(これはネタですか?)
こいつ直接脳内に…!!そうです。
この世界は個性という摩訶不思議な力を持った人間で溢れている。そしてその中にはヴィランと呼ばれる者たちがいる。
ヴィランとは、簡単に言えば犯罪者だ。個性を使い今日も街で悪行を繰り返す。
「ヒャッハーーーーッ!!オラァ!!殺されたくなけりゃあ金持ってこい!!」
蛇の顔をした男が発砲しながら叫ぶ。
どうやらこのヴィランは銀行強盗のようだ。大きなボストンバックを受付の銀行員に投げ渡し金を要求する。
銀行の警備員はこのヴィランによって既に殺害され、力無く横たわっている。
「た、たす…けて…」
「ああ?てめー…状況わかって言ってんのかぁ?次はお前がああなるんだよ!!」
救けを求め、悲鳴のような声を上げる少年を睨みながら、銃口を向け、引き金に指をかける。
「ッッ!!?」
少年は目を閉じ、誰かに祈るように泣きながら自分の死を悟る。
しかしなかなか撃たれない。奇妙に思った少年は目を開くと、ヴィランが少年ではなく、銀行の扉に向いていることに気づく。
すると、自動ドアが開き、一つの人影が銀行内に入ってきた。外から風が入り込み、揚げ物の香ばしい香りが鼻腔をくすぐる。
「この匂い…!!まさか…!?お前は…!!?」
ヴィランは動揺する。何故か…それは実に簡単なことである。
この世界には個性を使い暴れるヴィランが存在する。そして当然、それに対抗する勢力もある。
個性という力が発現したことにより、コミックさながらのヒーローが誕生したのである!!
そして今!現れたのは人気No.7ヒーロー!!No.1マスコットヒーローとも呼ばれるヒーローだった!!
「チキンヒーロー“ファミチキマン”!!!」
黄色と白の縦縞が入った袋を着用し、その袋から両腕と、下半身だけをだした、一見不審者にも見えるヒーロー、それがファミチキマンだ!
「少年…今すぐ私が君を救け出し、このファミチキを食わせてやろう!!」
「ク、クソがぁあ!!こんなとこで終われるかよぉお!!」
ヴィランはファミチキマンを狙い、発砲するが、それを悠々と避けたファミチキマンが一気に距離を詰める。
「“ファミチキスパーキング”!!」
手から生み出した出来立て熱々のファミチキをヴィランの顔に叩きつける。ファミチキはヴィランの顔に当たると同時に破裂し、熱々の肉汁をお見舞いする。
「アヅッ!?」
「チモモヤマッ!!」
熱々の肉汁が目に入り、悶絶しているヴィランの上にファミチキマンはのしかかり、両手にファミチキを生み出す。
「ファミチキ食えよォォォォオオオオオ!!!!」
熱々のファミチキをヴィランの口内に放り込み、吐き出さないように口を押さえる。
なかなか噛まないのでファミチキマンは、ヴィランの顎を動かし、強制的に咀嚼させる。
「モゴガガガガーーーーーーーッ!!!!!」
ヴィランの悲鳴が銀行内に響き渡った。
そんなこんなで気絶したヴィランを警察に引き渡すファミチキマン。そんな彼に少年が駆け寄る。
「あ、ありがとうございました!!」
「はは、私はヒーローとしての責務を果たしただけさ!そんなことよりファミチキをお食べ、元気が出るよ!」
ファミチキマンは手からファミチキを生み出し、少年に差し出す。少年は礼を言い、ファミチキを受け取ると真剣な顔で目の前のヒーローに問う。
「無個性でも…ヒーローにはなれますか!?」
「無個性か…それは難しいかもしれないな…」
「そうですか…」
ファミチキマンの言葉に少年は涙を堪えて落ち込む。自分が目指し続けた夢をあっさりとプロのヒーローに否定されたのだ。無理もない。だが、ファミチキマンの言葉はまだ終わっていない。
「だがな…無個性でも夢を諦めず、必死に努力すれば、君はヒーローになれるだろう!それにヒーローになろうと頑張っている者は既にその時点でヒーローさ!!」
ビリッと頭の袋を切り取り線から破ったファミチキマンは、本体のファミチキを晒しながらサムズアップする。
少年の涙腺は崩壊し、ダムのようにドバドバと涙を流す。長年思い続けた夢を、周りから否定され続けてきた夢を今、このファミチキマンというプロヒーローがなれると言ってくれた。
涙は止まらず水溜りを作る程になり、流石に焦ったファミチキマンは少年を宥め、泣き止んだ頃に彼は、スーパーの袋をぶら下げた自転車で、その場を去っていった。
それいけ!ファミチキマン!ヴィランを倒し、平和な世界を作るのだ!!