【RTA】VRゾンビサバイバー真エンド【解説】   作:ササキ=サン

11 / 28
アサルトニキのRTAは終わっても、まだまだ続きそうなRTAブーム。最近は色々なRTAがあって楽しいですね。誰かメガテンRTAとかFGORTAとか走ってくれませんか?ダンまちRTAとかも面白そうですし、意外と未開拓な原作が多いので、いつか面白いRTA小説が生えてくることを祈っています。

あ。今回は短めです。


11話

大変な任務になる。それは覚悟していた。

 

しかし、目の前の現実は想像を遙かに超えた残酷さをもって、私の淡い覚悟を粉々に打ち壊した。

 

飛び散る紅い鮮血。転がる仲間であった肉の塊。静かにたたずむ、恐ろしき紫の髪の魔人。

 

『弱いですね。特殊部隊とはいえ、普通の人間なら、この程度のものですか』

 

私は逃げ出した。恐怖に駆られ、恥も外聞もなく。

 

なぜかあの化け物のような少女が追ってくることはなかったため、私は無事に逃げおおせることができた。

 

しかし、悪夢が終わることはなかった。

 

映画に出てくるゾンビのような、異形と化した市民達。その数の多さは、手持ちの銃弾だけでは対応しきれるものではなく、私は逃げることしかできなかった。

 

助けを求められたことも何度もあった。しかし、既に私の心は恐怖に縛られ、立ち向かうという選択肢をなくしていた。

 

化け物の少女と、異形と化した市民。それだけが私の敵ではなかった。逃げ回る最中に、何体も人から大きくかけ離れた異形の化け物を目撃した。それらは個体ごとに非常に強い力を持っていて、パワードスーツを装備した私自身でも、他に狙われる無力な人々がいたからこそ逃げおおせることができた。

 

もし、あの化け物たちと囮になる者が存在せずに対峙することになったら。私はきっと、既に息絶えることになっていただろう。

 

逃げ延びた先に適当に侵入した民家で、私は震えていた。

 

任務の達成は――あの化け物たちをかいくぐって研究所に侵入し、今回の事件の黒幕の証拠と思われる資料を捜索すること――到底不可能だ。

 

では、それを素直に上に伝えれば彼らは救助を派遣してくれるのか?いいや、それは絶対にない。

 

市民の救助よりも先に、黒幕の特定のために特殊部隊を派遣したという事実は、当然人命を蔑ろにした行いであるために、明らかになれば批判を免れることはできない。だからこそ、任務が失敗するというのなら、私たちは切り捨てられることになる。私たちの部隊は、そういう裏方の仕事をこなす、陰の部隊なのだから。

 

いつか。こういったことになるかもしれないというのは分かっていた。

 

分かってはいたのだ。

 

でも、それでも。あのような無残な死に方を晒すことになるのが、私の終わりであると認めるのは、絶対に嫌だ。

 

『歯ごたえがないですね。まあ、一応人間としては優秀な方の個体なのでしょうね。精々、使える駒になってくださいね』

 

少女が、先輩や同期の遺体に注射機を打ち込むと、彼らの遺体は恐ろしい変貌を遂げていった。

 

耳を塞ぎたくなるような、人としての終わりを告げる、彼らの産声。

 

「嫌だ・・・死にたくない・・・化け物になりたくないよぉ・・・」

 

あれだけ訓練したのに、私の口から漏れ出る心の悲鳴は、どうしようもなく情けないものばかりだった。

 

私は、現状になによりも脅えていた。何処に行っても化け物がいる。弾は少なく、パワードスーツのバッテリーも直に切れる。食糧も十分ではなく、救助の見込みはない。

 

生き残る道筋が見えなかった。安全とは、一体どこに存在するのだろうか。今も、異形の化け物がここにやってくるかもしれないのだ。私は、どうやって生き残っていけばいいのだろうか。

 

 

 

――そんな中だった。

 

――恐ろしくも、不思議で。

 

――しかしながら、どうしようもなく引きつけられる魅力と

 

――絶対の安心感を持つ、あの人が私の前に現われたのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

血しぶき。私の目の前にいる、恐ろしい兵士のような格好をしたゾンビがバタリと倒れた。

 

少し遅れて、銃声。そんな、僅かな空気を揺らす音が、耳に届いた。

 

目の前にいたゾンビは、先ほどまであの人がやっていたのと同じように、目から大量の血や脳漿のような、とにかくたくさんの液体をどろどろと流していた。

 

「は、はは、ははは・・・」

 

きっと、あの人がやってくれたのだろう。

 

どこから撃ったのか。それは全く分からない。近くで聞くとあれほど大きな音であった銃声が、これほど微かにしか聞こえない辺り、とてもとても遠くから撃ったのだろう。

 

それでも、あの人はそれまでと全く同じ場所を撃ち抜き、私を救ってくれたのだ。

 

「ははは、はは、はははは」

 

私は、自身の震えを抑えるように、自分の体を抱きしめる。

 

あの人は、私を守ってくれたのだ。

 

「怖かった・・・」

 

痛みが。死ぬことが。尊厳を失うことが。抗う力がないことが。

 

「どうすれば、貴方は・・・・・・」

 

貴方に着いていけば、私は生きることができますか?

 

貴方に従えば、私は安息を得ることができますか?

 

「何でもします。だから、どうか」

 

――私を傍においてください。

 

――私を守ってください。

 

 

 

『よしよし。よくできた』

 

『よし、良い子だ。撫でてやる』 

 

 

 

「えへへ、えへへへ」

 

――私をもっと、愛でてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――とても うつくしい おんなのこ を てにいれた。

 

満たす者。中心核である彼女は、ゆっくりと手に入れた戦果へ近寄る。

 

彼女が人間であった時の名前は、さとうささら。強化Bウイルスの感染を経て、彼女の体は人間の形を保ちつつも、その材質をナメクジのような粘液に変えていた。

 

――きれい。 ほしい。 ほしい。

 

彼女は臆病で、慎重であった。美しき少女といえども、少女は銃を持っていた。故に、肉体を麻痺させる作用をもつ粘液で、念入りに美しき少女を浸した後に、その美しさを堪能しようとしていた。

 

――ぎゅ~ あ。 これ すごく いい。

 

粘液の肉体で、その少女の肢体を抱きしめる。粘液から伝わる彼女の肌は、とてもなめらかですべすべしており、少女をずっと触っていたい気分にさせられた。

 

彼女に、特に性欲はない。故に、R18版の世界なら即ハメボンバーからの孕ませ番いSEX!SEX!SEX!であった性質も、なりを潜めている。

 

ただ、人であった名残を持つ異形でもあるために、満たす者には自然と人の温もりを求める性質があった。

 

――きめた。 これは わたしの。 ずっと いっしょ。

 

ずっと、深く、深く。己の領域にこの美しき少女をしまい込んでしまおう。美しき少女のことをいたく気に入った彼女は、これからこの少女と共に過ごす素晴らしい未来を想像し、気分をひどく高揚させた。

 

己の粘液をもって、絶対に破られない、誰にも犯されない要塞を作り上げようと心に決め、早速その作業に取りかかろうと意識を粘液の操作に向けた瞬間。

 

 

――満たす者は、ずたずたにその核を切り刻まれた。

 

 

みじん切りのように、さとうささらの姿を模した中心核が細切れにされ。

 

彼女は最後に、刀を振り抜いた姿勢の、赤く目を光らせた美しき少女の姿を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こぽこぽと。謎の液体に満ちたカプセルの中に、ほもじやないはいた。

 

ほもじやない。といっても、その姿は非常に幼い。まだまだ幼女であり、高校生の彼女が美しき花であるのなら、今の彼女は可憐なつぼみであり、かなりまな板であった。つまりこの景色は、過去の光景である。

 

幼女は目を瞑り、静かに謎の液体の中でまどろんでいた。

 

『やない』

 

そんな幼女に一人の女性が声をかける。

 

女性の姿は、幼女の姿をそのまま大人にしたような――つまり、女性はほもじやないの母親であった。

 

『愛している』

 

『これから先、何があろうと』

 

『私が、貴方を守る』

 

女性は、愛の籠もった瞳で幼女を見つめ、カプセルを撫でた。

 

『だから、一つになろう』

 

『これから、どんな厄災があっても、私が貴方を内から守る』

 

お母さん?何してんすか、やめてくださいよ本当に。

 

もし幼女に意識があったら普通に拒否しただろう、狂気。

 

『ふふふ、愛している』

 

きしょい・・・(本音)

 

そういった意図があるかは分からないが、幼女は少し嫌がっているように見えるかもしれない、僅かな身じろぎをした。

 

『不安?』

 

そうだよ(ガチ)。

 

女性の目には、母親のいない生活に脅える愛娘の姿が映った。とんだ自意識過剰である。

 

『大丈夫。目に見えなくなるけど、貴方の心と体の中に、私はいるから』

 

こわい。

 

『愛しているよ。やない』

 

 

 

――こうして、ほもじちゃんのお母さんはHウイルスにその姿を変えて、ほもじちゃんの体内に潜伏することになったんですね。

 

つまり、もうお分かりですね。視聴者のみなさん。

 

《お母さん助けて》。真摯に助けを請いながらこういった趣旨のワードを呟くことで、一時的にHウイルスを活性化させ、覚醒状態になることができます。

 

そうなると、体内の麻痺毒はヤンデレのお母さんが完全に無力化してくれるので、こうして無防備に近寄った満たす者の中心核をぶった切ることができるのです。

 

――お覚悟を。

 

覚醒状態で向上したステータスを活かして、めった斬りです。中心核を細かく切れば切るほど、この後の再起動が遅れます。これぐらい細かく切れば、だいたい30分は復活してこないでしょう。本来はこのまま無力化した満たす者を焼き払って完全に消滅させたいのですが、自衛隊基地を離れることがない満たす者をわざわざ完全に殺す必要はありません。さっさとここから離れましょう。

 

「あっ、さっきはありがとうござ・・・って、何があったんですかそれ!?」

 

気持ち悪い粘液に絡まれていたんですよ(憤怒)。お前のせいでな!というのは内心にとどめておくだけにして、粘液まみれの服をぽいぽい脱いで、代わりにセイカちゃんの上着を強奪しましょう。

 

あ。映像はカットしますね。音声だけでお楽しみください。R18じゃなくても、意外と細部まで描写されていますからね、このゲーム。とてもえっちです。

 

「え、なっ・・・」

 

うへぇ。下着までぐっしょりです。粘液が付いたまま覚醒状態が切れると、麻痺状態になってしまうので、下着も脱ぎましょう。まあ、ノーブラノーパンですが、あとで適当に衣類でも調達しとけば大丈夫ですかね。

 

?? なんかイカ臭くないですか?視聴者諸君。

 

「な、なんで急に脱ぎだしているんですか・・・!?」

 

うるせぇ!上着寄越せ!

 

「あっ、ひゃ!? そ、そんな、ダメです!そんなこと。非生産的です・・・ッ! で、でも貴方が本気で望んでいるなら・・・」

 

非生産的・・・? あ(察し)。

 

・・・いつの間にそんな好感度稼いでいたんですかね?ワンちゃんプレイが気に入ったんですか?

 

とりあえず着替え完了。身長差があるおかげか、セイカちゃんの服はほもじちゃんにとって大きめなので、上着だけでもワンピースみたいになっていますね。まあ、これなら大丈夫でしょう。

 

さっさと行きますよ~車に乗ってください。あ。ついでに備品庫からいくつか食糧を持っていきますかね。Hウイルスを覚醒させてしまったので、かなりカロリーを消費しました。昨日からご飯を食べていないのもあって、割と餓死寸前です。

 

腹減ったなぁ。チャートの予定より早めにカロリーを摂取する必要があるので、車で移動しながら、レーションでも囓りましょう。

 

「え・・・? あ、はい・・・?」

 

タラタラしないでください。ちゃんと物資は回収していましたか?

 

「あ。それは大丈夫です!完璧です!」

 

なんだか誇らしげにこなした仕事の報告をする。そしてどこか、ご褒美を求めているような目。良いですね!実に私好みの犬になってきました。よしよし偉いぞ偉いぞー。

 

「あ・・・えへへ・・・」

 

・・・。場合によっては、このゲームでも三番目くらいに強い強敵となってプレイヤーと戦うことになるルートがあるセイカさんと比べると、このセイカちゃんはもう・・・。これは犬ですね。なんだお前の反骨精神ガバガバじゃねぇかよ。

 

まあ、よし(適当)。従順なうちは、特にロスにはならないでしょう。多分。変に考えるくらいならサッサと行動するのがRTAです(ほんとぉ?)。何かあったら迷わずガンガン進みましょう(ガバの温床)。

 

それでは今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。

 

次回もまた見てね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どこに。 どこに いったの? わたしの たからもの。

 

みつけなきゃ ここには ない。

 

もっと ひろがろう。 ここをみはれ っていわれたけど そんなものは かんけいない。

 

もっと もっと わたしを ひろげる。 ごはんを いっぱい たべて わたしを さらに おおきく。

 

そうして おおきくなって もういちど たからものを。

 

ずっと いっしょだから。

 

みつからないなら どこまで おおきく ひろがろう。

 

そうすれば きっと いつか もういちど あえる。

 

まってて わたしの たいせつな たからもの。

 

こんどは にがさない。

 




ほもじちゃんの特性は間違いなく血筋である。

さて、それはともかくとして、ちょいと忙しくなるので週末まで疾走します。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。