超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed   作:シモツキ

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第七十話 絶対また、一緒に

 戦いは終わった。黄金の塔の破壊っていう目的も達成して、ぷるるんも前に進めるようになった。ストーリー的には神次元編終了!後はエピローグ的な日常イベが一つあって…って感じになるんだけど、わたしは女神で、ここは社会がちゃんと機能してる神次元。となればまだ不安な思いをしている人達をまず安心させてあげなきゃいけない訳で、信次元に戻るのは数日後になった。

…なんて表現するとなんか仕方なくなってるみたいになっちゃうけど…そんな事ないからね?わたしやネプギアがいる事で、ただそれだけでも安心してくれる人達がいるなら、出来る事はしてあげたいもん。

 という訳で、色々やっていた数日間。これは神次元の人達の為の時間だったけど…今思えば、一方的な事じゃないんだよね。だって…わたし達もわたし達を慕ってくれる人達の姿を見て、元気をもらったんだから。

 

「ふー…やっぱり次元が違っても、プラネテューヌはプラネテューヌだね」

「うん。もしかしたら、国民の皆さんの中にもわたし達の知ってる…信次元にも存在してる人がいるかもね」

 

 教会の廊下を歩きながら、さっきしてきた事について話すわたしとネプギア。言われてみれば確かに、他にも同一人物がいたっておかしくないよね。後は、信次元ではまだ子供の子が、こっちでは大人になってる…って事もあったりして。

 

「ところでネプギア、皆が来るのってまだだよね?」

「うん、予定の時間はもう少し後……あ」

 

 そのまま話しつつ歩く中、不意にネプギアが足を止める。なんだろうと思って視線をネプギアの方から前に向けると……その先には、ある部屋から出てくるノワールがいた。見るからにぐったりしてる、覇気激減のノワールが。

 

「おーい、ノワールー!だいじょーぶー?」

「あぁ、ネプテューヌ…」

 

 これはスルー出来ないなぁと思ってわたしが声をかけつつ駆け寄ると、ノワールは疲れた様子でこっちを見る。

 

「わー、近くで見るとほんと普段のツンツン感ゼロ…これじゃノワールじゃなくてノワーノレだよ…」

「なんでゴノレフっぽくなってんのよ…」

「あ、あはは…えっと、その…お疲れ様です……」

「ほんとよ…プルルート、まさかほんとにそういう意味でも私に頼ってくるなんて……」

 

 ツンツン感の方はスルーしちゃう位くたくたのノワールに、ネプギアが浮かべる何とも言えなさそうな顔。その返しに出てきたノワールの言葉に、わたしは同情しつつも苦笑い。

 これ、一体どういう事かって言うと…ここ、ぷるるんの元々の部屋なんだよね。で、皆も覚えてるよね?ぷるるんに前に進む勇気を取り戻してもらおうとしてた時(五話前の事だよ、忘れちゃった人は目次から第六十五話にGO!)、その最中でノワールが「だったら虐めてみなさいよ」って言ったのを。あれ、ノワール的には「それだけの覚悟と自信がある。何があっても、私が友達じゃなくなる事なんてない」…って意味で言ったんだろうし、わたし達もそう思ってたんだけど…当のぷるるんは、額面通り…っていうか、わたし達とは違う捉え方をしちゃったんだよね。具体的には、欲求の発散相手になってくれる…って感じに。

 で、後はまぁ…ご想像の通りだよ。実際ノワールも何があったかは教えてくれないし。……強く生きてね、ノワール…。

 

「はぁ…ほんと、プルルートの天然さと純粋さを失念してたわ…うぅ、腰痛い……」

「ほんと、ノワール大丈夫?変な性癖に目覚めてたりしてない?」

「してないっての。誰がするもんですか」

「でも、ノワールって即堕ち2コマ的にしそうじゃん?」

「だからしないって言ってるでしょうが!後そういう点で言えば女神化した貴女もでしょ!?」

「わたしだってしないよ!?女神化したわたしは隙のない、クールビューティーな大人の女性だもんねー!」

「あ、あのー…お姉ちゃん……」

「ほぇ?どしたのネプギ……」

 

 誰に強制されている訳でもないのにボケに対して自然に身体が反応しちゃう辺り、やっぱノワールにはそっちの気があるんじゃなーい?…みたいな気分で弄ってたわたしだけど(これだとイリゼとかあいちゃんもそっちの人になっちゃうけど)、わたしまでそっち系にされかけて慌てて反論。

 と、そこで言い辛そうな声で割って入ってきたネプギア。何だろうと思って振り返ると……部屋の扉をちょこっと開けて、ぷるるんがこっちを見ていた。…それはもう、何かを求める感じの目で。

 

「…………」

「…………」

「…呼んでるわよ?」

「うっ……ね、ネプギア頑張れ〜…」

「えぇ!?わ、わたしだけ!?」

「いや、ネプテューヌもよ?」

「うぅ、やっぱり…?っていうか、なんでノワールは普通に分かるの…?」

 

 戦闘中でも意識が真面目モードに切り替わってる訳でもないと思うのに、ばっちりぷるるんの意思を目だけで理解してるノワール。…逃げたい、絶対えらい事になるからノワールに任せて逃げたいところだけど…ぷるるんが呼んでるのはわたし達だし、ネプギアを見捨てるのは論外だし……どうやら覚悟を決めるしかないみたいだね…。

 

「お、お姉ちゃん…」

「…ネプギア、ここはわたしに任せて。わたしは信次元プラネテューヌの守護女神、謂わばぷるるんと同格なんだから」

「…ううん、わたしも行くよお姉ちゃん。プルルートさんが必要としてるのは…わたしもなんだから」

「ネプギア…。…なら、支え合おうね」

「いや、なんで決戦へ向かうみたいな雰囲気出してんのよ…」

 

 せめてわたしだけで。そう思ったわたしの言葉をふるふると首を横に振って否定したネプギアの、強い瞳。それにわたしは頷いて、ぷるるんの部屋の扉に手をかける。なんか、ノワールがぶつぶつ言っていたけど…今のわたし達には気にならない。

 うん、そうだよ。わたしだって、ぷるるんの力になりたいって気持ちは同じだもん。なら怖気付いてなんかいないで、もっと強気でいかなくっちゃ!そう、今言うべきは一つ!──ぷるるんなんかに、絶対負けないっ!

 

 

 

 

 きゅっとわたしを後ろから抱き締める、ぷるるんの手。膝の上で、お人形さんみたいに抱かれるわたし。……ぷるるんには、勝てなかったよ…。

 

…………。

 

………………。

 

…なーんちゃって!大丈夫大丈夫!或いは残念、皆が思ってるような展開にはなってないんだなー、これが!……いやほんと、全然違う展開になったんだよね…。

 

「はふぅ…ぎゅ〜……♪」

 

 さっき表現した通り、後ろからわたしをぎゅーっとしながらほっこり顔を浮かべるぷるるん。緊張しながら部屋の中へと入ったわたし達に、ぷるるんが求めてきたのは…ぎゅーっとさせてほしい、というものだった。

 

「…もっかい訊くけど…これでいいの…?」

「うん〜…♪ねぷちゃんちっちゃくてどこもぷにぷにだから、抱き心地すっごく良いの〜…♪」

「そ、そうなんだ…体型はぷるるんも同じようなものだと思うんだけどなぁ…」

「あ、分かりますプルルートさん。お姉ちゃんって、抱き締めたくなる感じありますよね」

「おおぅ…しかもネプギアが同調してるし……」

 

 部屋に入ってから数十分。まずわたしを抱っこして、次にネプギアを抱っこして、わたしに戻って、またネプギアに移って…って感じに、ぷるるんはわたし達を取っ替え引っ換え。…うーん…いやね、ほっとしたよ?想像してたより楽っていうか、ほんと抱っこされてるだけだし。…でもさ、ほら…拍子抜け過ぎっていうか、どうも釈然としない感じが…ね……。

 

「…落ち着くなぁ…もうちょっとしたら、また次はねぷぎあちゃんだよぉ〜」

「は、はーい…。…ところでプルルートさん、さっきはこれをノワールさんにも…?」

「ほぇ?ううん〜、ノワールちゃんにはねぇ…」

((……!?(ぷるるん・プルルートさん)が暗い笑みを…!))

「……ノワールちゃん、大丈夫かな…やり過ぎないようにしようとはしてるけど、ノワールちゃん…凄く可愛いから…ぷるーん……」

 

 なんだか親近感が湧く呟きを最後に漏らして、ぷるふんはしょぼーんと肩を落とす。そんな反応を見て、わたしは分かった。わたし達をぎゅっとしてるのは、衝動の解消というより不安になった心に癒しを求めての事なんだろうな、って。

 

「…大丈夫だと思うよ。だってノワール、頑丈だし。聞いた話じゃ、超高高度から落ちてきた超次元のわたしの下敷きになってもぴんぴんしてたんだよね?」

「それは…うん。後、ねぷぎあちゃんの時も……」

「あ、ネプギアもなんだ…。…とにかくノワールはちょっとやそっとで潰れちゃうような女神じゃないから大丈夫だよ」

「だよね。わたしから見ても、ノワールさんって…というか、お姉ちゃん達って皆芯が強いし」

「うんうん、さらりとわたしも褒めてくれるのは良いよーネプギア。…それにさ、こっちのノワールの事はぷるるんが一番よく知ってるでしょ?そのぷるるんがやり過ぎないようにしてるなら、やっぱり大丈夫だって」

「…そうかな…?」

「そうだよ」

「そうですよ」

 

 見るからに大変そうな顔をしてたノワールだけど、ぷるるんへの悪口や悪態なんて一言も言ってなかったし、そもそもノワールは嫌だって思った事はちゃんと相手に言うタイプ。そんなノワールが嫌そうにしてないって事は、本気でどこまでも付き合ってやるって思いの表れだって、わたしは思う。

 

「…そう、かも…?」

「そうだって」

「…うん、えへへ…ノワールちゃんなら、そうだよね……」

 

 後ろから抱っこされてるわたしは、背丈の関係もあってぷるるんの顔は見えない。でも、小さな笑い声と共にわたしを抱く腕の力が強く…だけどよりふんわりした感じのものになって、わたしは安心した。

 

「…二人も、ほんとにありがとね。あたしに付き合ってくれて」

「いえいえ、これ位お安い御用ですよ」

「うんうん、抱っこされてるだけだもんね」

「…じゃあ、今度はネプギアちゃんも一緒にいい…?」

「え?…いいです、けど…」

「やったぁ〜♪」

 

 片手を離してネプギアも迎え入れようとするぷるるんと、少し困惑しながらもわたしの隣に来るネプギア。わたし達二人を纏めてハグした瞬間、後ろから嬉しそ〜な雰囲気が伝わってきたんだけど……

 

「あ、わ、わっ…わぁぁ〜っ!」

「うわっ……や、やっぱり…」

 

 その数秒後にぷるるんがバランスを崩した結果、二人同時にスープレックスをかけようとするも失敗したみたいな状態になってしまった。…うーん、ほんとぷるるんは天然というかなんというか……。

 

「あぅぅ…二人共、大丈夫〜…?」

「ちょっとびっくりしたけど大丈夫だよ。ぷるるんがクッションになってくれた形だし……」

「えへへぇ、ノワールちゃんと同じになっちゃった…。…ふぁぁ……」

「わ、凄い…この状況でもリラックスしてる…。…って、寝ちゃ駄目ですよプルルートさん!?もうすぐ皆さん来てくれるんですからね!?」

 

 そんなこんなでうとうとし始めたぷるるんを起こしたわたし達だったけど、ぷるるんは二人同時抱っこをどうしても続けたかったらしくて、そこからは半ばバランスゲーム。よく分からない集中力を求められて、しかもそっちに集中したせいで気付けば皆が来てくれる時間の寸前になっていて、結局楽かと思ったらぷるるんに振り回される形となったわたし達。…でも、後悔はしてないよ?だって、ぷるるんのほんわかした笑顔を見られたし…結構楽しかったから、ね。

 

 

 

 

「えぇ〜!?もう始めちゃってるの〜…!?」

「始めちゃってるの〜…!?…じゃないわよ。言い出しっぺの貴女が遅れてどうするのよ」

 

 TVに移る対戦画面を見て、ショックを受けたような声を上げるプルルートさん。そのプルルートさんに、半眼で言葉を返すノワールさん。わたし達が部屋へと入った時、皆さんはもう集まっていた。

 

「むぅぅ…呼びに来てくれればいいのに〜…」

「寝坊した子供みたいな事言いますのね…まぁ、プルルートらしいと言えばそうですけど……」

「全く…でも、丁度良いところに来たわね。ほらプルルート、一戦終わったところだし変わるわ」

「え、ほんと?ブランちゃんありがと〜」

「あ、ちょっ……」

「何かしらノワール。わたしはただ、こうして適宜変わった方が全員楽しめると思っただけよ?」

「ぐっ…ぐぐ……」

 

 ふふっと微笑みながらブランさんが渡してくれたコントローラーを受け取って、プルルートさんはブランさんが座っていたクッションの上へ。ノワールさんがしてやられた、って顔を浮かべると、それを見たブランさんは「何か?」って感じに言葉を返して……うーん、なんだかこっちのノワールさんとブランさんって、プルルートさんが絡むと何かと張り合ってるような…。

 

「よーし…あ、でもお菓子……」

「ふふ、それじゃあわたしが食べさせてあげるです。ぷるちゃん、どら焼きとドーナツのどっちが良いですか?」

「えっとぉ…どっちもかな〜」

「なら、交互に食べさせてあげるですね」

「いやいや、甘やかしちゃ駄目よコンパ…食べ物は逃げないんだから、プルルートも横着しないの」

「はぁーい…」

 

 二つのお菓子を口元へ運ぼうとしたコンパさんを、アイエフさんが制止。残念そうにするプルルートさんだけど、それには従ってゲーム開始。…うぅーん…これだとプルルートさんがお二人を育てたというより、二人がプルルートさんを育ててる感が……。

 

「やー、にしても…やっぱ浮いてるよねぇ、この扉」

『うっ……』

 

 そんな三人の姿をわたしが見ていると、お姉ちゃんはにまにましながらこの部屋の扉の事を指摘。するとノワールさん、ピーシェさんが声を詰まらせて、皆は揃って苦笑い。

 ここは、少し前までプルルートさんが閉じ籠っていた部屋。元々は、皆さんがいつも集まっていた、リビングのような部屋。あれからこの部屋を片付ける事で綺麗にはなったんだけど、わたし達が先行して迎撃に出た後、この部屋の扉をノワールさんとピーシェさんが壊しちゃったらしく……部屋の修繕は、お二人が日曜大工セットでやっていた。

 

「はは…業者を呼んでも良かったんですよ?プルルートさんを立ち直らせるのが一筋縄ではいかない事は、一目瞭然だったわけですし…( ̄▽ ̄;)」

「その辺り、真面目なノワールと素直なピーシェちゃんらしいですわよねぇ。わたくしは中々味のある扉になったと思いますわよ?」

「そ、そういうフォローは要らないよべるべる……」

「わ、わたしは本当に悪くないと思いますよ?…ところで、セイツさんは……」

「えぇ、たった今帰ったわ」

 

 噂をすれば影が差すとばかりに、わたしが聞こうとした直後軽く開いていた扉の方から聞こえてきた声。振り向くと上機嫌な様子のセイツさんが入ってきて、更にその後ろからマジェコンヌさんも姿を現す。

 

「お帰りなさいです、セイツちゃん」

「セイツお帰り〜、マジェコンヌとのお茶はどうだった?」

「ふふっ、聞きたい?聞きたいかしら?」

『あ、いいですー』

「むぅ、つれないわね…」

 

 全員からの軽やかな遠慮を受けて、詰まらなそうな顔をするセイツさん。でも機嫌は良いままで、本当に楽しかったんだなぁって事が伝わってくる。

 

「マジェコンヌさんもお帰りなさい。今日、約束通り出掛けるって事は聞いていましたが…お身体はもう大丈夫ですか?」

「あぁ。少なくとも普通に生活する分には問題ないさ」

「回復が早くて良かったわ。…あ、でも…わたしが料理を作って、それを食べてもらいながら部屋の中で話すっていうのも悪くなかったかもしれないわね……」

「…君もブレないな……」

 

 親指と曲げた人差し指を顎に当てて考えるセイツさんに、隣に立つマジェコンヌさんは呆れ混じりに小さな笑みを口元へ浮かべる。…因みにそんなセイツさんは、ダークメガミとの戦いの後神次元のマジェコンヌさんも別日で誘ったらしいんだけど、門前払いされたんだとか。…どんなやり取りしてたかが目に浮かぶ……。

 

「…さて。それでは全員集まった事ですし、ここは一つプルルートから何か言葉を頂きましょうか」

「ふぇっ?こ、言葉…?」

「そうね。ほら、プルルート」

「え、えぇ〜…!?言葉って、何を言えばいいのぉ…?」

「何でもいいと思うわ」

「うぅ、そう言われてもぉ……」

 

 一戦終了と同時にコントローラーを置いたベールさんに、ノワールさんとブランさんも同調。急に振られたプルルートさんはおろおろとしていたけど、わたし達は温かい目でプルルートさんを見つめるだけ。するとプルルートさんも観念したのか、むむむー…っと暫し頭を捻り、それから全員を見回して言う。

 

「じゃ、じゃあ……ぷ、プラネテューヌに、行きたいかぁ〜!」

『……はい?』

「プルルートさん…ここ、既にプラネテューヌです…(~_~;)」

「あぅ、そうだった…なら…えぇっとぉ…あたしはやっぱり、こうして皆で集まって、仲良くするのが好き。だから…今日は一杯一杯、楽しも〜!……で、いいのかな…?」

「…で、いいのかな…を入れなかったらばっちりだったんじゃないかな、ぷるると……」

「けど、この締まらないのもプルルートって感じだし、ある意味良いんじゃない?」

 

 肩を竦めて軽く笑うアイエフさんの言葉に、プルルートさんもてへへと軽く照れながら笑う。それに皆もうんうんと頷いて、何だかんだ良い感じの雰囲気に。

 こういうのを見ていると、こっちの次元の皆さんの中心は、プルルートさんなんだなぁって事が伝わってくる。多分プルルートさんは自分が自分がってタイプじゃないけど、お姉ちゃんと同じで放っておけないというか、「仕方ないなぁ…」って感じで人が集まってくる類いの人柄というか…それにプルルートさん自身も凄く友達思いだからこそ、こういう暖かい輪を築けたんだとわたしは思う。

 

「よーしそれじゃ、ここからの音頭は主人公のわたしが務めさせてもらうよー!まずはトーナメント戦やろトーナメント戦!優勝者には……取り敢えずビールで」

「居酒屋寄ったみたいな感覚でアルコールを商品にするのはどうかと思うよお姉ちゃん…。ゲームはどうするの?今やってるゲームで勝負?」

「あ、それならあたし、やりたいゲームある〜」

「ほぅほぅ、それは何かなぷるるん」

「少し前からずっと話題のぉ、色んな動物の住人さんと触れ合える……」

「いやそれは対戦ゲームじゃないですよ!?な、何を基準にトーナメントするつもりで!?」

「えぇと…これはつまり、最初の演目はプラネテューヌ女神組によるトリオ漫才…という事でして?」

『うん!』

「お姉ちゃんどころかプルルートさんまで!?ち、違いますからね!?」

 

 言われてみれば確かにそんな感じにはなっていたけど、少なくともわたしはそんなつもりなんてないしぶんぶんと手を振って否定。でもお姉ちゃん達は漫才みたいなノリを止めてくれず、それから数分間は続ける羽目に。

 

「ふっ、こちらも信次元も女神が集まれば自然と賑やかになるものだな。…さて……」

「え、もう行くのマジェコンヌ?折角来たんだから、もう少しここに居てもいいんじゃない?」

「そうですよ、マジェコンヌさん。セイツちゃんも、お菓子どうぞですぅ」

「ありがとコンパ。もしかしてこのドーナツ、コンパが?」

「はいです。沢山作ったですから、どんどん食べてくれていいですよ」

「ふふっ、手に取るだけでコンパの愛情が伝わってくるわ。頂くわね」

 

 勝手に始まった漫才的ノリが終わった後はゲームのトーナメント戦が始まって、やっぱりというか皆白熱。待っている間もそれを観戦したり、お菓子を食べたり談笑したりして、賑やかで楽しい時間を過ごすわたし達。

 

(…面子は全然違うけど、うずめさん達としたバーベキューを思い出すなぁ…。あの時も、皆で色々して……)

「さぁ、次はネプギアVSブランだよ!ほらほら準備準備!」

「あ、う、うん!」

「…手加減はしないわよ?」

「の、望むところです!」

 

 思い出に耽る時間はないとばかりに、わたしを呼ぶお姉ちゃんの声。慌ててTVの前に移動して、コントローラーを持って、手加減しないと言いつつも余裕たっぷりな笑みを浮かべるブランさんと見合う。

 本当に、楽しい時間。息抜きの為じゃない、楽しむ為に楽しむひと時。会話で笑って、ゲームで真剣になって、皆で色んな笑顔を浮かべて……その内に上がったのは、小さな欠伸。

 

「ふぁ、ぁ…眠くなっちゃった……」

「え、また?ぷるるん、寝るの好きなんだねぇ」

「うん〜…皆も一緒に、お昼寝しよ〜…?」

「皆も一緒にって……あ、でも…そっか、ぷるるとはそれも言ってたもんね…」

 

 見るからに眠そうな顔をして、目を擦るプルルートさん。でもどうやらただ眠いって訳じゃなくて、皆で一緒に寝たい様子。

 眠いかどうかで言えば、別に眠くない。でもそれがプルルートさんの望みなら…とわたしも皆さんも各々ソファだったり、クッションを枕にした上でのカーペットだったりに横になって、小さく微笑みながらプルルートさんを見やる。

 そして、その視線を…わたし達の微笑みを見たプルルートさんは嬉しそうに頬を緩ませ、お休みなさいと皆へ一言。その言葉にわたし達も言葉を返し……この楽しい時間の締めは、ゆるゆるでほんわかとしたお昼寝タイムとなるのだった。

 

 

 

 

 皆とまたお喋りして、おやつを食べて、ゲームもして、お昼寝をしたい。…あの日のぷるるんの願いを今日叶える事になった理由の一つは、戦いが終わった直後は色々な後処理で皆忙しかったから。それが理由の半分で……もう一つの理由は、今日がわたし達が神次元で過ごす最後の日だから。

 

「ま、色々あったけど貴女達が来てくれて助かったわ」

「猛争モンスターの件は、まだ不明な点もありますが…後はわたくし達できちんと片付けますわ」

「手助けが必要な時は、いつでも呼んで。今度はわたし達が協力するわ」

「うん、こっちこそ色々ありがとね。わたしは友達を頼る事に躊躇いのない女神だから、覚悟しておいた方が良いよ〜?」

 

 教会の中、そこそこ広いある部屋で、わたしはノワール達と言葉を交わす。…こっちに来る前もノワール達とは話してたし、信次元に戻ったらすぐ信次元のノワール達と会うだろうから、全然お別れ感なんてない筈なのに…それでもちょっと寂しいな…。

 

「…ねぷちゃん、ねぷぎあちゃん……」

「ぷるるん…あのさ、わたし達また来るから……」

「…うん。信次元には、ねぷちゃん達の大切な人がいて、まだねぷちゃん達もあたし達もやらなきゃいけない事があるんだもんね…。…あたし、もう泣かないよ」

「プルルートさん…」

 

 そんなわたしよりもずっと寂しそうな顔をしてるのはぷるるん。でもわたしの言葉を遮って、きゅっと表情を引き締めたぷるるんは言う。…こんな顔されたら、「もうも何もわたし達が神次元から帰るのはこれが初めてなんだけどね」…なんて言えないなぁ…。

 

「それとね、あたし……」

「待って、プルルート。お別れの言葉の前に、わたしは伝えておかないといけない事があるの。だから…先に、いい?」

「…うん、いいよセイツちゃん」

 

 ぷるるんが言葉を続けようとしたところで、今度はセイツが横から制止。その表情は真剣そのもので、わたし達の正面に立ったセイツは言う。

 

「…空の穴、あったわよね。あれは恐らく…ううん、間違いなくある女神の仕業よ」

「ある女神、ですか…?…それは……」

「…キセイジョウ・レイ。それが奴の…神次元最古の国、タリの女神であり、人への愛を忘れた逆賊の名前よ。…奴と遭遇する事があったら、可能な限りの戦力で当たって。そして…その時は、わたしに教えて。奴は何人だろうと、何度だろうと、わたしが……」

『セイツ(さん)……』

「…なんて、ね。いや言った事は全部本当だけど…わたしもまた皆と会う事を楽しみにしてるわ。それと、次は信次元の皆の事も紹介して頂戴。後、イリゼとはこれからも定期的に話を……」

「はいはいその位にしてねせーつ。ぴぃも伝言預かってるんだから」

 

 どこまでが意図したもので、どこからがそうじゃないのかは分からないけど、色んな意味でインパクトのある事を語ってくれたセイツは、ぴー子に割って入られた事で強制終了。でも言いたい事は言えたのか素直に下がって、今度は代わったぴー子の番。

 

「えっと、まずはあくだいじーんからなんだけど、もしかしたら君達…信次元にとって、不利益となる事をしてしまったかもしれない。それについて、先に謝罪をさせて頂く…だって」

「不利益…と、言うと?」

「そこまでは言ってなかったから何とも…。それからこれはあのねですからで、きっと役に立つ…ってさ」

「あ、はい…えと、ありがとうございますピーシェさん…」

 

 腕を組んで訊き返したマジェコンヌの言葉に肩を竦めたぴー子は、続けてUSBメモリをネプギアに渡す。渡す相手がネプギアなのは、電子関連に一番精通してるからだと思うけど…何だろうこの、今後絶対何かに関係してくるであろう伝言は……。

 

「…………」

「…ぴー子?」

「…それと、その…ねぷぎあ…出来れば、だけど……今度会う時は、ピーシェちゃん…って、呼んで…ほしい……」

「へ……?」

「…超次元のネプギアは、ピーシェをそう呼んでたのよ」

「超次元のぎあちゃんは、わたし達が小さい頃から見てきてくれたですもんね」

「うっ…そ、それは言わないでよ二人共……」

「あぁ…ふふっ、じゃあ…また会おうね、ピーシェちゃん」

「……っ…!」

 

 もじもじと恥ずかしそうにピーシェちゃん呼びをしてほしいと言ったぴー子に、微笑みながら補足説明をする二人。

 それを受けたネプギアはにこりと笑って、その笑みのままぴー子を呼ぶ。するとぴー子は赤面し……

 

「…ぅ……あ、ま、待って!やっぱり今のはなしでお願いしますっ!…う、うぅ…時間差で恥ずかしくなってきた…」

 

 その数秒後、ネプギアもまた赤面していた。…可愛いなぁ、二人は。

 

「うぅぅ…ねぷてぬのせいだ……」

「えぇ!?な、何でわたしのせいに!?」

「ねぷてぬがねぷてぬだからだもん!だからねぷてぬはちゃんと反省して、次会う時ちゃんと謝ってよね!」

「理不尽!どうしてこれからお別れって時にそんな……って…もしやぴー子、シンプルにまた会おうって言うのが恥ずかしくて一芝居打ったりした?」

「……ぴ、ぴひょ〜…」

「わーぉ、なんてわざとらしい口笛…もー、そんな事言わなくたってまた会うに決まってるじゃん!とりゃー!」

「うわわっ!?な、なんでこの流れで抱き着く訳!?」

「ぴー子が可愛いからだよー!あ、そうだ!ついでにほいっと!」

「ふにゃぁ!?な、なんでわたしまで…!?…ふ、ふぇぇ……」

 

 ほんと可愛いぴー子にわたしは抱き着いて、その流れでもっかいよわよわになったセイツを見たいなぁと思ってセイツにも追撃。すると狙い通りにぴー子は思いっ切り照れてたし、セイツは蕩けるみたいに座り込んじゃったしで、思い付きのハグアタックは成果上々。うんうん、やっぱり適度なスキンシップは楽しいよねっ!

 

「いいなぁ…ぴーしぇちゃん、セイツちゃん、あたしも後でやっていい?」

「う…ぷ、ぷるるとも三人に渡すものがあるんでしょ…?」

「あっ、そうだったぁ…!…えへへ、ねぷちゃん、ねぷぎあちゃん、マジェコンヌさん…これ、受け取ってくれる?」

「え…?これって……」

 

 そう言いながらぷるるんが差し出してくれたのは、三つのぬいぐるみ。わたし、ネプギア、マジェコンヌをそれぞれモチーフにしたって事が一目で分かる、きっとぷるるんお手製の品。

 

「…また会おうね、皆」

「…うんっ!」

「はいっ!」

「…ああ」

 

 受け取ったわたし達へとぷるるんが見せてくれる、満面の笑み。それにわたし達は頷いて、笑顔を返して……背を向ける。いーすんの作る、次元の扉を通る為に。信次元に、帰る為に。

 

「…皆さん、良いですね?(´・∀・`)」

「だいじょーぶだよ、いーすん。それじゃあ皆…またね!」

「皆さんがこちらに来る時は、精一杯歓迎しますね!」

 

 いーすんの言葉にもこくんと頷いて、最後にもう一度皆へと言葉を送る。笑顔を見せて、笑顔をもらって、そしてわたし達はいーすんが作ってくれた扉の中へ。

 こっちでも色々あった。社会が機能しててすぐに皆とも出会えて楽だった事も多かったけど、代わりに大変な事も沢山あった。でもうずめ達の次元の時と同じように、最後はわたし好みの大団円になってくれたし……こっちでの日々も、やっぱり楽しかった。

 だから扉へと足を踏み入れながら、わたしは心の中で約束する。また来るからね、って。

 

 

 

 

 空間へ溶けていくような次元の扉。ネプテューヌ達が信次元に戻ってから数秒後、扉もゆっくりと消えていき……向こうとの直接的な繋がりが、消滅する。

 

「…楽しかったわね。最初から、最後まで」

「あ、復活したんだせーつ」

「……こ、こほん」

 

 折角澄まし顔を作ったのに、いきなり挿し込まれるピーシェの一言。皆から一斉に視線が集まり、思わず頬が赤くなったけど…わたしは気を取り直すように咳払い。

 

「一先ず式典は終わったし、プルルートも復活したし、もしかしたら猛争モンスターの件も解決したのかもしれないけど……」

「うん。また何かあるかもしれないし…れいの事とか、ねぷてぬ達の言ってた黒幕の事とかもまだあるもんね」

「そういう事。だから……」

「うん〜。ねぷちゃん達が助けてほしい時、いつでも行けるように、あたし達も頑張らないとだね〜」

 

 頑張らないとと言いつつも、口調は相変わらずゆるゆるのプルルート。でも心の中は本気だって事は分かってるし、それは皆も分かっているから、わたし達は強く頷く。

 そう。目下の課題や問題は解決かその兆しが見えているけど、まだ完全に平和が戻った訳じゃない。これからもっと、大変な事があるかもしれない。…けど、不安なんて微塵もないわ。だってわたしは、人々の希望たる女神であり…この次元にも、信次元や超次元にも、頼れる仲間がいるんだもの。だから……これからも力を合わせて進みましょ、皆。




今回のパロディ解説

・「〜〜ゴノレフ〜〜」
でんぢゃらすじーさんシリーズにおいて登場した、架空の競技の事。ぼんやり見ると、ゴルフって読めますよねぇ。当然しっかり見たらゴノレフにしか見えませんが。

・〜〜ぷるるんなんかに、絶対負けないっ!
〜〜ぷるるんには、勝てなかったよ……。
パロディ…というか、それより上の部分にある即堕ち2コマネタの一つ。説明不要かなぁ…とも思いましたが、これまでこういう系は説明してきたので、今回も書きました。

・「少し前から〜〜触れ合える……」
どうぶつの森シリーズ最新作、あつまれ どうぶつの森の事。時事ネタ…に、なりますかね。プルルートはこういうゲームを好き好んでやってそうな気がします。


次回は先日これまで二度コラボさせて頂いたFeldeltさんの『再編世界の特異点』完結記念……という訳ではありませんが、その作品とのとある一話完結コラボを投稿したいと思います。かなり特殊な立ち位置となるコラボになる予定ですが…是非、読んでみて下さい。
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