超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed   作:シモツキ

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第百六十三話 不可視への狙撃

「何を…何を考えているんですかっ!」

 

 普段は穏やかで落ち着いている彼女らしからぬ、怒気の籠った強い声。それを向けられているのは…この、俺。

 

「何を、か…それはもう、何度も話した筈だろ?」

「…えぇ、そうですね。何度も、何度も話しました。そしてわたしは、何度も言った筈です。そんな事は、するべきでないと」

「ああ、そうだね。全く、本当に頑固で困る…」

 

 少しおどけた態度で言ってみると、返ってきたのは鋭い睨み。…どうやら、本気で怒っているらしい。

 

「…悪い。今の言い方は撤回するよ。けど…俺の言葉に、思いに同調してくれない。その癖俺のやろうとする事を否定するというのは、少し勝手じゃないかい?」

「とても同調出来ない事だからこそ、それに輪を掛けて見過ごせない事だからこそ、言っているのです。…侵略を、するおつもりなんですか…?」

 

 一拍置き、本当にそのつもりなのかと、確かめるように彼女は言う。…だが、それは…間違いだ。それは訂正しなければいけない。

 

「人聞きの悪い言い方はしないでくれ。俺は別に、そんな事を考えている訳じゃない」

「ですが、やろうとしている事は……」

「俺がしたいのは、一貫して変わってなんかいないよ。…俺はただ、皆を守りたいだけだ。そしてその為には、全ての国が一つであった方が良い。国としては別でも、統括出来ていた方が、もっと上手くいく。きっと俺の力も、より強く、より高度に行使出来るようになる。…それの、どこが間違っていると言うんだ」

「だとしても、どんな理由があろうとも、その行いは侵略と変わりありません…!個人間で協力するのとは訳が違う事位、分かっているでしょう…?」

「勿論。だから皆に、もっと多くの人に…次元中に、分かってもらうのさ。そっちの方が、良いんだと。俺になら、それが出来るんだと」

 

 怒る彼女を窘めるように、俺は言葉を返していく。彼女の言う、侵略というのも全く分からない訳じゃない。少なくとも俺が、大きな改革をしようとしている事には変わりないんだから。

 けど当然、これは侵略なんかじゃない。あくまで同意を得た上で…いいや、望まれた上で進めるつもりなんだから。そして、その通りになれば…俺の考え、俺の望む通りに変われば、間違いなくこの次元はもっと良くなる。全ての人が、安心して、楽しく…皆が傷付く事も、苦しむ事もない世界に、きっとなる。

 

「…その力の凄さは、疑う余地がありません。それは十分に理解しています。しかし、だからと言って全ての人に理解してもらおうというのは…いえ、理解を得られると考えるのは、傲慢だとは思いませんか?」

「いいや、そうは思わないね。前提条件が違うような例外でも出さない限り、一瞬たりとも考えたり迷ったりする余地なく、誰もが同じように思うものだって、世の中にはある。誰でも氷を触れば冷たいと思うし、砂糖を舐めれば甘いと思うように、ね。だから、これまでとは一線を画す力を見れば驚くだろうし、その力で危機から救われれば、危機が強大であればある程、力の絶対さを理解し信頼するようになる筈さ。…俺になら、そんな状況を作る事すら可能なんだから」

 

 そこまで言い切った俺と、目を見開く彼女。まさか、と呟く彼女に、俺は見つめ返してこくりと頷く。

 

「あぁ、けど安心してくれ。それで被害が出るような事にはしないさ」

「……っ…それは最早、手段が目的になっているじゃないですか…とにかく駄目です。凄さを理解した上で賛同していないわたしがいる時点で、その考えは正しくありません。ですから……」

「それは俺の力を信じていないからじゃなく、俺の事を案じているからだろう?…分かってる、大丈夫。その気持ちは伝わっているし、だから俺は信じられるんだ」

「そう、ですけど…それはそうですけども……!」

 

 中々分かってくれないのは悲しいが、俺の身を案じるが故と思えば飲み込める。なら尚更、安心出来るようにしなくてはとすら俺は思える。

 

「…さて、時間だから俺は行くとするよ。待たせてもいけないからね」

「なっ……まだ話は…!」

 

 引き止めようと発された声と、聞こえてきたノックの音はほぼ同時。現れたのは、俺に用がある人物で、ほらな、と俺は肩を竦めた。

 

「…お急ぎの要件ですか?もしそうでないのなら、もう少し……」

「申し訳ありません。確かに急ぎではないのですが、皆お待ちしているのです」

「…と、いう事だ。普段は仕事をちゃんとするように、と言っているのは君だろう?」

 

 言葉を返せず、表情を曇らせる彼女に少し申し訳ないと思いながらも、俺は俺を呼びに来た人物と共に部屋を出る。

 この国には、優しい人が、賢い人が、数多くいる。俺にとっても誇りの国だ。その国の中で、俺は多くの支持者を得ている。多くの人物が、俺こそが次元を守るのに相応しいと思ってくれているんだ。それが、俺の正しさの他ならぬ証明であり…信じられている以上、これは使命だ。

 ああ、そうだ。これは使命だ。俺が果たすべき、俺でしか果たせない、宿命だ。だからこそ……邪魔は、させない。策を、言葉を、力を尽くし…誰であろうと、認めさせるさ。それが、それこそが、皆の為でもあるんだから。

 

 

 

 

 

 

「……もう、わたしの言葉は届かないという事でしょうか…。…ですが、それは…そんな道は、絶対に歩ませません…苦楽を共にしてきた友として、家族として…たとえそれが、悲しみを伴う事になったとしても……」

 

──そうして部屋を出た俺は、聞く事がなかった。彼女の呟きを…どこか悲痛な信念の籠った、決意の言葉を。

 

 

 

 

 提供されたプログラムの確認と、インストール。レーダーシステムの調整と、魔法使いの選出。そしてそれ等が済んだ事で立てられるようになった、具体的なプランの立案と、作戦実行に向けた準備は着々と進んでいった。

 くろめ達が何もしてこないのも、落ち着いて準備出来るという意味では好都合。妨害や準備を中断しなければいけないような事態が起こる事もなく、想定していた通りに行程は進んでいって…遂に、魔力波レーダーによるアフィ魔Xの空中艦探索は始まった。

…と、言ってもすぐに見つけられる訳じゃない。あくまで探知出来るシステムが出来たというだけで、一度に信次元全域をサーチ出来る訳じゃないから。加えて空中艦は動く以上、運が悪いと相当な日数がかかるかもしれない。…空振りで初日が終わった時点では、皆がそう思っていた。その、初日の時点では。

 

「艦長。捕捉した対象は?」

「はっ。現在は11時の方向、数は二。通常レーダーには何の反応もない事からして、アフィ魔Xの空中艦である可能性が高いです」

 

 問い掛けたノワールの言葉に艦長が応じ、同時にブリッジ内の大型モニターへレーダーの情報が映し出される。

 今私が皆と共にいるのは、ラステイションの陸上艦内。二日目である今日の先程、まさかの二日目にして発見の報告が入り、私達はラステイションへと急行した。

 因みに、発見したのはこの艦じゃない。ずっと追跡していると怪しまれるかもしれないという点を考慮し、私達は別の艦…つまり今いる陸上艦に乗って、発見した艦はこの艦と入れ替わる形で自然に別方向へと離脱していった。

 

「いよいよだね、お姉ちゃん」

「えぇ。なら私達は、早速突入の準備に入るわ。些細な事でも、何かあったら逐一連絡するように。…あ、でも魔法使いに無理させちゃ駄目よ?わざわざ来てくれてる訳なんだから」

「大丈夫よ、選出したうちの魔法使いはそんな柔じゃないわ。…けど、わたしは声をかけてきたいから、皆は先に行って頂戴」

 

 こくり、と私達はブランの言葉に頷いて、艦長さんからの敬礼を受けながらブリッジを出る。

 発見はまだ、第一段階。勝負となるのは突入と、そこからの行動であり…その為に私達が向かったのは、陸上艦の格納庫。

 

「おーっ!巨大人型ロボットが何体も!正に格納庫って感じの格納庫だね!」

「ふふん、凄いでしょ?特にこっちの機体は新型なのよ?…と、言ってもネプギアみたいなメカオタじゃなきゃ、見た目がそこそこ違う…位しか分からないだろうけど」

「うん、それ位しか分からない!でもこの無骨だけど力強い感じ…これならドラクターとかBETAとかカイジュウも倒せそうだね!」

「ふっふっふ…信次元の技術を舐めちゃいけないよ!ラステイションとうち、それにリーンボックスやルウィーの力も合わせれば、銀河争奪歌合戦や反地球連邦政府運動だって出来るかもしれないからね!」

「どういう盛り上がり方をしてるんですの…?というか、最後のに至ってはむしろ、わたくし達敵側では…?反政府運動な訳ですし……」

 

 中に入ったところで、驚きの声を上げる大きいネプテューヌ。ぽんぽんとネタ発言をする大きいネプテューヌにネプテューヌも呼応し、呆れ全開でベールが突っ込む。

 この作戦において、突入を行うのは私達女神九人。確実に成功させる為、手間取っている内にくろめ達へ気取られて作戦がおじゃんになる事を避ける為に、ここでの戦力の出し惜しみはしない。

 

「大きいネプテューヌ…確認だけど、空中艦に突入するのが面白そうで『わたしも行かせて!』…って言った訳じゃないよね…?」

「それは勿論!この目を見て、この結構ほんとにやる気に満ちた目を!」

「…あ、うん。確かに瞳の奥の輝きは、やる気を秘めてそうだね……」

 

 ずいっ、と顔を寄せてきて見つめてくる大きいネプテューヌに、私は若干気圧されつつも苦笑い。

 最初は九人だけでの突入を想定していたけど、具体的な作戦が決まった際、大きいネプテューヌは参加を熱望した。とはいえこれは遊びじゃないんだから、参加したいって理由だけで良いよとはならない。

 けど、大きいネプテューヌはアフィ魔Xとも仲間だった訳だし、そういう意味では大きいネプテューヌの存在が、説得に一役買ってくれるかもしれない。そう考えて、私達は大きいネプテューヌも加えた、十人での突入をする事となった。

 

「…さて、と…皆さん。アタシは先に位置に着いておきますね」

「がんばって、ユニちゃん…!(ぐっ)」

「期待しててあげるから、がんばりなさいよね!」

 

 すぐ行動開始出来るようにここへ移動した私達だけど、まだ距離は遠い。だから近付くまでもう暫くは待機で…けれど、待機と言ってもユニだけは別。

 ユニには、役目がある。アフィ魔Xの空中艦を狙撃し、突入口を作るという重要な役目が。

 

「これでよし、と。ネプギア、ちゃんと映ってる?」

「うん、大丈夫だよユニちゃん」

 

 格納庫から甲板に出たユニは、甲板上に駐留しているパンツァータイプの機体の影へ。そこで女神化をし、X.M.B.にあるパーツを取り付けて、機体の影から狙撃の姿勢へ。

 それは、今回の為に用意されたカメラパーツ。空中艦は視認出来ない以上、魔力波レーダーの情報を分析し、それをカメラパーツの映像と照らし合わせて狙いを決める事しか出来ない。そしてユニは狙撃に集中する為、分析はブリッジで行い、それを受けてネプギアが狙う位置をユニに指示するという形になっていた。

 

「ユニちゃん、今から姿勢取ってたら大変じゃないの?」

「まあ、ずっと同じ姿勢でいるのは楽じゃないですけど…ギリギリまで待ってから姿勢を取るんじゃ、感覚を研ぎ澄ます事は出来ませんから」

「うふふ、正にスナイパーですわね。しかしユニちゃん、大変になってきたら素直に言って下さいな。わたくしが直接、ぎゅっと支えてあげますわ」

「気を遣うフリしてうちの妹の好感度を稼ごうとするんじゃないわよ…」

 

 近付いて訊くネプテューヌの言葉に、落ち着いた声音でユニは返す。その声も横顔も、確かに一流スナイパーって感じで、中々格好が良い。

 

「案内ありがとう、助かったわ」

「あ、おねえちゃん来たー!」

「魔法使いさん、どうだった…?」

「突入出来るまで、ばっちりやり遂げてみせます、って言っていたわ。…ところで、最終確認は?」

「今からだよ。ブランが来るのを待ってられない程、切羽詰まってる訳じゃないからね」

 

 その後、案内してくれたらしい軍人さんに感謝を伝えながらブランが格納庫に姿を現し、私達は一度集合。既に体勢に入ってるユニ、サポートのネプギアは今も甲板上だけど…二人共インカムは付けているから、やり取りをする上での問題は無し。

 

「…こほん。今回の作戦は、まず一定距離までこの艦で近付いた上で、ユニが狙撃して突入口を作る。それが出来たら即突撃して、一気に…出来るなら交戦状態に入る前に、空中艦内に侵入する。…だよね?」

「えぇ。そして侵入後は、セブンスジーニアからの艦内情報を参考に、ブリッジまで侵攻。ブリッジ、ないしはその道中にアフィ魔Xのお二人…いえ、二体?…と接触した際は説得や取り引き等を図り、接触がなかった場合は艦内システムの掌握に取り掛かる…流れとしては、こうですわね」

 

 (特に役割分担をした訳じゃないけど)突入までを私が話し、そこから先をベールが話す。今の説明だと、まあまあ単純そう…というか、実際単純ではあるけど、上手くいくかどうかは別。説得、取り引き、実力行使…何にせよ、私達の目的はただ倒す事よりずっと難しい訳で、しかも一度失敗したら引いて後日再チャレンジ…という事が、出来るかどうかも分からない。…まぁ、それに関してはこれまでの戦いでもそうだった訳だけど…。

 

「狙撃から突入までは勿論だけど、突入から接触までもそうだし、今回私達には普段以上に迅速な行動が必要になるわ」

「だね。兵は拙速を尊ぶだよ!」

「わー、ネプテューヌちゃんむずかしい言葉知ってるー!」

「けど残念、兵は拙速を尊ぶは、下手に作戦を考えるのに時間をかけるより、多少雑な策でもすぐ実行に移した方が良い事もある…って意味よ。…まあ尤も、目的を達したら深追いはするなとか、早期決着を目指すべきだとか、正確にはもう少し複雑な言葉ではあるけど」

「あ、そうなんだ。…え、じゃあ結局合ってるんじゃないの?邪魔が入ったりくろめ達に気付かれたりしないよう、素早く進めるのがこの作戦なんだから」

「…言われてみると、確かに」

「でしょー?ふふーん、よく分かってなくても正しい使い方を出来る…これぞ天才ってやつだよね!」

((よく分かってないって、自分から言うんだ……))

 

 そういえばそうだ、とブランが認めると、どうだ、とばかりにネプテューヌは胸を張り、ロムちゃんラムちゃんは「おぉー…!」と尊敬の眼差しをネプテューヌに向ける。…けど、これはどう考えても正しく使っていた、というより偶々使い方が合っていたという展開な訳で、私達は尊敬ではなく呆れの感情を心に浮かべる。

 

「…あ、ねぇねぇ。アフィ魔Xの空中艦は二隻ある訳だけど、どっちに乗り込むの?乗り込んだ方に誰もいなかったらどうするの?」

「どっちがどっちかは分からないから、取り敢えず私達から見て前にいる方へ乗り込む予定よ。誰もいなかったら、それこそシステムの掌握に入れば良い訳だし」

 

 そういえば訊いていなかった、という風に尋ねる大きいネプテューヌへ、ノワールが返答。通信システムが機能していれば艦越しに話せるだろうし……って待った、今思ったけど、構成員はどっちもロボットなんだから、二隻共遠隔操作されてる可能性があるんじゃ…?

 

(…いや、それを言ったらキリがない、か。その場合でもシステム掌握が回答になる訳だし…)

 

 遠隔操作はロボットじゃなくてもその技術があれば可能だろうし、根拠のないもしもを考え出したらいつまで経っても行動出来ない。だったら、それこそよく使われている意味での「兵は拙速を尊ぶ」、今用意してある策をこのチャンスで活かす方が、ずっと現実的で賢明だと思う。

 そうして確認も終わり、後はその瞬間を待つだけ。上手くいくかどうかの分かれ目、その一つがユニの狙撃ではあるけど、ネプギア以外はもう誰も声をかけない。狙撃の一瞬の為だけに集中力を限界まで高めている今のユニには、話しかけても邪魔にしかならない事は皆分かっているから、静かに狙撃の瞬間を待つ。

 

「…女神様。空中艦が、ポイントDを通過しました」

『……!』

 

 艦内スピーカーから聞こえたその言葉に、雰囲気は臨戦態勢のそれと同じ程まで引き上がる。そこを通過したという事は、狙撃の瞬間はもう間もなく。ユニの能力や空中艦に与える被害、その他諸々を考慮した「ベストな位置」が、もうすぐ側まで迫っている。

 

「ユニちゃん、修正お願い。左に2度、上に5度…っと、少しだけ行き過ぎ。1度下げて」

 

 分析データが送られてきているNギアを見ながら、ユニの代わりに空中艦を捉える目となって、狙う位置を指示するネプギア。その声には、緊張が感じられる。…当然だ。実際に撃つユニもだけど、ネプギアの指示だって、ほんの僅かにズレてただけでも大きく結果は変わるんだから。

 

「…すぅ…はぁ…。…遠慮せず、必要な限り何度だって修正指示をして頂戴。アタシはそれに従うわ」

「…うん。……ユニちゃん、もし失敗しても、責任はわたしに…」

「こんな時に失敗したら、の話なんかするんじゃないっての」

「う、ごめん……」

 

 昔みたいな後ろ向きさはもうないとはいえ、元々が謙虚で「自分はまだまだ未熟者」って意識があるからか、時々ネプギアはネガティヴな思考になってしまう。とは言っても、そのネガティヴさも常識的な範囲だから、今のネプギアは直すよう言われる事はない…とはいえ、この瞬間においては確かに避けるべきだったかもしれない。

 実際突っ込みを入れられたネプギアは、謝りながらちょっとだけどしゅんとする。…けど、突っ込みを入れたユニは、それから一度口を閉ざし……そして、すくりと微笑む。

 

「ま、そういう頼りない部分も、ネプギアらしいと言えばらしいけど。…言うなら失敗したらじゃなくて、アタシ達なら絶対やれるよ、位言いなさいよね。……信頼、してるんだから」

「ユニちゃん…うん、わたしも…わたしもだよ…!」

 

 言ってから恥ずかしくなったのか、ほんのりと赤くなるユニの頬。でもネプギアの方は、嬉しそうに笑って……二人共、表情が締まる。目前となった狙撃の瞬間を、確実に…絶対にものとする為に。

 

(大丈夫、二人なら出来るよ。私も、皆も、信じてるから)

 

 集中の邪魔をしない為に、声は出さない。だけど代わりに、心の中でエールを送る。多分皆、二人にエールを送っている。伝わる確証はないけど…私達は、思いが形になった女神。だったら思う力を、信じない理由がないよね。

 二人はそこから、更に数度狙いを修正。狙撃という、僅かな差も大きな違いに繋がる行為の為に、最後まで妥協はせず……遂に、その瞬間が訪れる。

 

「10、9、8、7……」

 

 ネプギアが紡ぐ、カウントダウン。間違いなくユニも緊張してるだろうけど、見ているだけの私達も緊張する。カウント一つ一つ、一秒一秒が響いて聞こえる。

 成功するか、失敗するか。成功したとしても、どれだけの精度で成功するか。それはユニにかかっていて…でも、緊張はするけど、不安はなかった。だってネプギアが調整し、ユニが狙撃をするんだから。二人への信用、信頼、それが私に「上手くいく」と思わせていて、そして……

 

「──ゼロ!今だよ、ユニちゃんッ!」

「……──ッ!」

 

 響くネプギアの声も共に、放たれる光芒。収束されたシェアエナジーの光が、陸上艦の甲板から空へと駆け抜け……炸裂する。何もなかった、何もないように見えていた空間で炸裂が起き、空間が歪むようにして空中艦が姿を現す。

 撃ち抜いたのは、物資搬入用のハッチ。装甲で覆われている艦船の中では比較的脆く、尚且つ侵入する上でも都合が良い…狙い通りの、ベストな位置。

 

「や、やった…やったわネプギア!」

「うん、うんっ!やったねユニちゃん!」

 

 指示を出すネプギアは、実際には撃たない。実際に撃つユニの目には、何も見えていない。どちらも自分一人では確信の持てない状況だった事もあってか、撃ち抜いた瞬間二人は揃って跳び上がり、顔を見合わせ…そしてハイタッチ。二人共興奮の面持ちで、物凄く嬉しそうな表情をしていて……だけど、のんびり喜んでいる訳にはいかない。

 

「よくやったわ、ユニ!けど、まだ終わりじゃないわよ!」

「ネプギアもお疲れ様!ここからは、乗り込むわよ!」

『あ…うんッ!』

 

 狙撃がハッチを貫いた時点で、私達も興奮を抱きつつも女神化していた。一番槍を担うが如く、ノワールが格納庫から空へと飛び立ち、大きいネプテューヌを抱えたネプテューヌも、私達もノワールに続く。

 大仕事を一つ果たした二人だけど、二人だって突入メンバー。だからネプギアも女神化し、それぞれの姉の言葉に答えながら飛翔する。陸上艦から、空中艦へと乗り込む為に、一気にハッチの穴へと向かっていく。

 

「皆様、ご武運を!」

 

 艦長の言葉と共に、反転し離脱を始める陸上艦。この作戦に対艦戦闘は必要ないからこそ、撃たれる前にここから下がる。

 

「さぁ、突入しますわよッ!」

 

 ある程度近付いてからの狙撃だったおかげで、私達はすぐに空中艦の目前へ。向こうもまだ混乱しているのか、まだシールドや一切の迎撃行動が出てこない。

 ランスチャージの要領で開いた穴へと突っ込み、破損したハッチの一部を破壊する事で、穴を広げてくれるベール。ここまでは、完全に作戦通り。でもまだまだ気は抜けない。一番の山場は、空間の歪みの中へ入る方法の確保は…これからなんだから。




今回のパロディ解説

・ドラクター
メガトン級ムサシに登場する、侵略者の事。下記二つと違い、これは組織名…に近いですね。今回は最近のロボットアニメを幾つも出してみました。

・BETA
マブラブシリーズに登場する、敵性宇宙生物の事。これは生物の総称…という感じですね。マブラブシリーズのシャープで無骨な戦術機は、どれも格好良いと思います。

・カイジュウ
サクガンに登場する、大型生物の事。上二つとはまた毛色が違いますが、これもロボットアニメの一つ。ここ最近は、ロボットアニメが多いような気もします。

・銀河争奪歌合戦
劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!におけるフレーズの一つのパロディ。劇場版作品も入れてみました。プラネテューヌのMGはどれも可変機なので、ネタ的にも近いのです。

・反地球連邦政府運動
機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイにおける組織の一つ、マフティーの事。こちらも劇場版です。最近はガンダムSEEDを始め再放送作品も多いですし、ほんと豊富ですね。
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