超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed   作:シモツキ

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第百十八話 思惑の衝突

 今の犯罪組織残党に、もう信次元の脅威になるだけの力はない。…こういう表現をすると、まるで油断してるみたいに見えるけど…これは事実。少なくとも、そう判断出来るだけの材料がある。

 例えばそれは、今の残党の動きがほぼ見えない事。組織は大きくなればなる程目立つ、戦力を隠し切れなくなるものだから、逆に言えばほぼ見えていない今は、警戒していても全然見つからないって事は、それ程までに小規模になっている可能性が高い。加えてこれまでは国としての力がどこも弱まっていて、特に不安を煽る情報がネット上に流れていた時なんかは、残党にとって絶好のチャンスだった筈なのに、(昏睡の影響はあるだろうけど)全く動いてこなかった事も弱体化していると思える理由。

 とはいえ、完全にいなくなった訳じゃない。もう今の体制をひっくり返すだけの力はなくても、現れたら無視出来ない程度の戦力は残したまま、どこかに潜んでいる筈で……今回現れた謎の武装集団は、きっとその残党の一つ。

 

「これが、クエスト中偶々発見したという方から提供された写真…のデータです(´・ω・)」

 

 残党らしき武装集団が確認された、という連絡を受けたわたし達は、トレーニングルームからすぐにいーすんさんの執務室へと向かった。

 

「これは…確かに、犯罪組織の残党の可能性が高いですね…あの、この写真を撮った方は無事ですか?」

「はい。気付かれる前に離れる事が出来たとの事です。ギルドに直接来ての情報提供なので、無事は間違いありませんよd(^_^o)」

 

 モニターに映し出されているのは、複数のキラーマシンと、数台の車両、それにその周囲にいる人達の画像。これが犯罪組織残党だ、って断言までは出来ないけど…どんな組織であったとしても、大型兵器を秘密裏に運用してるのなら放置は出来ない。

 

「むむ…リーンボックスだいじょーぶなの?2ごーき取られちゃったりしない?」

「かえってきちゃう…?(そろもん)」

「いやそれは違う残党じゃないかな……」

「実際犯罪組織はMG強奪した事あるし、うちとしてはあんま笑えないんだけどね…。…に、しても…規模としては、あまり大きくないですね。精々ちょっと大きめの一部隊、って程度ですし」

「それはわたしやチカさんも同意見です。既に積極的に対応を申し出てくれた部隊が向かっているから、皆さんが来る必要はない、むしろ下手に来ない方が良いかもしれない…チカさんはそうも言っていました( ̄^ ̄)」

 

 これは恐らく何かある、とその部隊の指揮官さんも言っていたらしいです、とそこに付け加えるいーすんさん。の言葉を受けて、わたしとユニちゃんは顔を見合わせ…それぞれに首肯。

 

「確かに、場所といい規模といい気になるところですね。罠や陽動の可能性は、アタシもあると思います」

「よーどー?え、じゃあ行かないの?キラーマシンとかいるのに?」

「あぶなく、ないの…?」

「あ、ううん。今いーすんさんも言ってた通り、リーンボックスの方で動いてるから、別に放置しようって事じゃないんだよ?でも、動きとして不自然というか……あ、そうだ。ポシェモンでさ、二人が水タイプを使ってる時に、相手が炎タイプを出してきたら、二人はどう思う?」

「うーんと…そーゆー時は、あやしい!って思う!」

「うん。もしかしたら、水タイプにつよいわざを持ってるのかも…」

「だよね。だから簡単そうな時は、逆に気を付けた方が良いんだよ。今言ったみたいな事があるかもしれないし、この残党は囮で、わたし達がこの残党に注目してる間に別の残党が本当にやりたかった事をやろうとしてる…って事もあり得るからね」

 

 この残党は、見つかる事を前提に動いているのかもしれない。ロムちゃんとラムちゃんに例え話で説明しながら、わたしはそう考える。

 もしそうなら、ここでわたし達が動くのは向こうの思う壺。もしもわたし達がリーンボックスに行っている間に、他の複数ヶ所で同時に残党が動き出したら、それこそ結構な被害が出ちゃうんだから。

 でも、今わたし達は何か別の事で手が離せない訳じゃない。すぐに動ける状態で、なのに残党と思われる武装集団に対して、何もしないというのは…それはそれで、違う。

 

「今、ベールさんはいない訳ですし…一応、一人位は行った方が良いんじゃないでしょうか。少ない戦力に見せかけて実は切り札が…って事なら、むしろ向かった部隊が危険に陥る可能性はある訳ですし」

「そういう事なら、対応力のネプギアか、狙撃の出来るアタシが良さそうね。まあ勿論、ロムやラムでも問題はないと思うけど」

「だったらわたしが行くよ、わたしが言った事なんだし。皆もそれで良い?」

 

 そう言いながらわたしが見回すと、それに合わせて皆はこくりと頷いてくれる。

 だからわたしは、すぐに準備へ。だってこの画像はリアルタイムなものじゃないし、リーンボックスの部隊はもう動いているんだからね。

 

「いーすんさん、わたしが入っている間に何かあったら、その時は宜しくお願いします」

「えー、わたしはわたしはー?」

「わたしも、いるよ…?」

「ふふっ、二人ももしもの時はお願いね」

 

 可愛く訊いてくる二人に微笑みながら言葉を返し、わたしは一足先に会議室を後に。耳へインカムを嵌めて、外に出て、女神化すると同時に飛び立つ。

 まだ犯罪組織残党かどうかはっきりしていない。罠や陽動かも分からない。…でも、そんなに難しく考える必要もない。だって、その場の安全を確保して、見立て通り違法集団なら取り締まる。状況に応じて、その部隊と協力する。要は、それだけなんだから。

 

 

 

 

  リーンボックスに現れた武装集団、それをネプテューヌ達が知ったのはアフィ魔Xからの情報提供を受けた瞬間だった。

 当然それを、放置するようなネプテューヌ達ではない。聞いた時点で彼女達は対処に動こうとし…しかしそこに、意外な声がかかる。

 

「皆、それならオレも同行させてもらえるかい?」

『え?』

 

 まさかそんな事を言うとは、とばかりに振り返る四人。それには声の主…くろめも思うところがあったようで、肩を竦めて苦笑い。

 

「酷いなぁ、皆オレを何だと思っているんだい?」

『…………』

「…うん、すまない。確かに意外に思われても仕方ないね…だったらオレは、行かない方がいいかな?」

 

 四人からの無言の視線を受け、素直にそれを受け入れるくろめ。しかし彼女の次なる言葉に対しては、四人は首を横に振る。

 

「別に構やしねぇよ。邪魔する訳じゃないってならな」

「勿論邪魔なんてしないよ。ただ、残党の姿を見ておきたいだけさ」

「また妙な事を言いますわね…まあいいですわ。それよりもしも本当に残党なのでしたら、早く対応しなくては」

「そうね。リーンボックスな以上ベールは本当に気掛かりでしょうし、さっさと行くわよ」

 

 右手を腰に当てて言うノワールの言葉にネプテューヌ達は頷き、言うが早いか部屋の出入り口へ。くろめも四人の歩みに続き…されど四人が出たところで、一度その歩みは止まる。

 

「…ありがとうアフィモウジャス。変わらずの早い仕事で助かるよ」

「そう思うのなら、もう少し気分の良い依頼をしてもらいたいものだな」

 

 視線は出入り口へと向けたまま、くろめが浮かべる薄い笑い。それに答えるのは、繋げたままにしておいた通信端末越しの声。

 

「何を今更。それに今回頼んだのは、単なる仲介、運び屋じゃないか」

「同じ事じゃ。それにしても…本当にお主は、よくもまあ平然と人を騙すものだ」

「おいおい、それに関してはお互い様だろう?尤も、オレは上手く立ち回っているだけで、決して嘘を吐いては……」

「くろめ?まだ準備出来ないの?」

「おっと…悪いねねぷっち、すぐ行くよ」

 

 関心にも、皮肉にも聞こえる声に対し、くろめは大仰に…されどその言葉に反し、どこか「一緒にするな」とでも言うような声音で返す。

 しかし彼女が言葉の全てを言い切る前に、廊下から再び姿を現わすネプテューヌ。彼女の姿を見たくろめはふっと一瞬の内に表情を切り替え、その後は通信端末を一瞥だけして部屋を後に。そんなくろめをネプテューヌは暫し訝しげな目で見ていたが…それについて何かを言う事はなく、彼女と共に外へと向かう。

 そうして無人となった部屋の中。彼女達が出て行った数秒後、通信も切れ…部屋内は、完全な静寂となるのだった。

 

 

 

 

 リーンボックスの生活圏からは遠く離れた、森林地帯。その中を進むのは、複数台の車両、それに車両の周囲へと展開したキラーマシン。

 

「なぁ、ここからは殆ど機体を隠せないんだぜ?やっぱり、このまま森に沿って進む方が良いんじゃないか…?」

「そりゃ、合流するだけだったらな。けど、合流がゴールじゃねぇ。補給も整備も碌に出来ない中で、そんな回り道なんか出来るかよ」

「前は、この位の戦力普通に用意出来たのにな…。けどまだ、俺達は戦えるんだ。合流した後は、かき集めた戦力とこのキラーマシンとで、一矢報いてやろうじゃねぇか…!」

 

 車両の中で話す者達の顔色は、決して良いものではない。しかし唯一、瞳だけは執念混じりの活力によって強い光を灯しており…疲れた顔に対して爛々と光る瞳の不釣り合いさが、車内を異様な雰囲気に仕立て上げていた。

 その数十秒後、開ける視界。広がる景色は正面、左右共に人影どころか邪魔になるものなど一切無く、それに安堵した彼等は進行を続けようとした……その時だった。

 

『……ッ!?』

 

 先頭を進むキラーマシン。その一寸先へと飛来する、一本の大槍。緑の穂先を持つその大槍が地面へ深々と突き刺さった次の瞬間、唖然とした顔で彼等は空を見上げ…そして目にする、女神の姿。

 

「お待ちなさいな。貴方方がどこへ行くつもりなのかは知りませんが…わたくしの国の中で、その様な兵器を未認可で扱う事など許しませんわ」

「め、女神…なんでこんな、急に……」

「残念だったな、今は守護女神勢揃いだ。さっさと投降した方が、身の為だぜ?…ま、つっても別にテメェ等を怪我させるつもりなんかねぇけどな」

「今すぐ投降するか、私達に刃を向けて更に罪を重くするか…どっちが賢明な判断なのかは、分かるわよね?」

 

 初めにベールがゆっくりと、続けてブラン達が草原へ降り立ち、余裕に満ちた表情で彼等を見やる。

 並び立つ、四人の守護女神。その存在に、彼等は絶句し……だがしかし、彼等は振り上げる。手にした火器を、女神達へ対する敵意を。

 

「賢明な判断?…そんなの、糞食らえってんだ!」

「その程度の脅しで屈するかよ!犯罪組織、舐めんじゃねぇッ!」

 

 その言葉と共に放たれる弾丸。戦闘態勢へと移行するキラーマシン。

 投降する者は誰もいない。されどそれも当然の事。既に彼等……犯罪組織残党は死に体も良いところであり、それでも尚『犯罪組織』に縋り付き、力のあった嘗てを追い求める彼等には、罪など今更なのだから。

 

「…残念ね、でも……」

「えぇ、抵抗すると言うのであれば…無力化致しますわッ!」

 

 静かにネプテューヌが首を振る中、残党の放つ射撃が、キラーマシンの砲撃が四人へ殺到。轟音が上がり、砂煙が巻き上がり……そして次の瞬間、砂煙は切り裂かれる。四方へ飛び立った四人、守護女神達の起こした風によって。

 難なく砂煙より現れた四人へ向けて、続く残党の射撃と砲撃。だが……

 

「そんな……」

「クソッ…無茶苦茶にも、程があるんだよ…ッ!」

 

 常人の対応力を遥かに超えた速度と機動で、残党へと斬り込む四人。高エネルギーシールドを持たない機体は瞬く間に斬り裂かれ、シールドを持つ機体も回り込まれて貫かれ、ものの数十秒で最前列の機体は全てスクラップに。対する守護女神達に傷はなく……その差は、歴然。

 

「これで分かったでしょう?抵抗は無駄よ!」

「…って、言って分かってくれりゃいいが…そうはいかねぇよな…ッ!」

「…に、しても…やけに機体の状態が良いわね…どこかにまだ、生産施設があるって事…?」

「かもしれませんわね。それを含めて、彼等を野放しには出来ませんわ…!」

 

 ネプテューヌが振るわれた重戦斧を大太刀で下から打ち払えば、その隙に肉薄をかけたブランが大上段からの一撃でキラーマシンの頭部を叩き潰し、ノワールが接近すると見せかけてひらりとロールを繰り出せば、その背後から姿を現したベールが展開したキラーマシンの胸部を鋭く一突き。二人一組の連携へと移行した事で四人の動きは最早演舞が如き優雅さすら生み出し、完全に一方的な戦闘を展開。

 決して大部隊ではないとはいえ、それなりの数が残党達の側にはあった。だが前列機は壊滅し、立て直す間もなく次列以降も斬り伏せられ、既に戦力の半数が損失。こうなってしまえば素人目ですらどちらが勝つかは明白であり……それでも残党達は退かない。勝ち目など微塵もない状況でありながら、叫びと共に手にした火器を撃ち続ける。

 逃げる事も叶わないと悟ってのヤケか、逃げる先などないという諦観からくる選択か、或いは初めから犯罪組織の再興など信じておらず、ただ捨てる事も出来なかった今の世への反抗心をぶつけているのか。何れにせよ止める事のない抵抗に、ネプテューヌ達は一瞬残念そうな表情を浮かべ…しかしキラーマシンの戦列を抜けたノワールとベールが、すれ違いざまに車両全てのタイヤを破壊。ネプテューヌとブランにアイコンタクトで残るキラーマシンの足止めを任せ、二人は残党の拘束に入る。

 

「まだだ…まだ、俺達は……ッ!」

「いいえ、既に終わりですわ」

 

 一瞬の肉薄と、交差するように振るわれる刃。静かな声と共に振り出された大剣と大槍は残党達の持つ火器だけを両断し、目の前にまで迫った別格の存在に、ある者は後退り、ある者は膝から崩れ落ちる。

 これで終わる。二人が残党を拘束し、止まらないのであればキラーマシンをネプテューヌ達が全て倒し、それで終わり。そうなると、それ以外無いと、その場で戦う者全てが思っていた。……だが、そんな予想は覆される。横合いより駆け抜ける、迅雷が如き一閃によって。

 

『……──ッ!!』

 

 突風と呼んでも差し支えない程の力で、残党達を巻き込む風圧。その一閃が駆け抜けた次の瞬間、ノワールとベールは跳ね飛ばされ…残党達の前に降り立つのは、一人の女神。

 

「──遂に人へ矛を向けたか。堕ちたものだな」

「……っ!テメェ、また…ッ!」

 

 現れたその存在に、茫然とする残党達。辛うじて本能的な防御は出来たのか、バランスを崩し大きく地面を滑りながらもノワールとベールは何とか着地し…ブランが、睨みと共に彼女へ吼える。しかし、彼女…原初の女神は一瞥するだけでそれ以上の反応を見せず、その場で固まる残党達へと向き直る。

 

「怪我は、ないだろうか」

「……ぇ、ぁ…は…?」

「驚かせてしまって申し訳ない。突然の事で、混乱するのも無理はないだろう。…だが、私は君達の味方だ。この剣が君達へと向かう事は、一切ないと断言しよう」

「…め、女神が…何、言ってんだ……?」

「女神は人を守るもの。人の望みに答えるもの。ただ、それだけの事だ」

 

 冷ややかだった視線から一転して、原初の女神が向けるのは穏やかな表情。だがしかし、その態度は一層残党達を混乱させ、誰も彼もが信じられないとばかりに彼女を見つめる。そして、次にその場を包んだのは…至極愉快そうな笑い。

 

「ふふっ、ふふふっ、本当に…本当に君は分かり易いなぁ、原初の女神。あまりにも想定した通りに動くものだから、オレは逆に忌々しくて仕方ないよ。こんな単純な存在に、ああも辛酸を舐めさせられたのか…ってね…」

 

 いつからそこにいたのか、破壊され地面へ横たわるキラーマシンの内、一機の肩の上へと腰掛け、脚を組んだ状態で煽りと腹立たしさを混ぜた言葉を発するくろめ。彼女の声に、原初の女神はぴくりと眉を動かし…それからふっと振り返る。

 

「…やはり生きていたか、出来損ない」

「…出来損ない?」

「如何なる道を辿ろうとも、その身は人の思いより生まれしもの。守り導く事こそ果たすべき使命。にも関わらず、人に仇なし、災禍を振り撒き、人の為の世から平穏を奪う。それを出来損ないと呼ばずして、何と呼ぶというのだ」

「……随分と、知ったような口を利いてくれるじゃないか…ならば君は、自分を理想的な存在だとでも?賢明な判断も出来ず、獣の如くオレ達の事もねぷっち達の事もただ邪魔するような迷惑が、女神の正しい在り方だとでも──」

「愚かしいな。人を守り、人を導き、人の幸せを願い、人の為に在る。それが分からぬようなら、理解出来ないと言うのなら……やはり貴様は、出来損ないだ」

 

 冷淡を超えた、軽蔑の視線。相互理解など微塵も望んでいないかのような、侮蔑の言葉。悪意ですらない、断絶そのものの態度を原初の女神はくろめへぶつけ…しかしそれに言葉を返したのは、この大陸の守護女神たるベール。

 

「状況を、考慮すべき事項を理解していないのは貴女ではなくて?」

「…ほう?」

「ほう?ではありませんわ。彼等は犯罪組織の残党…この信次元に破滅をもたらそうとした、犯罪神の信徒ですのよ?えぇ勿論、何を信仰するかは自由ですわ。たとえ犯罪神の信徒であろうと、傷付けるべきではないとわたくしも思いますわ。されど、貴女が今しようとしていた事は…他者を傷付けようとする者を、野放しにする事ではありませんの?」

 

 声音は冷静に、しかしその雰囲気には威圧感を籠らせ、ベールは言う。何も考えず、ただ目の前の事だけで判断したのではないかと、彼女自身へ向けて問う。

 それへ続くように、ネプテューヌ達もまた同じ視線を彼女へと向ける。ネプテューヌは原初の女神とくろめの間へ割って立つように、三人は三方から原初の女神を囲うように立ち位置を変えながら、鋭い視線で彼女を突き刺す。

 その問いを静かに、原初の女神は聞いていた。聞き、彼女達一人一人をゆっくりと見やり……そして、言う。

 

「ならば、守れば良い」

「…は、い……?」

「人が傷付きそうならば、守れば良い。何度であろうと、守れば良い。その為の力が、女神にはあるのだから。確かに人が人を傷付ける事、人同士が争う事程、悲しいものはない。そのような事にならないよう、そうしなくても済むよう、女神は務めを果たさねばならない。だが、女神の務めは守る事だ。奪う事では断じてない」

「…まさか…だから、間違ってるっての…?武器を、力を奪う事になるから、間違ってるとでも言うの……?」

「当然だ。より良い社会を築く為、力を持つ者に自重を求める必要が生まれる事もあるだろう。されどそれは、合意の上で行われるべき事。にも関わらず、女神が力尽くで押さえ付け、奪うなど……論ずるまでもなく、間違っている」

「……ッ…そういう事を言ってんじゃねぇんだよ!あぁそうだな、確かに武力をより大きな武力で押さえ付ける事が、ベストな手段だとは思わねぇよ!けどそれとこれとは別の話だ!既にその段階じゃねぇ事位分かんだろ!そういう事含めて、ベールは状況分かってんのかって言ってんだよッ!」

「その段階ではない?…全く理解出来ないな。少なくとも私には、その論調に正しさなど……」

 

 事もなげに言ってのける彼女の言葉に、唖然とする守護女神の四人。あまりにも一方通行なその言葉に、遂にブランが怒号を上げるも、原初の女神が浮かべる表情に変化はない。そして切り捨てるように、原初の女神は言葉を続けようとし……しかしそれを断ち切ったのは、天からの電撃。ベールの投擲、彼女の一撃、それに続く三度目の横槍。

 

「……っ!?この電撃は……」

「あっ、ごっめーん。雑魚共と馬鹿のしょーもない会話が終わるまで待ってあげようと思ってたんだけどぉ、あんまりにも下らないからつい邪魔しちゃったー」

「…貴様……」

「はいどーも、白髪女神二号。あぁいや、どっかの量産機みたいに、後から出てきたアンタの方が先なんだっけ?…まあいいわ。なーんかうだうだ話してたけど、それって要はぁ……愚民がいなきゃ一発解決でしょッ!」

 

 声を上げるネプテューヌ。小さく笑みを浮かべるくろめ。その電撃に、くろめを除く全員が空を見上げ……そこにいたのは、原初の女神とは異なる最古。全員を見下す、キセイジョウ・レイ。

 煽る意図しか感じられない言葉に対し、原初の女神が漏らした一言。それを聞き逃さなかったレイは、にたりと嘲るように笑い……次の瞬間、下方へと突進。目にも留まらぬ速さでの急降下をかける彼女の狙う先は…反応すらも出来ていない残党達。

 一瞬、或いはそれよりも短い出来事。反射すらも許さぬ一撃が、残党達へと向けて放たれ……しかしそれは、止められる。割って入った原初の女神、その刃で以って受け止められる。

 

「……外道が」

「あはっ、やっぱそうくると思ったぁ♪…こっちはわざわざ探してあげて、あいつの案にも乗ってここまで来てあげたんだから…簡単には潰れてくれないでよねぇッ!」

 

 ギロリとレイを睨め付ける、原初の女神の瞳。その反応に、レイは一層口元を歪め……原初の女神と太古の女神、異なる次元の二つの最古が、初めて交わる。




今回のパロディ解説

・「かえってきちゃう…?(そろもん)」
機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORYに登場するキャラの一人、アナベル・ガドーの異名のパロディ。その前の「2ごーき〜〜」も含めてのパロディです。

・どっかの量産機
機動戦士ガンダムに登場するMSの一つ、ザクⅡ及び機動戦士ガンダムSEEDに登場するMSの一つ、ジンの事。どちらも後から(又は別媒体で)Ⅰやプロトが出るんですよね。
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