金剛に眉間を撃たれた私はすぐ様天龍さんの下へ駆け出した。
「天龍さんっ!大丈夫ですか!?」
「大丈夫だ、命に別状はねぇ。だが済まねぇ……身体に力が入んねぇんだ。アラ=ハマキ?、お前だけでも逃げろ」
そんな!天龍さんを置いて行ける訳がありません!
それに逃げるだけなら天龍さんを連れても行けますよ。
「ホワッツ!?どうして動けるデース!榛名ッ!フォローミー!」
「はいっ!金剛姉様!」
ですが……命に別状は無いとしても、あなた達は天龍さんを苦しめました。
少しくらいお返ししても構いませんよね?
「榛名さん……でしたか?ご自分がしでかした罪を十二分に理解し、どうかご覚悟を」
二人でライフルの十字砲火を浴びながら、私は天龍さんを撃った榛名の所へ歩いていく。
銃弾の全ては防御重力場に阻まれて私の前で床へと落ちていく。
電磁防壁も展開しているので特殊な電磁波とやらも通らない様です。
「テートークッ!どうなってるノー!?」
「あわわわ……!!?」
「ふっふふふ……やはり私の目に狂いは無かった!」
逃がしませんよ?
逃げようと扉へと駆け出す榛名より先に扉の前に回り込み、笑顔で逃げ道を封じる。
「ひぃっ!?は、はるなは……」
腰を抜かしたのかその場にしゃがみ込む榛名からライフルを奪い取り、まるで紙でも破くように銃身を軽々しくちぎり捨てて行く。
「もし次に貴女のこの様な行いが私の耳に入ったら貴女がこうなりますから覚悟しておいて下さいね?」
笑顔でそう伝えると榛名は真っ青な顔で頭を何度も上下に振って答えてくれました。
私はそのまま金剛の方へ振り向くとガンバレル
「金剛さん?貴女も……次は無いですよ?」
「ソ、ソーリー……いえ、ごめんなさい」
さて、腹は立ちますが彼女達は指示を受けただけです。
私の怒りは黒幕で発散するとしましょう。
「さて、梁田少将。私は第四鎮守府を離れるつもりはありませんが、折角来て頂いたのです。私の事をよぉ〜く知って帰って頂きましょう……
「な、何をする気だ?私に何かあれば外の奴らの無事は保証は出来ないぞ?」
なんと?天龍さんだけじゃ飽き足らず暁ちゃん達にまで手を出そうと言うのですか。
「榛名さん、金剛さん。外のお仲間に武装解除を。それとも私が直接説得してきましょうか?」
「ヘーイッ!比叡、霧島ァ!今すぐ武装解除するデース!命が惜しければ直ぐに指示に従うネー!!」
金剛が直ぐに対応してくれましたので大丈夫でしょうか?
なら後は少将だけですね。
「や、やめろ!何してる金剛っ!早くこいつを止めろ!」
「さて、豪華客戦艦あら、葉巻?によるクルージングの旅にご招待しますよ。梁・田・少・将?」
「う、うあああぁぁぁぁっ!!?」
私は少将に救命胴衣と着せて縄を括り付けると部屋を出て海面へと飛び込んだ。
そしてそのまま100knotまで一気に加速させてると海上を二時間たっぷりと引き摺り回して差し上げました。
死んだんじゃ無いのかですか?
いえいえ、殺してしまったら柱島泊地第四鎮守府の皆さんの立場も悪くなりますので殺したりなんかしませんよ。
それに
ああ勿論この後金剛さん達が憲兵隊へ今回の事を洗いざらい話して下さるので梁田少将の異動先は病院か牢の中のどちらかなのでご安心を。
その後、十分引き摺り回して満足した私は動ける様になった天龍さんと一緒に船を降りて暁ちゃん達に無事を伝えると、輸送船二隻を連れて再び進み始めました。
「アラ=ハマキ?……えと、さっきはありがとな」
「いえ、私こそ先程はありがとうございました」
「え?俺はお前に守られただけで感謝される謂れなんてねぇよ」
「そんな事ありません。出会って間もない私の事を大切な仲間だと言って下さいました。それが本当に嬉しかったんですよ?」
前の世界の私は敵にも味方にも恐れられ凡そ仲間と呼べる存在などそれこそ艦長達や姉妹達位でした。
「まだこちらに来てから皆さんに迷惑しか掛けていないと言うのに、打算抜きにそう言ってくれる天龍さんが居たからこそ私は皆さんの力になりたいと思えたのです」
「そ、そういうもんか?」
「はい、そういうもんです」
天龍さんは恥ずかしそうに視線を外しながらう〜んと唸っている。
やがて何かを思い付いたかのように頷くと私に向かってこう仰いました。
「アラ=ハマキ?。ずっと気になってたんだけどよ、その天龍
恩人である天龍さんを呼び捨てにですか。
うぅ〜、天龍さんがそう望むならそう呼ぶべきだとは思うのですが……。
「解りました天……龍。ですが口調に関してはこれが素ですので分かって下さいませ」
「あ〜、まぁいいや。それじゃあその調子で頼むぜ?」
「はい、よろしくお願いします」
天龍さ……天龍の提案を受け入れた所で私は艦長に声を掛ける。
「艦長。私、此処の方達の為なら戦うのも吝かではありません」
「そうか、だが気を付けろよ?お前の力が広まれば今回の奴みたいのが今後必ず出てくる。寧ろもっと強硬手段を取ってくる奴も出てくるかも知れねぇ。そういう奴らからも仲間を護れる様になれ。じゃなきゃお前は只の厄病神に過ぎんぞ」
「はい、承知しております。艦長」
前の世界でも飛び抜けた性能を誇る
それ故に争いの火種になる事は避けられないのでしょう。
だからこそ私はその火の粉が彼女達に降りかからない様にしなければならない。
私の身体にはそれが出来るだけの力と期待が込められて居るのだから。
「敵艦発見。行くぜお前ら!」
「「了解っ!」」
深海棲艦ですか、輸送船を狙われる前にさっさと片付けますか。
六基十八門の406mmガトリング砲を構えて敵を見据える。
「ちょっと待った」
「はい?」
その時、艦長から待ったがかかった。
「お前がそれを使ったらあの鎮守府の弾薬は枯渇するぞ?」
「あぅ、なら光学兵器なら……」
「この世界で光学兵器の使用実績が確認されるまでは駄目だ」
「うぅ……では吶喊致します」
私は両手に持ったドリルを構えて出力を上げ始めた時、今度は別方向から声が掛かった。
「アラ=ハマキ?相手は駆逐艦二隻だ。奴らは俺とチビ共で相手すっからワリィが後方で他の敵が来ねぇが備えておいてくんねぇか?」
「他の敵……はい、承知しました」
天龍がそう言うのでしたら大丈夫なのでしょう。
私は電探を起動させて接近する敵が居ない事を確認すると艦長と二人で天龍達の動きを見学する事にしました。
「艦としての性能はあっちと比べてかなり劣っているが、連携は中々の物だな」
「ええ、割と新しい鎮守府と聞いていますがあれ程の連携はあちらではありえませんでした」
あちらで見た艦隊行動なんて陣形すら組んでいたかどうかって所でしたからね。
「あっちは物量と性能でゴリ押しだからな。だがあいつ等でもあれだけ動けるって事は憶えておけ」
「理解しております。油断はしません」
駆逐艦二隻程度、彼女達は苦戦する事無く撃沈していきました。
「天龍、皆さんお疲れ様でした」
「アラ=ハマキ?さん!私と天龍さんが止めを刺したわ!見ててくれた?」
「ええ、皆さんとても良い動きでしたよ」
「当然よっ!レディなんだから!」
どうやらレディには当然の嗜みのようですね。
私もレディを目指した方が良いのでしょうか?
「アラ=ハマキ?、周囲はどうだ?」
「大丈夫です、周囲に敵の姿はありません」
「そうか、じゃあちゃっちゃと戻るか!」
その後は特に会敵する事無く私達は無事に鎮守府へと帰投を果たしました。
こうして私の初めての任務は完了致しました。
本日の私の功績……他所の提督を廃人にしました、以上。
Q.100knot(≒185km/h)で引き摺られたら死にませんか?
A.(爆撃されても大丈夫な提督なら)死にません。
Q.あら、葉巻?さんが怖いです(ガタガタ
A.ナカマオモイノイイコデスヨー?