テンプレな展開で夢をつかむ男の話。

すいません、手を捻挫してそのリハビリ代わりに書いただけの乱文です。前回テンプレ転生を否定する短編を書いたので今度はテンプレで幸せになる話です。正直目的が目的なので短いです。

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正直チラシの裏に書けといわれても仕方のない内容ではありますが。リハビリの為とはいえ折角書いたので。


幸せな転生者

「夢破れたり……か」

 

部屋の中一人そうつぶやくのは貫禄のある老人。

ただしその表情には疲労と諦観以外のものは浮かんでいない。

彼には夢があった。

幼き日に見た希望。

今は失われてしまったそれを再び取り戻す。

ただそれだけを願って今まで戦ってきた。

時には汚いことも、いや意に染まぬことなど日常茶飯事。

しかし、彼は今までのすべての戦いに勝ち続けてきた。

政財界の化け物どもを相手に幼き日に見た夢を再び手につかむため。

 

しかし、常勝不敗を誇った彼はその己の全てをかけた最後の戦いにだけ勝利することが出来なかった。

 

「わしの今まではなんじゃったんじゃろうな。夢一つかなえることが出来んとは。こんなものいくらあっても何の役にもたたん」

 

そう言って彼は手につかんだ札束を苦々しげに握りつぶす。

 

「こんなものもうわしには必要無い。欲しいやつがいくらでももっていくがいいさ」

 

 

その日から暫くの間日本中は喪に服すことになる。

低迷していた日本経済を復活させ、日本という小さな島国にかつて無いほどの栄光をもたらした一人の巨人が帰らぬ人となったからである。

ただ日本という国のために生き。

日本で始めて革命を生きたまま成功させた男のあっけない幕引きに日本中が涙する。

しかし、彼が本当に望んでいたことはそんな大きなものではなく、唯一つの小さな夢だったことはついに報道されることは無かった。

 

 

 

 

「あなた凄いですね。ここまで自分の運命を捻じ曲げた人は初めてですよ」

 

「ん、だれじゃ? わしは死んだはずじゃが」

 

目の前には見慣れぬ衣装に身を包んだ見目麗しい女性。

10人いれば9人は彼女のことを絶世の美女と称するだろう。

しかし、老人はその残った一人の方であった。

 

「ええ、あなたは死にました。グラスに入れた青酸カリをあおって服毒自殺ですね」

 

「そうか、ならわしは死ねたんじゃな。あの何の希望も無い世界からおさらば出来たという訳じゃ。しかし、ならばここはどこでおぬしは何者じゃ?」

 

眼光鋭く目の前の女性を睨み付ける。

これでも海千山千の戦いを制してきたのじゃ。

貴様のような小娘勝負にならんわい。

 

「あらあら、そんなに睨み付けないで下さいよ。今から説明しますから。えー、まずここはあの世と呼ばれる世界ですね。正確には閻魔大王様が居られる裁きの間の横にある小部屋です。私は大王様の部下の一人です」

 

「ほう、胡散臭い話よ。仮に本当じゃったとして、その閻魔大王様の部下とやらがわしにいったい何用じゃ? 虚偽の話でわしを欺けると思うなよ?」

 

「嘘なんて言いませんよ。誓って私の話に嘘は無いです。まあ、あなたに証明するのもめんどくさそうなので先にあなたを呼んだ理由について説明させてもらいますね」

 

「ふむ、構わん話してみよ。実際貴様の話の真偽になど興味も無いしな。もうわしには希望は無いのじゃ。こんな老いぼれを利用した所でわしにはもう関係は無い」

 

それまでの鋭い眼光がまるで嘘だったかのように男の顔から覇気が抜ける。

そこにあるのは疲れた歳相応の男の顔だけ。

 

「ええ、そう言って頂けると助かります。ある意味あなたを利用することになるのは確かですし。でも、あなたにとっても悪い話じゃないはずです。私があなたに望むことをやっていただけるのなら報酬としてあなたの望みを三つだけ何でもかなえましょう」

 

何じゃと。

今この小娘なんと言った?

わしの望みをかなえるじゃと?

どうせそんなことできるわけは無いと頭ではわかっているのにその言葉はわしを揺さぶった。

どうせもう全てを捨てた身だ。

この胡散臭い話に乗ってみるのも一興か。

どうせだめでもともとじゃしな。

 

「ほう、何でも望みをかなえるといったな? その言葉嘘じゃなかろうな?」

 

「ええ、誓って本当です」

 

「よかろう。わしに何をやってほしいのじゃ? わしに出来ることなら何でもやってやろうではないか」

 

「良かったです。これはあなたにしか出来ないことでしたから。やってもらうこと自体は簡単なんですけどね。あなたの輪廻転生の輪を少しいじらせてもらうだけですから」

 

輪廻転生じゃと?

要するにわしの来世を変更するということか?

しかし、そんなことをして一体何になるというのじゃ?

 

「要するにわしに貴様の望む来世を過ごせと言う事か?」

 

「ええ、その通りです」

 

「ふむ、そんなもの別に構わんが。わしに来世で一体何をして欲しいのじゃ?」

 

「いえいえ、ただあなたの望むままに生きていただければそれで十分ですよ」

 

ますます話が胡散臭くなってきおったな。

それでこやつに何の得があるというのじゃ?

わからん、知識が足りなさ過ぎる。

本来ならこんな取引乗るべきではないが……

いいじゃろう。

どうせ捨てた命じゃし。

夢にいたる可能性がわずかでもあるのならばのってやろうではないか。

 

「よかろう。貴様の言うことに従おう」

 

「え、良いんですか? 自分でもかなり胡散臭いことを言っている自覚があるんですが」

 

「かまわん。さっきも言ったじゃろう。わしに出来ることなら何でもすると」

 

「ええ、まあ話が早くて助かるんですけど。とりあえず先を説明しますね。貴方に過ごしてもらう来世は平行世界と言えば通じるでしょうか? 地球に良く似た世界ですね。そこで生まれ変わってもらうだけです」

 

「わかった」

 

「助かります。それで貴方の望む望みは何ですか? 一応言っておくと平行世界の日本とは言っても裏では剣あり魔法ありの危険な場所ですのでそれなりの能力なり何なりを一つは入れることをお勧めします」

 

「そんなものは不要だ。わしにあるのはただ一つの夢のみ。それさえかなうのならばわしの命なんぞどうでもいいことよ」

 

目の前の女性が絶句しているのがわかる。

ふん、命が惜しいものが自殺などするかよ。

わしはただあの夢の光景をもう一度拝みたいだけじゃ。

その他の望みなど無い。

 

「そ、そうですか……それでは貴方の望みは何ですか?」

 

「望みと言っても一つしかないのじゃがな。残りの二つなどいらんのじゃがそれでよいか?」

 

「いえ、それは困ります。こちらとしても報酬をけちったなどと噂になるのは困りますので。ちゃんと三つの望みをかなえてもらいます」

 

「そうか、ならばそのわしの望みを補強する形のものを二つあげさせてもらおう」

 

「ええ、それで構いません。では貴方の望みを教えてください」

 

「そうじゃな、わしの望みは――――」

 

 

 

 

 

 

「行ったか?」

 

「ええ、行きました。しかし本当に変わった人でしたね」

 

「まあ、そうでなくてはただのニートで終わるはずだった人生を歴史上の偉人にまで変えることは出来んさ。しかし、さすがにここまで自分の運命を捻じ曲げる男が存在するとは予想もしていなかった」

 

「ええ、全くですね。ですが、それだけの運命を捻じ曲げる力を持った彼が転生すればあの世界の運命も変えてくれるでしょう」

 

「そうだな、どうせこちらとしても半ば諦めていた事だ。せいぜいあの男に期待させてもらうさ」

 

「ええ」

 

 

 

 

 

今日も何気ない日常が行われる。

子供がいて大人がいる。

男がいて女がいる。

何気ない日常。

裏の世界に行けばいろんな危険があるらしいが普通はそんなものとはかかわらない。

そんな世界で一人の男が幸せに包まれ生まれそして死んでいった。

その顔は死に顔は驚くほど安らかだったと言う。

前世での破天荒さなど一切表に出すことの無かった彼は一生を信仰に費やし様々な人を救った。

まるで前世での悪行を償うかのように。

そんな彼の人生は常に希望に満ち溢れていたと言う。

 

彼の望みによって聖人となったブル○ー夫人を崇める世界。

彼が幼いころに見た親の若い日の写真の中にしかなかったもの。

現実の女性が運動をする時にブルマーを身に纏う光景。

それはいまや全世界に広がっている。




一応言って置きますが、この物語は実在の人物団体宗教作者の趣味思考等とは一切関係ありません。完璧なフィクション作品です。


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