それでも月は君のそばに   作:キューマル式

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今回から無印~Gまでの間にあたるオリジナル編に突入します。
というのもG編のためにもやっておきたいことがありまして、それを消化するためのお話となります。


番外劇場版編 『仮面ライダーSHADOW(異)世界を駆ける』
第27話


 ブロォォォーーー……!!

 

 

 甲高い排気音が響く。

 その発生源は俺たち……俺と響を乗せたバイクはアクセル全開で駆け抜けていく。

 そして俺に抱きつくようにしている響がポツリと俺に言った。

 

「ノブくん……私やっぱり呪われてるかも」

 

「心配するな、そういうことなら俺も絶対呪われてるから」

 

 心の底からの言葉を俺は絞り出す。

 その時!

 

「ノブくん、来たよ!!」

 

「ッ!!?」

 

 響の鋭い声に俺はハンドルを切り、バイクを左へとスライドさせる。

 すると……。

 

「フシャァァァァァ!!」

 

 今しがたバイクのいたところに白っぽい何かが降ってきて鋭い爪を振るった。

 それが憎々しげに一瞬こちらを見ると、そのまま景色とともに後ろへと流れていく。

 しかし……。

 

「ノブくん、来てる! いっぱい来てるよ!!」

 

 ミラーを見れば、先ほどの白っぽい影が何体もこのバイクを『走って』追ってきている。

 俺は訳の分からないあまりの理不尽さに、思わず叫んでいた。

 

「なんで『魔化魍のバケネコ』がいるんだよ! ここは一体どこなんだよ!?」

 

 どことも知れぬ無人の街に、俺の叫びが響く。

 何がどうしてこうなったのか……話はしばらく前に遡る……。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「『お泊りデート』のやり直しをしよう!」

 

 俺の言葉に響はコクリと頷く。

 初夏、俺たちは『恋人同士として特別な関係を!』と一大決心と覚悟を決めて『お泊りデート』に出かけた。

 しかし結果は……『芸人ライダーSAKIMORI』こと翼が現れたことで完全に失敗に終わる。俺と響はあまりの不完全燃焼に、『次こそは必ず!』とリベンジに燃えていた。

 そして立てた『第二次お泊りデート計画』……奏や緒川さんから翼のスケジュールを徹底的に聞き出し、絶対に翼が現れることがないように日程を調整する。同時に誰にもデート予定は話さず、徹底的にその日程と場所は秘匿した。

 計画は完璧、すべては計画通りに進み、デート当日を迎えて俺は勝利を確信していた。

 しかしバイクの走行中……。

 

「の、ノブくん!?」

 

「何だ? キングストーンが光を……!?」

 

 俺の体内のキングストーンが突如として光を放ち出す。

 そして気がつけば……俺たちは見知らぬ街にいた。

 

「どうして街に……?」

 

 海の見える街道を走っていたはずなのに突如として街にいることに、響が戸惑いの声を上げる。

 

「現在位置が出てこないぞ。それに2課との通信も出来ない……。

 一体何がどうなってる?」

 

 バイクを停車させた俺は、通信機を取りだし現在位置を調べようとするも現在位置はまったくの不明、2課との通信もまったく反応が無い状態になっていた。

 

「とにかく、ここがどこか調べてみよう」

 

「うん……」

 

 不安そうながら頷く響とともに俺はバイクを発進させ、街の様子を見て廻る。

 すると、すぐにその街の異常に気付いた。 

 

「ノブくん、さっきからここ……人が誰もいないよ」

 

 この街、人の気配が全くしないのだ。

 ビルも商店もある。道路もあればそこに車も停車している。しかし、そこにいるべき人の姿が全く見当たらない。

 

「街全体で『メアリー・セレスト号』か?」

 

「そういう怖い話はやめてよ」

 

 俺は有名な都市伝説の話をすると、響は嫌そうに眉をひそめる。

 その時だった。

 

「フシャァ……」

 

 獣のような声とともに、向こうの道の角から現れるもの。

 それは身の丈2メートルを超える人影、身体中が白っぽい毛に覆われている。

 そしてその顔は猫科のそれだ。そんな顔が、俺たちの方を向いた。

 

「フシャァ!!」

 

「何あれ!? 襲ってくるよ!?」

 

「響、しっかり掴まってろ!!」

 

 俺たちの姿を認めると同時にそいつは牙と爪を剥き出しにしてこちらに向かってくる。どう見ても友好的な雰囲気はない。

 俺はバイクをその場でアクセルターン、そのままアクセル全開でバイクを発進させるとそのままそいつ……『魔化魍のバケネコ』は俺たちを追ってきていた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「来てる来てる来てる!?」

 

「ちぃっ!?」

 

 アクセル全開でバイクを走らせながらミラーを見ると、かなりの数の『魔化魍のバケネコ』が迫ってきている。

 

(『魔化魍のバケネコ』だと? どういうことだ!?)

 

 『魔化魍』は仮面ライダー響鬼と戦った怪人の総称だ。当然ながらノイズとは違うし、そんなものの存在を感じることも今までできなかった。

 どういうことだと混乱する俺に、さらに混乱に拍車がかかる事態が襲う。

 

「ノブくん、前! 前!?」

 

「なっ、あれは……!?」

 

 前方には後ろのバケネコとは違い、緑色の身体の一団がいた。

 それは……!

 

「『ワームのサナギ体』じゃないか!!」

 

 俺は叫んで、その集団を避けるように急カーブで道を曲がる。

 『ワーム』は仮面ライダーカブトが戦った、敵性宇宙人の総称だ。そして『サナギ体』はその幼体にあたるもので、もちろんこんなものがいるなんて聞いたこともない。

 ここまでくると、俺の方も状況を冷静に見れるようになってきた。

 

(俺たちはキングストーンの導きで、『別の世界』に来たのかもしれない……)

 

 『魔化魍』や『ワーム』がいて2課との通信がまったくできない場所……となればここは今までいた場所とは異なる世界である可能性が高い。

 『魔化魍』や『ワーム』がいる以上、ここは『何かの仮面ライダーの世界』なのだろう。

 

(だが『仮面ライダーの何かの世界』だとして……どんな世界なんだ?)

 

 全く違う作品間の敵が同時に現れている以上、ここは共演作品……いわゆる『劇場作品の世界』である可能性が濃厚だ。

 しかし、そのどれなのかということで今後俺たちがとるべき行動が変わってくる。『劇場作品』では、ものによっては悪によって世界征服がされディストピア化した世界観のものもあるからだ。そのため、俺や響の安全を図るためにも『ここがどんな世界か?』を見極めることは重大である。

 

(やはりここは、大ショッカーの仕業と考えるのが妥当か?)

 

 そんなことを考えながらバイクを走らせていると……。

 

「ッ!?」

 

「きゃっ!?」

 

 キングストーンからの『直感』が俺の背中を駆けると同時に、俺は響を抱きかかえてバイクから空中に跳んだ。

 同時に『ビルのガラスから』何かが飛来する。それが一瞬前まで俺たちの乗っていたバイクを両断した。

 両断されたバイクがそのままビルに突っ込み爆発炎上する中、響を抱えた俺は着地する。

 そして……。

 

「ガラスから何か出てくる!?」

 

「キィアアアアアッ」

 

 『ビルのガラスから』赤い身体の、どこかイモリを思わせる人型が何体も現れる。

 

「バケネコ、サナギ体のワームときて、今度は『ミラーモンスターのゲルニュート』かよ……」

 

 『ミラーモンスター』は仮面ライダー龍騎に登場した敵の総称だ。一番の特徴は『ミラーワールド』という鏡の中にあるもう一つの世界に行き来する能力があることだろう。『ミラーワールド』はその名のように鏡でなくても今のようにガラスや水面からでも出入り出来、神出鬼没な厄介さを持っている。今バイクを両断したのはゲルニュートの巨大手裏剣のようだ。

 と、そんなところに俺たちを追ってきたバケネコの集団、ワームサナギ体の集団が合流してしまう。

 

「……どうしよう、ノブくん?」

 

「状況はまるで分らないが……やるしかないみたいだな……」

 

 抱きかかえた響を地面にゆっくり降ろしながら言うと、響も頷く。

 そしてにじり寄ってくるその異形の集団相手に、俺たちも戦闘態勢を整える。

 

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron……」

 

 

「変……身ッッ!!」

 

 

 響が起動聖詠を歌い上げギアを纏い、俺もSHADOWへと変身を果たす。

 

「いいか響、油断するな!

 ゆっくりでいい、確実に倒していくぞ!!」

 

「うん!」

 

 そして俺と響は状況も何も分からないまま、戦いを強いられることになったのだった……。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「フシャァァァァァ!!」

 

「ふっ!!」

 

 鋭い爪を振るって素早い動きで飛び掛かってくるバケネコ。響はその鋭い爪の一撃を身体をかがめて避ける。

 

「たぁぁ!!」

 

 そのまま響は全身のバネを使ってバケネコの腹に一撃を加えた。しかし、バケネコはその一撃に身体をくの字に曲げるが決定打とはならず、怒りとともに響へと視線を向ける。

 

「ノイズよりもずっと硬い!?」

 

 いつも戦っているノイズたちとは段違いの耐久力を誇るバケネコに、響は驚きの声を上げる。

 そんなバケネコは怒りのせいか響へと向かっていく。ビルの壁を三角飛びで飛び回るアクロバティックな動きで響を狙い、その必殺の牙を突き立てようとうかがう。

 

「フシャァァァァァ!!」

 

 かく乱し好機と見たバケネコが響の背後の頭上から飛び掛かった。

 しかし、バケネコよりも弦十郎に鍛えられ、信人たちとともに幾多の実戦を超えてきた響の方が、完全に上手だった。

 

「たぁぁぁぁぁ!!」

 

 完全な死角からの攻撃と思われたその一撃、それを響は完全に読んでいた。

 両足を連続して蹴りあげる八極拳の『連環腿(れんかんたい)』が、響に喰らい付こうと大口を開けていたバケネコの顎をカウンターで蹴りあげる。

 自慢の牙が砕け、バケネコの身体が宙に浮いた。そしてそのがら空きになった胴体に、響は渾身の拳を突き刺す。

 その一撃に耐えられなかったバケネコの身体は土塊となって崩れ落ちた。

 

「ふぅ……!」

 

 バケネコを一体屠り息をした響。だがそこに間髪入れずに2匹のバケネコが飛び掛かった。

 左右から挟み込むような爪の攻撃。だが響はそれに臆せず、まずは右から迫ったバケネコの爪を避けるとそのままバケネコの腕を掴みバランスを崩し、左から襲い来るバケネコの盾にした。

 バケネコが同士討ちに驚く中、そのまま盾にしたバケネコの背中に響は背中からの体当たり、『鉄山靠(てつざんこう)』を叩き込む。

 

「たぁぁぁぁぁ!!」

 

 その衝撃で2匹でもつれるように転がったバケネコに、跳び上がった響が急降下の蹴りを叩き込むとそのフォニックゲインが衝撃となってバケネコ2匹を直撃、その存在を土塊に還した。

 だが、響は油断なく周囲を警戒する。

 

(さっきからこの猫の怪物、かなりうまく連携をとって攻めてきてる……)

 

 アクロバティックな動きからの同時連携攻撃といった攻撃をバケネコたちは仕掛けてきていた。そしてこういった攻撃をしてくる以上、それを統率する存在がいると響はすぐに考えて周囲をよく見る。

 

(……いた!)

 

 白いバケネコたちの中に茶色い色で尾が何本も生えた個体が1匹だけ交じっていた。常にその身を白いバケネコたちで隠し、周到に動くその姿に響はこの茶色い個体こそがこの集団を統率するリーダーなのだと確信する。

 

(群れはリーダーを倒せば瓦解する!!)

 

 それを理解していた響は一気に勝負に出た。

 

「だぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 響が中国拳法の高速移動『活歩』で踏み込み、周囲の白いバケネコたちを土塊に変えながら茶色いバケネコに接近する。

 

「フシャァァァァァ!!」

 

 そんな響に一瞬驚いたような様子をするもののその茶色のバケネコも流石は群れのリーダー、すぐに響を迎撃しようと右手の爪を振り下ろす。

 だがそれを響は頭上で腕をクロスさせて、バケネコの振り下ろされた右手を受け止めた。

 

「ぐぅ!?」

 

 その衝撃に響の踏みしめたアスファルトが陥没し、響が苦悶の表情を浮かべる。

 

「負けるかぁぁ!!」

 

 だが響はそのままバケネコの右手を弾き上げた。そして腕を跳ね上げられ、バケネコががら空きの身体をさらす。

 

「はぁぁぁぁぁ!!!」

 

 拳を握り両脇を締め、そこから放たれるのは拳の連打。ありとあらゆる急所に、相手が倒れるまで止まらない拳の嵐だ。

 その嵐とともに、響から放たれるフォニックゲインが叩き込まれていく。それは奇しくも、魔化魍たちの天敵である音撃戦士の攻撃に似ている。そしてトドメの肘が叩き込まれると、耐え切れずに茶色のバケネコは土塊へと還っていった。

 残ったのはリーダーを失い統率を欠いた白いバケネコ達、響は油断することなくそれを各個撃破していく。そしてしばらくすると最後のバケネコが土塊へと還っていった。

 

「ふぅ……」

 

 敵の掃討が終わり、響が息をつく。見れば信人のほうも緑の怪物やガラスから出てきたヤモリの怪物……ワームサナギ体やゲルニュートたちをあらかた倒し終えている。

 

「ノブく……」

 

 そんな信人に声をかけようとした瞬間だった。

 

 

 シュッ!

 

 

「きゃぁ!?」

 

 気がつけば、『ビルのガラスから』糸が伸びてきて響は絡めとられていた。

 

「くっ……動けない!?」

 

 強くしなやかなその糸は響が力を込めても破れない。そしてもがく響の前に、『ガラスから』その糸の主が現れる。

 それは巨大なクモの怪物……ミラーモンスターの『ディスパイダー』である。

 ディスパイダーはそのまま糸に絡まれた響を引き寄せた。大きさとパワーにものを言わせるディスパイダーに、響はジリジリと引き寄せられていく。

 響はさながらクモに囚われた可憐な蝶だ。その蝶を喰らおうとディスパイダーが鋭い牙の並ぶその顎を開く。

 だが不幸にもディスパイダーは知らなかった。

 この可憐な蝶は月に愛された、いわば『月光蝶』だ。その蝶に手を出せばどうなるか……当然、月の怒りを買い、粉々にされるのである。

 

 

 ガシッ!

 

 

「……響に何をしようとしているんだ、クモ野郎!」

 

 響に喰らい付こうと目前にまで迫った鋭い牙の並ぶ顎。そしてそれを押さえつける銀の身体。

 ディスパイダーは顎を閉じようとするがビクともしない。

 

「ノブくん!!」

 

 響がその名を歓喜とともに呼んだ。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「トォ!!」

 

 俺はワームサナギ体たちの集団に飛び込んだ。

 

「シャドーチョップ!!」

 

 横に薙ぎ払うようなチョップ、エルボートリガーで強化されたそれの直撃を受けたワームサナギ体が緑の炎とともに吹き飛ぶ。

 だがそんな仲間の最後にもひるむことなく残されたワームサナギ体が飛び掛かってきた。

 その振るわれた腕が俺のシルバーガードの装甲を叩くが、たいしたダメージはない。

 

「ハァ! タァ!」

 

 お返しとばかりに2度3度と拳を叩き込み、のけ反ったところを突き刺すような蹴りを叩き込む。するとそれに耐えきれずにそのワームサナギ体は爆散した。

 それを見ながら俺は静かに分析する。

 

(やっぱり、ノイズよりも耐久力があるな)

 

 ノイズほどに数は多くないが、その分耐久力も攻撃力も上だ。

 響は大丈夫だろうかとチラリと視線を送ると……ちょうど響が『連環腿(れんかんたい)』でバケネコの顎を蹴りあげているところだった。

 どうやら心配はないらしい。

 それより魔化魍を薙ぎ倒しているのはやはり名前のせいだろうか……そんなどうでもいいことを思って俺は苦笑する。

 するとそんな俺を狙ってなのか、ゲルニュートの巨大手裏剣が飛来する。

 

「ハァ!」

 

 俺はそれを後ろへ飛んで避けた。

 

「投げ物対決がお好みか? だったら!」

 

 俺は殴りかかってきたワームサナギ体の腕を掴むと振り回す。

 

「シャドースイング!!」

 

 ジャイアントスイングの要領で、ワームサナギ体を武器として周囲の敵を殴り倒す。そして最後にワームサナギ体をゲルニュートに向けて投げつけた。

 

「!!??」

 

 そのままワームサナギ体はゲルニュートに直撃、緑の炎になって爆散したあたりかなりの衝撃だったことが伺える。

 そんな隙だらけのゲルニュートに、俺はトドメをさすべく拳を握り飛び上がった。

 

「シャドーパンチ!!」

 

 俺のシャドーパンチの直撃を受けたゲルニュートはそのまま粉々に吹き飛んだ。それだけではなく、荒れ狂うキングストーンエネルギーが周囲にいたワームサナギ体の集団もまとめて吹き飛ばす。

 その一撃でほとんどの敵は吹き飛んだ。

 あとは……そう思った瞬間だ。

 

「きゃぁ!?」

 

「!? 響!!」

 

 響の悲鳴にその方向を向くと、響が糸に囚われている。そしてその先にいたのは……。

 

「あれは土蜘蛛? いや、ディスパイダーか!?」

 

 それはミラーモンスターのディスパイダーだ。その顎は強力で、その牙は仮面ライダーすら砕くことができることを俺は知っている。

 そしてその牙を、よりにもよって響へと向けていた。

 それを見た瞬間、俺は加速した。

 地を蹴るのと同時にレッグトリガーからパワーが放射され、まるでブースターのように加速し即座に響の元へ。

 そして響に喰らい付こうとしていたディスパイダーの顎を押さえつける。

 

「……響に何をしようとしているんだ、クモ野郎!」

 

「ノブくん!!」

 

 ディスパイダーは俺に喰らい付こうと顎を閉じようとするが、俺が押さえつけビクともしない。

 そんなディスパイダーに俺は言った。

 

「薬は注射より飲むのに限るぜ、ディスパイダーさん!」

 

 おもむろに腰の『シャドーチャージャー』が輝き出す。そして!

 

「シャドーフラッシュ!!」

 

 そのままシャドーフラッシュをディスパイダーの口の中へと叩き込んだ!!

 

「!!!???」

 

 口の中から飛び込んできたキングストーンの破壊エネルギーがディスパイダーの体内で暴れ回る。

 それに耐えきれずに、ディスパイダーは粉々に吹き飛んでいった。

 

「大丈夫か、響?」

 

「ありがと、ノブくん」

 

 ディスパイダーが吹き飛んだことを確認し、俺は響に絡まった糸を断ち切る。

 響はお礼を言いながら俺の差し出した手を握り、立ち上がった。

 

「怪我はないか?」

 

「私は大丈夫。 ノブくんの方は?」

 

「こっちも大丈夫だ」

 

 互いの無事を確認しあうと俺たちは周囲を探るが、もう周囲には敵の姿は見当たらない。

 

「ノブくん……今の怪物たちは一体?

 それにここは何なんだろう?」

 

 敵の姿が消え、一息をついたからか響が不安そうに聞いてくる。

 とはいえ、俺も分からないことだらけで考えが纏まっていない。

 取り合えずこの街をもっと調べようと響に提案しようとした、その時だった。

 

「侵入ーーー者の諸君ッッ!!」

 

「「ッ!!?」」

 

 その声に反応し、俺と響はビルを見上げる。

 すると、ビルの屋上から飛び降りてきた紫の人影が俺と響の前、20メートルの辺りに着地した。

 

「随分と好きに暴れ回ってくれたね。

 どこから入ってきたのか知らないが、ここまでだ」

 

「カッシスワーム、だとっ!?」

 

 仮面ライダーカブトにおける最強のワーム個体と言われる『カッシスワーム』の登場に、俺は動揺を隠せずにいた。

 そんな俺にカッシスワームは右腕の毒針状の剣を向けると言い放つ。

 

「その姿……王の姿を騙る偽物め! 生かしては帰さない!!」

 

「王の姿を騙る?」

 

 俺の疑問には答えることなく、完全な敵意とともにカッシスワームがこちらに走り出す。

 

「ノブくん!?」

 

「響、気を抜くな! あいつは今までの奴らとは桁が違う!

 全力で行くぞ!!」

 

「うん!」

 

 俺の言葉に響が構え、俺も拳を握りしめる。

 こうして俺たちは訳も分からぬまま、幹部級の強力な怪人との戦いに突入するのだった……。

 




今回のあらすじ

SHADOW「男子高校生のエロに対する執念を舐めるな!
    懲りずに第二次お泊りデート計画を発令する!!」

ビッキー「今回は未来にも教えてないし防人の動向もよく調べた!
     前回みたいな勝負下着を無駄にするような真似はしない!!」

キネクリ「あーあ、バカップルどもがマジだ」

奏「まぁ、お年頃だからねぇ」

フィーネさん「あー、この世のカップル全部死なないかなぁ!!」

SHADOW「よし、これでめでたくゴールイン!」

ビッキー「激しく前後に動く。ほとんど違法行為。激しく上下に動く。あなたは共犯者」

防人「くっ!? この私が破れたら誰が青少年のなんかを守り、猥褻は一切ない健全な作品にするというのか!?」

月の石「そのとき、不可思議なことが起こった」

SHADOW&ビッキー「「YAMERO!!」」

SHADOW「てめぇ、キングストーンてめぇ!
    男子高校生の切なる願いになんてことを!!」

ビッキー「いきなりキングストーンに鉄火場に放り込まれた件」

キネクリ「魔化魍にワームにミラーモンスターと、仮面ライダーの敵のオンパレードだな」

奏「というわけで今回からの『番外劇場版編 仮面ライダーSHADOW(異)世界を駆ける』のスタートだ」

防人「ああ、2人が仮面ライダーの世界に放り込まれて戦う話なわけだな」

ビッキー「爆裂強打の型(拳)!」

キネクリ「爆裂強打の型という名前のスペックばりの無呼吸連打でバケネコさんをぶっ殺すバカ1号……うん、名前からして何の違和感もないな!」

奏「実際シンフォギアって歌のエネルギーであるフォニックゲインをぶち込んでるんだし、その辺り音撃戦士と変わらない気がするからね」

防人「で、月影の方はサナギワームとゲルニュートを撃破。それで……」

SHADOW「薬は注射より飲むのに限るぜ!」

キネクリ「権藤一佐乙。特撮ファンとしては一度は使ってみたいセリフだな」

奏「日常のどんなときに使えるんだい、このセリフ……?」

カッシスワーム「ゼェェェクトの諸君!!」

ビッキー「何とか敵倒したらボスキャラがでた!?」

SHADOW「おいおい、初の幹部級強力怪人戦でいきなりカブトで最強クラスのカッシスワーム相手とかどんなクソゲーだよ!?」

防人「それにしてもこのカッシスワームの物言い……なるほど、ここは『あの世界』か」

キネクリ「ああ、作者がやりたいことってのも何となく分かったわ」


というわけで今回から『番外劇場版編 仮面ライダーSHADOW(異)世界を駆ける』に突入します。
キングストーンさんによってライダー世界に送り込まれた2人。この世界が何の世界かはバレバレですが、それをG編の前に消化しておこうといったところ。
次回はVSカッシスワーム戦。

次回もよろしくお願いします。

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