『後輩を助けるのは先輩の仕事!』
『キネクリ先輩マジ格好いいデス!』
突如としてイタリア本土に現れた新たなクライシス勢力『消失文明』。その猛攻を受け本土守備隊は劣勢を強いられていた。
敵は水陸両用トラクター……機械化水兵に相当する硬い攻殻を持った昆虫を中心とした部隊であり、『戦車級』の機甲師団もいた。
その硬い装甲に対抗する対戦車砲の数が少なく、その猛攻に苦しめられていたのだ。
防衛線はもう首都ローマの目前まで後退している。
このままでは……そんなイタリア軍の焦燥が募る中、凄まじい砲声が戦場に響いた。
「今のはどこから!?」
「増援部隊か!?」
「おい、あれを見ろ!!」
イタリア軍兵士が指さす向こう、そこには土煙をもうもうと上げながら突き進む鋼鉄の獣の群れ……戦車機甲師団の姿があった。
そしてその戦車師団の先頭車両の上に仁王立ちの少女が咆える。
「お前ら、あたし様の登場だぁぁぁ!!!」
それはドイツを率いるクリスだ。クリスがその自慢の機甲師団を引き連れてイタリアの増援に間に合ったのである。
それと同時に戦車が一斉に主砲を発射、あれだけイタリア軍が手こずらされた敵の硬い装甲を突き破り、撃破していく。
そんなクリスの横に控えた未来が通信機で指示をとばす。
「グデーリアン将軍、ロンメル将軍! お二人の師団でヤツらの後方に廻りこんで包囲殲滅を!
連中に人間の戦争というものを教えてあげてください!!」
高速でありながら装甲と火力を兼ね備えたドイツ機甲師団の到着によって、首都ローマ目前まで迫っていた敵をからくも押し返すことに成功したのだった……。
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『これガンパレードマーチじゃないんですけどぉ!?』
『なお危険度は幻獣と同等の模様』
1939年7月1日、大日本帝国帝都『東京』。
「クリスちゃんと未来のドイツ機甲師団の援軍が間に合ってローマに迫ってた敵は押し返したって!
でも『消失文明』の本拠地になってるパルレモまでは攻めきれないみたい」
「それはしょうがない。シチリア島に渡る必要があるが、そこで防衛に徹しられると攻撃側が圧倒的に不利だ。下手に攻めるとこっちの被害が大きくなる。特に機甲師団はそういう戦いには弱いからな。
しばらくは敵をシチリア島から出さないように防衛してもらって、アフリカの『荒廃文明』戦線かギリシャの『融解文明』戦線が片付き次第その戦力を援軍に送ることにしよう」
そう言って何とかなりそうだと一息をつくと、信人は苦笑した。
「しかし
「もう、そんなこと言っちゃダメだよノブくん」
緊張が解け、少し緩くなった空気の中でアハハと笑い合う信人と響。
その時だ。
「た、大変です陛下、皇后様!
新たな敵勢力、『停止文明』が現れました!!」
その凶報に、2人は即座に真顔に戻ると、しかし慌てることなく頷く。
「そうか……それで、どこに現れた?」
信人の中ではその答えによってどこから戦力を捻出しようかと考えを巡らせる。
だが……さすがの2人も次の知らせで言葉を失った。
「場所は……日本です!!
九州『長崎』を中心とし、九州全域と四国、そして南朝鮮が黒化!
敵はそのまま、本州へ向かって侵攻中とのこと!!」
「えぇぇぇぇぇっっ!!?」
「いきなりの本土決戦って、イタリアでつい先日やった流れだろうがそれ!!
そんな天丼いらねぇよ!!」
執務室に信人と響の悲鳴が響いた……。
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『ガルパンのカメさんチーム『ヘッツァー改造キット』!!』
『この世界ではその無茶苦茶がデフォです』
突如現れた新たなクライシス勢力『停止文明』、それによって突如として九州と四国、そして南朝鮮地域が敵の勢力下となってしまう。
これによって信人と響の率いる大日本帝国は突然、滅亡の危機に直面してしまった。
しかもここは極東、距離が遠すぎて先日のイタリアのように他国からの援軍は期待できない。
つまり信人と響は独力でこの『停止文明』と戦わなければならなくなってしまったのである。
「ありったけの戦闘機と爆撃機を出せ! 倉庫でホコリかぶってる旧式機も全部だ!!
制空権の確保、そして敵の侵攻スピードを少しでもいいから抑えろ!!」
矢継ぎ早に指示を出す信人。
「で、敵の編成は……海兵隊に重戦車、中自走砲を中心とした120個師団以上か……」
対人攻撃力に優れ分厚い装甲の重戦車の守り……はっきり言って歩兵部隊との相性は最悪の敵だ。だが、戦うしかないのだ。
しかし、それ以前に響には懸念があった。
「でもノブくん……日本の戦力は全部出払ってるんじゃ……」
日本の保有する4個軍はインド、中国、アフリカ、ヨーロッパと全て出払っているのだ。
そう指摘するも「大丈夫」と信人は首を振る。
「流石に俺も本土をがら空きにはしないよ。
余剰でつくってた重戦車機甲師団が8個師団、これが帝都の守りについてるがまずこれを動かす」
「あ、そうなんだ!
でも……何で重戦車機甲師団なんて凄いのを前線に出さずに本土に残してたの?
前線に出して、変わりに歩兵師団を本土防衛で残せばいいのに……」
そう指摘されると「あー……」と信人は言いにくそうにしばらく呻くと言った。
「実はこれⅠ型重戦車なんだよ。 1934年製のⅠ型重戦車は足は遅いし攻撃力は低いしでその……どうしようもなく弱いんだ。
だからそれを前線で使うっていうのはする気がなく、かといって大量にあるんだし遊ばせとくのも……ってことで編成して置いておいたやつなんだよ」
「……待って。
だったら、何で使う気もないⅠ型重戦車を師団が編成できるくらいに大量に生産してるの?」
この大戦争だ、兵器はいくらあっても足りず軍需工場はフル回転、軍需工場の新規建設も続いている。
だというのに使う気もない、しかもコストも高い重戦車を大量に造るという無駄遣いに響の信人を見る目が冷たくなる。
だが、信人は「落ち着け、しっかりした理由はある」と理由を話しだした。
「まず……今の
「確か……歩兵11、砲兵5、対空砲兵1、重駆逐戦車1……だっけか?」
「後それに支援中隊として工兵隊、偵察隊、補給隊、野戦病院、支援砲兵を付けたやつだ*1」
「それとⅠ型重戦車の生産とどんな関係があるの?」
「クライシス勢力は必ず戦車や装甲車といった装甲目標を連れてるから対戦車能力は絶対必須。
本来なら対戦車砲兵を付ければそれで事足りる話だが……重駆逐戦車の対戦車力はⅠ型でもかなり高いし装甲もある。
そういうわけでうちでは歩兵師団に重駆逐戦車がついてる。
ここまではいいな?」
信人の話に響は頷く。
「で、Ⅱ型重戦車……いわゆる『ティーガー』なんだが、ここからが本命だ。
Ⅱ型重戦車は普通に強い。ただ速度が遅いことだけが気になるポイントなんだが、このクライシスMODならそこは経験値を大量に使った改造で補うことが出来る。
さらにⅡ型重戦車が出来たら当然、Ⅱ型重駆逐戦車も造っていくんだが……このゲーム『装備転換』ってものがある。
旧式の戦車を一段階先の自走砲や駆逐戦車に改造するってやつだ。そうやってⅠ型重戦車をⅡ型駆逐戦車に改造すると普通に1から造るよりもコストが低くなるんだ。
そういうわけで先を見据えて重戦車機甲師団の編成とⅠ型重戦車の生産を進めてたってワケだ」
説明を聞き「なるほどー……」と納得する響。
「でもさ、そんなプラモデルみたいに戦車ってHOIHOI改造出来るものなの?」
「知らん。そんなことは俺の管轄外だ」
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『日本の秘密兵器、『出撃、銀の部隊』!!』
『本当に強いのがたちが悪い……』
「で、話を戻すがまずその重戦車機甲師団が8師団くらい。攻撃力はあまり期待できないが装甲もあるし時間稼ぎの盾くらいにはなる。
これと今訓練中の、やっと作れるようになった『日本の秘密兵器部隊』……こいつを投入する。
訓練は終わってないから新兵状態だが……背に腹は変えられん。
これをまとめれば、約1個軍規模の戦力が捻出できる。
これを主力にあとは空軍と海軍の力を借りて連中を叩き潰す!」
「ひ、秘密兵器部隊!? そんな凄いのつくってたの!?」
「ああ……日本と、あと一国くらいでしか出来ない、特別な部隊だ」
すると、信人は椅子から立ち上がる。
「俺も最前線に出て指揮を取る!」
「なら私も……」
そういう響に信人は首を振った。
「いや、ここを開けるわけにもいかない。
俺が九州や四国を解放する間、国内の生産なんかを頼むよ」
「ノブくん……」
戦場へと向かおうとする恋人に、響は自然に寄り添う。
信人はそんな響を掻き抱き、口づけをかわそうとした……。
コンコン……。
「陛下、皇后様。 出陣式の準備が整いました。
どうぞ、外へ」
「「……はぁ」」
いいところを邪魔された2人は思わずため息をつくが、お互いの顔を見て微笑み合いながら言った。
「続きは帰ってきたら、な!」
「うん!」
外に整列していたのは未だに訓練が終了していない新兵の集団、しかしクライシスから日本本土を守ろうという気迫に満ち溢れていた。
信人はそれに満足そうに頷く。そして……。
「変ッ身ッ!!」
信人はSHADOWの姿となり、彼らを前に演説を始める。
「今現在、諸君らの愛する母国である日本、その一部である九州と四国は『停止文明』を名乗る異形の軍勢に占拠された。
これは我々の敗北を意味するのか? 否、始まりなのだ!
母国を守らんと立つ我らに敗北はない! その胸に宿る大和魂を力に変えて立てよ兵たちよ!
諸君らはもはや新兵ではない! この国を護るもののふなのだ!
各員、死力を尽くし奮戦せよ! 奴らをこの日本から叩き出すぞ!!」
オオオオォォォォォォォォ!!
割れんばかりの歓声が上がる。
そして……
「じゃあ行ってくる、響……」
信人はSHADOWの姿でその『秘密兵器』へと乗り込んだ。
「……ストップ、ノブくん」
走りだそうとする信人を思わず止める響。
「なんだ響、名残惜しいのは分かるが今はそんな時間は……」
「いやそうじゃなくて……明らかにおかしいよね、それ!
何それツッコミ待ちなの!?」
「いやだから何を言ってるんだ、響?」
「だーかーらー!! それ、ただの自転車だよね!
っていうかまわりのみんな自転車乗ってるし!
ねぇ、これやっと作れるようになった秘密兵器部隊なんじゃなかったの!?
何で自転車なの!?」
思わず突っ込む響に、しかし信人は平然と返した。
「いや何もなにも……これが日本と、あとDLCを入れたオランダでしか作れない秘密兵器部隊、『自転車大隊』こと銀輪部隊だぞ」
「……はい?」
その回答に響はもう目が点である。
「これ本当に強いんだぞ。
歩兵系バフがすべて乗るくせにスピードは歩兵の1.5倍以上、支援装備(自転車)は必要になるが歩兵がそれだけで騎兵と同等の速度になるとか強いにもほどがある。
基本、日本は戦車は高くてほとんどつくれないし、使おうにも主戦場がインフラが劣悪な中国とか東南アジアのジャングルだから戦車のせっかくのスピードも役に立たない。
でも自転車師団は純粋に歩兵がスピードアップした存在だからどこでもスイスイ行けるんだ。
もっとも作れるようになるのにそれなりに時間はかかるがな。*2
とにかく、この秘密兵器部隊『銀輪部隊』でクライシスの連中から九州と四国、それと南朝鮮を解放してくる」
チリンチリン……
鈴を鳴らしながら走ってゆく大量の自転車部隊。
その先頭に立つ、ママチャリに乗る仮面ライダーSHADOWの姿は夢に見るほどにシュールであった……。
「来たか……」
信人の視線の先には迫る異形の軍勢、クライシスの姿がある。
信人はSHADOWの姿のまま、シャドーセイバーを掲げながら一言、言った。
「全軍、突撃ィィィィィ!!」
「「「陛下バンザァァァァイ!! 突撃ィィィィィ!!」」」
異形の群れへと突っ込んでいく勇猛なる銀輪部隊。
ここに、本土奪還作戦が開始されるのだった……。
ただ、重駆逐戦車は対戦車として強力だし装甲もある。足の遅さも組ませるのが歩兵なら歩兵の方が遅いから問題はない。
対人攻撃に優れる砲兵いっぱいで、対空砲兵で対空防御もできると強いには強い。コストが重すぎるだけである。
陸軍系ツリーの最後ということは、これが大日本帝国陸軍の最終形態ということ……日本、恐ろしい子!