これは、数多のIFの中の一つであるジオウの物語。

それは常盤ソウゴではない、原典と異なる物語で、その物語の道なりを進んだ、時の王者が完結させた歴史の一つ。

その時の王者の名は、常磐創也。

彼の歩み到着した未来は…………破滅だった。


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あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

更新が遅くなりますけれども、待っていただけたらと思います。

※追記
本当なら12時投稿に設定したのに、なぜこうなった。


破滅した歴史

世界は次世代の令和に移る前に、終わった。

 

荒涼としたただ広いだけの大地。

 

建物の残骸や人骨の転がる殺伐とした世界の大地に像と玉座があった。

 

巨大な像はいずれも仮面をつけた雄々しき二十人の戦士たち。

 

今となっては世界より名を忘れられた英雄たちの像の中心にはベルトを巻きポーズをつけた少年。そして一つの玉座に座りたたずむ王がいた。

 

平坦な時代に像と玉座、王はそこにあり続ける。

 

玉座の肘掛けに頬杖をつき、50年間も孤独に戦い続けてきた王は、70歳目前の老人とは思えないほどの生気に満ちていた。

 

「……ふぅ」

 

像を見つめてはため息をつく王。

 

嘗て王には青い薔薇を意味するバンドの音楽を奏でる幼馴染らがいて、何でも直す大叔父がいた。いずれ、その店を引き継ぐという夢を持ったごく普通の高校生であった。

 

しかしある日彼の人生は激変する。彼は平成という激動の時代を駆け抜けた英雄たち――後に平成ライダーと呼ばれた一人となったのだ。

 

彼ら平成仮面ライダーやその仲間から、力と生き様の結晶たるライドウォッチを託され、闘い続けた……しかし待っていたのは破滅の結末だった。

 

平成に作られた地球上の多くのものは失われ、政府は崩壊し、街は廃墟に、風景は荒地へと変わった。

 

世界を最悪の形に成り果てさせた元凶——クォーツァー。

 

平成の人間と世界を吸い上げ、丸ごとリセットせんとした、歴史の管理者である。

 

しかし、その野望は打ち砕かれ、クォーツァーは既に壊滅している。

クォーツァーが計画を完遂し、世界をその手に収めかけたその瞬間―――常磐創也は逢魔の日に覚醒の時を迎え、オーマの力が解放された。

 

ジクウドライバーからオーマジオウドライバーに変貌し、『オーマジオウ』と成った創也の手により、クォーツァーの首領格は全滅。クォーツァーも潰走し、勝利を掴み取った。

 

しかし、人も建物も歴史も技術も、平成という時代に生まれた物は空の彼方へと消え去っていき、二度と戻ることはなかった。

 

その過程で彼を育ててくれた大叔父が死んだ。幼馴染もどうなったか生きているのかどうか分からない。

 

惨劇の末、オーマジオウに覚醒した彼が首領格の三名や部下たちを倒し全滅させた時にはもう遅い。平成という時代は完膚なきまでに焼却されたのだ。

 

しかも、災厄は終わる事無く続く。新たな悪が、かつて滅びたはずの悪が人々を襲う。

 

かつて彼に力を託した平成ライダーたちやその仲間たちも、その後に続くはずの新時代のライダーたちも最早いない。

 

それでも、彼は、オーマジオウは孤独になっても悪と戦い続ける。次の戦いに、地獄に挑むために。

 

最低で荒廃した世界を、絶望を少しでも希望にするために。そして忘れられた平成ライダーたち、誕生するはずだった仮面ライダーたちの分まで――彼は人類を守護し続ける。

 

「みんな……俺はまだ頑張れるからな、見守っててくれ」

 

何故なら彼は最後に残された平成仮面ライダーであり、最高最善の王なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オーマジオウは夢を見ていた。

 

『創也、おはよう。 今日□□□□□□□の練習を見てくれないかしら――勿論あなたが暇だったらでいいのだけれど……』

 

『創也がいると、□□□はすっごく嬉しそうだからお願いね♪』

 

『なっ……□□!』

 

懐かしい、懐かしい声だ。

 

嘗ての幼馴染の掛け合いだ……あの頃はまだ何も分かっていなかった。二人がいることの幸福を、平和だった幸福を。

 

長き年月が経ったことで、顔も名前も思い出せない……二人が所属していたバンドの名前も。

 

『……ねぇ、創也。 最近何をしているの? 怪我も増えているみたいだし、□□□□□□□の練習にも』

 

『あのさ、創也。 何かあったら言ってね? 私と□□□だけじゃ頼りにならないかもしれないけど……少しでも力になりたいから』

 

仮面ライダーになって、二人と喋る機会が失っていった。余所余所しくなった。

 

だけど二人を巻き込むわけにはいかないから何も語ることが出来なかった。

 

そして遂に――。

 

『創也! どうして何も言ってくれないのっ、教えてくれないのっ!?』

 

『……そっか、何も教えてくれないんだ――それじゃあもういいよ』

 

□□□の叫び、□□の寂しそうに決別する……いやさせてしまったのだ。

 

オーマジオウが何かを語ろうとしても紡ぐことは出来ない……当たり前だこれは夢なのだから。

 

二人の姿が遠のいていく――だが手を伸ばそうとしない、したところで無駄だと知っているからだ。

 

やがて二人の背中が完全に見えなくなった段階で……夢から覚めた。

 

「……」

 

いつも通りの光景を目に移しながら、オーマジオウは呟いた。

 

「……いったいどうすればよかったのだろうな、私は。お前たちに何を言えばよかったのだろうか」

 

自分が選択した結果がこれだと、夢に訴えられているようで少々心が痛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オーマジオウは虚を突かれて盗まれた、二つのウォッチ――電王とドライブのライドウォッチを握り締める青年と少女を見て、久々に呻いた。

 

奪おうとするならば情け容赦なくせん滅するのだが、相手が違う。この二人はオーマジオウが助け育ててきた子供であり友人のような存在だ。

 

二人には、ライドウォッチは嘗て偉大な英雄たちから託され受け継がれたものであることも。玩具のように貸し借りするものでは決してない。

 

それを知っている筈なのに、教えたはずなのに、なぜこんなことを仕出かしたのだろうか。

 

「俺たちは、過去のあんたを救いに行く! そして、この世界を、少しでも良くするために――!」

 

「歴史を変えることは、時間を、そして時空を変貌させること。それは人が行ってはいけない所業であり、お前たちの存在も消すということになる……それを私が見逃すと思うか」

 

「……っごめんなさい、それでも私たちは、貴方の意志に、言葉に、初めて背く! だけど、必ず過去を変えて見せるからっ!」

 

そう叫んで逃げだした二人の紡いだ言葉が、時間を制止させようとしたオーマジオウの動きを止めた。

 

世界を良くするのだと。自分を助けるのだと。そのためなら、自分が消えても構わないのだと。

 

二人の姿が真っ直ぐで眩しく見えたその背中を、オーマジオウは消えゆくまでただ見守った。

 

「…………我が王。お止めにならないのですか?」

 

「ウォズか……。ふっ、見逃した方がお前にとって都合がいいのではないか?」

 

背後に唐突に現われた部下のウォズに、驚くことなく笑いながらそう紡げるオーマジオウ。

 

それに対して苦笑して答えるのはウォズ。

 

「ご冗談を。私にとっての王は貴方のみです……そしてあの二人は如何にするのですか?」

 

二人を追いかけて捕らえろ、と命令をするのが妥当だ。そして、今まで通りこの時代で暮らすのが正解の筈だ。

 

だがあの二人の背中を、意思を、言葉を思い出すとそれは無粋なのではと感じた。

 

しかし、オーマジオウはその命令を出そうと思わず、代わりに他の命令を下した。

 

「ウォズよ、お前も過去に行くがいい」

 

「……よろしいのですか? 過去改変は本来ならば重罪、下手をすれば時空が大きく乱れてしまいますが――」

 

「構わん。 若き日の私とあの二人を頼んだ」

 

大事なものを失くし続けた自分が行くよりも、この三人が過去に行くことに意味は確実にある。

 

ウォズ、青年と少女――ゲイツとツクヨミが、若き日の自分と出会うことは、良い未来につながる。オーマジオウの歩んできた歴史が変わり始めるかもしれない。

 

理論的な理由はない。ただ感覚的に思ったのだ。

 

「若き日の私よ……私を超えられるのならば超えてみろ」

 

そして、自分の所為で最悪に荒廃した世界よりも最高最善な世界を創れるかどうか……高みの見物とさせてもらう。

 

二機のタイムマジーン――その内の一機は電王のライドウォッチのヘッドになっていた――が時間空間に飛んでいく姿を、オーマジオウは見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

過去は変わり始めていた。

 

ある日にオーマジオウは若い時の自分と相対した――これは過去に起こったことがない出来事だった。

 

過去の自分と時に戦い、時に語り、言葉を送っていた。

 

諦めを見せないひたむきに真っ直ぐ突き進む、若き頃の創也は眩しかった。

 

創也は一人の力ではなく、仲間と共に戦いに挑み困難に打ち勝っていく。

 

更には意気地になって結局最後まで語ることが出来なかった幼馴染たちの縁も繋ぎ止めたのだ――そして、まさか幼馴染の一人が、タイムジャッカーに唆されたとはいえアナザーライダーになり、バンドメンバーも巻き込むとは思いもしなかったが……。

 

それでも若き頃の創也は挫けることなく、タイムジャッカーとアナザーライダーに立ち向かい、その先に待ち受けるクォーツァーとも仲間と共に挑んで行く。

 

その姿は若くひたむきで眩しく、老いたオーマジオウは、自分を超える王になるのではないかと感じさせた。

 

だからこそ若き日の自分にその力の結晶たるオーマジオウライドウオッチを託した。

 

そして、バールクスを破り、新時代へとつなげた。紛れもなく若き日の彼が自分を上回る最高最善になった。

 

「若き日の私よ、ウォズよ、ゲイツよ、ツクヨミよ、良くやったな……」

 

だから自身の存在が消えゆく時も彼は満足した、平坦で壊滅した時代は消失され、不安定さはあるが未来の輝きが満ちた時代がやってくる。その結果に王は目を閉じ、静かに終わりを迎えた。

 

しかし、人々が忘れても世界は忘れない。半世紀をも只一人で世界を守り続けた、最高最善の王を。

 

孤独ながらも気高い生きざまは紛れもなく英雄だったと世界は刻んだ。

 

 

* * * * *

 

 

そして、世界は最高最善の王を召喚んだ――いやそうではない。

 

最高最善の王が寧ろ世界に来訪したのだ。彼は別に英霊に成る気はなかった。それ以前に世界はおろか抑止力にも従う道理もない。

 

ただ彼は……人理修復を目指し真っ直ぐに突き進む、マスターを好んで来訪したのだ。

 

だが、何事にもIFというのがある――それは人理漂白された世界を取り戻すものだ。無論これはマスター云々よりも……。

 

「気に喰わんな、勝手に歴史を漂白した挙句に神にも人間にも都合の良い世界? ふざけるな、それは私を……いや平成仮面ライダーたちの歴史を否定し侮辱するものだ。 そのような愚行を犯した者たちを生かしておけんな」

 

完全な私情だ……そしてこのIFはあっという間に完結するものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっと、これ以上のお進みはお許しを。 何せこれは私にも想像がつかなかった……けれども私たちが望んだ完結した筈の我が王の先の物語ですので」

 

 

 

「今後どのような物語になるか、そして我が王の物語がどうなるかは……こちらも時の運行次第ということで」

 

 

 

 

「……しまった。私としたことがっ、祝うことを抜けてしまうとは!」

 

 

 

 

 

「祝えっ! 原典と異なり、蒼き薔薇の祝福を持ちし、過去と未来をしろしめす究極の時の王者、そして歴史の最終章へたどり着いた我が王・常盤創也!」

 

 

 

 

「我が王の旅路に数多の祝福とご加護をっ!」




この物語に続きは見当たらない。

だが、この物語の前節は既に何処かで預言者に語られている――その物語が発表されるのは何時の事やら。


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