超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed 作:シモツキ
また、このコラボに関するエピローグも、近い内に投稿したいと思います。
──現れたのは、眩いばかりの祖なる女神。顕現した、形ある思い…奇跡、そのもの。
誇張でも、気取った表現でもない。そうとしか言えなかった。そうとしか、思えなかった。
「…もう、一人の…私……?」
目の前にいるのは、光の帯を纏ったもう一人の私…本来の、原初の女神。それはその筈、そうである筈。だって、私はずっともう一人の私から目を離していなかったし、もう一人の私も私の視界から出るような事はなかったんだから。
なのに、私には分からなくなる。もう一人の私が、今目の前にいる存在が、もっと漠然とした…もっと高位の、概念的なものになっているような、そんな気がして。
(……っ…そうだ、分かる…今の、もう一人の私は…もっと…)
今の姿、今の在りようとなる前に、もう一人の私は言っていた。女神の原点にして真髄、と。上手く言葉では説明出来ない。まず頭が目の前の現象を把握し切れていない。だけど、女神としての感覚が…本能が、理解していた。これが、これこそが、本当の意味での『女神』なんだと。
「──これより信次元は、光り輝く思いの音色に包まれる」
静かに、けれどよく通る声で…心に響く声音で、女神は紡ぐ。
次の瞬間瞬間、波紋の様に、波動の様に、女神からシェアエナジーの光が放たれる。放たれ、広がり、全方位へと駆けていく。
「…凄い…これが、原初の女神の……」
「えぇ…こうしているだけでも、伝わってきますわ…女神の…いえ、シェアの持つ温かさが……」
「ネクストフォーム…とは、また違うな…方向性も、性質も…まるで違ぇ……」
「…けど、これで一体何を……?」
幻想的な光景を前に、ネプテューヌ達は呟く。それぞれが感じたもの、感じられた事を言葉として呟き……だけどノワールの一言で、私もそれが頭に過ぎる。
そう。今正に、浮遊大陸は落ちつつある。大陸という超巨大な存在、圧倒的な質量を持つ物体がこのまま墜落すれば、四大陸は壊滅的な被害を受ける。四大国家も、四大陸に住む人達も…皆々、終わってしまう。
それを防ぐには、落下する浮遊大陸を何とかするしかない。けれど一体どうするつもりなのか。私に任せてもらおう、と言っていたけど、まさか本当に一人で押し返すつもりなのか。今ならそれも出来るのか。そんな思考が私の頭の中を回り始めた……その時だった。
『…………え?』
気が付いた時、目の前にもう女神はいなかった。浮遊大陸のすぐ側にいた。
その光景に、起こった現象に、私達は…いや、くろめ達も茫然とする。分からなかった。全く分からなかった。女神が、移動したのが。その素振りも、道中も、一切認識出来なかった。凄まじい速度なんてものじゃない。瞬間移動とすら思えない。それこそ…初めからそこにいたんだと、最初からそうだったんだと思えてしまうような現実が、そこにはあった。
……だけど、すぐに私達は知る事になる。誰もが茫然としたこの現象すら…序の口に過ぎなかったんだと。
「……っ…何をする気かは知らないが、オレ達もただ眺めるつもりは…特に君に好き勝手させるつもりはないんだよ。さぁ行け、ダークメガ……」
「──大地は再生し、祖なる大陸の礎が蘇る」
浮遊大陸の落下を阻ませはしない。そう言わんばかりに、くろめはダークメガミ達を迎撃に向かわせようとした。
されどその瞬間、女神は再び言葉を紡ぐ。それ自体にシェアエナジーを感じさせる声音が響くと、女神の身体から流れ出るシェアの光が急速に浮遊大陸を包んでいき……止まった。
「……は…?…え……?」
聞こえてきたのは、先程以上に茫然とした声。その声を発したのはくろめで…レイやクロワールも、黙っている。何も声を出さないで…出せないでいる。…だって、止まったのだから。ダークメガミではなく、流れ出るシェアエナジーでもなく……浮遊大陸が。浮遊大陸の、落下が。
「…止まった、だと…?…馬鹿な…そんな、何が……」
降下する速度が下がったとかじゃない。落下を止めようとする何かが現れたとかでもない。…止まったんだ。完全に。完璧に。私達が全身全霊、力も思いも尽くして、その上で自分達を…シェアの力を信じて漸く僅かながら可能性が生まれるのかもしれない。そう思う程の事態が、大陸の落下が…いとも簡単に、止まったんだ。…そんな事が起きたら、そんな事をされたら…茫然とするに、決まっている。
(…いや、違う…止まった、だけじゃない……)
位置の関係で、見えない部分も多い。だけど、更に女神から放たれる光の波紋が流れるにつれて、浮遊大陸の外観も変わっていく。外縁部に無数設置されていた迎撃設備が消えていき、ずっと感じていたどこか違和感のあった姿から、浮遊大陸全体が変容していく。自然に思える在りようへと、蘇るように、生まれ変わるように。
「──全ての悪夢は祓われ、楽園が訪れる」
更なる光の波紋が浮遊大陸へ完全に行き届くと、女神は離れる。先程とは違い、今度は自然に…飛ぶのではなく、空を滑るように。
そうして離れた女神の身体から、今一度全方位へとシェアの光が広がる。より強く、より温かな光の波動が空間を駆け、それが数度続いていく。
「…ちッ…なーにやってくれてんのよ、白髪女神。折角最高に気持ち良い時間が始まろうとしてたのに、それをこんなあっさり止めてくれちゃってさぁ…」
「…………」
「…ふん、詰まらない顔ね。でもま、それがあんたの本質って事でしょ?だったら今度こそ潰してあげるわ。あんたも、この次元も…全部ねぇッ!」
次元中に女神のシェアエナジーが満ちていく。そんな風に感じている中、酷く忌々しそうな声を上げたのはレイ。未だ私達より上空にいるレイは、不愉快さを露わにした目で私達を見下ろし…でもそれに、女神は反応しない。無視している感じもなく、その顔もレイの方を向いてすらいない。
それをレイは「詰まらない」と言った。それが本質だと言った。そんな、何かを見抜いた様子のレイは一瞬冷ややかに女神を見つめ…けれど次の瞬間、再びこれまでの悪意と嘲笑に満ちた笑みで表情を歪め、吠えると共に杖を振るう。電撃が、女神へと向かって迸る。
殆ど予備動作も無しに放たれた攻撃でありながら、その出力は高位の魔法を思わせる程。猛獣が喰らい付くような一撃が、女神へと迫り、私は声を上げそうになった。危ない、と。避けて、と。だけど……
「……ぁ…が、ぁ…ッ?」
……電撃が、女神に届く事はなかった。けれど電撃は、身体を貫いた。レイが女神に向けて放った電撃が……背後から、レイを。
「…は、ぁ…?…なんで、私が……」
「──運命に抗いし人々は、運命を切り開く力を得た。そして、これが…女神の、世界の下す、審判だ」
「がッ、ぐッ…ぐぁああああぁッ!?」
まるで今、攻撃を受けて漸くレイ達がいる事を思い出したように見上げる女神。対してレイは茫然自失とした顔で自らの身体を見つめ…次の瞬間、再び電撃がレイを貫く。レイへ、どころか誰も電撃を放ってすらいない。にも関わらず、電撃はまた背後からレイを貫き…同じ映像が何度も繰り返されるように、それが続く。ある筈のない、もう駆け抜け消えた筈の電撃が、何度も何度もレイを穿つ。
分からない。原理も過程も、まるで理解する事が出来ない。唯一分かるのは……レイが、一方的にやられているという事。レイ自身の攻撃が、たった一度の攻撃が、幾度となくレイを貫いているという事だけ。
「……ッ…ダークメガミッ!奴を止めろッ!」
私達と全く同じように、理解不能な光景に固まっていたくろめは、表情を歪ませながらダークメガミ達へと指示。命令を受けたダークメガミは、その全てが女神を見据える…いや、見据えようとするも、気付けばまたいた筈の場所に女神がいない。
ならば、どこか。…女神は、遥か上空にいた。誰よりも高く、浮遊大陸よりも上空に立ち……全てを、見据える。
「──清浄なる天雷が、悪しき傀儡を打ち壊す」
恐らく女神は、全てのダークメガミを…全ての敵を視界に収めている。私がそう思った次の瞬間……天空に現れたのは、強大な光。幾つもの光が、天に輝き…閃光が、降り注ぐ。
「嘘……」
「なんて威力なの……」
ぽつりと聞こえたのは、ネプギアとユニの呟き。その呟きが指し示しているのは…目の前の、光景。
それは、一条一条が私達の全身全霊、乾坤一擲の一撃にも匹敵するであろう、光の柱。過剰とすら思える膨大な力を持った光芒が、全てのダークメガミへと降り注ぎ、一瞬の内にその巨体を飲み込む。
圧巻だった。これまでのものと違って、理解不能の現象が起きている訳じゃない。少なくとも見た目の上では、ダークメガミへ対するただの攻撃。…それでも、圧巻だった。理解可能な領域の現象だったからこそ、「分からない」ではなく「凄まじい」という感情が頭にも心にも浮かんでいた。
「…消え、ちゃった……」
「これが、もう一人のイリゼちゃんの本気…?」
戦闘艦の主砲ですら比べ物にならない程の光芒でありながら、その余波が周りへ広がる様子はまるで感じられない。
そうしてダークメガミを飲み込み続けていた光芒は、漸くその光が弱まっていき、細くなっていった末に消滅。そして閃光による攻撃が収まった時、ダークメガミの姿もなかった。私達側も普段の力を出せない状況だったとはいえ、初めは複数人でも苦戦していたダークメガミが、それぞれを飲み込む光によって纏めて討滅されていた。それも破片一つ、塵一つ残さない、完全消滅という形で。
その上で、私は気付く。信じ難い程の光芒が天から降り注いだにも関わらず、その威力はダークメガミを完全消滅させる程なのにも関わらず、地表には一切の跡がない事に。そよ風すらも吹いていないような、自然な状態の地面と草原が、閃光の降り注いだ後でも広がっていた事に。
(…ダークメガミを…目標だけを破壊する攻撃だったって事…?じゃなきゃ、こんな事……)
「……ッ、クロワールッ!」
レイへ理解不能な方法で以って立て続けにダメージを与え、ダークメガミをくろめが乗る一体を除いて全て消滅させた。一体一体が曲がりなりにも「メガミ」と呼ばれるだけの力を持つダークメガミを纏めて一掃し、常識外の力を持つレイ相手ですらそもそも「戦闘」をさせなかった。その結果を、その現実を前に、レイを一旦下がらせていたくろめが声を上げる。
恐らくそれは、撤退の指示。このままでは敵わないと判断し、一度撤退を選んだという事。…分かる。同じ立場なら私だってそうするし、向こうにはその場で別次元への扉を開ける、クロワールだっているんだから。でも……
「あー……悪ぃ、無理だ」
「……は…?」
「…無理なんだよ、この通り…な」
乾いた笑い声と共に、くろめに無理だと答えるクロワール。唖然とした顔でくろめが振り返ると、クロワールは少し真面目な顔になって…扉を展開。クロワールの背後で、空間が歪んで扉へと姿を変えていき…けれど完成するより先に、変容は止まり、そのまま崩れるようにして元の空間へと戻ってしまう。
…もう、誰もが分かっていた。考えるまでもなかった。それもまた、女神によるものだと。クロワール自体に干渉しているのか、空間へ干渉しているのか、そのどちらとも違うのかは分からない。ただ、くろめ達の離脱を許さない…その為の、行為なんだと。
「ふざ、けるな…ふざけるな、ふざけるな、ふざけるなぁッ!こんな、こんな事が…こんな無茶苦茶がまかり通って良いものか…!そんなもの、オレは……ッ!」
「──跪き、ただ裁きを待て。最早その邪な力は閃かん」
「なぁ……っ!?」
いっそ不条理とすら思える力を前に、くろめは怒号を上げる。怒号を上げ、その周囲に闇色のシェアエナジーの光を揺らめかせ、何かを行おうとする。
だけどそれすらも、女神が言葉を紡いだ次の瞬間には、弾けるように、砕けるように、闇色の光が砕けて霧散する。広がる側から消えていき、闇色の光は揺らめく以上に至らない。
「干渉、されている…!?オレの、力に……ッ!」
「──ただ、調和と規律が世界に戻るだけの事。恐れる理由はない」
次元移動による離脱を禁じ、くろめが行おうとした何かも封じ、今も尚女神は悠然と立つ。もうその顔はくろめ達を見ておらず、どこか遠くを見るような瞳で、穏やかな言葉を誰かへと告げる。
私達が出る幕など一瞬もない、これまで見せていた力…純粋な戦闘能力は、『女神』の力の一部に過ぎないのだと示すかのような、何もかもを超越するが如き力。しかもそれを、懸命に…力を振り絞って実現しているような雰囲気はない。淡々と、粛々と、ただ進めているだけのような…そんな風にすら、私は見える。
「…………」
そう。あまりにも、淡々とし過ぎている。あまりにも、粛々とし過ぎている。もう一人の私は、そこまで感情表現が豊かだった訳じゃないけど、人への愛を始めとして、声や瞳に感情が籠る事自体は普通にあった。もう一人の私の、原初の女神の思いは、その言動の中に確かに存在していた。
でも、女神からはそれが感じられない。その声は穏やかで、手始めにした事は浮遊大陸の落下阻止…即ち人を守る事なのに、何かが大きく違う気がする。だけどその感覚の、何となく感じているものの正体は、私には掴めなくて……その内にまた、女神の声が天から響く。
「──そしてこれが、世界の…人々の望んだ、救いの形相だ」
その声に引き付けられるようにして空を見れば、そこにあったのは……いや、空を埋め尽くしていたのは、光そのもの。浮遊大陸すらも芥子粒に見える程の、信次元の空全てを覆ってしまっているのかと思える程の……天上の、光。
もう誰も、何も言葉を発さなかった。ただそこには奇跡が、絶対が、決まり切った結果があって……だから聞こえたのは、この場にいる誰でもない、ここにはいない人の声。
「イリゼさん!皆さん!これは…いえ、これもイリゼ様の力ですか!?」
「…イストワール、さん…?…はい、そう…だと、思います…」
「思う……?」
聞こえてきたその声、イストワールさんの突然の呼び掛けに、少し驚きつつも私が答える。その私の回答に、イストワールさんは少々困惑したような声を返して…でもすぐに、次の言葉を口にする。妙に切羽詰まった雰囲気のある声で。
「…いえ、それよりもイリゼさん!もしも今も尚、イリゼ様が奇跡が如き力を使い続けているのでしたら、すぐに止めて下さい!それが無理ならば、せめてすぐに終わらせるよう伝えて下さい!」
「え…?イストワールさん、それは一体……」
「説明は後でします!というより、わたしも今はまだ理解し切れていない状態なんです!だからこそ早く、イリゼ様を…っ!」
恐らくイストワールさんのいるプラネタワーからも、この光は見えているんだと思う。先のシェアエナジーの波動も、見えていたのかもしれない。…そのイストワールさんが、慌てるようにして言う。もう一人の私を、止めてほしいと。
その言葉は、意味が分からなかった。勿論、何をしてほしいのかは分かる。だけどこの光を危険に感じたというのなら、その心配は無用。あの女神が、人を傷付ける訳がないんだから。
それに、イストワールさんはこうも言った。自分にもまだ理解し切れていないと。…次元の記録者たるイストワールさんが、シェアエナジーによる妨害でそもそも分からない、調べられないというならともかく、理解し切れないというのは、おかしい。そんな言葉、イストワールさんから聞いた事がない。
(それとこれと、関係があるって事…?それに、イストワールさんの声は……)
聞いた結果、頭に浮かんだのは疑問ばかり。…だけど、何かが違うというのは私も感じていた。イストワールさんが止めてほしいというのと、私が感じているのとは、同じ理由なのかもしれない。それに何より、イストワールさんの声が物語っている。止めてほしいのは、止めなきゃいけないのは、それが重大且つ緊急の理由なんだって。
ならば、もうこれ以上迷っている時間はない。…そう思った次の瞬間、天を埋め尽くす光がその輝きを増す。これまでは遥か遠くに見える光程度だったものが、初めて「眩しい」と感じる強い光へと変わり……特に強く輝く女神の頭上の光が、閃光となる。ダークメガミを消し去った光芒よりも更に煌めくその光が向かう先は、放たれた先は……負のシェアエナジーが渦巻く闇色の城と、人と次元を滅ぼさんとするその元凶。
「まだだ……オレは、オレはっ…まだ…ッ!」
眩い光が城と元凶を飲み込む直前、最後に聞こえたのは心の底から絞り出されたような、感情そのものが流れ出たような声。けれどもう、その光を止める事など出来る筈がない。逃れる術など、ある筈がない。閃光が、女神の裁きが、闇を貫き抹消し、全て終わる……そう、誰もが思っていた。だけど、光は──消える。
「…………え…?」
届く寸前、飲み込む寸前、閃光は崩れ、光の粒子となり、空へと溶けるようにして消える。力を失い、城とくろめ達の周囲に幻想的な景色を作り出し…だけどそれは、何かを消し去る事も、浄化する事もなく……ただ、霧散が登っていくようにして…消失する。
回避された、全ての終わり。一瞬、何かが…誰かが、それを阻んだのだと思った。だけど……違う。
「……っ…!」
「…ぁ、え……?…もう一人の、私…?」
本能が、私に視線を上げさせる。閃光の向かった先ではなく、放たれた下へと私の視線が動いていく。そして、見上げた私の瞳に映ったのは、女神の…いや、もう一人の私がふらつく姿。
「……っ!もう一人の私!もう一人の私ッ!」
私がもう一人の私を視認したのとほぼ同時に、天を埋め尽くしていた光も消え始める。頭上から周囲へ、遠くの空へ、穴が開いて広がるように元の空へと戻っていく。
それだけじゃない。もう一人の私が纏う光の帯もまた、薄れて端から消失していく。
「…どういう、事だ…?…まさか……」
「……!おいくろめ、今なら扉も開けるぞ。まだ普段通りって訳にゃいかねーみたいだが、取り敢えずどっかにゃいける…!」
「……分かった。開いてくれクロワール。レイ、ここは一旦退くとしよう」
「…は、ぁ…ッ!?あのクソ女神が、まだいるってのに…退く、ぅ…!?雑魚が逃げたいってなら…勝手に、自分だけで……」
「向こうにはまだ、万全のねぷっち達がいる。にも関わらず、そんな状態で…本気で、勝てるというのかい?」
「……ちッ…覚えておきなさいよ、クソ女神ぃ…ッ!」
背筋に走ったのは怖気。もう一人の私の身に、何かが起きている。これまでどんな存在にも、どんな状況にも揺るがず、圧倒的な存在であり続けたもう一人の私が、原初の女神が今……明らかに、その絶対性を欠いている。
離脱を考えている、くろめ達の声が聞こえてくる。けど、今はそんなのどうでも良かった。だからなんだと言う位、聞こえた言葉は頭に残らず……私はもう一人の私の下へ、飛ぶ。
「ぐ、ぅっ…限界、だと…?…いや、まだだ…奴等を…厄災を、討つ…までは……」
左手で左目と額を押さえ、声を震わせながら、右手を伸ばすもう一人の私。だけどそうしている間にも光の帯は消え、空は完全に元通りとなり……光の帯すらも一片残らず消えてしまうと同時に、伸ばされていた右手も落ちる。糸が切れたように、腕が落ち……解ける。今まで一度も解除される事のなかった、ずっとその姿であり続けた…もう一人の私の、女神化が。
「──ッッ!」
翼を直線機動重視へと可変させ、限界まで加速し、私は落ちるもう一人の私を追う。不調なんてレベルじゃない。何かをミスしたなんて次元じゃない。分からない、分からないけど…致命的な何かが、もう一人の私の身体に起こっている。
このまま落ちれば何が起こるか…いや分かる。無事で済む訳がない。今のもう一人の私じゃ、無事でいられる筈がない。だから私は締め付けられるような心を気力で抑え、力の限りに飛ぶ。もう一人の私へと、手を伸ばす。
(嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ……ッ!)
怖い。失いたくない。やっと出会えたもう一人の私なのに、私を生み出してくれた存在なのに、こんな訳も分からないまま失うなんて。終わるなんて。
まだ話せていない事が沢山ある。やりたかった事、期待していた事だって、数え切れない程にある。何よりもっと、もっともっと、私はもう一人の私といたい。家族の、家族との時間を過ごしたい。それがどんな場であっても、どんな形でも…私は家族と、一緒にいたい。だから、だから……
「もう一人の私っ…
私は空を、駆け抜けた。女神がシェアエナジーで、光で満たしたその空を……私の家族を、失わない為に。
今回のパロディ解説
・現れたのは、眩いばかりの祖なる女神
ヴァンガードシリーズにおけるユニットの一つ、創世竜 ハーモニクス・ネオ・メサイアのフレーバーテキストの一つのパロディ。前回のとは別のフレーバーテキストです。
・「──これより信次元は〜〜包まれる」
デュエル・マスターズにおけるクリーチャーの一つ、聖霊王アルファディオスのフレーバーテキストの一つのパロディ。メサイアと聖霊王で徹底的にロックかけていますね。
・「──大地は再生〜〜蘇る」
ヴァンガードシリーズにおけるユニットの一つ、創世竜 バサルティス・メサイアのフレーバーテキストの一つのパロディ。ネオを先に使ってるので、効果範囲も増加ですね。
・「──全ての悪夢〜〜訪れる」
ヴァンガードシリーズにおけるユニットの一つ、創世竜 エクセリクス・メサイアのフレーバーテキストの一つのパロディ。ネオでアムネスティを表にしていれば…ですね。
・「──運命に抗いし〜〜力を得た。」
ヴァンガードシリーズにおけるユニットの一つ、創世竜 アムネスティ・メサイアのフレーバーテキストの一つのパロディ。まさかのエクセリクスの後にアムネスティです。
・「〜〜そして、これが〜〜審判だ」
ヴァンガードシリーズにおけるユニットの一つ、創世竜 ジャッジメント・メサイアのフレーバーテキストの一つのパロディ。えぇはい、まだメサイアパロが続きます。
・「──清浄なる天雷〜〜壊す」
ヴァンガードシリーズにおけるユニットの一つ、創世竜 フラジオレット・メサイアのフレーバーテキストの一つのパロディ。もうGゾーンは十分ですね、えぇ。
・「──跪き、ただ〜〜力は閃かん」
デュエル・マスターズにおけるクリーチャーの一つ、聖霊王アルカディアスのフレーバーテキストの一つのパロディ。アルファディオスがいる場へ、更に聖霊王です。
・「──ただ、調和と規律〜〜理由はない」
ヴァンガードシリーズにおけるユニットの一つ、創世竜 ベアリング・メサイアのフレーバーテキストの一つのパロディ。下記の通り、二つのパロの複合です。
・「──ただ、調和と規律〜〜理由はない」
ヴァンガードシリーズにおけるユニットの一つ、創世竜 トランスエルス・メサイアのフレーバーテキストの一つのパロディ。二つのフレーバーテキストを合わせました。
・「──そしてこれが〜〜救いの形相だ」
ヴァンガードシリーズにおけるユニットの一つ、創世竜 インテグラル・メサイアのフレーバーテキストの一つのパロディ。最後のG4メサイアで、パロディも締めました。