MUGENです。
男女タッグです。
黒髪剣士です。
甘々です!
――黄龍。
地獄門を内側より封印する存在であり、四神の青龍が死後にその役に着くこととなる。
かつて、朱雀の暴走を沈め、地獄門を封印した楓も例に漏れず、死後黄龍となり、ただ静かに闇の世界にその身を置いていた。
だが、それも未来永劫続くものではない。
次代の青龍が死亡し黄龍の任に着くことにより、その代の黄龍は解放される。
解放された後は、青龍の力は大地に流れる龍脈の一部となり、魂は輪廻転生の輪に加わることとなる。
(そう、僕の役目ももう終わりだ……。)
当代の黄龍にその座を明け渡し、ただの「楓」という人間に戻ったのだ。
――漸く、あの娘の下に行ける。
そう呟くと、楓は、まだ人の身であった頃のことを思い出す。
封印の儀を終えて、しばらく経った頃。
倒れていた、彼女を介抱したのが始まりであった。
――彼女は新たな封印の巫女であった。
いや、正確には「巫女になるべく創られた存在」
地獄門がいつ何時開いても、即座に封印できるようにと、ある一部の者たちにより創られた存在であった。
その中で、自我を会得した彼女は、使い捨てられる同胞の姿に哀れみ、恐れ、怒り、涙し、気が付けば自由を求めていた。
そんな彼女の素性を聞き、楓は自らに招き入れた。
――思えば定めだったのだろう。
自身の義姉がそうだったように、彼女もまた青龍である楓の下に導かれるように、現れたのだ。
その後、彼女を作ったとされる一団との死闘や、暗躍する者達と地獄門を巡っての戦い、謎の天狗との会合など。
とにかくまぁ、語るにはあまりに長く濃厚な事件に巻き込まれながらも楓は彼女と共に、苦難を乗り越えていった。
――互いに惹かれあっていたのは必然だったのだろう。
物語の一幕のような出会いをした二人は、共に人生を歩むことを誓った。
「今思えば、一目ぼれだったんだろうなぁ……。」
何気なく、呟き、さて、そろそろ時間が来たようだと思ったその時。
「それは、私も同じですよ♪」
――不意に懐かしい声が聞こえてきた。
「久しぶりだね……。」
振り向かなくても分かる。今、彼女は微笑んでいる。
「ふふっ、待ちきれなくて迎えに来ちゃいました♪」
どこかいたずらっ子のような茶目っ気のある彼女の笑顔。
それは生前と変わらず、愛おしいものだった。
「随分、待たせちゃったね……。」
「本当ですよ♪罰としてもう死んでも離しませんから♪」
「もう死んでるでしょ……。」
「そうでした♪」
そんな他愛もないじゃれ合いが、懐かしくも楽しく、そして何よりも温かい。
「それじゃあ、参りましょうか。話したいことがいっぱいあるんでよ?」
そう言って、彼女は握りしめた手を引きながら、楓を光が差す方へと連れていく。
「……そうだね。僕も、話したいことがたくさんあるんだ。」
二人の男女は、微笑みながら、寄り添うように歩き続ける。
――例え生まれ変わっても、この縁は途切れはしない。