それでも月は君のそばに   作:キューマル式

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第28話

「ノブくん!」

 

「来るぞ、響!」

 

 カッシスワームが俺に向かって走ると、右腕の毒針状の剣を振り上げる。

 

「はぁ!」

 

「ぐっ!?」

 

 振り下ろそうとしたその右腕を、俺は一歩踏み込んで左腕で抑える。衝撃が踏みしめた足にまで響く凄まじいパワーだ。

 俺はそのまま右手の拳をカッシスワームに叩き込もうとするが、その右拳はカッシスワームの左手で防がれていた。 

 

(やはりノイズやさっきの怪人どもとは文字通り桁が違う!?)

 

 今まで相対してきた相手とは根本から違う強さに、俺は内心舌を巻いた。

 

「シャドースイング!!」

 

 俺は左手でカッシスワームの右腕を掴むとそのまま回転、ビルの壁に叩きつけようと全力で投げつける。

 だが。

 

「ふん!!」

 

 アスファルトがカッシスワームの踏ん張った跡で一直線に抉れる。

 投げつけられたカッシスワームは空中で右腕の毒針状の剣を地面に突き刺して身体を支えて、ビルへ叩きつけられるのを防いだのだ。そこにあまりダメージがあるようには見えない。

 

「たぁ!!」

 

 体勢を崩していたカッシスワームに、響が飛び掛かる。

 響の拳の連打とともに、フォニックゲインが叩き込まれる。しかし……。

 

「全然効いてない!?」

 

「まるで子猫に噛まれているような攻撃だ」

 

 響の拳にまるで怯む様子を見せずカッシスワームは毒針状の剣を振るった。それを間一髪で避けた響は大きく飛び退く。

 

「シャドービーム!!」

 

 響が飛び退いたその瞬間、俺のシャドービームがカッシスワームに直撃した。

 

「ぐっ!?」

 

 響とのコンビネーションで直撃したシャドービームは流石に効いたのかカッシスワームが苦悶の声を上げる。

 初の有効打に「いける!」と心の中で喝采を上げる俺だがその瞬間、嫌な『予感』が駆け巡った。

 シャドービームで直撃したエネルギーがバチバチとカッシスワームに停滞している。そしてそのエネルギーがカッシスワームの口へと集中すると、カッシスワームから破壊光弾が放たれた。

 

「うぉぉ!?」

 

「きゃぁ!?」

 

 破壊光弾の爆風によって吹き飛ばされる俺と響。

 

「い、今のは一体?」

 

「奴め……俺のシャドービームのエネルギーを跳ね返しやがった!?」

 

 体勢を整えた響に、俺は答える。『敵の攻撃をエネルギーに還元吸収し、敵に返す』というカッシスワームの力だ。原作の仮面ライダーカブトではこの能力で多くのライダーの必殺技を破っている。

 

「生半可な攻撃じゃ跳ね返されて逆効果ってことだ!」

 

「それじゃ攻撃出来ないよ!

 どうすれば……」

 

「……奴が吸収しきれないレベルの破壊力をどうにか叩き込むしかないな」

 

 そう言って俺がカッシスワームに構えた時、再び嫌な『予感』が駆け巡る。それに従い防御の態勢に入った俺に凄まじい衝撃が襲い掛かり、俺はビルの壁へと叩きつけられていた。

 

「ぐぁっ!!?」

 

「ノブくん!?」

 

「響、防御を固めろ!!」

 

 響からは何の前触れもなく突然俺が吹き飛んだように見えただろう。響の悲痛な声が聞こえるが、俺は自身のダメージを無視して響に叫んでいた。

 

「きゃぁぁぁ!?」

 

「響っ!?」

 

 俺の声に咄嗟に防御を固めた響が、悲鳴を上げながら吹き飛ばされた。

 このままでは響がビルの壁に叩きつけられると見た俺は跳ね起きると、吹き飛ばされる響を空中で抱き止める。

 

「ぐぁ!?」

 

 そのまま自分の身体で響を庇い、俺は再びコンクリートへとめり込んでいた。

 

「ノブくん!? 大丈夫!?」

 

「……ああ、大丈夫だ」

 

 心配そうな響にそう言って、俺は立ち上がる。

 

「何をされたのか全然分からなかった……今のは一体……?」

 

「アレは目にも止まらぬ超高速攻撃……『クロックアップ』だ!」

 

 『クロックアップ』……それは成虫となったワームたちの持つ基本能力の一つにして、同じ能力を持つ仮面ライダー以外がワームに対抗できなかった理由だ。

 『クロックアップ』は厳密には超高速攻撃ではなく、タキオン粒子を全身に駆け巡らせることによって時間流を自在に活動できるようになるある種の『時空間干渉能力』であり、これを使えば使用者以外はまるで時間がゆっくりになったかのようにしか動けない。受けた側としては、目にも止まらぬ超高速攻撃を受けているようなものだ。

 そう、掻い摘んで響に説明する。

 

「そんなの、どうやって倒せば……」

 

「……」

 

(くっ……ワームにとっては『クロックアップ』は基本。カッシスワームが使ってくるのは当然だ。

 よりにもよって仮面ライダーカブトの代名詞とも言える『クロックアップ』を相手に戦うことになるとはな)

 

 そんなことを考えていると、カッシスワームは勝利を確信しているのか悠然とこちらに歩いてくる。

 

「『クロックアップ』の出来ないものが私に敵うわけがないだろう。

 大人しく諦めろ、偽物め」

 

「その偽物ってのがどういうことなのか詳しく聞きたいところだが……『クロックアップ』が出来ないからどうしたって?

 『クロックアップ』が出来ないから俺がお前に勝てないとでも思ってるのか?」

 

「何?」

 

 俺はカッシスワームに向かってクイクイっと手を動かす。

 

「来いよ、そのご自慢の手品をもう一度見せて見ろ」

 

「言ってくれるな、『クロックアップ』も使えない分際で。

 ではお望み通り……受けるがいい!!」

 

 そしてカッシスワームの姿が掻き消える。どうやら『クロックアップ』に入ったらしい。

 確かに『クロックアップ』は強力無比な能力である。本来なら『クロックアップ』が有効な対抗手段だが……それ以外の手段が皆無というわけではない!

 

「マイティアイ!!」

 

 俺はマイティアイを起動させた。同時にセンシティブイヤーやシャドーセンサーなどの感覚系をすべて最大で起動する。

 そして!

 

「見えた!!」

 

 そう、たとえ『クロックアップ』が使えなくてもそれを認識できるほどの超高感度センサーや超感覚を持っていればその姿を捉えることは可能なのだ。

 同じ方法でロボライダーは『クロックアップ』を補足していた。そしてあの仮面ライダーBLACK RXと互角の能力を持ち、その全能力を短時間で完全に分析した俺のマイティアイがそれと同じことを出来ないはずがない。

 俺のマイティアイは『クロックアップ』中のカッシスワームを補足する。あとは攻撃手段だ。

 前述したロボライダーは『クロックアップ』を補足することはできたが、ボルティックシューターの弾速が『クロックアップ』に追いつかず攻撃を当てられなかった。

 これの対処は相手の動きを完全に見切り予測偏差射撃を当てることなのだが……流石にそれは難しそうだ。

 となれば、やるべきことは1つ。

 

「シャドーフラッシュ!!」

 

 俺の腰の『シャドーチャージャー』から、緑のキングストーンエネルギーが放射される。

 完全に相手を見切り予測偏差射撃は今の俺の技量では少し難しそうだが、それでも予測くらいはできる。そしてそこに避けようのない広域攻撃を叩き込むことで『クロックアップ』に対抗しようというのが俺の作戦だ。

 

「ぐおっ!?」

 

 身体中から火花を散らしたカッシスワームが、突如空間から飛び出るようにして地面を転がる。狙い通りだ、どうやらシャドーフラッシュに『クロックアップ』中に突っ込みダメージを受けたようだ。

 

「今、何が?」

 

 『クロックアップ』を完全に見えていない響からすると、突如ボロボロになったカッシスワームが飛び出して来て転がったので何が何だか分からないらしい。

 だが今はそれどころではない。

 

「今はそんなことはいい! それよりチャンスだ、畳みかけるぞ!!」

 

「わかった!」

 

 俺と響は地面から立ち上がりつつあるカッシスワームに飛び掛かる。

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

「ぐぅ!?」

 

 シャドーフラッシュのダメージのおかげか、先ほどまでは効果がほとんどなかった響の拳の連打が確実に効いている。

 

「人間、調子にのるな!」

 

 そう言って右腕の毒針状の剣を響に向かって振り下ろす。だが!

 

「シャドーチョップ!!」

 

 エルボートリガーを起動させ攻撃力を増した左のシャドーチョップでその剣を弾き返す。

 

「シャドーダブルチョップ!!」

 

 そのまま同じくエルボートリガーを起動させ攻撃力を増した右のシャドーチョップを十文字に叩き込んだ。

 

「ぐぁぁぁ!!」

 

 その衝撃に、カッシスワームが吹き飛ばされ再び地面に転がる。

 

「やった!」

 

「まだだ、やつが倒れるまで隙を与えるな!」

 

 俺は再びの追撃で勝負を決しようとしたその時だった。

 

「……いいだろう、私の本当の力を見せてやろう!!」

 

「ッ!!?」

 

 背中に氷柱を突き入れられるような悪寒が走り、嫌な『予感』が駆け巡った。

 そして……次の瞬間には、俺は衝撃に吹き飛ばされていた。

 

「ぐぁぁぁぁ!?」

 

「ノブくん!?」

 

 吹き飛ばされ転がる俺。だが、次の瞬間にはまたも衝撃が俺に襲い掛かり、再び吹き飛ばされる。

 

「今のは何だ? 俺のマイティアイでも探知できないぞ」

 

 『クロックアップ』すら感知する俺のマイティアイでも正体がつかめないその攻撃……そこで俺はカッシスワームについてを思い出した。

 

「まさか今のは……『フリーズ』か!?」

 

 『フリーズ』……それは仮面ライダーカブト作中に登場する能力である。

 『フリーズ』は『クロックアップ』の上位能力であり時間遡行すら可能とする『ハイパークロックアップ』、さらにその上位に位置するクロックアップ系の最上位能力である。

 その効果は『時間停止』だ。この能力を使うことで世界の『時間』を凍りつかせ、その間に一方的に攻撃する……これが今しがた俺が受けた攻撃の正体だった。

 カッシスワームは仮面ライダーカブト本編において、3度形態を変化させて仮面ライダーたちに襲い掛かった。そしてそれぞれが別の能力を使っていた。

 第一の形態が『フリーズ』。

 第二の形態が『敵の攻撃を吸収し、技をコピーして跳ね返す』という能力。

 そして第三の形態が『分裂能力』、まったく能力の同じ2人に分裂し同時攻撃を行う能力である。

 ここで重要なのは仮面ライダーカブト本編においてカッシスワームは、『他形態の能力を使えなかった』のだ。

 俺はそんな『原作』を知っているせいで、最初にシャドービームを跳ね返したことからこのカッシスワームを『第二形態』だと決めつけていたのである。だから第一形態の能力である『フリーズ』を使うことをいつの間にか警戒すら出来ていなかったのだ。

 

(くっ……油断した! 『原作』と同じだといつの間にか錯覚していた……!)

 

 そう俺が臍を噛むと、俺の背中を冷たい『予感』が走り抜けた。

 そして、それを証明するかのように未だ体勢を立て直せていない俺たちの前にカッシスワームが現れる。

 

「王の偽物、お前が何者であろうと私の完全に凍り付いた世界の前には無力だ。

 その無力さ……今から思い知らせてやろう!」

 

 そしてカッシスワームの視線が、俺を支えようとしてくれている響へと向かう。

 

「まさか……!?」

 

「まずはその女から血祭りにあげてやろう!」

 

 そうカッシスワームは宣言すると、俺のシャドーセンサーがタキオン粒子の動きを感知する。宣言通り『フリーズ』を発動させるつもりだ。

 それが発動した場合には……。

 

(響が……殺される!?)

 

 この俺のシルバーガードの装甲ですらかなりのダメージを受けたのだ。それよりも防御力の低いシンフォギア、しかも防御も何もできない状態で響が攻撃を受ければ致命傷になりえる。

 そしてそれは『フリーズ』が発動したら、瞬きの間もなく現実となるのだ。

 

(こいつは今……俺の目の前で『響を殺す』と言ったのか!?

 俺の、この俺の前で!!)

 

 それを理解した俺の腹の底から、マグマのように怒りが湧き上がる。

 その俺の怒りに応えるように腰のキングストーン『月の石』が煮えたぎるように熱くなっていく。

 そして……カッシスワームの『フリーズ』が発動した。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 時間が凍り付き、すべての者が動きを止めた『世界』。そんな中を、その『世界』を創り出したカッシスワームが悠然と歩く。

 目の前には仮面ライダーとは違う、おかしな恰好をした人間の小娘。

 その小娘に毒針状の剣を突き立てようと右腕を振り上げる。

 それを前にしても小娘……響は何の反応もしない。時間が止まっているのだ、できるわけもない。

 そして、カッシスワームが右腕を振り下ろす。

 だが……。

 

 

 ガシッ!

 

 

「なっ!?」

 

 何かによってその右腕が捕まれて動きが止まる。

 驚きにその方向を見ようとしたカッシスワーム、その顔面に銀の拳が突き刺さった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「がぁぁぁ!?」

 

「えっ、またなに!?」

 

 響視点で見ると突如現れゴロゴロと地面を転がるカッシスワーム。その姿を俺は右手でカッシスワームの顔面を殴り抜けた形で見下ろしていた。

 

「ば、バカな!?

 私の『フリーズ』に、私の完全な『世界』にクロックアップすら使えないお前が入門してきたというのか!?」

 

 体勢を立て直そうとするカッシスワームから驚愕の声が響く。

 それに俺はゆっくりと答えた。

 

「『フリーズ』は時空間干渉系の能力だ。ならば……同じ時空間干渉能力があれば対抗はできるはずだ」

 

 俺の言葉の通り、キングストーンには時空間干渉能力がある。仮面ライダーBLACK RXでは、過去改変によって時空を乱したクライシス帝国に対しRX・ロボライダー・バイオライダー・BLACKの4人が時空間を超えて揃って戦うといった『不思議なこと』が起こっている。

 それを知る俺はキングストーンの力によって時空間干渉、カッシスワームの『フリーズ』によって時間の凍り付いた世界での活動を可能にしたのである。

 

「そんなバカな話があるものか!?」

 

「ふんっ!!」

 

 カッシスワームがまたも『フリーズ』を発動させ襲い掛かってくるものの、俺もそれに対応して凍り付いた『世界』で動き、再び顔面に拳を叩き込んだ。

 またも地面を転がるカッシスワームを見下ろしながら、俺は宣言する。

 

「カッシスワーム……お前は今まで俺が戦ったどんな相手よりも強い。 だが、お前は最大のミスを犯した。

 お前は俺を、怒らせた!!」

 

 そして俺は構えをとって叫ぶ。

 

「バイタルチャージ!!」

 

 キングストーンエネルギーが全身を駆け巡り、拳と両足が緑の光を放ち出す。

 

「響、決めるぞ! 合わせる準備を!!」

 

 言ってから俺はカッシスワームへと飛び掛かった。

 

「シャドーパンチッッ!!」

 

 エルボートリガーを最大に稼働させ、さらに身体の屈伸の反動を加えた全力のシャドーパンチがカッシスワームの胸板に炸裂する。

 

「ぐ、おぉぉぉぉ!?」

 

 それに苦悶の声を漏らすもののさすがは最強のワームと呼ばれた幹部級怪人、地面を削りながら後退するもそれに耐えて見せる。それだけではなくパンチを叩き込まれた胸板からそのエネルギーを吸収、その右手にエネルギーが移動して行っている。

 俺のシャドーパンチを返そうというのだろう。だが、それを許すほど俺はお人好しではない。

 

「響ッ!」

 

「ノブくん!」

 

 俺の声に準備が出来ていた響が飛び上がりそれを追うように俺も飛び、空中で体勢を整える。

 そして……。

 

「「ダブルキィィィックッッ!!!」」

 

「ぐわぁぁぁぁぁ!!?」

 

 俺と響のダブルキックがカッシスワームの胸板に直撃した。

 カッシスワームの『敵の攻撃をエネルギーに還元吸収すると技をコピーして敵に返す』という能力は強力だが、複数の攻撃を同時に叩き込まれてその許容量を超えれば跳ね返すことなどできない。

 先のシャドーパンチ、そしてダブルキックで俺のキングストーンエネルギー、そして響の高めたフォニックゲインがインパクトと同時に叩き込まれ、そのエネルギーを処理しきれずにカッシスワームが吹き飛ぶ。

 

「ば、バカな……この私が……こんなことでぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 そしてヨロヨロと立ち上がったカッシスワームはそんな最後の言葉を残すと、緑色の爆炎とともに四散した。

 

「やったか……」

 

「そうだね……」

 

 未だ燻る緑の炎を前に、強敵を倒し俺と響はホッと息をつく。

 

「それにしても本当にここは一体どこなんだろ……」

 

「さぁな、まだまったく分からない。 これから調べてみないとな」

 

「うん、そうだね……」

 

 そう言って頷き合う俺と響。その時、俺の背中をゾクリとする『直感』が駆け巡る。

 同時に、どこからか機械音声のようなものが響いた。

 

 

『エクシードチャージ』

 

『ファイナルベント』

 

 

「ッ!?」

 

「えっ……うご、けない……?」

 

 俺は見た。何かに捕まったかのように固まった響の背後、そこに黄色い円錐形のエネルギーが浮かぶ。

 さらに俺のシャドーセンサーは、俺の背後から黒いドリルのようなものが迫ってきているのを捉えていた。

 それが何なのか気付いた俺は、身体が反射的に動いていた。

 

「バイタルチャージ!」

 

 叫びとともに腕と足にキングストーンエネルギーが集中し、エルボートリガーとレッグトリガーが最大稼働する。

 

「シャドーパンチ!!」

 

 響を背後から貫こうとしていた黄色い円錐形のエネルギーにシャドーパンチを叩き込み弾き飛ばした。

 

「ぐぅ!?」

 

 だがその代償に、右腕のエルボートリガーが負荷に耐えかねて粉々に砕け散り、右腕の感覚が無くなる。しかし、今はそんなことを気にしている余裕はない。

 

「シャドーキック!!」

 

 同時に響を庇うように抱きしめると、響を抱き締めたまま仮面ライダーカブトのライダーキックのような右足で廻し蹴りのシャドーキックを放ち、背後から迫っていた黒いドリルを蹴り飛ばした。

 

「ぐっ!?」

 

「ノブくん!?」

 

 こちらも生半可な衝撃ではなく、足のレッグトリガーが砕け散り右足の感覚が無くなったことで身体を支えられなくなり右ひざから崩れ落ちる俺を、響が慌てて支えた。

 

「また敵っ!?」

 

「ああ、しかもとびっきりだ……」

 

 驚きの声を上げる響に答える俺の前で、弾き飛ばした黄色い円錐形と黒いドリルは空中でクルクルと廻っていたかと思うと、そこから人影が地上に降り立った。

 それは……。

 

「仮面ライダーカイザに仮面ライダーナイト……だと!?」

 

 魔化魍にミラーモンスター、それにさっきのカッシスワームと続いて今度は仮面ライダーの登場だ。

 

「一体、何がどうなってるんだ……?」

 

 絞り出した俺の呻きに答えるものは、その場にはいなかった……。

 




今回のあらすじ

SHADOW「で、なし崩し的に始まったカッシスワーム戦なんだが……」

ビッキー「硬すぎ! 全然効かない!?」

奏「さっすが最強ワーム、その肩書は伊達じゃないね」

防人「防御力がノイズの比じゃないからな」

キネクリ「で、挙句の果てに攻撃跳ね返しやがる。攻防隙なしだな」

カッシスワーム「一方的に殴られる痛さと怖さを教えてやろうか!」

SHADOW「ヤバッ! なんかヤベぇニュータイプみたいなこと言いながらクロックアップ発動しやがった!?
    よし、ここはロボライダーよろしくクロックアップを探知!
    アンド広域攻撃で対処だ!
    イヤーッ!!」

カッシスワーム「グワーッ!」

フィーネさん「クロックアップ対処法は『超感覚で感知+広域攻撃』にしたのね」

SHADOW「クウガみたいな先読みはちょっと技量が足りないということでここは一つ……」

カッシスワーム「見せてやろう、私のこの力は世界を制する力だということを!!」

SHADOW「こいつ、第二形態の反射使いながら第一形態のフリーズまで使いやがった!?」

ビッキー「この辺り、『あの世界』だって分かる描写だね。
     あのときは思いっきり第二形態のくせに第三形態の分身使ってたし」

奏「というか、原作でなんでやられるたびに微妙な能力に変わっていったんだろう?
  フェニックスさんみたいに強くなって復活するもんだろ普通は」

防人「それ、『再生怪人は弱い』の法則に真っ向から逆らったフェニックスさんが特殊なだけだから。
   まぁそんな風に強いせいフェニックスさんは、最後はカーズ様とディアボロ足してそのままみたいな悲惨な最後になったけど」

キネクリ「とはいえ、前の能力が使えなくなるってのはよく分からない制限だったのは事実だよなぁ……」

カッシスワーム「WRYYYYYYYYYYーーー」

SHADOW「響が死にそうってことで思い出したんだが、キングストーンって時間干渉系能力に介入できんじゃん!
    というわけで顔面パンチ!」

カッシスワーム「仮面ライダーが我が……止まった時の世界に……入門してくるとは……!!」

SHADOW「お前の敗因はたったひとつ……たったひとつの単純(シンプル)な答えだ……。
    てめーは俺を怒らせた」

SHADOW&ビッキー「「ダブルキィィィック!!」」

フィーネさん「BLACKサンがカニ怪人に勝つために特訓で使えるようになった屈伸仕様の強化パンチにダブルキックとか、アンタら鬼か」

SHADOW「よし勝った……って、響後ろ後ろ!」

ビッキー「……作品中、もっとも死に近付いた瞬間でした」

SHADOW「今度は仮面ライダーカイザと仮面ライダーナイトが襲い掛かってきたぞ」

ビッキー「……私って呪われてるかも」


というわけでVSカッシスワーム戦でした。
シャドームーンの能力でクロックアップ対策とフリーズ対策はこんな感じになっております。
しかし当時は無敵と思ったクロックアップも、対処法がそれなりに出てきたなぁと思う今日この頃。

次回も引き続き危機は続きますがついに……。


次回ですが、残念ながら来週の投稿はできそうにありません。
というか6月20日現在も体調不良でふらつきながら入力している有り様ですので……。
というわけで来週はゴルフ番組で潰れたと思ってください(笑)
何とか再来週には体調を戻して投稿しようと思いますので。

次回もよろしくお願いします。

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