「凍結」過去の遺物   作:オオソカ

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投下させていただきます。


異星人災難

「異星人災難」

 

 魔王と魔王の同盟

 その会談には、両軍共に最大戦力が動員されていた。

 その数は、両軍を併せて優に十億を超える数であった。正しく魔王という存在両方が動員出来る現状の最高戦力を出し合った結果であった。

 

「この光景こそ、正しく我らが新たな大陸の覇者として君臨する。その正しさの証明ですな」

 

「いや、前魔王と違いアベル様は、本当に用意周到なお方です」

 

「ははっ、トロス殿、この軍団もあなたの方が質、量共に上回っておられるのにそんな事を言われたので、部下から笑われてしまいます」

 

「ご謙遜を…」

 

トロスとアベル、二体の魔王は共に互いの軍勢を見比べ互いにその勇姿を褒めあっていた。

 

(何が、質と量だ…どうせ、魔王としては自分の方が強いと自身があるからだろ)

 

(噂以上の大軍勢だ…戦後の処理は、想像以上の難関になるな)

 

正し…同時に腹の底では見下し合っていた。

次の闘いに勝利すれば、同時に直ぐに違いが敵として対峙しあう運命…両者共に

それを感じ取っていた。

 

「おお、これがトロスの軍勢か!」

 

「これほどの魔人達の数ならば、竜王にもひけをとるまい」

 

「次なる王は、間違い無いアベル様だ!」

 

沸き立つ、ドラゴンの魔人達

その様子を一人、暗影でケイブリスが覗いていた。

 

(馬鹿野郎共が、その軍勢であのドラゴン共は殺せなかったんだよ!それにトロスが本気で俺たちの為に、魔人を派遣するものかよ)

 

トロスと数千年のつきあいとなるケイブリス、アベルの魔人の中では、奇しくも一番のトロスの理解者であった。

 

「取りあえず。本番前に一度練習をしては、いかがだろうかトロス殿」

 

「練習?」

 

「ああ、ちょうど良い的を最近見つけたのだ」

 

 この一言により、ある大陸外の生物が悲劇を迎える事となる。

 

 ある墜落した奇妙な物体…ドラゴンや他の魔物達からはそう言われていた。物の中には異星の住人であるホルス達が、現状を挽回するため、頭と体を働かせ続けていた。

 

「…」

「メガラス、如何した!」

 

「いや、ここに墜落して大分時間が経ったな…そう思っただけだ」

 

「そうだな…テラ様も未だに…目覚めさせられず…情けないことだ」

「他の仲間に連絡すら取ることが出来ぬとはな…」

 

「だが、俺たちは生きている。どれだけ時間がかかろうと必ずテラ様を見つけ出す」

 

 ホルス、メガラスの心には主人に対するホルスとしての忠義心と誰にも言えないが淡い慕う心が、諦めという言葉を吐く事は無かった。

 

「ああ、どれだけ時間をかけようとも」

 

「必ずな…」

 

 そしてその心を一部のゴルードスリープから逃れたホルス達も捨てはしなかった。

 

 アイツラが来るまでは…

 

「おい、大変だ!」

 

「何だ!」

 

「現地生物がこっちに大量に進行している」

 

「ただの移動ではないのか?」

 

「原始的な武器を持っていた!彼奴らここを襲うつもりだ」

 

「くっ、母艦もまともに動かない状態なのに」

 

 せめて、母艦の機能が正常であれば高々原始的な軍隊ぐらいならば追い返す事も可能なのに…ホルス達の心に暗雲が上る。

 

「慌てるな!」

 

 その表情を見てか、メガラスが周囲に声をかける。

 

「俺たちは、テラ様を守る。その仕事が今起きただけだ!…念の為に休眠室にテラ様達を移動できる様に百名を残し撃ってでるぞ!」

 

 勝ち目は無い…しかし引き下がる事は出来ない。決死の覚悟を持った闘いが今始まった。

 

(何だ…あの虫みたいな奴等?)

 

「何時からは、忘れたが急に大きな音と共にアレはあそこに墜ちてきのだ」

 

「確かに、あれなら練習にぴったりだな」

 

 まずは、私がやってみようとアベルは一度うなり声を上げると魔物達が目標に向かって進撃する。

 その様子を見て、魔王達は談笑を始める…最初から勝利が約束されている様に…

 しかし、その談笑は僅か数時間で敗走の知らせにより中断される事となる。

 

「は、早すぎる!!」

 

 魔物達の攻撃に絣もせずに、ホルス達が宙を舞う

 

「退け」

 

メガラスの渾身の速度での体当たりが、魔物軍勢を大きく引き裂き

移動した場所に、凄まじい衝撃を繰り出す。

 最初の一撃で、魔軍の統制は乱れ3発目で完全に崩壊した。魔物達は、勝てる相手には何処までも強気で残虐になれるものであったが、所詮は烏合の衆である。数だけであり、忠義心も無ければ、仲間を思いやることも無い。

 

「どけどけ、早くあっちへいけ!!」

「そういうお前こそ、早くどけ邪魔なんだよ」

 

 魔物達が互いに押しのけあい、我先にと逃げ出す。

 その様子を見て、ホルス達も安堵の声を上げる。

 

「ぬ…思ったよりも弱い生き物で助かったな」

 

「ああ、最近どうも体の調子がいい」

 

「確かに、ここ数年前と比べて飛べる距離も筋力も飛躍的に上がっているな」

 

「…(テラ様、貴方の居場所は俺達が必ず守り抜く)」

 

 一度の難は、退けた。二度も同じ様に来はすまい。そう彼らは確信していた。

 

「何故逃げた…言ってみろ」

 

「あ、あ、あべる様…」

 

まるで、魚の様に口を開け閉めしながら魔物に対しアベルが詰め寄る。

 

「まぁ、そこらでお止めなさい」

 

トロスが間に入り、仲裁する。

 

「しかし、おめおめと逃げ帰った兵など」

 

「まぁ、相手の戦力を測って居なかった此方に非はあるのです」

 

「なぁに、相手の種さえ分れば対応の仕方など幾らでもあるもの」

 

「次は、此方で行いましょう」

 

そう言った。トロスの口は、勝利の妄想に歪んでいた。

 

「…」

 

 それを見つけたのは、一般のホルスであった。

 凄まじい数の何かが、此方に向かって只進軍し続けていた。

 

「奴等、諦めていなかったか」

 

「あれが、全て敵なのか…万の軍勢で聞かんぞ、ぬぬ」

 

 ホルス達が、絶望の表情を浮かべながら軍勢を見つめている中、メガラスが一人口を開いた。

 

「装置を隠せ、時間は俺達が稼ぐ」

 

「メガラス…」

 

「俺達が、どうなろうとテラ様だけは守り通すぞ」

 

 その言葉に、ホルス達の心は一つとなった。

 

「ああ、そうだな」

 

「忘れる所であった」

 

「なに、もう一度蹴散らしてくれよう」

 

 DRの軍勢にメガラスを中心とした決死隊が、そのホルスの中でずば抜けた。早さで殴り込みをかける。

(ぬ、此奴ら前の奴等よりも堅い)

 

 その力で、前回と同様に道を切り開いていくメガラスであったが、どれほど相手を倒そうと相手は、決してその進撃を止めず。また、陣形を崩さすに進み続ける。

 

(死ぬのが、怖くないのか…知能が無い生命体なのか、せめて調べる時間と装置さえ無事ならば)

 

 そう思わずにいられなかった。もし母艦が無事でさえあれば防衛の為の武装も起動でき相手を調べる手立ても幾らでも用意が出来たのだ。そう思うとあの時の不時着が本当に残念でならなかった。

 

 既に、数万を超える。DR達がホルス達との戦闘に敗れその体を大陸に還していった。

 

「なぁ、可笑しくないか」

 

 突撃のさなか、あるホルスがメガラスに疑問を投げかける。

 

「なんだ」

 

「此奴ら、いくら何でも俺達を殆ど傷つけていないのに…何故只、進撃を繰り返す?」

 

 確かに、何故か攻撃らしい攻撃すらしてこない。

 まるで、誘導の様な…

 

「「お前ら!!俺様の言葉が分るか!!」」

 

 まるで大陸に響き渡るかの様な声がトロスから発される。

 

「「お前らは、勇敢で強くて仲間思いだったよ!!」」

 

 その生物は、巨大であった。あまりにも…足下には、何十ものホルスの遺体が潰されており、カマキリを催す様なホルスの頭の半分のみが転がっていた。

そして、その手には一匹のホルスが握られていた。

 そのホルスは、この集団ならば誰もが知っており唯一無二の存在その名を…

 

「て、テラ様!!」

 

「テラ様そんな!!」

 

「ぐっ」

 

 ホルス達の足が止まる。あの生物が何を目的で此方に話を仕掛けたのかは、分らない。しかし、今ここで攻撃の意思を見せれば、あの手を握りしめ、テラを殺傷するである事は誰もが理解出来ていた。

 

「「犠牲が少ないと気持ちがいいなぁ!!ハッハッハッ!!!」」

 

 自らの久しぶりの勝利に酔いしれる様にトロスの笑い声のみが延々と静寂した場を支配し続けていた。

 勝敗は、決まり魔王連合軍の初戦の勝利であった。しかし、アベル側の犠牲も多く魔人の揃わぬ魔軍の脆弱性をさらけ出した。

 対して、トロス側の損害は早々に逃げ出した。魔物達と違い一新に攻撃を受け続けた為、十倍に近い損害をたたき出した。しかし、DRは、トロスにとって量産が可能な工業品であり、らでも作り出せる物であったので、問題とならなかった。

 

「っと言うわけで、協力して」

 

「お断りいたします!」

 

 戦闘は、終了しホルス達はDRに拘束され女王であるテラも複数の魔人が側にいる状態でトロスと向かい合っていた。

 トロスは、現在の大陸の状況を馬鹿正直に話し(ここで、腹芸などが出来ないのが、所詮は底辺である)ホルスにアベル側に参戦を望んでいる旨を伝えるも、テラからの返事は、何度も同じ様に拒絶一択であった。

 

「これだけ言っても、分らねぇのか!!」

 

「何度も申し上げましたが、我らは共生を求めていても侵略の先兵となるつもりはいたしませぬ」

 

 テラの覚悟それは、正しく凜と咲く一輪の百合の様にトロスに感じられた。後の歴史書では、ホルスが人の容姿ならば、この大陸の歴史は融和と共生の道を歩む事は、不可能で無かったとテラと会談した知識人達は語っている程に「テラ」という存在は気品に満ちあふれていた。

 

(こいつの覚悟は、並じゃねぇな…前世のTV前のお偉いさんとは大違いだな)

 

「はぁ~!負けたよ。俺の負け」

 

「勝者は、貴方ですよ…ソソソ」

 

トロスは、テラの顔に顔を近づけささやく

 

「そう俺は、力で勝ったんだ」

 

「だから、勝者の言うことが全て正しい、黒も白になるんだ」

 

「だから、お前らの勝利だ」

 

「意味が分りませぬ」

 

 トロスは、作戦もへったくれも無い、突撃を繰り返したり下の相手の意思を無視し気に入った存在は、どんな手を使っても手込めにする等の悪癖は、間違い無くあったが、逆に配下には、桁外れの待遇を許し後の世で王女一人を体に入れる為に、ほぼ全ての魔族が見下す人間の国の存続、援助を行った事も多いと言われている。今回は、前者に近い感情で動いたのであった。

 トロスの言葉と共に、ホルス達の拘束が解かれる。

ホルス達は、怪訝な表情を浮かべる者も多かったが、ほぼ全てがテラの元に我先とかけよりまるで、トロスからの盾となるように並んだ。

 

「じゃあ、さよなら~ああ言っとくけど、外にいるドラゴン達と和解しようなんて手ぬるい事を考えんなよ。彼奴ら自分以外の種族は、基本的に殲滅するタチだぞ」

 

泥の体から手を作り、振り回しながらトロスが帰ろうとする。

その様子を止めたのは、テラであった。

 

「お待ちください…まだ貴方とは正式な会談もしておりませぬ」

 

「居座り強盗相手に話し合いの続きかい?律儀だね…あんたも…まぁ運良く暇で手が空いていたら、話ぐらいなら聞いてやるよ」

 

あっそうだ

その言葉と共に、テラに再度向き直る。

 

「あそこの食料は、破棄するかどうかしたほうが良いぞ」

 

「?何故です。」

 

「ああ…うんあそこな俺の魔姫…まあ部下の死体がちょうどしたに埋まっていたんだな…だからあそこの蜜をとり続けると…」

 

  魔人になってしまうぞ

 

 その言葉に周囲のホルス達がざわめく、魔人とはなんなのか、何をこの生物は自分たちに伝えたいのか?誰も理解も質問が出来ずにざわめきは広まる。

 コイツラ本当に何も知らなかったんだな…トロス自身、自身の汚い血が他の種族の血を汚染している現状に猫の額より小さい良心が少しだけ痛んだ。

 

「魔人とは?」

 

「まぁ、一般の生物よりも強い生き物っていった所かなぁ…俺の血から出来た魔人は、あの娘…なんでもないわ」

 

「娘?」

 

「その話は、言い間違いだ気にするな!まぁ血が混じるのは気持ち悪いだろ。種族や民族は純血が一番だ!万歳!!」

 

「お待ちください」

 

「いや、もう待たない」

 

 では、今度こそ、さらばだと外に出たトロスを待っていたのは、アベルとその前に先ほど此方に損害を与えたホルスが並んでいた。

 

「…お見事でしたな、トロス殿」

 

「いやぁ、手の内が分ったからですよ。どうも船の一部だけを気にして動いていたみたいですからねぇ…此奴ら」

 

「そうでしたか…ところで」

 

 あの女王は、どうなされました?

 その言葉を五分前に聞いて居たのならば、魔人メガラスは誕生していなかった。予想よりも、早い再会は同時に長い離別を彼らに与えたのであった。

 

あの女王の命は、私が取りなそう…

 

 それは、メガラスにとって密よりも甘美な言葉であった。

目の前の生命体が、約束を守る筋合いなどなかったが、わらにもすがる気持ちで魔人という、存在になる事を了承した。

 

 血を与えられた瞬間に我を忘れる程の激痛に悶え、周囲の物を破壊しだし幾らの時間か分らない程の刹那、魔人メガラスは誕生した。早さならば、魔王すらも優に上回る最強のハイブリット魔人として…

 

「練習も終わりという事は、次は本番ですな」

 

「ええ、今度こそは」

 

「「マギーホアを殺し、我らの繁栄を」」

((此奴も殺す))

 

はっははははははは!!

 

 両魔王の笑い声は、全軍に響き渡り

 本番の到来を魔人達に実感させた。

 

 尚後方で確認を行っていたケイブリスは、耐えられずに気絶していた。

 

 

ソウダヨタダヨクボウノママニウゴケバイイ

ワタシダケハコウテイスル

 

 何故か、トロスの脳内にノイズが走った…しかし気のせいであろうとそれを誰かに相談する事も、思い出す事も最後の時までついぞ無かった。

 




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