超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed 作:シモツキ
重傷は負ってこそいないものの、先の戦闘で私達は幾つもの傷を受けた。多くは無視の出来る怪我で、そうじゃないものも動きへの影響なんて僅かにあるかどうか程度だけど、そんな僅かな影響が勝敗を決める事もある。それが万に一つの勝機を逃してしまう要因になる事もあり得るのが、神域の戦い。
と、表現すると仰々しいし、実際戦いに纏わる事なんだから、仰々しくて当然ではあるんだけど…早い話が、その怪我を押してでも戦わなきゃいけない理由がある訳でもないのなら、少しでも早く傷を癒す為に大人しくしてるのが賢明な判断。
それを理由に、今日一日は全員プラネテューヌに泊まるという決定をして一先ず解散になったんだけど…それからすぐに、「…あれ?うずめ達やセイツ達との会議はどうするの?」という話になった。とはいえこの状況で会議という訳にもいかないし、取り敢えず現状報告と、今は無理でも一度会議の場を設けたいという連絡はしておこうと思って、私とイストワールさんは次元間交信用の機材がある部屋へと向かい……そこで、愕然の事実が発覚した。
「……っ…本当、ですか…?」
「…はい。どちらの…いえ、どの次元にも繋がりません…」
交信をしようとしてから十数分。普段なら数十秒から数分で接続が確立される、少なくともこっちから電波…の様なもの(詳しくは私も知らないけど…)が対象の次元へと飛んでいるのに、イストワールさん曰く今回は最初の段階から何も進んでいない。電話で例えるのなら、相手が出ない以前の、そもそも最初からコール音すらならないような状態が続いていて……私が見つめる中、機材から離れたイストワールさんは言った。別次元へ、繋がらないって。
「繋がらない…というのは、扉が開けないって事ですか…?それとも……」
「はい。扉を開く事も、交信を行う事も出来ません。完全に…他の次元との接続が、断たれています」
静かに、重々しい声音で答えるイストワールさん。次元同士は本来交わる事のない、全く別の道を歩むものだけど…それは本来の話。手段がないから届かないのと、手段があるのに届かないのは、結果は同じでもその意味は全然違う。
それだけでも、これまで出来ていた事が出来なくなっているだけでも、重大な異常。だけど、イストワールさんから伝えられた事実はそれだけじゃない。
「…そして、これはまだ断言出来る事ではありませんが…観測出来た事象と、神次元のわたしと共有していた情報を照らし合わせる限り…これは、神次元において次元間交信を阻害していた力と同質のものである可能性があります」
イストワールさんは言った。この異常事態は、神次元で起こっていた異常と同じものかもしれないと。そしてその異常は、間違いなく藍髪のうずめ達が引き起こしたもの。…って、事は……
「…これは、私達が別次元と連携出来なくする為の策…?」
「…かも、しれませんね。もっとしっかり調べてみなくては、本当に完全に断たれているのか、何か別の手段でなら繋がるのかも分かりませんが…何れにせよ、原因を絶たない限りは暫く別次元と意思疎通を図るのは不可能だと思います。…少なくとも、これまでの方法では」
結論を口にして締め括ったイストワールさんの言葉に、楽観視出来る事なんて一つもない。それ自体が危険となる事ではなくても、万が一の時セイツ達を頼れないのはかなり痛い。
他でもないイストワールさんの言う事だから、そこに疑う余地はない。……でも、私の中にはまだ一つ気になっている事があって…それを確認すべく、私は口を開く。
「…あの、それじゃあ…これは、この本の力で開く事は出来ませんか…?」
そう言って私が触れるのは、真っ白な本。これまで私が別次元へ…故意ではなく、事故や何らかの力によって別次元だったり次元の狭間だったり、或いはもっと謎の空間へと飛ばされた時、いつも側にあった本。これならもしかしたらと思って訊いた私だけど…イストワールさんは、首を横に振る。
「…出来るかどうかで言えば、可能性はあります。ですが…わたしはそれを、すべきでないと思います」
「…どういう事ですか…?」
「結論から言うと、危険過ぎるからです。それは、イリゼさんもお分かりですよね?」
投げ掛けられた言葉に、私は首肯。忘れる筈もない。初めてこの本を介して次元の扉を開いた時、私は意図せずして別次元に飛ばされてしまったんだから。
飛ばされたのは私が衝動的に動いてしまったのが原因とはいえ、あの時の扉は何かがおかしかった。幸い飛ばされた先は双子の友達がいる次元だった訳だけど、誰もいなければ何もない場所に飛ばされていた可能性だってゼロじゃない。…それ位にこの本は、危険な代物。
「知っての通り、わたし達にとってこれはブラックボックスも同然のもの。それにそもそもの話として、わたしが利用しているのはこの本の機能ではなく、性質…それもその一部を触媒として活用しているに過ぎないんです。例えるなら…そうですね、動力機関が発する熱で暖を取っているようなものなんです」
「動力機関で暖…それ程までに、本質と私達の活用方法に差があると……?」
「この本の本質は、関わる筈のなかった次元を、人達を繋げる事…か、どうかすらも分かりませんからね。次元を繋げる力はほんの一端かもしれませんし、わたしは勿論、わたし達が知るあらゆる方…それこそ、わたし達の創造主たるイリゼ様ですら及び付かない程の領域にある存在…なんて事もあり得ます。そして、他の次元の自分よりも次元を超える事において劣るわたしが、性質ではなく機能を引き出そうとする事は……」
「…何が起こるか分からないし、何が起こってもおかしくはない…そういう事なんですね」
引き継ぐように私が改めて結論を口にすると、イストワールさんはゆっくりと一つ頷いた。
世界の記録者であるイストワールさんには、誰よりも多くの事を…それこそ、某怪異の専門家さんばりに何でも(知ろうと思えば)認識出来る力がある。そのイストワールさんがここまでの表現をしている事自体が、この本の底知れなさを裏付ける証左。
何が起こるか分からないからこそ、やってみる価値がある。そういう考え方もあるし、時にそれが道を切り開く事もあるけど…今はまだ、そんな賭けをする段階じゃない。…そう、まだ私達は…追い詰められてる訳じゃない。
「……うん。すみませんイストワールさん、一応は私が管理しているものなのに、その私が全然知らなくて……」
「大丈夫ですよ。わたしに出来る事と、イリゼさんの出来る事は違う。ただ、それだけの話ですから(´∀`*)」
「そう言ってもらえると助かります。じゃあ…この件は、私が皆に伝えておきますね。色々してもらってる上で更に頼んでしまって申し訳ないんですが、イストワールさんは……」
「えぇ、阻害に対して出来る限り調べてみます。どちらにせよ、このままでは次元衝突の調査は出来ませんからね(´-ω-`)」
表情を緩めて肩を竦めるイストワールさんに、私も「あぁそれもそうか」とすぐさま納得。…ほんと、色々してくれてるイストワールさんには感謝しないと…。
「…イリゼさん、急に表情が良くなりましたね。何か良い案が思い付いたんですか?(・・?)」
「あ、いえ、そうじゃないんですが…今ってまだ、なりふり構っていられないような状況じゃないじゃないですか。だったら、まずは目の前の事から片付けていく方が良いかな…と思いまして」
「確かに、信次元の中は何も変わりませんからね。…やっぱり、イリゼさんには明るい表情の方が似合いますよ(*´ω`*)」
「ふふっ。イストワールさんも…あ、でも…私は明るい表情のイストワールさんも、真面目な顔してるイストワールさんも、両方好きかも……?」
「それを言うなら、わたしだってそうですよ。よしよし(^o^)/」
「あっ、ちょっ…な、何で撫でるんですかぁ…っ!」
平時の顔、喜んでる顔、真面目な顔…私の頭の中に浮かぶ、イストワールさんの色んな顔。それに気を取られた私の不意を突くようにイストワールさんが私の側へと飛んできて、楽しそうな顔で頭をなでなで。イストワールさんは小さいから、感覚的には撫でられているというより触れられているって感じだけど…そういう事じゃ、ない。
「あれ?嫌でしたか?(^∇^)」
「い、嫌とか云々じゃなく……って、顔!笑ってるじゃないですかっ!か、からかわないで下さいっ!」
「ふふふ、ごめんなさいイリゼさん。つい、撫でたくなってしまいました(*´∀`*)」
「むぅぅ……」
悪びれた様子もない(悪い事した訳じゃないけど…)イストワールさんに、若干頬が熱くなっているのを感じながら膨れっ面になる私。
パーティー及び周辺人物の中でも屈指の良識人(外見は飛び抜けて特殊だけど)であるイストワールさんは、基本誰かを弄ったりからかったりするような事もない。そんなイストワールさんが能動的にこんな事をしようとするのは恐らく私だけで、それは嫌じゃないっていうか、むしろちょっと嬉しい部分もあったりはするけど…でもさ、でもさぁ…むむぅ……。
「…感謝しますね、イリゼさん(*´ω`*)」
「……?えと、それは……」
「こうしていると、リラックス出来るというか、明日からも頑張ろうって気持ちになるんです。だから、ですよ(*^o^*)」
「…お礼には及びませんよ。それは、私も同じ事ですから」
そんな私に微笑みながら、イストワールさんが口にした感謝の言葉。その意味を聞いた私は…いや、その意味を聞いて私も笑みを浮かべて、それから私は現状を伝えるべく一足先にこの部屋を後に。
別次元との繋がりを断たれたのは、冗談じゃない程の痛手。でも今はまだ悲観するような状況でも焦る程の状態でもないし、考えてみれば出入り出来なくなるのはうずめ達だって同じ事。という事は永続的にこの次元へ蓋をするとは思えないし、或いは阻害されない次元移動の方法を有している可能性が高いんだから…さっきイストワールさんに言った通り、目の前の事から一つ一つ解決していけば、この事もきっと解決出来る。
そう。私にこの件を、直接解決する力はない。でも、今という時に出来る事はある訳で……だったら出来ない事を考えて下を向くより、出来る事を考えて前を向く方がずっと良いよね。
*
一日経った、翌日の朝。皆でご飯を食べた後ユニちゃんと廊下で会ったわたしは、そのまま二人で話しながら歩いていた。
「ネプギア、神次元のお姉ちゃんって、そんなにこっちのお姉ちゃんと似てたの?」
「うん。あ、でもあっちのノワールさんは、女神化した時もツインテールにしてたよ」
「へぇ…って事は、神次元のお姉ちゃんはこっちよりツインテールに拘りがあるのかしら……」
話題になっているのは、神次元の事や、そこで会った人達の事。特にノワールさんの事には興味津々で…でも、その気持ちは分かるかなぁ。わたしだって大きいお姉ちゃんの事は凄く気になったし、前に幻次元のわたしや皆さんと次元越しに会った時は、ちょっと話をしただけだし…。
「うーん…でもわたしも女神化前後で髪型は変わらないけど、それは別に拘りがあるからじゃ……って、あれは…」
会話を続けながら、廊下の角を曲がるわたし達。当然曲がった先でも廊下は続いてるんだけど…そこでわたしが目にしたのは、更に先の交差部分できょろきょろとしているブレイブ…さんの姿。
「…何やってるのよ」
「おぉ、ユニ!それにプラネテューヌの女神候補生…ネプギア、だったか?」
「あ、はい。それで、何を…?」
「いや何、トレーニングが出来そうな場所を探していたんだ。流石に廊下でランニングは迷惑がかかるからな」
にかっと爽やかな笑みを浮かべたブレイブさんは、何でもトレーニングがしたいとの事。…確かに廊下を走り回られたら困るかなぁ……。
「あぁ、そういう…ネプギア、どこかブレイブに使われても良さそうな部屋ってある?」
「それなら、トレーニングルームはどう?」
「え、トレーニングルーム?良いの?」
「良いの?っていうか…弱体化していても、四天王は四天王でしょ?だったら広くてしっかりしてる場所じゃないと、危ないかなぁって……」
「あー…良かったわねブレイブ。運動するのに最適な場所を使わせてもらえるらしいわよ?」
「すまない、そして感謝するぞネプギアよ!」
わたしがトレーニングルームを提案すると、ブレイブさんから返ってきたのは勢いのある感謝の言葉。やっぱりこの人、四天王の中でも特に元気というか、活力に溢れてるなぁ…なんて思いつつ、わたし達は案内する為トレーニングルームへ。
その道すがらもこれまでも、ブレイブさんは外に出るという選択肢は口にしない。でもそれは、四天王の四人は無断で外に出てはいけない、出る時は女神の誰かが同行する…という決まりを課しているから。そして、屋内で済ませられる事ならわざわざ同行させるのも悪いと思って、ブレイブさんは言わない…のかもしれないと、わたしは思う。
「ここですよ、ブレイブさん」
「お、おぉ…妙に色々な部屋のある塔だとは思っていたが、まさか本当にこんな部屋まであるとは……」
「あはは…あちらに色々機器とかトレーニンググッズとかもあるので、良かったらどうぞ。あ、でも使い終わったらちゃんと片付けて下さいね?」
「それは勿論。ふっ、ここなら十分に身体を動かせそうだ…!」
数分後、到着したトレーニングルームに入ってわたしが軽く説明すると、ブレイブさんは一層のやる気を漲らせる。
こうして見ると、ブレイブさんは普通の熱い男の人…って感じしかない。ユニちゃんもノワールさんもブレイブさんの事は悪しからず思ってるみたいだし、マジック……さんと戦った身としては、何だかちょっと不思議な感じ。
「にしても、なんでまたトレーニングなのよ。口振りからして、戦いに備える…って理由でもないんでしょ?」
「俺はヒーローだからな。ヒーローがだらしない身体をしていては、子供達の夢が崩れてしまうだろう?」
「いや、だらしない身体も何も、今のアンタは……」
「ああ、シェアエナジーで出来ている身体はそう簡単に変化しないという事は知っている。だが、だからと言って今の自分に胡座をかくのは俺の性に合わん。そんなのは、それこそ憧れられるヒーロー像ではないからな」
「…アンタらしいわね。野暮な事言ったのは謝罪するわ」
「気にするな。この位、俺は気にしていないさ」
そう言って、お互い軽く笑い合うユニちゃんとブレイブさん。お互いがお互いを理解し合い、互いの在り方に敬意を払い合っている…二人のやり取りからは、そんな雰囲気が感じられて……なんかちょっと、妬いちゃうなぁ…。
「さて、それじゃあ俺は早速身体を動かすとしよう。まずは準備運動からだな…!」
「えぇ、頑張って。でも壁とか機器とか壊すんじゃないわよ?」
それからブレイブさんはトレーニングを開始し、わたし達はそこから退室。元の階へと戻るべく、エレベーターの方へと歩き出す。
「…ユニちゃん、ブレイブさんと仲良いんだね…」
「え?…いや、別に仲が良いって訳じゃないわよ。ただ、アタシはブレイブの意思、歩んできた道を素直に凄いって思ってるだけで……」
「ユニちゃんが『素直に』…?…やっぱりユニちゃん……」
「む…何よそれ、アタシが普段素直じゃないって言いたい訳?」
「あっ…え、えーっとそれは……」
「それは?一体どういう事なのかしら?」
自分でもよく分からないけど、わたしの中で渦巻くもやもや。それでついつい深く考えず言葉を発してしまったわたしだけど…そのせいで一転して、今度はわたしが問い詰められてしまう流れに。し、しまった…ついうっかり素直じゃないなんて言っちゃった…どうしよう……。
「ネプギアー?どういう事かしらー?」
「うっ…ち、近いよユニちゃん…っていうか、話を逸らすのは良くないよっ!?」
「へ?や、別にアタシは逸らしてなんか……」
「いいや逸らしてるね!訊き返すより先に、もっとちゃんとブレイブさんとの事を話してほしいなー!」
「そ、そうでござる!拙者も同感でござる!」
「なんでそうなるのよ!?というか、逸らしてるのは明らかにネプギアの方……って、」
『ステマックス(さん)!?』
ずいっ、と迫ってくるユニちゃんに後退り、思わずわたしは誤魔化そうとしてしまう。けれど雑な誤魔化しはあっさりと見抜かれ、あっという間に八方塞がり……となった瞬間、わたしもユニちゃんも突然聞こえた三人目の声に驚いて振り向く。
声音…というか、口調から思い付いたのはある人の存在。まさかと思って振り向くと…やっぱりそこには、ステマックスさんの姿。
「あっ、や、そ、その……」
「あ、アンタいつからいたのよ!?って言うか、聞いてたの!?忍者だけに盗み聞き!?」
「う、ぁ…えと……せ、拙者これにてドロンっ!」
「はぁ!?これにても何もアンタ今さっき出てきたばかり…ってもういない!?速っ!?」
何故かわたし達以上に動揺しているステマックスさんへ、立ち聞きしてたのかと強い口調で訊くユニちゃん。するとステマックスさんは更にしどろもどろとなり、次の瞬間煙玉(周りの事を考えてか花火に毛が生えた程度だったけど…)を使って逃走。わたし達が「何故に!?」と驚いている間にどこかへ行ってしまい、取り残されるわたし達二人。
「…い、今のは何だったの……?」
「あ、アタシだって分からないわよ……」
突如話に入ってきて、反応したらしどろもどろになって、何も答えないまま煙玉を使って逃げる。……本当に何だったのか分からない、謎過ぎる行動をしていたステマックスさんでした。…謎なのは忍者だから…じゃ、ないよね……?
「…はぁ…なんか悪いわね、ステマックスが混乱招いて」
「う、うん。…そういえば、ステマックスさんってユニちゃんには緊張の度合いが低いよね。今はともかくだけど……」
その後、煙玉のゴミを回収したわたし達は、エレベーターに乗って上層階へ。乗ってる最中、ふと思った事をユニちゃんに訊くと、ユニちゃんは「あー…」と軽く苦笑いをした後話し始めてくれる。
「アタシね、匿名掲示板やSNSで情報収集してたのよ。積極的に情報提供はしてくれなくても、そういう媒体で見つけたものや気付いた事を呟いてる人もいる訳だし。で、その中でアタシも発信したり気になる事を呟いてる人に訊いてみたりしてたんだけど…そうしてる中で、ステマックスと出会ったの。話してる内に…まぁ、打ち解けた感じになって、アフィ魔Xの事も教えてくれて……そうして実際に会ってみたら、まさかのロボット忍者だったって感じよ。…あの時はびっくりしたわ……」
「はは…でも、ステマックスさんも驚いてたと思うよ?ネットで打ち解けた相手が女神だったなんて、アニメや漫画みたいだし」
「ふぅん…上手い事ゲームや小説は避けた訳ね」
「ま、まぁその例えは突っ込みを受けちゃいそうな気がしたからね…」
ちょっと口角を上げて言うユニちゃんに、わたしも苦笑いをしつつ返答。…因みにこれ、普通だったら危ない行為でもあるけど…ユニちゃんは普通の女の子じゃなくて女神だもんね。それにユニちゃんなら、念の為近くに人を配置しておいた可能性もあるし。
「そういう事だから…ま、気にかけてる面が無いって言ったら嘘になるわね。同意の上とはいえ、人見知りのステマックスを連れてきちゃったのはアタシな訳だし」
「そっか。旅の時も何かとわたしやロムちゃん、ラムちゃんの事を気にかけてくれてたし、ユニちゃんって結構面倒見良いよね」
「べ、別にそういう事じゃないわよ。ただアタシは、自分の関わってる事で知らぬ存ぜぬを通すなんて嫌なだけ……」
エレベーターから降りたわたし達は、当たり前だけどまた廊下へ。
ユニちゃんは厳しい面もあるけど優しいし、戦闘の時もいつも後ろから全体を見て、適宜指示を出してくれる。それはやっぱり面倒見が良いからなんじゃないかなぁと思ってわたしが言うと、ユニちゃんはそんな事ないと目を逸らし、そこで視界の端に見えていた窓からは剣らしき物が下から飛んできていて……
『……え!?』
当然、わたしもユニちゃんもその窓を二度見した。そ、それはそうだよ!剣が飛んでくるって…何事!?
「今の、一瞬しか見えなかったけどイリゼさんのバスタードソードじゃなかった!?」
「だ、だよね!まさか、外で戦闘が…!?」
剣が飛んでいたってだけじゃ、何が起きてるかなんて分からない。でも剣が飛ぶなんて、普通に生活していて起こる事でもない。
という事はつまり、外で普通じゃない事態が起こってるって事。それに慌てて窓へ駆け寄り、そこから下を覗いてみると……
「ほら、もう勝負は付いたでしょ!次は私よ!」
「失礼な、今のは布石だよ!?ノワールが止めなきゃ落ちてきたバスタードソードが気を引く役目を果たしてたんだからね!?」
「わー、これはむしろ二人が一戦交えそうな雰囲気…という訳で、わたしといざ勝負!」
「貴女はさっきやったばかりでしょう?順番的にも、次はわたしなんだけど…?」
「全く、全員血気が盛んですわねぇ。ここは騒がし過ぎますし、あちらでもう一度手合わせ致しませんこと?」
『むぅぅ…ジャッジとやるのは、この(私・わたし・わたくし)(だよ・よ)ッ!』
……お姉ちゃん、イリゼさん、ノワールさん、ベールさん、ブランさんが、物凄い雰囲気でジャッジさんを取り合っていた。やるとか何とか言いながら、敷地内でジャッジさんの腕を引っ張り合っていた。
「…………」
「…………」
『何このカオス!?』
あんまりにも訳が分からな過ぎる状況に、わたしもユニちゃんも揃って愕然。い、いや…イリゼさんとベールさんならまだ分かるよ!?でもお姉ちゃん達はなんで!?そしてイリゼさん達にしても、カオスだよ!?カオス過ぎて、最早スパイラルカオスだよぉぉッ!
…って訳で、わたし達は外へ。うわっ、よく見たら地面にも沢山の戦闘跡が……。
「な、何やってんのよアンタ!?お姉ちゃん達に何したの!?」
「いやぁ…俺はただ、模擬戦をやってただけだぜ?そしたらイリゼとベールは勿論、模擬戦を見つけてやってきた三人までどんどんヒートアップしちまってな。…まぁ、ヒートアップしてたのは俺もだがよ」
「模擬戦をやっただけで!?な、何なんですかその能力!?」
「さぁな。それより…これ、何とかなんねーか?一対五も楽しそうだが……」
わーきゃー張り合うお姉ちゃん達に引きながらわたし達はジャッジに話を訊いてみたものの、納得出来る回答は無し。ただそれでも放置するのは不味過ぎるからわたし達が女神化してお姉ちゃん達五人を止めたものの、止められたお姉ちゃん達は凄く不満気。…ほんとにどうしちゃったのお姉ちゃん……。
そんなこんなで騒がしかった今日の朝。四ヶ国に分かれるとはいえ、これから少しの間はこういう生活が恐らく続く訳で…これからの生活を想像したわたしは、思うのだった。…わたしの周り、キャラの濃さが飽和し過ぎだよぉ……。
今回のパロディ解説
・某怪異の専門家さん
物語シリーズに登場するキャラの一人、臥煙伊豆湖の事。信次元イストワールは、基本何でも知れますよ。ものによっては三日とか三週間とか三ヶ月とかかかりますが。
・「〜〜これにてドロンっ!」
忍者ハットリくんのパロディ。…だと思うのですが、正直確証がありません。なのでこちらに書きはしますが、間違っていた場合は教えて頂けると幸いです。
・スパイラルカオス
クイーンズ(ブレイド・ゲイト) スパイラルカオスのタイトルパロディ。なんかこんな感じの言葉あったような…と思ったら、本当にあったというパターンのパロディです。