超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed   作:シモツキ

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第百五十七話 まさかの可能性

 目下、最優先すべきはアフィ魔Xの空中艦を発見する事。より正確に言えば、その手段を得る事。こう表現すると単純なようで、実際やる事そのものは単純だけど…だからと言って、容易であるかどうかは別。これまた単純な話として…目にもカメラにも、各種レーダーにも映らない空中艦を見つける事が、容易に叶う筈がない。

 とはいえそれも、歪んだ次元の壁の突破に比べれば、まだ可能性がある。あくまで科学技術で発見出来なくなってるだけの空中艦と、本来はあり得ない現象である歪みとじゃ、その難度は数段違う。何より…無理そうだから仕方ない、諦めようだなんて、絶対に出来ないんだから…たとえ難しい事でも、やってみるしかない。

 

「けど、どうすればいいかなんて全く分からないんだよねぇ。ギアえもーん、見つけられる道具出してよー」

「む、無理だよそれは…そんな道具あったら、自分から出してるよ……」

 

……うん、まぁ…いきなり気の抜けるようなやり取りが聞こえてきたけど…とにかく、やるしかない。初っ端から地の文を活用されちゃったけど…ネプテューヌだから、仕方ない…。……こほんっ。

 

「ネプギア。プラネテューヌの対ステルス技術でも、空中艦は発見出来ない?近くにいるかどうかが分かるだけでも、かなり発見に近付くと思うんだけど…」

「正直、難しいですね…仮に範囲をプラネテューヌ内に限定したとしても、全域を探索しようとした場合艦もMGも大量動員しなくちゃいけませんし、それをしたとしても見つけられる確証はありません。まだうちでも実現出来ていない光学迷彩を搭載しているという事は、通常のステルス技術も上回っている可能性が高いですし…」

 

 浮遊大陸で現れたモンスターがまた現れないとは限らない。空中艦で運んできたなら、どこに現れてもおかしくない。加えてすぐに良い案や作戦は出そうにないという事で、女神の皆は各国に戻り、パーティーメンバーの皆もまた各国に分かれた。

 で、私達は今リビングルームに当たる部屋で、リラックスしながら話している。アイデアは集中して、頭をフル回転させる事で編み出せる事もあれば、のんびりと、気を休めた状態の時ふっと思い浮かぶ…なんて事もある訳だから、そっち方面で試してみている真っ最中。

 因みに今、オリゼはいない。オリゼは多少なりとも知識を…単独行動中は調べられなかった歴史の知識を得たいという事で、イストワールさんと一緒に書庫に行った。

 

「そっか、まあそうだよね…。ふーむ…ルウィーで交戦した時の事を考えると、光学迷彩は戦闘行動との両立は出来ないみたいだけど、その戦闘に持っていくには?…って言うと、やっぱりまずは見つけないとだし……」

「…あ、そうだ!透明化ってゲームとかアニメでも時々出てくる能力だし、そういう能力持ちと戦う時の手段を参考にすれば良いんだよ!例えば……」

『例えば…?』

「…って、よく考えたらそういうのって、基本戦闘中だから通用するというか、見つける時に役立つ方法じゃなかったぁぁ……」

 

 自分で意気揚々と言っておきながら、これじゃ駄目だと肩を落とすネプテューヌ。確かにサブカルとかにおける透明化って、一定時間しか持たないとか、攻撃時は解けてしまうとか、そもそも透明って言っても対象がいる場所は風景が微妙にぼやけて見える…みたいな弱点があるパターンか、姿は消せても足音や気配までは消せないからそれを感じ取ってカウンターを仕掛けるみたいな、相手が近くにいて襲ってくる事が分かってる状況だからこそ機能する対処方法しかなかったりなのが大半だから、基本的には当てにならない。というか、最終的にはその透明化を使う相手を打破するストーリーの作品なら、言い方は悪いけど打破される前提で話を作っている…つまりは物語の都合ってものがある訳だから、それのない現実で参考にしようというのもかなり無理のある話だと思う。

 

…………。

 

……うん、分かるよ。今読者の皆さんが思ってる事は、凄く分かる。けど、言わないで。現実も何も…って話だけど、今は言わないで下さい…。

 

「うーん…これは、見方を変えた方が良いんでしょうか。例えば、見つかるんじゃなくて誘き寄せるとか、更にアフィ魔Xが関わってる人や組織を探すとか……」

「それは…うん、あるかもね。その場合も『当てはあるの?』って問題が付き纏う事には変わらないけど、もっと柔軟に考えて……」

「いーりぜっ♪」

「ぴゃあっ!?」

 

 考えに詰まったら、別方向からのアプローチを考えるのも一つの手。深く考え過ぎた結果、いつの間にか視野狭窄に陥って…って事は結構あり得るものだし、現段階でもリラックス感は消えつつある。だから肩の力を抜く事も兼ねて、一回違う発想を……と、そう思った時だった。私の名前を呼ぶ声と共に、背後からぎゅっと抱き締められたのは。

 

「え、あれ?…もしかして、オリゼだった……?」

「ち、違うよ!?イリゼだよ!?イリゼだけど、いきなりそんな事されたら誰だってこういう反応するからね!?」

「あ、なーんだイリゼで合ってるじゃない。びっくりしちゃったわ」

「私を驚かせた人がそれ言う!?」

 

 某お兄さんみたいな呼び方でソファに座る私を背後から抱き締めたのは、何とも楽しそうな表情のセイツ。私の反応から、オリゼと間違えた?…と思ったらしい瞬間は目を丸くしていたけど、私が猛抗議を始めてからはすぐにまた楽しそうな顔に戻って……楽しそうにしてくれるのはいいよ?良いけど…だからって驚かせる必要ある…!?

 

「ふふっ、ごめんねイリゼ。けど、つい驚いた時の感情がみたくなっちゃって」

「セイツはほんとイリゼが好きだよねぇ」

「勿論。けど、ネプテューヌの事も、ネプギアやピーシェの事だって好きよ?ネプテューヌもやってほしかった?」

「あ、ううん遠慮しとくー。わたしは驚かされるより、驚かす方が好きだもーん」

「わぁっ!?も、もう…お姉ちゃんったら……」

 

 隙あり、とばかりにぴょこんとネプテューヌはネプギアに飛び付き、驚かされたネプギアはびっくりしつつも満更ではなさそうに軽く微笑む。そして、セイツの後ろにいたもう一人…ピーシェははぁ、と溜め息を吐く。

 

「これだからせーつもねぷてぬも困る…」

「おっと、ごめんねぴー子。ぴー子もぎゅ〜」

「ちょっ、そういう事じゃないし…!」

 

 にやっと笑ったネプテューヌは続けてピーシェへ抱き着こうとし、そのネプテューヌの肩を掴んでピーシェは抵抗。そのやり取りを見て、解放されたネプギアは苦笑い。

 セイツとピーシェ、二人はコンパ、アイエフからプラネタワー内の案内を受けていた。私達じゃなくてコンパとアイエフに頼んだのは、二人が…特にピーシェが話してみたかったかららしくて、その二人が今ここに来たって事は、案内も終了したんだと思う。

 

「ふぅ…セイツ、ピーシェ。二人はあの後、何か思い付いたりした?」

「残念ながら、わたしは全くよ。ピーシェは?」

「いや、ぴぃも特には…」

 

 離してもらった私は二人へ訊いてみるけど、二人もまだ思い付いてはいない様子。…因みに、さっきので完全に思考が一回リセットされた私だけど、こっちも閃きは特になし。

 

「…と、いうか…そもそもぴぃ達、その空中艦がどういうものかすら知らないんだけど……」

『あ……』

「うん、そういう事だからまず空中艦についてもう少し教えてほしい…」

「で、ですよね。…あ、そうだ。少し時間がかかるかもですけど、待っていてもらって良いですか?」

 

 知らないものの対処方法なんて、思い付く筈がない。そんなご尤もな返しに私達はあちゃーとなり…それから何かを思い付いたのか、ネプギアは立って廊下に出て行く。

 で、ネプギアを待つ事十数分。すぐに戻ってこなかった事で、私達が本格的に何なんだろうと思い始めたところで、Nギア片手にネプギアは部屋に戻ってきた。

 

「お帰り、ネプギア。誰かに電話していたの?」

「はい。アフィ魔Xの空中艦と戦った時にはルウィー国防軍の艦と機体もいたので、映像データが残ってると思ってブランさんに連絡したんです」

「そっか、軍用機なら戦闘データとして残しててもおかしくないもんね」

 

 部屋のテーブル前まで来たネプギアは、セイツの問いに答えつつカーペットへ座り、Nギアを操作。私はそうか、それがあった…と思いながら言葉を返して、皆と共に座ったネプギアの左右に集まる。

 

「えっと、ここの辺りはまだ映ってないから……あ、ここからですね。再生します」

 

 少しの間画面を操作していたネプギアは、最後に再生ボタンをタップ。それによって映像が始まり…初めに映像の中に現れたのは、何もない空間から放たれた眩い閃光。その直後、閃光の発生した空間が歪み…光芒の発生源が、アフィ魔Xの空中艦が姿を現す。

 

「あれ?ネプギア、ルウィーの空中艦が来たのって、もう少し後じゃないっけ?」

「ブランさんの指示があるまで、空中艦は少し離れたところで待機していたんだって。ルウィーの艦…この映像を記録していた空中艦が戦闘に入るのは今お姉ちゃんが言った通りもう少し先で、それまでわたし達はあまり艦には攻撃してなかったので、じっくり確認出来ると思います」

 

 現在映像の中では、私達と空中艦…それにアフィモウジャスが交戦中。戦闘開始直後に空中艦からキラーマシン部隊が展開し、更に暫くしたところで二隻目が、潜んでいたもう一隻の空中艦も戦闘に入る。

 

(…そういえば、この時って……)

 

 既に知っていても、改めて見る事で、違う場所から見直す事で、何か新たな発見があるかもしれない。そう思って見ていた私だけど…ふと、思い出す。

 この更に後、ネプギアとベールが空中艦に乗り込んだ後に、この戦闘へダークメガミが割り込んで来た。そしてその時、オリゼに…もう一人の私に言われた、「誰だ」という言葉を無意識に強く意識してしまっていた私は、自分は原初の女神の複製体なんだと、もう一人のイリゼなんだと証明したくて、自分を肯定したくて、無茶且つ無謀な戦い方をしてしまった。

 今思えば情けない、自分もまだまだだな…と思う愚行。けどあの時は、本当に頭の中が一杯で…その時皆がいてくれて、あの後セイツが私を肯定してくれて、本当に良かったって思う。この友情には、絆には、感謝してもし切れない。

 

「…やっぱりこうして見ると、単艦としての戦闘能力は各国の空中艦より低いのかも…けどキラーマシンの機体数からして、格納庫はかなり広そうだし、艦のサイズも小さい分、小回りではこっちの方が……」

「ネプギアー?気になるのは分かるけど、注目するのはそこじゃないよー…?…で、二人はどう?何か気付いた……って、二人共?」

 

 明らかに違う分析をしているネプギアに対し、苦笑い気味にネプテューヌが突っ込む。その後ネプテューヌはセイツとピーシェに問い掛け、私も二人の方を向いて…そうして、気が付いた。二人共、怪訝な顔をしている事に。

 

「…ねぇ、せーつ。これ…どっかで見た事ない…?」

「うん、あるわ…どこだったかしら…しょっちゅうじゃないけど、何度かは見た事があるような気が……」

「え、二人共見覚えがあるの?…じゃあもしかして、アフィ魔Xは神次元でも活動を……」

『あーーーーッ!!』

『えぇぇぇぇッ!?』

 

 活動をしていたのか。…そう言いかけた私を遮ったのは、二人のとんでもない事に気付いてしまったとばかりの叫び。当然それに私達三人は驚き、びくっと肩が震えてしまう。こ、怖っ…至近距離からの突如の叫び声はもう、驚くっていうか怖いの域だよ…!

 

「ど、どどどうしたの二人共!あ、もしかして交換期間!?ソシャゲのイベの、限定アイテムの交換期間をもう過ぎてる事を今思い出したとか!?」

「いや多分違うと思うよ!?確かに『あっ……』ってなる事だけど、ここまで叫ぶ事ではないんじゃないかな…!?」

 

 ふざけているのかテンパっているのかよく分からない、そんなテンションでおかしな事を言うネプテューヌ。それに突っ込んだ後、私は二人へ向き直る。

 

「…え、ええと…何か、大きな気付きがあったんだよね…?」

『う、うん……』

「それって……?」

 

 理由もなくただ叫んだ…なんてある訳がない。だから私がその理由を訊くと、二人は何とも言い辛そうな顔に。けど、答えるのを渋るという事はなく……言う。

 

「いや、その…気付いた、っていうか……」

「…これ、多分…うちの国際企業…セブンスジーニアが開発建造をした、空中艦…だと、思う……」

『…………』

 

…………。

 

………………。

 

……………………。

 

 

『えぇぇぇぇええええええッ!!?』

 

 気不味そうに斜め下を向き、頬を掻きながらピーシェの言った、私の問いに対する答え。そっかぁ、アフィ魔Xの空中艦って、神次元の大企業で建造された可能性が高いんだね。…と、分かった私達三人は顔を見合わせ……さっき以上に、思い切り叫んでしまうのだった。

 

 

 

 

 わたしがブランさんを通じて戦闘映像を送ってもらったのは、アフィ魔Xの空中艦がどういうものか知ってもらう為。でもその結果、むしろわたし達が知る事になった。アフィ魔Xの空中艦は、神次元で建造されたかもしれないという、とんでもない可能性を。

 これは、どういう事なのか。アフィ魔Xとセブンスジーニアは裏で関係を築いていたのか。それとも、データを盗んでどこか別の場所で建造された艦なのか。そもそも、本当にセブンスジーニアと関係があるのか。…それをはっきりさせる為には、直接確かめてみるしかない。

 だからわたしとお姉ちゃんは、ピーシェさん、セイツさんと、急いで神次元へ行く事になった。

 

「ただいま、いすとわる!行ってきます!」

「あ、は、はいー!Σ(・□・;)」

 

 次元の扉を潜ってすぐに、慌ただしく歩いていくピーシェさん。連絡を取った段階でこっちのイストワールさん、信次元のイストワールさんそれぞれに説明はしたけど、すぐ行こうとするピーシェさんにはびっくりした様子。

 

「イリゼ、そっちでも何かあったらすぐ教えてね…っとと、待ってよピー子〜。別にそんな、急がないと逃げる相手って訳でもないでしょ?」

「それはそうだけども…!」

 

 お姉ちゃんに呼ばれて振り返るピーシェさんは、焦ってる…って程じゃないけど、のんびりなんてしていられない、そんな感じの雰囲気。けどそれに対してセイツさんは肩を竦めて、ピーシェさんの左肩に軽く手を置く。

 

「焦る気持ちは分かるけど、もう少し落ち着いて?今のピーシェ、転ぶか通行人にぶつかるかしそうで、心配になるわ」

「そんな、ねぷてぬみたいな事しないし…!」

「えっ、わたししそうだって思われてるの…?酷い、何も悪い事してないのにdisられた……」

「あ……う、今のはごめん…」

 

 ショックを受けるお姉ちゃんを見て、ピーシェさんはクールダウン。…実はわたしも、お姉ちゃんって結構うっかり屋だからありそう、って思ったけど…う、うん。黙っておこう。

 

「…けどさ、早めにはっきりさせるに越した事はないでしょ?はっきりしたらそれでお終い、って訳でもないんだから」

「ん、それはそうね。だから本社に直で行きましょ?聞き出せる相手がいなかったら、呼び出せばいい訳だし」

「お、突撃隣の凄い本社だね!」

「お姉ちゃん、確かにアポなしって意味じゃそうだけど、別に夕飯時に行く訳じゃないから…」

「ちっちっち、わたしが言ったのは単独のバラエティ番組なのさ!」

『えぇー……』

 

 歩きながら話す中での、お姉ちゃんのボケ発言。この状況でふざけるのは、焦ったり前のめりになったりしないよう、お姉ちゃんなりに和ませようとしてる……って、事だと信じたい。

 

「さ、じゃあ付いてきて」

「あ、はい」

 

 外に出たところで、わたし達は女神化。わたしはお姉ちゃんと、先を飛ぶセイツさん、それにその横のピーシェさんに付いていく形で神次元の空を飛ぶ。

 

「…そういえば…前の時はほぼ、プラネテューヌにしかいなかったね」

「そうだったわね。他の国も見てみたいし、その為にも頑張らないと」

 

 言葉と一緒に視線も返してくれるお姉ちゃんに、こくりと頷く。

 折角だから、神次元のプラネテューヌ以外の国には、女神候補生の皆で行ってみたい。どこも知ってるようで知らない国だから…きっとただ見て回るだけでも、プラネテューヌみたいに楽しいと思う。

 

「……?ピー子、セイツ、ここは?」

「ここはどこの国でもない…まあ、簡単に言うなら特別自治区よ」

「もうすぐだからねっ!ねぷてぬ、ねぷぎあ!」

 

 そうして暫く飛んだ末に見えてきたのは、街…の、様な場所。その上空まで来たところで、わたし達は降下を始めて……

 

「…あれ?あれって……あーーーーっ!」

「きゃあっ!?ね、ネプギア!?ど、どうしたのよさっきの二人みたいな声出して!」

「あ、あれだよあれ!そうだ、そうだよ…わたしも一回、セブンスジーニアの空中艦は見てるんだった…!」

 

 あるものが目に映った瞬間、わたしは大声を上げてしまった。

 わたしが目にしたのは、一際大きいビルと、その敷地の様に見える場所に鎮座している、一隻の艦。それはさっきの映像で見た、アフィ魔Xの空中艦と似た艦船で…同時にわたしは、思い出してもいた。神次元の黄金の塔を破壊する時、セブンスジーニアの空中艦も増援として来てくれていた事を。

 

「…そっか、確かにそうだったわね…完全に失念していたわ……」

「んー…でもでも、ここのとはすこしちがう……?」

「いえ、艦船は同型艦だとしても、細部に違いがある事はよくあります。理由は様々ですが…これは同じ種類の艦と見て間違いないかと」

「…やっぱり、そうなのね」

 

 降下しながら見解を話すと、セイツさんは複雑そうな表情を浮かべる。

 その理由は…分かる。例えばもしこれが勘違いで、ここにあったのが全然違う艦だったら、振り出しに戻っちゃうけど、同時にセブンスジーニアへの疑いだって晴れる訳だから。

 

「……へ?め、女神様?どうなさいまし……」

「急用よ、通してもらえるかしら?」

 

 着地したわたし達は、女神の姿のままビルの中へ。そのおかげですぐに気付いた受付の人にセイツさんが声を掛け、そのままエレベーターで上の階に。

 

「ふぅ…二人共、内装も知ってるの?」

「何度か来た事があるから、ある程度はね」

「少なくとも、今から行く必要のある部屋の場所は分かってる」

 

 エレベーター内で女神化を解いて、扉が開いたところで廊下へ。そうしてある部屋の前まで来たところで脚を止めて、トントンと普通にノックをした後……勢い良く扉を開け放つ。

 

「失礼するよ、アクダイジーン!」

「ぬぉっ!?な、なんじゃあ!?」

「わーぉ、某名人の三代目とか、アリアンの王子並みに堂々とした入り方…」

 

 ずんずんと入っていくピーシェさんに、びくぅ!…と驚きを露わにする部屋の主、アクダイジーンさん。最初はよく分からなかったけど、よく考えたらアクダイジーンさんはセブンスジーニアのCEOなんだから、その下を訪れるのは当然の事。

 

「突然悪いわね、貴方にどうしても確かめなきゃいけない事が出来たのよ」

「た、確かめたい事…?」

「…これを、見てもらえますか?」

 

 (当たり前だけど)何が何だか分からない、って顔のアクダイジーンさんに、わたしはNギアでさっきの映像を見せる。いきなり見せられても、やっぱり分からないとは思うけど…こういう場合は、先に見てもらった方が早い。

 

「…む?この艦は……」

「これは、アフィ魔X…レイ達に協力してる組織が運用している艦よ。これは、ここで建造された艦よね?」

「……!?ま、まさかわしを…いや、我が社を疑っておるのか…!?」

「少なくとも、怪しいと思う理由はある。…違う?」

 

 意図に気が付いて目を見開くアクダイジーンさんに、ピーシェさんが言葉を返す。そう返されたアクダイジーンさんは、一瞬だけど言葉に詰まる。

 

「う……確かに、そう思うのも無理はない…。…だが、女神に誓って言える。わしは、この艦を知らん」

「…………」

「じゃあ、無関係な人や組織が、そっくりな艦を造ったって言うの?少し似てる位ならともかく、こんなに似ておいて偶然は……」

「待ったピーシェ。彼は、嘘なんて吐いてないわ」

 

 真剣な眼差しを浮かべるアクダイジーンさんだけど、それは具体的な反論じゃない。だからピーシェさんは更に問い詰め…ようとしたけど、それをセイツさんが制止する。その声に、どこか深みを籠らせて。

 

「へ?セイツ、心が読めるの?」

「ううん。けど、アクダイジーンの心は、しっかりわたし達の方を向いている。思いを伝えてくれている。だったら…その言葉が、嘘な訳ないじゃない」

「お、おおぅ…なんていうか、その…ピー子ー?ピー子的には、これどう思う…?」

「適当な事言わないで…と、言いたいところだけど…ほら、セイツって感情マニアでしょ?だからこそ、心絡みで適当な事は言わないっていうか……」

「か、感情マニアって…ピーシェ貴女、わたしの事そう思ってたの…?」

 

 唖然とした顔でセイツさんはピーシェさんを見て、それにピーシェさんは「いや、普段が普段だし」と軽く返す。…ま、まぁ今のやり取りはともかくとして…確かにピーシェさん程知らないわたしでも、セイツさんが適当な気持ちでこういう発言をするとは思えない。…でも……

 

「…だとしたら、どういう事なんでしょう…わたしもセイツさんの言葉を…それにアクダイジーンさんの事も、信じたいと思います。けど、今さっきピーシェさんが言った通り、無関係でここまで似た艦を造れるとも思いませんし……」

「──その話、アタシも混ぜてもらっていいかしら?」

『そ、その声は……!』

 

 嫌な言い方になっちゃうけど、疑った方が…アクダイジーンさんが嘘を吐いてると考えた方が、話しとしてはしっくりくる。現実として、アフィ魔Xの艦と外にあった艦は似ていて、アクダイジーンさんもそれは認めているようだから。

 分からない。一体どういう事なのか見えてこない。…そんな思いをわたしは口にして…けれど言い切った数瞬後、ここにいる誰でもない人の声が聞こえてきた。

 びっくりして、振り向くわたし達。そうして振り向いたわたし達が目にしたのは、目立つ色のパワードスーツを着た人物…アノネデスさん。

 

「ど、どうしてあのねですがここに?っていうか、聞こえてたの…?」

「どうしてって、監視カメラで貴女達を見つけたからに決まってるじゃない。で、聞こえてたの?については…扉が開けっ放しだったんだから、聞こえるに決まってるでしょ?」

『あ……』

 

 言われてみれば確かに、誰も扉を閉めてなかった。だったら聞こえるのは当たり前の事で、監視カメラの方は……まあ、アノネデスさんの役職を思えば分からない事もない。

…けど、別にそれはどうでも良い…訳じゃないけど、それよりも重要な事がある。

 

「…アノネデス。その口振りだと、何か思うところがあるのか?」

「えぇ、流石に何もなしに来る程恥知らずじゃないわよ?」

 

 アクダイジーンさんからの言葉に、アノネデスさんはそう返す。そして、わたし達をゆっくりと見たアノネデスさんは、言った。

 

「その、信次元に現れたっていう空中艦と、うちの空中艦が似ている理由は、関係性があるのかは……」

 

 

 

 

 

 

「……次回のお楽しみよぉ〜!」

『えぇええええええぇぇッ!?』

 

 

「…あ、今回は二回共、似たような反応で場面転換が起きてるね!場面転換っていうか、二回目はラストシーンだけどさっ!」




今回のパロディ解説

・某お兄さん
お笑い芸人、おばたのお兄さんこと、小幡和貴さんの事。三文字のキャラ(人)なら、大概はあのリズムで言えますよね。いーりぜっ。…ちょっと可愛いと思います。

・突撃隣の凄い本社、単独のバラエティ
突撃!隣のスゴイ家の事。やはり知名度的には、ネプギアの言った方が高そうですよね。しかし夕飯と家なら、こちらのネタの方が近いとも思う訳です。

・「〜〜夕飯時に行く〜〜」
突撃!隣の晩ごはんの事。突撃隣の、と言ったらやはりまずこれが思い浮かぶかなと思います。…突撃隣の、というフレーズ自体がそう多いものって訳でもないですが…。

・某名人の三代目、アリアンの王子
ガンダムビルドファイターズシリーズに登場するキャラ、三代目メイジン・カワグチ(ユウキ・タツヤ)とレイジの事。要はマシタ会長の部屋に押し入るシーンですね。
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