それでも月は君のそばに   作:キューマル式

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第33話

 カシャ、カシャ、カシャ……

 

 

 特徴的な金属質な足音とともに、銀の身体(ボディ)が現れる。

 俺と同じ姿……そう、この『仮面ライダー消滅歴史改変事件』の黒幕である『シャドームーン』だ。

 

「あれがノブくんと同じ力を持った悪人……シャドームーン」

 

「……」

 

 響も俺もシャドームーンから放たれる凄まじい威圧感に、警戒しながら様子を伺う。

 そして、シャドームーンは俺に視線を向けた。

 

「貴様が不愉快な偽物か……」

 

「俺は偽物でもなけりゃ、初対面で不愉快がられるようなことをした覚えもないんだがな」

 

 威圧感に押されまいと、俺は努めて飄々と答える。

 その瞬間、シャドームーンからの俺への敵意が一気に膨れ上がる。

 

「仮面ライダーの真似事をする我と同じ姿をした者……その姿、不愉快極まりない。

 だが……利用価値はある」

 

「それはどういう……?」

 

 シャドームーンの不穏な言葉に問い返すが、奴は問答無用と手にした剣を抜き放った。

 

「あれ、サタンサーベル!?」

 

 それに気付いた響が驚きの声を上げた。

 だがサタンサーベルはシャドームーンの象徴とも言える武器、俺は驚くことなく構える。

 

「響……下がってくれ」

 

「ノブくん!?」

 

「俺とシャドームーンに姿形で差異はない。 どっちがどっちだか分からない状態で援護は無理だ」

 

「でも!?」

 

「……俺だってシャドームーンを1人で倒し切れるかって言われたら、おそらく無理だ。

 きっと異変を感じた他のライダーたちがやってきてくれる。だからそれまでを俺がもたせるようにするさ」

 

「……わかった。ノブくん、気を付けてね」

 

「大丈夫、こんなところで死ぬつもりはないよ」

 

 心配する響に、あくまで時間稼ぎに専念すると言って下がらせると、俺はシャドームーンに向かって一歩を踏み出した。

 

「今生の別れは済んだか?」

 

「生憎、まだ死ぬつもりはないからな。そんなものは必要ない」

 

「そうか……では死ねぃ!!」

 

「そんなに簡単に死ねるかよ!!」

 

 シャドームーンがサタンサーベルを振り上げ、俺は拳を握りしめ走りだす。

 こうして俺とシャドームーンの戦いは始まった……。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「フンっ!!」

 

「くっ!?」

 

 サタンサーベルを寸でのところで躱しシャドームーンの懐に入ろうとするが、隙なく振るわれるサタンサーベルに阻まれてそれが出来ない。

 

「それなら!!」

 

 俺がキングストーンへと意識を集中させるとキングストーンエネルギーが集束し二振りの剣、シャドーセイバーとなりそれを俺は振り抜いた。

 

「ここからは俺の番だ!!」

 

 俺は大小二振りのシャドーセイバーを連続して振るう。しかし……。

 

「当たらない!?」

 

 嵐のような連続攻撃を繰り出しているというのに、それがシャドームーンには当たらない。

 

(これが本家シャドームーンの剣技か!?)

 

 ある攻撃はかわされ、またある攻撃はサタンサーベルで逸らされる。そこには純然とした技量の差が存在していた。

 俺も翼を相手に多少は剣の特訓もしていたが、あのゴルゴムの剣聖ビルゲニアを一刀のもとに切り裂いたシャドームーンの剣技は別格だ。

 それに……。

 

(こいつは純粋なシャドームーンじゃないからな……)

 

 今のところ俺だけが知っているだろう事実……この『バトライド・ウォー創世』におけるシャドームーンは、『シャドームーンであってシャドームーンではない』。その正体は仮面ライダーBLACKによって倒されたゴルゴムの創世王が復活、シャドームーンの亡骸に乗り移って操っているものである。

 そもそも仮面ライダーBLACK本編における2人の世紀王の戦い、『ブラックサンとシャドームーンの2人が戦い勝った方が次のゴルゴムの支配者である創世王となる』というのは真っ赤な嘘で、最初から勝った方の身体を創世王が乗っ取る予定の出来レースだったのだ。

 そんなことを繰り返し、それこそ気の遠くなる時間をゴルゴムの支配者として生き長らえてきたのが創世王であり、サタンサーベルはゴルゴムの象徴、本来は創世王の武器だ。その扱いに関しても、比喩ではなく万年単位のキャリアがあるだろうし、剣技に関しては俺とは比べるべくもないだろう。

 

(しかし、本来の創世王の戦闘能力はここまでのものなのか……)

 

 正直に言えば俺は仮面ライダーBLACK本編を知っているだけに創世王という存在の強さに懐疑的……はっきり言って舐めていた。

 仮面ライダーBLACK本編で登場した創世王は偉そうなことを言うデカい心臓でしかなく、やったことはバリアを張って地球を壊すと仮面ライダーBLACKを脅したくらいだ。その最後もあっさりとサタンサーベルで貫かれて終わりで、たいしたことはしていない。

 だが後の世で蘇り歴史に介入してくるような超常的な力を振るい、シャドームーンの身体を手に入れた今の創世王の力は凄まじいものだった。仮面ライダーBLACK本編の創世王は本当に寿命で死にかけだったのだろう。

 

 俺は自身の認識の甘さを改め、冷静にシャドームーンの動きを観察する。

 すると、シャドームーンはサタンサーベルを構え直す。

 

「お前に本当の剣というものを教えてやろう……」

 

「っ!?」

 

 鋭いサタンサーベルの連続攻撃が繰り出され、それをシャドーセイバーで防ぐのが精いっぱいだ。

 

「ふんっ!」

 

「ぐあっ!?」

 

 サタンサーベルを防ぐと同時に繰り出された蹴りを受け、俺は後方へと吹き飛ばされる。

 何とか体勢を立て直すも、その時には目の前に接近したシャドームーンは振り上げたサタンサーベルを俺目掛けて振り下ろす。

 回避は間に合わない……そう悟った俺は、2本のシャドーセイバーをクロスさせサタンサーベルを防ぐ。

 しかし……。

 

「お、折れたぁ!?」

 

 サタンサーベルとかち合った2本のシャドーセイバーが折れていた。シャドーセイバーは仮面ライダーBLACK RXのリボルケインと同じく、俺のキングストーンエネルギーを剣の形に結晶化したものである。それを砕くサタンサーベルの力に俺は戦慄するが、俺にそんな暇はなかった。

 

 

 ザンッ! ザンッ!!

 

 

「ぐぁぁぁっ!!」

 

「ノブくんっ!?」

 

 そのままサタンサーベルの刃が俺の左肩から腰に掛けての袈裟切り、横薙ぎと連続して振るわれる。

 その強力な斬撃に、強固なシルバーガードの装甲が火花を散らし、衝撃に俺は二歩三歩と後ずさる。激痛によって思わず漏れた声に、響が悲痛な声を上げた。

 そんな俺にトドメとシャドームーンは突きを放とうとするが、俺はそれよりも早く動いていた。

 

「トゥ!」

 

「グッ!?」

 

 そのまま大きく後ろに跳ぶと同時に手にしていた、もはやほとんど柄だけになった2本のシャドーセイバーを放り投げる。

 同時にシャドーセイバーを形成していたキングストーンエネルギーが解放され、大爆発が起きた。

 さすがにこの衝撃は堪えたらしく、吹き飛ばされてゴロゴロと転がるシャドームーン。その拍子に、シャドームーンの手からサタンサーベルが落ちた。

 

「ここだ!!」

 

 勝機と見た俺はそのままシャドームーンへと跳びあがる。シャドームーンも立ち上がり構えると跳び上がった。

 

 

「「シャドーパンチッ!!」」

 

 

 正面からぶつかり合う、俺とシャドームーンのシャドーパンチ。

 威力は互角のはず……だが!?

 

「ぐぁぁ!?」

 

 俺のシャドーパンチははじき返され、そのままシャドームーンのシャドーパンチが俺の顔面に突き刺さった。

 

「くそっ! トゥッ!!」

 

 俺は吹き飛ばされながらも何とか空中で体勢を立て直し、着地したと同時に再び跳び上がる。

 同時に、シャドームーンも跳び上がっていた。

 

 

「「シャドーキックッッ!!」」

 

 

 再び空中でぶつかり合う俺とシャドームーンのシャドーキック。

 そして……。

 

「ぐぁぁぁぁ!!!?」

 

「ノブくん!?」

 

 またしても当たり負けしたのは俺の方だった。

 そのまま吹き飛ばされ、その衝撃に地面に身体を何度もバウンドさせながら転がる俺に、思わず響が駆け寄ってくる。

 響に肩を借りながら立ち上がろうとする俺に、シャドームーンはカシャカシャと足音を立てながら歩いてくる。

 

「やはり弱いな。 しかし、だからこそお前を『呼んだ』」

 

「ッ!? それは一体どう言うことだ!!」

 

 シャドームーンの聞き流せない言葉。

 『呼んだ』……シャドームーンは確かに今そう言った。俺は身体の痛みも忘れ、シャドームーンへと言葉を投げるとそれにシャドームーンが返す。

 

「あの忌々しい仮面ライダーたち……奴らをすべて消し去る計画が失敗し、あの奇妙な列車で奴らの存在が戻っていくのを感じた時、我は一つの保険を掛けることにした。

我が更なる力を得るために『別の世界のシャドームーン』を呼び出すことに決めたのだ。

 しかし……さすがは我と同じ、キングストーン『月の石』を持つ者たち。どの世界のシャドームーンも一筋縄ではいかぬ者たちばかりであった。

 これでは仮面ライダーどもとの戦いに支障も出るやも知れぬ……そんな折に、貴様を見つけた。

 キングストーン『月の石』を持ちながら、あろうことか『仮面ライダーの真似事をするシャドームーンの偽物』……これぞ我の求めていたものと我の『月の石』を貴様の『月の石』に共鳴させ、この世界へと呼びだしたのだ」

 

「……要するになんだ、俺が弱くてしかも天敵の『仮面ライダー』を名乗ってるのがムカつくから、自分が強くなる餌にするために俺をこの世界に呼んだ……そういうことか?」

 

「そういうことだ」

 

 シャドームーンの口から語られた、俺たちがこの世界に来た理由に頭に血が上るのを感じる。

 

「……俺は確かに仮面ライダーの偽物かもしれないが、お前に負けるつもりは毛頭ない!!」

 

「だめっ! ノブくん冷静になって!?」

 

 俺は吼えて、支えてくれている響を押し退けるようにして距離をとらせると、再びシャドームーンに飛び掛かった。

 

 

「シャドーパンチッ!!」

 

 

 右手に最大限のキングストーンエネルギーを集中させ、俺は空中でシャドーパンチの体勢に入る。

 だがシャドームーンはそんな俺を相手に動く気配がない。

 

「この力……キングストーン『月の石』を持ちながら、その力を自分のためだけに使おうとしないなど、宝の持ち腐れにすぎん。

 その弱さを、思い知るがいい!」

 

 そして、シャドームーンの視線が俺から外れる。その視線の先には……響!?

 その瞬間、俺の背筋に『直感』が駆け巡った。

 

「フンッ!」

 

「ッ!?」

 

 シャドームーンの手に現れたシャドーセイバー、その短剣をシャドームーンは響に向かって投げつけたのだ。

 

「響っ!?」

 

 叫ぶが、俺には分かってしまう。このままいけばあの投げつけられたシャドーセイバーは響を貫くだろう。

 そして、俺は迷うことなく決断した。

 

「シャドービームッ!!」

 

 俺はシャドーパンチのキングストーンエネルギーを即座にシャドービームに変換して放った。

 シャドービームの念動光線が響に当たり、俺はそのまま響をシャドーセイバーの射線から逃すように響を放る。

 だが、そのためにキングストーンエネルギーを放った俺は無防備なままシャドームーンの元へと飛び込む。

 そして……。

 

 

 ザクッ!

 

 

 俺はシャドームーンの突き出した長剣のシャドーセイバーの切っ先に自分から突っ込んでいた。

 

「が、ガハッ!?」

 

「の、ノブくん!!?」

 

 腹に突き刺さったシャドーセイバーに俺は血を吐き出し、響の悲鳴が響く。

 

「フンッ!」

 

「ぐ、うぅ……」

 

 シャドームーンがシャドーセイバーを引き抜くと、俺はそのダメージに片膝を付く。

 同時にダメージによって変身の状態が保てなくなり、俺はSHADOWから元の姿へと戻っていた。

 

「シャドームーンならば敵を倒すためならばあんな小娘一人、どうなろうが知ったことではない。

 それすら出来ないような軟弱なものがシャドームーンの姿をしているとは……許しがたい」

 

 そう言って俺を見下すシャドームーン。俺は襲い来る激痛の中、それでも精一杯シャドームーンを睨みながら返した。

 

「へっ……ほざくなよ。お前だってシャドームーンの偽物だろうが。

 お前がシャドームーンを語るなよ、寄生虫!」

 

 仮面ライダーBLACK本編のシャドームーンは、シャドームーンの姿になっても妹や恋人への愛を完全には捨てきれていなかった。

 そんなシャドームーンのことをこいつが語るというのは俺には許せなかったのだ。

 

「ほぅ……貴様何かを知っているな?」

 

「さぁ、何のことだか。 知りたきゃもっと近くに来たらどうだ?」

 

 俺は軽口を叩きながらもキングストーンエネルギーを握りしめた拳へと集中させた。もはや変身はできそうにないが、それでも最後まで戦うと決意を込めて睨み付ける俺にシャドームーンは手を掲げる。

 

「……貴様への興味はあるが、まぁいい。 それよりも貴様をこの世界に呼んだ理由を終わらせることにしよう」

 

 瞬間、シャドームーンの手から迸った紫電が俺に襲い掛かった。シャドービームだ。

 

「ぐぁぁぁぁ!!」

 

 身体が灼ける痛みが駆け巡る。だが、それと同時にシャドービームが俺の体内をまさぐるのを感じ取っていた。

 

(まさか……奴の狙いは!? マズい!!)

 

 そのことを察したそのときだった。

 

「ノブくんから……離れろぉぉぉぉぉ!!!」

 

「!? ダメだ響!!」

 

 拳を握りしめた響がシャドームーンに飛び掛かっていた。

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

 響がその拳とともにフォニックゲインを叩き込むが、シャドームーンの強固な装甲『シルバーガード』に阻まれてダメージにならない。

 

「小娘風情が……そんな力で我が身体を傷つけられると思っているのか?」

 

「あぅっ!?」

 

 シャドームーンに跳ね飛ばされる響がその衝撃で地面を転がる。

 

「響っ!!」

 

 だが、俺が響の名を叫んだその瞬間、俺は『決定的なもの』に触れられたのを感じた。

 

「……見つけたぞ!」

 

 その瞬間、体内で暴れ回るシャドービームが、俺の身体を内側から喰い破った。

 

「がぁぁぁぁぁ!!」

 

「の、ノブくぅぅぅぅぅん!!」

 

 吹き上がる血に地面に倒れそうになった俺を、ボロボロになりながらも響がキャッチする。

 

「こ、こんなに血が!? ノブくん、しっかりして!!」

 

 響は青い顔をしながら俺の腹の傷を押さえる。

 

「さて、目的は達した。 後は不愉快な偽物にトドメをさしてやろう」

 

 そんな俺たちに、シャドームーンはレッグトリガーのカシャカシャという音を響かせながらゆっくりと近付いてくる。

 

「ひ、響……お前だけでも……逃げろ……!」

 

 俺の腹の傷を押さえる響に、俺は朦朧とした意識の中で逃げろと促した。

 だがそんな俺に、響はイヤイヤと首を振る。

 

「イヤッ! ノブくんは私が守る!!」

 

 そう言って響は俺を左手で抱きながら、残った右手で拳を握りしめる。

 その時だった。

 

「ムッ、これは……?」

 

 突如としてシャドームーンが俺たちから視線を外し、どこか別の方向を見る。

 瞬間、獣のような咆哮が響き渡った。

 

 

 

「ケケエエエエエーーーッ!!」

 

 

 

 この咆哮は……!?

 そして、俺と響を閉じ込めていた『壁』が切り裂かれる。

 

 

 

「スーパー大切断ッッッ!!」

 

 

 

 『壁』を切り裂き飛び込んできた影は、倒れた俺と響を守るようにシャドームーンの前に立ち塞がる。

 

「あ、あなたは……アマゾンさん!」

 

「ノブト、ヒビキ、トモダチ!

 トモダチ、マモル!」

 

 アマゾンさんこと仮面ライダーアマゾンは両手を広げたような戦闘態勢でシャドームーンを睨み付けた。

 

「仮面ライダーか……1人で我の相手をしようと?」

 

「おっと、俺もいるぜ」

 

 アマゾンに対し構えるシャドームーン、そこに新たな声が響く。

 

 

『ファイナルアタックライド ディ・ディ・ディ・ディケイド!』

 

 

「はぁっ!!」

 

 シャドームーンに向かって空中にカードが並び、そのカードを突き破るようにしながら仮面ライダーディケイドが必殺キック『ディメンションキック』を繰り出した。

 

「クゥ!?」

 

 たまらず腕をクロスさせてそれを防いだシャドームーンは衝撃で大きく吹き飛ばされる。

 その隙に、俺と響の前でアマゾンと並ぶように仮面ライダーディケイドが降り立った。

 

「門矢さん……」

 

「お前たちは休んでろ。 こいつの相手は俺たちでする」

 

 チラリと俺と響を見ると、仮面ライダーディケイドもシャドームーンに構えを取った。

 

「仮面ライダーが2人か……少し時間をかけすぎたか……。

 よかろう、必要なものはすでに手に入れた。

 ここは退いてやるとしよう」

 

 そう言って、いつの間にか拾っていたサタンサーベルをシャドームーンが掲げると光のもやのようなものが現れ、シャドームーンの姿が消えていく。

 

「奴に、ブラックサンに伝えるがいい。

 我が神殿で待つ、とな」

 

 そう言ってシャドームーンは消えていった。

 シャドームーンが消え緊張感が消えると、思い出したかのように激痛が俺を襲う。

 

「ぐぅっ……!?」

 

「ノブくん!?」

 

「おい、信人。 しっかりしろ!」

 

 響は悲鳴のような声を上げ、ディケイドが腹の傷口を押さえにかかる。

 

「ノブト、この薬草塗る。

 少しは痛みが薄れる」

 

「がっ!?」

 

 アマゾンが万能サバイバルキットであるベルト、『コンドラー』を薬研にして何やら取りだした薬草をすり潰して俺の傷口に押し当てた。

 痛みに思わず悲鳴が漏れるが、確かに少しは楽になる。

 その時、視界の隅に空から降りてくるデンライナーの姿が映った。

 それで安心したのか、俺の意識は完全に闇に沈む……。

 

 

「ここ、は……?」

 

 俺が目覚めたのはデンライナーの寝台車、その一室だ。

 

「ノブくん!!」

 

「おわっ!?」

 

 目が覚めた途端、響が飛びつくように俺に抱きついてくる。

 

「よかった……よかったよぉ……ノブくん、ノブくん、ノブくん……!!」

 

「……ごめんよ、心配かけて」

 

 泣きながら俺の名を連呼する響。随分心配をかけたことを申し訳なく思いながら、俺は響が落ち着くまでその頭を撫で続ける。

 しばらくして落ち着いた響が俺から離れ、俺はあの後の話を聞くことにした。

 

「あの後すぐにデンライナーにいた2人の光太郎さんが、キングストーンフラッシュでノブくんの傷を癒してくれたの」

 

「ああ、だから傷は塞がってるのか……」

 

 シャドーセイバーで刺されたあげく、シャドービームで身体の内側から腹を破かれたのだ。ほぼ致命傷だというのに痛みはあるものの傷は塞がって元通りだ。

 

「……」

 

 ……いや、元通りではない。俺にとってもっとも重要なものの存在が……ない。

 

「こうしちゃいられない。このことを他の人たちに伝えないと……」

 

「ノブくん、まだ動いちゃダメだよ!」

 

 痛みに顔を歪めながら立ち上がろうとした俺を、響が押さえつけて止める。 

 

「そんなこと言ってる場合じゃない。 奴が、シャドームーンが俺をこの世界に呼んだ理由を、みんなに伝えないと……」

 

「なら私が伝えるから! お願い、ノブくんは休んでて!」

 

「……わかったよ」

 

 目に涙を浮かべながらも強い口調で言う響に押され、俺は力を抜いてベッドへと戻る。

 そして、その言葉を伝えた。

 

「俺のキングストーン『月の石』を奪われた……奴は俺の『月の石』を奪い、自分の中に取り込んでさらに強くなって確実にライダーを倒すつもりで俺をこの世界に呼んだ……そう、すぐに伝えてくれ……」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 ここは時空のどこかに存在するゴルゴム大神殿。

 その玉座に座るシャドームーンの手には、青く輝く石が握りしめられていた。

 それは信人から抉り取られたキングストーン『月の石』である。

 そのキングストーンをシャドームーンは自身のベルト、シャドーチャージャーに押し当てると吸収されるように『月の石』が消える。

 

「ぐ、おぉぉぉぉ……!!」

 

 途端にシャドームーンの身体に変化が起こってきた。

 

「ククク……異なる世界とはいえ同じ『月の石』、この身体によくなじむ。

 キングストーン2つを持った我にもはや恐れるものはない。

 ククク……アハハハハハハッ!!」

 

 神殿にシャドームーンの高らかな笑い声が響き渡った……。

 

 




今回のあらすじ

ビッキー「今回はノブくんVSシャドームーンだよ!」

SHADOW「しかし敵として現れると、レッグトリガーのカシャカシャした音って威圧感半端ないな」

フィーネさん「やっとそこに気付いてくれたのね……」

シャドームーン「死ねよやでム~ン」

奏「サタンサーベルまで持って万全な状態のシャドームーンの相手はやっぱキツイわな」

防人「シャドームーンって剣技も凄いし……剣聖を一太刀でってアレは当時衝撃だったわぁ」

キネクリ「シャドームーンは登場が遅かったから、BLACK本編だとライバルってどっちかっていうと直接戦う機会の多かったビルゲニアの方になりそうだしな。それを一撃ってことでシャドームーンの登場のインパクトは凄かった……」

SHADOW「ここからは俺のステージだ!」

ビッキー「うん、やっぱり予想通りシャドームーン相手に剣で勝つのはちょっと無理」

SHADOW&龍騎「お、折れたぁ!?」

奏「おいおい、リボルケインと同質だって言ってるシャドーセイバーが折れたよ」

防人「まぁ、歌でも『リボルケインも歯が立たぬ』ってものがあるんだし、そういうこともあるんじゃない?」

キネクリ「いや、その歌はどう考えても嘘だろ!」

SHADOW「剣技で負け、地力で負け……オデノカラダハボドボドダ!」

ビッキー「まぁ、ここのシャドームーンって『シャドームーン+創世王の力』って超強化モードだし多少はね」

シャドームーン「と、ここで今回の話のネタばらしだム~ン」

キネクリ「えーと……要約するとこういうことか?」


シャドームーン「初手ライダー全滅を防がれたでム~ン。ブラックサン復活を阻止しようとしたけど出来なかったでム~ン。このままだと負けるかもしれないム~ン」

シャドームーン「そうだ、もう一つ『月の石』を取り込んでパワーアップすればいいでム~ン!」

シャドームーン「……どの世界でもシャドームーンって凶悪ム~ン。下手に呼び出すとこっちが負けるかもしれないム~ン。こわいなーとづまりすとこ」

シャドームーン「おっ、『月の石』持ってて仮面ライダーのモノマネしてる弱いの見つけたでム~ン!さっそく招待するでム~ン」


奏「で、今に至ると」

SHADOW「あべしっ!!」

ビッキー「ああ、ノブくんがひでぶぅした!?」

防人「いや、このキングストーンを抉り出されるシーンはどちらかというと映画『エイリアン』をイメージしたらしいぞ」

アマゾン「ケケエエエッ!!」

もやし「おい助けにきたぞ」

キネクリ「で、アマゾンとディケイドの救援で何とか助かったか……」

フィーネさん「ところで『ケケエエエッ!!』って叫び、小学校のころプールでやらなかった?ほら、友達の水泳帽奪って握りしめながら」

奏「アトランティスごっこは小学生の基本」

防人「で、月影のキングストーン『月の石』を奪われて、シャドームーンがパワーアップしたと」

ビッキー「味方に『太陽の石』×2で敵に『月の石』×2でバランスがいいね!」

SHADOW「いいわけあるかぁ!!」

キネクリ「キングストーン二連装のシャドームーンとか、もうヤバさが爆発しすぎてるんだが……」



というわけでVSシャドームーン戦と、信人達がどうしてこの世界に来たネタばらし回でした。
よし、ノブくん各章1度は死にかけるノルマは達成したぞ!

次回もよろしくお願いします。
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