「凍結」過去の遺物   作:オオソカ

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崩壊し同盟

ドッドッドッ!!

 

 量産工場にて無数とも言える。DRと魔人達が生産されていく主人すら勝てぬ相手との闘いに唯物も言わぬ肉壁として増産される。その有様は、道具そのもので聖女達の誰一人とも良い顔をしなかったのは、当然であろう。

 その中でケイブリスは、緊急事態が起き際に知らせるだけの役割をアベル、トロスの双方から申し渡され、唯そこにいた。

 

「うっし、うっし!!」

 

 何も無い空間に爪を立てる動作を何度も繰り返す。それは、強くなる為、死んだ憧れのククルククルに少しでも追いつく為、未だに生き続け私欲の限りを尽くすトロスの様になりたいため…

 ここにケイブリスがいる必要は、殆ど無かった。この工場ですら名目上アベルとの友好関係を出すためにトロスが解放した。無数にある内の一つに過ぎない、警報の役目すら例えケイブリスが死のうと周囲のDRと魔人が直ぐに知らせる手筈となっていた。

 あの無数のドラゴンの中、魔物達は役立たずであったが、唯一魔人の中での完全な役立たずは、ケイブリス唯一人であった。最強のメガラスは、それこそ最前線で闘い。魔人のドラゴン達も敵のドラゴンと死闘を繰り広げていた。

 過去の同族の丸い物の魔人達は、既に滅びククルクルの魔人の唯一の生き残りである。ケイブリスは、この期待もされていない状況でも腐る事は、無かった。それは、目標の一つが未だに健在であるためか…それともあの緑髪の少女との出会いが彼を変えたのか…それは、本人ですら分らなかった。

 

 変わって、本隊である魔王連合軍でもこのままトロスの兵力が再生産された後に攻撃に移るか、それとも相手も回復仕切れていないいまこの瞬間を狙いに撃って出るべきか、議題はつきぬも、同時に誰も実行の声を上げないので正しく怒号と暴言が飛び交う地獄絵図となっていた。

 

「甘い、今の戦力で竜王を殺し切れるものか!!」

 

「臆病物め!今動かずに何時動くというのか!!相手が回復仕切れていない今が好機だ!」

 

「…」

 

「威勢は、良いようですな…」

 

「お恥ずかしい」

 

 この中で冷静に戦争について考えて居るのは、アベル、メガラス、トロスの上位三名のみであった。

 

((どうにか、マギボーアを殺さなければ勝ち目は無い))

 

 両魔王が同じ結論に達した。大陸最強の生物のマギーホア…過去を含めるのならばそれすら上回る。ククルククルが存在したが、既に死体が山となり周囲のモンスター達の繁殖地となっていた。尚ドラゴン達は、生きていた状態を知っている為か、近寄ろうとしなかった。

 

「兎に角、足さえ止まれば…」

 

 その時であった。

轟音と共に、基地全体が揺れ出す。

 

「索敵!!急げ!!」

 

 トロスがDR達に魔法投写をしようさせ、外の様子を映し出す。

 其処には、戦闘の傷は無くなり覇気を充実させた。竜王と付き従う側近達にドラゴンがブレスをはき続ける姿が投影された。

 

「あっち、から攻めて来やがった…」

 

「最早、議論の余地など無いな」

 

「出撃する…」

 

 何は、ともあれこの場を凌がなければ

 全ての者の考えが今一度、一つになった瞬間であった。

 

「魔人共、汚色破壊光線の使用を許可する。狙いは、マギーホア及び側近、分身体が引きつけてから打ち込め!!」

 

 言葉と共に、基地より凄まじい大きさを伴った砲身が出現する。その正体は、汚色破壊光線をトロス以外でも発射可能にした。固定魔道砲台である。威力は、折り紙付きで魔王クラスですら、直撃すれば半死半生になると計算されているモンスター兵器であった。

 

 問題を挙げるならば…

 

「テーーー!!」

 

 かけ声と共に、砲身から光が集まり発射される。

 数十秒の時間を置いて、光線が発射された。周囲のドラゴンを腐り堕としながら竜王にめがけて一直線に進む…しかし

 

「ああっ、糞やっぱ避けられた!」

 

 大きすぎる砲身、発射に時間が(ドラゴン用としては)かかり過ぎる。また…

 

「次弾の装填急げ!!」

 

「…」

 

「なに!!最速で三日だと!!それまで待ってたら俺達全員死体になっているわ!!」

 

 装填への時間がかかりすぎる等…現在のトロスの技術では、おもちゃ以外の何ものでも無かった。

 そして、その隙間を狙いドラゴン達が次々と突撃する!それを相手するのわ合体魔人達である次々と戦闘に入りドラゴン達と対峙する。

 合体魔人がドラゴンを引きちぎり、撲殺する。絞殺、捕殺、惨殺、銃殺…ありとあらゆる殺戮がドラゴン達に対して行われた。さすがは、対ドラゴン用の戦力の一つであった。量産が難しい分身体や魔姫では、こうはいかなかった。

 

「押されていますな…」

 

「全軍に必ず複数で当たるように伝えろ…これは闘いでは無い、戦争だ」

 

「ハッ!」

 

 ドラゴン側も負けずと、集団でブレスを吐きながら魔人を攻撃していく、そこにDR達が盾となるように、重なり合い僅かな魔力にて魔人達の為に身を挺する。

 

「数では、此方が不利か…」

 

「正確には、質を揃えられる数ではな…」

 

 連合軍の方が、総合戦力三倍以上の差を誇っているが、その内の3億以上の魔物達はとても役に立つもので無く、待機所にて震えている始末であった。先ほどの戦闘からトロス、アベル共に、魔物に期待等しておらず。運が良ければ弾よけになるかも…位の認識であった。

 その為、肝心な対抗戦力は合体魔人と分身体が鍵であったが、どちらもドラゴンと比べて数が少なすぎた。今は、質で押しているものの…いずれ数の差で押し込まれていくのは誰の目からも明らかであった。

 

 

 

「メガラスは、もう出ているか」

 

「やる気に溢れているね、彼」

 

 発のメガラスに続き、トロス、アベル、ドラゴンの魔人も次々と出撃し、その後ろから魔姫も4体が出撃する。現状出せる最大戦力であったが、それですら眼前の王を殺し切れるのか不安であった。

 

「カミーラ帰ったら、お前の居場所も少しは綺麗にしてやろう」

 

 その言葉に気付く者はおらず。それが、アベルの良識を持った最後の言葉だった。

 運が悪かっただけ、そう言えばそうであるがこの後の展開は、魔王とよべる存在の最後にしては、あまりにも滑稽で無残で残酷な正しくこの大陸を表すような物であった。

 

「王よ、アベル及びトロス、裏切り者共が出てきました。」

 

「来たか…まずアベルを押し込むぞ」

 

 三位一体でマギーホアに再び、戦闘を仕掛けようとするもさすが、ドラゴンといった所であろう。一度受けた戦術は二度も通用させないと言うかの如く、最高戦力がトロスに集中して攻撃を仕掛ける。メガラスもアベルもトロスがこれだけで死に至る筈が無いと慢心していた為であろうか、それを狙うが如くアベルに向かってマギーホアが一瞬の隙を突いて突撃し、アベルがひるんだ隙に今まで貯めていたのであろう、最高威力のブレスをアベルに見舞った…そのブレスを受け、アベルも基地に衝突してその巨体にて基地を崩壊させながらのめり込ませる。

 

「分断するつもりか?おいメガラス!!これ以上竜王を自由にするな!!」

 

「了解した!」

 

 しかし、相手もそれ位の事は理解しており続けてブレスが発射される。メガラスも全力で加速し突撃したのだが、早さこそ大陸最強のメガラスであったが、それ以外は平均的な魔王と同じであり、竜王もその衝撃に全身を硬くし受け流しつつブレスをはなつ!!

 

 だが、そのブレスは同盟の破綻と竜の絶滅を決定づけた。

 それは、両陣営の誰一人とすら想定していなかった事であり、皮肉にも竜と魔軍の戦争はこの日をもって終結する事となった。

 

 

 

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

 

 絶叫が、戦場を支配する。

その声は、アベルそのものであった。そして、その開いた口元には血が溢れており目は狂気に染まっていた。

 

「カミーラ!!私のカミーラ、食べてしまった!!私が王冠をカミーラを!!」

 

「戻れ、戻れ、戻れ!!何故戻らない魔人なのに私のものなのに、全てなのに!!」

 

 その狂乱に一時戦場が静寂に包まれる。

 目は、完全に真紅に染まり、まるで周囲を全て憎み、殺意に溢れるかのようであり、以前の策略に富み、敵の敵と手を組むほどの知性をその目から見いだせる者は居なかった。

 

「おい、王冠ってアイテムじゃないのか?」

 

「…アベル如何した?」

 

 メガラスが心配する中でトロスが、見当違いな方に思考を巡らせる。トロスの特定のメスに対する執念は、ドラゴン中に広がっておりこれは、以前逃がしたポピンズ達が流していた。まあ、仮にトロスが王冠と直接面体しても王冠の性格は、トロスにとって忌避するものであり生まれてから対応している。聖女達と違いとても受け入れる気も欲しいと思う気持ちも持たなかったであろう事は、想像に難しくなく…逆にアベルは、自分の思う以上に警戒をしすぎたために最愛の異性を失う事となった。

 

「お、王、ま、まさか…」

 

「カミーラが…馬鹿な」

 

 ドラゴン達も、最重要の存在を自らの手で失ってしまったのである。マギーホアからしても己の妻を失う喪失感は、凄まじく唯カミーラのものであろうアベルの口元から流れる血を呆然と見続けていた。

 

 静寂は、続くもついに打ち破られる。

 アベルのブレスによって…その直撃を喰らいしものは

 

「がぁああああ、アベルてめぇ気でも狂いやがったか!!」

 

 トロスにブレスを直撃させ、そのまま周囲の味方、敵に無差別にブレスをはき続ける。

 その光景をマギーホアは、未だに呆然と眺めていた。

 

「いい加減、止めねぇとてめえらも敵と見なすぞ!!」

 

 トロスの怒声に対する返答もブレスであり、流石に何度も喰らっては不味いと合体魔人が間に入り、無敵バリアーにて防ぐ

 

そして、その隙は…

 

 

「もう怒った!!こんな同盟もう即日解消じゃああ!!」

 

 その声に一部の魔物と魔人達が集中する。

 アベルが狂気に墜ちた為、今頼れる最高戦力はトロスなのにその戦力まで此方に敵意を向けてきたら生き残れる事すら出来なくなる…その思考に全員が染まった。

 

「トロス殿!落ち着いてくだされ!」

 

「こ。これは、何の間違いで…」

 

 言い訳がましい言葉が魔人達から並べられるも

 それ位で、矛を収めるのならば、ゲスだのクズだの言われていない。

 第一、トロスに精神的な成長は、なんと生まれてから6歳頃から特に大きく変化を見せていないのであった。力を持った子供がそれを我慢する事など出来ない…今まで押さえつけられてきた存在ならば尚の事…

 聖女達が一人でも残って居るのならば、ある程度は譲歩を見せた可能性は、ある。しかし…肝心の彼女らは、新世界にてバカンスを楽しんでいた。

 

「もう、良いてめぇらこいつらを纏めて吹き飛ばせ!!」

 

 怒りにまかせた感情的な命令に反応し魔姫が四体膨張しだす。その隙にトロスと配下の合体魔人たちのみ異空間ゲートを作成し逃げ出す。聖女達がいるなら決して意地と彼女らの安全の観点から使えない…しかし居ないのならば出来る。そう元人間だからこそ、勝つためならばどんな卑怯な手も使えるからこそ出来る技であった。

 その行動に唯一といっても良いほどに対抗出来たのはメガラスただ一人であった。急転換しその速度で一時離脱するとその数秒後には…

 まず、まばゆい光がその場を支配しそれに気付いたマギボーア及び側近達であったが離脱の姿勢を取るその瞬間に凄まじい轟音と衝撃がその場を支配した。その衝撃は凄まじくトロスの基地をケイブリスが居る様な場末の地下などを残し全て灰燼に還し、最強の竜王を死の予兆すら思わせずに大陸から消し飛ばした。

 

 

 

「もう良いか?」

 

 一時の激情でアベル事、マギーホアを吹き飛ばした。トロスであったが…今ではどのみち敵対するのだからと完全に開き直っていた。

 

「って、おい」

 

 残ったドラゴン達をアベルが元気良くブレスを吐き殺し続けている。マギボーアを殺戮に成功した。トロスであったが、アベルは生き残りその憎悪をもった瞳で周囲を破壊しつくしている。最早交渉も不可能であった。そしてそれを本来止められる竜王も殺してしまった為、如何しても魔姫もほぼ壊滅し分身体も数を数える程しか残らなかった。状態でアベルに挑む事しか方法が無くなってしまった。

 

「と、取りあえず逃げるか」

 

 しかし、そこは大陸随一の卑怯者、ゲスと言われるトロスである。見なかった事にしてその場を逃げ出したのであった。

 逃げ出した先に楽園は、無いと人は言う。しかし、ここで馬鹿正直に怒り狂うアベルと正面から衝突しあって勝てる見込み無く、兎に角、時間を作る為に我先にと逃げ出した。配下達もそれに続き、周囲を警戒しながらドラゴンとアベルに注意を払いながら撤退する。物を言わずに尽くすその姿は、まるで「おしん」の様であった。

 尚、後に聖女達との連絡が取りづらくなった事とハンティの卵を忘れそうになり、回収に戻りながら、その最中にアベルにブレス攻撃を受けつつも何とか逃げ切ったのであった。

 

 

「な、何だってんだよ!!この揺れは!」

 

「おい!!誰か!!アベル様!!トロス様!!誰でも良いから!!助けて!!」

 

 一人元の場所に取り残されたケイブリスは、出ることも出来ず。罵詈雑言を吐き続けたが暫くすると小さな腕で地面を掘りながら地上に出るための準備を重ね続けていた。ちなみに、彼が、いる地下は最奥でありそのお陰で魔姫の爆発もアベルの暴走の被害にも遭う事は、無かったが、同時に数百年間のモグラ生活を余儀なくされたのであった…

 




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どうでも良い豆知識

魔姫「戦闘用」

 分身体が、魔人処置を受け急激な進化を遂げた存在、尚姫とつくがその容姿は巨大な泥で出来た蛭に近い、性能は、ばらつきが多いが大凡、平均的な魔王と近い性能を獲得している。
 魂は、無く指令によって動くが他の存在よりも行える事の幅が広く研究や建築に使用される個体も多い。
 唯一の欠点は、数百年に一体ぐらいの割合でしか生産が出来ない事である。
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