「はぁ!!」
バッタ怪人の姿へと変身した俺は『アナザーシャドームーン』へと拳を叩きつける。
いかにゴルゴム大怪人級とはいえ、バッタ怪人と『アナザーシャドームーン』の差は歴然だ、ただのパンチではダメージにもなるまい。だから、これも無論ただのパンチではない。
バッタの羽根を動かす筋肉は高速振動を生み出す。それを利用し、振動波を拳に集中して威力を高めた『
……ようするにエルボートリガーとレッグトリガーの劣化版とも言える効果をもった攻撃なのだ。それを何発も連続で叩き込んだ。
「ぬるいわ!」
しかし避けようともせずそれを受けた『アナザーシャドームーン』は無傷、逆に俺の首を掴むと締め上げる。
「ぐっ!?」
「ノブくん!?」
首を絞めあげられる俺に響や仮面ライダーが助けに入ろうとするが、その前に『アナザーシャドームーン』の顔面に何かが叩き込まれた。
「なんだ!?」
予想外の方向からの攻撃に、『アナザーシャドームーン』が俺の首を絞める力が緩む。
「おらぁ!!」
その間に俺は両足に振動波を集中、『
そんな俺に、響が驚きの声を上げる。
「ノブくん、背中のそれ!?」
響が指を指すのは俺の背中……正確にはそこから生えた『腕』だ。
バッタ怪人の形態は、その名の通りバッタとしての生態を色濃く残している。そのため背中に隠された先の尖った副腕、『第二の腕』を持っているのだ。さっき『アナザーシャドームーン』の顔面に叩き込まれたのはこの『第二の腕』の一撃である。
バッタ怪人の姿は、確かにSHADOWの時よりは弱いだろう。
しかしバッタ怪人形態はよりトリッキーな戦い方ができる。それで逆転の一手を狙うしかない。
俺はチラリと視線を『アナザーシャドームーン』の腰に向ける。
(創世王の力は強大だ。その力を削ぐためにも、俺のキングストーンを取り戻す!)
腰の二連シャドーチャージャー部を攻撃し、どうにか俺のキングストーンを取り戻すことで創世王の力を削ごうというのが俺の考えだ。
だが……。
(火力がまるで足りない……!?)
先ほど脱出の際に、渾身の『
他の仮面ライダーたちの援護があっても突破できないような巨大な壁だ。
「だからって諦められるか!」
そう自分を叱咤すると俺は再び『アナザーシャドームーン』へと向かっていく。
しかし!
「そう何度もやらせると思うか!」
『アナザーシャドームーン』が手にしたサタンサーベルから、シャドービームが稲妻のように降り注ぐ。
「うぉぉぉ!!」
その奔流を地面を転がり、ギリギリのところで何とか避けきった俺に間髪入れずに『アナザーシャドームーン』が接近してくる。
「ぐぁぁぁ!!」
振り下ろされたサタンサーベルをかわしきることが出来ず、咄嗟に前に出した『第二の腕』が切り落とされ地面に転がった。
「こ、のぉぉぉ!!」
俺は、今だ激痛とともに緑色の体液が溢れ出す『第二の腕』を掴むとそのまま力を込める。
昆虫は外敵に襲われたとき、足などを切り離して逃げるということができるものがある。そんな昆虫の生態を持ったバッタ怪人形態の俺は、先端の切り落とされた『第二の腕』を自分で背中から引き千切ると、そのまま『第二の腕』を鈍器にして『アナザーシャドームーン』に叩きつける。
「無駄、無駄ァ!!」
「がっ!?」
しかしダメージを与えることはできず、カウンターで叩き込まれた左の拳が俺の胸板を叩き、その衝撃で俺は吹き飛ばされた。
「トドメだ!」
「ッ!?」
体勢を崩した俺にトドメと『アナザーシャドームーン』がサタンサーベルを振り上げた。
俺に避ける術はない。
死を運ぶ凶刃が、俺に迫る……。
~~~~~~~~~~~~~~~
「ノブくん!?」
信人に迫る凶刃を認識した瞬間、響の身体は信人を救うために勝手に動き出していた。
しかし身体とは別に、今まで弦十郎や仮面ライダーたちによって鍛えられた響の戦いの思考は状況を残酷なまでに冷静に計算していた。
(私が防ぐ? ダメ、ノブくんの盾になっても、私ごとノブくんが斬られて死んじゃう!?
ノブくんを突き飛ばす? ダメ、一撃は私が犠牲になってそれで避けれても返す刀をノブくんは避けられない!?)
戦いの中で際限なく加速する思考をどう巡らせても、信人の死の運命を覆す一手が見当たらない。将棋やチェスで言う『
そんな時だ。
『私を……呼べ……!』
響の脳内、どこからともなく声が響いたような気がした。
聞いたことがない、だがどこかで聞いたことがあるようなその少女のような声。極めて近く、限りなく遠い場所から響くその不思議な声に、不思議と響は恐怖も疑問も抱かなかった。
『欠けた我らの月を取り戻すため私を……呼べ……!!』
その声に導かれるように響は意識することなく、『ソレ』を呼んだ。
「来て、サタンサーベルッ!!」
~~~~~~~~~~~~~~~
俺に振り下ろされるはずだった紅い刃、だがそれは直前で同じ紅い刃によって防がれる。
それは……!
「響!?」
「ノブくん!!」
それは響が手にしたサタンサーベルだった。
「バカな、それは異世界のサタンサーベルか!
異世界とはいえ、サタンサーベルがそんなただの小娘に使われることを良しとするだと!?」
自分のサタンサーベルが異世界のサタンサーベルに、しかもそれを使ったのが世紀王でも何でもない響だったことに『アナザーシャドームーン』は驚愕の声を上げる。
「今だ!!」
「ムゥ!?」
響のつくってくれたチャンスを生かし、俺は全力の『
その隙に響を抱えるように一度飛び退いて距離をとる。
「響、ソレは……。それに大丈夫なのか?」
「……うん、私もよく分からないんだけど身体も異常はないし行けるよ!」
何故サタンサーベルがここにあり響が扱えているのか分からないが、どうやら大丈夫なような。
それに……サタンサーベルなら『アナザーシャドームーン』にも通じるはず!
「……響、手伝ってくれるか?」
「……うん!」
一瞬キョトンとする響だが俺の言葉を理解すると、笑顔で返してくれた。
「異世界のサタンサーベルめ、そんな小娘風情にも使われるとは……貴様のような不良品はその偽物とともに砕いてくれる!」
体勢を立て直した『アナザーシャドームーン』は俺たちに、そしてサタンサーベルへ敵意を向ける。
「行くぞ響、合わせてくれ!」
「うん!」
俺の言葉に響が頷き、俺たちは同時に走りだした。
「はっ!!」
響はサタンサーベルを構えながら『アナザーシャドームーン』に、そして俺は走りながら地面に落ちた、切り裂かれた『第二の腕』を両手で拾い上げると『アナザーシャドームーン』に交互に投げつける。
同時に俺は加速、後ろから響に追いつくとその身体を左手で抱きしめ、響の握るサタンサーベルを俺も右手で握った。
「「はぁぁぁぁ!!」」
2人でサタンサーベルを握りしめながら、俺と響は『アナザーシャドームーン』に迫る。
「バカめ、これでかく乱したつもりか!」
俺の投げつけた2本の『第二の腕』は、片方は『アナザーシャドームーン』には当たらないところに飛んでいき、片方が直撃するコースへと乗っていた。『アナザーシャドームーン』は、直撃するコースで飛んできた『第二の腕』をサタンサーベルで切り払う。
「2人まとめて葬ってくれる!」
そしてそのまま『アナザーシャドームーン』はサタンサーベルを振り上げた。一刀のもとに俺と響をもろとも切り裂こうというのだろう。
一見して絶体絶命の状況。だが……そんな中、俺はニィっと口を吊り上げて笑った。
そして異常が現れる。
「なっ、これは……!?」
サタンサーベルを振りあげた『アナザーシャドームーン』が不自然な体勢のまま硬直した。
「これがお前の知らない、人の技だ!!」
俺の視線の先には地面に突き刺さった……正確には『アナザーシャドームーンの影』に突き刺さった、先の尖った『第二の腕』がある。
さっき俺が投げつけた2本の『第二の腕』、この片方は『アナザーシャドームーン』には当たらないところに飛んでいった。しかし、俺の狙いは最初から『アナザーシャドームーンの影』だったのである。
狙い違わず『アナザーシャドームーンの影』に当たり、それが『アナザーシャドームーン』の動きを止めたのだ。
これこそ俺たちの頼れる大人、忍者である緒川さん直伝の忍術。
その名は……!
『影縫い』
翼も使う拘束技である。
とはいえ、『影縫い』で『アナザーシャドームーン』を拘束するのは無理がある。
だが……。
(0.1秒の隙ができた!)
たったそれだけの、だが必勝のその隙が出来ればそれでいい!
「「たぁぁぁぁぁぁ!!」」
俺と響が手にしたサタンサーベルを振り下ろす。
「ぐわぁぁぁ!?」
サタンサーベルの刃はあれだけ強固だった『アナザーシャドームーン』の装甲を切り裂く。左肩から腰の二連シャドーチャージャーにかけて袈裟切りにし、激しい火花が散った。
しかし、致命傷ではない。
「貴様らぁぁ!!」
「!? マズい!?」
激昂した『アナザーシャドームーン』から周囲に向けて、緑の光の波動が放たれた。全方位への高出力な『シャドーフラッシュ』だ。
それは咄嗟に飛び退こうとしていた俺たちだけでなく、俺たちを援護していた仮面ライダーにも襲い掛かったのだった……。
~~~~~~~~~~~~~~~
「ぐ、うぅ……」
『アナザーシャドームーン』のシャドーフラッシュによって吹き飛ばされたことで変身が解除されてしまった俺は立ち上がろうとするが、ダメージで立ち上がることができない。
辺りを見れば、同じようにシャドーフラッシュの衝撃を受けたファイズ、ディケイド、BLACK、BLACK RX、1号、そして響がダメージで変身を解除させられて倒れていた。
そんな俺を見下すように……いや、事実こいつは俺を虫けら程度にしか思っていないのだろう、俺を見下しながら言ってくる。
「しょせんはただの『偽物』、お前はその程度でしかない。
仮面ライダーどものような下らない『理想』もなく、さりとてシャドームーンとしての『野望』も持つわけでもない。
貴様は偶然手に入れたキングストーンとシャドームーンの力で、ただ好きに暴れる子供にすぎん。
そんなものがこの我にかなうと本気で思っているのか?」
「……」
『アナザーシャドームーン』のその言葉に、俺は何も言えなくなってしまった。
俺は仮面ライダーたちのように『人類の平和のために』という気高い魂も、悪の仮面ライダーであるシャドームーンのような大いなる『野望』もない。
偶然手に入れた力で暴れるだけの半端な『偽物』……それはまさしく俺の中に渦巻いていたものを的確に指していた。
だが……。
「そいつは違うな……」
「門矢さん……」
『アナザーシャドームーン』の言葉を否定しながら、ゆっくりと門矢さんが立ち上がった。
「偶然手に入れた力? それがどうした?
偶然だろうが何だろうが、手にした力を自分以外の誰かのために使うと誓う……人はそれを『決意』って言う。
コイツは、信人は自分の手に入れた力を大切な誰かを守るために使うと『決意』した……それが出来た連中のことを、どこかの誰かは『仮面ライダー』って呼ぶんだぜ」
「この創世王たる我に向かって偉そうに……貴様、何様のつもりだ!」
『アナザーシャドームーン』のそのセリフに、門矢さんはフッと笑って変身のためのカードを構えながら答える。
「通りすがりの仮面ライダーだ……と言いたいところだが……」
そう言って門矢さんは俺に振り返った。
「今回は信人、お前に譲ってやるよ!
変身!!」
『カメンライド! ディケイド!』
「ハッ!!」
ディケイドに変身を果たした門矢さんが『アナザーシャドームーン』に飛び掛かる。
それに続くように乾さんが俺に向き直った。
「俺もファイズの力と出会ったのは偶然だ。
だが人間として、ファイズとして戦うと決めたのは間違いなく俺の意思だ。
俺は今、やれることをやる。
お前はどうするんだ、信人?」
『5・5・5 Enter』
『STANDING BY……』
「変身!!」
『COMPLETE!!』
「ハァ!!」
ファイズへと変身を果たした乾さんもディケイドと同じように『アナザーシャドームーン』へと挑みかかっていった。
ディケイドとファイズは2人で『アナザーシャドームーン』を押さえ、時間を稼いでくれている。
2人は……俺が立ち上がると信じてくれている。それが俺の胸を熱くさせる。
そんな俺に今度は本郷さんが語りかける。
「信人くん……」
「本郷さん……」
「君は俺たち仮面ライダーの戦いを知っているのだろう?
ならば知っているだろうが、俺は決して自分から望んでこの身体を手にしたわけではない。
『偶然』ショッカーに目を付けられ、『偶然』この身体に改造され、『偶然』脳改造前に脱出できた。
つまり俺も君と同じ……『偶然』力を手に入れたに過ぎない。
そして、仮面ライダーの多くは同じ……自ら望みその力を手にしたものは少ない、『偶然』力を手にした者だ」
「だが……」そう言って本郷さんは、偉大なる始まりの仮面ライダーは続けた。
「身体を改造されたことは俺の本意ではないが、この偶然手に入れた力で救えたものがある!」
「ライダァァァ……変身!!」
「人知れず、人類の未来を影で支える戦い……光を浴びることのない、人々の目にはとまってはならない闇との終わりなき戦い……。
この力でその戦いに身を投じると決意した俺の、俺たちの名は……『仮面ライダー』だ!」
1号ライダーへと変身した本郷さんが背中越しに振り返る。
「信人くん……『仮面ライダー』の名はたったそれだけの、『決意』をした者の名だ。
俺は君はそれに相応しい戦いをしてきたと彼女から、響くんから聞いている。
だからこそ立ち上がるんだ、『仮面ライダーSHADOW』!」
そう言って1号ライダーもディケイドとファイズとともに、再び『アナザーシャドームーン』との戦いに入った。
あの本郷さんが、伝説の1号ライダーが俺のことを『仮面ライダー』と呼んでくれた……その事実は俺の心に燻っていた下らない想いを晴らしていく。
最後に残っていたのは黒と白の2人の光太郎さんだった。
「信人くん……君も知っている通り、俺はシャドームーンを、信彦を倒した。
そんな俺は君を見て思ったよ。もしかしたら信彦を取り戻し、ともに戦う未来もあったのかもしれないと……。
そんな……とてもいい夢を見させてもらった」
「信人くん、君は信彦じゃない。 シャドームーンでもない。
悪の手で脳改造をされたわけじゃない君は、その力で胸を張り君の望むことをすればいいんだ」
「光太郎さん……!」
光太郎さんたちの言葉に拳を握りしめ、ゆっくりと俺は立ち上がる。
そしてそんな俺の背中を優しく押すように……俺の大好きな歌声が聞こえてきた。
「響……!」
~~~~~~~~~~~~~~~
「ノブくん……」
仮面ライダーたちに励まされ、立ち上がろうとする信人。その信人の姿に、響はどうしようもないほどの愛おしさ感じる。
同時に、響は仮面ライダーたちにわずかな嫉妬を感じた。
(私も……私もノブくんの力になりたい!)
信人の背中を押していく仮面ライダーたち。しかし、多くの戦いを超えてきただろう仮面ライダーたちに比べたらちっぽけな自分には、そんなことなんて……。
その時、響の脳裏に響く声があった。
『あるだろう、お前にも月に力を与えるものが……』
「えっ……」
どこからともなく脳内に響く声。どこかで聞いたような少女のような声は続ける。
『その胸に湧き上がる歌……それは、お前だけが持つ月への想いだ』
「……そうだ!
あの時了子さんは言ってた。 『胸の歌を信じなさい』って……!」
拳を握りしめ、響はゆっくりと立ち上がる。
確かに自分は仮面ライダーたちのような力はないかもしれない。でも……!
「この胸に湧き上がる歌は……ノブくんへの想いは……誰にも負けない真実だ!」
『そうだ、お前のその溢れる想いは言葉では足りない。
だから……歌え、その胸の歌を! 月への純粋な想いを!
それこそ、欠けた月を取り戻す最後の力になる!』
「……うん!」
響は脳裏に響く謎の声に答えると、自然とそばに転がったサタンサーベルを手に取った。
どうしてサタンサーベルを手に取ったのか……それは響にも分からない。
そもそもサタンサーベルには暴走させられた挙句信人を殺しかけたという前歴がある。いい印象はないはずだ。
だが自然と響はサタンサーベルを呼んでいたし、それに応えて現れたサタンサーベルはいつかのように響を暴走させることはなかった。
そして今は、『サタンサーベルを手に取ることが正しい』と確信できる。
そして……響は胸に浮かんだ歌を歌う。
信人への想い、ただそれだけを想いながら……。
~~~~~~~~~~~~~~~
『影の王子~仮面ライダーSHADOW~』
1.
平和な街に 突如吹き荒れる
悲しみ運ぶ 闇の凶ツ風(まがつかぜ)
人は救いを 求めながら
あなたを待つの 銀の救世主(ヒーロー)を
前を 向いて 拳 握り
誰かの 幸せ 取り戻すため
SHADOW! 大地を蹴って!
SHADOW! 悪を砕く!
輝く銀の背中
SHADOW! 明日(あす)を守る!
SHADOW! 愛の戦士!
誰かの 未来(みらい)を 守る
愛しい あなたの その名は
仮面ライダーSHADOW!
2.
平和な街に 突如降りかかる
悲劇を運ぶ 暗い涙雨(なみだあめ)
人は涙を 流しながら
あなた求めるの 銀の救世主(ヒーロー)を
闇に 向かい 怒り 込めて
誰かの 悲しみ 止めるため
SHADOW! 光を放ち!
SHADOW! 闇を払う!
煌めく銀の身体(からだ)
SHADOW! 人を守る!
SHADOW! 月の戦士!
誰かの 生命(いのち)を 守る
恋しい あなたの その名は
仮面ライダーSHADOW!
光 纏い 闇を 砕く
人の 平和を 守るため
SHADOW! 闇を砕く!
SHADOW! 月の光!
優しき月の化身
SHADOW! 愛を守る!
SHADOW! 影の王子!
誰かの 希望(ユメ)を 守る
愛する あなたの その名は
仮面ライダーSHADOW!
~~~~~~~~~~~~~~~
その時、不思議なことが起こった。
響が歌うのはまさに仮面ライダーSHADOWに向けた応援歌だ。
響の胸から溢れる歌を歌い上げるとフォニックゲインが巻き起こり、それを手にしていたサタンサーベルが増幅させる。
周囲に濃密なフォニックゲインが降り注ぐ中、響のシンフォギアがそのフォニックゲインに反応し形状を変化させ、その姿をあのフィーネとの最終決戦の時の純白の姿……エクスドライブモードへと変化させる。
だが変化はそれだけではなかった。
「ぐ、ぐわぁぁぁぁ!?
な、なんだこれは!?」
1号、ディケイド、ファイズの3人と戦う『アナザーシャドームーン』が、突如として戸惑いと苦悶の声を上げた。
見れば『アナザーシャドームーン』の二連シャドーチャージャー、そこに出来た今しがた俺たちがサタンサーベルでつけた傷から青い光が漏れ出している。
「そうか、響のフォニックゲインだ!」
俺のキングストーン『月の石』は他のどの並行世界にもない力、歌の力『フォニックゲイン』を唯一知るキングストーンだ。
サタンサーベルでつけた傷から、サタンサーベルによって増幅された響のフォニックゲインを感じ取った俺の奪われたキングストーンが反応していたのだ。
その青い光を見て、立ち上がった俺は叫んだ。
「還ってこい、俺のキングストーン!!」
俺の声に応えるように、『アナザーシャドームーン』の二連シャドーチャージャーを内側から突き破るようにして青い光の球体が飛び出す。それは奪われた俺のキングストーン『月の石』だ。
それはそのまま俺に向かって飛んでくると、スッと俺の身体の中に消える。途端、俺の胸のエンジンに火がついたように身体が熱くなった。渦巻くキングストーンエネルギーが身体中を駆け巡っているのがわかる。
「ぐぅぅぅ……バカな!?
キングストーンが、『月の石』が選んだというのか!? この創世王ではなく、ただの下らない『偽物』の貴様を!?」
「……俺は誰かの偽物じゃない」
衝撃に片膝をついた『アナザーシャドームーン』に、俺は答える。
「そう、俺は『仮面ライダーの偽物』でも、『シャドームーンの偽物』でもない。
仮面ライダーたちが認めてくれた。響が俺への想いを歌にして贈ってくれた……こんなにも思われた俺が、何かの『偽物』であってたまるものか!
もう迷いはない! 俺はこの力で響や、俺の大切な人たちのために戦い続ける!!
だから見ていてください、俺の、変身!!」
「ああ!」
「行こう、信人くん!」
俺の左右の光太郎さんが頷くと変身のポーズへと入る。俺も同じく、慣れ親しんだ変身のポーズへと入った。
「「「変身ッッ!!」」」
同時に変身を果たす俺と2人の光太郎さん。
「仮面ライダー……BLACKッ!!」
「俺は太陽の子! 仮面ライダーBLACK RXッッ!!」
変身を果たした2人の光太郎さんの名乗り、それに続けて俺も叫ぶ。
「俺はSHADOW! 仮面ライダーSHADOWだッッ!!」
今回のあらすじ
ビッキー「というわけでバッタ怪人ノブくんVSアナザーシャドームーンの戦いだよ!」
奏「もう字面だけでわかる、完全な無理ゲーなんだが……」
SHADOW「おどりゃぁぁぁ!!」
キネクリ「副腕攻撃とか自分で副腕引き千切って鈍器にして殴るとか、戦い方が完全にヒーローのそれじゃねぇ!」
防人「この辺りの戦闘描写は、漫画版の『仮面ライダーBlack』をイメージしてるらしい。というか月影のバッタ怪人形態はそのまま『漫画版 仮面ライダーBlack』のイメージだそうだ」
奏「生物っぽさと必死さが出てる戦いだな」
ビッキー「ちなみに作者としては最高に必死さが伝わるライダーパンチだから、レンガを握って殴りつけて『ライダーパンチ!』ってやりたかったらしいけど、また今度にしたらしいよ」
キネクリ「いつかやるのか、あのレンガライダーパンチ……(困惑」
シャドームーン「無駄無駄ァだム~ン!」
SHADOW「ぱ、パワーが違いすぎる!」
防人「なんか月影がスパロボの雑魚みたいなこと言い始めたが、まぁ気持ちは分かる」
奏「バッタ怪人形態も十分強いけど、さすがに今回は相手が悪すぎだわな」
ビッキー「と、ここでできる彼女の私が突如謎の声を受信してノブくんへの攻撃をカット!」
キネクリ「謎の声(正体バレバレ。
つーか、いつの間にこのバカは無機物の絆レベルMAXにしたんだ?」
ビッキー「その辺り外伝後のエピローグでやる気らしいけど、毎回記憶が無くなるのをいいことに2~3日に一度くらいの割合でお茶会してたらしいよ」
防人「それ、下手すると私より付き合いが深くないか?」
SHADOW「そして俺と響のラブラブサタンサーベルアタック!」
ビッキー「ノブくん♡」
奏「見た目完全に水着ブリュンヒルデの、『せめて、死の刹那までは(ブリュンヒルデ・シグルテイン』だな」
フィーネさん「創世王ケーキに見立てて、サタンサーベルのケーキ入刀アタックとか、戦場で当然のようにイチャつくこのバカップルを誰か止めなさいよ!!」
SHADOW「そして影縫い発動!」
防人「現代忍者のチート技発動。 拘束技はやはり強いなぁ」
SHADOW「0.1秒の隙がある!」
キネクリ「それは隙とは言わねぇよ!!」
シャドームーン「あ、危なかったでム~ン」
奏「惜しい、やっぱり仕留めきれないか。
そして突然のMAP兵器シャドーフラッシュ」
SHADOW「グワーッ!」
シャドームーン「お前は偽物ム~ン」
もやし「それは違うな」
防人「もやしの説教タイムキター!!」
キネクリ「前回から絡めて準備してたし、やらなきゃ詐欺だからな。当然BGMは『パラレルワールド』だ」
たっくん「俺は戦う、人間として、ファイズとして」
1号「立ち上がれ、仮面ライダーSHADOW!」
2人の光太郎さん「シャドームーンが正義とかいい夢見させてもらった……」
奏「と、作者お気に入りのファイズ、それに1号にBLACK、BLACK RXとライダー界の御歴々から次々激励が」
SHADOW「これが今回の外伝通してやりたかった『自称仮面ライダーが、本当の仮面ライダーとなる』という内容だな」
ビッキー「この作品は転生ものだけど、『仮面ライダーの力を与えられただけの誰かが好きに暴れる作品』にはしたくはなかったらしく、どうしても『仮面ライダーと認めてもらう』というのをしたかったんだって」
奏「ライダー論を語って先輩ライダーに仮面ライダーだと認めてもらう。そして胸を張って仮面ライダーを名乗るという過程……それが今回の外伝編の目的ってわけだ」
キネクリ「そして最後の一押しはオリジナル曲か」
ビッキー「この作品は『シンフォギア』だからね。作者としては一番大事なところでノブくんに力を与える最後の一押しはやっぱり『歌』以外にない、って考えらしいよ」
SHADOW「前回フィーネ最終決戦のときのはSHADOWのOPテーマ曲で、今回のオリジナル曲は挿入歌のつもりだそうだ」
防人「フォニックゲインに反応して取り戻したキングストーンでSHADOWに変身だ」
キネクリ「BLACK、BLACK RX、SHADOWの三人同時変身とかディケイドの時を超える凄い絵面だな!」
奏「当然、BGMは『Millions of Me』だよ!」
というわけでバッタ怪人形態の戦いからSHADOW復活まででした。
今回はやりたいシーンのオンパレード。個人的には満足の内容です。
この外伝編も残すところあと数回、年内には終わらせたいものです。
次回もよろしくお願いします。