短いですが、投下します。
「利害同盟」
魔王ククルククル倒れるその話題は、瞬く間に大陸全土を振るわせ
メインプレイヤー達は、長きに渡る戦乱の終結と真の自分たちの時代の到来を喜び
残された魔人達は、これからの境遇に悲観の涙を流した。
そして、次なる駆除すべき遺物は…
「おにいちゃん、一緒に逃げようよ」
「悪いけど、流石にドラゴンがこっちに全力を向けるなら魔王様でも死んじゃうわよ」
「えーと、新生活にはあれも、これも必要ね、楽しみね」
「勝てないよ…トロス」
「いいから、さっさと行け!お前らまで危ねぇじゃねぇか」
本来ならば、後1000年以上大丈夫な筈であった…しかしドラゴン達の猛攻は、激しく予想を遙かに上回る速さでククルククルを堕としてしまった。
そう、次は自分の番である。あの最大戦力が此方を今度こそ、消し去る為に本気で全力を出して殺しにやってくる。
ならば、せめて…此奴らだけは、逃がさなくて
そう、自身が死ぬなんて事はどうでも良い
生かさなければ、俺が初めて手に入れた成果なのだから
「ゲートは、出来たか!」
「…」「…」
分身体のうなずきにより、シャワー室より次元が歪み、奇妙な空間が現れた
「本気…なのね」
「俺は何時も最初から、本気だ!良いから行け!間に合わなくならない内に」
その言葉と共に、複数の分身体が目で確認できる範囲で十を軽く超える数が彼女らを掴み、それに続きニ体の魔姫及び百を超える魔人達、億を超えるDR達が続いて異次元に入っていく。
「………!!」
その場に、魔人が数体周囲を破壊しながら入ってくる。
「!遂に、ドラゴン共が来やがったか!!」
トロスの魔人達は、命令以外の行動は、自己防衛以外取る事が出来ない。
裏切りをしないが、自発的な行動も行わない人形達はある意味ではトロスの信任を一心に受けていた。
そして、その魔人達が大急ぎで行動する場合には、緊急の用であり、今現在ドラゴンそのものに違い無かった。
「急いで、そいつら逃がしておけよ!」
「時間は、俺が稼ぐ!!」
「駄目だよ!一緒に行こうよ!!死んじゃうよ」
「心意気だけ、酌んであげましょう…」
「ねぇ、次の引っ越し先って、どんなとこだっけ?」
「ぐぅ」
彼女ら4人のそれぞれの言葉を背にうけて
愚者は、殺し合いに向かう…恐らく二度と顔を合わせる事は無いであろう
1000年を超える長い時間を共に過ごしたが、ついぞ互いに心を通わせる事など無かった。
しかし、それでも良かった…本来夢にすらみれぬ美しい存在を手にいれて手元に起き続けられたのだ。自分の命では、本来ならとても達する事など出来ない偉業とすら思えた。
そして…もう逃げる理由もなければ、遠慮する余裕すらない
ドラゴン・トロスどちらかが…
「と、トロス様!!」
思考は、小さいリスによって遮られた。
「何だ、此奴は?俺は丸い物ぐらい出たから全力を出せとはいってえんぞ」
「って、おまらら初期型か…後で様子見とくか…」
トロスの魔人達は、決して永年の運用を目的にした物でなくその都度の状況に合わせて使用する道具程度の認識の物であり、使い捨てのDRよりは期待されていたが同時に合体魔人などの例外を除けばドラゴンと一体一の勝利すら難しい…その為魔人単体には、自然と期待も薄まっていた。
特に、どうでも良いことに対しては旧い魔人が動員される事があり、優先順位が聖女やハンティが一番であり、自身は2番目であった為、使用する魔人も比較的に旧型が多くなっていた。
「し、しししい、新魔王アベル様よりお言葉を預かっております」
「新魔王アベル?」
新しい、ゲームのラスボスか何か?
そう下手な思考をしている内にリスは、言葉を続ける。
「古の魔王トロス殿、今、私は前魔王ククルククルを打ち倒し、その血により新たに選ばれたドラゴンの魔王である。」
(ドラゴンが魔王に、魔王は伝染するのか?)
今まで、知らぬ事実にさすがのトロスも恐れおおのく
「新たに魔王となった私は、王としてふさわしい王冠をあの竜王より手に入れ、同士と共に奴に反旗を翻したのだが…悔しいが私達だけでは、ドラゴンの軍勢を討ち滅ぼす事が出来ぬ、情けない限りだが、ここは是非!」
一度大きな声を上げリスが言葉を続ける
「この大陸にて原初の魔王である。トロス殿と同盟を組みこの大陸の新しい王者をかの者達に伝えたいと考えている。勝利の暁には、この大陸を二人で半分に分けて互いに繁栄を楽しもう」
「っと…の事です。」
リス、ケイブリスが言葉を終えるとトロスから帰ってきたものは
了承のうなずきでもなく、拒絶の攻撃でもなく、重い沈黙であった。
(た、頼む!了承してくれぇ~じゃなきゃ生きて帰れてもアベルの奴に何をされるか…)
戦力として見なされないケイブリスであったが魔王が魔人を只遊ばしておく余裕など現在ある訳が無く、危険性が高いが同時に脅威と見なされない程に弱小なケイブリスであったからこそこの役目を押しつけられたのであった。
(直ぐに、うなずくのは危険だな…)
同時にトロスも新魔王とは、顔を合わせたわけでなく相手は友好を語っているが所詮ドラゴンの相手が出来ないのは、あちらも同じであり自身の戦力の増加の望みが薄いのならば直ぐに調達出来る所から、持ってくれば良いと考えたのであろう。
その点では、トロスは、アベルにとってこれ以上のない同盟者であった。
「そうだな…これ以上お互いに争っても、ドラゴン共が喜ぶ位だ…」
「同盟だな、分った結ぼう」
「あ、有り難う御座います」
それでは、アベル様に伝えますねと帰ろうとするケイブリスをトロスが引き留める。
「まあ、待て流石に俺の一言で同盟なんて、簡単にできないだろう」
だから
(だから、何だよ!早くしないとアベルに何されるか)
「ひとまず。会談といこうじゃないか」
「まぁ、手ぶらでは信用もされんか、おい!」
その言葉と共に、数万のDRと十の魔人、一体の分身体が現れた。
その瞬間、ケイブリスは恐怖すら覚えた。現在魔王軍あってもこれだけの戦力を直ぐに徴用する事は、不可能である第一全24体の魔人すら集結していないのだ。
一度に、一瞬の内にそれを上回る戦力を片手間で用意するトロスの恐ろしさを改めて身に染みこませていた。
「アベル殿には、些細な物だが、存分に使い捨ての戦力として運用して下さるようにお伝えくだされ」
「いけ」
号令と共に、軍勢がケイブリスの元に跪く
「そ、それでは確かにお伝えしますぅー」
大量の軍勢と共に、ゲイブリスはイソイソと去っていった。
そして、それは魔王と魔王が互いの利益の元で団結するという大陸において
凄まじい番狂わせが始まる瞬間でもあった。
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「それで、アイツは確かに同盟には前向きだったんだな?」
「はい!確かに一度会談を行ってからと言っていましたが共にドラゴンと闘おうと言って
おられました。」
「ふん、そうか」
新しい魔王、アベル…その王の前でゲイブリスは必死に自身の成果を伝えていた。
新しい魔王は、知恵者…これは、魔物や魔人達の間で密やかに語られていた言葉であった。
現に、未だに誰も姿を見ない魔人の王冠を除けば、ほぼ全ての魔人達に号令をかけて戦力を集結しそれだけでは、マギボーアに勝てないと、あの「トロス」との同盟を組むという前の魔王ならば考えもしなかった。事を実行に移している。
(一度に、同盟を結べなかったのが痛いが…まぁ此奴に過剰な期待をしてもな)
アベルにとって、魔王とは前の自分と違い桁違いの存在であった。
実際にドラゴンの平均的な強さしかもたなかったアベルにとって、「ククルククル」の強さは最早、災害に等しい物であり、自身が参加した。闘争においても幾多のドラゴン達の攻撃で弱っていなければ、到底倒す事等出来ない存在であった。
卑怯者と言われるあの「トロス」も、一度ドラゴンの集中攻撃を正面からしのぎ、マギボーア以外のドラゴン達では、勝負の土台にすら立てぬ存在であった。
「ケイブリス!」
「ハイッ!!」
「お前には、再度トロスの所へ行ってもらうぞ」
「あっ、ハイ…」
その言葉を聞いた。ケイブリスの瞳は確かに光を失っていた。
「会談の日程を伝える。今日より…」
余談だが、魔王と魔人による会話は、全てトロスの魔人達がトロスへ流していたのであった。
「そっちは、どうだ?楽しんでるか」
地下の一室にて、魔力を用いての映像が映し出され
そこには、四人の聖女達がいた。
ある者は、安堵し、ある者は微笑み、あるものは嫌そうな表情をしていた。
「ええ、最初は戸惑ったけど案外快適ね、ここ」
「お兄ちゃんも、一緒に来ようよ?」
「トロス、体大丈夫?」
一人は、言葉を発しなかったが「うげ」と言う言葉をトロスは聞かなかった事にした。
「まぁ、無事なら良かった」
追記すると、この四人の少女達の安全と快適な暮らしの下には数百種の種の絶滅及び数億の屍が下を支えていた。
その犠牲もトロスが聞いても「安全性に難があったか?」位の感想であろう。
「ここは、私達に似た生き物も多いわね」
「そうだね、似てたよね」
「でも、なんか髭モジャモジャ過ぎてちょっとねぇ…臭いし」
「飴あげたら、喜ばれた」
「お前らに、似た生き物か…集団で動いていたか?」
「そういえば…」それは、ベゼルアイの言葉であった。
「他の生き物の毛皮を着ていたのがいたわね、あと私達に似た服も少しだけなら見たかしら?」
「…そうか、そいつらに気を付けろよ」
「人間」自身の元の種族である。そしてある意味であるならばその脅威、力は、ドラゴンを遙かに凌ぐ…最もその力は、数千年の時間及び数えきれぬ死体の山の元に築かれるのだが…
記憶が蘇る。惨めな思い出したくもない程に惨めな自分を…
「うぉおおおおおおおおおおお」
雄叫びと共にトロスが自身の体を全力で攻撃し始める。
体が凹み、汁があふれる。
「何してるの…」
「止めて!止めて!!」
「自分を虐めちゃ駄目だよ」
「ひっ!」
悲鳴と困惑の言葉がその場を占める。
自傷行為、ある程度の知性を持つ生命が行う行為である。
思い通りにいかない、過去の記憶がフラッシュバックする。起こる理由は様々であるが
この行動を起こすトロス自身に周囲は不安を覚えた。
「お願いだから、止めてよぉ」
一人、涙を流し懇願する。ウェンリナー…彼女の説得により不穏な空気を残しつつも異界との交流は、終了した。
かつて、自身の配下を粉々に粉砕した事はあった。
初めて見るトロスの行動…それは下等な存在が無理に枠にはめられた為であったのか…
後世の文献には、トロスは鬱などの症状であったので無いか、軽度の知的障害があったのではないか?と書かれている。
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ドラゴンの住処、後に第二世代にとっての唯一の国家と言われた。
場所に、ドラゴン達が集まり今後の進退について話をしている。
「まだ、王冠は見つからぬか」
重苦しい雰囲気の中で王が口を開いた。
その言葉に、周囲のドラゴン達に緊張の汗が流れた。
「申し訳ありません。未だに…」
「いそげ、王冠が居なければ我らが種族に未来はない」
王冠の重要性…それは全てのドラゴンが知っている事であった。
王冠が無ければ、新たなドラゴンは生まれる事が出来ない…王の力も唯一無二であったが王冠も同様かそれ以上の存在であった。
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「くすくす あれと魔王が手を組んだんだ」
「面白いなぁ、皆必死に足掻いてて」
ある空間で、巨大な白いクジラが大陸の様子を見ながら嗤っていた。
この大陸、いや世界の絶対主…
魔王とドラゴンの生死をかけた。覚悟と力のぶつかり合いも只の派手な娯楽でしかなかった。
しかし…
アレガシンダラオマエタチモヨウハナイ
その遙か後方にて創造主も気付かないまま、創造主を遙かに上回る巨体がその様子を見下していた。
投下終了
以下どうでも良い知識
汚色破壊光線
トロスの専用魔法の一つ
威力、早さ共に其処まで凄まじく無いが光線の範囲を汚染し、様々な状態異常を相手にすりつける。技、トロス本人も直撃した場合に汚染は逃れられないのでいろいろな意味で必殺の一撃である。
奇妙なゲート
後のゲートコネクト見たいな魔法、トロス本人だけで起動している訳で無く。起動時に分身体及び魔姫の協力が必要不可欠である。
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