超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed 作:シモツキ
浮遊大陸に行きたい。…オリゼにそう言われたのは、ウィード君の確かめたい事がある、という話を聞く直前だった。
オリゼは私にとって唯一無二の存在だし、ウィード君だって大切な友達。私としては、両方の頼みを聞きたいところだけど、当然そうするには日にちをずらすか、私が二人になるしかない。…現にオリゼと私で、『イリゼ』は二人いる訳だけど…勿論、そういう話をしてるんじゃない。
どちらかを明日以降にずらすか、諦めるか。二人になる、というのが現実的じゃない以上、取れる手はどちらかで…でもそれを皆に話すと、ウィード君の頼み事には自分達が行くから、イリゼはオリゼに付き合ってあげて、と言ってくれた。ウィード君も、自分に気を遣わなくていい、と頷いてくれた。私的には、気を遣っていた訳じゃないけど…折角皆がそう言ってくれるのに、私の方が渋るというのもおかしな話。だから私は、そう言ってくれた皆に甘えて…同日、オリゼと一緒に浮遊大陸へと向かった。
「よいしょ、っと」
女神化状態で降下していき、まず抱えていたオリゼに足を着いてもらって、それから私も着地。手を離して、女神化を解いて、ぐるりと浮遊大陸を…浮遊大陸の街中を見回す。
「一先ずここに降りたけど、この場所で良かった?」
「は、はい…っ!きょ、今日はその…私の都合に付き合ってくれて、ありがとうござ……」
降りたのは、教会近くの道路の真ん中。ここで良かったかと訊くと、しっかり頷いた後にオリゼは深く頭を下げようとしたから…それを、私は阻止する。ぽふり、とオリゼの肩を押さえる事で。
「もう、私は複製体だけど、同じ『イリゼ』なんだから、そんなに畏まらないで。…それとも、親しく話すのは嫌…?」
「ぁ…ち、違います…っ!そ、そういう事じゃなくて、嫌でもなくて、え…えっと…そのっ……」
わたわたと慌てて訂正するオリゼは…なんというか、ほんとに小動物感が凄い。全く同じ顔をした、もう一人の自分であり、関係性的には母親とも言えるオリゼのそういう姿を見るのは、かなり何とも言えない心境な訳だけど…同時にちょっと、ほっともする。強く凛々しいオリゼも好きだけど、こういう弱いところや欠点も見えると、よりオリゼを近く感じられるから。……って、もう一人の自分なのに、近い云々って表現するのも変だけどね。
「ふふっ、大丈夫だよオリゼ。…それで…探す目処は、付いてるの?」
「…………」
「あ…いや、問題ない!全然問題ないよっ!むしろ下手に見当を付けるとそれに縛られて視野が狭くなったりする事もあるし、要は結果だよ!最終的に結果が出れば良かろうなんだよっ!」
安心してもらえるように私は笑い、話題を変える事も兼ねてオリゼに今回の目的…自分の力を、女神の力を取り戻す為の手掛かり探しに関する、何かしらの当てはあるのかと訊いてみた。
けど、これが選択としては大失敗。どうやら探す目処は立ってないらしくて、しかも結果的にそれを指摘する形になっちゃったからか、オリゼはぷるぷると震えて泣きそうになり…今度は私が慌ててしまった。慌ててフォローしたものだから、変な口振りにまでなってしまった。
「う、うぅ…そう、ですよね…見つかれば…結果が、出れば…良いん、です…!」
「そ、そうそう!…じゃあまあ取り敢えず、教会から探してみる…?実際に何か見つからなくても、女神として馴染み深い場所を回る事で、身体が調子を取り戻す…って事もあるかもしれないし」
そう私が提案し、オリゼが同意してくれた事で、私達は教会へ。教会は既に別件で調査してるし、何なら前にオリゼも調査してたし、新しい何かが見つかる可能性は低いけど…今の状態のオリゼが調べる事で、違う結果が得られるって可能性もゼロじゃない。それに…さっきは「下手に見当を付けると〜」なんて言ったけど、闇雲に浮遊大陸内を探してたらいつまで経っても終わらないだろうし、雑でも何でも予想を立てて調べていかなきゃキリがない。
「…そういえば…って言っても別に忘れてた訳じゃないけど、今のここって、ほぼオデッセフィアの再現がされているんだよね?」
「そ、そうです。外も、中も、そうです」
「そっか。…本物のオデッセフィアでは、ここに人が…オデッセフィアの国民もいたんだよね…」
教会の中に入り、まずは一通り回ってみる。その中で、オリゼから返答を受けた私は、過去の信次元に…オデッセフィアに思いを馳せる。
私はその国民を知らない。会った事も、話した事もない。でもその人達は、もう一人の私を信仰していた、もう一人の「オリジンハート」が治める国に生きていた人達で…見てみたかった。その人達の事を。その人達が暮らす、オデッセフィアの日常を。
「…す…素敵な、人達が…一杯、いたんですよ…?」
「へ…?」
「今の、信次元…も、素敵な人に…溢れて、います。で、でも…オデッセフィアの、人達も…皆、素敵…だったんですから、ねっ…!」
少しセンチメンタル…っぽい気分になってたところに言われる、オデッセフィアの人達も素敵だった、というオリゼの言葉。そう言うオリゼの表情は、得意げで、楽しげで…そんな顔を見られて嬉しいと同時に、やっぱり少し羨ましかった。
(…それにしても…結局今のオリゼって、どういう状態なんだろう……)
それから数分後。ここは初めて来た場所でもないし、ここまでもずっと一緒に来た訳で…つまり、今はずっと会話が続くような状況じゃない。私もオリゼも、見回しながら歩いていて…ふと、思う。
今オリゼは、女神化出来ない。けど私達にとっては女神の姿こそが本来のもので、普段は人間の姿になっている…というのがより正しい表現。つまり、人の姿になれない…ならまだしも、女神の姿に戻れないというのは何ともおかしい訳で、しかも今回は女神化封印システムや犯罪組織(というか、トリック…?)が有していた同種の首輪みたいな、人間の姿じゃ本領発揮出来ない点を突いた対女神『技術』とも違って、間違いなく狙って引き起こされたものじゃない。
要は…訳が、分からない。長ったらしく表現してるけど、早い話が不調という状態と、人の姿に戻れないという現状がミスマッチしている。……まぁ、それについては想像も出来ない、って訳じゃないんだけどね。不完全な状態の《女神化》を行った結果、女神としての身体に狂いが生じて、普通じゃ起こらない筈の事が起きてるって考えれば、説明は付くし。…漠然とし過ぎてて、浅い説明にしかなっていない、という点に目を瞑ればだけど。
「…まさか、私と同じ状態…?……だったとしても、それだと当てにはならないか…結局私の時は、思いの力と根性で強行突破したようなものだし…」
「ふぇ…?…な、何の話…です……?」
「あっ……き、気にしないで…!」
「……?」
思い返せば私も女神化出来なくなってた事があった。でもその時の事は全く参考にならないとすぐ気付い…たのは良かったけど、ここで私の悪癖が発動。オリゼは初見だったおかげで、きょとんとしていただけだったけど……気を付けなきゃ…オリゼにまで、そういう悪癖があるって知られるのは回避しないと…。
「…ふー…取り敢えず、ぐるっと教会内は回ったけど…何か、感じるものはあった?」
「なかった、です…あ、で、でもっ、もっと細かく探せば……」
「まあ、落ち着いてって。細かく探すんだとしたら、二人は流石に少な過ぎるでしょ?」
「…ぅ…はい、そうです…」
「うん。だから一旦、次の場所を探してみよ?テストは分かるところから、すぐ解けるところからやった方が良い…っていうのと同じだよ」
「…え、えと…イリゼ…テスト、受けた事…あるん、ですか…?」
「それは…まぁ、ないんだけど……」
目をぱちくりさせるオリゼに対し、私は頬を掻きつつ苦笑い。でも内容自体は納得してもらえて、私達は教会の外へ。
「教会が空振りってなると……オリゼ、この辺りで他に馴染みがあるとか、思い入れがあるとか…後は、人を守る為に命懸けの戦いをした場所とかがあったりする?」
「…う、うぅ……」
「…オリゼ?どうかしたの?」
「…ぜ、全部馴染み深く、て…どこも思い入れがある場合は…どうしたら、いいですか…?」
「あー…うん、だよね…今のは私の訊き方が悪かったかな……」
困った顔で聞き返してくるオリゼに、また私は苦笑。ほんとこういう在り方は、尊敬してるんだけど…しちゃうよね、苦笑い。
まあともかく、どこを探すか決めないと次の行動に移れない。そしてオリゼに決めてもらうのは難しそうだと思ったから、私は考え…ようとしたところで、私はオリゼに呼び掛けられる。
「あ、あの…」
「うん?今度はなぁに?」
「わ、私…は、街の外…を探してみようと、思います。イリゼ、は…街の中を、探してみて下さい」
「…二手に別れる、って事?いやでも、環境的には街の中の方が安全だろうし、別れるなら担当は逆の方が……」
「…イリゼ、オデッセフィアの地形…とか、環境とか…わ、分かりますか…?」
「あっ……」
じっと見ての発言に、はっとする私。確かにオリゼが考える通り、私は浮遊大陸内を…再現されたオデッセフィアを熟知してる訳じゃない。勿論飛べば迷子にはならないだろうけど、空から見下ろすだけじゃ見えるものは限られてくる。知らないという意味では、街中だって教会周辺以外は同じようなものだけど、どちらにせよ知らないのなら、まだ街中の方が動き易いというのは自明の理。それに…女神化出来ないと言っても、技術や経験までが引き出せなくなってる訳じゃない。少なくともモンスター相手なら、群れ相手でも返り討ちに出来るに決まってる。
「…そうだね、それじゃあ二手に分かれようか。でも街中にしろ外にしろ、今日だけで回り切るのは無理だろうし…」
オリゼからの提案に同意し、私達は合流の時間を打ち合わせ。それから私は、街の外に向かうオリゼを見送って…その後視線を、自分の担当である街の中へ。
「さぁて、オリゼの為にどんな小さな手掛かりでも見逃さないぞ…!…って、思ったけど……」
感情を言葉にしながら、私は胸の前で右手を握る。そして、やる気を心の中で燃やし、まずは今いる通りから探し始めようとして…気付いた。……手掛かりも何も、何を見つければ良いんだろう、って。
「……あちゃー…」
あまりにもうっかりとし過ぎてるミスに、私は自分の額を押さえる。
そもそもが漠然としている、多分ダメ元の捜索。それでもオリゼ自身なら何か感じられるかもしれない、と思ってきた訳だけど…というか、オリゼの感覚頼りなら、それこそオリゼと分かれてどうするんだって話。これは不味いと思って振り返るけど…オリゼは駆けて行ってしまった事もあり、もうその姿はどこにもない。
「…まぁ、回ってみるだけ回ってみようかな。ほら、私だってイリゼだし。オリゼに出来て、私に出来ない筈がない…みたいな感じで。……なんか微妙に間違ってる気もするけど…」
某クローンの方みたいな事を言いつつ、内心この状況に乾いた笑いを漏らしつつも、ぼーっと立ってるよりは意味がある筈と捜索開始。目で何か見つける…というより、直感や本能で…もう一人のイリゼとして、何かあるならそれを感じ取ろうと、そんなスタンスで歩いていく。
(…って言っても、直感って別にセンサーとかレーダーみたいなものでもないしなぁ……)
戦闘において私は、これまで何度も直感や本能に助けられている。けど任意に発動させられるようなものでもないから、とにかくやっている事の不毛さが凄い。
「…女神化すれば、何か変わるかな……」
人間の姿より女神の姿の方が、感じられるかもしれない。ふとそう思い付いた私は、案ずるより産むが易しの発想で早速女神化。すると女神化によりちょっぴり視界が高くなり、感覚器官の精度が上がって……お終い。女神化した事で、今まで感じなかった何かの気配が…!……なんて事はなかった。…まぁ、そうだよねぇ…。
「……よし。ちょっと意識を変えよう」
何とも言えない気持ちになった私は、自分自身へ提案をするように言う。単に何かを見つける、感じ取るってだけじゃなくて、街の作りや特徴を覚えるつもりで回ってみるのはどうだろう、と。
勿論、本来の目的を忘れたり、おそろかになってしまっては本末転倒。でも探す対象も探す方法もぼんやりとしている事だけをするより、明確且つ成果がすぐに出てくる目的も一緒に行った方が絶対調子も乗る訳で、私はそうする事に決定。
仮に今日オリゼの女神化へ繋がる何かを見つける事が出来なくても、街の作りを少しでも覚えておけば、次回以降の捜索や別件での行動で役に立つかもしれない。つまり、今やっている事は絶対に無駄にはならない。…そんな事も考えながら、私は捜索を進めていく。
*
「わっ…やっぱり建物の外観だけじゃなくて、中も結構違うものなのか……」
今私がいるのは、多分オデッセフィアとしては何の変哲もない、普通の民家の内の一つ。玄関口から、その家の中に入って…思った事を、そのまま口にする。
ここまで私は、大通りを中心に、心が指し示す方向や場所へと歩き回っていた。…と、表現すると格好良いけど、別に「この胸の高鳴りを信じて…!」…とかではなく、実際は単なる勘な訳で、その勘も今のところ当たりを引くには至っていない。
「…でも、机とか椅子とかはあんまり変わってないし…機能って点では、オリゼの頃からもう一定の完成に至ってたって事かな……」
ぱっと見、この家の内装は現代で言う「普通」とは結構違う。けど一つ一つの家具をよく見れば、デザインや大きさはそこそこ違っていても、その家具が持つ「機能」の部分はそんなに変わっていない。そしてどんな分野においても、発展っていうのは現状に不満があったり、こういう事が出来たらなぁ…って思いから生まれるものだから、現段階で不満はない、満足してるってものは、発展もし辛いって事なんだと思う。…勿論、だからって今の信次元は停滞ばかりしてる訳でもないし、私の考えは物事の一側面に過ぎないんだろうけど。
(…ここって、どうなるんだろう……)
数分後、民家の探索も終えた私は、「無人でもやっぱり言わないと気持ち悪いな…」と思って、お邪魔しましたと言いながら民家の外に。通りに出て、歩みを進めて…また、考える。
くろめ達が作り出し、オリゼが改変し、今の状態となった浮遊大陸。でもこれは、今後どうなるのか。いつかは消えてしまうのか、それとも存在し続けるのか。存在し続けるなら、何かに……
「…って、いけないいけない。思考にどっぷり嵌まり過ぎると、どっちの目的も果たせなくなる……」
ふるふると頭を横に振り、私は広がっていた思考をリセット。どうも私は考え事をし出すと意識を持っていかれがちというか、悪癖もそういう部分が原因なのかもしれない。……治したい、本当に。
「…合流の時間まではまだある…だったら、もう少しあっちまで行ってみようかな」
時間を確認し、私は歩いていく。まだ女神の姿をしてるから、一気に移動する事も出来るけど、道中で何か感じられるかもしれないから急がず普通に歩いて進む。
そうして次にまた私が足を止めたのは、噴水のある大きな広場。枯れているのか、枯れる以前に流れる水までは再現しなかったのかは分からないけど、噴水に水は一滴もなく…それが誰もいない街、綺麗だけど静かな街並みと共に、私へ寂しさを感じさせる。
「…………」
ゆっくりと、広場を見回す。広さや作りからして、多分ここは何かの行事に…お祭りなんかの時に使われていたんじゃないかと思う。
再現された、オデッセフィア。でも、再現としては不完全。それは、浮遊大陸の面積的な部分もあるけど……一番は、人がいないから。国っていうのは、人があって成り立つ、その意味を持つものだから。
私は知らない。オデッセフィアを、当時の信次元を。でも、想像は出来る。この街を歩く、人々の姿を。遊ぶ子供達や、商売に勤しむ人や、それぞれの生活を送る住人の……一人一人の、毎日を。…だから、寂しいんだ。本来のオデッセフィアにはそれがあったんだって分かるから。それが温かいものだって、当時を知らなくても感じられるから。私もオリゼも、同じ『イリゼ』だけど…してきた事、歩んできた道は、まるで違うから。
(…もし、私がイストワールさんの様に、オリゼのサポートをする存在として生み出されていたら…もしも私とオリゼの立場が、逆だったら……)
知らない相手なのに寂しく思うのは、オリゼを羨ましく思うのは…きっと、私も女神だから。今の私には信仰してくれる人もいて、その人達との交流もあるけど…自分の守る、自分が導かんとする国への憧れとでも言うべきものが…今の私には、確かにある。国はあくまで人が幸せに過ごせる体制の一つ…言ってしまえば手段であって、目的じゃないんだけど……この思いは、理屈じゃない。
だからこそ、思った。私もオデッセフィアの時代にいられたらって。もしそうであったのなら、充実した毎日だっただろうって。…だけど……
「…そうじゃなかったから…ネプテューヌ達が守護する、皆が生きている、今の時代で目覚めたからこそ、私は皆に出会えた…これも私にとっては、幸せなんだもんね」
オデッセフィアの時代にいられたのなら、それも幸せだとは思うけど、今が不幸な訳じゃない。今の時代に目覚めて、これまでしてきた事、積み重ねてきた事も、私にとってはかけがえのない大切な思い出。だとしたら……私は凄く、恵まれた存在なのかもしれない。だって、今が幸せで…その上で、違う時代にいたとしても、幸せだったと思えるんだから。
「…ふふっ」
私は、思う。本当に、誰かとの繋がりは…絆は、温かいって。幸せな思いにしてくれるって。
もう一度、私は見回す。さっきと同じで、ここは寂しい街の中で……でも今度は、ちょっぴりだけど温かさのようなものも感じられた。
「……って、だから当初の目的ぃぃ……」
ほっこりした気持ちで、自然な笑みを浮かべていた数秒後。またまたやるべき事を忘れていた私は、情けなさのあまり頭を抱えてしゃがみ込む。
我ながら、流石にちょっと忘れ過ぎだと思う。しかも女神の姿でそれをやっているんだから、尚更これはタチが悪い。…いや、思考の部分は女神化していようがしていまいがほぼ変わらないんだろうけども…。
「うぅん…どうしよ。少し早いけど、一回合流場所に戻ろうかな…」
二度ある事は三度ある…じゃないけど、なんかこの調子だと、また別の事に意識が持っていかれるかもしれない。そしてそのせいで合流時間に遅れたらどうなるか。……うん、間違いなくオリゼが不安がる。泣いてしまう可能性も十分ある。…絶対遅れる訳にはいかない…。
という事で、私は合流場所へと移動。まだ余裕自体はあるから、見てきた道を振り返るように、記憶に定着させるようにして進んでいく。
(到着、っと。オリゼは…まだみたいだね)
そうして戻った私は、一度女神化を解いてぐるりと見回す。オリゼの姿はないけど、まだ時間にはなっていないんだから、別におかしな事でもない。
「オリゼ、何か見つけられてると良いんだけど…。…というか、何かにびっくりして泣いちゃってる、とかじゃないと良いんだけど……」
なんか、もう一人の自分にして母親同然でもある存在に対する思考としては変な気もするけど…それについては置いておく。何をしたって時間の流れは変わらないんだから、落ち着いて決めていた時間になるのを待つ。
そして、時間になった。結果に関わらず、この時間までに一度は合流しようという段階に至った。…でもまだ、オリゼの姿は見えてこない。
「…おかしいな…まさか、小動物を追い掛けるのに夢中で時間を忘れてるとか…?…いやいや、そんな事……ないとも言い切れないや…はは…」
蝶々に夢中になって川に落ちた事もあるオリゼだから、ほんとにそういう理由かもしれない。半端な脅威なら余裕で乗り切れる筈だからこそ、そういう苦笑いを禁じ得ないような理由の方が真実味がある。
さて、それならどうするか。待つか、探しにいくか。でも、入れ違いになる可能性もあるし、すぐに動くのは不味いかもしれない。もう少し待ってみて、明らかにおかしいってなるまでは動かない方が……そこまで思った時だった。
私の視界に映る、街の外。人の手が加わっていない、大自然そのもの。その一角で、遠くからでも見える程の砂煙が…少なくとも、平常時の自然じゃまず巻き上がらないと言えるような、大きな砂塵が上がったのは。
今回のパロディ解説
・「〜〜最終的に結果〜〜なんだよっ!」
ジョジョの奇妙な冒険 戦闘流潮に登場するキャラの一人、カーズの名台詞の一つのパロディ。…イリゼは影武者ではなく複製体ですね。見た目は確かに同じですが。
・「〜〜オリゼに出来て、私に出来ない筈がない〜〜」
機動戦士ガンダムSEEDに登場するキャラの一人、ラウ・ル・クルーゼの台詞の一つのパロディ。複製体なのでクローンっぽいですが、親子関係的には逆ですね。
・「この胸の高鳴りを信じて…!」
IDOLY PRIDEに登場するキャラの一人、川咲さくらの台詞の一つのパロディ。…これ、分かった人いたでしょうか。これだけだと、分かり辛い気もします……。