「皆集まったわね」

 

既にそこには撫子や風組の4姉妹 。そして舞やレミィにアツバと紅葉がいた。

 

「襲撃ですか?」

「はい!場所は東京スカイタワー。ですが前回の襲撃とは違い、今回は青龍と名乗った幹部の姿はなく、魔操機兵のみです」

 

ローアの問いに4姉妹のうち小春が機械を見ながら答え、

 

「それでは皆にはすぐにでも東京スカイタワーに向かってもらい、魔操機兵の撃破をお願いするわ」

「よっしゃ!久々に暴れてやるぜ!」

 

撫子が指示を出す中、蠡豢は燃えていたものの、

 

「あ、蠡豢はんの光武はまだ修理終わっとらんで」

「なにぃ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「成程ね。蠡豢さんの光武は前の戦いで破損してたんだ」

「厳密には修理は終わっとるんよ。でも前に破損したのは、蠡豢はんの動きに光武が着いていけなくなったからなんや。光武は乗り手の力が反映される。通常のチューニングでは蠡豢はんの人間離れした反応速度や動きに光武が遅れてしまうんよ。そうなると段々エンジン系統に負担がかかって……ってなってまう。せやから今蠡豢はんが使っても大丈夫なように改良してる最中なんよ」

 

風来丸にて運ばれる中、ローアと紅葉は光武についている通信機でそんな話をしていた。 すると通信機に撫子からの通信が入り、

 

「さぁ二人とも、雑談はそこまでよ。到着しだいすぐに出てもらうわ。ローア君武器はどう?」

 

ローアは撫子の通信を聞き、光武を操縦して、左右の腰に取り付けられた刀に触れる。

 

「はい。大丈夫です」

「光武にも使われとるウルトメウス鋼製の太刀二本っちゅう注文やったけどほんまに二刀流でいくんか?ローアはん」

 

ダイジョブダイジョブ。とローアは笑い、風来丸が止まる。目的地に到着したようだ。

 

「さぁ皆!行くわよ!」

『おぉ!』

 

そして舞の号令を合図に、皆は光武を走らせるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふん……」

 

東京スカイタワーの天辺に立つ、虎の面をつけた大柄な男が地面を見下ろしていた。その視線の先には、巨大なツボが設置され、周りには人々が倒れていた。

 

「虚弱・軟弱・貧弱……どいつもこいつも弱すぎる。ん?」

「そこまでよ!」

 

すると突如ツボが撃ち抜かれ破壊。そして、

 

『帝国華撃団!参上!』

 

それぞれの武器を構えながら、ローア達は魔操機兵の前に降り立つ。

 

「まずは一般人の保護を優先。それと同時に魔操機兵の撃破。ローアと八重とアツバは前に!援護は私がするわ。紅葉はまだ攻撃はダメ。保護に専念して!」

『了解!』

 

舞が素早く指示を出し、それぞれが一般人を保護し始める。そこに魔操機兵が襲いかかるが、

 

「はぃ!」

 

アツバは折り畳まれた薙刀を取り出し、変形させると薙刀で魔操機兵を倒す。

 

「あぁもう!これじゃ保護も間々なりませんわ!」

「俺に任せろ!」

 

そう言うと、ローアはテレポートしてどんどん一般人を安全圏に引っ張っていく。

 

「こういう時も便利ですね!」

八重も魔操機兵を斬りながらそう言い、

 

「取り敢えずこんなもんかな」

「そうね」

 

とローアは全員避難させ、舞は魔操機兵を撃ち抜きながら頷く。だが、

 

『きゃあ!』

「うぉ!」

 

上空から銃弾が降り注ぎ、全員なんとか回避。

 

《気を付けて!新型の魔操機兵よ!上空からマシンガンを撃つタイプのようね!》

「ならそろそろうちの出番やな!」

 

撫子からの通信を受け、紅葉は腕や両肩に取り付けられた砲身を上空に向けると、

 

「全弾発射!」

 

バシュバシュ音を立て、砲身からミサイルが飛んでいき、上空を飛んでいた新型の魔操機兵が爆発と共に破壊されていく。

 

「どうや!」

 

上空の敵を一掃し、紅葉はフン!と鼻を鳴らした。

 

「取り敢えずこれで良いかしら……」

 

舞は周りを見回しながら、そう言って一息……だが次の瞬間。

 

「ふははははははははは!流石に少し場慣れしたようだな。帝国華撃団!」

『っ!』

 

その場に響いた声に、皆は警戒態勢を取ると、

 

「人間どもの余りの貧弱さに嘆いていたが、少しは楽しめそうだ」

 

虎の面をつけた男の登場に、ローアは眉を寄せ、

 

「その格好……もしかして青龍の仲間か?」

「おぉ!俺の名は白虎。黒華会四天王の一員にして四天王随一の喧嘩好きよ!」

 

そう言うが早いか、白虎は虚空から魔操機兵を出すとそれに乗り込み、此方に突っ込んできた。

 

龍を模した青龍のとは違い、全体的に大きく、全身が鋭利な棘等がついている白虎の魔操機兵は、舞に突っ込む。

 

「くっ!」

 

舞は咄嗟に避け、銃を撃つがなんと白虎はそれを素手で弾いた。そこにレミィが入り、ランスで突く。

 

「おっと!」

 

それを白虎は掴んで止め、レミィをそのまま振り回してハンマー投げの要領で東京スカイタワーに叩きつけた。

 

「ぐっ!」

「レミィ!」

「行きますわよ!」

 

今度は八重とアツバが飛び出し、白虎を攻撃するが、2人の攻撃をスルリと避け、カウンターを叩き込む。

 

「この!」

「ん?」

 

全員が離れたところに、紅葉がミサイルを撃ち込む。だが白虎はミサイルを避けながらその一つをキャッチし、

 

「おらぁ!」

「嘘やろ!?」

 

そのまま投げ返して逆に紅葉のほうが爆発。

 

「さぁて、おい!お前か?青龍をぶっとばしたって言うやつはよ」

「あ、あぁ!」

 

ローアは刀を抜き、白虎に突撃。

 

「おもしれぇ!来な!」

「おぉ!」

 

ローアは白虎に飛び込む……と見せ掛けてテレポート。一瞬で白虎の背後に飛ぶと、不意打ちで一発!っと思ったのだが、

 

「甘い!」

「がはっ!」

 

白虎はそのまま後ろにいたローアを蹴り飛ばし撃墜。

 

「なんだなんだ!ちったぁ骨があるかと思ったがこの程度かよ!」

 

白虎はそう言って大きくため息を吐き、

 

「まぁいいや、ツボ壊されちまうしここまでだな」

 

白虎はそう言って空間を歪ませると、その中に入っていき、

 

「お前ら、もっと強くなってくれねぇと俺が楽しめねぇんだ。頼むぜ?」

 

それだけ言って、白虎は静かに消えていくのだった。


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