超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed 作:シモツキ
釈然としないけど、私は残るように言われた。結果的には何もなかった上、次元の壁の不安定さに影響されて信次元視点で言えば二人は即座に帰ってきたとはいえ、もしもの事を考えれば、ネプテューヌとネプギアのどちらかは信次元に残っておいた方が良かった筈。なのにネプテューヌは一人で行く判断をし、結局行く事になったのはネプテューヌとネプギアの二人だった。
いや、理由は分かっている。皆、私に気を遣ってくれているんだ。もう一人の…複製体ではない私が現れて、けれど理由も告げずに敵対行動を取られた私の事を慮って、だから私を残す判断をしたんだ。
その気持ちはありがたい。けれど、私だって女神だ。やらなくちゃいけない事は分かってるし、別に私は取り乱していたりなんかしない。だからまずは、分かってもらわないと。私が、至って冷静だって事を。
「皆ー、調子はどうー?何か困ってないー?」
「これが必要だ、ってものはありませんか?」
身体を休め、整った体調で今後の事について話す為、一度話し合いがお開きになってから十数分。私とネプテューヌ、それにネプギアは海男さん達が休めているか訊きにいく為、プラネタワー上層階の居住エリアに訪れていた。
「まあ、元々わたし達が普段使ってるのも同じ階だし、海男達がいなくても行くんだけどね!」
「お姉ちゃーん…?それは言わなくても、地の文で言及されるものだと思うよー…?」
「いやでもほら、そこを敢えて言っちゃうって面白くない?」
「そ、そうかな……」
いきなり地の文読みをしてきたネプテューヌに対し、何とも言えない感じの表情でネプギアが緩く突っ込み。そして当然、近くには避難してきた皆がいる訳で、結果ネプギアの表情どころかこの場全体が何とも言えない感じの空気に。
「会う度に愉快だね、ねぷっちは。大きいねぷっち達もまだいるのかい?」
「うん、今はいーすんに呼ばれてるけど、後で来ると思うよ。で、何か困ってたりしない?」
「大丈夫なのです。まだ全然慣れないですけど、やっぱり安心感が違うのです」
「あはは、まあこっちは次元全体もそうだけど、建物だってヒビが入っていたり、部屋によっては吹き曝しになったりの劣悪環境じゃないからねー」
二人からの問いに答える、海男さんやエビフライことひよこ虫の表情は穏やか。その表情を見る限り本当に安心出来ているようで、それに私達も一安心。
「けれど、ここは若い子達には少し刺激的過ぎるぬらね。もう色々な物に興味を持ち始めて、目が離せないぬら」
「あぁ、確かにその問題がありましたね…触ると危険な物…は流石にないですが、何かあっても困りますし、いっそどこかの階を丸々皆さんの居住区にしちゃいますか?お姉ちゃん、大丈夫だよね?」
「大丈夫じゃない?実際あんまり使ってない階もあるしさ」
「いや、流石にそこまでしてもらうのは君達に悪い。無論、オレ達が同じ階でうろうろしていると落ち着かないというなら別だけど、極力自分達で出来る事は自分達でするさ。向こうでも、そうだったんだからね」
私達は要望があれば出来る限り応えるというスタンスだけど、海男さんはそれをやんわりと遠慮。ぬらりんや他の子達も海男さんと同意見らしくて、取り敢えず今の提案はお流れに。
でも実際、皆はずっとここにいる訳じゃない。今は一先ずここにいるだけで、今後どうしていくかも話し合うべき事柄の一つ。それもあって、皆は今の提案を遠慮したのかもしれない。
「それにしても…まさかプラネタワーの中がこうなるなんて、昨日…っていうか半日前位までは想像もしなかったよね」
「だね。前からライヌちゃんはいた訳だけど、やっぱり数が全然違うし」
「ライヌちゃん?それは誰なのです?」
「あ…うん。ライヌちゃんはね、私がいつも一緒に生活しているスライヌだよ」
「そうだ、イリゼ。折角だし、ライヌちゃんに皆を紹介してみたら?」
「ライヌちゃんに…?」
それから話は発展し、皆の事からライヌちゃんの事に。ネプテューヌに言われて、「確かに、今後会う事もあるだろうし先に紹介しておいた方がいいかもしれない…」と思った私は、一度離れて自分の部屋へ。伝わっているかどうかは分からないけど、紹介したい子達がいるという旨をライヌちゃんに話し、抱えた状態で皆の下へ。
「…ほら、ライヌちゃん。この子達だよ」
「ぬ…ぬら……!」
戻ったところで私が腕の中のライヌちゃんに声をかけると、びくんと一つライヌちゃんは震える。その理由は…間違いなく恐らく怯え。酷く怖がりなライヌちゃんが、初めての相手と会う時はいつも見せる反応。
ただそれでも、普段とそこはかとなく違うのは、恐らく相手が同じモンスターだから。
「名前からひょっとしてとは思っていたぬらけど…やっぱり、僕達の同族だったぬらね。僕はぬらりん、宜しくぬら」
「オレは海男。いきなりこんな大勢で押しかけてすまないね」
「ぬっ、ぬら…!?ぬらぬら、ぬら……!」
自己紹介を受け、わたわたと慌てるライヌちゃん。驚きに満ちた顔で振り向き、ライヌちゃんは早口で私に何かを伝えようとしてくるけれど、私にその言葉は分からない。
「…そうだ…皆なら、ライヌちゃんの言う事分かる…?」
「あ、確かに!海男達は皆、某R団の一員ばりに話せるんだもんね!」
「僕達は別に訓練した訳じゃないぬらが…そういう事ならお安い御用ぬら」
「ありがとう、ぬらりん。じゃあ…ライヌちゃん、好きなものとか今日は何をしていたかとか、ぬらりんに話してみて」
「ぬら…?…ぬ、ぬら…」
前々からライヌちゃんの言葉を理解したいと思っていた私にとって、これは千載一遇のチャンス。その思いでぬらりんに頼み、後ろにしゃがみながらもぬらりんの前へライヌちゃんを降ろすと、まだびくびくしながらもライヌちゃんは喋り出す。
「ぬら…ぬらぬらー、ぬーら…ぬらぁ……」
「ふむふむ……」
「ぬら…?ぬ、ぬら…ぬーらぬらぬ…」
「…ふむ?…ふむ……」
「…ぬらっぬら、ぬら〜……?」
「…………」
「…ぬらりん、ライヌちゃんはなんて……?」
おずおずと話すライヌちゃんの言葉を、ぬらりんは真剣な顔で聞く。そしてライヌちゃんの言葉が途切れたところで、私が尋ねると…ぬらりんは、言う。
「……さっぱり分からないぬら」
「え…?さっぱりって…ちっとも…?」
「ちっともぬら」
「一言も…?」
「一言もぬら」
「…皆も……?」
一切の希望も残らない程否定された私は皆の方へ視線を移すも、皆も分からないとばかりに首を振る。
「そう、なんだ……」
「イリゼさん…ま、まあでもほら、これまでもライヌちゃんの言葉は分からなかったですが、それでも仲良く暮らしてた訳ですし、ね?」
「うん……」
「ふーむ…だが、考えてみればオレ達も全てのモンスターの言葉が分かる訳ではないからね。分かる者と分からない者、その差は何だろうか……」
「…心の問題、じゃないぬらか?僕達は皆お互いに言葉が分かるぬらが、襲ってくるようなモンスターの言葉は分からないぬら。だから、ライヌちゃんもそれが……」
「……はい?」
分からなかった事に気落ちする中、その理由を考える海男さんとぬらりん。そのやり取りは、私にも聞こえていて……けれどどうにも理解出来ない発言があったから、私はぬらりんを
「ぬ、ぬら!?急に何ぬら!?」
「あ、ごめんね。よく分からなかったんだけど、今さっきなんて?」
「……?だから、精神の問題……ぬらーっ!?の、伸びる伸びる!伸びるぬらー!」
「なんて?」
「千切れるぬら!柔軟な身体でも限界があるんだぬら!なぜこんな事をするぬらぁ!?」
「な ん て ?」
「……!あ、そ、そうだぬら!もしかしたら、僕達とライヌちゃんとは違う種族かもしれないぬら!それが理由かもしれないぬらねーッ!」
「あ、そっか。それはあるかもしれないね…」
両端を掴み、どんどん引っ張っていくと、漸くぬらりんは私にも理解出来る内容で言ってくれた。
言われてみればその通り、同族かどうかは見た目だけじゃ分からない。そして種族が違えば言葉が通じないのはむしろ普通の事だろうし、そもそも住んでる次元が違う。であれば、分からなくても仕方ない。
「ぬ、ぬらりんさん…大丈夫ですか…?」
「うぅ、びろびろになるところだったぬら…彼女、温厚そうに見えて実は怖い一面もあるぬらね……」
「ちょ、ちょっとイリゼ……」
「うん?ライヌちゃんもどうしたの?」
何やら言いたい事がある感じのネプテューヌから視線を受けながら、ぷるぷるしているライヌちゃんを私は再び抱え上げる。ネプテューヌだけじゃなく、他の皆も私に対して何かおかしなものを見るような目をしていて……
「みんなー!あそびに来てあげたわよー!」
「みんな、元気…?」
「お邪魔しますわ」
丁度その時、廊下の先にあるエレベーターが開いてロムちゃんとラムちゃん、それにベールが入ってきた。
軽快に走ってくる二人に対して、ベールの歩みはいつも通りに優雅。三人の登場により雰囲気が変わり、特に短い間とはいえ一緒に遊んでいた幼い子達は目を輝かせる。
「やあ、ろむっちらむっち。それに…はは、確かに纏う雰囲気は大人そのものだ」
「うふふ、その声で言われると、普段の二割増し位で嬉しいですわね」
外見や普段の言動が大人なベールと、声は完全に渋いおじさまな海男さんによる、この場においては異彩を放っているとさえ言えるような雰囲気のやり取り。
まあそれはともかくとして、ロムちゃんラムちゃんは疲労を忘れて遊び過ぎてしまう可能性がある。それが明日に影響すると困ると思って、私は声をかけようとし…そこで、ネプギアに呼び出される。
皆がいる場所から少し離れた、廊下の角を曲がった所。そこで止まったネプギアの背を見つめていると、ネプギアはくるりと振り向き…言う。
「イリゼさん…大丈夫ですか?」
「…大丈夫?」
呼ばれた時点で、真面目な話だというのは分かっていた。でも尋ねられた言葉に対して、私が頭に浮かべたのは疑問符。すると私の反応を見たネプギアは表情を曇らせ、言葉を続ける。
「…気付いてないんですね……」
「だから、何が…?」
「…落ち着いて、よーく考えて下さい。戻ってきてからのイリゼさんは、いつも通りだと思いますか?」
「…もしかして、ネプギアも私の事を心配してくれてるの?なら、ありがとね。けど私は、いつも通り冷静で……」
「本当ですか?先程の事…相手の言う事が気に食わないからって、抵抗も出来ない相手を痛め付けるような事を、イリゼさんは普段からやっていますか?」
「……え…?…あ……」
ネプギアは、私を心配してくれているのかと思った。だから、私自身の言葉で納得してもらおうと思った。だけど…逆に言われて、初めて気付く。先程の行為は、普段なら明らかにやらない…私らしからぬ行為であった事に。そして恐らく、ネプテューヌが言いたげだったのも同じ事。
「…ごめん、ネプギアの言う通りだね…戻ったらぬらりんに謝らないと……」
「い、いえ。事が事ですし、分かってくれてわたしも安心しました。けどやっぱり……」
「でも、ほんとに私は大丈夫。さっきの件があるから不安だとは思うけど、今日はゆっくり休んで頭もすっきりさせるから、ね?」
「…です、よね。イリゼさんの事ですし…」
まだ少し不安そうなネプギアへと私は笑いかけ、それから謝るべく皆の下へ。
今指摘された通り、確かに私はいつも通りじゃないらしい。けれど冷静ではあるし、恐らくこれもショックによる心労で判断力が落ちていただけ。だからこそ今日はきちんと休み、明日こそ大丈夫だって事を証明しようと私は決めた。
*
「……という訳で、依然最大の脅威はもう一人のうずめさん、キセイジョウ・レイ…そして、彼女達の使役するダークメガミで間違いないでしょう( ̄^ ̄)」
翌日。予定通りにまたわたし達は集まって、今は今後の事について会議中。…え、途中からの理由?そりゃ、二話続けてがっつり会議シーンじゃ、ねぇ?
「そこに加えて、例の浮遊大陸よね…皆、各国の反応は?」
「予想通り、動揺と混乱、それによる不安を抱いている人が大多数だね。また昏睡が起こるんじゃないかと、先の事と結び付ける人も少なくない」
「常にある、見え続けている…というのも、不安に駆られる要因ですね。逆に言えば、散発的に現れるより慣れ易いのかもしれませんが…」
「不安と言うと、例のサイトが早速この件を取り上げて、また碌でもない記事にしてるわね。しかも今回も、一般人は知らない筈の部分にまで軽くだけど踏み込んでいるし…」
ノワールからの質問に、画面越しで三ヶ国の教祖が返答。プラネテューヌの反応も同じ感じで、やっぱり皆不安みたい。…でも、そうだよね。わたし達はまだ、あれがどうやって出来たのか知ってるけど、皆は何一つ分からないんだもん。
「取り敢えず会見はしたけど…あれだけじゃどう考えたって足りないわね」
「ですわね。安全か否か、いつ解決出来るのか…国民が一番知りたいであろう事を、殆ど提示出来ていない訳ですし…」
「んー…しらべに行けばいいんじゃないの?」
「ま、その通りね。けど、問題はそれだけじゃないでしょ?」
「…それって…あの、イリゼさんのこと…?」
腕を組んで話すベールとブラン。二人のやり取りを聞いたラムちゃんが疑問を口にして、それに反応したユニちゃんが回答。今度はロムちゃんが声を上げて…いーすんが頷く。
「はい。信次元にとっての脅威は、間違いなく彼女達ですが…最も謎なのは、もう一人のイリゼさん…いえ、イリゼ様の存在でしょう。確認ですが…あの場に現れたのは、イリゼ様…なんですよね?」
「…はい。もう一人の私、複製体でない原初の女神で間違いないです」
「であれば、コンパさんへの態度から考えても、イリゼ様が信次元を害する可能性は極めて低いでしょう。特に人に対して危害を加える事は、絶対にないと思われます」
「絶対、ですか…。…でも、わたし達には…明らかに、敵対行動を取っていましたよね…?」
「だね。先にダークメガミの方を攻撃してたから、向こうの味方って事もないだろうけど…うーん、あれかな?武力介入を開始する、的な第三勢力?」
「いや、元から信次元は概ね一つになってるでしょ…」
呆れ気味の突っ込みをノワールから受けて、わたしはてへへと後頭部を掻く…けど、冗談はともかく多分もう一人のイリゼは本当に第三勢力。皆もそれは分かってくれてるみたいで、表情にはちゃんと真面目な感じが浮かんでいる。
「…こほん。以上の事から考えるに、現状問題は複数ありますが、目的も現在の居場所も分からないイリゼ様は、一先ず後回しにした方が良いでしょう。イリゼ様が、コンパさんとの約束を反故にするとも思えませんから(・ω・`)」
「あの大陸の調査と二人の件…は、慎重に動いた方が良さげですわね。恐らくあれは、向こうにとっての拠点でしょうし」
「…そういえば、うずめは確か、あの大陸を暫く調べたい…って言っていなかった?わざわざ足止めにダークメガミを四体も置いてきた事から考えても、あれは嘘じゃないだろうし…だったら、向こうもまたすぐに動くって事はないんじゃないかしら」
「となると、こっちには多少なりとも猶予があるって事になるわね。そしてこの状況、私達に一番必要なのは…少しでも全体としての戦力を高める事じゃない?」
進んでいく話に、わたし達はこくんと首肯。もう一人のうずめ達にしたって、もう一人のイリゼにしたって、とんでもなく強い。今のわたし達じゃ、正面戦闘どころか、上手く有利な状況に誘い込んだり罠に嵌めたりしても、勝てるかどうか分からない。まあ勿論、だからって諦めるわたし達じゃないけど…低レベルクリアみたいな縛りプレイじゃない限り、RPGにおいてパーティー強化は必須だもんね!これ、ゲームじゃなくて小説だけど!
「せんりょくをたかめる…しゅぎょー…?(どきどき)」
「はっ、もしかして…2年くらいするの!?」
「いやいやいや…二人共、わたし達は女神だよ?女神にはもっと、強さの源になるものがあるでしょ?」
『あ、そっか』
「そうですね。そして現在、皆さんのシェア率の足を引っ張っているのは……
(。-_-。)」
「あぁ、だから二人を呼んでたんですね」
女神候補生の四人といーすんのやり取りを経て、がたりと椅子から立ち上がる二人。それは、あのサイトの件について捜査協力してくれてる…って話だけど、正直いつ見ても金髪巨乳道がー、とかビニ本が云々かんぬん〜、とかばっかり言ってるアフィモウジャスとステマックス。…っていうかこの二人、普通に椅子に座ってなかった…?ステマックスはまだギリギリ座れるかもだけど、ゴッツゴツなアフィモウジャスはどうやって普通の人用の椅子に座ってたの…?
「ごほん。では、ここまでの結果を話すとしよう。頼むぞ、ステマックスよ」
「承知!…って、せ、拙者でござるか…!?」
「うむ、これもお主にとって良い機会になろう」
「は、ははっ、ハードルが高過ぎるでござる…!いきなりこんな、華やかな美少女達の前で説明なんて……っ!」
「む…では、どの程度なら出来るのだ?」
「それは…その、あまり吠えない犬の前辺りであれば……」
「幾ら何でもそれは低過ぎるであろう……」
「いや、どうでも良いから早く話して頂戴……」
説明を求めたのに、始まったのは謎の漫才。それにブランが半眼で突っ込むと、改めてアフィモウジャスが咳払いをして、今度こそ捜査に関する報告がスタート。
「結論から言えば、誰が件のサイトを運営しているのか、どこからネット上に流されているのか…それを通常の手段で特定するのは困難じゃろう。無論、このまま情報を集め続ければ、追い詰める事も可能であろうが、そこまで悠長には出来んのであろう?」
「困難…って、具体的にはどういう事?」
「それ程までに、常に所在が変わっているのだ。それこそ、電子の海を泳いで移動しているとでも言うべき程にな」
結論から言ってはくれたけど、正直それだけじゃどういう事かわたしにはさっぱり。という訳で訊き返すと、ちょっとだけわたしにも分かる感じに。電子の海を、かぁ…もしかして、電子生命体がやってるとか?元々コンセプトがコンセプトな作品だし、割とあり得そうじゃない?
「…要は、無理って事?別にアンタ達の仕事にケチ付けるつもりはないけど、流石にどうにもならない、って事だけ分かっても……」
「うっ…も、申し訳ないでござる、ユニ殿……」
「…別に、無理だとまでは言っておらんぞ?通常の手段では、困難だと言ったまでじゃ」
「じゃあ、何とかする事が出来るんですか…?」
「左様。だがそうした場合、最終的にワシ等の命に関わる可能性もある。故に、するのであればここまでの報酬に加え、追加報酬として100億…いや、四ヶ国全てに纏わる以上、400億は要求させてもらおう。それだけの額を用意してくれるのであれば、ワシ等としても吝かではない」
『よ、400億…!?』
毅然と、とても冗談には聞こえない声ではっきりと言い切るアフィモウジャス。思いもしなかった彼の言葉に、驚いて顔を見合わせるわたし達全員。よ、400…400億って……
「……別に、無理な話ではないよね…?」
「な、なぬっ!?出来るのか!?」
「それはまぁ、わたくし達は国の長ですし…生活スタイルの関係で、私財も相当ありますし……」
「そ、そうか…そうであったな…しかし、ぬぉぉ…まさか、400億が突っ撥ねられんとは…流石は女神…!やはり金は、力ある者に集まってくる…!」
「しょ、将ぐーん…?落ち着くでござるよー…?」
「…はっ…!すまん、つい取り乱してしまったな……」
「いやもう手遅れ感凄いけどね…」
流石にポンと出せるレベルじゃないけど、400億ならわたし達にとって用意出来ない金額じゃない。そう思ってわたしが呟くと、アフィモウジャスはロボットらしいのに鼻息を荒くし始めて、完全に露呈した彼の一面。ユニちゃんが呆れた声で突っ込んでた通り、多分もう何を言っても今わたし達が抱いた印象は変わらないと思う。……まさか金髪が好きなのも、お『金』と『金』髪って繋がりだったり…?
「えぇ、と…皆さん、どうするおつもりですか…?」
「出せない額ではないとは言え、大金である事は事実。問題解決によって望めるシェアの回復に見合う金額かどうかが判断基準だろう」
「…私は、皆の判断に任せるよ。国庫金から出すとなれば、私が口を出せる話じゃないし」
ミナとケイからの言葉を受けて、最初にイリゼが意見を口に。イリゼが言ったのは、判断に直結する事じゃないけど…それを受けて、わたし達は考える。
お金はある。だけどそれは、元々国民皆のもので、皆が正しく使ってくれると信じて納めてくれてるもの。だから軽い気持ちで使っちゃいけないし、出来るだけ少ない費用で事を成すのもわたし達のお仕事。そう考えれば、即決なんて出来なくて……そんな中、ふっとユニちゃんが声を上げる。
「…あの、皆さん…金額もそうですけど…アフィモウジャスは言いましたよね?命に関わる可能性もあるって。…仕事を依頼したって形とはいえ、ステマックス達が協力してくれてるのは事実ですし、大金と引き換えに危険を冒させるのは……」
「…切っ掛けを作った身として、気が引ける?」
「う、うん…気が引けるっていうか、申し訳ないっていうか……」
「…ユニ殿……」
言葉を引き継いだノワールにこくんと頷いて、ユニちゃんは軽く頬を掻く。当然それは二人にも聞こえている訳で、聞いたステマックスはユニちゃんを見つめた後その視線をアフィモウジャスに移して、アフィモウジャスは何も言わずに腕を組む。
そこまでを見て、わたしも一つ頷いた。確かにそうだよね。普通じゃ困難だからって、真っ先に選ぶのが協力してくれてる人達に危険がある方法なんて、そんなのおかしいもん。
「確かに、ね。だけど、今のまま事を進める訳にもいかないわ。貴女達、他に何か手段はないの?」
「あれば言っている、そうは思わんか?」
「それもそうか…各国のサイバー対策班も後を追うので精一杯らしいし、こういう話はわたし達が頭を捻ったところでどうにもならないだろうし……」
「…で、であれば…将軍、一度拙者達は拠点に戻る…というのは、どうでござるか…?や、やはり勝手知ったる場所の方か、仕事も捗るというものでござろう…?」
「うん?ステマックスよ、それは……。…いや、それもそうじゃな。焦って良い事など一つもないのがビジネスというもの。何も今すぐ結論を出す必要はあるまい」
コートの袖越しに指を顎に当てたブランが長考を始めたところで、ステマックスが一つ提案。二人にしか分からない間みたいなのがあってからアフィモウジャスも頷いて、今度は視線がこっちにくる。
「短気は損気、確かにそうですわね。けれどそうなると、またもや進展がないという事に……」
「い、いえお姉様。成すべき事の順序が決まっただけでも、意味はあると思いますわ」
「掛けた時間に見合うだけの内容であれば、ですけどね…」
「はは…まーでもやっぱ、あれじゃない?うだうだ考えてないで、取り敢えず行動してみなよっていう啓示なんだよ、きっと」
「えぇ…わたし達が啓示受けるの……?」
女神なのに…?と視線で訴えてくるネプギアに対し、わたしは自信満々で両手を腰に。『女神でも 啓示を受けて いいじゃない ねぷ子』…なーんて、ね!
「啓示云々はともかく…動いてみるというのは、悪くないと思いますよ。先程ブランさんも言いましたが、わたし含め素人ばかりの場で話していても進展する可能性は低いですし、であれば各々本分で少しでもシェアの回復を目指しつつ、同時進行で解決を目指すのが一番かと。わたしも、今暫く調べてみますから(`_´)ゞ」
「そうそう、要はそーゆー事だよ!それにほら、わたし達は木の枝倒しで情報ほぼ無しの状態から封印されてたいーすんを見つけ出した実績持ちなんだよ?だったらひょんな事から解決に繋がっちゃう可能性も十分あるって!」
「それで解決したら、それはそれで何とも言えない気持ちになるでしょうけどね……」
意外な援護を受けたわたしはもう一度言って、更にその中でフラグ建築。ノワールが突っ込んできたけれど、フラグ的に言えばむしろそれは補強材。しっかりとここで前振りしたし、これは案外ほんとにそうなっちゃうかもよー?……って、しまった…そういう発言は、むしろならないフラグになるんだった…い、今のはなーし!
……こほん。という訳でその後はもう少し細かい話…っていうか調べた結果を聞いて、そのデータも貰って、サイトに関する話は終了。皆が各国に戻ってやる事も決めて、それで今回の会議も終了。しっかりとはしてないけど方針は決まったし、ベールは微妙そうな顔をしていたけど、わたしとしては意味のある会議になったと思う。さーって、それじゃあ次回も頑張りますかー!
……って、結局二話連続で会議室ばっかりの話になっちゃったじゃん!物語は会議室で起こってるんだ状態じゃん!これだから全然進まないんだよ!?どんどん平均文字数も話数も伸びちゃうんだよ!?いい加減そこは学習しようよ!んもー…皆もそれを伝えておいてねっ!ねぷねぷからのお願いだよっ!
今回のパロディ解説
・某R団の一員
ポケモンシリーズのアニメに登場するキャラ(ポケモン)の一匹、ニャースの事。そういえば、原作では海男達が話せる理由について、特に言及されてませんでしたね。
・「〜〜武力介入を開始する〜〜」
機動戦士ガンダム00における、代名詞的なフレーズの一つのパロディ。圧倒的な戦力で両陣営に攻撃を、という意味でフリーダムをパロネタにしようかなとも思いました。
・「〜〜2年くらいするの!?」
ONE PIECEにおける、頂上決戦編から新世界編までの(作中における)二年の修行期間の事。こちらは精神と時の部屋をパロネタにするのも良いかな…とかも思いましたた。
・物語は会議室で起こってるんだ
踊る大捜査線 踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!における、沖田仁美の台詞のパロディ。現場で云々〜、に対する意趣返しの方のパロディです。