始めたばっかでUAが200越えててなんかすごいモチベです。読んでいただいてありがとうございます。
帰り道
ケーキ屋からの帰り道、そのまま各々の家へ帰る高三組と別れて四人で寮への帰途につく。日は長くなってきたとはいえ、もう空は暗くなり始めている。街灯も少しずつ点灯し始めるくらいで、昼間暖かくなるからと思って比較的薄着にしたことが裏目にでてかなり寒い。
「いや~あずにゃんたちと話せて良かったよ~」
確かにな。梓と話すのは二ヶ月ぶりくらいか。受験のときはみんなメールだけにしてたし。あの三人ともうちのN女に進学とは……またみんなでできると思うと嬉しいな。
そういえば、家には……帰らなくていいや。たいした用事があるわけでもないし。
「唯は家に一回帰らなくていいのか? せっかく寮からこっちに来たんだから顔くらい出しといても良いと思うぞ」
「んー。お正月にいったしな~。それにお正月にいったら私の部屋、物置になってたよ……」
「あーわかるぞ唯。私の部屋も服の入った箱でいっぱいだったからなあ。母さんに聞いたら、『だって律、四年間は帰ってこないでしょ?』だってさ。冷たいよなあ」
「それにしても、梓ちゃん、私たちが最後に会ったときからなんか大人になってたわね~」
「年寄りみたいだなムギ……」
「失礼なっ。でも、私たちよりも準備の手際が良くてなんか感動しちゃった」
「親目線かよ……」
「今回の卒業祝、どうしよっか。私たちも大学生になってある程度余裕もできたことだし、何かしら梓が金銭的に買いにくい物が良いと思うけど……」
曲……にしてもいいけど前回は曲だったからな。今回も曲、というだけでは芸がないだろう。うーん……。
「あっ、ギターストラップはどう? みんなでお揃いの」
「えー、それじゃ私とかムギ、使い道ないじゃん」
「それなら私たちの分は同じデザインで別のものを作ってもらいましょうよ」
「別のものっていったってなあ……」
「キーホルダーとかが良いと思うわ」
私、この前ギターストラップ新調したばっかりだしなあ。そういえば唯もじゃなかったっけ。年明けにギターストラップ新しくするみたいなことを言っていた気がする。
「私もストラップがいいかな、このまえギターストラップ新しくしたばっかりだし。唯はどう?」
「わたしもキーホルダーがいい。ギターストラップ、この前ちょっと奮発してギー太に合うかっこ良くてかわいいのを買ったんだよねえ」
どう言うのだよ……。
「卒業組はみんな、ギターかベースだから、ストラップで問題ないな。デザインとかも早めに決めないと」
「いつ渡しましょうか。卒業式でも良いと思うけど、今からだと日数的に厳しいと思うわ」
「卒業式は別のことをしよう。渡すのは……そうだな……ニューヨークでのライブの前夜とかが良いんじゃないか?」
「良いと思う! あずにゃんも憂も純ちゃんも、絶対に喜ぶよ~」
「そしたら私の方で良い感じのデザインを見繕っておくよ。いくつか候補を出すから、みんなで決めよう」
「さんせ~い」「はいよ!」「良いと思う!」
──────
「今日は真面目な話があります!」
突然の唯の宣言に三人ともびくっとする。
「唯……突然大きな声を出すもんじゃない……」
おもわず言ってしまう。まあこっちもびっくりしたしドローってところだ。
「ごめんごめんって~えへへ。そうじゃなくって、私、憂が卒業するから、何かしてあげたいんだよ! ずっと憂に頼ってきたから、なにかしらしてあげたいんだよ!」
「そういうことか。なら……なら……これといって何も思い浮かばないな。あの子、完璧を全身で体現したような子だからなにをどうすれば良いのやら……」
「そうなんだよ澪ちゃん! 憂は、わたしよりもずっとすごいんだよ!」
「それでいいのかよお姉ちゃん……」
「りっちゃんよりもすごいよ!」
「やかましいわい!」
「料理作ってあげるなんてどうだ?」
「憂の仕事が増えるだけだよ……」
「じゃあ、なにかあげるとかは?」
「ギターストラップあげるのに被っちゃうし……」
「確かに……」
でもそうすると唯ができることって……そうだ。
「唯ちゃんがアコースティックでU&Iを憂ちゃんに独唱するのはどうかしら?」
「先に言われた……。でもアコースティックギターなんてどこにあるんだ? ギー太であの音が出るとは思えないし……」
「それならうちのギターを貸してあげるわ。ねっ? 唯ちゃんどう?」
「良い……すっごくいいよそれ! でも、ギター、借りちゃって大丈夫なの?」
「大丈夫よ、家の父が昔使ってたやつで今は倉庫にしまってあるから」
「うへ~。それたぶんすっごく高いやつだぞ唯。そもそもギー太じゃないギター、弾けるのかよ」
「練習すれば! まだ時間はあるし~」
「一週間くらいしかないけどな」
「がんばる! 憂のためだもん!」
「じゃあ私と唯ちゃんでU&Iのアコースティックバージョンを作るところから始めなきゃね。基本的にはメロディに沿って作れば良いからそんなに難しくはならないわ」
「ありがとうムギちゃん~」
「明後日までにはなんとか作り終えましょうね」
──────
話も一段落し、沈黙が訪れる。普段話してる時間も好きだけどこうして静かな時間をみんなで共有するのも実は好きだったりする。ぜったい律にからかわれるから言わないけど。
すると、風がびゅうっと吹いて思わず私は首をすくめる。寒い。朝のぽわぽわマインドの私を恨めしくも思いながら私は一つの事に気づく。
「さわちゃん、どうしよう」
「あー……」「困ったな……」「誘っても良いのだけれど……」
「二年間顧問やってもらってるからな。今回の卒業旅行に来てもらいたいよな」
「でも誘おうよ! さわちゃんだって喜ぶよ!」
「じゃあ明日にでも高校に行ってみるか」
さわ子先生、いるといいけど。卒業式前だから忙しかったりするのかな。
そんなこんなで結構歩いていると私たちの寮についた。
「じゃあ明日、また詳しいことを決めるのと、放課後の時間にさわちゃんに会いに行こう。じゃ、また明日」
「じゃあおやすみー」「おやすみなさい」「また明日~」
そういい私は自室に入った。楽しみだなあ、卒業旅行とライブ。
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