超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed   作:シモツキ

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第九十三話 もしかしたら、それは

 千里の道も一歩から。どんな事柄でも大概は積み上げていくもので、一足飛びに成果を得る事なんて出来やしない。過程あっての結果であり、進む事なくゴールへ辿り着くなんて不可能な事。それは、努力とか工夫で何とかなるような事じゃない、絶対の摂理。

 だけど、目に見える結果はその限りじゃない。過程が気付かぬ内に進んでいただとか、大きな一つの切っ掛けを得る事で一気に飛躍するだとかで、傍から見ればいつぞやのジャッジの…ではなく、某ヘッドハンターさんの如く、一瞬で物事が変わってしまう事はある。例えばそう…ネプギアの辿り着いた、あるシステムのように。

 

「お待たせ、皆」

 

 夜…というか深夜。こんな夜遅くに出掛けていたらしいネプギアに呼ばれて、私はいつもの会議室へ出向いた。

 どういう理由でなのかはまだ聞いていない。けれどここに呼んだという事、明日に回さなかった事からして、重要な話である事は間違いない。

 

「いえ。それよりすみません、いきなり呼んでしまって」

「気にしないで、ネプギア。何か、大事な話なんでしょ?」

 

 会議室にいるのは、ネプギアの他に、ネプテューヌとイストワールさんの二人。更に壁のモニターには、既に電源が入っている。

 

「ネプギア、これってさっきノワールから来た電話と関係してる事?」

「うん、それだよ。…ありがとね、お姉ちゃん。わたしを、信じてくれて」

「ふふん、わたしから信じるって要素を抜いたら、いよいよ可愛いとぽこじゃかボケを出せるって事位しか価値のない女神になっちゃうからね!」

「そ、そんな事はないと思うけど…っていうか、それは全然胸を張れる事じゃないよ……」

 

 私が椅子へ座るまでのやり取りからして、ネプテューヌは何かしら知っている様子。さて、一体どういう事なのか…私がそう考えていると、モニターにラステイションの女神の二人が映り、更にリーンボックス、ルウィーと三ヶ国全てに繋がっていく。

 

「夜分遅くにすみません。一刻を争う事…ではないと思いますが、出来るだけ早く伝えておきたい事がありまして……」

「うふふ、ゲーマーにとって深夜は主戦場。わたくしは全然問題ありませんわ」

「必要な事であれば、いつでも構わないわ。それと、ロムとラムはもう寝ているんだけど…起こしてきた方が良いかしら?」

「あ…っと、いえ。二人でしたら明日わたしが改めて言うので、大丈夫ですよ?」

「そう?説明ならわたしが…と、思ったけど…二人の場合、それだと自分達だけ又聞きになる事に不満を持ちそうだものね…じゃあ、頼んだわ」

「じゃ、早速本題に入って頂戴」

 

 呼びかけに対してベールとブランが言葉を返し、ノワールがそこから話を進める。…と、そこで私は気付いた。ノワール、それにユニは、表情に疑問の色がない事に。

 という事は恐らく、二人もこの話について知っている。そしてネプギアは、先程まで出掛けていたらしい。まだ核心には程遠いけど…それだけでも少し、話の輪郭が見えてくる。

 

「はい。まずわたしは、神次元から信次元に戻る際、アノネデスさんという方から、あるUSBメモリを受け取りました」

 

 それから始まったのは、今に至るまでの経緯の説明。最初はなんなのかは分からなかった事、今日ふとした事から可能性に気付いた事、ラステイションでその可能性が正しいものであった事…それ等を軽く説明し、ネプギアは一度口を閉じる。

 次にネプギアは、手元にある件のUSBメモリが挿さったタブレット端末を操作。するとモニターに一つとなった四ヶ国の広範囲地図が表示され、ネプギアは再び口を開く。

 

「これは、見る事が出来るようになった『ある物』の場所を示すシステムと、信次元の地図を照らし合わせたものです」

「って、事は…ラステイションの山岳地帯に表示されているあのマーカーが、『ある物』の場所…?」

 

 続く説明を聞いて質問した私の言葉に、ネプギアは首肯。でも私はそれを聞いても、あぁそうかとはならない。多分皆も、同じ事を思っている。…何故なら、その『ある物』が何なのかの説明が、まだ為されていないから。

 そして私や皆の疑問についてもネプギアは承知済みのようで、更に説明を続けて……

 

「…あ、あれ?」

 

 けれど不意に、ネプギアの口から不可解そうな声が漏れる。端末に触れる手が止まり、画面をじっと見つめて…それから一つ、咳払い。

 

「…す、すみません。説明を、続けてもいいですか…?」

「いいけど…ネプギア、今の間は?」

「う、うん…それも関係する事だから、続けたいの」

「であればネプギアさん、続きをお願いします( ̄^ ̄)」

「はい。このシステムが示すある物…動画の中でアノネデスさんは明言していませんでしたが、アクダイジーンさんの謝罪と合わせて考えると、神次元からの何かではないかと思います」

「神次元からの何か…具体的に何であるかまでは、分からない…という事でして?」

「その通りです。でも、予想は付きます。…各国の対策班がどれだけ突き止めようとしても手の届かない、信次元の技術の最先端を持ってしても翻弄され続ける、精通している人からしても『訳が分からない』と思うような問題が…今も、続いている訳ですから」

『……!』

 

 ゆっくりと私達を、それに画面に映る皆の事も見回して、静かにネプギアは言う。ネプギアが導き出した、一つの推測を。

 言われてみれば、確かにそうだ。例の件の対応に当たっているのは、全員が実力を認められているプロ。技術は勿論、現代の技術の最先端に精通している人達。であれば可能性の一つとして、『信次元の技術ではない』というものがあったとしても何らおかしい事はない。

 

「…って、事は…ここに発信元があるの?」

「発信元かは分からないけど、関連する何かはあると思う。…けど……」

「…何か、おかしな事があるんですね?

(・ω・`)」

「…位置が、変わってるんです。地図のデータと照らし合わせた時点と今とで、マーカーの位置が」

「位置が変わっている…対象が移動したという事かい?」

「かも、しれません。でも、このデータだけじゃはっきりとした事までは……」

 

 ケイさんからの問いに首を横に振って、それでネプギアからの話は終了。最後こそ、もやっとした形で終わってしまったものの…もしもこれがネプギアの予想した通りのものなら、大手柄も大手柄。恐らく私達では「特定のシステムに接続する」なんて発想には至らなかったであろう事も含めて、ネプギアがいたからこそ辿り着けた事と言っても過言ではない。

 

「…凄いね、ネプギア。よく一人で、ここまでの事を…」

「いえ、気付けたのはお姉ちゃんの言葉があったからですし、出来たのはユニちゃんやノワールさんの信用のおかげですし、そもそもアノネデスさんがこれを渡してくれなければ始まりすらしなかった訳で…だから、わたし一人の成果なんかじゃ決してないです」

「ちょっと、もー…どうしよ皆、わたしの妹がこんなに良い子な訳があるっ!」

「何をどうしろって言うのよ…気持ちは分かるけど」

「訳の分からない主張になってるわね…私もそうは思うけど」

「う…や、止めて下さい皆さん……」

「胸張りなさいよネプギア、お姉ちゃん達が評価してくれてるんだから」

「そ、それはそうだけどぉ……」

 

 姉のネプテューヌに胸を張られ、ブランとノワールに首肯され、ユニにも言われて完全に照れてしまっているネプギア。ベールはと言えば、何も言わずに「えぇ、分かっておりましたわ。何せネプギアちゃんですもの」とばかりに頷いていて……チカさんが大きく一つ咳払いするまで、その空気感は続いていた。

 

「…何にせよ、まずは実際に見て確認しなければいけない…ですわよね?お姉様」

「…そうですわね。そこにある物を確認しなくては、対処のしようがありませんし」

「なら、拠点に戻っているらしいあの二人…二体?…とも、情報共有しておいた方がいいんじゃないかな。というか、どうして今回はこの面子だけで……」

「…あの。その事で一つ、いいですか?」

 

 前半は提案、後半は疑問の発言を口にした私に対し、ユニが画面の向こうからすっと上げた手。その表情には、一目で分かる程の真剣さが浮かんでいて…私達は聞く。ユニからの、ある可能性とそれに纏わる提案を。

 

「…確かに、気にはなるわね…確証はないとはいえ、思い過ごしで片付けられるようなものでもないし。ミナ、貴女はどう思う?」

「…これまでわたし達は事態に対し、後手後手になってしまっているのが事実。思い過ごしで終わる可能性があるとしても、先手を打つのは悪くないかと思います」

「ですよね。…ユニちゃん、わたしはユニちゃんの感じたものを信じるよ。ユニちゃんも、信じてくれたから」

「…あ、ありがとネプギア…でも、いいの…?」

「うん。ユニちゃんの思った通りならミナさんの言う通り、先手を打って良かったってなるだろうし、違ったら違ったねで済むだけの話だもん」

「ひゅーひゅー、熱い信頼関係だねぇ。…あれ?この場合は、厚いの方がいいのかな?」

「どっちでも良いから茶化すんじゃないっての…」

 

 熱いと厚い。そのどちらも当て嵌まりそうな信用を向け合うネプギアとユニの二人をネプテューヌが何故か囃し立て、それをノワールが呆れた顔で窘める。

 そのやり取りは置いておくとして、私含む他の皆もミナさんやネプギアと同意見。全会一致でユニの提案を承諾し、話は具体的な行動の計画へと移っていく。

 

(この件、もう一人の私は知っているのかな…いや、知らないよね…もう一人の私がいたのは、ずっとずっと前の時代なんだから……)

 

 誰かを信じる心、家族の絆…どれだけ時が経とうとも、変わらないものはある。けれど当然変わるものもある訳で、特に工学や電子技術は雲泥の差。如何にもう一人の私であろうとも、自分の知らない未来の技術には手が出ない筈。

 そんな私なら、どうするのだろうか。何も知らない、何が起きているのかも分からない事象に対して、対処する事が出来るのだろうか。

……いや…出来るに決まっている。四大陸を、そこに住まう人々全てを一つに纏め上げ、始まりにして最大の国家を創り、凡ゆる脅威から人を守ってきたもう一人の私にとっては、きっと今起こっている事もこれまで対面してきた人類の障害の一つに過ぎない。ましてや不安など、不信感など、紀元前の人々の心を絶望から希望へと塗り替えたもう一人の私の前では、ともすれば障害ですら──

 

「……と思うのですが、イリゼさんはどうでしょう?(´・ω・`)」

「あ、はい。私もその方が良いと思います。何があるか分からないのであれば、危険性は高く見積もっておいた方が無難ですし」

「…だ、だよねー。危険性は高く見積もっておくに越した事ないよ、うん…」

 

 計画の話が続く中、イストワールさんに意見を求められた私は回答。私としては考えをそのまま言ったつもりだったものの…それに対する皆の反応は、何やら少しぎこちない。

 もしかすると、月並みな意見過ぎたのかもしれない。であれば皆の反応も仕方のない事。もう一人の私の実力を皆はその身で感じている以上、月並みな意見では見劣りしてしまうに決まっているのだから。

 これではいけない。それではならない。そう自分に言い聞かせ、私は気持ちを引き締める。

 

 

 

 

 今アタシ達が直面している障害の一つ。それの、この状況の打開に繋がるかもしれない作戦の計画は決まった。後は準備をして、確かめて、焦る事なく適切に事を進めるだけ。

 

「ふー……」

 

 自室の扉を閉じて、ベットに座る。今日は特別忙しかった訳じゃないけど、夜になってから突然ネプギアが来るし、思いもしなかった形で事が進むしで、精神的な疲労があった。…ロムラムは今…っていうか、暫く前から夢の中なんでしょうね…。

 

「…アタシが寝てた場合、お姉ちゃんはどうするんだろ…話をする事は知ってたから、寝てる訳がないけど……」

 

 アタシはお姉ちゃんや皆さんからすればまだ子供(女神に大人と子供の括りがあるかは謎だけど)だろうけど、ロムやラム程子供じゃない。そのアタシを、お姉ちゃんならどうするのか。……って、呑気な疑問ね…はは…。

 

「…………」

 

 明日もちゃんと活動する為に、勿論今からするのは睡眠。もう夜も遅いし、横になればそう時間もかからず寝入れると思う。

 けど、その前に一つやっておかなきゃいけない事がある。忘れちゃいけない、重要な役目が。

 

「……よし」

 

 ベットから立ち上がって、アタシは机に置いておいた携帯端末を手に取る。

 片手で操作し、開いたのはメール画面。考えておいた文章を打ち込んで、内容が問題ないかを確認して……そこで、手が止まる。

 

(…思い過ごしなら、それでいい。アタシがお姉ちゃん達に謝れば済む話なんだから。でも、そうじゃなかったら……)

 

 送信しようとしたアタシの手を止めたのは、一抹の不安。もしもアタシの想像している事が当たっていたら、そうであったのなら…そう考えると、どうしても気持ちが沈む。アタシはそれを、望んでいないから。

 だけど、もうアタシは言った。話した以上、その方向で決まった以上、後戻りは出来ないし、ここで目を逸らすのは問題を後回しにするだけの事。それに……

 

「…ここで物怖じしたら、折角信じてくれたネプギアに合わせる顔がないものね。えぇ、そうよ。ネプギアが信じてくれたんだから、アタシも……って、ご、ごほんっ」

 

 信じてくれたのなら、その思いに応えるのが女神ってもの。信じる気持ちは裏切らないのが、仲間ってもの。

 と、意気込んだは良いものの、賛成してくれたのはあの場にいた全員なのに、口にしていたのは何故かネプギアの事だけで、しかも自分の頬がちょっと緩んでいる事に気付いたアタシは、誰かいる訳でもないけど誤魔化すように咳払い。う、うん…まぁネプギアに関しては、先にアタシが信用するって話をしていたものね!だからそれに引っ張られてネプギアの印象が強くなっただけ、それだけよそれだけ!……って、だからアタシは何に対して誤魔化してるのよ…。

 

「…信じる事と、疑わない事は違う。ネプギアや、ネプテューヌさんみたいにいられる人は、凄いと思うけど…アタシはアタシ、だもんね」

 

 信じる事は強さだけど、目を背けずに確かめるのもきっと強さ。アタシはそう思うから、そう信じてるから、もう一度文面を見返して……送信。

 

「……あ、来た。アイツって、毎回返信早いわよね…やっぱりロボットなだけあって、メールも電話と同じような感覚なのかしら…そういう機能を内蔵してるのか、普通にアイツも端末使ってやり取りしてるのかは知らないけど……」

 

 返答を待ってみるか、それとももう寝てしまうか。それを考えている内に端末が一件のメールを受信して、確認してみればそれはやっぱりアイツ…今送ったステマックスからのもの。

 内容は、アタシが送った文章の内容に対する驚きと、それは本当に間違いないのかという確認。メールだから当然表情なんて分からないけど…きっと、ステマックスは本当に驚いているんだと思う。

 

【間違いないわ。明日そこに機材を持っていって、明後日にテストをする予定。悪いわね、貴方達に頼んでた事なのに】

【気にする必要はないで御座る。むしろ解決の為頼まれた拙者達に気を遣って使わない事こそ、正しく本末転倒というもの】

【確かにね。けど依頼とはいえ、ここまでアンタ達は協力してくれた。だから感謝してるわ、ステマックス】

 

 最初の返信はそれなりに早くて、二度目の返信はそれより早くて、けれどアタシから三度目の送信を行うと、すぐにはステマックスからの返答がなくて……少ししてから、「そう思ってもらえたのなら、嬉しいで御座る」という返信メールが、更にその後に続いて「これからも頑張るで御座る。応援しているで御座るよ、ユニ殿」というメールが返ってきた。…まるで、一度黙り込んで、それから閉じた口をもう一度開いたかのように。

 

「…応援してる、か……」

 

 端末をベットに置いて、自分もベットへと横になるアタシ。今のやり取りの間、ステマックスはどんな感じだったのか。文章ではボロが出なくても、実は結構キョドっていたのかもしれない。そう考えると、さっきまでの考えとは関係なしにちょっと笑えてきて……これからの事に思いを馳せながら、アタシは心の中で呟くのだった。

 

(…アンタも頑張りなさいよ、ステマックス)

 

 

 

 

 プラネテューヌの中心街からは離れた、とある大型施設。その日そこには、運搬用車両にてある機材が搬入されていた。

 搬入後、施設内の中央に設営される機材。監督を担っていた女神候補生、ネプギアは確認を終えると施設を出た後女神化をしてその場から帰還。作業員も施設から次々と出ていき、残ったのは警備員だけ。施設の規模が規模故に少人数ではないものの、やはり施設全体から見れば僅かな人数。

 ここは、プラネスタジアム。普段はスポーツや芸能の大舞台として知られる、ドーム施設。

 

「…………」

 

 時間は流れ、昼から夜に。暗くなり、光ではなく闇が主流となる静かな時。周囲同様、プラネスタジアム内も会場以外は暗闇が広がり……そこへ、一つの影が現れる。

 影は屋外の警備員の目を盗み、プラネスタジアムの中へと侵入。気配を消し、足音も立てず、薄暗い廊下の中を進んでいく。

 

(決して杜撰な警備ではない。監視システムもしっかりしている。…が……)

 

 警備員の視界から外れ、監視カメラの穴を突き、殆ど立ち往生する事なく進み続ける影。

 だがその影も、会場前へと辿り着いた時には止まる。だがそれも当然の事。主要な照明は消されていた道中と違い、会場内はライトが煌々と光を放っており、更に観客席を抜けてしまえば遮蔽物は殆どないのだから。

 

「ふぃー、もうすぐ交代かぁ…こうも広いと、不審な物がないか確認するだけでも一苦労っすね」

「ええ。しかし広さは言い訳にならないのがこの仕事。皆さん、最後まで気を抜かないように」

 

 遠くに見える、警備員達の姿。数こそそこまで多くはないものの、彼等は立ち位置を工夫する事で互いの死角を補っている。

 暗闇を搔き消す照明に、身を隠せなどしない開けた作りに、きっちりと仕事を遂行している警備員達。その状態で誰にも気取られず、気付かれる前に事を成すのは不可能だと判断した影は、ぐるりと会場内を見回し……ある地点に、刃状の道具を投げ付ける。

 

「……!?ば、爆発!?」

「そんな、あそこには何も……」

「落ち着いて下さい!無闇に動くよりもまず、周囲の状況を確認……なぁ…ッ!?」

 

 突き刺さった道具が爆発し、それに慌てふためく警備員達。何らかの襲撃であると判断したチームリーダーは声を張り、素早く指示を飛ばそうとするが、次の瞬間…警備員全員の目が爆発の方へと向かっていた瞬間に、更に発生する二つの爆発。それ等の発生源はどちらも照明が設置されている場所であり……会場内は、照明が減った事で目に見えて暗くなる。

 その時点で警備員達は、次に起こるであろう事が分かっていた。だが暗くなった状態では即座に襲撃者を発見する事が出来ず、対処するよりも早く次々と残りの照明も破壊されていく。

 そうして遂に、爆発によって全ての照明が沈黙。警備員達は手持ちのライトを点灯するが、それだけで照らせるのは極僅かな範囲で……混乱する警備員達の背後に、影は音もなく降り立つ。

 

「……!貴様、何者…ぐあッ!」

「大丈……んな…ッ!?」

 

 照明の後を追うように、一人、また一人と警備員は倒れていく。残り二人となった時点で、それなりの手練れらしいチームリーダーは漸く襲撃者の存在を朧げながら捕捉し背後を取るが……影はそれ以上の手練れ。数度の攻防の後チームリーダーは足払いをされ、影の一撃によって倒れ伏す。

 リーダーの援護に入ろうとしていた最後の一人は、彼がやられた事で待機中の同僚へと連絡を入れようとした。しかしそれも後一歩のところで影に阻まれ……暗闇の中での戦闘が止まった時、立っていたのは襲撃者たる影のみ。影は全員が意識を失っている事を確認すると、守られていた機材の前に立ち、背負っていた得物を右腕に持つ。

 

「……──御免ッ!」

 

 数秒間の沈黙。対象に間違いはないか確認しているような、或いは逡巡するような合間を経て、構えられる影の得物。

 そうして次の瞬間影の腕から得物は放たれた。得物は空を斬りながら、一直線に機材へと向かい…………されど機材へと触れる寸前、駆け抜けた一振りの大太刀によって弾かれる。

 

「な……ッ!?」

 

 影が愕然とする中、携えた大太刀と共に振り向くもう一つの影。続けて本来の物とは違う、偽装されていた複数の照明に光が灯り、影はたじろぎ後退る。

 大太刀を手にした、もう一つの影。それは、プラネテューヌの守護女神パープルハート。そして……

 

「…やっぱり来たのね、ステマックス。──機材を、破壊する為に」

 

 背後から影…ステマックスへとかけられる、様々な感情が込められた声。それは……ステマックス、それにアフィモウジャスが協力する切っ掛けとなった女神候補生、ユニの声だった。




今回のパロディ解説

・某ヘッドハンターさん
新日本プロレス所属のレスラー、YOSHI-HASHIさんの事。前にパロディしたあの台詞の事ですね。書いてて思いましたが、中々高い所の多い台詞だと思います。

・「〜〜わたしの妹がこんなに良い子な訳があるっ!」
俺の妹がこんなに可愛い訳がないのタイトルのパロディ。これに関係してちょっと調べましたが、『妹』がタイトルに入るラノベって本当に多いですね。
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