超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed   作:シモツキ

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第百四十四話 それだけは分かる

 大きいお姉ちゃんを招こうとする、くろめさんからのメッセージ。くろめさんが言った通り、壁を突破する確実な方法がない以上、この提案に応じる価値はある。今のところ壁はそこにあるだけで、何の危険性もない壁だけど、今後もそうとは限らないし…そうでなくったって、あの壁がある限り、わたし達は向こうに手出しが出来ないんだから。

 でもわたしは、大きいお姉ちゃんが嫌なら無理強いは出来ないって…大きいお姉ちゃんの意思が最優先だって思っていた。だってそれは危険も、責任も、全部が大きいお姉ちゃんにかかっちゃう事だから。そんな事無理強いなんて出来ないし、したくない。

 多分それは、お姉ちゃん達も…皆が思っていた事。けれど…大きいお姉ちゃんは、言った。躊躇う事なく……くろめさんからの提案に、応じるって。

 

「…次、いくよ皆!」

 

 いきなりもう一人のイリゼさんが来た事を皮切りに、状況が二転三転していた昨日から、一日が経った。今のところ、壁の状態に変化はなくて…わたし達女神候補生組は今、その壁の前にいる。

 

「うん、だいじょーぶ…!」

「いつでもOKよ!」

 

 後ろから聞こえたロムちゃんとラムちゃんの声に首肯し、M.P.B.Lのトリガーに指を掛けるわたし。狙いを定める…って程じゃないけど、狙う先をしっかりと見据えて、向けた銃口からビームを照射。

 真っ直ぐに、狙った通りの場所へと伸びる光芒。その光は、わたしが狙った壁のある地点へと到達し…次の瞬間、跳ね返されるようにわたしの方へ。

 

「っとと…!じゃあ、これなら……!」

 

 女神にだって攻勢のビームは危ないものだけど、こうなると思っていたわたしは迫る光芒を難なく避けて、今度は左に飛びながら光弾を連射。ばら撒くように壁の方へと光弾を放って…それも全て、返ってくる。

 

(光弾も、照射も駄目…だったら次は……!)

 

 飛び回りながら、暫くわたしは射撃を続行。込めるシェアエナジーの量や収束率を何度も変えて、連射と単射を繰り返し、壁の色々な位置へ攻撃を仕掛ける。

 けれど悉く…というか、全て返されてしまう攻撃。ならば、と最後にわたしはM.P.B.Lの刀身へとビームを纏わせ、全身で振り抜いてビームの斬撃を飛ばし……たけど、それでもやっぱり壁は越えられない。戻された斬撃が向かう先には、観測と警戒中の戦闘艦があって…でも割って入る形でロムちゃんが障壁を張ってくれたから、戦闘艦の被害はゼロ。

 

「うーん、やっぱり駄目だったかぁ……」

「実体弾は駄目、ビームも駄目、加えて斬撃飛ばしでも駄目…思った通り、種類の問題ではなさそうね。じゃ、次は……」

「わたしたちねっ!」

 

 そこで攻撃を止めたわたしは、待機していたユニちゃんと合流。バトンタッチするように、ロムちゃんとラムちゃんが前に出て…今度は魔法で、攻撃開始。魔弾や魔力の光芒は勿論、得意な氷魔法を始めとする多種多様な魔法を二人で撃ち込んで、とにかく色々試していく。

 強行突破を図っている訳じゃない。突破出来るのが一番だけど…今わたし達がしているのは、その壁の調査。本当にどんなものでも外へ送り返してしまうのか、だとしたら種類によって何かしらの反応の違いがないか、そして何があっても、ただ送り返すだけなのか…そういう色々な事を確かめる為に、こうして攻撃を重ねている。

 因みに艦の攻撃で確かめないのは、条約の関係もあるけど、一番は危険性の問題。防御手段もあるとはいえ、主砲や副砲、対艦ミサイルだと返ってきた攻撃で大きなダメージにもなりかねないし、かといって機銃や迎撃用のミサイル程度だったらわざわざ戦闘艦でやる意味がない。

 

「ふへぇ…ダメ、だった…(しょぼん)」

「むぅぅ…フルパワー出しちゃダメなの?わたしとロムちゃんのフルパワーだったら…!」

「駄目だっての。突破出来なければそのフルパワーが丸ごと返ってくる訳だし、そもそもアタシ達の目的はこの壁について調べる事であって、突破は最優先じゃないんだからね?」

 

 不満そうなラムちゃんを呆れ気味に窘めるユニちゃんだけど…気持ちは分かる。こう言うと少し語弊があるけど、今わたし達は壁に対して手加減しているようなもので、全力の攻撃をしていないのに「無理だった」って判断をしなきゃいけないのは、確かにむむむ…って気持ちになる。

 

「…とはいえ、ほんと厄介な上に訳が分からないわね…ビームが普通に返ってくるとか、どこその黄金装甲かっての……」

「はは…まあこれの場合は、実体弾でも何でも返してくるけどね……」

 

 今のところ何一つ通用していないけど、逆に反撃は勿論一切の反応を見せない壁。だから余裕はある訳で、X.M.B.の銃身を肩にかけながら溜め息を吐くユニちゃん。その発言にわたしは苦笑いしつつ…考える。

 秘密にしている…訳じゃないけど、わたしには一つ、突破出来るかもしれない…と思う手段がある。やってみないと分からないから、「もしかしたら」の域を出ないけど…多分、出来る。だって、それはそういう手段だから。

 

(…でも、まだ使えない…こんな程度じゃまだ……)

 

 どうすれば良いかは分かっている。でもその為の条件が今はまだ満たせない。ちゃんとそれが満たされなければ、わたしの考えている手段は、全く通用しない。だから…観測データから有益な情報が得られなければ、この壁の弱点や抜け道が見つけられなければ、大きいお姉ちゃんに頼るしかなくなる。

 

「…よしっ」

「……?ネプギアちゃん、何かあったの…?」

「何かうれしいことでもあったの?」

「あ、ううん。そういう事の『よし』じゃなくて…皆、今度は色々攻撃を組み合わせてみようよ。とにかく今は、思い付く限りの事を試してみないと」

 

 出来る事なら、大きいお姉ちゃん一人に背負わせるような事にはしたくない。でもそれは、そう思ってるだけじゃ意味がなくて、出来ない事に目を向けたって全くの無意味で…それを望むなら、今頑張るしかない。

 気合いを入れ直したわたしは、M.P.B.Lを構え直す。一人で出来る事は粗方やったけど、まだ連携だったり、多数の方向からの同時攻撃だったりは試してないし、やれる事、思い付く事は出来る限りやっておきたい。だって、それが今……わたしに出来る、最善だから。

 

 

 

 

「少し、待っていて下さいね」

 

 うずめ達との、定期交信の時間。向こうの次元と繋げる為に、ネプギアが今機械を操作していて…わたしはそれを、見つめている。

 

「急がなくていいからね?間違って自爆スイッチとか押しちゃったら一大事だもん」

「あ、はい…って、自爆スイッチなんてありませんよ……」

「じゃあ、誤爆スイッチ?」

「何を誤爆するんですか……」

 

 小粋なギャグを挟みながら待つ事数十秒。準備が出来た、っていう言葉に続いて機械が向こうとの接続を開始し、ネプギアはわたしの隣にやってくる。

 今いるのは、わたしとネプギアの二人だけ。定期交信って言っても特別伝えなきゃいけない事がある時以外は、お互いの無事を伝え合うだけみたいなところがあるから、今回もわたしとネプギアだけでも問題なし。…あ、因みにわたしは大きい方のネプテューヌだよ?ネプギアが敬語使ってるから、そこで分かったかな?

 

「そろそろ繋がって……あ、いけましたね」

「みたいだね。やっほーうずめ。本日はないすばでーなわたしと可愛いネプギアの二人でお送りするよー!」

「え、あ、おぅ…いきなり何かラジオっぽく始まったな…」

 

 挨拶も兼ねて軽くふざけるわたしと、「えぇー…?」って感じに返してくるうずめ。…実際向こうの機材の関係で音声だけの交信しか出来ないから、ほんとにラジオ感はあるかもね。狙って言ったんじゃなくて、今気付いただけだけどさ。

 

「うずめさん、今日はどうでしたか?何か、気になる事があったりしませんでしたか?」

「そうさなぁ、今日は…って、言うか…いきなり不安を煽るようで悪いんだが、多分もうここもそう長くないだろうな…」

「え…?…うずめ、それって……」

「もうこの建物の近くまで、崩壊が来てるって事だ」

 

 うずめもウィード君も、崩壊を続ける次元で頑張っている。だから愉快な話でも…と思っていたわたしだけど、うずめから返ってきたのは愉快どころかヘビーな話。う、うーんこれは…洒落にならないね!いや、ほんとに愉快な話してる場合じゃないよ!?

 

「ええぇ!?ま、不味いじゃないですかそれ!そこまで広がってるなら、もう……」

「ああ。けど、後ちょっとなんだ。ここまで来て、後少しまで頑張って、なのにここまできて投げ出すのは…嫌だ」

「嫌だ、って…その気持ちは分かるけど、流石にそれは…それに、ウィード君だって……」

 

 交信設備のある建物まで崩壊しちゃったら、もうこうやって連絡を取る事も出来ないし、そうなったらもう、うずめ達の状態が何も分からなくなる。クロちゃんがいない今はぱぱっと扉を開いて向かう事も出来ないんだから、そんな時に連絡まで取れなくなるなんて…絶対に不味い。

 それに、うずめはまだ女神だからちょっとしたピンチ位なんて事ないのかもしれないけど、ウィード君は普通の人間。…じゃ、ないか…ウィード君にはすっごい回復能力がある訳だし…。…ま、まあでも他の部分は多分普通の人とおんなじなんだから、ウィード君の為にもうずめにはこれ以上無茶しないでほしい。

……と、わたしは思っていたし、ネプギアもきっと考えてたと思う。…だけど、

 

「…いや、俺なら大丈夫だ。確かにもう何度も助けられてるし、足手纏いだって言われたら返す言葉もないが…それでも、俺は最後までうずめに着いて行く気だからな。何があったって、絶対に食らいついてみせるさ」

「ウィード……」

『ウィード(君・さん)……』

 

 

 

 

「…え、いたの?」

「いやいたよ!?た、確かに繋がった直後はいなかったが…その反応は酷くね!?」

 

 びっくりした事に、そこで出されたのは男の人の声。男の人のっていうか、ウィード君のなんだけど…び、びっくりしたぁ…これ音声だけだから、誰がいるか分からないんだよね…。

 

「ったく…今のは普通に格好良くなるシーンだったのに、なんかただのギャグみたいになっちゃったじゃないか……」

「あはは、ごめんごめん。…でも、ほんとにいいの?言うはやすし行うはきよし、何かあった時一番大変なのは、きっとウィード君自身だよ?」

「え、と…大きいお姉ちゃん、それを言うなら『言うは易く行うは難し』だよ…?」

「え、あれ、そうだっけ?…まあとにかく、そこのところ本当に大丈夫なの?何かあっても、ウィード君…後悔、しない?」

 

 気を取り直して、改めてわたしはウィード君に訊く。もっと違う事なら、「よっ、流石男の子!」って応援するところだけど…わたしも同じ人間だから、わたしだってこれまで色んな場所、色んな環境を旅してきたから、頑張るだけじゃどうにもならない時があるっていうのはよーく知ってる。

 だから、わたしは大丈夫だって言うウィード君に、もう一回訊いた。もう一度、訊いてみたけど…答えは、同じ。

 

「あぁ。大変だって事は分かってる。さっきも言ったけど、うずめにはもう何度も助けられてるし、うずめから邪魔になる、って言われたらそりゃ大人しく待ってるが…そうじゃない限り、俺は俺から止めたりはしない。だって、俺がうずめを支えるって、側で応援するって、決めたんだからな。だから、後悔しないかって言われたら…ここで止める事こそが、うずめにそう選択させちまう事が、俺にとって一番後悔する答えなんだって…そう、思ってる」

 

 表情は、分からない。でも、これから伝わってくる。これが上辺だけじゃない…ウィード君の、本当の気持ちなんだって。本気で、心から…最後までうずめの側に、いてあげたいと思ってるんだって。

 

「……っ…ウィード、お前…そこまで……」

「…だから、さ。改めて言うようずめ。俺は最後まで、うずめを支える。うずめが納得出来るまで、俺も一緒に探し続ける。それで…良いよな、うずめ」

「…へっ。お前ってほんと馬鹿だよな。こんな危険な事を、マジで最後まで続ける気なんてよ。…でも、嫌いじゃねぇよ、そういうの。それに…邪魔になる云々とは言ったが、突っ撥ねても着いてくる気なんだろ?」

「そりゃ勿論。…あ、でもあれだぞ?突っ撥ねてもってのはその理由次第であって、足を引っ張りそうな時はちゃんと自重を……」

「わぁってるって。…もう一踏ん張り、頼むぜウィード」

 

 それから聞こえた、小さな音。何かと何かがぶつかったような、ちょっぴりの響き。何がぶつかったのかは分からないけど…うずめとウィード君の事だから、こつんと拳同士をぶつけたんじゃないかなって…そんな気がする。

 

「…格好良いね、両方」

「…ですね」

 

 信念を曲げないうずめと、真っ直ぐに自分の思いを貫こうとしているウィード君。…そんな言葉を、そんな思いを聞かされちゃったら、駄目だよなんて言えなくなる。応援したくなるに、決まってる。

 ちっちゃいわたし達もそう、ネプギア達もそう。これまで色んな場所、色んな次元を旅してきたけど、こういう思いを持っている人は、皆いつも格好良くて……

 

「ふふっ。まるで昨日の、大きいお姉ちゃんみたいです」

「え……?」

 

…まさか、自分も格好良かったなんて、そんな事を言われるとは思ってもみなかった。それも、ネプギアが言ってくれるなんて…想像も、してなかった。

 

「…そ、そう?わたしも、こんな感じだった?」

「はい。わたしと大きいお姉ちゃんじゃ立場も関係性も違いますけど…もう一人のイリゼさんに、あそこまではっきり言えるなんて、格好良いに決まってるじゃないですか」

「あ、あー…えへへぇ、そっかそっかぁ…ネプギアはわたしの事、格好良いって思ってくれてたんだ…」

 

 そう言ってにこりと笑うネプギアの姿を見て、つい頬が緩んじゃう。だってそうでしょ?こんなに可愛くてしっかり者で、でも女神として格好良いところもあって、しかも別次元のわたしの妹なネプギアに、「格好良いに決まってる」なんて言われて、嬉しくならないわたしはいないよ?もしそんなわたしがいたら、それはネプチューヌとかネプテゥーヌとかネプトゥーヌだろうね!

 

「くーぅ!なんか心にグッときたよ!ネプギアにそう言ってもらえるなら、もう何にも怖くなさそうな気がするね!」

「それは良かっ……良くないよ!?有名且つかなり不味いフラグ建てちゃってるよ!?」

「ふっ…意図的に言ったのさ!」

「意図的にそんなフラグ建てないでぇぇ!」

 

 初め位のテンションに戻ったわたしは、突っ込みを期待してボケを連発。素直なネプギアは本当にわたわたとしていたけど…昨今はあからさまなフラグを立てた方が逆に安全なんだって、海の世界で水着になってテンションの上下が激しい記憶喪失っ子も言ってたしね!大丈夫大丈夫!

 

「いや大丈夫じゃないよ!?それその後すぐフラグ回収されてるし、その前後でも普通にフラグ成立しちゃってますからね!?」

「あははー。…でも、ほんとにありがとねネプギア。ネプギアにそう言ってもらえるなら…勇気が、湧いてくるから」

「へ?…あ、うん……」

 

 ちっちゃいわたしが良くネプギアに冗談を言うのが分かるって思う程、ネプギアと話すのは楽しい。でも、これ以上はネプギアが可哀想かな、と思ってボケるのを止め、代わりにネプギアへお礼を伝える。

 

「うずめとウィード君も、ありがと。やっぱりそうだよね、大事なのは心だもんね」

「ん?おう。……うん?大きいねぷっち…何か、考え事か?」

「え?…なんで?」

「いや…何となく、そんな感じの声だった気がしてさ」

 

 続けてうずめとウィード君にも…と思って言ったわたしだけど、それに返ってきたのは、わたしの心を見透かしたような言葉。そんな感じの声、って言っているけど、逆に言えば今は声しか分からない訳で…はは、鋭いなぁ…うずめは…。

 

「…そんなに、分かり易かった?」

「いいや。表情も雰囲気も分からねぇから、念の為訊いてみただけだ」

「…けど、今のネプテューヌの返しって、実質肯定してるようなもの…だよな?」

「う、確かに…しまった、誘導尋問だったか…!」

「いや誘導も尋問もしてないって……」

 

 言われてみたらその通り、やられたぁ!…みたいな声を出したら、うずめからちょっぴり呆れられちゃった。うーん、失敗失敗。

…と、いうのは置いといて…うずめが言っている事は、別に間違っていない。わたしには、考え事…っていうか、ちょっぴりとだけ不安な事があって、今日交信に参加したのもそれが理由で…だからわたしは、ちゃんと言う。

 

「…その、さ…やっぱり少し、不安なんだ。くろめとまた、話す事が」

「あぁ…そっか、そうだったな。…昨日聞いたよ、その事は」

 

 こうやってうずめと…もう一人のうずめと話していれば、心が落ち着いたり、自信が持てたりするんじゃないかなって、そんな風に思ってた。くろめはくろめだけど…やっぱり、うずめでもある訳だから。

 

「……大丈夫、大丈夫ですよ大きいお姉ちゃん。大きいお姉ちゃん一人が頑張らなきゃいけない…そんな事にならないように、ギリギリまでわたし達も…」

「ううん、違うのネプギア。怖いとか、プレッシャーとかじゃなくて…次に会った時、くろめがどんな言葉をかけてくるのかとか、どう思ってるのかなとか…どんな言葉を、かけてあげたら良いんだろうとか…そういう、もっとちっちゃい事だから。だから…責任を感じないで、ネプギア」

 

 ふるふると、ネプギアの言葉に首を横に振る。本当にこれは、ネプギアや他の皆がどうこうって話じゃない。くろめと話す事はわたしが望んだ事で…それは本当に、思っているから。もう一回ちゃんと話して、ちゃんと確かめたいっていうのが、今のわたしの思いだから。

 それでも、ほんの少しだけ不安な気持ちもあったから、わたしは今それを話した。けど…当たり前だけど、これはわたしの問題。わたしには選ぶ事が出来て…その上で、行くって決めたんだもん。

 

「…大丈夫だから。これはわたしの望みでもあるし、ちゃんとくろめと話してくる。それに…よく言うでしょ?こういうのは、話すだけでも楽になるって」

「大きい、お姉ちゃん……」

 

 わたしの、わたし個人の問題で、ネプギアに責任を感じさせたくない。だから、話して少し楽になったよ、って言いはしたけど…それでもまだ、ネプギアは不安そうな……ううん、わたしの事を心配した顔。…駄目だなぁ、わたしは。大きいお姉ちゃん、って呼んでもらえてるんだから、お姉ちゃんとして安心させられるような事を、ネプギアに言ってあげなくちゃいけないのに。

 

「…まあ、そうだよな。俺はねぷっちと、そっちの俺の関係を話でしか聞いてないから、分からねぇ部分も多いが…そりゃ、不安の一つにもなるよな、って思う」

「…うん。気遣ってくれて、ありがとね」

「気遣いって程の事でもねぇよ。それに…いや、違うな。俺は分からない部分ばっかりだけど…それでも、一つだけ言える事がある。そっちの俺がねぷっちをどう思っているかだけは、分かる」

「分かる…?それって……」

 

 ぽつり、と呟くようなうずめの言葉。それにわたしが答えると、少しだけうずめの声ははっきりしたものに…より意思が籠ったものに変わる。

 そしてうずめは、言う。言ってくれる。うずめが思っている…わたしへの言葉を。

 

「…間違いなく、そっちの俺もねぷっちの事を、今も友達だって思ってるさ。俺と、同じようにな」

「……っ!」

 

 それは、思ってもみなかった言葉。だけど、うずめらしい…真っ直ぐなうずめらしい言葉。多分、根拠なんて何もない…自分がそうだからきっとそうだって言う、ただそれだけの……なのに凄く、心に染み渡ってくる思い。

 きっとそれは、それ位に気持ちが籠っているから。わたしを、わたしとくろめの関係を、わたしが感じていた友情を、本気で信じてくれているから。

 

「……ありがとう、うずめ。そう、だよね…まだくろめは、わたしを友達だと思ってくれてる…それだけは、絶対に信じなくちゃだよね」

「へへっ、ねぷっちならそれは得意だろ?」

「うん…もっちろんだよ、うずめ!わたしから友達を信じる事を取ったら、後は可愛さとキラリと光るクレバーさ、ユーモアセンスに大人な魅力、豊富な経験と可愛さしか残らないからね!」

「うん、凄い残ってるな!自分へ対する肯定的評価凄まじいな!ある意味ねぷっちらしいけどよ!…後、可愛いって二回言ってるし…」

「えへへー、それ程でも…あるっ!」

 

 忘れていた…訳じゃないけど、言われてわたしは思い出す。わたしはくろめを今も友達だと思ってるんだから、そこから信じる事を始めなきゃって。この思いは、絶対間違ってないんだから。

 

「いやほんと、ネプテューヌはどっちもブレないな…大丈夫だよ、ネプテューヌ。うずめも言ったが、別次元…とはいえ、うずめはうずめなんだ。ならきっと、何とかなるさ」

「そうだよ…そうですよ大きいお姉ちゃん。根拠が薄くても、それを自信満々で信じられる…それが、お姉ちゃんってものですから!」

「ウィード君、ネプギア……って待って!?ネプギアのは、微妙にわたしを悪く言ってない!?」

「うぇ?…あ、べ、別にそんなつもりは……」

「お、おおぅ…このさらりと鋭い一撃…恐ろしいね、女神様は…!」

「ええぇ!?ちょっ、違、違いますよ!?ほんとにわたしは、変な意図を込めてたりとかしませんからね!?」

 

 再びわたわたと慌てるネプギア。まさかあんな言い方をされるとは…と思ったけど、こういうところはやっぱりネプギア。これにはうずめもウィード君も笑っていて…勿論わたしも、思わず笑う。

 何か、凄い言葉を貰った訳じゃない。きっとくろめは、わたしをまだ友達だと思ってる…ただ、それだけ。…それでもわたしは、元気が出た。元気が出たし……頑張りたいって、そう思う。

 話す事で、どうなるかは分からない。くろめがちゃんと話してくれるかも分からない。だけど…頑張ろう。頑張って、確かめよう。だってくろめは…くろめとわたしは、友達なんだから。




今回のパロディ解説

・どこぞの黄金装甲
機動戦士ガンダムSEED destinyに登場するMSの一つ、アカツキに装備されたヤタノカガミ装甲の事。黄金だからといって、百式の装甲ではありませんよ?

・「じゃあ、誤爆スイッチ?」「何を誤爆するんですか……」
ギャグマンガ日和に登場するキャラの内、タウンゼント・ハリスとヘンリー・ヒュースケンのやり取りの一つのパロディ。…巨泉という機械ではありませんからね?

・「〜〜言うはやすし行うはきよし〜〜」
お笑いコンビ、横山やすし・西川きよしさん達の事。ネプギアが訂正していますが、厳密には「言うは易く」なので、元々この部分は「やすし」ではないんですよね。

・「〜〜もう何にも怖くなさそう〜〜」
まどマギシリーズに登場するキャラの一人、巴マミのある意味代名詞的な台詞の一つのパロディ。このネタ、使おうと思えば割と使えそうなタイミング多いんですよね。

・海の世界で〜〜記憶喪失っ子
ファンタジア・リビルドに登場するキャラの一人、エンデ(水着仕様)の事。実際昨今においては、フラグ的発言に皆敏感になり過ぎて上手く機能してない感はありますね。
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