真剣で最強の弟子に恋しなさい!   作:TE
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新年明けましておめでとうございます!(今さら)

なんと一年ぶりの投稿です。

もう忘れられていると思いますが、思いきって投稿しました。

楽しんで頂けたら幸いです。

宜しくお願い致します!


BATTLE.24『夢を叶えたら?』

私の名前は川神一子。

私は少し、ほんの少しだけ後悔していた。

 

私は我流ブルーという師匠の元で修行を行っているのだけれど、それが想像を絶していた。

 

「あの、師匠?」

 

「なんだい?」

 

「このハムスターが遊ぶようなものでいったい何を?」

 

師匠の修行はもうすぐ一週間になるわ。その内容は基本的なことからもう常軌を逸していた。

筋トレは命懸け。

腕立てをする際は『しがみつき地蔵』と呼ばれるものすっごい重いやつをつけながら行うの。

腹筋背筋は奇人、変人が多く通る橋、通称『変態橋』に吊るされて、顔が川に着き溺れる前に出なければならない。これを限界まで繰り返す。勿論、これも地蔵付よ。

普通にこれ拷問に分類するんじゃないかしら?

師匠に聞いてみたらこれは本来、川ではなく火の上で行うらしいの。師匠は綺麗な髪を燃やす訳にはいかないからと工夫してみたと言ってたわ。髪を褒めてくれたのは嬉しいんだけど素直に喜べないわ。

他に色々な筋トレをしたけど、思い出したくないからここまで。何度叫んだかわからないとだけ言っておくわ。

 

他に組手も必ずボロボロになるまで行われるの。でも一回一回私のいけない所を指摘してくれる。

長年、川神院でルー師範代に教わってきたけどそこまで体を痛めつけられる事はしなかったわ。でも、それじゃあダメなんじゃないかと思ってきていた。

我流ブルーは女性は殴らない主義だと言ってたけど修行の時は別なの。どんな主義であろうと弟子に全てを叩き込むためにはそんな主義は二の次だって。

私は嬉しかった。ルー師範代も厳しかったけど心の奥底まで厳しくはしてくれなかった。私はそれが心苦しかった。

だから遠慮なく厳しく修行をつけてくれる我流ブルーにはとても感謝している。

 

・・・でも、今目の前にあるこの謎のマシンを見て私の決心は揺らぎそうだわ。

 

「これは私の師匠が作った修行マッシーン『発電鼠す~ぱ~』だ」

 

「は、『発電鼠す~ぱ~』?」

 

とてもユニークな名前だと思うのに全然笑えないわ。

 

「これは私もよく使ってたよ。懐かしい・・・。最後に使ったのは川神に来る前なんだけどね・・・」

 

最後に言った言葉は聞こえなかったけどそれほど思い入れのある修行マッシーンみたいね。不安しかないけど、夢のために頑張らなきゃ!

 

「それじゃあさっそく中に入って」

 

「はい!」

 

私は中に入ると蓋が閉められ、師匠にベルトを着けるように促された。

 

「それじゃあ走ってみようか?」

 

「は、はい!」

 

私は恐る恐る足を一歩ずつ進めた。私を閉じ込めている丸い形状のカゴはそれと同時に回りだして行く。

そのスピードは私が軽くジョギングで走る程度、思った以上に楽なもので拍子抜けだわ。

そう思っていると師匠は私の足元にあるこの機械の調節器をいじり出した。

 

すると、機械のスピードがどんどん上がっていく。私は負けじと走るスピードを上げていく。

 

「うんうん。長年、走り続けているおかげでなかなかの脚力だよ、一子ちゃん」

 

「あ、ありが、とう、ござい、ます!」

 

私がなんとか返事を返すと師匠はまた調節器をいじり少しだけスピードを上げたかと思うと悪魔の言葉を述べた。

 

「このスピードで1時間走り続けてね」

 

「・・・・・・」

 

私は返事を返せない。それほどのスピードで私は走っていたわ。このままじゃ1時間経つ前に力尽きてこの回転の餌食になってしまうわ。とても痛そう。でも痛い修行じゃなきゃ身に付かないわよね!

そう覚悟を決めたのだけど、この修行は痛いで済むようなそんな生易しいものではなかったの。

 

この後の本当の悪魔の言葉に私は戦慄した。

 

「その後ろの奴に当たらないように死ぬ気で走ってね」

 

「・・・え?」

 

私はその言葉に振り向く余裕がないはずなのに振り向いた振り向かざる負えなかった。

そこには、黄色い光。その光にはバチバチと音が鳴っている。間違いないわ。あれは電気!?

 

「『発電鼠す~ぱ~』は走る事で中にある発電機が電気を作り、その電気が一子ちゃんを襲うから気を付けてね」

 

そんな軽い感じで言わないで!?下手したら死んじゃうわよ、これ!?

 

「大丈夫!僕が何年も使ってるけど死んだことはないよ!」

 

それはあの電気を師匠が喰らったことがないからでしょ!?

 

「心肺停止になった事はあったけど、後遺症はないから安心して!」

 

喰らったことあった!!というかそれ安心出来ないわ!!??って、あれ?私、声を出す余裕がない筈なのに師匠と会話してない?

 

「してないよ~。後、冗談だよ一子ちゃん。今日は初めてだから1時間じゃなく30分だ。頑張ってね」

 

ま、待って師匠!会話してるし、冗談にして欲しい所はそこじゃないの!?というか、30分どころかもう___

 

「「あっ」」

 

私と師匠の声が重なった。

私が足を踏み外して転んだのだ。その時の私は小さい頃お婆ちゃんと暮らしていた時を脳裏に浮かんでいた。それは初めての走馬灯。私が床に着くまでその走馬灯は続き、とても長く永遠に感じたわ。

でも、永遠なんてなかった。床に着いた瞬間、走馬灯は消え次の瞬間には

 

「うきゃああああああああああぁぁぁぁぁぁあああああああぁぁぁぁ!!!!????」

 

私は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ・・・はあ・・・」

 

「はあ・・・ふう・・・」

 

場所は川神院。

そこで向かい合う2人の女性。川神一子とその姉百代だった。

互いに満身創痍で息が乱れ、着ている道着はボロボロだった。

 

「やあああああああああっ!!」

 

「っ!?」

 

先に動いたのは一子だった。百代は動けないのか避けずに、前の手を交差させ防御に徹する。

 

「川神流奥義!真・大車輪!」

 

「ぐうっ!?う、うううわああああああっ!!??」

 

一子が我流ブルーとの修行で編み出した新必殺技を百代に繰り出す。

両腕で受け止めた百代だったが、一子の強烈な一撃に耐え切れず吹き飛ばされ、奥の壁へと激突した。

 

「はあ・・・はあ・・・」

 

一子はすぐに薙刀を構えて百代の攻撃に備えた。だが、いつまで経っても百代は戻って来ない。

審判を務めていた川神鉄心は激突したことで崩れて瓦礫に埋もれた百代を確認した。

 

「・・・・・・」

 

「勝負あり!!」

 

百代は気絶していた。それを確認した鉄心は声高々に宣言した。

 

「勝者川神一子!よって川神院総代は、川神一子とする!!」

 

「えっ・・・えっ!?」

 

「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」」」

 

一子が未だに百代に勝った真実を理解できておらず戸惑っている。しかし、川神院総代を決める決闘を観戦していた門下生や世界各国の武道家達、新しい川神院総代を世界に伝えようと集まった報道陣は声を荒げて大盛り上がりだった。

次期総代は確実と言われていた武神、川神百代が敗れたのだ。それも妹である武道の才能がなく師範代にもなれないと思われていた川神一子にだ。大騒ぎになるのも当然である。

 

「一子!ヨク頑張ったネ!」

 

「ルー師範代・・・」

 

「よくぞ、ここまで腕を上げたのう。さすがは儂の孫じゃ!」

 

「じいちゃん・・・」

 

「やったな、ワン子!」

 

「ワン子頑張ったね。えらいえらい」

 

「お前ならやってくれると俺様は信じてたぜ!」

 

「モモ先輩に勝っちゃうなんて、凄いよワン子!」

 

「すげえな、ワン子!我が風間ファミリーの自慢だぜ!」

 

「やるな、いn・・・いや、川神一子!私も負けていられないな!」

 

「素晴らしいです、一子さん!」

『もう世界最強を名乗っちまいなよー』

 

「みんな・・・」

 

祝福の言葉を送ってくれる大切な人達。一子は漸く自分が成し遂げたことを理解した。そしてまた大切な人が目の前に現れる。

 

「成長したな、ワン子」

 

「お、お姉さま!!」

 

「正直、負けるとは思っていなかった。でも私は負けた。お前は計り知れない信念と努力に私を打ち負かした。おめでとう、一子」

 

「お姉さま・・・。一つ聞いていいかしら?」

 

「なんだ?」

 

一子は少し怯えた表情と声を出しながら百代に訪ねた。

 

「私との戦いは楽しかった?」

 

「!!・・・ああ。とても楽しかった!」

 

その百代の言葉に偽りはなかった。それは妹である一子が一番理解できた。

 

「また、やろうなワン子!」

 

「う、うん!!」

 

再戦の約束をした一子今までこんな幸せなことは今まであっただろうかと思い返してしまう。

そんな至福の時を味わっていると背後から声が聞こえた。

 

「おめでとう、一子ちゃん」

 

「師匠!」

 

「よくここまで頑張ったね」

 

「師匠のおかげです!師匠の修行がなかったら私はここまで強くなれなかった。こんなに幸せだって思うことはなかった!」

 

「そうか・・・。ではこれからはどうするんだい?」

 

「え?」

 

師匠である我流ブルーの質問に一子は首をかしげる。

 

「君は夢を叶えた。総代になり、百代ちゃんとのライバルにもなれた。では次はどうする?」

 

そう。一子の夢は叶えることが出来た。すなわち今は夢と呼べるものはない。

 

「一子ちゃんはこの夢を叶えて満足し余生を生きるか。それとも新たな夢を見つけて走り続けるか。どうする?」

 

「・・・私は・・・私は___」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!?あ、あれ?」

 

一子は上体を起こして辺りを見渡した。そこはいつもの修行場所。

それを理解すると一子は険しい表情になって俯いた。

 

「夢を叶えたその後か・・・」

 

一子は寝ていた時に見ていた夢を鮮明に覚えていた。まだ実感が湧かないがもしあの夢通りになったら自分はどの道を歩むことになるのだろう。あの夢の自分は最後に何を言おうとしていたのだろう。今の一子には思いつくことはできなかった。

 

「やあ、一子ちゃん。起きたようだね」

 

「し、師匠!?」

 

いきなり話しかけられたことに驚く一子。気にせず我流ブルーは話を進めた。

 

「まずは済まない。僕の見立てではギリギリで出来る筈だったんだけど足を滑らせてしまうとは・・・」

 

頭を下げる我流ブルーこと兼一。一子は慌てる。

 

「そ、そんな気にしないで下さい!私が緊張してたせいもあるんで次は大丈夫ですよ!」

 

「・・・そうか。ありがとう、一子ちゃん。君は優しいね」

 

「え、えへへ」

 

頭を撫でて褒める兼一。一子は嬉恥ずかしいのか少し頬を赤く染めて照れた。

 

「では、その反省を生かして早速次の修行だ!」

 

「・・・えっ?」

 

一子の顔が強張った。電撃で気絶し、起きたばかりなのに修行再開するとはさすがの一子も予想外だった。

そんな一子をよそに兼一は一子の後ろへと歩き出す。

兼一を追うように一子は振り向いた。そしてその先に見た物を見て一子は絶望した。

 

さっきの『発電鼠す~ぱ~』が可愛く見えてしまうおぞましい修行マッシーンが置かれている。

 

「さあ、一子ちゃん。総代目指して頑張ろう!」

 

「・・・や、やってやろうじゃないの!!」

 

一子は気合を入れて立ち上がり足を踏み出した。今はあの夢を叶えるために走り続けようと決心を固める。『勇往邁進』。それが一子の生き様なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

「きゃああああああああああ!!??死ぬううううううううう!!??」

 

その決心がどこまで続くのか。

決心が折れるのが先か、死ぬのが先か。それは誰にも分らない。




どうでしたか?

久しぶりすぎておかしな所があったかも?

なんとか完結目指して頑張ります!

次はいつ投稿できるか分からないけど・・・






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