「おはようございます」
「うぃー」
今日は合わせ練習第一回です。まずはみんなで一回駅前で集合です。先輩たち……まあ主に唯先輩と律先輩なんだけど……が時間通りくるか心配だったけど澪先輩がちゃんと届けてくれたみたい。律先輩は柱によっかかって寝てるけど……。
「律先輩どうしたんですか?」
「梓ぁ~。眠い~」
「りっちゃん、単位もらわなくちゃ進級できない! って言って昨日はほぼ徹夜でレポート書いてたんだよ~」
「それは……お疲れさまでした……」
「ねぎらえ~」
「それはそうと梓、7人で演奏する曲、ベースが二人とギターが三人いて、弾くパートがそれぞれ被っちゃうから少しずつ変えといた。見てくれ」
そういって澪先輩は私にスコアを手渡す。ペラペラとめくったけど私たち三人がそれぞれメインを交代で担当するような感じだ。ギターが三人もいるってよく考えてみればすごいことなんじゃ……。
「ごっめーん! おくれたー!」
そう言い最後にやって来たのは純だった。まあみんなが集合時間よりもはやく来たってだけで実際はまだ集合時間の5分前なんだけどね。
「私もいま来たようなものだから大丈夫だよ。それじゃ、どこかで軽くランチをとってからスタジオ入りましょうか」
「いっくぞ~」
「どこがいいかしら」
「このまえ良い感じのお店みつけたんでそのお店にしませんか?」
「さすが私の妹だよ憂~。えらいぞ~」
「お姉ちゃんの好きなものもたくさんあったよ!」
まだ、この子は姉離れできていなさそうね……。
憂おすすめの店にやってきた……けどすっごいおしゃれだ……。なんか普通にしてても入るのにちょっぴり気後れしちゃうくらいには。それなのにあの人たちと来たら……。
「唯ー! 昼だー! なんかすっごいおしゃれなとこだぞ!」
「ほんとだよりっちゃん! パフェあるかな!」
「あるある絶対ある! いくぞー!」
「おうよ! だよりっちゃん!」
「騒ぐんじゃない……お前たちよりも高三のほうが静かじゃないか……」
どうしてこんなに元気なんでしょうか……。
──────
一通り食事も終わって話を始める。
「憂~、純~。澪先輩が新しくスコア、二曲とも新しくしてくれたからそれ見て~」
「は~い」「ほいっ、と」
「で、あとはホテルの部屋決めなんだけど……。くじで決めない?」
「澪先輩、唯先輩が悪い顔してるのできちんと見張っておいてくださいね」
「やだなあ、あずにゃん。別にくじに細工をしようとだなんて全く全然神に誓って思ってないよ~」
安い神様だな~。
「それじゃ、みんな、私に好きな数字を送ってくれ。それを小さい順にならべて二人、二人、三人で区切るから。相談はなしだからな~。私はみんなの数字の平均にするよ」
みんな携帯を開いて他の人に見せないように数字だけ書いたメールを送る。ついでに私は「11」だ。誕生日だし。
「よ~し、全員集まったな~。えっと、唯が10、梓が11、ムギが78で律が……9999……子供かっ!」
「だって~大きいほうが良いと思ったし~」
「子供だった……。で、純が7で憂が10……。姉妹だな。うーん……そしたらじゃんけんしてくれ。買ったほうが10.1に変えるかんじで」
そう言い二人はじゃんけんをした。勝ったのは……唯先輩だった。もしかして憂、唯先輩を私と同じ部屋にするための策略……? まさか……。
「部屋分けは1、律ムギ私 2、梓唯 3、純憂 だな」
「なんか普通な感じにまとまっちゃいましたね~」
「まあ寝るときとかだけで基本的には部屋を繋げるドア、開けとくから」
「三部屋もつなげられるんですか?」
「できるらしい。珍しいことだけど」
「そろそろ時間ですね。行きましょうか、スタジオ」
──────
スタジオについた。前回(高二の文化祭で部室が使えなかったとき)よりもずっと広いところでちょっと驚く。みんなで割り勘してスタジオの代金を払った後、(先輩たちが出すって言ったけどなんとか高三組で説得してきちんと1/7ずつ出した)防音
室内にはいるとなんか少し緊張した気分になる。
「そしたら最初の三十分はそれぞれ個人でスコアの確認して、その後合わせよう」
「了解でーす」
そういいみんな各々の個人練習に入る。唯先輩をみると相変わらずチューナーも使わずに完璧に音があってるしなんなら憂もチューナー使ってない。なんだあの姉妹。
新しくもらったスコアだけど私たちは変わったところはどこかで弾いたようなフレーズになっていたようで思ったよりも簡単に弾けることに気づく。澪先輩の優しさに感謝しながら練習しているとあっという間に30分たってしまった。
「よーし30分たったし合わせるぞ~」
「澪ちゃん……ちょっとだけ休憩をください……。死んでしまいます」
「だーめーだ。今日は休憩なし! 終わったら十分に遊べるから」
「唯ちゃんのために今日はケーキも持ってきたから」
「わたしがんばるよ!」
相変わらずだった……。
「じゃあ歌は基本的に私と唯、それに梓と憂のダブルボーカルをローテーションしていく感じで、きょうはとりあえず最初の半分は私と唯、曲の後の半分を梓と憂でやってみよう」
「じゃあふわふわ時間からですかね」
────-
「律先輩……ドラム走りすぎです……もうちょっと落ち着いてください」
「いやー久しぶりでさ~。最近課題のせいであんましドラム叩けてなかったし」
「自業自得じゃないですか……」
──────
「唯ちゃん、そこの歌詞違うわよ~」
「ごめんごめーん」
──────
「憂~うまくなったね~」
「本当に上手だな。唯よりも上手いんじゃないか?」
「そんなことは……そんなことはないよね澪ちゃん!!」
「あ、あはは……たぶんないと思うよ。(口が避けても本当のことは言えない)」
「梓は相変わらずうまいし、純のベースも安定してるしなんとかなりそうだな!」
──────
「あっそろそろ時間だ」
「あと10分てとこか」
「最後に二曲合わせてから帰りましょうか」
「よーしきばっていこー!」
──────
「ありがとうございましたー」
私たちはそういってスタジオを出る。このあとどうしよう……?
「先輩たち、このあとどうしますか?」
「うーん、ケーキもせっかく持ってきたしどこかて食べたいところだけど……」
「梓ちゃん、部室が良いんじゃないかな。先輩たちも卒業生のOGだから問題ないと思うんだけど」
「じゃあ学校に行きましょうか」
先輩たちにとっては久しぶりの学校だ。私たちは昨日も練習で来てるからそこまで新鮮という訳ではないけど。まずは職員室に鍵を取りに行く。
「みんな先に部室行っててください。私、職員室に行って鍵をもらってくるので」
職員室で鍵をもらい、さわ子先生に先輩たちが来たことを告げるととても嬉しそうな顔で「あとから行くわ~帰らないで待っててね~」と言っていた。たぶんムギ先輩のケーキが狙いだろうけど。
「鍵持ってきました~。待たせちゃったみたいですね」
「いや、私たちも少し回り道してここまで来たから大しては待ってないよ」
「それならよかった」
そう言って、部室のドアを開ける。
「わあー懐かしいー! ドラム……は大学に持ってっちゃったからないや……」
「こっちにあったらここで練習できたんだけどね……」
「まだムギちゃんのティーセットおいてあるんだ!」
「さすがにムギ先輩が持ってきてたような葉っぱはないですけど、それなりのものなら常備してあるので今淹れますね」
「それなら私がやるわ~」
「いや、悪いですよ」
「なんか、ここに来るとそうしなきゃいけない気がして~」
「じゃあお願いします」
そういっているとさわ子先生が来た。
「みんな久しぶり~。私のケーキは~?」
「はいはい、ここにありますよ~」
「唯ちゃん~? きちんとギターのメンテナンスしてる~?」
「ばっちりだよさわちゃん! 二ヶ月前くらいに行ったばっかり!」
…………
一年たっても、放課後のこの部屋の雰囲気は全く変わっていなかった。なんか安心。
今回も読んでいただき、ありがとうございます。
なんか終わりっぽい文末ですがまだまだ続くので応援よろしくお願いします。
今回も評価、お気に入りや感想などいただけると嬉しいです。
誤字指摘してくださった方、ありがとうございます。