『人の振り見て我が振り直せ』
『でも自分で失敗しないと中々覚えないよね』
1939年10月9日……。
つい数日前にドイツ軍によって『昏睡文明』が殲滅され、一斉反抗作戦『星一号作戦』が発動中のころ……不吉な予兆の通り、遂に南米にクライシス勢力が姿を現した。
「南米の旧チリ地区、現在アルゼンチン領であるアントファガスタを中心に黒化が発生!
同時に『滅亡文明』を名乗る勢力が現れました!」
「遂に現れたか……予想通りの南米だが、本当に任せちゃって大丈夫なのか?」
『もちろん任せなさい!
一気に決めるために部隊を送り込んであるわよ!』
アフリカで散々に苦しめられた信人は一抹の不安を覚えて心配するのだが、どうにも自信満々のマリアさん。
何故だかそれが不安を煽る。
「……まぁ経験者のセレナが監修してるだろうし大丈夫か……」
そう何とか安心する材料を見つけようとするが……。
『えっ、今回は私関わってませんよ。
何だか姉さんが勉強したから任せてって……』
「……」
もはや嫌な予感が数え役満だ。
「おい……一体南米戦線に何を送り込んだ?」
『それはもちろんアメリカ歩兵部隊よ。
野砲なんてもう古い! 将来の機甲師団用にも作ってる中自走砲マシマシの火力強化兵団よ!』
「随分豪華編成だな……。
で、数は?」
『一気に決めようと思って100個師団近く送り込んだわ!』
と、得意そうに胸を張った。
「……」
『……』
『……あれ、信人もセレナもどうして黙るの?
数は多い方がいいでしょ?』
「数が多いのはいいことだが……それは補給がしっかりとできていたらだろうが」
『姉さん、ちなみに補給のあては?』
『えっ、周りに友軍の港がいくらでもあるしそこから来るんじゃない?』
「……」
『……』
その回答に信人とセレナは頭を抱えた。
「……どうしてこうなるまで放っておいたんだ!」
『すみません、勉強したという姉さんを信じた私のミスです』
『ちょっと、セレナも信人もどうしたのよ!』
「いやどうしたも何も……その南米に派遣したご自慢の火力強化歩兵100個師団の補給状況見てみろ」
アイドル大統領確認中……。
『えっ、何で補給が真っ赤なの?
まだ戦闘も始まってないんだけど……』
「そりゃインフラレベルが低くて、供給量が100個師団の腹を満たすだけ確保できないからだよ。
しかも友軍ってもアルゼンチンとかブラジルとか、プレイヤーの入ってない奴だ。港の拡張もインフラの改善もやってない。
俺はアフリカ戦線の戦いの時は、自分のできる限りで事前に港の拡張とインフラ改善をやっておいてなお補給に悩まされてヒィヒィ言ってたからな。
その辺りやらないNPC国家じゃ供給量が低くて移動すらままならないぞ。
『強い部隊がたくさんいれば強いだろう』って、初心者が始めたばかりのころによくあるミスだな」
『補給の切れた100個師団より十全に補給できてる20個師団のほうが強いですからね。
お腹を満たせない以上、100個師団は過剰戦力すぎます』
アイドル大統領マリアさん、複雑な補給システムの前にフルボッコにされる。
悪人以外は何でもできるたやマ(ただの優しいマリア)さん
↓
悪人と大統領以外は何でもできるたダマ(ただのダメなアイドル大統領マリア)さん(New)
『うぅぅ……セレナぁ、信人ぉ、どうしたらいいの?』
『……輸送機をありったけ送って空輸補給で水増ししても、十分に動かせるのは半分くらいですかね?』
「ああ、こっちの輸送機もいくらか送り込んで補給物資を投下する。少しは腹の足しになるはずだ」
『お願いします。 これでまともに動けるようになった約50個師団=1個軍で『滅亡文明』との戦いを続けましょう』
南米戦線は早くもグダグダになりそうな予感が濃厚になっていた……。
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『具体的なことが全く書いてない』
『なのに一発で分かる不思議』
1939年11月10日、一大反抗作戦『星一号作戦』が完了して数日後……こう着状態になっていたシチリア島パルレモを占拠する『消失文明』に対し総攻撃が開始された。
戦闘機による制空権の確保と爆撃機による爆撃、これに加えイタリア軍とドイツ軍がシチリア島への攻撃を開始。
海峡による防御効果により今までそれを防ぎ続けてきた『消失文明』だが、今回はそこに大日本帝国軍が加わった。
イタリア海軍の戦艦『リットリオ』と『ローマ』の艦砲射撃の援護を受け、シチリア島の反対側に強襲上陸作戦を行ったのだ。
これによって戦力を分けることを余儀なくされた『消失文明』の防衛線は崩壊する。
そして1939年11月25日、パルレモを制圧したことにより『消失文明』の殲滅に成功したのだった……。
「『消失文明』、トドメをさすまで結構かかったね」
「だな。
この戦い、はっきり言って一番怖いのは『地形』だよ。
シチリア島っていう防衛に徹するならうってつけの場所に陣取られたからな。
今後も発生地点次第では今回みたいに手こずる羽目になる」
そんな風に信人と響が今回の戦いを振り返っていたその時だった。
「あ、また新しいイベントだね。
えっと……『紅茶が、床に零れ落ちた』?
なにこれ? これしか書いてないんだけど……」
おかしな文言に首を傾げる響。
だが、それが何のことか信人はすぐに分かった。
「いや、これはクライシス勢力の予兆イベントだ! 次の奴らの出現地点がわかったぞ!
次の奴らの発生地点はここ……旧イギリス、ブリテン島だ!」
紅茶=イギリスという推理から、次の戦いがブリテン島だと確信した信人はそのまま指示を出す。
「『消失文明』との戦いを終わらせた1個軍はそのままブリテン島に向かって敵への備えにする!
とはいえ、これで自由に動かせる戦力が無くなるのも問題だな……。
『停止文明』戦線で使っていた我が大日本帝国陸軍最強の自転車部隊と重戦車機甲師団の1個軍、これをヨーロッパへ派遣する!」
実は各種の研究力ブーストによって、遂にⅡ型重戦車、いわゆる『ティーガー』に相当するものが完成していたのだ。
信人は完成したⅡ型重戦車にすぐに陸軍経験値をつぎ込んで速度を強化、そのまま生産ラインに乗せ量産体制に入った。
これによってその能力に不安のあった張り子の虎であった重戦車機甲師団は強靭な、本当の虎の子へと生まれ変わったのである。
「それはいいけど……本土の守りはどうするの?」
「今、自転車師団をもう1個軍分訓練してる真っ最中だ。
それを本土の守りとして残すよ」
こうして本土防衛戦力を錬成しながら、信人は名実ともに虎の子といえる自転車師団と重戦車機甲師団をヨーロッパへと派遣することを決定する。
しかし……悲しいことに予定というのは往々にして狂ってしまうのが常なのだ。
1939年12月10日……。
「陛下、皇后様、緊急連絡です。
アメリカ南部、フロリダを中心とした地域に黒化現象!
同時に『低迷文明』を名乗る敵勢力が現れました!!」
「アメリカ本土!?」
「イギリスじゃなかったのかよ!?」
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『重防御兵器は運用が難しい』
『でもはまるとヤバいくらいに強い』
1939年12月10日、突如として本土内に現れた『低迷文明』によってフロリダを中心とする南部が黒化、占拠された。
これに対しアメリカはすぐさま攻撃を仕掛ける。
かくして『第二次南北戦争』ともいうべき戦いが始まったのだが……。
「セレナ、戦況は? もちろん我がアメリカ軍が勝ってるのよね?」
今まで育ててきた戦力に自信満々のアイドル大統領閣下たダマ(ただのダメなマリア)さんは、ホワイトハウスの執務室でペプシコーラをグビグビやりながら妹に聞く。
しかしそんな姉に、セレナは無言で首を振った。
「残念ながら……全戦線で劣勢です、姉さん」
「んおほぉぉぉぉぉぉ!!?」
何だが感度が3000倍にでもなったかのような奇怪な声を上げて、マリアがコーラを噴出した。
「何!? 一体何がどうなってるの!?」
予想外のことに詳細を聞くマリアに、セレナは語った。
「まず……姉さんが南米に送った過剰戦力、100個師団のせいで国内の防衛力が低下していました。
余剰戦力の50個師団を本国に戻そうとしてた矢先のことで、まだ国内に戻ってきていませんでしたので」
「ま、まずってことは他にも理由があるのよね!? 何、何が原因?」
妹に自分のミスをジト目で指摘され、露骨に話をそらすマリア大統領閣下。
そんな姉に一つため息をつくとセレナは続ける。
「第二に、それら南米戦線やユーラシアの援護のために航空機を廻していて、国内に廻す航空機がほとんどなかったこと。
制空権を取られて、そのペナルティで各師団の能力が落ちていたところを一気に攻められました。
そして第三……これが致命的なんですが……」
そう言ってセレナは何かの資料を取りだした。
「これ、判明した『低迷文明』の師団編成なんですが……敵は『重戦車機甲師団』を中心としています。
で、最悪なことにこの重戦車の装甲、今の我が軍の対戦車砲では貫徹不能です。
全部装甲で弾かれて、ダメージを与えられません」
「えっ……ということは……私たちは敵重戦車を撃破出来ないってこと?」
「その通りです、姉さん」
敵が倒せない……その致命的な話にマリアは流石に青くなった。
「ど、どうすればいいのセレナ!?」
「一応、師団編成を変えて対戦車砲兵を増やしたのでこれで少しは一方的な戦いでは無くなるはずです。
あとは航空隊の呼び戻しですが……それ以上に問題なのが予想以上に敵の進行速度が早くてアメリカが東西に分断されかかってます。
これによって戦力の一点集中が出来ない状況ですね。
南米から呼び戻した50個師団が西側の軍と合流すれば、もう少し戦力的な不利は無くなるんですが……」
その時、さらなる凶報が舞い込む。
「敵軍が南部から西海岸に到達したとの報告が入りました!?」
「!? 予想以上に敵の侵攻速度が速い!?」
『低迷文明』によってメキシコへの出口が塞がれてしまっていた。これにより南米から呼び戻していた50個師団は帰り道を寸断され、海路での帰国を余儀なくされるが……その輸送船団に敵艦隊と航空機が襲い掛かる。
アメリカ海軍の奮戦虚しく、50個師団のほとんどが海の藻屑と消え果てる大惨事が勃発してしまのだった。
「せ、セレナぁ! 私、どうしたらいいの!?」
「戦線を後退、残された師団で確実に守る範囲だけを堅く守ります!
アメリカを亡国にするわけにはいきません。アパラチア山脈とジェームズ河に首都絶対防衛線を引き、ここを死守します!
その間に……姉さん、信人さんに頭を下げて増援を送ってもらって下さい」
かくして出現場所の悪さ、そして相手の装甲重視編成によって戦力を分断されてしまったアメリカは独力での反撃が難しい状況に陥った。
こうして、ヨーロッパへ派遣される予定だった大日本帝国の虎の子、自転車師団と重戦車機甲師団は急遽アメリカ戦線へ投入されることになったのである……。
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『大和魂を見せてやる!』
『大和魂の力ってすげー!』
さて、全世界規模で戦いの続く状況だが……今一つ影が薄いのは海軍だ。
そこはどうしても陸軍と空軍を優先せざるを得ないため仕方ない。地球の70%は海だが、人はその残った30%の陸で生きているのだから。
しかし、海軍は海軍で当然ながら遊んでいるわけではない。
陸軍の支援も仕事だが、『崩壊文明』がインド北部を制圧し軍港を手に入れたことで『崩壊文明』の艦隊が出現、それを相手に日米聯合艦隊がアラビア海・ベンガル湾・西インド洋・東インド洋で激しい戦いを日夜繰り広げている状況なのだ。しかも、陸軍や空軍よりもなお厳しい状況で、である。
優先して新型兵器を開発された陸軍や空軍と違い新兵器の研究もおろそか、しかも『艦艇の製造には時間がかかる=戦力化するまでの時間が長い』という悪条件に悪条件を重ねた状態で日々奮戦していたのだ。現状、最も苦しい戦いを強いられているのは海軍と言っても過言ではないだろう。
今回は、そんな海軍にスポットを当てることにする……。
「海軍は必要なのは分かるが、増強となるとちょっとキツいんだよなぁ……*1」
「海軍の人たち、今日も大型艦建造の嘆願書を持ってきてたよ。
最初に造ってた戦艦『比叡』、あと正規空母『蒼龍』『飛龍』以降大型艦の建造なしで輸送船と駆逐艦の生産だけしてたから……」
「仕方ないだろう、日本は島国なんだ。
兵員の輸送も資源の輸入も、全部輸送船頼りだ。すぐに数が減らされるものだし、輸送船の建造は持続しないと。
同じように駆逐艦も正直、完全に消耗品だ。大型艦が活躍するためには駆逐艦が大量に必要だしコストも安いし建造時間も短い。そこに力を入れるようになるのは仕方ない。
というか駆逐艦はすごいぞ。最高だ!*2」
「うーん、それは分かるけど……やっぱり海軍の人たちも自分の命を預ける船だし、大きくて強い船がいいんじゃないの?」
そういう響に、信人は首を捻りながら言った。
「何を言ってるんだ響……この世界、『海軍の海兵は不死身』だぞ?」
「……はい?」
「いや、だから『不死身』。 死なないの」
「ちょっと待って、『不死身』って何!? どういうこと!?
陸軍なんて毎回のように凄い死者を出しながら戦ってるのに!?」
「と言っても、実際乗っていた艦艇が轟沈してもそこに使っていた人的資源……つまり海兵なんだが、それは『国家の人的資源プールに100%戻る』んだ。
『人的資源が減ってない=死んでない』んだよ。
全員、大和魂で日本まで泳いで帰ってくるんだ」
「いや、意味が分かんないんだけど……」
もう意味不明な話で頭が混乱する響。
そんな響に信人は続ける。
「ただな、そんな不死身の海兵を殺せる存在もいる。 こいつには注意が必要だ」
「……もうなんか聞きたくない気がするけど、それって何?」
「サメ」
「……はい?」
「だからサメ。 さめサメ鮫シャーク。
こいつらが出没する海域で船が沈むと、サメに海兵の6割が必ず喰い殺される。
きっと連中、シャークトパスとかメガシャークとかシャークネードとかダブルヘッドジョーズとかアイスジョーズとかビーチシャークとかゴーストシャークとか……まぁ、そういう化け物の群れなんだと思う。
さすがの大和魂も、サメの前には無力だ……*3」
「今、私の常識もこの世界の前には無力だって思い知ってるよ……」
「……ともかく、海軍の嘆願は分かった。
数日中には大型艦を2隻生産ラインに加えるから待っているように伝えてくれ」
「あ、建造の予定はあったんだね。 分かった、海軍の人たちには伝えてくるね!」
数日後……。
「あの……ノブくん」
「なんだ、響?」
「今海軍から連絡があって……ドッグに『75%完成した戦艦大和』と『50%完成した戦艦武蔵』が『突然現れた』らしいんだけど……。
えっ……なにこれ? 無から何かを生み出す魔法?」
「国家方針(ナショナルフォーカス)『究極の戦艦』をとっただけだ。そうしたら出てきた*4」
「いやいやいやいや、そんなことあるわけないじゃない!」
「ジオンの精神が形になるとノイエ=ジールになるんだから、大和魂が形になって戦艦大和と戦艦武蔵ができたんだよ!」
「大和魂とは一体……うごごごご!!」
意味不明な出来事に響の思考回路はショート寸前、しかし今すぐ会いたいよとはならなかった。
残念!
「とにかく待望の大型艦、しかも超巨大戦艦大和型2隻だぞ。 海軍も文句はないだろう。
大和と武蔵は完成次第、同じく完成した駆逐艦十数隻と一緒にインドの日米聯合艦隊に合流、敵を一掃する作戦に出る」
「大和と武蔵が凄いのは分かるけど敵の艦隊の方が強いんだし、それだけじゃ反撃は出来ないと思うけど……」
「安心しろ、俺に『秘策』がある。
しばらくしてそれを発動したら、周辺の敵艦艇はすべて海の藻屑だよ」
「? ?」
各種バフにより凶悪な敵艦隊を相手に妙に自信満々な信人……響はそれに首を傾げる。
そしてしばらくして大和と武蔵が完成しインドの日米聯合艦隊と合流、敵艦隊との決戦が始まったが……
ドガァァァン!!
「ノブくん”””~~~~!!!」
執務室のドアをぶち壊しながら現れたのは、片手に報告書らしき紙を握り、ギアを纏った響だった。
その顔は完全に怒りで染まっている。
「なんだなんだ! どうした響!!」
「うるさい! お前、実は創世王でしょ!?
ノブくんが、あの優しいノブくんが『あんなこと』をするはずない!
ノブくんの身体から出ていけ!!」
突然現れた響に混乱する信人に、響はその正体が創世王だと言い放つ。
「お、落ち着け響。何を思ってそう言ってるのか分からないが、ギアを纏って拳なんて向けられてちゃブルって話もできねぇ。
とりあえず俺の話を聞け。
OK?」
「オッケー!!(ズドーン!!)」
「OKとか言いながら拳を叩き込むなぁ!!」
響の拳が執務室の机を吹き飛ばし、信人は床に転がって間一髪でそれを避ける。
響はマジだ……それが分かり信人は冷や汗を垂らす。
「一体何なんだ!? 何があったら俺が創世王に乗っ取られたなんて話になるんだよ!?」
すると、響が話を始める。
「……ついさっき海軍の人が報告に来てその結果を貰ったの。
西インド洋で敵主力艦隊と決戦。その結果……敵の空母3隻、戦艦2隻、重巡洋艦4隻、駆逐艦18隻、潜水艦11隻を撃沈。
こっちの被害は駆逐艦2隻が撃沈だったんだって」
「物凄い大勝利じゃないか! それで何で俺が創世王だって話になるんだよ!?」
「私もこれ読んで最初は「凄い!」って喜んだよ。でもね……そこで海軍の人が言ったんだよ。
ノブくんの指示した……『カミカゼ攻撃』のおかげで勝てました、って!!」
キッと響は信人を睨む。
「空母機動艦隊の人にカミカゼ攻撃の指示が出ていて、それでみんな敵艦に突っ込んでいって勝ったんだって!
ノブくんが特攻指示なんてするはずがない! そんな非人道的な戦法をとらせるなんて……お前はきっとノブくんに取り憑いた創世王なんでしょ!!
ノブくんは……ノブくんは私が助ける!!」
そう言って拳を構えた響に、信人は「なるほど」と頷く。
そして言った。
「まず……俺は創世王じゃなく間違いなく信人だ。
そして……『カミカゼ攻撃』の指示は間違いなく俺が出した」
「そんな……そんな非人道的なことをノブくんがするはずがない!!」
それを聞いて、『響の勘違い』と悟った信人は肩を竦めた。
「あのな響、『カミカゼ攻撃』を非人道的って言うが……どのあたりが非人道的なんだ?」
「当然、航空機のパイロットの人に敵艦に体当たりして死んで来いって言うんだよ!
非人道的じゃない!!」
「響……その海軍の戦闘結果をよく読んでみろ。
戦死者……居るか?」
「それは当然……って、あれ?」
そこまで来て響は気付いた。戦死者欄に人の名前が1つも……無い。
「わかったか。この世界……空軍兵はいくら搭乗機が壊れようと絶対死なず、人的資源は減らない。
海兵を殺すサメみたいな相手もいない、『完全に不死身』の存在なんだ。
そんな死なない奴が『カミカゼ攻撃』をする……それがどういう意味か分かるか?」
そして信人は大仰に手を開き、叫んだ。
「この世界の大日本帝国のカミカゼ攻撃は誰も死なずに敵艦だけを高威力で潰す、対艦ミサイルと同じなんだよ!!」
「な、なんだってぇぇぇぇぇ(MMR調)」
「いや、本当に『カミカゼ攻撃』は日本海軍の切り札の一つなんだぞ*5」
「わ け が わ か ら な い よ!!」
「響、すべては大和魂の力だ!」
「やまとだましいの ちからって すげー!(宇宙猫顔)」
こうして帝国海軍は今日も戦い続けているのだった……!
まず航空母艦は4隻がデバフなく最も効率がいいので4隻運用がデフォとなる。次に航空母艦1隻につきそれを護衛する主力艦(戦艦・巡洋戦艦・重巡洋艦)が1隻なければ空母が丸裸になるためそれが必要。そして空母や大型艦の3倍の数の直衛艦(軽巡洋艦・駆逐艦)がなければ主力艦が守れず丸裸になるためこれも必須。
つまり『最も基本的かつ最低限の攻撃艦隊』の編成は空母4+主力艦(戦艦or巡洋戦艦or重巡洋艦)4+直衛艦(軽巡洋艦or駆逐艦)24の『32隻』の艦隊となる。
……これを揃えるのがどれだけ大変かは分かるだろうか?
航空機には弱いが、駆逐艦たちが数の暴力と必殺の魚雷で大型艦を次々に爆殺していく姿は圧巻。特に空母や戦艦などを造る工業力がない場合にはおすすめとも言える。
さらに日本では魚雷威力を20%アップさせる国家方針(ナショナルフォーカス)『酸素魚雷』と、日本でしか造れない重雷装巡洋艦『北上』の存在のため、空母や戦艦といった大型艦をすべて捨てるのも十分選択に入るのである。
第1位 レジスタンス(民間人)・サメ→双方とも絶対倒せず一方的にこちらを殺してくる
第2位 空軍兵→不死身
第3位 海軍兵→不死身だけどサメには一方的に殺される
最下位 陸軍兵→ボトムズのAT並に消耗品の命
という順位になるのである。いかにサメが恐怖の存在かということがお分かりいただけるだろうか?
しかし……不死身の軍人をはるかに凌駕する、絶対に殺せずこちらを一方的に殺してくる民間人とサメの溢れる世界……改めてこの世界は一体何なんだ!?(驚愕)
前述したように海軍の大型艦は建造が下手をすれば年単位でかかる代物である。それが一瞬で手に入るというのはとてつもなく、ゲーム中最強クラスの国家方針(ナショナルフォーカス)である。
とはいえ、これを取るためには海軍ツリーの択一選択である『空母ルート』と『戦艦ルート』で、『戦艦ルート』を選ばなければならない。
そうすると日本についているデバフ国民精神『二重の研究体制(航空機研究速度-10%)』を永遠に取り除けなくなってしまう(取り除く条件が『空母ルート』にあるため)。
大和型戦艦2隻か、航空機の研究速度か……プレイヤーはなかなか悩ましい選択を迫られることになる。
航空機を体当たりさせることで敵艦艇に通常の20倍(!?)、空母艦載機の場合5倍のダメージを与えるというとんでもない火力を叩き出す。航空機を損耗するものの、この火力は破格の一言。
そして何よりこの攻撃、何度も言っているように『人的資源が減らない=死者が出ていない』攻撃法なのだ。単純に空母が対艦ミサイル艦になっている状態である。
そのため、これは普通に大日本帝国海軍の切り札の1つなのだ。それを駆使して信人は能力が上の『崩壊文明』艦隊に対して旧式艦艇だけでも優位に戦っているのである。
なお日本の国家方針(ナショナルフォーカス)、『神風の強化』を取ることで造れるようになる、日本でしか造れないカミカゼ攻撃専用航空機『桜花』はもう完全に対艦ミサイルの状態。本当に強く、最終段階のⅣ型空母を一撃で沈められるという恐らくゲーム最強の対艦攻撃法。
……HOI4の地球は宇宙の法則が乱れているに違いない……。
……今ほどイラストを描けない自分を恨んだことはない。
宇宙猫顔で叫ぶ響のイラストが描きたかった……絶対面白いのにぃ……!