艦これの世界×アズレンです。
神は問うた、愛とは何ぞやと。
彼は答えた、一過性のモノにして不滅のモノと。
神は問うた、ならば恋とは何ぞやと。
彼は答えた、人の性と。
神は問うた、汝の願いは何ぞやと。
彼は答えた、その生涯永劫に添い続けることと。
神は問うた、それが人の形ではなかったとしてもと。
彼は答えた、愚問なりとうに覚悟は決まっていると。
ここに神は彼に加護と言う名の呪いを授けた。想い人と添い遂げる為ならば彼そのものを変えるという呪いを。
それは、相手が人間ならば何の問題も無かった。が、彼が想い想われたのは人とは全く違う枠組みに存在する者だった。故に、彼は自身の存在を人の枠組みから外れさせることとなる。コレが、吉と出るか凶と出るか。それすら彼には分からない。叶うものなら、幸多き生であらんことを。
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「夢…………、か」
指揮官はゆっくりと目覚め、消え入りそうな声でそう呟いた。指揮官が目覚めた場所は、彼の指揮する艦隊が存在する学園の自室だった。部屋には簡素なベットと机、少しばかりの私物が置かれた。私室というには余りにも簡素であり、味気ない。最近の女性ならば逆に私物まみれで足の踏み場も無くなるのではないだろうか。
「何というか、懐かしいな…………………………寒っ」
指揮官は声音に嬉しさを滲ませ、一度ぶるりと震えるといそいそと服を重ね着し始めた。体質上、寒いと動きが鈍り、酷いとそのまま眠る。流石に、軍人である為に体質を理由に惰眠を貪ることは出来ない。本来なら室内では着る必要のないであろう黒の革で出来たトレンチコートを羽織り、能面の小牛尉に似た面を付け、鷲の紋章の付いた帽子をかぶり、外出る。年を越し、セイレーンとは別に
「このまま何事も無く終われば、いいのだが…。そういえば、
叶いもしない願いを呟きながら、かつて所属していた陣営の同僚に思いをはせる。その地特有の特殊な儀式とそれに必要なモノを渡してくれた同僚。その地の特殊さ故に、上層部からの干渉も無かった彼らの事を考えるとどこか安心してしまうのは、きっと彼らがHexennachtや終わらない夜の狩人、異端の学科に豊穣の神の名も無き息子達、蛇人間、かつての火の時代の人々まで存在するからだろう。
「さて、仕事をしますかねぇ…」
同僚に想い馳せていると、自身の執務室に到着した。慣れた動作でドアを開け、椅子に座り、書類との格闘に入る。最初に処理にかかるのは自分でしか処理できない類の書類と、秘書艦でも処理できる書類の分別。これは、早々に終わり、自分でしか処理できない書類の処理にかかる。作業開始から30分後、ゆっくりと執務室のドアが開かれ今日の秘書艦が入室した。
「失礼します」
「あぁ、随分と早いな。まだ正確な執務開始時間まで20分はあるぞ」
「あら、指揮官様はでしたら既にいらっしゃると思いましたので」
「おや、その考えはあっているな。実際、私は今ここに居る」
入ってきたのは重桜の空母赤城。時折発せられる発言が結構危険思想だったりするが、発言だけで行動には移されていない為、特に警戒はしていない。しかし、時折自身を見る目が本物の獣に錯覚する、と指揮官は語る。赤城はその顔に微笑をたたえながら指揮官を凝視していた。既にその目は血走っている。発情期だろうか。指揮官はそんな赤城を見なかったことにして執務を続ける。
「指揮官様ぁ?何故赤城から目を逸らすのですかぁ?」
「やらなければいけない事があるからだ。さっさと終わらせて、ゆっくりしたいだろう?」
そういうと、渋々秘書艦の席に座る赤城。どうやら、理解はしたらしい。その表情から納得はしてくれていないようではあった。暫く、執務室内はペンの音以外響かず、時折窓の外で元気そうに駆逐艦達が遊んでいる声や、それに入ろうとして保護者にしょっ引かれるアーク・ロイヤルの断末魔が響く。何のことのない日常。一時はそれが崩壊しそうになっていたが、多少の犠牲を払って守り切った束の間の平穏。
そんな指揮官に近海巡回中の第三艦隊より通信が入った。
「HQ。HQ。こちらネルソン」
「こちらHQ、ネルソンどうした?」
執務室に備え付けられていた通信設備に巡回中の第三艦隊の旗艦戦艦ネルソンから通信が入った。すぐさま指揮官は通信機を手に取り、返事をする。少しばかりノイズの走る通信機から、ネルソンの困惑気味の声が響く。
「新型のセイレーンと、見た事も無いKAN-SENが交戦中よ。まだ此方には気づいていないからもうしばらく様子見するわ」
「了解、こちらへの交戦の意思を見せたなら容赦なく砲撃してくれ」
「了解、ネルソンアウト」
そう言って切られたネルソンとの通信に指揮官は一抹の不安を覚えるも、ネルソンの練度とその指揮力の高さを知っているかこそ不安にはなれど心配はしない。先程の会話を聞いていた赤城に目配せして心配はしなくとも対策として主力たる第一艦隊に招集をかける様に指示を出し、もう一度書類の処理に取り掛かる。
ネルソンからの通信が入ってきて約一時間が過ぎた頃、もう一度通信機が鳴った。指揮官は赤城と目配せするとそのまま通信機を手に取った。
「こちらHQ、ネルソン、どうした?」
「あー、問題発生よ。所属不明艦の旗艦は自身を赤城と呼んでいるわ。とりあえず、包囲して帰投してもいいかしら?」
「そうだな…そうしてくれ、ただし相手が何をするか分からない。くれぐれもネルソン達が怪我をしないようにしてくれ」
「了解、ネルソンアウト」
そう言って切られた通信機を元の位置に戻し、赤城を見る。その顔は七変化しておりどう表現すればいいのか迷う程だった。確かに、通信機越しに赤城を名乗るKAN-SENが居たのだ。平常で居られる訳が無い。
暫くすると、ネルソン達第三艦隊が母港に帰航しており、外は俄かに騒がしくなっていた。指揮官は赤城に頼み、もしもの護衛として重桜の高雄と鉄血のプリンツ・オイゲンを呼び出してもらう。どちらもこの基地では最高練度を誇っておりなにか不測の事態が起きた時でも対応できると信頼していたからである。
「それで、赤城を名乗った艦船をここに呼んだということだな、指揮官殿」
「私達を呼んだって事は、指揮官の護衛かしら?」
「あぁ、相手が未知ではあるが話は通じるらしい。なら、話してみるだけの価値はあるだろう?」
そういう指揮官に高雄は「任せろ」と頷き、プリンツ・オイゲンは「しょうがないわね」と肩を竦めた。しかし、プリンツの顔には微笑が浮かんでおり胸の下で組んでいる左手の薬指に輝く指輪が輝いていた。まんざらでもないようだ。
執務室は応接室も兼ねていた為にあった対面のソファーに移動する指揮官たち。指揮官が座るソファーの背後に刀を帯刀した高雄が、横にはプリンツが座っている。
そこに入ってきたのは連絡をしてきたネルソンともう一人。袴姿の女性で腰に着けてある腰鎧の様なモノには片仮名で”ア”と書かれていた。女性がソファーに座り、ネルソンがその背後に立ったところで女性が口を開いた。
「初めまして、
「こちらこそ初めまして、私はこの基地の指揮官であるヨーゼフ・フォン・ヴァレンシュタイン少将だ。こちらが、秘書艦の赤城だ」
「!?」
ここに、本来交わる筈の無い世界戦が交わった。それがどう世界へ影響を及ぼすのかは分からない。これは、本来起こり得ない物語だ。これが、如何つづられるかは誰にも分からない。
人気があったら続くかもしれませんけど、他にも続けているのがあるので分かりません。