え?蟲師の世界じゃないの?   作:ガオーさん

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妓夫太郎と堕姫

 最終選別から、二年が経った。

 狭霧山を卒業してから、二年が経った。

 鬼殺隊に入隊してから、二年が経った。

 

 

 

 

 

 錆兎が死んでから、二年が経った。

 

 

 

 

 

 最終選別のあの日。

 他の入隊希望者を庇い、深手を負ってそのまま帰らぬ人となった。

 俺と義勇はもう十四歳になる。

 

 

 

 だが、錆兎は十二のまま、この狭霧山の土に還った。

 あの時ほど後悔したことはなかった。

 腹に孔を開けられた錆兎から、夥しいほどの量の血が流れ続けて、止められなくて。

 今思えば、あの時かもしれない。蟲師としての知識だけじゃない、医術を身に着けようと思ったのは。

 孔から流れ出る血を塞ごうと、両手で抑えても指の隙間から錆兎の命が流れ出る感覚は、最悪だったのを今でも覚えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつものように鬼狩りの任務を終えた俺は、久方ぶりに狭霧山に訪れた。

 

 

 

 

 

 その日は、錆兎の命日だった。

 

 

 

 

 

 相も変わらず空気が薄く霧に包まれているこの山は静寂だった。少し蟲の数が増えたか。もう二年以上ここから離れていたのに、俺がここで修業をし続けていた影響は残っていたらしい。幸いにも、人に悪さをする蟲がいないのが唯一の救いか。

 錆兎は、狭霧山の滝をよく眺めていた。鱗滝さんによる地獄の鍛錬の最中、ぽっかりと空いた時間をよくその場所で滝を眺めていたり、木刀を素振りしていた。

 

 

 

 

 

「久しぶりだな、錆兎」

 

 

 

 

 

 錆兎の骸は、この滝のすぐ傍に佇む大樹の根本に埋められた。錆兎はこの山の一部として眠ることを望んだ。育ててくれた師匠が暮らす山で眠りたいと。

 錆兎にとってここが故郷なのだろう。

 死の間際、錆兎が願ったのだ。

 

 狭霧山の滝の近くで眠りたいと。

 

 最終選別後、俺達は無言で錆兎の骸を抱えて狭霧山へ帰った。

 

 

 

 錆兎を救うことができなかった俺と義勇ができることは、それぐらいだったから。

 

 

 

「あまり来れなくて悪かったな。こんな俺でも"蟲柱"になっちまってさ、忙しくて来れなかった」

 

 

 

 こんな滝の水音がうるさい場所で眠れるのか。ひょっとしたら滝の音で眠れずに、ひょっこり起き上がったりしないものかと、馬鹿な妄想をしたものだ。

 

 

 

 ――俺達に血のつながりはない。けれど、共に過ごした時間は本物だった。

 

 

 

 友を亡くすのがこんなに辛いことだなんて、俺は知らなかった。

 俺は、義勇と錆兎と一緒に、これからもずっと戦い続けるもんだとばかり考えていた。だが、人の死はあっけなく訪れる。

 

 

「……鱗滝さん、毎日ここに来ているのか」

 

 

 錆兎が眠っている木々の根本に、供えるように並べられた線香の燃えカスが落ちていた。

 きっとあの人のことだ。死んだ錆兎のことを本当の息子のように大切にしていたから、俺よりその悲しみは深いはずだ。

 毎日ここに来るのは贖罪なのか、ケジメをつける為なのか、そこまでは分からないけれど。

 

 

 

 俺達のように、自分のことを責めているんだろうな。

 

 

 

 育手なのに優しい人だから、最終選別で死んでしまった弟子のことで自分を責め続ける。

 

 ……本当だったら、鱗滝さんに会って挨拶をするべきだった。

 

 時々、鱗滝さんや義勇から手紙はもらっていた。

 けれど、文を返すのが煩わしくて、「忙しいから」と理由をつけて返さなかった。

 

 いや、それはただの言い訳だ。

 

 ただ、今の自分を鱗滝さんに見られたくなかった。後ろめたくて。

 

 

 

 かつての自分が求めた物は、どこにもいない。

 

 

 

 "蟲柱"になって、鬼を随分と殺した。けれど、それと同時にたくさんの人も死なせてしまった。仲間も一般人も。きっと鱗滝さんに会えば、今の自分から血の匂いが染み込んでしまっていることぐらい、すぐにばれてしまうだろう。

 

 

 

 鼻が利かない自分でも、それぐらいはすぐ分かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 呪われてしまえ、死んでしまえ!私は絶対に、アンタを許さない!この外道!化物―――――!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……許さないってか、俺のことを」

 

 

 自分の手のひらを広げてみると、そこに血がべっとりついているように見えた。

 いくら洗っても落ちない、血と肉の匂い。服で隠されて見えないが、俺の身体は骸草がびっしりと生えてしまっている。

 

 あの日、遊郭で珠世さんの治療を受け終えた後、俺は鬼狩りを辞めようとした。あの時に言われた言葉が、俺の心の奥底に、鉛のように沈んでいる。鬼を狩る気が、どうしても起きなかった。

 

 いや、遊郭での事件はきっかけに過ぎない。元々、鬼狩りに俺は向いていなかった。

 

 鬼に強い憎しみを持っているわけではない。耀哉やシシガミ様との約束が、俺を鬼狩りへと駆り立てた。

 

 鬼狩りは人に感謝される。だが、それと同時に恨まれることも多い。

 

 曲がりなりにも元々人だったモノを殺しているのだから、その親族や誰かに恨まれる事のほうが多かった。別に、誰かに褒められるために戦ってきたわけじゃないが……。

 

 

 それでも、しんどい。

 

 

 耀哉に協力するのは別に鬼狩りじゃなくてもやっていける。珠世さんと協力して、蟲を研究しながら鬼を研究する。前線には立たない。そういう風にこれからは生きていこうと考えていたが、それを止めたのが耀哉だった。

 

 

 

 耀哉との約束。

 

 耀哉を支え、鬼に苦しめられている人々を守ると。

 

 その約束が自分自身を縛っていた。その約束を裏切ることをしてしまえば、自分の中にある大切な物を手放してしまうようで、それだけはできなかった。

 ある種の義務感か、友情に似た何か。

 死んでしまう仲間に、人々に、託される。

 自分の分も鬼を殺してくれと。

 自分の代わりに鬼を殺してくれと。

 

 

 代わりに。代わりに。代わりに。

 

 

「重てぇ……」

 

 

 襷のように託されていくそれが、自分を鬼狩りに駆り立てる。

 

 下弦の弐を討伐した功績から、俺はすぐに蟲柱に任命された。

 

 死んでいく仲間から託され、鬼殺隊を支えるのが柱。

 心の中に淀んだ何かが溜まりながら、けれどそれが溢れ出さないように、見て見ぬふりをしながら鬼を殺し続けた。最近では、蟲師の仕事より鬼狩りの任務に精が出る始末だった。

 

 けれど、鬼の醜さを、人の醜さを目の当たりにする度に、俺はあの遊郭の夜のことを思い出してしまい、眠れぬ夜が続いた。

 

 

 

 

 

「ギン」

 

「……義勇か」

 

 

 

 錆兎の墓を眺めていると、後ろから声がした。

 

 振り返るとそこには、久しぶりに会った兄弟子の姿があった。

 

 錆兎の羽織の半分を編み込んだ半々羽織を纏っている。会うのは二年振りだ。

 

 あの時に比べると、随分背が伸びている。

 

 

 

「久しぶりだな」

 

「ああ」

 

 

 義勇はそれ以上何も語ることなく、錆兎の墓の前に進み、しゃがんで手を合わせ始めた。

 相変わらず口数が少なく、表情筋が死んでいる。

 この狭霧山で修業を共にしていた時から口数が多い奴ではなかったけど、最終選別が終わった後から特にそれが顕著だった。

 

「元気にやってるか?」

「……お前こそどうなんだ」

「俺か?…………まあ、器用にやってるさ」

 

 会話はそこで途切れた。

 

 ……気まずい。

 

 錆兎が死んで以来、ずっと義勇を避けていた。任務が同じにならないよう、自分はできるたけ遠い地方の、九州あたりをうろついていたから。

 もちろん、応援に呼ばれればその地域にも足を運んだが、青い彼岸花を見つけるために西の国の方の探索が優先されていたため、これまで義勇や杏寿郎といった旧知の人間と共に任務に赴くことがほとんどなかった。

 

 

 気まずすぎていたたまれない。というかさっきからじっと自分の方を見てきてるけど、なんだ。何を考えている顔なんだそれは。

 

 

「チッ」

 

 

 相も変わらずな兄弟子の様子に、無性にイラついた俺は小さく舌打ちをした。

 もういい。早くこの山から出よう。ずっとここにいれば鱗滝さんに見つかる。

 

 そう思い、錆兎の墓から立ち去ろうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!」

 

 

 

 

 

 水色の刀が、自分の頭上を通り抜けた。

 自分の髪の毛が数本、はらはらとその場に落ちる。

 後ろを振り返ると、そこには日輪刀を構えた義勇がこちらを睨みつけるように立っていた。

 

 

 

 

「何のつもりだ義勇」

 

 

 

 後ろから斬りかかられて、それを笑って許せるほど自分はお人よしではない。それが兄弟子ならなおさら。

 

「刀を抜け」

「何言ってるんだ、隊員同士での斬り合いはご法度だろ」

 

 鬼殺隊は、あくまで鬼を狩る部隊であるため、私的に刀を振り回すことは禁じられている。

 

 鍛えたのは人を傷つけるためではなく、人を守るためだからだと。

 

 故に、真剣で鍛錬を行うことは禁じられている。隊員同士で斬り合ったり、私闘のために日輪刀を用いた隊員は厳しい処罰をされる。そんなこと、義勇だって知っているはずなのに。

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 だが、義勇は問答は無用と言わんばかりに刀を振りかぶる。

 

 問答無用。

 

 そう言わんばかりに。

 

 

「ちょっ」

 

 

 

 本気で斬ろうとする動きだった。

 俺は咄嗟に自分の刀を抜き、義勇の刀を弾く。

 だがそれでも、義勇は刀を振るうのを止めず、二撃、三撃と追撃を仕掛けてくる。

 

 

"水の呼吸 捌ノ型"

 

 

義勇は宙に跳びながら、水の呼吸の型を取った。数年前まで、稽古であきれるほど見た水の呼吸の型!

 

 

"森の呼吸 壱ノ型"

 

 

 

 

 

"滝壺"

 

"森羅万象"

 

 

 

 甲高い金属の音と、弾ける火花。呼吸ではね上げた身体能力による、本気の攻撃は空気を震わせた。

 

「テメェ……!」

 

 ギンは殺意を込めながら義勇を睨みつける。こいつ、本気だった。本気で殺す気だった。

 手加減はどこにもない。

 

「…………」

 

 義勇はそれでも、何も語らずただ自分に剣を振るうだけだ。

 

 どうして義勇が自分を攻撃してきたかは分からない。

 

 ギンはイライラしていた。虫の居所が悪かった。

 度重なる鬼殺の任務。それによって積もる、どす黒い感情。

 

 心中は火薬庫のようだった。

 

 それを、義勇は火をつけた。どういう意図があるかは知らない。知るものか。

 

 

「上等だ……死んでも文句言うなよ、義勇!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「避難してください!」

「慌てないで、落ち着いて!」

「怪我をした人やお年寄りは、手助けします!」

「いてぇ……いてぇよぉ……」

「医者を呼んでください!誰か……誰かぁ!!」

 

 夜の花街は喧噪と悲鳴に包まれていた。

 逢瀬を楽しんでいた客と花魁達の耳に劈く、建物が崩れる音と地鳴り。誰かの悲鳴。

 悲鳴は恐怖を生み、恐怖は伝染する。

 

 そして恐怖は、混乱を生む。

 

 大通りは慌てふためく人々でごった返す。訳も分からず逃げ道を探す人々を、隠の部隊は必死に避難を呼びかけていた。

 ギンがあらかじめ呼びかけていた隠の隊員達だ。

 事前の情報から、遊郭に潜んでいるのは十二鬼月の可能性が高いということ。

 建物の倒壊音と、遠目から見えた女の鬼を見て一般人の避難の誘導を開始したのだ。

 

 柱達が心置きなく戦えるよう。

 一般の人々が戦いに巻き込まれないよう。

 

「こっちの方です、こっちなら安全です!」

 

 そうやって避難誘導をしている隊員の一人の前に、空から誰かが降ってくる。

 

「ッ!?だ、誰だ……」

 

 隠は思わず警戒して身を強張らせるが、降り立った人物の姿を見て警戒を解く。

 

「む、蟲柱様!」

「ぜぇ……ぜぇ……悪い、手を貸してくれ」

 

 目の前に現れたのは、自身の上司でもあり、遊郭に隠の部隊を配置させた"蟲柱"鹿神ギンだった。

 背中には花魁の女性を二人も背負って荒い息を吐いている。

 隠は急いで駆け寄り、ギンが背負っていた二人の女性を受け取った。

 

「この方は……まきを様?」

 

 一人は知らないが、一人の女性は隠も知っていた。"音柱"宇髄天元は愛妻家で有名で、音柱の任務の後始末の際、よく見かけた。宇髄をサポートしているくのいちの"まきを"だ。

 いや、それよりも。

 

「それよりも蟲柱様!その傷!」

 

 蟲柱は、重傷だった。

 腹から大量の血が出ている。鋭く尖った木材の破片が、深々と突き刺さり背中から腹へと貫通していたのだ。

 夥しい血が、腹の穴から流れ出ている。

 ギンは荒い息を吐きながら隠に言う。

 

「大丈夫だ……幸い刺さった破片は細い。内臓や血管は避けている。それよりも糸と針を貸してくれ」

「糸と針……?」

「俺の治療箱はさっきの倒壊で潰されちまった。光酒も麻酔もないが、ここで塞ぐ……」

「わ、分かりました!」

 

 隠の役目は、鬼殺隊の任務の補助。任務で傷ついた一般人を治療するため、簡単な応急手当をするための器具を持ち合わせている。

 隠は急いで懐から針と糸、そして包帯を取り出した。

 

「背中は……悪いが、アンタに任せていいか。さすがに背中には手が届かん。血が零れないように簡単に縫ってくれ」

「は、はい。ですが、その前にこれを抜かなければ……」

 

 おそらく柱の破片だろう。"蟲柱"は細いと言ったが、隠から見れば十分太く大きく、そして鋭く見える。鬼が暴れて倒壊したと思われるときと屋からは随分離れている。どうしてこんなものが刺さった状態で、女性二人を背中で抱えてここまで走ってこれたのか。

 尋常じゃない鍛錬故なのか?だからと言って、あの出血でどうやって動いているんだ。

 今この瞬間も、激痛が走っているはずなのに。

 

「ど、どうやって抜けば……」

 

 隠の男は震えながら、恐る恐るギンに尋ねる。自分も応急手当はできるが、鹿神ギンや胡蝶しのぶのように外科手術をすることはできない。一体どうやって、この木片を抜くのか。

 

「……」

 

 しかし、ギンは答える代わりにただにやりと笑った。

 

「ま、まさか!」

 

 隠の男の声が震える。もし、自分の想像通りだったら。()()()()()()()()()()()が、蟲柱を襲うことになる。

 

「む、蟲柱様!おやめください!出血で死んでしまう!」

「しのぶ達が……戦ってるんだ……」

 

 こんなところで、止まってはいられない。

 

 鬼を、殺すんだ。

 しのぶと炭治郎を、助ける。

 

 

 

 俺は鬼殺隊の、"蟲柱"だ。

 

 

 

 ギンは腹から飛び出ている木片を握り、歯を食いしばりながら力づくで抜き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 奥歯で痛みを噛み締め、いや、噛み潰す。

 内臓を引き抜くような行為だ。傷口に手を突っ込み、引っ掻き回すような痛みがギンを襲う。

 

「ひぃぃぃぃ!」

 

 隠は、ギンを襲う激痛を想像し、恐怖で身が竦んだ。

 

(と、止めない……!)

 

 だがそれでも、鹿神ギンは木片を抜き続けた。気絶してもおかしくないような激痛が、今ギンを襲っている。なのに、止まらない。

 見ていられない。目をつむってしまいたい。

 だが、隠の男は恐ろしいと同時に、憧れてしまい、目をつむることができなかった。

 

(これが……柱……!)

 

 痛みを恐れない。戦うことを恐れない。死ぬことを恐れない。

 これが、鬼殺隊を支える"柱"。

 

 鬼気迫るその表情は、正しく鬼。

 

 なんて強いのだろう。

 自分には到底真似できない。

 

「おらぁぁぁ!!」

 

 そして、ギンは木片を抜き切り、その場に放り投げた。血に濡れた木材が乾いた地面に転がり、ギンは口から血を唾と一緒に吐き捨てながら悪態を吐いた。

 

「なんで遊郭に来る度に腹に穴開けられなきゃなんねぇんだ……くそったれ…!」

 

 もう二度と、絶対に遊郭には来ねえと心の中で固く誓うギンだった。

 

 大量の血液が、ギンの足元に血だまりを創った。だがそれでも、ギンは気を失わず、倒れず、立ち続けた。

 そしてあろうことか、自分で自分の腹を塞いでしまったのだ。

 背中の傷はさすがに隠の男が縫合した。が、それでも傷口からまだ少しずつ血が流れ続けている。さっきよりマシだが、どうやって立っていられるのか不思議だった。

 

「ほ、縫合……終わりました!」

「よし……」

 

 呼吸を整えながら、痛みや疲労感、失血による気怠さを無視して状況を整理する。

 

(……光酒のおかげか。まだ身体が動く)

 

 上弦の壱と戦った時、煉獄杏寿郎は大怪我を負いながら炭治郎に看取られるまで意識を失わなかった。それと同じだろう。

 光酒が身体を動かし続ける。鬼を殺せと、動かし続ける。

 

「フゥ―――……」

 

 調子がいい。

 身体が熱い。

 瓦礫が覆い被さったおかげで自身の腹に大きな穴を開けられてしまったが、しのぶと、たまたま部屋の傍を歩いていた鯉夏を救うことはできた。あの倒壊で、炭治郎は建物の外に蹴りだし、鯉夏としのぶは覆い被さることで守ることができた。

 

『ギンさん!血が……!』

『俺のことはいい。俺の血を被らせて悪いが……お前は炭治郎を援護しろ』

 

 瓦礫の下で、しのぶはギンの血を浴びた。そのおかげで、上弦の肆の探知能力から逃れることができた。

 

(あの鬼、俺としのぶの気配にまったく気づいていなかった。おかげで容易くあの場所から脱出することができたが……)

 

 上弦の肆。自分達の予想通り、この吉原に潜んでいたのは十二鬼月だった。

 だが、違和感がある。しのぶと炭治郎は気づいていないが、あれは上弦の鬼じゃない。今まで下弦の弐、上弦の壱と弐に遭遇したからこそ分かる。

 よくて下弦の鬼の壱か弐程度、それか上弦の下位。とても"上弦の肆"を張れる力を持っているとは思えない。建物を3つ、一瞬で潰せる帯を使った血鬼術使い。確かに強力だが、あれは弱い。いや、弱いというより強くない。おそらく、炭治郎やしのぶだけでも十分対処できる。

 だがそれだけであの鬼舞辻無惨が十二鬼月の、"上弦の肆"にするか?

 

(光酒はない。さっきの倒壊で薬箱を潰されたのは痛い……)

 

 倒壊の際、炭治郎達を助けるので手一杯で薬箱まで気が回らなかった。濃度が高い戦闘用の光酒も、すべて瓦礫の下だ。

 禰豆子が入っていた箱は、どこかに行ってしまった。とは言っても、禰豆子は鬼であんな倒壊で死ぬことはないから心配は無用だろう。

 問題は、これからの上弦の肆との闘いだ。

 この騒ぎ。宇髄もすぐに騒ぎを聞きつけ駆け付ける。深手を負ってしまったが、俺もまだ再起不能という訳ではない。まだ戦える。

 

 だが、上弦の鬼との闘いは、不測の事態がつきものだ。

 またあの琵琶を使った血鬼術を持つ鬼が、介入してこないとも限らない。人手はいくらあっても足りない。

 

「蟲柱様、これからどうするのですか?」

「俺はしのぶ達の援護に向かう。隠は引き続き一般人の避難の誘導を」

「はっ!」

「それと他の隊士の援護を求める。鴉を使って伝達を」

「承知しました!」

 

 隠は力強く頷く。

 よし。俺は一刻も早くしのぶ達と合流を……。

 

 

「!」

 

 

 その時、強い鬼の気配を感じたギンは、しのぶ達がいる方へ顔を向ける。

 

 

(なんだ?急に、しのぶ達がいる方向から強い鬼の気配が……!)

 

 

 どす黒い殺気。さっきの女の鬼ではない。あの鬼とは比較にならないほどの強い気配。

 

「まさか!」

 

 瞬間、大地が叫ぶように地響きが鳴り響き。

 

 先ほどまで自分がいた――しのぶや炭治郎達がいる地点の方から、真っ赤な血の渦巻のような竜巻が、建物を瓦礫の山へと変えていくのが見えた。

 

 

「――――しのぶ!炭治郎!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しのぶは混乱していた。

 自分の刀が、上弦の肆を貫いた。改良した猛毒は上弦の肆を絶命とまではいかなくても、身体の動きを封じることができた。血鬼術である帯も、まるで雷に打たれたように動きを止め、その隙を見逃さなかった炭治郎が、あの女の鬼の頸を見事に斬り落とした。

 

 自分達が、勝った。あの上弦の鬼を、倒した。

 

 しのぶは喜びと達成感で心を震わせた。

 

「はぁ……」

 

 そう安心して肩から息を吐き、炭治郎の様子を見に行こうと鬼から刀を引き抜いた。

 

 その時だった。

 

 

「わああああああああああああん!!」

 

 

 ぎょっとして後ろを振り返ると、そこには恥も外聞もなく大泣きをする鬼がいた。

 斬られた頸の断面からはどくどくと血を流し、落ちた頸がこちらを睨みつけながら泣きわめいている。

 

 

「よくも!よくもアタシの頸を斬ったわね!よくもアタシに毒なんか打ち込んだわね!ただじゃおかない!ただじゃおかないんだからぁぁぁぁ!!」

 

「しのぶさん!」

 

 炭治郎が鬼を倒した喜びを隠さず、笑顔でこちらに向かって走ってくるのを、しのぶは手を向けて制した。

 

 

「炭治郎君、下がりなさい!」

「え!?」

 

 しのぶは背中に何か嫌な寒気が走ったことを感じ、鬼から距離を取るように一歩離れる。

 

「まだ、終わってない」

 

 ――猛毒を叩き込まれ、炭治郎君に頸を斬られたのに、どうしてまだ喋れるの。

 

 しのぶの毒は強力だ。いくら上弦の鬼とは言えど、一滴でも体の中に入れられたのなら、絶命とまではいかなくても身体が麻痺して数分は動けないはずなのに。なぜ喋ることができるのか、意味が分からない。

 

「しのぶさん!あの鬼、まだ身体が崩れない……!」

 

 炭治郎も異常に気付いたのか、刀を構えながら警戒する。

 

 日輪刀で頸を斬れば、鬼は死ぬ。それが絶対のルール。

 

 

「死ねっ!死ねっ!死ねっ!くそ野郎共、みんな死ね!うわあああああ!!アタシは十二鬼月なのよ!!上弦の肆よ!!前まで陸だったけど!!アタシはもっともっと強いんだからぁぁぁ!こんな毒さえなければぁぁぁぁ!!アタシの皮膚が、美しい顔が爛れちゃったじゃんかあああああああ!!」

 

 

 呪詛を吐き散らしながら泣き喚く鬼。

 頸を斬り落としたはずなのに。普通の鬼なら今頃身体が崩れて死んでいるはずなのに。毒は間違いなく効いている。鬼の顔が泥のように崩れているのがその証拠だ。

 

 なのに、どうして生きている?

 

 

 

「頸斬られたぁ、頸切られちゃったよぉぉぉぉ!お兄ちゃああああん!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅううん」

 

 

 

 

 

 

 

「「!!」」

 

 

 

 

 女の鬼の胴体――背中の肉が盛り上がったかと思うと、そこから腕が。頭が。肉体が。()()()

 

 

"ヒノカミ神楽"

 

"蟲の呼吸"

 

 

 まずい。あの鬼から生えた何かは不味い。

 炭治郎としのぶは咄嗟に構えなおし、帯鬼から生えた何かを斬ろうと日輪刀を振るった。

 

 しかし、刃は宙を斬る。いつもの鬼を斬った手ごたえはどこにもなく、後ろを振り返ると泣きじゃくる帯鬼を、癇癪を起している子供をあやすように頭を撫でる男がいた。

 

 

(速い……!ほとんど目で追えなかった……!)

 

 

「ひぐっ、ひぐっ、おにぃちゃぁぁん」

「泣いてたってしょうがねぇからなああ。頸くらい自分でくっつけろよなぁ。お前は本当に頭が足りねえなあ」

 

 

「しのぶさん……あの鬼が、本体ですか?」

「分からない……でも」

 

 あの男。言葉から察するに帯鬼の兄なのだろうか?

 

 鬼が二人。

 

「こいつはぁ毒かぁ。俺でもすぐには解毒しきれねえなぁ。ちょっと我慢しろよなぁぁ。そうすればすぐに楽になれるからなぁぁ」

「ぐすっ、う"ん」

「いい子だなぁぁ」

 

 どっちも上弦の肆?分裂?

 

 ――だとしたら、間違いなくあの男が本体だ。

 匂いが違う。匂いの重み。血の匂いの濃さが。比べ物にならないほど喉の奥が麻痺する。

 あの時、無限列車で遭遇した黒死牟ほどではないにせよ、それでもたくさんの死体と血の匂いがする。 

 

「……しのぶさん?」

 

 ふと、しのぶの方を炭治郎が見ると、そこには緊張した顔で鬼を睨みつける胡蝶しのぶがいた。

 今まで見たことがない、緊張と――

 

(恐怖の匂い……!)

 

 

「はぁ……!はぁ……!」

 

 

 しのぶの手は、震えていた。

 噂に聞く、鬼達の中でも特別に強い上弦の鬼。姉を引退に追い込み、煉獄と鹿神を死の淵に追いやった。

 もちろん、下弦の鬼を倒したことは数度ある。

 けれど、相手は何百年も鬼殺隊の柱を退け続けた、十二鬼月の上弦。

 

 その者が持つ圧倒的な威圧感は、しのぶの手を震わせる。

 

(ギンさんや富岡さん、そして煉獄さんは、これよりも強い壱と弐と戦った……!)

 

 肆。上から四番目。

 だというのに、立っているだけで相対しているだけで足が震えてしまう。

 

 これが、上弦。

 

「……妹を泣かせたのは、お前らだなぁぁ」

 

 体格は、ギンより少し高いくらいだろうか。大きな体格に対して不自然なほどに痩せ細り、肋骨が浮き出て肉という肉をすべて削ぎ落してしまったような見た目だった。

 身体中に鬼の斑紋を浮かび上がらせ、そして両腕に握られた、骨で創られたような鎌。刃は血のような液体に濡れ、異様な雰囲気をもたらしている。

 いや、両腕というのは少し不適切だ。

 

 ()()()()()()()()()()()()()

 

 

 背中から飛び出るように生えた二本の腕。そこにも血に濡れた鎌を構えており、四本の腕と鎌を構えている。

 

 

(―――まるで、蟷螂)

 

 

 しのぶは息を呑みながら、日輪刀を構える。

 

「お前、いい女だなぁぁ。その顔もいいなぁぁ。肌もきれいでシミも痣も傷もねぇんだなぁ。男にもさぞかし持て囃されるんだろうなぁ。堕姫の方が美人だが、それでもいいなぁぁ」

「お兄ちゃん!そいつは毒を使うの、アタシに毒を入れたのもその女なの!その女は絶対殺して、アタシが絶対に喰ってやるんだからぁ!」

「ああいいぜいいぜぇ。カワイイ妹の頼みだからなああ」

 

 あの鎌と腕。攻撃範囲、そして手数は多そう。それに、あの血に濡れた鎌は、何か嫌な予感がする。

 接近戦を主体にした鬼だろうか。

 あの帯女より強いのは確かだが、自分の毒で少しでも動けなくさせれば勝機はある。

 

 さっきの戦いで、私の毒は上弦の鬼にも通用することはすぐに分かった。なら、さっきと同じように動きを封じて、炭治郎君に頸を斬らせる。

 

 あの帯女はまだ毒から回復するために動けないようだ。まだ涙を流しながらぐずっている。

 

 なら、畳みかける!

 

 

 

"蟲の呼――

 

 

 

 しのぶが再び鎌鬼に毒を叩き込もうと、飛び出したその時だった。

 

 

 

「遅いんだよなぁぁ」

 

 

 

 

 

 

 

"血鬼術 円斬旋回・渦血潮"

 

 

 

 

 

 鎌鬼が四本の腕を振るった瞬間、その鎌に呼応するかのように血で濡れた真っ赤な竜巻が現れる。

 

 

 

「ッ!」

 

 

 すべてを薙ぎ払う、災害だった。

 砂塵は渦巻くように舞い上がり、巻き上げられる風はすべてが斬撃。

 この街にある物を全て呑み込もうと進み続けるそれをまともにくらえば、身体がバラバラに切り刻まれる。一瞬、自分の手足が引き千切られることを連想したしのぶだが、それを避け切れず竜巻の中に飲み込まれる。

 

 

「しのぶさんッ!」

「お前だなぁ?妹の頸を斬りやがった奴は」

「なっ!」

 

 いつの間に後ろに……!

 

 炭治郎の頸に、挟むように二本の鎌が迫ってくる。

 

「……!」

 

 速い。けれど。

 

 あの鬼(黒死牟)に比べれば、まだ遅い。

 

 

"ヒノカミ神楽 幻日虹"

 

 

「あぁ?」

 

 

 炭治郎の身体が、一瞬ブれたかと思うと姿が消えた。

 高速の捻りと回転による、回避に特化した舞。視覚の優れた者ほど、よりくっきりとその残像を捉える。

 

(見えた!隙の糸!)

 

 ピンと張られた、炭治郎だけに見える糸。その糸は、自分の刀から鎌鬼の後ろ頸まで、真っ直ぐに伸びている。

 炭治郎は鎌鬼の後ろに回り込み、背後から鬼の頸を斬ろうと構えた。

 

 

 

 

 ――だが、"上弦の肆"妓夫太郎は、伊達に鬼殺隊の柱を15人も殺していない。

 

 

 

「見えてるんだよなぁ」

 

 

 

 後ろに回り込んだ炭治郎の首元に、背中の腕の鎌が振るわれる。その瞬間、隙の糸もぷっつりと音を立てて切れてしまった!

 もう一度"幻日虹"を!

 そう繰り出そうとした時。

 

 

「のんびりしてると俺の血鬼術に飲み込まれるぞぉぉ」

「っ!」

 

 背後を見ると、先ほど鎌鬼が繰り出した血鬼術の竜巻が、こちらに迫ってきているのが見えた。竜巻はしのぶを飲み込んだだけでは飽き足らず、さっきよりもどんどんと大きくなっていく。周囲の有象無象の建物を飲み込み、瓦礫の山に変えながら炭治郎の方へ向かって進んできていた。

 まさか、誘導したのか!俺がさっきの鎌の攻撃を回避することを予測して!竜巻と俺を挟み撃ちにするために……!

 

 

(まずい!避け切れな――)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時、炭治郎の首元がぐいっと何かに引っ張られ、視界が高速で回転し。

 

 

 

 

 

 

 

 竜巻が破裂するように周囲の建物を巻き込みながら、爆散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 吉原の花街。鬼との戦場になったその一帯は、数刻も経たないうちに更地になった。

 建物のほとんどが倒壊し、よくて半壊。血の色をした竜巻が発生したかと思えば、建物を全て呑み込むように巻き込み、なぎ倒し、消滅した。

 巻き上げられた砂塵と、瓦礫の破片がぱらぱらと宙から雨となって落ちていく。

 

 

「………………」

 

 

 がりがりとつまらなそうに頭を掻きながら、妓夫太郎は更地となった瓦礫の山の間に立っていた。

 美しいと言われた花街も、こうなってしまえばただのガラクタの山だ。

 

(……血の匂いがしない。死体がどこにもねえなああ)

 

 あの女の柱の死体も、あのガキの死体もない。殺した手応えがまるでない。

 

「……お前らだなぁ?もう一人の柱と、逃れ者の鬼の女ってのは」

 

 妓夫太郎がそう言いながら、まだ壊れていない建物の屋根に視線を向けた。

 そこにはしのぶを肩に抱きかかえる着物の少女――いや、鬼。

 竈門禰豆子がしのぶを横抱きにして立っていた。

 

「た、助かりました……禰豆子さん」

「むー♪」

 

 しのぶを助けることができて上機嫌なのか、禰豆子はにこにこと嬉しそうに笑う。

 人を喰わない鬼――禰豆子が苦手であったしのぶも、その表情に毒気を抜かれ、困ったように笑いながら禰豆子の腕からゆっくりと降りる。

 そして左手に猫掴みで炭治郎をぶら下げる、"音柱"宇髄天元が月を背後に立っていた。

 

「う、宇髄さん……!」

「間一髪だったな、胡蝶、炭治郎」

 

 あの時。竜巻に巻き込まれそうになった炭治郎を救ったのは、"音柱"宇髄天元だった。禰豆子は竜巻に吸い込まれたしのぶを救う為に、持ち前の回復力を利用して飛び込んだのだ。

 

「い、今まで一体どこに?」

「須磨と善逸を助けていた。伊之助と一緒にもうすぐここに来るだろう。胡蝶と炭治郎は地味に休んでな」

 

 炭治郎と胡蝶はそっと屋根の上に座らされる。

 速かった……炭治郎は自分が救われる瞬間が全く分からなかった。首根っこを物凄い力で引っ張られたかと思った時には、自分は屋根の上にいたのだ。

 

「"上弦の肆"……当たりだな。相手に取って不足はなしだ」

 

 宇髄天元はにやりと好戦的に笑った。探していた獲物を見つけた、獣のような笑みだと炭治郎は感じた。

 誰よりも大きなその背中。

 

「…………!」

 

 何故だろうか。見た目も、性格も、言葉も、戦い方も全く違うのに。

 その言葉と雰囲気は、かつて自分を救ってくれた"炎柱"煉獄杏寿郎の姿と、重なる。

 

「ムカツクなぁムカツクなぁムカツクなぁ。なんで今ので死んでねえんだぁぁ?くそったれがぁ。生きたまま生皮捌かれたり腹を掻っ捌かれたりしねえかなぁぁぁ。堕姫、お前も来い。俺が使ってやる」

「ええ!お兄ちゃん!私達が二人で戦えば誰にも負けたりしないんだから!」

 

 

「おいおい、柱が俺だけだと思ってるのか?」

「なんだとぉ?」

 

 ――ジャリ

 

 妓夫太郎の背後から、土を踏む足音が響く。

 その方を見ると、白い髪をした男が立っていた。少し遠いが、容姿を視認するには十分な距離に、彼はいた。

 

「ギンさん!」

 

 しのぶが嬉しそうに声を上げる。まだ傷は完全に塞がっていないようだが、腹部の傷は大丈夫なようだった。

 

(こいつが……蟲師)

 

 無残様が敵視する、要注意人物。あの黒死牟を追い詰めた"柱"。

 妓夫太郎は腰を低く構え、いつでも攻撃に移れるように体勢を整える。あの柱だけは、油断できない。

 

「遅いぞ、鹿神」

「お前にだけは言われたくない。宇髄」

「ああ。こっからは、ド派手に俺らが相手するぜ!」

 

 

「柱が三人。油断はできねぇが絶対に取り立ててやる。なぜなら、俺は妓夫太郎だからなああ」

 

 

 

 

 

 この場にいる全員が、悟る。

 

 戦いはここからが本番なのだと。

 

 

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