それでも月は君のそばに   作:キューマル式

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お久しぶりです、作者のキューマル式です。
前回の投稿から約2ヶ月ほどたってしまいました。

プライベートで色々……はっきり言うと不幸があって未だ何かするような気力がほとんど湧かない状態です。
そのため定期的な投稿は無理そうなので、できる限りでゆっくりやっていこうと思います。

今回はついにあの列車に搭乗です。


第30話

「『聖遺物』に『ノイズ』、そして『シンフォギア』……なるほど、興味深い」

 

 俺と響の話を聞き頷くのは仮面ライダーWの半身、フィリップさんである。

 そんな俺たちの話を、その場にいた全員が興味深そうに聞いていた。

 

 ここは時を駆ける列車『デンライナー』の食堂車だ。

 あの後……仮面ライダー1号たちとの邂逅を果たした俺たちは、そのままこのデンライナーへと連れてこられた。どうせ俺たちには行くあてもない。それに、この世界にやってきた理由は確実にこの事件のためだろう。俺たちもそれに関わらねばならない以上、渡りに船である。

 そして俺と響は歴代の仮面ライダーたちに囲まれながら俺たちの事情……こことは違う世界からきたこと、俺たちの世界の歴史、今までの俺たちの戦いといったことを説明していたというわけだ。

 この時、俺は完全に呼吸を忘れるレベルで緊張していた。

 よく考えて欲しい、昭和ライダーから平成ライダーまで勢ぞろいで、しかもリイマジではなくオリジンが自分を囲んでいるのだ。物心つく前から彼らの活躍を知る者としては失神ものである。ちなみに俺はフィリップさんの生で『興味深い』が聞けて感動的だな。決して無意味ではない。

 とはいえ、今は響もいるしそんな状況でもないのでそんな俺の心情は表に出さないように努めて話を続けた。

 

「だいたい分かった。 俺たちの知らない世界のシャドームーンとその仲間ってことだな」

 

 仮面ライダーディケイドこと門矢士さんの『だいたい分かった』も飛び出し感激である。だが今までの行動とここまでの説明で『大体わかった』してくれないと最悪、俺と響が囲んで蹴られる(オールライダーキック)になるので冷や汗ものだ。

 

「そうか……シャドームーンが正義のために戦う世界もあるのか……」

 

 感慨深そうに頷くのは仮面ライダーBLACKと仮面ライダーBLACK RX……黒ジャケットと白ジャケットの2人の南光太郎さんだ。

 ……直接シャドームーンと関わりの深い2人にとっては俺という存在に思うところがあるのだろう。その心中を測ることはできない。

 

「しかし響ちゃんのあの姿……確かどこかで……?」

 

 ……何やらRXの方の南光太郎さんが響のことに言及しているのだが……なんだろうか?

 ひとしきり説明が終わり、歴代仮面ライダーたちに納得という空気が流れる中、今度はこちらと響が口を開く。

 

「あの……それでみなさんのこととか、さっきから皆さんの話に出てる『シャドームーン』って人は……?

 たしか超古代文明よりずっと前に『ゴルゴム』って悪いやつらをやっつけた、ノブくんと同じ力の人の名前だったような……?」

 

「君たちの世界の歴史ではそうなっているのか?」

 

 響の発言にまたも驚きを隠せない2人の南光太郎さん。

 そんな中、今度は歴代仮面ライダー側の事情が始まろうとしたその時。

 

 

ぐぅ……

 

 

「はぅ!?」

 

 響のお腹が可愛らしく鳴った。さすがにこれだけの人数に注目されながら腹が鳴るのは恥ずかしかったらしく顔を赤く染めるとお腹を押さえる。

 歴代仮面ライダーたちの方も、緊張感がなりを潜め、柔らかい空気に変わった。

 すると、そこを狙ったかのように大きな2つの皿を持った女性がやってくる。両腕と両足首には大量の腕時計を纏い、髪には1束だけ濃いピンク色のメッシュが施された女性……デンライナーの乗務員のナオミさんだ。

 そんなナオミさんが俺たちの前に皿を置くとクローシュ(金属製の覆い)を取る。

 するとそこには……。

 

「はい、そろそろお腹が空く頃だと思ってつくってました!」

 

「わぁ……!」

 

 そこにあったのは予想通り、『旗付きチャーハン』である。昨日からまともに食べ物を口にしていない俺もそのいい匂いにつられて、自然とゴクリと喉が鳴る。

 

「これ、食べていいんですか!?」

 

「はい、どうぞ」

 

 ナオミさんがニコニコ笑いながら言ってくれると、俺たちに話を聞く進行役をしてくれていたフィリップさんも頷いてくれる。

 

「そうだね、続きは食事を取りながらにしよう」

 

「それじゃいただきま……」

 

「待て、響!」

 

 さっそくチャーハンに匙を向けた響を、俺は慌てて止める。

 

「どうしたの、ノブくん?」

 

「……響、このチャーハンは『旗を倒さないように食べる』んだ」

 

「??」

 

 突然何を言っているのか分からないという様子の響を尻目に、俺は慎重にチャーハンに匙を入れる。視界の隅でデンライナーのオーナーがすごくいい顔をしてこちらに頷いていたのが印象的だった……。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「……というのが現在の僕たちの状況だ」

 

 そう説明を終えるフィリップさん。俺は予想が確信に変わり、頷いた。

 

(やっぱり、ここは『バトライド・ウォー創世の世界』だったのか……)

 

 『バトライド・ウォー創世』……これは仮面ライダーを扱ったゲームのタイトルだ。

 昭和ライダーと平成ライダーが協力して大量の怪人たちと戦っていた時、次々と仮面ライダーたちが消滅する現象が発生。消滅を免れた仮面ライダーゴーストと仮面ライダー電王の2人は、仮面ライダーの消滅は何者かによって仮面ライダーたちの歴史が改変されたためだと知る。消滅した仮面ライダーたちを救うためゴーストと電王は過去に跳び、歴史改変を阻止しようとする……それが大まかなあらすじだ。

 

 この『バトライド・ウォー創世』、話が大きくいくつかの章に分かれる長い話だ。

 まず『平成ライダーたちが最初に戦った敵が何者かに強化されたことで敗北した』ことになってしまった歴史に介入、救出する『平成ライダー救出編』。

 平成ライダー救出後、仮面ライダー響鬼の提案で戦力強化のためにお互いに戦う『特訓編』。

 そして次は昭和ライダーたちを救おうと過去に向かおうとするも、ついに現れた歴史改変の黒幕である『シャドームーン』が襲撃。あわやというところで所謂『平成2号ライダー』たちがシャドームーンを抑える中、過去へ向かう。

 そのまま『仮面ライダー1号』や『仮面ライダーV3』を救う『昭和ライダー救出編』に突入。

 助け出した1号の助言に従いシャドームーンと深いつながりのある『仮面ライダーBLACK』を救出。BLACKの案内でシャドームーンの待つ時の向こうのゴルゴム神殿へと向かおうとするも、シャドームーンを抑えるために挑んだ『平成2号ライダー』たちが敗北し洗脳され、シャドームーンの手駒にされてしまう。そんな平成2号ライダーたちを救出するのが『平成2号ライダー救出編』。

 そしてゴルゴム神殿にたどり着きシャドームーンと決着をつける『決戦編』という中々に長い物語なのだ。

 

 話を総合して考えると、どうやらここは『バトライド・ウォー創世の世界』で間違いない。そして今の時系列は『平成2号ライダー救出編』の真っ最中というところのようだ。

 

(こりゃ、俺の姿で敵味方襲い掛かってくるもの当然か……)

 

 俺はカッシスワームやカイザの言葉、そして歴代仮面ライダーの俺への警戒に納得してしまう。

 何と言ってもこの『仮面ライダー消滅歴史改変事件』、黒幕は『シャドームーン』なのだ。それと同じ姿の俺は敵から見たら『偽物』、仮面ライダーから見たら『事件の元凶』……襲ってきて当然である。

 

(……本当に俺、呪われてるんじゃないか?)

 

 そんな風に思って心の中でため息をついた。

 

「それで……君たちはどうする?」

 

 話が一通り終わり、目の前でそう聞いてくるのは仮面ライダー1号こと本郷猛さんだ。

 その言葉にチャーハンを食べ終えた俺たちは顔を見合わせるとお互いに頷き合う。

 

「俺と響も、みなさんと一緒に戦います」

 

 俺の言葉に、隣で響も頷いた。

 

「ここは俺たちにとっては、まったくの異世界です。

 でもここに来た以上、何か理由があるはず……その理由はきっと、この事件なんでしょう。

 だから……元の世界に帰るためにも、俺も響もみなさんと一緒に戦いますよ」

 

「……わかった。

 では我々は君たちを歓迎するよ、信人くん、響くん」

 

「「はい!」」

 

 そう言って差し出された本郷さんの手を俺と響は思わず握り返す。

 その手は大きく、温かだった……。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 こうして、俺と響は歴代仮面ライダーたちと一緒に、『仮面ライダー消滅歴史改変事件』に関わることになった。

 今仮面ライダーたちは洗脳された『平成2号ライダー』たちを救出して回っているわけだが、四六時中戦うというわけでなくまずはその居場所を探ることから始めねばならず時間がかかる。その間はデンライナーで生活をすることになったわけだ。

 すると少し困ったことも起こるわけで……。

 

「どうしよう、ノブくん……」

 

「うーん……」

 

 話も食事も終わり、デンライナーを案内してもらっているときに俺たちはそれに気付いた。

 

「荷物、全部燃えちゃった」

 

 そう、俺たちが今回の旅行のために持ってきていた荷物はバイクと一緒に炎上した。

 そのため俺も響も揃って、着替えもないことに気付いたのだ。

 

「うーん……少しの小銭と明日のパンツがあれば大概は何とかなるけど、それすらないと困ったね」

 

 ……火野さん、確かにその通りですが響は女なのでパンツだけあってもそれはそれで困りものです。

 とはいえ、衣類が無いのは問題である。手に入れようにもデンライナーで俺たちの世界の金が使えるわけもないし、携帯通信機の支払いも出来ないだろう。

 すると……。

 

「私に任せて!」

 

「きゃっ!?」

 

 そう言ってナオミさんがどこかに響を引っ張っていく。

 そしてしばらくすると……。

 

「ひ、響……その恰好ッ……!」

 

 やってきたのはナオミさんと同じデンライナー乗務員ユニフォームを着た響だ。

 

「ナオミさんが私にって……その……下着とかも新しいのを一緒に……。

 ノブくん……どうかな?」

 

 顔を赤くしてもじもじと恥ずかしそうに身体をくねらす響。

 響のあまりに可愛すぎる様子に、俺は思わず視界の隅でウインクするナオミさんに心の中で最敬礼した。ナオミさん、あなたを神として崇拝しよう。

 

「その……陳腐な言葉しか出ないけど……すっごく可愛いぞ」

 

「えへへっ♪」

 

 そんな風に嬉しそうに笑う響を見て、俺も自然と笑う。

 その後はデンライナーを案内してもらいつつ、歴代仮面ライダーたちに色々な話を聞くことになった。俺としてはもう、感動で死んでしまいそうである。

 ただ……一つ思うことがある。

 

(ああ、この人たちは正しく『本物の仮面ライダー』なんだ……)

 

 話せば話すほど、そんな当たり前以外の何物でもないことを痛感する。

 それを思い知るたびに思うのは、自分との差だ。

 

(俺は……所詮は自分への戒めのために仮面ライダーを『自称』しているだけでしかない……)

 

 偶然にも持っていたシャドームーンの力、その力を悪用しないという自分への誓いと戒めのために『仮面ライダー』を名乗った……それが間違いだとは思わない。だが、本物を前にしてまで『仮面ライダーを自称』できるほど図太くもない俺は彼らを前に『仮面ライダーSHADOW』とは名乗れなかった。おかげで響には妙な顔をされてしまったが……。

 話をするうちにいい時間になっていた。俺も響もデンライナーの入浴車で風呂を使わせてもらいあとは寝るだけである。

 ……俺と響が恋人同士だという話はしているが、当然ながら同じ部屋にしてもらえるはずもなく、響はナオミさんのところで寝ることになった。

 

「ノブくん」

 

「んっ?」

 

 日課になっている響へのシャドーフラッシュによる疲労回復も終えて就寝のためお互いに宛がわれた部屋へ向かう最中、響はそう言って一度周囲を見る。

 そして……。

 

 

 チュッ♡

 

 

「ちょっと旅行の予定と変わっちゃったからその……『そういうこと』はできないから今はこれで……ね」

 

 少し背伸びをしてキスをしてくると、いたずらが成功した子供みたいに響が笑う。

 

「おやすみ、ノブくん♪」

 

 そして、そのまま響はナオミさんの部屋へと入っていった。

 

「んっ~~~!!?」

 

 俺はデンライナーの通路で響のあまりの可愛らしさに身悶える。多分、今俺は過去最高クラスにキモイ顔をしていることだろう。

 俺はそんな熱を覚まそうと食堂車に向かったのだが……。

 

「あっ……」

 

 入るなり、俺に視線が集中する。それで俺は察してしまった。

 

「若いっていいもんだね」

 

 ヒビキさん、あなたも十分若いでしょうに。

 というか、天道さんとかクール系な人たちは我関せずといった感じだが、平成ライダーの人たちの視線は微笑ましいものを見るような目だ。

 だが、昭和ライダーの人たちの視線は少し厳しめである。

 

「信人くん……」

 

「は、はい」

 

 しばらくすると、代表するように本郷さんが俺に言ってくる。

 

「君と響くんが愛し合う恋人同士なのは分かるが……そんな若い身空で不純異性交遊はいけない。

 互いの人生に責任を持てる大人になるまでは、節度を持った異性交遊でなければいかんぞ。

 いいね?」

 

「アッハイ」

 

「そもそも男女の付き合いというものは、だ……」

 

 その後、俺はしばらく本郷さんから清いお付き合いという『指導』を受けることになるのだった……。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 どことも知れぬ神殿、その玉座の間。

 

「キングストーンの……『月の石』の気配がする」

 

 その中心で銀の影が呟く。

 

「不愉快だな、『偽物』め……」

 

 その呟きとともに、銀の影は紅い剣を手に歩き出す。

 

 

 カシャ、カシャ、カシャ……

 

 

 神殿内に金属質な足音が響く。

 嵐が、迫っていた……。

 

 




今回のあらすじ

フィリップ「なるほど……興味深い」

もやし「大体わかった」

SHADOW「生名台詞が聞けて俺の興奮が有頂天!」

ビッキー「なんかノブくんが死ぬほど興奮してる件」

SHADOW「ライダーファンが本物と会えれば、こうもなろう!
    ……ぶっちゃけ、これで説得できなかったら『オールライダーキック=相手は死ぬ』の刑に処されるので内心ではドキドキだぞ。
    そして!!」

ビッキー「ごはん&ごはん!!」

防人「名物チャーハンの登場に今度は立花が興奮しているぞ」

奏「まぁ、こういうシーンがクロスオーバーの醍醐味だからね」

SHADOW「やはりここは『バトライド・ウォー創世』の世界だったか!」

キネクリ「まぁ、普通に清めの音なしでバケネコさんぶっ殺せたし、色んな敵がわんさか出てきておまけに『平成2号ライダー』のナイトやカイザが襲い掛かってくるわでヒント盛りだくさんだったし、分かりやすかったんじゃないか」

SHADOW「つーか、敵味方(怪人とライダー)両方から問答無用で襲われるような状況にいきなり放り込むキングストーンさんマジ鬼畜!」

月の石「君ならできるよ(笑)」

ビッキー「バーリア〜!平気だも〜ん!(笑)」

SHADOW「おい、月の石とウェヒヒ蜂。作者含めたシューターの皆さんを煽るんじゃあない!」

OOO「少しの小銭と明日のパンツがあればいい」

SHADOW「少しの小銭と明日のパンツだけの響……素晴らしいッ!Happy Birthday!」

393「……フゥ、言い値で買おう!」

キネクリ「おい、2人揃ってとんでもない欲望がダダ漏れてんぞ!」

ビッキー「彼氏と親友がクズ過ぎてワロエナイんですがどうしたらいいですか?」

奏「諦めたら?」

防人「そしてクロスオーバーの醍醐味その2的な、ナオミさん衣装な立花」

ビッキー「えっと……どうかな?」

SHADOW「露出だけがエロスじゃないと教えてくれる、とても素晴らしい衣装です」

393「わかりみが深い」

キネクリ「……世界平和のためにもこの2人は早く封印したほうがいいと思うぞ」

SHADOW「ああ、話すとわかる。俺って所詮、『自称』仮面ライダーなんだな……」

奏「ここが今回の劇場版編のテーマの一つだね」

ビッキー「ノブくん♡ おやすみのチュッ♪」

SHADOW「背伸びおやすみキッスとか、響が可愛すぎるんじゃぁ!!」

フィーネさん「……もしもし、ミュージアムさん。大至急、スパイダーメモリを送って頂戴。この世からリア充をすべて爆殺するから」

防人「あのメモリって最初期のメモリのくせに滅茶苦茶強いわよね。使いようで世界崩壊させられそうだし」

キネクリ「間違ってもフィーネみたいな永年喪女には持たせちゃいけないメモリだよな」

フィーネさん「キネクリ、お前今度マジで殺すわ」

SHADOW「こんなことされて健全な男子高校生が耐えられるわけないやろ! どこかで隠れて響としっぽり初体験を………」

1号「不純異性交遊はいけない、イイネ?(ライダー威圧)」

SHADOW「アッハイ」

???????「偽物の気配がするでム~ン」

SHADOW「それ違うバージョンだろ!?」


というわけでデンライナーに乗車するの巻でした。
色々クロスオーバーとしてやっておきたいことを好き勝手にやりました。

次回もよろしくお願いします。
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