獅子の炯眼   作:奈篠 千花

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蛇の至誠を、獅子が識る。 その玖

 

乱戦かつ混戦だった。

ひとつひとつの戦いを追うことは、ここではしない。

ハリーが、必要の部屋でマルフォイたちと争いながら髪飾りを見つけ、結果、クラッブが死んだことも、ロンとハーマイオニーがスタンドプレーの結果、ハッフルパフのカップの破壊に成功したことも、ネビルが戦っていた場所からは分からないことだった。

ネビルは慎重かつ勇敢に戦い続け、乱戦の中を生き延びた。

隣で、ダンブルドア軍団として旗印を掲げた仲間が死んで行くのはつらいものだったが、愁嘆場を演じている暇はなかった。

 

ネビルはまた、こっそりと戦闘の中にスネイプ校長の姿を探していた。

勿論、戦闘を疎かにしたわけではないが、マクゴナガル教授やフリットウィック教授を傷つけないようにして逃げ去ったからには、スネイプ校長は無能な働きを見せたとしてヴォルデモート卿から容赦のない懲罰を──、虐待を受ける恐れがある──とネビルは思った。

実際そのころ、スネイプ校長は全く違う理由──杖の忠誠心を得るためというネビルには予想もつかない理由で攻撃を受けていたのだから、全く間違っているのに、「ホグワーツを攻略するのにスネイプ校長の重要性が薄れたと思われたら危ないのではないか。」という危惧は的中していると言ういわく言いがたい状況にはなっていた。

 

ただ、ここでほんの少しだけ、ひとつ、本来我々が知っていることと違う力が働いて、違うことが起きる。

ハリー・ポッターは、ヴォルデモート卿が叫びの屋敷にいることに気づいて、透明マントを被り、スネイプがヴォルデモート卿に杖の忠誠心を得るために大蛇に咬み殺させようとする一部始終を見て、死にそうなスネイプから記憶を受け取る。

ヴォルデモート卿はまるでハリー・ポッターに戦いの責任があるかのような物言いをするがネビルはもうそんなものには騙されない。

ハリーは校長室に戻り、スネイプの記憶を覗き全ての真実を知って、──死ぬ覚悟を決める。

 

午前4時ころ、校庭での出来事だった。

ネビルは疲れ果てていたが、まだ校庭で戦死者を覗き込んでは確かめていた。

今確かめていた遺体は、グリフィンドールのコリン・クリービーだった。

哀しくはあったが、ネビルは泣かなかった。

他にも多くの死者がおり、そんな暇はなかったし、少なくともコリンはネビルと同じく戦うことを自分で選んだのだ。

その辺りにいたオリバー・ウッドに声を掛けて、コリンの亡骸を大広間に運び入れるために持ち上げ、玄関ホールへ向かった。

玄関ホールまで来ると、オリバーは残りの道程を引き受けることを承知してくれて、ネビルは扉の枠にもたれて手の甲で汗を拭った。

まだ──、まだ他にも戦死者はいる。

そして少なくとも、セブルス・スネイプの死体は見ていない。

ネビルは、この緊迫した事態の最中、セブルス・スネイプの安否を頭から振り落とすことができない自分を不思議に思いながらも、どうしても気にせずにはいられなかった。

 

再び校庭に出て、死体を確認し始めた時、突然、呼ばれた。

「ネビル。」

突然呼び掛けられて、ネビルは飛び上がった。

「びっくりしたァ!

ハリー!心臓が止まるかと思った!」

冗談ではなかった、ネビルは油断していたわけではなかったが、透明マントで近づいてきたハリーは気配も感じさせなかったのだ。

「一人でどこへ行くんだい?」

ハリーの行動にどれほどの意味があるかも含めておそらくネビルの声は疑わしくなったろう。

「それは全て計画通りさ。

やらなくてはならないことがあってね、ネビル──、聞いてほしい。」

「ハリー!

まさか捕まりに行く気じゃないだろうな!」

「違う。

勿論違う──、別のことだけど、しばらくは姿を眩ますかもしれない。

ネビル、ヴォルデモートの蛇を知ってるかい?奴の飼ってる大きな蛇──、ナギニって呼んでる──。」

突然の話題の変換にネビルはついていけなかった。

「聞いたことはあるけど──、それがどうかしたの?」

「そいつを、殺さないといけないんだ。 ロンとハーマイオニーは知っていることだけど、でも、もしかして二人が──、二人ができそうにもなかったり、君に機会があったら蛇を殺して欲しい。」

ネビルは、突然、必要の部屋で二人が誰にも言わずに姿をくらましたことを思い出した。

二人は、秘密裏に蛇を叩き殺しに行ったのだろうか、でも、この期に及んでペットを?ネビルの考えは間違っているのだが、それを知るすべも今はない。

「蛇を殺すの?」

「蛇を殺すんだ。」

「分かったよ、ところで、ハリー。」

 

ハリーが繰り返したのに、ネビルは了承の返事をして、突然、今気になっていることをハリーに聞こうと思い立った。

ハリーはネビルと違う場所を移動していて、スネイプ校長に遭遇したかもしれないのだ。

「スネイプ校長を見なかった?

僕、ずっと探してるんだ。」

探している理由は言わなかった。

そう風に言えば、勝手に裏切り者の校長を探していると思って、勘違いしてくれるはずだった。

だが、ハリーは意外にもすぐには答えず、苦みとも悲しみともつかないひどく複雑な表情を浮かべた。

それは不吉なことだった。

生きている校長に会ったなら、そしてやり合ったなら、ハリーが浮かべる表情は憎しみに染められているはずだからだ。

「──会ったんだね?

ハリー、どこで?」

不思議なことに、ハリーはネビルがそれを聞いた時に、怯えたような表情を見せた。

「ネビル、スネイプはもう──、だからそっとしておいてやった方が──。

説明しにくいけど、彼は敵じゃなかったんだ、だからもう攻撃する必要はない──。」

ネビルは心臓に棘が刺さったような気持ちになった。

スネイプはもう──?もう、なんだと言うのか、ハリーがやっとスネイプ校長は敵ではないということを知ったということは敵にも知れたということではないのか、それでは彼はどうなったのか!

 

「スネイプ校長はどこ?ハリー!」

ネビルの強い語気に押されて、

「叫びの屋敷だよ。

蛇に襲われて──、倒れてる。

だけど、ネビル──。」

ハリーはそれ以上何か言葉を紡ごうとしたが、ネビルがそれ以上に強い調子で聞いたのに遮られた。

「叫びの屋敷?

ハリー、ホグズミードじゃないか、ホグズミードへの通路は婆ちゃんが封鎖したはずだ。

どうやって行ったんだい!」

ハリーは口籠ったがネビルは容赦しなかった。

彼はついに、トリオが暴れ柳からの抜け道を使って、叫びの屋敷に至った方法と、そこでスネイプ校長が蛇に咬まれて動かなくなったことを聞き出した。

 

ネビルは絶句した。

ハリーは、彼を叫びの屋敷に放置し、彼が無実だと知った後も戻る気すらないのだと。

ハリーは意図的にその後校長室で見知った記憶の中から、自分が死ぬ定めにあるということを黙っていたが、流石にスネイプ校長が実はダブルスパイで味方だったということは隠さなかったから、ネビルは、元から気づいていたその事実を再確認することになったのだ。

ネビルの絶句をどう思ったのか、ハリーは言い募った。

「だから、スネイプは敵じゃなかったんだ。

もう攻撃する必要もない、静かに眠らせてやる方がいいと思う──。」

ネビルは聞いている暇などないと思った。

「ハリー、僕らは全員戦い続けるよ、分かってるね?」

「あ、ああ。僕は──。」

気圧されたようにハリーは言葉を途切らせた。

それぞれの戦場で──、と、ネビルは心の中でだけ思い、ハリーの肩を軽く叩いて、その場を離れ再び校庭へ向かった。

 

 

 

ネビルが向かったのは、叫び屋敷に通じる秘密の通路がある暴れ柳だった。

暴れ柳は再び暴れ出していたが、ハリーからコツを聞き出していたネビルはたやすく樹を大人しくさせた。

ネビルはハリーとハーマイオニーたちが通った通路を出来るだけ急いで通って叫びの屋敷に急いだ。

ハリーの話が本当なら、そこにはもう誰もいるはずもなかった。

ヴォルデモートもナギニも、デスイーターも全員がホグワーツに向かい、既に戦闘が始まって多くの人間が──、敵も味方も多くの人間が死んだ。

今叫びの屋敷にいるのは、蛇に咬まれて倒れているセブルス・スネイプだけのはずだった。

ネビルは、ハリーが慎重に外した木板を遠慮なく押し破り、出来るだけの速さで叫びの屋敷に着いた。

 

不思議なことに、ネビルはスネイプ校長が死んでしまっているとは考えなかった。

それはネビルが幸運の草の根を噛んで、その日のうちにはネビルにとって本当に最悪なことが起こるはずはないという期待のためでもあったし、マグル育ちのハリーとハーマイオニーが思う以上に、魔法使いの生命力についてネビルが知っているからでもあった。

赤ん坊のネビルでさえ、二階から落とされようが橋から落とされようが死ななかったし、ハリーだって物心がついていなかっただけで、ダーズリー一家の物理的虐待に死なない程度の生命力はあったはずなのだ。

今ならまだ間に合うかもしれない──、一縷の望みを託して、ネビルは暗い部屋の床に倒れているセブルス・スネイプを見つけて、迷いなく駆け寄った。

呼吸は、ない。

 

だが、見開いた暗い色の瞳を見て、ネビルはその晩、何度も何度も見たものとそれが違うことをはっきりと理解した。

──開き切っていない!

瞳孔が開き切っておらず、魔法使いが非常な傷害と毒を受け、血を流して死に掛けた時、その瞬間、おそらくスネイプ校長は無意識に魔法を使い、己を仮死状態にしたのだろう。

だが、もちろん、このままなら、遠からず死ぬ。

仮死状態であれば死んでいないとはいえ、体温が低下し出血も止まらず、毒も消えるわけではないのだから。

だが、幸運の草の根はいい仕事をした、少なくとも、本当に手遅れになる前に、ハリーと会い、スネイプ校長が倒れていることを知ることができた。

「エネルベート!」

「リナベイト!」

「アナプニオ!」

「エピスキー!」

「ヴァルネラ・サネントゥール!」

ネビルは、懐から、以前スネイプ自身が罰則としてネビルに作らせた、上級魔法薬の解毒剤兼傷薬を取り出す間に、とにかく知る限りの癒しや蘇生の呪文を唱えた。

 

ネビルがやや乱暴にスネイプ校長の首の傷を露わにするために襟首のボタンを引きちぎる勢いで、黒い服の襟を開けると、勢いでぐらりと首が揺れ、「がふっ。」と、スネイプ校長が血を吐いた。

仮死状態が解けて、呼吸が戻ったのだ。

首を噛まれて、どこからか食道に血が入ったのだろうが、残り少ない傷薬を、使い尽くす勢いで、首元の傷に塗り込んだ。

蛇の毒が反応しているらしく、じゅうううう、と、灼けるような匂いと音をさせて、傷口が泡立つ。

だが、それが反応するということは、確実に効果が出ているということだ。

ネビルがホッとして力が抜けたところで、いきなり、後ろから声が掛かった。

 

「ネビル?

一体お前はここで何をしておいでだい?」

杖を構えて、隠し通路から出てきたのは、ネビルの非常に頼りになる祖母、オーガスタ・ロングボトムだった。

人の気配に、とっさに杖を向けたネビルだったが、相手が祖母だと知って、少しだけ力を抜いた。

が、杖は下ろさなかった、オーガスタが、倒れたままのセブルス・スネイプを警戒して杖を構えたままだったからだ。

「婆ちゃん、僕は死なせたら絶対後悔する人を助けてる。

この人が敵じゃないのはハリーも証言してくれるよ。

この人に危害を加えるなら、婆ちゃんだって容赦はしないよ。」

傷口の灼けるような音が止まり、スネイプ校長が命を取り留めたことに気付いたが、意識はまだ戻らない。

その間に、祖母にとどめを刺されでもしたらかなわない。

ネビルは背にスネイプ校長を構いながら、まっすぐに祖母を見据えた。

 

戦闘のさなか、校庭の暴れ柳から姿を消す孫を見掛けて、まさか戦闘中に逃げ出す気かと追いすがってきたオーガスタは、孫の思いがけない強い眼差しに、おや、と言う顔をした。

「ハリー・ポッターが保証するなら何よりだろうけどね。

ネビル、あんた自身は何を見てそう判断したんだい?」

祖母の問いに、ネビルは一瞬虚をつかれたような顔をしたが、次の瞬間には、はっきりと答えた。

「スネイプ校長は、きちんと校長室に入れるんだよ、婆ちゃん。」

他にも説明できることはあったが、祖母に伝えるなら、それが一番伝わるだろうと思った。

 

オーガスタは、今度こそ意外そうな顔を隠さなかったが、ネビルの後ろの男に向けた杖は逸らし、部屋の別の隅に向けて杖を振った。

見る見るうちに、そのあたりの古い棚が、寝心地の良さそうな素敵なベッドになるのを見て、唖然としたのはネビルだった。

「婆ちゃん?」

「愚図愚図してないで、さっさと校長先生を運びな。

お前の話を信じるなら、その先生は比類なき戦争の英雄だろ?

いつまで床に寝かしとく気だい?」

言われて、ネビルは慌てて、衝撃を与えないように注意して、セブルス・スネイプをベッドに運ぶ。

それが終わると、オーガスタはネビルにも手伝わせて、叫びの屋敷に守りの結界を張り始めた。

「万が一デスイーターの奴らが戻ってきたら厄介だからね。

この先生はしばらくは動かさない方がいいだろうから、私が見ていてやるよ。

ネビル、あんたは、分かってるね?」

ネビルは、決意を込めて頷いた。

セブルス・スネイプは命を取り留めた。

そして、彼が一人ならとてもネビルは彼を放置していくことなどできないが、彼が自分自身とスネイプ校長以外に、おそらくこの世で一番尊敬しているら祖母に後を預けて行けるなら、彼のやることは決まっている。

 

「分かってるよ。

僕は戻る、そして戦う。

───うん、勝つまで。」

死ぬまで、とは言わない。

そんなことのために、今までを持ち堪えてきたわけじゃない。

うっかり間違って死んでしまうことはあるかもしれないけど。

「婆ちゃん、先生をよろしく。

僕の、一番尊敬する人なんだ。」

オーガスタは不意を突かれたように目を丸くしたが、ネビルの真意をどう取ったにせよ、はっきりと頷いた。

ネビルは安心してホグワーツに戻った。

 

 

 

ネビルは、そんな風に叫びの屋敷に行っていたので、その間にハリーが禁じられた森で一度ヴォルデモート卿と対決してアバダケダブラを撃たれて仮死状態になり、遂に自分の中のヴォルデモート卿の魂のかけらを失ったことも、更にナルシッサ・マルフォイがハリーの死亡確認を偽って、ヴォルデモート卿がハリーが遂に死んだと思い込んだまま、ハグリッドにハリーを運ばせ、ホグワーツの禁じられた森から校庭に立ち入ろうとしていることも知らなかった。

だが、ネビルは暴れ柳の出口から校庭に吐き出され、ヴォルデモートが森の境界からホグワーツの皆に呼び掛けたところに間に合った。

ヴォルデモート卿の声は朗々と響き渡った。

 

「ハリー・ポッターは死んだ。お前たちが奴のために命を賭けているときに、奴は自分だけ助かろうとして、逃げ出すところを殺された。お前たちの英雄が死んだことの証しに、死骸を持って来てやったぞ。

我々の勝利だ。

お前たちは、戦士の半分を失った。

我々デスイーターの前に、お前たちは無力だ。『生き残った男の子』は死んだ。

これ以上、戦ってはならない。

抵抗を続ける者は、男女子どもを問わず殺される。その家族もな。

城から出て、今、私の前に跪け。そうすれば、許してやろう。

お前たちの両親、子ども兄弟姉妹も生きて赦され、お前たちは、我々が築き上げる新しい世界に参加するのだ。」

 

デスイーターたちは粛々と進み、城の前で対峙したマクゴナガル教授や、ロンやハーマイオニーが口々に悲嘆の声を上げた。

城から流れ出してきた人々が、口々にデスイーターを非難する叫びをあげるのに、ヴォルデモート卿が一喝した。

「黙れ!」

一喝とともに激しい閃光と、爆裂音が響き渡ったので、人々は黙った。

ネビルは校庭を回り込んで味方の方へ移動した。

「終わりだ!ハグリッド、そいつを私の足元に下ろせ。そこが、そいつにふさわしい場所だ!」

遠目に、ハリーの遺骸が芝生に降ろされるのが見えた。

ネビルは複雑な気持ちになった。

逃げ出そうとしたとは思わなかったが、結局、ハリーは一人で殺されに行ったのだろうか?

「分かったか?」

ヴォルデモート卿は気忙しく、ハリーのそばを行ったり来たりしていた。

 

「ハリー・ポッターは死んだ!今こそ分かっただろう?ハリー・ポッターは最初から何でもなかった。他の者たちの犠牲に頼った子供に過ぎなかったのだ!」

そんなことは知っている、とネビルは思った。

だが、グリフィンドールでずっとハリーのそばにいたネビルは、だからこそ、と思う。

ただの子供であったハリーが努力したことを、自分たちは引き継がなければいけない。

彼が生きるために今までずっと続けていた努力を無駄にしてはならない!

「ハリーは、お前を破った!」

ロンが叫んだ。

その叫びは今となっては説得力がなく、なぜ今そのセリフなのかと思わないでもなかったが、ともかく大声を出したことで、呪縛に掛かっていたように黙っていた群衆が再び騒ぎ出した。

 

再び、大きな爆発音が響く。

また皆が静かになった間に、ヴォルデモート卿が再び演説を始めた。

「こいつは校庭からこっそりと抜け出そうとして殺された。」

その響きは楽しそうですらあった。

「自分だけが助かろうとして殺された──。」

ヴォルデモート卿が話しているのに夢中になっている隙に、ネビルは杖を構えて皆の間から走り出した。

結果から言えば、攻撃呪文は失敗だった。

話しながらも、ヴォルデモート卿は警戒を解いていなかったのだ。

ネビルは武装解除され、地面に叩きつけられて痛みに呻いた。

 

「一体、誰だ?

勝ち目のない戦いを続ける者がどんな目に遭うか、見本を示そうと言うのは?」

ヴォルデモート卿は、細い息を吐きながら問い、ベラトリックスが笑い声を上げた。

「我が君、ネビル・ロングボトムです!カロー兄妹を散々梃子ずらせた小僧です!例の闇祓いの息子ですが、覚えておられますか?」

「おお、そうか。確かに覚えている。」

ネビルは痛みに耐えやっと立ち上がった。

ほんの少し足がふらついたがそんなことは大きな問題ではない。

出来るだけ堂々と、怯えを見せないように立つ。

誰かが率先して、勇気のある態度を見せるーー、それが他の誰かを勇気付ける。

だから、ネビルは敵の前に、味方からも一歩前に出て、武器がなかろうと、隠れる場所がなかろうとーー、いや、隠れる気こそなく、ただ一人、ヴォルデモート卿と真っ向から対峙した。

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