超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed   作:シモツキ

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 前回投稿しましたコラボエピソードのあとがきを、活動報告にて載せました。必須事項が書いてある訳ではありませんが、是非そちらも読んでみて下さい。


第七十一話 再来する者

 無事に黄金の塔の破壊に成功し、向こうでの戦いにも勝って、ネプテューヌとネプギアは信次元に帰還した。向こうの状況や皆の状態は定期的に聞いていた上、最後の数日は主に後処理や帰る前にやっておきたい事を済ませる日々だったから、何も心配はなかったんだけど…それでも二人が戻ってきた時には、ほっとした。

 ふー、神次元には私行ってないから、何だか久し振りに地の文担当な気がするなぁ。って言っても、作品としては前回、時間軸的にはずっと未来で、私普通に地の文やってるんだけどね!……ごほんっ。

 

「はふぅ…向こうも落ち着く感じがあるけど、やっぱりうちが一番だねっ!」

 

 右手にスプーン、左手にプリンカップというおやつスタイルで、ネプテューヌが浮かべる満面の笑み。

 今は夜。プラネタワーのリビングルームで、ネプテューヌとネプギアはくつろぎ中。

 

「確かに、ここがわたし達の居場所…って感じがあるよね。でも前に神次元にいたのは超次元のわたしとお姉ちゃんな訳だし、向こうの二人にとってはもっと落ち着く…それこそ、第二の故郷的な場所なのかな?」

「第二の故郷…うーん、良い響きだよね!ここを第二の故郷とする!的な?」

「いや、それだと神次元が辛い環境みたいになっちゃうから……」

 

 誤解が発生してしまいそうなネプテューヌのネタ発言へ、膝の上に乗っけたライヌちゃんを撫でつつ半眼で突っ込む私。どちらかと言うと、それはうずめ達のいる次元だよね…あっちでは本当にキャンプしてるし……。

 

「まあでも、ほんと二人共お疲れ様。私としては、いつでも増援に行くつもりだったのに、まさかマジェコンヌさんを除けば徹頭徹尾こっちからの支援無しで完遂するなんて…」

「ふふん、二度目にして大きく伸びるねぷねぷなのさー!…それに、向こうがサポート体制ばっちりだったってのもあるからね」

 

 そう。今回はほぼノータッチで進んだけど、それは環境の違いが大きい。ネプテューヌ達との初めての旅に比べて、ネプギア達との二度目の旅が(少なくとも各国での宿泊や公的な支援においては)かなり楽だったのと同じように、国として機能している各国が協力してくれるというのは、動き易さに圧倒的な違いがある。加えてモンスターやそれ以上の存在と正面から戦えるのが、実質うずめ一人だった向こうに対して、神次元は女神だけでも六人、加えて軍や様々な手練れがいた訳だから…うん、そう考えると支援無しでもそりゃ何とかなるよね…。

 とか何とか考えていたところで、開かれる扉。そこからコンパとアイエフが姿を現し、中へと入ってくる。

 

「くつろいでるわね、二人共」

「もっちろん!そもそもここ、わたしの家だし!」

「あはは、確かにそうですね。ねぷねぷもギアちゃんも、今日はゆっくり休むんですよ?」

『はーい』

 

 にっこりと微笑むコンパの言葉に、姉妹仲良く答える二人。その反応にアイエフが肩を竦め、目の合った私が苦笑いをして…そこでふと、ネプテューヌが訊く。

 

「あ、そうだ。二人共さ、共通の幼馴染みがいたりしない?」

「幼馴染み、ですか?」

「うん。もっと言えば、赤ちゃんの頃からの」

「あぁ、神次元の話?…まぁ、お互い知らないだけで共通の幼馴染みが実はいた、って可能性も絶対ないとは言い切れないけど…いないでしょ。そもそも私達自体、あの時出会ってなかったら今も赤の他人だったかもしれないんだから」

「そっかぁ…っていうかそっか、考えてみればわたし達の出会いってちょっとした奇跡レベルなんだよね…」

「ふふっ、わたしもねぷねぷがいなかったらあそこには行かなかったですし、わたしとあいちゃんとはねぷねぷが結び付けてくれたって事ですね」

「う…そ、そう言われると少し気恥ずかしいわね…。…でも、それで言うなら私達とイリゼもそうよね」

「え?あ、そっか。私に関しては、それこそずっとあそこで眠っていた訳だもんね」

 

 元々の問いは然程起伏なく終わったけれど、そこから派生する形で盛り上がる会話。ほんとコンパやアイエフの言う通り、私達の出会いは一度きりの偶然で生まれたようなもので…そこに思いを馳せると、何だかじーんとした気持ちになる。

 

「ぬら、ぬら〜!」

「あはは、そうだね。私とライヌちゃんも、あの時偶々お互いあそこにいたから出会えたんだもんね」

 

 つぶらな瞳で私を見てくるライヌちゃんにも微笑みを返して、それから思う。やっぱり、出会いって良いなぁ…って。

 

「パーティーメンバーの皆さんも、人によっては偶然の出会いだったりするんですもんね…そうだ、パーティーといえば、ユニちゃん達は明日来るんですよね?」

「はいです。早く会いたいですか?」

「えへへ…忙しいとか予定が合わないとかでそこそこの期間会ってなかったりする事はこれまでもありましたけど、やっぱり次元を隔ててるからなのか、何となく遠さを感じちゃって……」

「だから早く会いたい訳ね。可愛い事言うじゃない」

「ネプギアは、しっかりしてても心はまだまだ純粋だもんね」

「うぅ、皆さんからかわないで下さいよぉ…」

 

 これもネプギアの魅力の一つだよね、と思いながら私とアイエフがにやっと笑うと、恥ずかしそうにネプギアは言う。

 神次元の塔を破壊し、三つの次元の塔全てを処理する事が出来たけど、まだまだ日常を取り戻す戦いは道半ば。だけど女神だって、休む事なく走り続ければスピードも落ちるしどこかで倒れてしまう事もあり得る訳で…だから、目的を完遂して無事に帰ってきた今日は、ゆっくり休ませてあげてもいいよね。…そんな事を思いながら皆と談笑を続ける私だった。

 

 

 

 

 翌日。各国からプラネタワーに来た皆と、私達は机を囲う。これからの…次なる目標と指針を決める為に。

 

「一応、昨日も画面越しに言いましたけれど…まずは、お二人共お疲れ様ですわ」

「ふっふん、わたしは未知の地で二回共目的完遂まで一度たりとも帰る事なく奮闘してきたんだから、労ってくれていいんだよー?」

「あ、じゃあネプテューヌちゃんなでてあげるー!」

「わたしも…(なでなで)」

「お、おおぅ…これはいきなり予想外の展開に……」

 

 早速自慢気にネプテューヌが胸を張ると、席から立ったロムちゃんとラムちゃんがたたっと駆け寄り左右からネプテューヌの頭を撫でる。その光景は、何とも微笑ましいものだけど…当のネプテューヌは微妙そうな顔に。…まぁ、妹の友達であり、女神としての後輩だもんね。

 

「…まぁ、二人が楽しそうだからあれは置いておくとして…早速本題に入りましょ」

「ま、待って下さい!その前に、凄く…凄くお訊きしたい事がありますっ!」

 

 三人のやり取りをクールに流すブラン。その言葉に頷こうとした私だけど、そこへネプギアが食い気味に声を上げる。

 

「…と、言うと?」

「はい!あれは…いえ、お二人は、どちら様なのでしょうかっ!?」

 

 訊き返した私に対し、立ち上がったネプギアが広げた手で示した先。そこにいるのは……

 

「む?ワシ達の事はまだ伝えておらんのか」

 

 片や豪華な、片や忍者の様な外装を持った、二体の…いや、二人のロボット。……うん、だよね。そりゃ「は?」ってなるよね。でも説明するから読者の皆はこのまま読んでほしいな。

 

「この反応じゃ、そうみたいね。イリゼ、昨日の内に話す機会はなかったの?」

「ご、ごめん…なかったっていうか、シンプルに伝えてないのを忘れてた…。…ごほん。紹介するねネプギア。彼等は前に話したサイトの件の調査に協力してくれている、アフィモウジャスさんとステマックスさんだよ」

 

 ノワールに言葉を返した後、私はネプギア…それにネプテューヌへと二人の事を紹介する。…と、言っても私達が調査する中でこの二人の存在を知って(見つけて)、依頼という形でオブザーバーをしてもらってるってだけなんだけど。

 

「うむ、ワシこそがアフィモウジャス。金髪巨乳道を貫く、アフィ魔Xの頭領じゃ!」

「き、金髪巨乳道…?アフィ魔X…?」

「そうじゃ。そしてこっちは同士であり、長年の友でもあるステマックス」

 

 機械大好きなネプギアにとって、ロボットである二人との邂逅は当然目を輝かせる程に興奮するもの。けれど豪華な装飾の重騎士を思わせるアフィモウジャスさんの自己紹介に、輝いていた目は点となる。そして案の定ネプギアはベールを見やり、視線を受けたベールは肩を竦めつつ苦笑い。

 で、その一方アフィモウジャスさんから振られたもう一人、ステマックスさんはと言えば……

 

「うっ…せ、せせっ…拙者、は…忍者、ステ…マックス……」

「ふへぇ、やっと二人が満足してくれた…で、えぇとなんて?東MAX?」

「ぁ…いや、ちが……ござ、る…」

「違うの?じゃあ、コマリマックス?」

「そっ、それも…違っ…拙者は…下町のプリンス…でも、ほんわりきゅーとなメルヘン少女…で、も……」

『……?』

 

 あからさまに緊張した雰囲気でごにょごにょと自己紹介をしたかと思えば、ネプテューヌの冗談を交えた訊き返しに対しても歯切れの悪い、女神でなければそもそも声を発していると認識するのも難しいような小声で返答。…うん。これでもう分かったよね。彼等はびっくりな程堂々としたロボットと、驚く程に人見知りなロボットの、かなり個性的な凸凹コンビ……それが例の件解決の為に私達が依頼した、協力者の方々です。…相変わらず、私達って個性的な人達とばかり関係が出来るよね……。

 

「あー、もう…なんで自分の名前言うだけでそこまで緊張するのよアンタは…」

「だ、だって…拙者、こんな女性に囲まれた状態で…初対面の相手に…挨拶、なんて……」

「いや理由訊いてる訳じゃないから…はぁ……」

「はっはっは、ステマックスは相変わらず初心よのぉ」

「はいはい…ネプギア、ネプテューヌさん、この忍者はこの通り人見知りっていうか上がり症な面があるので、その点を覚えておいて下さい」

「あ、うん。…アフィモウジャスさんとステマックスさんかぁ…あ、後でちょっとお話しさせてもらってもいいですか…?」

 

 しょげるステマックスさんに呆れながらも、彼について補足するユニ。最初こそ性格面に驚いていたネプギアだけど、理解してからはメカオタの気持ちが勝って再び瞳に輝きを灯す。…ネプギア、神次元でも普通に話せるロボットに出会ったり、様々な機械を見てきたらしいし、何気に異常が起こってから一番楽しんでるのはネプギアなんじゃ…?

 

「こほん。では自己紹介も済んだところで、改めて本題に入りましょうか

(・ω・`)」

「えー、もう入るの?ステマックス、なんだかすっごい弄り甲斐がありそうだから、もう少し駄弁ってみたいのにー…」

「いや止めなさいよ、彼筋金入りの人見知りみたいなんだから」

「おやおや?真っ先に止めに入るなんて、ぼっち的には『周りと上手く付き合えない』って点でシンパシーを感じちゃってたり?」

「ぼっちじゃないわよ!……って、久し振りにこれ言った気がするわね…」

「うん、わたしも何か久し振りにぼっちネタ言った気が……」

「速攻で話が逸れてますわよー、二人共ー」

 

 半眼で呼びかけるベールの声を受けて、ノワールは「あ…」という顔に。…でも、分かるよノワール…突っ込みばっかりしてると、ボケについつい反応しちゃうようになっちゃうんだよね…。

 

「じゃあ、次やるべき事を…の、前に一つ良い?」

「どうしたの?おねえちゃん」

「…おなかいたい…?」

「少し休憩時間が欲しい、って意味じゃないわ…。…わたし達はこれまで、次元同士の衝突を避ける為に黄金の塔の破壊を目的にしてきて、三つの次元全ての塔を破壊出来た訳だけど…黄金の塔は、各次元に一つだけなのかしら?」

「…それは……」

 

 袖に隠れた手を顎に当て(ちょっと可愛い)、ブランが口にしたのは一つの懸念。思わず返答しようとしたけれど…その可能性に、一度私は言葉に詰まる。

 

「…確かに、言われてみれば複数ある可能性も否定は出来ないわね……」

「えぇ。わたくしの記憶が正しければ、彼女…こちらに現れたうずめは、三つの次元と言っただけで、三本とは言っていませんものね…。まぁ尤も、仮に三本と言ったとしても、敵の言葉を信じるのかという問題が発生しますけれど」

「でも、三本だけって可能性もゼロじゃないよね。あんな物を用意するなんて、一本だけでも相当大変だと思うし」

「というか…そもそもの話としてさ、三つの次元だけの事とも限らないよね?ベールの言う、敵の言葉を信じるのかってのもあるし、塔があるのは三つの次元だけだけど、別の次元も何らかの形で関わってる…なんて事もあり得る訳だし」

『うーん……』

 

 ノワール、ベール、ネプテューヌ、私と、ブランの挙げた可能性に対し、それぞれに意見を発していく。…と、言うと会議が活発みたいな感じになるけど、実際には各々どう思うか、自分の思う「かもしれない」を口にしているだけで、結論へと進んでいるとは言い難い状況。勿論考えてる事を共有するのは話し合いにおいて大切だから、決して無駄ではないんだけど。

 

「一先ず、サイトの件はこれまで通り調査を続けるにしても…こっちは突き止めるなり何なりしないと、今後間違った方向に行動を進めてしまうかもですよね……」

「ユニさんの言う通りですね。…ですが…ふむ……(。-_-。)」

「……?いーすんさん?何か考えがあるんですか?」

「考え、と言いますか…皆さん、こちらに現れたうずめさんは、全ての塔を破壊する事で次元の衝突もなくなると言ったんですよね?(・・?)」

「うん、そう…(こくこく)」

「そーよ!」

「では、どこまで出来るかは分かりませんが、わたしが三つの次元の…次元座標とでも言うべきものの観測を行ってみようと思います。あ、勿論ここで言う座標というのは便宜的なものですが(´・ω・)」

 

 こちら(厳密には、こっちに現れたうずめと会った皆)に確認を取ったイストワールさんは、そこから自分の考えを表明。私達が見つめる中、イストワールさんは言葉を続ける。

 

「要は、逆転の発想です。もしも座標の観測に成功し、今も衝突に近付いていると分かれば、恐らくまだ破壊出来ていない塔があるという事でしょう。そして逆に、衝突の危機が無くなっていたのなら……」

「それはつまり、楔としての塔はこれまで破壊した三本だけで間違いないという証明になる…という事ね」

「はい、そういう事ですブランさん( ^∀^)」

「ははぁ、要因を直接探すんじゃなくて、結果から逆算して要因を判別するって訳ね。確かに逆転の発想だわ」

 

 にこりと笑うイストワールさんに、ノワールも感心した様子でうんうんと首肯。

 確かにこれは良い案だと思う。これだと塔の場所は分からないけど、今私達が知りたいのは塔の有無であって、もう無いならどっちにしろ見つかる筈はないし、有るなら探すという段階に入れば良いんだから。

 

「とはいえ、わたしはあくまでこの次元の記録者。先に申しました通り、期待通りの成果を上げられるかは分かりませんし、間違いなくかなりの時間がかかると思います( ̄^ ̄)」

「大丈夫ですよ、イストワールさん。これまでイストワールさんが何度も私達の期待に応えてくれた事は、私達皆が知ってる事ですから」

「そーそー。わたし達には逆立ちしたって出来ない事をしてくれてるんだから、もっと堂々としてくれていいんだからね?」

「…ふふ、ありがとうございます二人共。では、今回もご期待に添えるよう、頑張らせて頂きますねo(^▽^)o」

 

 再び微笑むイストワールさんに、私とネプテューヌも笑顔でお返し。何か情報が必要な時、知識が足りない時、いつもイストワールさんは率先して、自分の力を駆使して調べてくれてきたんだから…今更文句を言おうだなんて人は誰もいない。というか、それは私が許さない。

 

「さて、それでは四本目以降の塔の有無はイストワールに任せるとして…その間、わたくし達ものんびりする訳にはいきませんわね」

「あ…それなら、帰ってきて早々ではありますけど、神次元の皆さん、それにうずめさん達にも一度来てもらって、三つの次元全体で改めて情報交換と行動方針を決める…というのはどうでしょう?三次元全てで話す事で、これまで見落としていたものに気付けたりするかもしれませんし」

「確かにそうね。何かあってから慌てて連絡する…じゃどっちも対応が遅れちゃうし、今後の事を色々話して決めておくのはアタシも賛成よ」

「じゃあ、まずはうずめ達にこっちに来てもらって……」

 

 一つ決まって、なら次は(というか調べてる間)どうするかという話に移行。これは日程調整が必要になるとは思うけど、まあ恐らく近い内に実現する筈。そしてそこで、三つの次元の足並みを互いに揃える事が出来れば、対応力も調査能力も向上して……そう思った、時だった。

 

『え──?』

 

 その瞬間、心に走ったざわりという感覚と、肌で感じるシェアエナジー。けれどそれは私達女神の纏う、温かく優しい光の様な力ではなく、冷たく重い闇の様な力。

 感じたその力に対し、反射的に振り返った私達。振り向いた私達の目に飛び込んで来たのは、窓の外…遠く離れたある場所から、光芒の如く空へと立ち昇る負のシェアの奔流。これまでにも数度見る事のあった、闇の柱。

 何となく、そんな気はしていた。本能的に、感じてはいた。それが、実際に見た事により、確信に変わる。そうだ、間違いない…あの光が立ち上っているのはギョウカイ墓場で……これは、犯罪神のシェアエナジーだ。

 

 

 

 

 突如として負のシェアの奔流が空へと立ち昇ってから数十分後。わたし達は今、プラネテューヌの上空にいる。

 

「もうすぐ、到着…ですよね……」

「あぁ、だろうな…」

 

 どう見たって普通じゃない、犯罪神のものと見て間違いない負のシェアエナジーの奔流を、放置なんて出来る訳がない。だからすぐにわたし達は、その対処に動く事にした。

 でも、犯罪神のシェアエナジーだって事は分かっても、具体的に何が起こっているかまでは分からない。復活には早過ぎるし、もしかしたらこっちに現れたうずめさんが関わっているかもしれない。加えてあんなものを見たら、各国の人達が不安にならない訳もなくて…わたし達はギョウカイ墓場へ行って何が起こっているのかを確認してくるメンバーと、混乱を収める為に全国放送をした後別の異常に備えて待機しているメンバーの二つに分かれる事となった。

 墓場に行ったメンバーは、お姉ちゃん、イリゼさん、ユニちゃん、ロムちゃんの四人。戦力的には問題ない…ダークメガミ位ならそのまま倒せるメンバーだけど、わたしの心の中ではずっと不安な気持ちが渦巻く。

 

「皆、聞こえてる?これから墓場の中に突入するわ」

「了解ですわ。何かおかしな事があれば、逐一連絡を」

 

 少ししたところで、インカムから聞こえてきたお姉ちゃんの言葉。

 ギョウカイ墓場は広いけど、寄り道せず飛べば最深部までそこまで時間はかからない。女神の速度なら、大体のモンスターは無視出来るから。

 

「…………」

「…不安?ネプギア」

「…それは、その…はい……」

 

 不安と緊張が顔に出てしまったのか、声をかけてくるノワールさん。それに一瞬わたしは躊躇って…それから小さく首肯する。

 勿論、お姉ちゃん達の強さは信じてるし、皆の強さはよーく知っている。でも、それでも思い出してしまう。墓場で、四天王と数え切れない程のモンスターを相手に戦った時の事を。それから暫くの間、お姉ちゃんと離れ離れになった事を。

 

「もうっ!そーゆーかおしないでよねっ!…わたしまで不安になっちゃうじゃない……」

「ラムちゃん……」

「…ま、そりゃ二人は…いや、二人だからこそ不安になるわな。その心配は、何一つ責められるようなものじゃねぇよ」

「でも、それは四人だって分かってる筈よ。三人は同じ経験をしてる訳だし…ネプテューヌだって、私達だって、どれだけ貴女達を悲しませたかは痛感したもの」

「ともかく今は向こうからの連絡を、どんなに細かな事でも聞き逃さないようにする事、必要と判断したら即座に急行出来るようにする事…それに努めるしかありませんわ」

 

 渦巻く不安を押し留めながら、わたしは墓場の方角を見つめる。

 じたばたしたってしょうがない。今は待つしかないし、もし今不安だってだけでこの場を離れて、その間にプラネテューヌで何かあったら、絶対わたしは後悔する。そして、そういう『焦った結果の後悔』をしない為に、わたし達はメンバーを分けたんだから。

 少しでも心を落ち着かせる為に、大きく一つ深呼吸。通信に耳を澄ませて、神経も張り詰めて……それからわたし達の耳に届く、驚愕の声。

 

「な……ッ!?…貴女、達は……」

「……っ…まさか、本当に…」

 

 最初に聞こえた二つの声は、イリゼさんとユニちゃんのもの。こっちにも緊迫した空気が流れる中、内容まではよく分からないけどお姉ちゃん達と墓場にいる誰かとの会話が交わされ……次の瞬間聞こえたのは、何かが崩れたような激しい音。

 

「……ッ!お姉ちゃん!皆!一体何が……」

「……!ネプテューヌさん、イリゼさん…ッ!」

「ロム!?何があった!二人は無事なのかッ!?」

 

 それからインカムを通じて響き始めたのは、間違いなく戦闘音。それに混じってロムちゃんの切羽詰まった声が聞こえてきて、ぞくりと背筋を走る悪寒。

 今ロムちゃんは、お姉ちゃんとイリゼさんの名前を呼んだ。それはきっと、二人に何かあったから。まさか…まさか……ッ!

 

「ぐ、ぅ……ッ!」

「ネプテューヌ、大丈夫!?どういう状況なの!?イリゼはッ!?」

「わたしもイリゼも無事よ…けど……皆、今すぐ来て頂戴ッ!多分、わたし達だけでどうにかなる相手じゃないわッ!」

「……っ、分かりましたわッ!行きますわよッ!」

 

 跳躍するような音と共に、お姉ちゃんが発した増援要請。それにベールさんが答え、わたし達は弾かれるようにギョウカイ墓場へと駆ける。

 聞こえた声には覇気があった。無理に元気を装ってるような声じゃなかった。たったそれだけでもわたしは嬉しくて…でも、焦る気持ちは変わらない。すぐわたし達を呼ぶ程までに、ギョウカイ墓場には強大な敵がいるんだから。

 

(お姉ちゃん、イリゼさん、ユニちゃん、ロムちゃん…待ってて、すぐに行くから…ッ!)

 

 全員が全員、全速力で空を突っ走る。念の為余裕を持って…なんて事は考えられない。今は一刻を争う、全力で飛んでも間に合わなくなるかもしれないような状況だから。

 その間も聞こえる、戦闘の音や皆の声。だけどそれが聞こえてる限りは、皆もまだ無事だって事。それが聞こえなくなる事こそが、一番怖い。

 

「ラム、ネプギア、いつでも攻撃出来る準備をしておけッ!まずはロム達の安全を確保するぞッ!」

「うんッ!」

「はいッ!」

 

 一切スピードを落とす事なく、墓場へと突入。ここまで来ると僅かだけど戦闘音が直接聞こえてきて、更に高まる緊張感。

 もうすぐお姉ちゃん達の所へ辿り着く。お姉ちゃん達を襲った敵の、すぐ側にまで近付いている。そう思うと、緊張と不安で仕方なくて…だけどわたしの頭の中は、しっかりと起こり得る事態のシュミレーションに動いていた。すぐにでも全力戦闘が出来る状態に、女神としてのわたしは移行していた。

 

(ラムちゃんと二人なら、そう簡単には突破されないだけの弾幕を張れる。だからまずは絶対に冷静さを失わず、落ち着いて相手の存在を──)

 

 最深部まで後一歩。ここを曲がれば、見えてくる。…そうなった瞬間、一際大きな爆発音が聞こえて…それから戦闘音が止まる。

 一瞬、頭が真っ白になりそうだった。何とか踏み留まったけど、わたしの中の不安な気持ちは限界を超え、曲がるか曲がらないかの時点でわたしは叫ぶ。

 

「──皆ッ!!」

 

 わたしは叫んだ。ラムちゃんも叫んだ。その最中にも視界は変わって、最深部が見えて……真っ先に見えたのは、巨大な化け物。不完全な状態の、禍々しい犯罪神。

 その上方に見えるのは、藍色の髪のうずめさん。膝を突いた、或いは支えのように得物を地面へと突き立てたお姉ちゃん達の背中も見えて……そして犯罪神の前、お姉ちゃん達を見下ろすように…見た事もない、女神の様な女性が宙へと立っていた。




今回のパロディ解説

・「〜〜ここを第二の故郷とする!〜〜」
水曜どうでしょうにおける、代名詞的なフレーズの一つのパロディ。ネプテューヌ達が行う旅も、細かく描写したら毎回面白いやり取りが見られるかもしれませんね。

・東MAX、下町のプリンス
お笑いコンビ、Take2の東貴博こと飛田貴博さんの事。札束で汗を拭うステマックス…凄くシュールですが、そもそもロボットなので汗は多分かきませんね。

・コマリマックス、ほんわりきゅーとなメルヘン少女
リトルバスターズシリーズのヒロインの一人、神北小鞠の事。幸せスパイラル理論を提唱するステマックス…これも凄くシュールですね。シュールにも程があります。
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