それでも月は君のそばに   作:キューマル式

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お正月特番編 第07話

『平和な欧州村に大日本ゴルゴム帝国が!』

『帰って、どうぞ(迫真)』

 

 

 

 1940年1月7日……。

 

 『選択』

 例え現状がどのように悲惨であったとしても、私たちは勝つために何か出来ることをこの世界の中で模索し続けなければならない。

 次は本命が来る。だとするならば狙いは欧州、それも大都市に……。

 

 

 

「また意味深なイベントが来たね……」

 

「明らかにクライシス勢力出現の予兆イベントだな。

 それにしても次は欧州の大都市か……」

 

『……まさかイタリア(うち)のローマってことはないよね』

 

『アテネ・パルレモ・チューリッヒとまわりにもう3回も出てきたんデスし、もうお腹いっぱいで勘弁デスよ……』

 

『次に来るのが欧州って言うならあたし達ドイツの出番だな!』

 

『インフラの整った欧州なら機甲師団の力も最大に発揮できるし、その時にはドイツの全力を見せてあげるよ』

 

 新たな予兆イベントの発生に皆で意見をかわし合う。

 

「この平和な欧州のどこかにクライシスの魔の手が……おのれクライシスめ!!」

 

 

「「「「「平……和……?」」」」」

 

 

( ゚Д゚) ( ゚Д゚) ( ゚Д゚) ( ゚Д゚) ( ゚Д゚)-------→クッソ汚い欧州地図

↑ビッキー ↑キネクリ  ↑393  ↑切チャン  ↑シラベェ

 

 

「資源地帯だけ資源と人的資源搾取用の適当な傀儡国つくって他が軒並み大日本帝国領になってるこの細切れ欧州が……平……和?」

 

『バカ2号、お前は何を言っているんだ?』

 

『平和の法則が……乱れる……!!』

 

 響とクリスと未来からジト目でツッコミが入るが、残念、今の信人には通じない。

 

「まぁ確かに少し各地でレジスタンスが暴れててスパイが全開で火消しに回ってるけど。

 まったく……我がゴルゴムの統治を受けれるだけで『平和』だと、何故欧州の連中はわからんのだ」

 

「いや、突然難癖つけられて戦争でボコボコにされた挙句に国を細切れにされたら、まったくもって自然な反応だと思うよ。

 あともう隠す気もなくゴルゴムって言ってるよね、ノブくん」

 

 

 平和な欧州(大本営発表)にクライシスの魔の手が迫る!!

 

 

 

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『諦めんな、諦めんなよぉ! ジョンブル魂を見せろよぉ!!』

『と、イギリスを滅ぼした大日本ゴルゴム帝国が申しております』

 

 

 

 1940年2月6日……。

 

「ブリテン島ニューカッスルを中心とした地域に黒化現象が発生!

 『減衰文明』を名乗る敵勢力が現れました!!」

 

「来たか、やはり予想通りのブリテン島!」

 

「ノブくん、これがちょっと前に出てた欧州に来るって言ってた本命かな?」

 

「いや違うな。

 今師団の編成を見てみたが特に変なバフがあるわけでもなく、ごくごく普通の自動車化歩兵中心の高速師団がおよそ40個師団程度。

 ブリテン島はインフラも整ってるからこっちの補給には心配はないし、島は狭いから動き回れず敵は自慢の高速を生かせるような包囲殲滅なんかができるわけでもない。

 正直言って今までで一番の雑魚だ。

 準備していた1個軍ですぐにでも殲滅するよ」

 

「それならよかった……。

 あ、イギリスの女王陛下が何か演説をするって。

 戦意高揚のためのやつかな?」

 

 

 

 『覚悟』

 かつて栄華を誇った大英帝国。今朝、女王陛下が国民に対し演説を行われた。

 イギリス国民と等しく危険と耐乏を分かち合い、最後の時はロンドンで迎えると宣言したのだ。そして、それは英国人すべての人の願いでもある。

 ビックベンの鐘は今日もロンドンに響いている。きっと人類が滅びた後でさえ、その鐘の音は遠くへ響き渡るだろう……。

 

 

 

「って、なに負けそうな雰囲気の演説やってんのこの女王陛下!?

 今戦いが始まったばっかりなんだけど!?

 雑魚! 相手今までのクライシス勢力の中で一番の雑魚だから!

 こんなことで負けてたら話にならないから!!」

 

「うーん、ブリテン島の人、やる気ないんじゃないかなぁ、ノブくん……」

 

「まったく……人類一丸となってクライシスと戦おうって時に何を敗北主義的なことを!

 『俺たちは負けるかぁ!!』というジョンブル魂の入った気合いを見せんかい!!」

 

「と、難癖をつけて同盟からイギリスを追放した後に細切れにした大日本帝国のノブくんが申しております……」

 

 

 気分的に出鼻をくじかれたものの、『減衰文明』は明らかにブリテン島に合っていない編成で、しかも数が少数であった。

 有事のためにブリテン島に配備されていた大日本帝国陸軍1個師団がこれに即相対する。

 『減衰文明』軍は、今までの戦いを潜り抜けて歴戦のつわものへと変貌していた大日本帝国陸軍の相手にはならず、次々に掃討されていく。

 そして開戦からわずか2週間後の1940年2月20日、大日本帝国陸軍は『減衰文明』の殲滅に成功した……。

 

 

 

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『スーパーサイズ・ミー!』

『デカい、重い、素晴らしい!!』

 

 

 

 ブリテン島を舞台に大日本帝国陸軍1個軍と『減衰文明』とが戦闘中の1940年2月10日……。

 現地のインフラによる補給不足に悩まされながらも『滅亡文明』と戦闘中だったアメリカ陸軍50個師団の南米派遣軍が遂に『滅亡文明』の本拠地であったアントファガスタを制圧し周辺残党を掃討。『滅亡文明』の殲滅に成功した。

 

「やったわ、セレナ!」

 

「やりましたね、姉さん!

 これで南米派遣軍を本国に戻せます。 と、その前にアメリカ本国戦線の状況ですが……」

 

 そうして説明を始める。

 

「フロリダを中心に発生した『低迷文明』は南部を制圧。

 その後全方位に勢力を伸ばしていますが、特に西側への侵攻が早く、テキサスを制圧。しかし西部アメリカ軍がロッキー山脈に防衛線を展開、突破を防ぎました。

 そこで『低迷文明』は旧メキシコ方面に向かい、結果タマウリパス・ハリスコ・メキシコシティと制圧し、北米と南米を分断しました。

 さらにロッキー山脈を北上するようにコロラド州あたりにまで前進中です。

 中部はケンタッキー州やミズーリ州までを制圧。そして東部はバージニア州まで制圧、もう首都ワシントン目前のジェームズ河首都防衛ラインまで目前です」

 

「かなり攻められてるわね……」

 

「ただ姉さん、相手の戦力は東部と西部中心のようで中部はそれほどでもない様子。

 速度と突破力さえあれば戦況を一気に好転する手段があるんですが……」

 

 だが、すでにそんな戦力はアメリカにはない。

 その時だ。

 

『そういう事なら任せてもらおう!』

 

「信人!」

 

 それは増援としてアメリカ戦線に送られていた大日本帝国陸軍の虎の子、自転車師団と重戦車機甲師団である。それがついに到着したのだ。

 

『今、大日本帝国(うち)の師団はオレゴン州ポートランドの港に到着した。このまま、まだ敵の占拠していない地域を東に進んでネブラスカ州に入る。

 そのあとは全力の攻勢を開始してテキサス州のヒューストンまで一気に南下、『低迷文明』のやつらの柔らかい腹を横からぶん殴ってやる!!』

 

「姉さん、これが成功すれば一気に戦況が有利になります!」

 

「信人、お願いできる?」

 

『任せてくれ』

 

「じゃあ、アメリカ軍は同時に攻勢をかけて敵を前線に釘づけにして援護します。

 航空支援もしますから制空権は任せてください!」

 

『頼むぜ!』

 

 そして『低迷文明』からアメリカを取り戻す一大作戦『オペレーション・メテオ』が発動された。

 

 

「大和魂を見せてやれ!!」

 

「「「陛下バンザァァァァイ!! 突撃ィィィィィ!!」」」

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

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 『低迷文明』は東側と西側に戦力を集中していた。そしてその柔らかい中部の横っ腹を速度強化した重戦車機甲師団が高速で突破していく。

 そしてその後を追う自転車師団がその傷口を広げた。

 異常に気付いた『低迷文明』だが、同時に東部・西部ともにアメリカ軍が攻勢が開始。その目的は『低迷文明』軍の足止めだ。

 アメリカ軍が必死で足止めをしている隙に、作戦名にある『メテオ=流星』のような凄まじい勢いで重戦車機甲師団は南下していく。

 そして『低迷文明』の横っ腹を突き破り、遂にテキサス州の都市ヒューストンにまで到達した。

 

 『低迷文明』の西と東は完全に寸断され、西部方面軍への補給路は断たれた。

 これにより『オペレーション・メテオ』の目的……すなわち『低迷文明』西部方面軍をすっぽりと囲む大包囲網が完成したのである。

 補給が断たれたことで一気に戦闘力を低下させた『低迷文明』西部方面軍、そこに今まで散々煮え湯を飲まされ続けたアメリカ軍の逆襲が始まった。敵の重戦車機甲師団も、まともに動かない重戦車など脅威でも何でもない。

 『低迷文明』西部方面軍の殲滅は時間の問題であり、そうなれば戦況は一気にアメリカ軍に傾くだろうことは誰の目にも明らかの状態だった。アメリカ戦線には早くも勝利ムードが漂う。人類にとっても朗報だ。

 

 だが……1940年3月9日、突如として届けられたその凶報に、世界は激震した……!!

 

 

 

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『気分は『トランスフォーマー コンボイの謎』』

『見えない攻撃でいつの間にかやられているの意』

 

 

 

 よく晴れた日だった。

 その日世界強国の一つ、ドイツを指揮する2人……クリスと未来はベルリンの執務室で仕事をしていた。

 

「ブリテン島にわいた『減衰文明』も倒したし、アメリカ大陸を荒らしまわってた『低迷文明』も、信人たちの『オペレーション・メテオ』が上手く行ってる」

 

「『低迷文明』の西部方面軍を大包囲が完成すれば、あとは殲滅のみ。

 西部方面軍が片付いたらその戦力を東部方面にまわせば、『低迷文明』の殲滅は時間の問題だね」

 

「あとはこの間の意味深な『本命』の話か……」

 

 クリスが総統用の豪奢な椅子に身体を預けながら執務室の天井を仰ぐ。

 

「今残ってる軍を西部、南部、東部の3つに分けて欧州のどこに出てこようが即応できる体制は整えているよ。

 大丈夫だよ、クリス」

 

「ああ、未来がそういうなら安心だ」

 

 そう言って砂糖たっぷりの紅茶に口を付けたその時だった。

 

 

ズゥゥゥゥンッ!!

 

 

「今のはなんだ!?」

 

「クリス、あれ!!?」

 

 何事かと窓の外を見、未来の言われる方に視線をうつしたクリスが見たものは……。

 

「なんだありゃ!?」

 

 地面から尖った何かが突き出ていた。まるで巨大な削岩機(シールドマシーン)のようなソレ、その先端のドリルのような部分が開閉する。

 そして……そこから異形の怪物たちが飛び出して来ていた。

 

「ま、まさか連中の狙う『本命』の大都市って……!?」

 

「ここ、ベルリンへの直接奇襲攻撃!?」

 

 地獄の釜の蓋が開く。敵の突然の攻撃によってベルリンに火の手が回っていく。

 

「クリス総統閣下、未来参謀総長!

 もはや、もはやベルリンはおしまいです。 どうかお2人だけでも退避を!?」

 

 総統府を護衛していた親衛隊長がそう訴える。

 

「バカ! 総統のあたし様がいの一番に逃げてどうするんだよ!?

 あたしも一緒に……」

 

「総統閣下! 閣下はここで終わってはならない御方!

 我らはあなた様にこの国の未来を預けたのです!

 ……今は耐え、そしていつか必ず奴らの手からこのベルリンを、取り戻して下さい。

 お願いします……」 

 

「……クリス、言う通りにしよう」

 

 決死の覚悟を決めた親衛隊を前にこのまま残るというクリスだが、親衛隊長に深々と頭を下げてドイツの未来を託され、未来はクリスの手を強引に引いた。

 

「郊外の飛行場へ! そこに迎えが来ているはず!

 そこまでのつゆ払いは我々がいたしましょう!」

 

 そして親衛隊長は隊員たちへと振り返る。

 

「諸君! 諸君とともに戦えたことを誇りに思う。

 ヴァルハラで会おう!」

 

 クリスと未来を逃がすため、総統府親衛隊が捨て身の攻撃を行い血路を開く。

 

「ちくしょう……ちくしょう……!?」

 

「……」

 

 クリスは悔し涙を浮かべ血を流す勢いで歯を食いしばり、未来は能面のような表情のない顔でその道を行く。

 そしてボロボロになった郊外の飛行場、そこには一機の飛行機が待っていた。

 Ju87スツーカ、その翼下に37mm機関砲を装備した改良機……通称『カノーネンフォーゲル(大砲鳥)』だ。そして、それを愛機とするのはドイツの誇る『空の魔王』だ。

 

「あとはお願いします、大佐どの……」

 

「わかった。諸君は任務を完遂した。

 胸を張ってヴァルハラに行くといい……」

 

 片足義足の空の魔王はクリスと未来を守り切りここまで連れてきて事切れた最後の親衛隊員を看取ると、2人を機体へと促す。

 

「ではお2人とも後部座席へ。

 快適な旅とは言いませんが、必ずお2人を安全な場所へお連れします」

 

 促されるままに後部座席に乗り込み、『カノーネンフォーゲル』が離陸する。

 

「おっさん、機体を傾けてくれ。

 離れる前にもう一度、ベルリンの街を見たい……」

 

「分かりました、閣下……」

 

 幼いころに戦争を体験したクリス。その彼女が炎に燃えるベルリンに何を思ったのか……。

 その街を目に焼き付けながら言った。

 

「連中を倒して、あたしたちは戻ってくるぞ!

 必ず、必ずだ!」

 

「……」

 

 クリスの言葉に、未来が頷く。

 

 人類とクライシス勢力との戦争は、まだまだ激化していくのだった……。

 

 




流石に残弾が尽きました。
次回投稿は日曜日あたりにします。

次回もよろしくお願いします。
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