超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed   作:シモツキ

160 / 234
第百二十八話 すれ違う気持ち

 暗黒星くろめ。わたしがもう一人のうずめとの兼ね合いで考案した名前を気に入ってくれた、わたしの友達。くろめと出会ったのは…結構、前の事。旅をする中で、ある場所で偶然出会って、色々な話をして…わたしは感じた。くろめの中にある、穏やかな表情の裏にある、歪んだ気持ちを、鬱屈した気持ちを。でもそれは、単純な悪意じゃなくて…悲しさや暗い決意も混ざった、きっと抱え続けるだけでも辛い思いなんだろうって、そんな気がした。

 だからわたしは、くろめの力になろうって思った。くろめがしている事が正しいとは思えない…ううん、間違ってるって分かっていたけど、このままじゃくろめはもっと気持ちが鬱屈していきそうな気がしたから。誰かが寄り添ってあげなくちゃ、可哀想だと思ったから。それに、そういうの抜きにくろめと話すのは、普通に楽しくもあったから…わたしはわたしなりに、頑張ろうって思ってた。悪い事は悪いって言って、本気でくろめを止めようとしてくれる人達もいるから、わたしはその両方の力になれたらなって…都合の良い考え方だけど、そう思っていた。

 あぁ、でも…間違ってたのかな。わたしが、楽観的過ぎたのかな。わたし自身が、もっとくろめに良くないって言っていたら、もっと早くから皆に本当の事を話していたら……こうは、ならなかったのかな…。

 

「もう止めようよ…こんなの、良くない…良い訳ないよ……」

 

 これまで言わなかった、言う事を避けていた言葉と気持ちを、くろめにぶつける。躊躇う気持ちもあったけど…もう、言わずにはいられなかった。これ以上、「くろめを信じる」って言葉で自分を誤魔化すなんて、出来ないから。

 嫌われたくない。これからも仲良くいたい。だからこそ、言わなくちゃいけない。押し込めてちゃいけない。そう思って、その思いで、わたしはくろめに吐き出して……だから、すぐには気付かなかった。くろめが…わたしの言葉を聞いたくろめが、薄っすら微笑んでいた事に。

 

「…くろ、め……?」

「…そうか、そうか…ねぷっちは、そんな事を考えていたんだね。…もう協力なんて出来ない、か……」

 

 すぐに受け入れられるとは思っていなかった。くろめだって本気で、覚悟を持って進めてるんだから、拒絶される事も考えていた。…だけど、くろめが浮かべていたのは微笑。いつも以上に感情の読めない笑みを浮かべていて…暫く一人で呟いた後、くろめはわたしに向けて言う。

 

「…うん、ごめんねねぷっち。オレは君の気持ちに、まるで気付いていなかった。ねぷっちはいつもオレの味方でいてくれるから、知らぬ間に無遠慮になってしまっていたのかもしれない」

「それは…それは、いいんだよ…わたしだって、言わなかったんだから…。…けど、それなら……」

「あぁ、ねぷっちの気持ちは分かった。オレもこれからは、もっと気を付ける。…だから、今回の事はおあいこにしよう。オレもねぷっちがぎあっち達をここに連れてきた事、教えた事を、オレにも非があるって事で不問にするさ」

 

 感情の読めない微笑を浮かべたまま、くろめが言ったのはわたしへの謝罪。思いもしなかった、素直にわたしの訴えを受け止めてくれたような言葉で…だけど、そこに続けてくろめが発したのは、わたしが望んだのとは違う意思。

 

「……っ…ま、待ったくろめ…じゃあ…止めては、くれないの…?」

「何を言っているんだいねぷっち。そんなの、当たり前じゃないか。オレに、止めるなんて選択肢はない。少なくとも、今のオレにはもう存在していない。…たとえそれが、ねぷっちからの頼みであったとしてもね」

「……っ!…なら、わたしは……」

「ああ、無理強いはしないよ。ねぷっちは取引じゃなく、気持ちでオレに協力してくれているんだから。…けど、悲しいな…一番頼りになる、信頼しているねぷっちが離れてしまうというのは…凄く、悲しいものだ…」

「……っ…くろめ……」

 

 妥協も譲歩もしない。そんな態度を取るくろめが次に見せたのは、一転して残念そうな…言葉通りの、悲しそうな顔。それは凄くわざとらしい、でも本当に悲しそうな顔で…演技の部分があると分かっていても、躊躇う。くろめから、離れる事を。

 

「…そういう言い方をしても、無駄だよ。わたしだって…悩んで悩んで、それで今ここにいるんだから」

「分かっているさ、だから止めない。…それが、ねぷっちの心からの思いならね」

「…違う、違うよくろめ…そうじゃない、そうじゃないんだよ…っ!分かってるでしょくろめ…!わたしが、本当に言いたいのは…ッ!」

「…言ったろう?ねぷっち。オレは止めない。オレだって、生半可な気持ちでここまで進めてきた訳じゃないし……もう、止まる訳にはいかないんだよ」

 

 わたしはくろめが嫌いになった訳じゃない。離れたい訳でもない。なのに、くろめは表面的な部分でしか返してくれなくて…わたしはまた、声を荒げる。

 けれどそれに返ってきたのは、真剣な眼差しと静かな声。これまでの、ちょっとオーバーな反応とは違う、重みのある言葉。そこにあるのは……きっと、わたしの知らないくろめの過去。

 

「…それは…どうしても、今の方法じゃなきゃ駄目なの…?ネプギアもちっちゃいわたしも、皆優しいよ…?ちゃんとごめんなさいして、償いもして、くろめの本当の気持ちを言えば、きっと皆……」

「許してくれる、と?…違うねねぷっち。それじゃあ駄目だ。それはオレの望む形じゃない。許される、というのは…間違っている側が、正しい側にしてもらう行為だろう?」

 

 そこから更に雰囲気が変わり、冷ややかな視線を向けてくるくろめ。口調は変わらないけど、それはどこか「心外だ」と怒っているようにも見えて……感じた。感じてしまった。もし仮に、ネプギア達がちっちゃいわたし達に勝てて、四人が正気に戻ってくれたとしても…説得は、無理なんだって。諦めようとは思わないけど、今のわたしの言葉だけじゃ、くろめの心を揺らす事は出来ないんだって。

 

(…けど、だけど……)

 

 くろめはわたしの、大切な友達。イリゼ達だって大切な友達だし、ネプギアの事は本当の妹の様に思ってる。だからくろめと皆が争う姿なんて見たくないし…出来る事なら、わたし一人でくろめを説得したかった。こうなったのは、黙ってたわたしにも責任があるんだから。

 でも、今のわたしの言葉じゃ届かない。どうすれば届くのか、誰なら止められるのかも分からない。分からないけど……一つだけ、分かっている事もある。…わたしはやっぱり、くろめが大切なんだって。くろめを大事な友達だと思っている、わたしの心だけは…間違いない。

 だからわたしは、剣を抜く。右手に持って、それを構える。

 

「…何のつもりだい?」

「わたしにも、出来る事をするだけだよ」

「そうか…なら、応戦させてもらうよ。やられる訳には、いかないからね」

 

 パチンとくろめが指を鳴らすと、現れる数体のモンスター。くろめの表情からして、ただの威嚇なんかじゃない。

 勝てるかどうかも分からない。そもそもくろめの個人としての実力を知らないから。けど、きっとくろめをこのままにしたらちっちゃいわたし達を援護しようとする。…それは、止めなくちゃいけない。ちっちゃいわたし達を取り戻す事が今の一番の目的で…その為に、ネプギア達は必死で頑張ってきたんだから。

 取り敢えず、時間を稼げさえすればいい。その後は上手く、短い間でも身を隠す事が出来れば、クロちゃんの力で逃げられるから。とにかく今は冷静に、くろめの足止めをする事だけを考えて……

 

「…あぁ、そうだねぷっち。ねぷっちは時々、上からの攻撃に気を付けるよう言っていたね」

「……?…そりゃ、言ってはいたけど…それが、何……?」

「うん、それについてオレは思うんだよ。上もだけど…まず気を付けるべきは、後ろだろうってね」

「……──ッ!?」

 

 その瞬間、くろめが含みを込めてそう言った瞬間に、背後へ感じる何かの気配。反射的に振り向けば、そこにあったのはわたしに迫ってくる何本ものコード。咄嗟にわたしは剣を掲げて防御するけど、先端が金属パーツのコードは見た目以上に重みがあって、大きく崩れるわたしの姿勢。

 

「くッ…あ……っ!?」

 

 普通に防御してたなら何とか踏み留まれたのかもしれないけど、今のわたしは振り向いた直後。それでも何とか後ろに足を突く事で転ぶのは避けて、思いっ切り剣を振り抜く事で襲ってきたコードは全部弾き返せたわたしだけど…それで精一杯だったわたしは、時間差で襲ってくるもう一本のコードに気付かなかった。

 しなりながら打ち付けられる、天井からのコード。直前でそれを認識したわたしは身体を傾けて…でも、左腕にコードは直撃。二の腕に痺れるような痛みが走り……わたしの手から、ねぷのーとが落ちる。

 

「おっと…これは嬉しい誤算だね」

「嬉しい誤算…?…まさか……!」

「…へっ、手際が良いな」

 

 すとんと落ちるねぷのーと。それを見て、気分良さそうに笑うくろめ。そして聞こえる、くろちゃんの声。

 落ちた時、ぱたんと開いたのは表紙裏。けれどクロちゃんの声が聞こえたのと同時に、ねぷのーとのページが動き出す。誰も触っていないのに、ページが素早く捲れ始める。

 あっという間に進んでいくページ。そうして開いたのは…クロちゃんが封印されている箇所。

 

「……っ!クロちゃん、駄目…ッ!」

 

 何で勝手に開いたのかは分からない。でもこれから起こる事なんて、クロちゃんがやろうとする事なんて、一つしかない。

 だからわたしは手を伸ばす。邪魔をしようとしてくるコードを避ける為、クロちゃんを止める為に、ねぷのーとが落ちた方へと真っ直ぐに飛び込む。

 伸ばす左手。淡い光を放つクロちゃんのページ。そして……

 

「ふぃ〜…漸く、本の外に出られたぜ…」

「そんな……」

 

 転がるようにして掴んだねぷのーと。…だけど、そこにもうクロちゃんはいなかった。ショートカットにした薄い金色の髪に、綺麗な蒼の瞳。いーすんと同じ位にちっちゃな、でもいーすんよりやさぐれてる感のある、妖精みたいな女の子……本来の姿のクロちゃんが、真っ白になったページの代わりにわたしの前で浮いていた。

 

「久し振りのシャバだ、なんてな。…礼を言うぜ、くろめ」

「気にする事はないさ。こうする事で、オレに利が発生する。だからやったまでの事だよ」

 

 茫然とわたしが見つめる中、クロちゃんはふよふよとくろめの方へ。かけられた言葉にくろめは肩を竦めて…それから悪いね、とわたしに言う。

 

「…どうして…ねぷのーとの中じゃ、クロちゃんは……」

「あぁそうだ。その忌々しい本の力のせいで、これまで俺は抜け出せなかった。…けどな、考えてみろネプテューヌ。俺の力を吸い続けてるって事はつまり、俺の力の影響を受け続けるって事だぜ?本を介して俺の力を使うって事は、その影響を強めるって事だぜ?だったらちょっと位、干渉出来るようになったっておかしくないだろ?」

「で、でも…これまで、そんな素振り……」

「そりゃ見せねぇよ。今の通り、まだ一瞬で抜け出せる状態じゃなかったからな。…だから、待ってたんだよ。案外隙のないお前が、完全に本を手放して、しかもすぐには止められねぇ状況が出来るのを、な」

 

 満足気な笑みを浮かべて、わたしへと語るクロちゃん。…知らなかった。クロちゃんが、こんな形でずっと抜け出す機会を伺ってたなんて。やっと分かった。やけに静かだったのは、チャンスが来るのを予測して待ち構えていたからだって。

 それに…油断もしていた。ちっちゃいわたし達の事やくろめの事で頭が一杯になっていて、クロちゃんの事を疎かにしていた。クロちゃんだって、凄く警戒しなきゃいけない相手なのに。

 

「悪い事をしたとは思っているよ。けれどクロワールがねぷっちの手にある内は別次元に逃げられてしまうし…クロワールの能力は、何かと厄介だからね」

「おいおい、随分な言い草だな」

「事実だろう?…さて、ねぷっち。オレは君に無理強いなんてしない。けれどオレ達は分かり合える筈だ。現にオレはねぷっちを信用してたし、ちゃんと話せばまた分かってくれると信じている。もう一人のねぷっち達も、ぎあっち達に言っていたけど…ゆっくりと、話し合おうじゃないか。お互いの為になる、着地点を探す為に」

 

 そう言って、くろめは笑う。悪意のある笑みじゃなくて、友達や仲間に向けるような、にこりとした笑顔を。

 くろめはモンスターを下がらせる。下がらせるけど、待機させてるだけ。さっき天井から出てきたコードも、まだ別の所から出てくるかもしれない。話し合おうだなんて言ってるけど……こんなの全然、フェアじゃない。

 

(……っ…こうなったら一度、くろめに合わせるフリをして、それでくろめの隙を……。…いや、駄目だ…駄目だよ、それじゃ)

 

 思い付いた一つの策。だけどわたしは、心の中でそれを否定。だってそれじゃ、くろめを騙す事に、裏切る事になる。こんな方法を取ってくるくろめだけど、嘘じゃなくて、本当にまだわたしを信じようとしてる心があるのかもしれない。なのにそれを裏切ったら、それこそ本当にわたしの声は届かなくなっちゃう。だから、やっぱり…わたしが出来るのは、これしかない。

 

「…ごめんね、くろめ。わたしもくろめとは、争いたくない。だけど今は、どれだけ話してもきっと平行線だから。気持ちの部分で、わたし達はすれ違っちゃってるから」

「すれ違っている、か…。…悲しいね、ねぷっち」

「…そうだね」

 

 ねぷのーとと入れ替えるように、左手でもう一本の剣を持つ。さっきは不意打ちでやられちゃったけど、同じミスはもうしない。どんなに不利でも全力を尽くして、何とかネプギア達と合流する。全部話して…お願いするんだ。くろめを、止めてって。

 その為の戦い、その為の抵抗。勝てなくたって、絶対負けない。負けないんだ。……そう、思っている時だった。

 

「へぇ…んじゃ、礼に一つ手を貸してやるよ」

「…紙…ねぷのーとのページ…?それがどうし…、……ッ!?」

 

 にやりと口角を上げて、乗っている本、そのページとページの間に挟まれていた紙をおもむろに取り出すクロちゃん。見た目はただの折られた紙だけど、視線や表情からして多分それはねぷのーとの切れ端。

 でも、訳が分からない。ねぷのーと本体ならともかく、破いたページが何になるのか完全に謎。…と、わたしが思っていた、次の瞬間だった。突然胸が、苦しくなったのは。

 

「う、ぐッ…何、これっ……!?」

「…クロワール?これは、一体……」

「……!まさか、デスノ……」

「違ぇよ、さっき自分でねぷのーとのページかって言っただろうが。…なぁネプテューヌ、お前はおかしいとは思わなかったのか?ただの本が、生命だろうとエネルギーだろうと封印出来て、しかもその力を引き出せて、俺みたいな存在にすら通用するなんて…どう考えても、おかしいよな?」

「それは…ねぷのーとが、魔法か何かの込められた本で……」

「あぁそうだ、その本は魔本、魔導書と呼ばれる類いのもんだ。だがそれだって、力を行使するには原動力がいる。使い続けるなら、それ相応のエネルギー源がなきゃ機能しねぇ。魔法っつーのは奇跡じゃなくて、あくまで技術の一つなんだからよ」

「…まさか……」

 

 じっとわたしの方を見て、重みも感じる声音で以って、クロちゃんは話す。一つ一つじっくりと、結論までの順を追うように。

 わたしには何が言いたいのか分からない。でもくろめは何かを察したみたいで、驚きの視線をクロちゃんに…それからわたしにも向ける。そしてそこで一拍置いたクロちゃんは…言う。

 

「あぁ、そのまさかだ。…要はな、その本は持ち主の力を…生命エネルギーを吸ってるんだよ。持ち主に対して、一方的にその契約を結んで、持ち主を本の動力源にしちまうんだよ。…ネプテューヌ。お前の命は既に、その本と繋がっちまってるって事さ」

 

 突き付けるように、けれどどこか少し気の毒にも思っているような声音で、クロちゃんは言った。わたしの命とねぷのーとが、繋がってるって。わたしはわたしが知らない内に、そういう状態になっていたんだって。

 悪い冗談は止めてよ、笑えないよ。…そう言おうとした、そう言いたかった。でも…クロちゃんの言う通り、ねぷのーとは凄過ぎる。これだけの力があって、でもエネルギーは一切必要としないなんて…よくよく考えてみれば、そっちの方があり得ない。

 

「…趣味の悪い本だよな。誰が作ったのか、どうやって作ったのか、そもそも人工的な物なのかどうかも分からねぇがよ」

「…脱線しているよ、クロワール。その本の事は分かった。けれどそれとさっきのねぷっちに、どんな関係が?」

「そこは簡単な話だ。ネプテューヌの命と本は繋がっている。んで、切れ端ってのは謂わば本の一部だ。だから端末を介してサーバーへウィルスを流し込むみてーに、この切れ端を介して俺が攻撃をしたってだけさ」

「…つまり、それを介して幾らでもねぷっちに仕掛けられると?」

「それはどうだろうな。切れ端じゃ近くにいねぇと効果がねぇかもしれねーし、切れ端だからやり過ぎるとこっちが先に駄目になるかもしれねぇ。だからとっ捕まえるなら、さっさとしろよ?」

「あぐッ……!」

 

 クロちゃんがそう言うのと同時に、またわたしの胸へと走る痛み。胸を内側から締め付けられているような、そんな痛みと苦しさがあって、わたしは右手で胸を押さえながら後退る。

 全力で、何としてもくろめに抵抗するつもりだった。なのにこれじゃ、戦う事もままならない。持ち堪えるなんて、到底無理。

 

「辛そうだね、ねぷっち。…武器を、降ろしてくれないかな」

「や、だっ…!」

「ねぷっち、君だって分かってるだろう?そんな状態じゃ、無駄な抵抗もいいところ……」

「けど…諦めたくは、ないもん…ッ!わたしだけ、頑張らないなんて…そんな事、出来ないもん……ッ!」

 

 だけど、だからって諦めたりはしない。痛くて、苦しくて、無理だと心のどこかで声がしても、わたしは意思を降ろさない。

 だって、わたしも見てきたから。大切なお姉ちゃんを取り戻す為に、頑張ってたネプギア達を。きっと自分達より強いお姉ちゃん相手に、それでも勝とうとする意思を。…だったら、わたしも頑張らなきゃ。最後まで、頑張らなきゃ。じゃなきゃ…ネプギアに「大きい『お姉ちゃん』」と呼んでもらうのに相応しくない…っ!

 

「…流石だよ、ねぷっち。だからこそ、ねぷっちにはいてほしいんだ。もう一人のねぷっち達と、同じようにね」

「……っ!」

 

 ゆっくり近付いてきたくろめは、そこでふっと頬を緩める。そんな姿を見られて良かった、そう言うような表情で…けれどその表情を見せた次の瞬間には、天井から新たなコードが迫る。

 もう一人のわたし達と同じように。それが、どこまでの意味を持っているのかなんて分からない。でもそうはいかない。くろめにこれ以上の事をさせない為にも、わたしはここで負けられない。

 強く両手を、剣の柄を握り締める。歯を食い縛って、痛みに堪えて、くろめと迫るコードを見やる。そしてわたしは負けるもんかと、諦めるもんかと剣を振るう……その時だった。わたしの眼前、わたしとくろめの間を駆け抜けた一条の光が、コードを先端を飲み込んだのは。

 

「……ッ…!」

 

 くろめが後ろへ飛び退くのとほぼ同時に、幾つもの魔力の光弾が残りのコードを撃ち抜いていく。飛び退いたくろめや待機していたモンスターにも弾丸が飛んで、次の行動を妨害していく。

 一瞬、何が起きたか理解出来なかった。いきなり過ぎて、全く分からなかった。だけどビームに、魔法に、弾丸…こう来れば、あの子達しかいない。

 嬉しさと、安堵と、助けられた事への申し訳なさから。反射的に名前を呼ぶわたし。その声に応えるように、こちらへと飛んでくる四人はしっかりと頷き……降り立つ。

 

「くろめさん!大きいお姉ちゃんは…やらせませんッ!」

 

 立ちはだかるように、わたしの前へ立つ四人。わたしを背にして、くろめへ向けてそう言い放つネプギア。わたしを助けてくれたのは……ネプギア達、女神候補生の四人だった。




今回のパロディ解説

・「…違う、違うよ〜〜そうじゃないんだよ…っ!〜〜」
歌手、鈴木雅之さんの曲の一つ、「違う、そうじゃない」のフレーズの一部のパロディ。間にパロディじゃない発言が入っている分、分かり辛かったかもしれません。

・「〜〜悲しいね、ねぷっち」
機動戦士ガンダムUCに登場するキャラの一人、ロニ・ガーベイの代名詞的台詞のパロディ。まあ突然、その後ネプテューヌは撃ってませんし、くろめもやられていません。

・「〜〜デスノ……」
DEATH NOTEに登場する、物語の核となるアイテム(ノート)の事。デスノートではありません、ねぷのーとです。切れ端でも効果あったり、胸を押さえてたりはしますが。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。