いろいろ私が都合の良いように設定を付けたりしておりますが気にせず楽しんで頂ければ幸いです。
プレミアムな皆さん。
こんにちは、プレミアムな武蔵小杉よ。
この川神学院の1年ではトップであるS組に所属し、さらにそのS組で1番に君臨しているのがこの私なのだ。
生徒だけではなく、先生も私を特別な存在として見てくれていた。
だけどもつい最近、その座が崩れそうになっているの。その原因が転入してきた白浜兼一という男。
事情はわからないけど転入して数日。彼の名前は1年の間では人気が出始めていたりする。
その理由は年上で頼り甲斐がある、困っていると声をかけてくれる優しさ、らしい。
歳は仕方ないとして、もう一つの理由だけど聞いた話では荷物持ちで困ったり、人手が足りない時に手伝ってくれたりと小さな行いを何度も行なっているらしい。
その実績から周りの信頼を得ているみたい。小さな事からコツコツと、とはよく言ったものだわ。
そんな事で私が積み上げたトップの座を開け渡してなるものですか!
「け、決闘ですか?」
「そうです。貴方は最近転入して来たから決闘について教えて差し上げようと思いまして」
いきなり決闘を申し込んできた武蔵小杉さん。親切で言ってそうだけど違うと思う。
だって武蔵さんの目がギラギラとギラついていて少し怖い。
「あの、僕が何か気に障ることでも?」
「えっ!い、いえいえ!な、何を言い出すのですか?!」
とても分かりやすい反応だなぁ。
どうやら僕のなにかしらの行動が武蔵さんの何かを刺激してしまったのかもしれない。
「あいつは確か片っ端から決闘を申し込んでくる武蔵小杉じゃないか?」
「ああ。自分より人気がある奴には決闘を申し込んで自分が上だと証明させなければ気が済まないらしい」
「転入して来て知名度が上がってきた白浜さんを次のターゲットにしたのか?」
クラスメイトの声を聞く限り、僕が決闘のターゲットにされたと言うのはよくわかった。
「まあまあ、とりあえず話し合いましょう。争いは何も生み出さないよ」
決闘はどうにかして避けたい。目立った行動は百代さんに見られる可能性があるからね
「流石、兼一さんね。大人な対応だわ」
「年下が、あんな生意気な事言ってんのに怒りもしないしな」
「クールで素敵ね!」
外野の人たちの声が聞こえるけど、これって武蔵さんを挑発してしまうんじゃ・・・
「ぐぬぬっ!」
や、やっぱり!?
「で、でもあなたは決闘未経験なのでしょう?わけも分からず決闘することになったら困るでしょう?」
「いや、一通りは生徒手帳に書いてあるから大丈夫ではあるのだけれど」
「でもいざ本番となると緊張して動けなくなるわ。だから、一度でも経験をしといた方が良いのではなくて?」
いや、そもそも僕には決闘をするつもりはないのだけれども・・・・・・。いや、待てよ?
「わかりました。その決闘の申し出お受け致しましょう。」
「ほ、本当ですか!?」
とても嬉しそうな表情を見せる武蔵さん。どんだけ決闘がしたかったのやら
「で、では決闘の合意としてワッペンをぶつけ合いましょう」
「うん、わかった」
僕はワッペンを取り出して机に置くと武蔵さんは自分のワッペンを取り出し大きく振りかぶった。
「プレミアムに決闘よ!」
そして、僕のワッペンに武蔵さんのワッペンが重なりあった。この瞬間、僕の初の決闘が決まった。
休み時間。
大勢の人が校庭に集まっていた。その中心にいるのは兼一と小杉の2人であった。
「では、これより1年S組武蔵小杉対1年C組白浜兼一の決闘を行う!審判は2年F組担任の小島梅子が行う!両方、決闘の内容は決まってないようだがどうする?」
「僕は何でも構いませんけど?」
兼一は小杉に目を向けて決闘内容をどうするか訪ねる。それを理解した小杉は笑みを浮かべる。
「決闘内容は・・・プレ〜ミアムな拳と拳のぶつけ合い。どちらかが気絶するか参ったと言うまで戦い続けるのよ!」
「なっ!?」
兼一の驚く顔にさらに笑みがよくなる小杉
(ふっふっふ。年上のあなたが年下の私に不様に負ける姿を見せれば評判はガタ落ち、私がプレミアムである事が証明されるわ!)
小杉のそんな思惑をよそに兼一は悩んでいた。
(なんてこった。まさか武蔵さんがそんな決闘を挑んでくるなんて・・・)
「出たぞ。武蔵小杉の決闘は真剣な殴り合い。今のところほぼ負けなしだそうだぞ」
「ああ。しかも、自分のひと回り大きい男相手でも余裕で倒しちまうみたいだぜ?」
(確かに一般人より少し出来るみたいだけど・・・)
兼一の敵ではない。ましてや、百代や由紀江などのクラスとはほど遠いレベルである。
(わざと負けるつもりだったのに内容がそれをしようとするなんて・・・)
そう。兼一が決闘を受けたのはわざと負けてさっさと終わらせてしまおうという考えであった。決闘で一時は注目を浴びるが最終的には勝者がその注目を独り占めする。
兼一はわざと負けて小杉を目立たせようと考えたのだ。
しかし、兼一は達人と呼ばれるほどの武術家である。一昔前の兼一であれば武術による決闘でもわざと負けるなど普通に行えたであろう。
武術家となった兼一はわざと負けるという行いをしたくはない。武術家の誇りもあるが、どんな形であろうと負けたことが梁山泊の師匠たちに知られればお仕置きは避けられないだろう。
「あ、あの僕はそういう荒っぽいのは・・・もうちょっと穏便な決闘をしたいのですが」
「白浜はそう言ってるがどうする?」
「あら、逃げるんですか?それが大人のすることかしら?」
「・・・・・・」
小杉の挑発に兼一は微動だにしない。逃げることが嫌いであった兼一だがこの程度では怒ったりはしない。どうしたらこの状況を打破出来るかを考えていた。
「そう言えばあなたはよく黛由紀江と一緒にいるようね」
「?」
考え込んでいた兼一は小杉の気になる一言に反応する。
「彼女はあなたが来るまで友達がいなくていつも1人で、変な携帯ストラップに声をかける変人だったそうよ?」
「・・・・・・」
兼一は自分が来るまでの由紀江の話は全く知らない。もちろん、由紀江がクラスで変人扱いされていたのは今初めて知った。
「あなたはそんな変人と仲良くなることで自分の株を上げようとしたのではなくて?」
「なんだって?」
「変人の黛由紀江でも仲良くなれるその懐の深さ。周りのみんなもかなり評価しているわ。そう言えば、決闘では勝者には敗者に一つ言うことを聞かせることも出来るわ。もちろん、両者が納得した上での事だけど」
「・・・・・・」
「私が勝ったら・・・そうですね。黛由紀江の友達なんて辞めてプレミアムな私の手下になりなさい。そうすれば私には劣るけど人気者になれるわよ?」
「・・・僕はそんなつもりでまゆっちの友達になっているんじゃない」
静かにそう答える兼一。そんな兼一の様子に小杉は戸惑い言葉を発せないでいた。
「わかりました、決闘内容と勝利した時の報酬はありで構いません。ですが、決闘内容で条件があります。」
「じょ、条件?なんですかそれは?」
「制限時間まで僕は一切手を出さないし、避けたりしません。武蔵さんは自由に攻撃して僕を気絶させるか参ったと言わせれば君の勝ち、耐え切れば僕の勝ちだ」
兼一の条件に小杉だけではなく、審判の梅子や周りのギャラリーが驚きの表情を見せていた。
「あなた舐めてますの?圧倒的に私が有利な条件で勝てるとでも?それとも負けるのがお好みなのかしら?」
「僕は女性は殴らない主義なんだ。そんな僕が勝つにはこの条件が1番可能性が高い」
「ふ、ふーん。そうやってまた良い人アピールですか?」
「さあ、始めよう。時間がなくなっちゃうからね」
「っ・・・。小島先生お願いします!」
これ以上の挑発は無意味と判断した小杉は梅子に開始宣言を要求した。
「では、時間制限は休み時間が終わるまで。急所攻撃は禁ずる。武蔵は白浜を気絶または降伏させること、白浜は時間制限まで耐え切ることが勝利条件とする。決闘・・・開始!!」
梅子の開始宣言からすぐに動いたのは小杉であった。
「喰らいなさい!」
小杉の右ストレートが兼一の顔面に繰り出される。
「・・・・・・」
「なっ!?」
小杉の助走付きの右ストレートを顔面に喰らいながらも兼一は微動だにしない。
「なるほど。この頑丈さがあなたの自慢と言うわけね。でもそのやせ我慢はいつまで続くかしら?」
「・・・・・・」
小杉の容赦ない連撃が兼一を襲うのであった。
「兼一さん・・・」
兼一と小杉の決闘を見ようと集まったギャラリーの中に混じっている由紀江は兼一の様子がおかしいと感じ取っていた。
兼一がわざと負ける事は小杉から決闘を受けた後すぐに本人から聞いている。事情を知っている由紀江にとってもそれが最善と判断し賛成していたのだが、兼一の様子を見る限り負けようとするようには見えない。むしろ、絶対に勝つという気迫を感じられた。
「でも、兼一さんから気を全く感じられない。武蔵さんは見る限り実力はあります。私でも気を纏わないで無防備に喰らえばダメージはかなり受けてしまいます」
ただ攻撃を受ける兼一には気を纏う様子が見られない。由紀江の見たてではそこらにいる一般人レベル。例ではモロぐらいの防御力まで下がっている。
一般人で体を鍛えた人でも無意識に気を使用して防御力を上げている。由紀江レベルにでもなればその気を巧みに扱うことでき、気を纏うことで防御力の強化や身体能力の底上げを行うことも出来る。
それはもちろん逆も可能であった。
「つまり兼一さんは気による強化は一切なしで武蔵さんの攻撃を純粋な筋力で出来上がった身体のみで受けていることになります」
『それってヤバくね?最悪大怪我の可能性もあるぜこれは?』
「ええ。モモ先輩にバレないようにするためとはいえ危険です。でも・・・」
由紀江はこの決闘を止めることは出来ない。なぜならば、兼一の負けられない理由を由紀江が知っているからである。
兼一が負けたら由紀江の友達ではなくなる。そんな無茶苦茶な条件を飲んだ兼一には勝てる自信があるのだろう。由紀江はそれに関しては絶対的な信頼がある。
しかし、その絶対的な信頼がありながらも安心して決闘を見ることは出来なかった。
「はあっ!」
「ぐっ!」
小杉は身体への攻撃は無駄であると判断したのか頭部への集中攻撃を仕掛けていた。ジャブやフック、ストレートと様々な拳を浴びせ、男性にしては兼一は小柄であるため上段蹴りも通ってしまう。
兼一は両腕を前にして顔を隠すように防御しているが、小杉はその両腕には隠しきれない側面から攻撃しているため意味はほぼなかった。
(恐らくあの防御の仕方も素人に見えるようにしているのだと思います。ですが、あの顔についた痣や傷は本物・・・)
自分のせいで兼一が酷い目にあっている。そう考えると由紀江の心が酷く痛む。我慢などしないで負けてしまえば兼一は楽になれる。しかし、その瞬間兼一は由紀江の側から居なくなってしまう。
由紀江は何も出来ない自分が嫌になってくる。
そう感じていた時、戦況が動いた。
「こ、このぉ〜!」
「!」
小杉は拳での攻撃を諦めたのか武器に切り替えた。その武器とは刀でも槍でもなかった。鈍器、ハンマーを持ち上げたのだ。
「流石のあなたでもこれを喰らえばひとたまりもないでしょう?例えその両腕で防いだとしても骨が粉々でしょうね?」
「そ、そこまでする普通・・・」
兼一も小杉のでた行動に苦笑せざるおえなかった。
「あなたが降参すればこれは振り下ろさないわよ。どうかしら?」
「残念だけどその選択肢はないよ」
「そうですか。では喰らいなさい!」
小杉がハンマーを振り下ろす。兼一は避ける動作は見られない。当たる直前、誰もが兼一の大怪我を覚悟した。
バキッという鈍い音が響きわたる。その悲惨な光景になるだろうと目を瞑っていたギャラリーが恐る恐る目を開けるとそこには驚愕な光景だった。
「そんなばかな・・・」
小杉は自分の持っているものを見て震え出した。持っているものはハンマーだった筈なのだが先端の鈍器部分が消えてしまっていた。
ギャラリーはどうなっているのか理解出来なかった。しかし、ハンマーを振り下ろした小杉と由紀江には見えていた。
小杉のハンマーは確かに兼一の両腕に直撃した。しかし、兼一は当たった瞬間、筋肉を膨張させることで鉄のように硬くした兼一の腕は鉄製のハンマーを受け止めることができたが、木製の柄の部分が耐え切れず折れてしまったのだ。
「い、いてててっ。流石に少し痛い」
「そ、そんな反応で済ましていい一撃じゃないわ!確実に骨が折れている筈の一撃だったのよ!それを・・・」
「ぬっ!武蔵!上だ!?」
「えっ?」
「えっ?」
私は急な先生の声にすぐに上を向いた。
そこにはハンマーの先端部分があった。
ああ・・・。私の手にはハンマーの柄の部分があるのだから先端部分がどこかにあるのは当たり前よね?
でも、どうして私の頭上にあるのかしら?
まさかボールみたいに鉄の鈍器が跳ね返ったでも?物理の法則を完全無視ね。
というかやけに冷静ね私。しかも、鈍器は確かにこちらに向かって来ているけどスローモーションだし。
これが死の直前に起きる走馬灯ってやつね。私こんなところで死んじゃうの?
私は先ず、1年のトップの座について最後には川神学園のトップを目指してたのに・・・
今まで卑怯な手段を使ってきた罰が当たったのかしら
ゴスッ
私の目の前が真っ暗になった。鈍器が私にぶつかったのかしら?
でも痛みはないし、何故か身体中暖かい何かに包まれているような・・・
「武蔵さん!」
「えっ?」
どうやら私は目を瞑っていたようだ。ゆっくりと目を開けると光が溢れ出す。
「武蔵さん、大丈夫かい!?」
そこには頭から血を出した決闘の相手である白浜兼一さんの顔があった。
「武蔵さん?」
「・・・・・・」
兼一の問いかけに全く返事がない小杉
意識はしっかりしてるが心ここに在らずなようだ。
「あの・・・」
キーンコーンカーンコーン!
もう一度兼一が小杉に話しかけようとしたらチャイムが鳴り響いた。
「むっ?次の授業の予鈴がなったな。これにて決闘終了!勝者は勝利条件である時間制限まで耐え切った1年C組白浜兼一!」
「「「うおぉぉぉぉっ!」」」
高らかに挙げられた勝者宣言に周りのギャラリーから雄叫びにも似た歓声が響き渡った。
「武蔵さん!」
「はっ!?・・・私が負け?プレミアムな私が負け?そんな・・・」
ずっと小杉に話しかけていた兼一。小杉が自分の負けを認識すると頭を抱えながらふらふらと立ち去ってしまう。
兼一は話しかけようと思ったが小杉の様子を見てしばらくはそっとしておくことにした。
「兼一さん!」
「まゆっち?」
「お怪我の方は大丈夫ですか!?」
必死の形相に何事かと思ったが由紀江の言葉に思い出したかのように自分の身体をチェックした。
「うん。見た目以上に酷い怪我じゃ・・・」
「白浜。頭に鈍器が直撃して血が出てるぞ。大丈夫か?」
梅子が近づいて来て自分の立場を思い出す。考えてみればあの直撃は一般人だったら重傷間違いないだろう。
「いてててっ。そう言えば身体の節々が痛いや」
「せ、先生!私が兼一さんを保健室に連れて行きます!」
「うむ、黛頼んだぞ。さあ、貴様らもさっさと教室に戻れ!」
梅子の号令により周りのギャラリーが解散し、兼一は由紀江と一緒に保健室へと向かうのであった。
初決闘は兼一の勝利!
今回は区切らずに1話終了で頑張ってみました。
しかも、小杉フラグを立てて見たり・・・
そのフラグをいつ回収しようかな・・・
次はどうしようか考え中と見せかけてドイツな人達が登場です。
出来る限り早く投稿するように頑張ります。
ついでに感想・評価をお待ちしております。
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宜しくお願い致します。