超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed 作:シモツキ
女神として後悔しない為に残ったうずめさん、自分の意思を貫いてうずめさんと共に居る事を決めたウィードさんの二人を見送って、わたし達は海男さん達と共に信次元へ戻った。
わたし達が出発してから戻ってくるまで、そこそこの時間がかかった。勿論何日も…なんてレベルじゃないし、多く見積もっても数時間だけど、それでもあっという間じゃ決してない。けれどわたし達が戻った時…皆は、わたし達が行ってすぐ帰ってきたような反応をしていた。皆、わたし達が出発したのと同じ場所にいた。それに何が起きたのかはさっぱりだけど、大きいお姉ちゃんが来た時と同じように、知らない女の人四人にノワールさんが押し潰されていて……戻ってきて早々、わたし達には何が何だか分からなかった。
「お待たせしました、皆さん」
「いえ。海男さん達はどうですか?」
「まー、流石に環境が違い過ぎるからね。くつろいでる…とは言えないけど、それでもゆっくりしてくれてるよ」
色々分からないけど、だからって海男さん達を放置は出来ない。だからまずわたしとお姉ちゃんは、プラネタワーの上層階…わたし達の居住エリアに案内して、そこで暫く休んでもらう事にした。今お姉ちゃんが言った通り、環境が全然違うからその点で居心地の悪さを感じている子もいるみたいだけど…大地も建物も、何も崩壊する事のない場所ってだけで気分的にはずっと楽になった様子。それだけでもわたし達は安心したし、やっぱり来てもらって良かったとも思う。
で、それからわたし達はいつもの会議室へ。まずお姉ちゃんが、次にわたしが入って…今に至る。
「後で、彼等の下にお邪魔しても良いかしら?わたくし一度、直接話してみたいと思っていましたの」
「あ、わたしもー!わたしもまたおいかけっこしたーい!」
「わたしも…(こくこく)」
「はいはい、後でね。今はまだ、はっきりさせなきゃいけない事があるんだから」
あの短い間で皆さんと仲良くなったロムちゃんラムちゃんをブランさんが窘めて、それから視線をある人達へ。
ここには今、結構な人が集まっている。わたし達女神やいーすんさんは勿論の事、大きいお姉ちゃんやクロワールさん、プラネテューヌにいるパーティーメンバーの皆さん、そして…ノワールさんの上にいた、見知らぬ四人の女の人。
「…じゃ、貴女達は何者なのか、話してもらっていいかしら?」
ちょっと不満げな表情を浮かべて、話を切り出すノワールさん。まぁ、そりゃそうだよね…と思いつつわたしも四人へ視線を向けると、四人はそれぞれ口を開く。
「あ、はい!私はラステイション防衛隊極東支部所属のゴッドイーターです!皆様、お初にお目にかかります!」
「ふっ…よくぞ聞いてくれた。我が名はミリオンアーサー、百万人のアーサーの頂点に立つ王の名だ!」
「彼女のサポート妖精のチーカマよ。詳しい話は…まだ一人いるし、後の方が良さそうね」
「…ニトロプラスよ。最初に言っておくと、あたしもこの状況には困惑しているわ」
三者…じゃなくて、四者四様の調子で行われた自己紹介。…この時点で、伝わってくる。あ、この人達も多分キャラ濃い…って。
「ええ、っと…ゴッドイーターさん?…は、今…ラステイション防衛隊…って言いました?」
「はい。新人ではありますが、日々ラステイションの為邁進しています!」
「…お姉ちゃん、ラステイション防衛隊極東支部…なんて組織、あったっけ…?」
「いや、私も知らないわね…民間軍事会社か何かかしら……」
「へ……?」
取り敢えず全員の名前を聞いたところで、ユニちゃんが怪訝な顔をしつつ茶髪の女の人…ゴッドイーターさんへと質問。それからノワールさんに訊くと、ノワールさんも同じような顔で首を横に振って…今度はゴッドイーターさんが、驚きの表情をふっと浮かべる。
「えと、あの…ご存知、ないんですか…?」
「ごめんなさい、でも知らないわ。それはどういう組織なの…?」
「ど、どうって…文字通り、ラステイションの安全と秩序を守る、防衛隊の支部ですが……」
「自警団とか、それこそさっき言った民間軍事会社とかじゃなくて…?」
「そ、そんな事はない筈ですけど……」
互いに困惑しながら交わされる、お二人のやり取り。ゴッドイーターさんが適当な事を言っているようには見えないけれど、ユニちゃんやノワールさんが揃って軍の組織を忘れるとも思えない。でもそうなると、余計に訳が分からなくて……
「……あっ…もしかしたらさ、それって別次元のラステイションの組織なんじゃない?ほら、前にイリゼも言ってた…えっと、プラネテューヌ特務隊だっけ?」
「特務…?…あ、プラネテューヌ特命隊の事…?」
「そうそうそれ!その特命隊もうちには無いし、そういう事ならどっちの言う事も間違いじゃないでしょ?」
「…確かに、彼女達は
ユニちゃん達の言うラステイションと、ゴッドイーターさんの言うラステイションは違う。その可能性をお姉ちゃんが示唆して、それを受けたブランさんが質問。
すると、返ってくる答えはそれぞれで…でもやっぱり、全員信次元じゃない所にいたとの事。…ううん、より正確に言えば…それぞれの次元にいた筈だって。
「気付いたら落下してたって…貴女達全員どうなってるのよ…しかも、揃いも揃って私の上に落ちてきて……」
「うぅ、すみませんノワール様……」
「後者に関してはむしろ、ノワールが誘導しちゃったんじゃない?おっきいわたしもそうだったしさー」
「そんな訳ないでしょ!あって堪るもんですかっての!」
「ま、まぁまぁ落ち着きなさいなノワール。…しかし…ゴッドイーターとは…なんと言いますか、身の危険を感じるお名前ですわね……」
((それは確かに……))
これは触れていいものか。そう思っていた事を口にしたベールさんに、わたし達はこくこくと首肯。…な、何気に一番ゲハバーンが似合うんじゃないかな、ゴッドイーターさん……。
「と、ともかく疑問は解けました。ありがとうございます、ゴッドイーターさん」
「そんな、お礼を言われる事なんて…。というか、私一人で時間を使い過ぎるのも良くないですよね…という事で、どうぞ!」
「え…?ど、どうぞって…何を……?」
「じこしょうかい、だよ…?」
「おねえさんはどーゆー人なの?」
「あ、うん…。…別にそこまで語る事はないわ。さっき言った通り、あたしはぴーしー大陸の出身で、犯罪組織の残党を討伐していた。でも、気付いたら彼女達と同じように落ちていた…そんなところよ」
別に時間制限がある訳じゃないけれど…ゴッドイーターさんが気を遣った事で、話の中心は隣にいたニトロプラスさんへ。
彼女の発言で一番気になったのは、やっぱり犯罪組織(の)残党という単語。その次に気になるのは……
「ぴーしー大陸…やっぱり、どこかの浮き島の一つなんでしょうか…。いーすんさん、分かりますか?」
「えぇとですね、三秒待ってもらえますか?……分かりました。ニトロプラスさんの言う位置とは違いますが、確かにぴーしー大陸というのは存在していますね
( ̄^ ̄)」
「そっかぁ…って速ぁ!?え、い、いーすんと言えば調べ物する時三日とか三ヶ月とかかかるのがお決まりなんじゃなかったの!?もしかしてわたしが知らない間に大型アップデートか何かを!?」
「調べる事柄によるだけです…今のは単なる場所検索でしたからね( ̄▽ ̄;)」
…ちょ、ちょっと脱線しちゃったけど、ぴーしー大陸は信次元にもある事が判明。ニトロプラスさんも自分の出身地が存在してるって分かったからか、ほんのりだけどクールな感じだった表情が緩む。
「…こほん。犯罪組織残党の討伐…という事は、貴女も軍の関係者でして?」
「いいえ、あたしはあたし個人の意思でそうしているだけよ」
「所謂自分の正義に従ってるってやつ?かっこいーね!」
「そんな大層なものじゃないわ。そもそも、理由はどうあれ所詮武力は武力。それを誇ったところで虚しいだけよ」
「え、あ…そ、そうかもね…はは……」
と、思ったのも束の間、大きいお姉ちゃんからの称賛を否定して、物憂げに言葉を紡ぐニトロプラスさん。確かにどこまで行っても武力は武力、どんな理由や思いがあっても、暴力が暴力じゃなくなるなんて事はないけれど……つい半日程前までその武力を大いに振るっていたわたし達としては、激しく何とも言えない気分に。その言葉を引き出す形になった大きいお姉ちゃんも、複雑そうな顔になって……そんな中、不意に聞こえたのは新たな声。
「皆さん、この子は口下手なだけで、別に非難をしようとした訳じゃないんですにく。だから、それは分かってあげて下さいにく」
何だろう?…と思って目をやると、いつの間にかテーブルにはそれまで無かったある物が。
よく見ればそれは、まだ調理がされていない状態のお肉。程良く脂の乗った、ピンクの薄切りお肉に目と口が付いていて、どうやら声の主はこのお肉さん……
『…って、肉が喋ったぁああああああああああッ!?』
「……?あぁ、紹介が遅れたわね。この子は生肉よ」
「生肉ですにく。ニトロちゃん共々、宜しくお願いしますにく」
『しかもまさかの同行者…!?』
全員が揃って立ち上がるという状況の中、さらりとニトロプラスさんは彼女(彼?)を紹介し、生肉…さんも、こちらへ挨拶。これはどう考えてもおかしい、ゲイムギョウ界であっても明らかに普通じゃない展開で……けれどあんまりにもお二人が自然と言うものだから、それ以上わたし達は何も言えなかった。…まさか、ゴッドイーターさんの名前以上に踏み込んでいいのか分からない事が、こんなすぐにやってくるなんて……。
「…ふっ…これはまた、随分と愉快な場所に来てしまったようだな」
「…格好付けてるとこ悪いけど、貴女もさっき普通に驚いてたわよね?」
「……ごほん。それに…うん、ここはとても良い場所だ…!輝きに満ちている…!」
「あー、はいはい……」
驚きで変な空気になっている中、一人…ミリオンアーサーさんだけは愉快そうな顔。一つ咳払いをした後は、それに加えて目も輝かせて…気分良さげな彼女の事を、チーカマさんが呆れ混じりの顔で見つめる。
「かがやき…?(きょとん)」
「まぶしいの?」
「いいや。そういう意味では…いや、そうだな。眩しい程に、ここは…君達は輝いている」
『ほぇぇ……?』
「…適当に流しちゃっていいわよ。なんかそれっぽい事言ってるけど、要は『可愛い女の子大好き』ってだけだから」
『え、それって……』
目を閉じ感慨深そうに話すミリオンアーサーさんだけど、その内容は抽象的。だからロムちゃんラムちゃんだけじゃなく、わたしの心にも疑問符が浮かんでいて……それをチーカマさんが容赦なくばっさり。途端に分かり易くはなったけど…可愛い女の子大好きって……
「…………」
そう、思っていた時だった。わたし達が、うっすらある人物を思い浮かべる中、パーティーメンバーの一人…REDさんが、静かに席から立ったのは。
「…君は?」
「アタシはRED。普段は嫁を探して、旅をしているの」
「ほぅ…ではわたしも改めて言おう。わたしはミリオンアーサー。騎士を作るべく、有能で新しい因子を探す事…そして愛らしい美少女を守り、寄り添う事が我が使命」
「……女の子は、大好き?」
「勿論、大好きさ」
「…………」
「…………」
『……同士よッ!』
((やっぱりかぁああああぁぁぁぁっ!))
ミリオンアーサーさんの隣までREDさんが歩いていくと、ミリオンアーサーさんもそれに呼応するように起立。見つめ合った二人は、まるで二人きりであるかのように言葉を交わし……次の瞬間、二人は腕を振り抜くようにして固く握手。わたし達を嫁候補と呼ぶREDさんと、どうやら本当に女の子が好きらしいミリオンアーサーさんの握手は、さも予定調和であるが如く行われ……わたしも、多分皆も、心の中で叫んだ。とんでもないコンビが、生まれてしまった…と。
「わー…原作では成し得なかったコンビが誕生した…。しかもこれ、一歩間違うとセイツも交えたトリオになりそうな気が……」
「た、確かに……」
大興奮で話す二人の様子を見やりながら、隣のお姉ちゃんがぼそりと呟く。それはもうほんとお姉ちゃんの言う通りというか、セイツさんも「皆大好き」とか「心の輝き」とか言ってた訳で……と、トリオ化したら何が起こるんだろう…。
「あはは…あぁそうだ、セイツと言えば…ねぇねぇイリゼ、ちょっとミリオンアーサー…んー、長いしミリアサちゃんかな。…の隣に立ってみて」
「隣…?…良いけど……」
「おぉ…やっぱ二人って、髪型とかスタイルとかそこそこ似てるよね。…さてはイリゼ……」
「え…ち、違うよ?偶然だよ?ほんとに偶然だからね…!?」
何かを言いかけたお姉ちゃんに対し、かなり必死な顔をして否定するイリゼさん。…う、うん…これは、深掘りしない方が良さそうだね…。
「でも確かに似てるわね。まぁ、髪型に関しては自由に変えられるんだから、似てるも何も…って話だけど」
「そういう貴女も、ある方と似ていますわね。…いや、もう似てるというか…先程貴女、妖精と言っていましたけれど…もしや本当は妖精ではなく精霊だったりしませんこと…?それも、炎ではなく雨と氷の……」
「絵師の影響よ!…じゃなかった、偶々だから!関係性はないから!」
なんて思っていたら、今度はチーカマさんがわたわたと突っ込みを入れているし、気付けば今回もいつも通りの雰囲気に。皆さん馴染んでる…というか、訳も分からず次元移動してしまった事に気が動転していたりしないのは幸いだけど、何かちょっと脱線気味な気もしていたり…。
「あ、あのー…この後も、話さなきゃいけない事がありますよね…?」
「っと、そうだったわね。もう少し訊いてみたい事もあるけど、一先ずはこれで良いんじゃない?人となりなんて、話を聞くだけで全部分かるものでもないし」
「確かにそうですね。では…次は、例の疑問について…でしょうか(。-_-。)」
わたしは流され易いタイプだから、気付いた時に言っておかないと。そう思っておずおずと声を上げると、ノワールさんがすぐに乗ってくれて、一旦ここまでの話はお終い。次の話…全員が抱いていた疑問を解決するに当たって、わたし達の視線が向くのはある人物…が、入っている一冊の本。
「あー、へいへい。…つっても、さっきのアレも次元の壁が不安定になっている影響だけどな。…いや、向こうの状況を考えれば、次元そのものが不安定になってる…って言うべきか」
「これも?結構色んな事に影響するのね、次元の壁って。…や、考えてみれば当然か…そもそも次元自体が、半ば概念的なものなんだし…」
「そういうこった。不安定、って表現だから分かり辛いんだろうが…早い話が、次元を成り立たせる上で必要不可欠な事柄の一つが、脆くなってるって事だからな。お前等が思ってる以上に、緊迫した状況なんだぞ?」
腕を組んで認識を改めるアイエフさんの言葉を肯定し、再びねぷのーとの中に入る事となったクロワールさんが続ける。
正直、今の表現でもまだ分かり辛い…というか実感は持てないけれど、それでも声音からは伝わってくる。クロワールさんが、どれ程真剣に話しているかが。
「加えて言えば、次元の扉を開くっつーのは超局地的な世界改変だからな。ただでさえ不安定な中で、更にその一部を都合良く捻じ曲げるんだ、それが毎回思い通りにいくと思うか?」
「え、っと…だからねぷねぷ達は、あっという間に帰ってきたって事ですか?…あれれ?でもねぷねぷ達は、向こうの次元にもっと長い時間居たって……」
「そりゃ、ズレたんだよ。俺が狙った時間と、実際に繋がった時間がな」
「ふむふむ…クロちゃん、皆まだ分かってないみたいだからもう少し詳しく教えてあげて!」
「いや絶対お前も分かってねぇだろ…ったく。俺も、恐らくはイストワールも、次元の扉を開く時には次元同士の時間を合わせるようにしてるんだよ。次元AからBに行って、そっちで一時間過ごしたなら、戻る時は行った時点の次元Aじゃなくて、そっから一時間経った時点のAに繋がるように…ってな。何故かっつーと、そうしなきゃ次元が歪むからだ。一時間経っている筈の空間に、それとは合わない時間を過ごした存在が現れたら、その差の分空間が軋むからな。ま、厳密にはそもそも次元移動してる時点で軋むから、少しでもその影響を和らげる為…って言うべきだがよ」
「…軋むと、どうなるの?」
「少しなら自然に直るさ。けど軋轢が激しかったら、或いはとびきり運が悪かったら…そこ周辺の空間が壊れてあり得ない何かが起こるか、最悪何もかもが消失するかだろうな」
同じ位真剣な声音で問い掛けたブランさんの言葉に、クロワールさんは声音を変える事なく答える。
その回答に、わたし達は何も言えなかった。次元を超えるなんて普通じゃないし、ノーリスクでぽんぽんやれる事でもないんだろうなぁとは思っていたけれど…これまでやっていた行為の危険性をはっきりと教えられると、どきりとする。実際ズレたさっきの次元移動は、そういう危険を孕んでいたのかと思うと、怖くなる。
「…待って…じゃあ、私は…私がこれまで経験してきた、次元移動は……」
「あぁ、お前の場合は例外だ。俺やイストワールが作る次元の扉での移動とは、そもそもからして訳が違うっぽいからよ」
「うんうん、だからだいじょーぶ!安心してね!」
「……お前…」
「えー、今度は何さクロちゃん……って、あ…そ、そういえば…クロちゃん、何か企んでない?変に親切過ぎない?」
「はっ、そりゃ誰も彼もがきりきり舞いして、いらん事もしまくって、その末に次元が崩壊するなら痛快だろうし、見てみたいってもんだ。けどなんかよく分からん内に致命的な事して崩壊しちまった、なんて面白くも何ともねぇし…それより面白そうな事が、この次元じゃ起きまくってるんだからな」
その中で不意にイリゼさんが発した、不安の声。それはクロワールさんが否定してくれたけど、今度はそのクロワールさんが何やら物騒な考えを口に。それを聞く大きいお姉ちゃんはと言えば、何も言えないって感じの顔で頬を掻いていて…この二人の関係性は、今もよく分からない。
「…ま、とにかく時間の件はこんなもんだ。この次元はどんどんおもしれー状態になってるんだから、つまらねー終わり方なんてさせないでくれよ?」
「…皆、この子は性格が悪いだけで、いちいち真に受ける必要はないねぷ。だから、そこは覚えておいてほしいねぷ」
「…何故に生肉の真似を…?」
「何となく、かな」
かなり反応に困る言い方でクロワールさんが話を締め、そこに大きいお姉ちゃんが冗談を、更にニトロプラスさんが疑問寄りの突っ込みを入れて、時間のズレに関する話も終了。となれば次は、いよいよ当初の本題である、これからの行動と計画な訳で……
「…ふぁ、ぁ…あっ……」
気を引き締めよう。そう心の中では思っていたのに、口を衝いて出たのは欠伸だった。
「ギアちゃん、おねむですか?」
「お、おねむって…いや、その…そんな事は……」
「疲れてるなら疲れてるって言ったら?今日は元からゆっくり寝てないし、状況が二転三転してるんだから疲れてたって……ふぁあ……あ…」
「ぷっ、ユニだってあくび出てるじゃない。二人とも、わたしとロムちゃんを見ならった方がいいんじゃないのー?」
「…ふぁぁ……ふぇ?…ネプギアちゃんと、ユニちゃんのあくび…うつっちゃった…?」
「うぇ!?ろ、ロムちゃんも!?……え、えと…ふあぁー…?」
「…それのどこ見習えってのよ」
「うっ…し、しーらないっ!」
わたしが恥ずかしさから頬が熱くなるのを感じる中、どんどん移っていくわたしの欠伸。…ラムちゃんは、何かちょっと違う気がするけど…こ、これはこれでちょっと恥ずかしい…。
「…これは、一度長めの休憩を入れた方が良さそうですわね」
「賛成です。ネプテューヌさん達も疲れていない訳がないですし、今後の事については後程…いえ、海男さん達の事や、各種情報確認の事も考えて、明日にするのはどうでしょう?(´・ω・`)」
「まあ、疲れた頭じゃ気付けない事もあるものね。ベール様達は早朝以降食事も取ってない訳だし、私もそれに賛成よ」
自然としてしまった&移ってしまったわたし達の欠伸を切っ掛けに、会議は一度終わりにするという流れに。何だか皆さんに気を遣わせてしまったような気がしたわたしだけど、その流れになった途端、「ふへー、やっと休める〜」と言って机に突っ伏したのはお姉ちゃん。そういう姿を見ると、わたしもちょっと安心出来て……その安心からか、段々と空腹感も覚え始める。
(…ほんと、今日は色々あったなぁ……)
ギョウカイ墓場への突入から始まって、本当に今日は色々あった。長時間戦闘したり、一日の間に色んな場所を転々とする事はこれまでにもあったけど、ここまで信じられない事が一日の間に何度も起こったのは、今日が初めてかもしれない。
それを乗り切る事が出来たのは、一先ず良かった。疲れているとはいえ、取り敢えず皆元気で、向こうに残ったうずめさん達も、きっと大丈夫だって思える。だけどきっと、これからはもっと大変な事が起こる。…根拠はないけど、そんな予感がわたしの心のどこかにはあって……だからこそ、思った。「疲れてない」なんて変に意地を張ったりせず…今日は素直に、休もうって。
「さー、それじゃー皆。今日は取り敢えずかいさー……」
「…あ、あの。実は私も…いまして……」
「いる?いるって、何がよ?」
「え、っと…私の武器、神機に宿っている…生物?…の、アバどんです」
「キュウ!」
『……はい?』
そんなこんなで、解散宣言を口にしようとしたお姉ちゃん。それが言い切られる直前、そっと手を挙げて待ったをかけたのはゴッドイーターさん。何だろうとわたし達が振り向く中、ゴッドイーターさんはメカニカルでやや刃の厚い両手剣を取り出して……次の瞬間、謎の黒い生物らしきものが、机の上に出てくるのだった。……因みにゴッドイーターさん曰く、これを言ったのは「生肉とか、妖精とか、喋る本とかが出てきたから、私もここで言っておいた方がいいんじゃ…?」…と、思ったかららしい。
今回のパロディ解説
・「〜〜妖精ではなく精霊〜〜炎ではなく雨と氷の〜〜」
デート・ア・ライブに登場するヒロインの一人、五河琴里の事。イラストレーターが同じなだけあって、チーカマと琴里って本当に似ていますよね。
・「絵師の影響よ!〜〜」
生徒会の一存シリーズのヒロインの一人、桜野くりむの台詞の一つのパロディ。チーカマと琴里は偶々でしょう。イリゼとミリオンアーサーも…本当に偶然ですからね!?