超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed   作:シモツキ

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第二話 次はどうする?

 神次元…っていう世界に、僕とグレイブは飛ばされた。いきなり過ぎるし、しかも突然の空だったしで、最初はとんでもない事になっちゃったと思ったんだけど…そこで僕とグレイブは、イリゼやピーシェと再会した。確かにまた会いたいとは思っていたけど、まさかこんな形でなんて思ってもみなくて、しかもそこでは同じようにそれぞれの世界から飛ばされてきた人達や、ピーシェと一緒に生活をしている人達とも出会えた。色々大変な事もあったけど…凄く楽しい、良い思い出も沢山作れる、そんな経験を僕達はした。

 それから僕達は、モンスターはモンスターでも、ポケットモンスター…ポケモンのいる僕達の世界に戻ってきて、少し休んで、それからまた旅を再開した。色々な場所に行って、沢山のポケモンと出会って、いつも無茶苦茶なグレイブに振り回される、いつもの旅に。それも僕にとっては楽しいもので、「あぁ、戻ってきたんだなぁ…」って感じがした。

 その旅も暫く続けたある日、僕はあるポケモンを連れて、まどろみの森という場所に来ていた。まどろみの森は奥にさえ入らなければ殆ど一本道で、散歩をするには丁度良いと思ってきた…ん、だけど……。

 

「……え、えぇぇぇぇ…?」

 

──気が付いたら僕は、全然知らない場所にいた。何だか森の景色がおかしくて、変だと思って引き返そうとしたら、明らかに道が違っていて…やっと森を抜けられたと思ったら、どこを見ても全然違う場所だった。

 

「……!そ、そうだタウンマップ…って、機能してない……」

 

 これならきっと場所が分かる、と思って開いてみた僕だけど、マップは全然機能してくれない。これは対応していない場所で開いた時と同じ反応で…じゃあここは、まどろみの森どころかガラル地方ですらないって事…?

 

(どうしよう…普段なら皆の力を借りて色々調べるところだけど、今はこの子しかいないし……)

 

 今いるのは、最近捕まえたばかりの一匹だけ。この子は素直で、将来性もあるとは思うけど、今この状況を何とかしてくれそうかっていうと……

 

「…いや、いきなり頼り切りでどうするんだ僕。まずは自分で、やれるだけやってみないと…!」

 

 自分の中の後ろ向きな考えを追い出すみたいに、首を横に振るう僕。確かに今、僕は何にも分からない状況だけど…遠くには、街みたいなのも見えている。これまでの旅で、色んな経験だってしてる。なら…まずは、頑張らないと…!

 

「よし…!」

 

 そうして僕は、街へと向かった。いつもの旅と同じように。これまでの経験を、思い出して。

 

 

 

 

 プラネテューヌに向かおうとした矢先、ベールからかかってきた電話。デジャヴ感が凄まじいその切り出しに、まさかと私が思う中、ベールが口にしたのは愛月君の名前。

 

「…と、いう訳で…一度、先にリーンボックスに行く事になりました、はい…」

「また一段と、凄い事になってきたわね…」

 

 電話の内容を話し、私が伝えた予定の変更。それを聞いたブランは、何とも言えない局地みたいな顔をしていた。…うん、するよ…そりゃするよ…だって、もう一人別次元…というか別世界からの来訪者がいて、同じような状況に置かれてるって事なんだもん…。

 

「イリゼ、リーンボックス、行く。…イリスも、行く?」

「あー、っと…出来れば付いてきてほしい、かな。向こうで何か分かるかもしれないし、その後は今度こそプラネテューヌに行くつもりだし…」

「ん、分かった。リーンボックスは、雄大。リーンボックスも、気になる」

 

 付いてきてほしいという旨を伝えると、イリスちゃんは即座に了承。余程ルウィー以外の国に興味があるのか、それとも「自分が今いる場所」に関しては無頓着なのか。とにかくイリスちゃんからの同意を得た私は、携帯端末を仕舞って今度こそ女神化。

 

「おぉ…イリゼ、大きくなった。ブランと違う」

「うっ……」

「は、はは…じゃあ行こっか、イリスちゃん」

 

 無垢な発言にダメージを受けてしまうブラン。返す言葉の見つからなかった私は、ただ乾いた笑いを漏らし、それからイリスちゃんに手を伸ばして……だけどイリスちゃんは、私ではなくブランを見ていた。何かを待つように、じっと。

 

「…イリスちゃん?」

「…ブランは、歩いて行く?なら、イリスも歩いて行く」

「え?…あ……」

 

 ブランを見たままのイリスちゃんの発言で、私は自分の失念に気付く。そうか、イリスちゃんはブランも一緒に来ると思っていたのか、と。

 そして今の言い方からして、イリスちゃんはブランと行く事を望んでいる。というより、その前提で考えている。ブランと同じ方法で行く、ブランと一緒に行く…と。

 

「…イリス、わたしは……」

「…ブラン、来ない…?イリス、ブランと、行けない…?」

「う……」

 

 見るからに変わる、ブランの表情。イリスちゃんの声音は変わらないし、表情も私からは見えないけど、見るまでもなくこれは分かる。これは…断れる訳がない……!

 

「…ちょ、ちょっと待ってて…!」

 

 反転し、教会の中へと戻るブラン。『?』と私達が揃ってきょとんとしていると、数分程度でブランは戻ってきて……

 

「ミナに暫く出掛けてくると伝えてきたわ。だから…安心しなさい、イリス。わたしも行くわ」

「ほんと?わーい」

「よ、喜んでもらえて良かったわ…」

 

…という訳で、リーンボックスにはブランも同行する事になった。そして一緒に行けると分かったイリスちゃんは、両手を挙げて喜んでいた。…顔は無表情のままだったけど。

 

「んじゃ、行くか。しっかり掴まってろよ、イリス」

「分かった。イリス、ブラン離さない」

「い、いや手を握れって意味じゃなくてでな…」

 

 紆余曲折の末、女神化したブランと共に私達はリーンボックスへ。一度は勘違いしてブランの右手をぎゅっと握っていたイリスちゃんをブランが抱え、一直線にリーンボックスへと向かっていく。

 

「おー…風、強い。色々なもの、見える。これは、新しい感覚」

「イリスちゃん、怖かったりしない?」

「大丈夫。ブランの腕の中、安心」

「…そっか」

 

 しきりに色々な方向を見るイリスちゃんに話しかけると、帰ってきたのはそんな言葉。少し視線を上げてみれば、ブランはほんのりと照れた様子の表情をしていて…ふふっ。イリスちゃん、声や表情は淡白だけど、凄く素直に気持ちや思いを表してくれるんだよね。

 

「…っと、見えてきた。イリスちゃん、あの辺りから先がリーンボックスだよ」

「…リーンボックス、緑、多い。雪、ない。雪、降らない?」

「…まあ、少なくとも雪が毎日当たり前にある環境ではねぇな」

 

 そうして私達は国境を超え、生活圏内に入り、一直線に教会へ。敷地内に降りたところで女神化を解き(この時、ブランに言われるまで着地してもまだイリスちゃんは強く掴まっていた)、中へと入る。

 

(さっき電話したら、応接室まで来てほしいって言ってたけど…何だろう、手を離せない用事でもあるのかな…)

 

 職員さんに声を掛け、奥へと進む私達三人。応接室の前に着いたところで足を止めて、私が扉を数度ノック。するとベールの返事が返ってきたから、私は愛月君が本当に来てしまったのかと思いつつ扉を開け……

 

「漸く来ましたのね、イリゼ。ほら、愛月君。イリゼが来ましたわよ」

「…………」

「…………」

「……?」

 

……ると、確かにそこにはベールと共に、愛月君がいた。ソファで、ベールに膝枕されている状態で。寝ている愛月君を、ベールが膝枕している状態で。

 

「…幾ら何でも、それはどうかと思うわベール」

「うん…流石に、それはちょっと……」

「へ……?…あ、し、失礼な…!わたくし何もしていませんわよ…!?」

 

 遂に一線を超えてしまったのか…とドン引きする私とブラン。これは酷い…ベール、ベールは何だかんだ言っても良識的で分別のある、道徳心溢れる女神だと思っていたのに……。

 

「何もしてないのに、膝枕なんて普通する…?」

「これは色々話を聞いている内に、彼が寝てしまっただけですわ…!生活圏内から歩いてきたようですし、状況を考えれば心身の疲労で眠くなるのも当然でしょう…!?」

「だとしても、会ったばかりの異性、それも別次元…というか別世界の人に膝枕なんて……」

『…イリゼ?』

「…ま、まぁ…結果的にそうなっちゃった、って事はあるかもね…(よく考えたら私もした事あったぁぁぁぁ……)」

 

 気付けば自分の首を締めていた私は、軽く目を逸らしつつ内心でずかーんと項垂れる。一方のベールは不服そうに、でも愛月君を気にしてかその場を動く様子はなくて…その愛月君は、ベールに後頭部を向ける形ですぅすぅと寝ていた。まだ幼さの残る、少年的な愛らしさを持った寝顔で、規則正しく寝息を立てて。

 けどそれも、僅かな間の事。ここまでの私達のやり取りが眠りを浅くしたのか、愛月君の瞼が震え…それからゆっくりと目を開く。

 

「…ん、ん…ふぁ、ぁ……あぇ…?…あ、イリゼ…!」

「あ……お待たせ、愛月君。来るのが遅くなっちゃって、ごめんね」

「う、ううん!全然いい、全然いいよ!…う、うぅ…良かったぁぁ……」

 

 ぽけーっとした顔で私達の方を見た数秒後、意識が覚醒したようにぱっと跳ね起きる愛月君。私が謝罪を口にすると、愛月君はぶんぶんと首を横に振って、深い安堵の表情を見せる。

…確かにそうだ。イリスちゃんもそうだけど、愛月君だって私より幼い。その愛月君が、いきなり別世界に飛ばされれば不安で不安で仕方なくなるだろうし…それでも生活圏外からここまで辿り着けた辺りは、流石旅慣れたトレーナーだと思う。

 

「…ベールに何かされなかった?」

「え?されてないよ?ベールさん、ずっと優しく接してくれたし…」

「ま、まだ疑うんですの…!?」

 

 半分は冗談で、もう半分は一応の気持ちで訊いてみたけど、どうやら本当にベールは何もしていない様子。…流石にこれは、しつこかったかな。

 

「ごめんごめん、ベール。…ともかく無事で良かったよ。いや、勿論こういう事態になってる時点で、無事ではないけども…」

「びっくりしたよ、気が付いたら知らない場所に来てて…けど、またイリゼと会えたのは嬉しいかな。久し振りだし」

「……え?」

「……?イリゼ…?」

「久し振りって…待って、確かに正確な時間は分からないのかもだけど…それでもちょっと振り、少なくとも久し振りなんて言う程は経ってなくない…?」

「へ?だって…二ヶ月、だよ…?」

「……!」

 

 思考を切り替え、愛月君が怪我をしなかった事を一先ず喜ぶ私だけど…返ってきたのは、思わぬ言葉。

 二ヶ月。確かに今、愛月君はそう言った。けれど私は信次元に戻ってきてから、まだ一日も経っていない。事態が事態だから、数日位の勘違いはあってもおかしくないとはいえ…一日未満と二ヶ月は、どう考えたって勘違いの粋じゃない。

 

(…いや、でも……)

 

 だけどすぐに私は思い出す。前にもこういう事が…私の認識よりずっと、別次元では時間が経っているという事があった。そして文字通り「別次元」な以上、時間が同期していない事は…別におかしな事でもない。…まあ、精神的には釈然としない部分がなくもないけど…。

 

「…あ、そうだ愛月君!グレイブ君は…?」

「グレイブは…どうなんだろう。今回は一緒にいなかったから…」

「そうなんだ…来てるかもしれないし、来てないかもしれない…いや、別の次元に飛ばされたって事もあるのか……」

「うん…でも、グレイブの事ならどこでも大丈夫そうじゃない?ここに来てるなら、僕より先に連絡手段確保して、イリゼと連絡取りそうだし」

「は、はは…確かにグレイブ君ならそれ位しそうかも…」

 

 冗談みたいな話だけど、実際それ位の安心感…又はぶっ飛び感があるのがグレイブ君。とはいえグレイブ君だってまだ子供である事には変わりないんだから、情報収集はしておかないと…。

 

「…ところで、イリゼ、ブラン。そちらの子はどなたでして?」

「…イリスの事?」

 

 と、そこでベールは私達に訪ねてくる。確かにそうだ、イリスちゃんの事は話してないんだから、ベールが気になるのも当然の話。

 それに、私はこの場にいる全員の事を知っているけど、皆はそうじゃない。だから私は、これまでの経緯とそれぞれの事を軽く話し…イリスちゃん愛月君も、自己紹介。

 

「えっと、僕は愛月。よく分からないんだけど、別の世界から飛ばされてきちゃったみたいで…イリゼとは、僕の世界で出会ったんだ。宜しくね」

「ん…愛月、覚えた。私はイリス。も……」

『……?』

「…桃は甘くて美味しい。宜しく」

((何故に桃……?))

 

……やっぱり何か隠さなきゃいけない事でもあるのか、イリスちゃんは謎の情報を口に。…「も」から始まる、何を隠してるんだろう……。

 

「うーん、それにしても…同日に二人も、それもそれぞれ別の次元、別の世界から…っていうのは流石に驚きだよね。いや、直近…愛月君からすれば二ヶ月前に、これより更に凄い事態があった訳だけども……」

「いや、そもそも別次元や別世界から飛ばされて来るって事自体、驚きだと思うわよ…?」

「い、言われてみれば確かに……」

 

 言われて初めて気付く、自分の中にあった「一人位ならまだ分かる」…という恐ろしい認識。…ほ、ほんとに慣れって怖いものだね…。

 

「まあそれはともかく…これからどうするんでして?何が出来る事があれば、協力致しますわよ?」

「ありがと、ベール。けどまずは、イストワールさんに相談かな。次元間の話な訳だし。…って訳で愛月君。これからプラネテューヌっていう国に移動したいんだけど、良いかな?」

「勿論。僕も、何か出来る事があればやるから言ってね?」

 

 想定外の事態で…いや、元々想定外の事態だけど…一度リーンボックスに来たけど、今度こそ私達はプラネテューヌへ。イストワールさんなら何とかしてくれる…とは限らないけど、取り敢えずは行かなきゃ始まらない。…と、いうか…愛月君の一人称って僕だっけ…?

 

「じゃ、行くね。また何かあれば連絡するから」

「えぇ、お待ちしておりますわ」

「…あ、待ってイリゼ」

 

 そんな事を考えつつも、私達は再び外に出て女神化。もう分かっているとばかりに抱えられる準備(?)をイリスちゃんは済ませ、私も愛月君を抱えようとしたところで、愛月君はくるりと振り向きベールの方へ。

 

「どうかしたんですの?」

「うん。えと…助けてくれて、ありがとうございましたっ!」

「…ふふっ。気にしなくても良いんですのよ。困っている子に力を貸す、それは女神として…いえ、大人として当然の事なんですもの」

 

 ぺこり、と頭を下げた愛月君が伝えたのは、感謝の言葉。それを聞いたベールは、初め目を丸くして…それから顔を上げた愛月君の頭を、優しく撫でる。

 穏やかな声と、柔らかな表情。撫で方が上手いからか、愛月君は心地良さそうにしていて、その表情を見たベールは、何かあればまた頼っていい…そう言っているかのような微笑みを浮かべていて……

 

「…あれはもう、お姉さんを超えて母性的な何かだよね……」

「だな……」

 

…何故か向こうの神次元ではやたらとお母さん呼びされる事となった私だけど、私からすれば、今のベールの方がよっぽど包容力のあるお母さんっぽい雰囲気だった。

 

 

 

 

 リーンボックスから離れていく。

 愛月、というのはイリスと同じように…別、世界?…から来たらしい。

 別世界、別次元…どう違うのか、イリスには分からない。ブラン達は、使い分けている?

 

「わぁぁ…ね、イリゼ。あっちがプラネテューヌ?…って国なんだよね?」

「そうだよ愛月君。やっぱり色んな地方を旅してる身としては、見た事ない場所行くのは興奮する?」

「うん!新しい場所は、発見も沢山あるからね!」

 

 これから行くのはプラネテューヌ、尖った国。

 もう少しリーンボックスの事を知りたかったけど、我慢。

 今は、イストワール?…に、会うのが優先。

 

「…………」

「イリス、リーンボックスが気になるのか?」

「…ブラン、心が読める?」

「そりゃ、リーンボックスの方をじーっと見てりゃ誰だってそう思うさ」

 

 ブランは言う。イリスがリーンボックスを見ていたから、気になると分かったのだと。

 見ていると、気になる?…う、違う気がする。

 

 見るという事は、情報を得ようとする事。見続けるという事は、しっかり情報を得ようとする事。

 だから、気になると思った?…これなら、理解出来る。

 やはり、ブランは賢い。

 

「ね、イリスちゃん。イリスちゃんも、違う世界から来たんだよね?イリスちゃんの世界…じゃなくて、次元?…は、どんな所なの?」

「イリス、まだよく知らない。…ので、勉強中。でも、知っている事もある」

「へぇ、どんな事?」

 

 そんな事を考えていたら、愛月が話しかけてきた。

 愛月は、イリスの知識に興味を持っている。

…はっ、これは賢くなったイリスの事を、見せるチャンス…?

 

「…これはチャンス、逃さない」

『……?』

「ん…イリス、教える。ルウィーは、夢見る。リーンボックスは、雄大。ラステイションは、重厚。そしてプラネテューヌは……尖っている」

「うぇ…?…あ、そ、そう…なんだ……」

 

 イリスの的確且つ、無駄のない説明。愛月からの質問はこない。

 つまり、愛月は今の説明で理解したという事。ブランもイリゼも少し変な顔だけど、多分笑っている。

 見事に説明を果たした。とても気分が良い。ふんす。

 

「あはは…っと、ほら。そろそろ二人にも見えてきたんじゃない?あれがプラネテューヌで一番高い建物、教会を内包するプラネタワーだよ」

『おぉ……!』

 

 そう言ってイリゼが指差した先にあったのは…大きい、大きい建物。

 あれが、プラネタワー。…プラネテューヌだから、プラネタワー?

…分からない、けど確かに尖っている。

 

「大きいなぁ…見た目的にも、バトルタワーと似てるかも……」

「バトルタワー?そりゃ、愛月の世界の建物か?」

「あ、うん。ローズタワーって建物が元になったやつとか、バトルフロンティアにあるやつとかがあって……」

『ば、バトル級超大型可変万能ステルス攻撃宇宙空母に…!?』

「そ、そっちじゃないよ!?確かにそっちもバトルフロンティアだけど!」

 

 よく分からないやり取りをするブラン達。

 何の話か分からない。けれど面白そう。

 イリスもいつか、こんな話をしてみたい。

 

「それじゃ、そろそろ降下するからちゃんと掴まっててね?」

「はーい」

「イリスも…って、イリスは言うまでもねぇか」

「…イリス、言ってもらえない?」

「あー……イリスもちゃんと掴まっとけ」

「大丈夫、ちゃんと掴まってる」

「だろうな、知ってる……」

 

 そうしてリーンボックスの時と同じように空から地上へ。

 降りて、プラネタワーの中に入って、今度は上に。

 外からは、ベランダ?…みたいなのも見えた。けど、訊いたら「そういう所から入るのは行儀が悪い」から駄目と言われた。

 

 行儀。行儀はまだ知らない…けど、イリスが言ったのは行儀が「悪い」らしい。

 悪い事は、しない。だから、それはいけない事だと覚えておく。

 

「失礼します、イストワールさん」

「はい、お待ちしておりました。そちらがイリゼさんの言っていた方々ですね?

(´・ω・`)」

 

 連れてこられた部屋にいたのは……小さい人。

 ロムとラムよりも、イリスよりも小さい。羽が生えていて、本に乗っている。

……あ。

 

「…イリス、知ってる」

「あれ?イリスちゃん、イストワールさんの事は知ってるの?」

「絵本で見た事がある。名前は違うけど、妖精。…イリスを飛べるようにしてくれる?」

「あ、それは人違いですね…確かにまぁ、サイズ的には似ているかもですが……

( ̄▽ ̄;)」

 

 大きさも、髪の色も、羽がある事も似ている。

 でも、違うらしい。…残念。

 

「イストワールさん…やっぱり同じ名前だと、見た目も同じなんだね…」

「うん、名前…というか、完全に『別次元の同一人物』だからね。…それでイストワールさん、二人の事なんですが……」

「分かっています。お二人の元いた世界、そちらとの接続、それぞれを早速調べてみようと思いますが……」

「あ、もしかして……」

「…すみません。最低三日はかかると思います(´ω`)」

「おぉー…こっちでもやっぱり三日はかかるんだ…!」

 

 ……?

 愛月が楽しそうにしている。

 でも、何故?面白そうな事、あった?

 

「愛月。三日かかると、楽しい?」

「あ、ううん。前に別次元のイストワールさんも、同じ事を言ってたんだ。だからそれが面白くて」

「……?同じ事を言うと、面白い…?…難しい…」

 

 聞いても分からない、これは困った。

 けど、思い出す。ブランの手、温かい。イリスを知ってるブランも、イリスを知らないブランも、温かい。

 だから、嬉しい。それと同じ、かもしれない。

 

「…いつも、すみません。こういう事態になると、すぐイストワールさん頼りになってしまって……」

「気にする事はありませんよ、わたしもお二人を放置は出来ませんし。…それに、嘗て…いえ直近でも、イリゼさんは別次元のわたしに助けられている訳です。ならばわたしも別次元の方を助けなければ、『信次元のイストワール』として名折れですからね(´・∀・`)」

「イストワールさん…はい。それでは…宜しくお願いします」

「あ…僕も、お願いします!」

「…お願い、します」

 

 イリゼと愛月が、イストワールに頭を下げる。

 そのイストワールは、イリスが帰れるように頑張ってくれるらしい。

 だから、イリスも真似をする。お願いします、と言う。

 

「ふふ、畏まりました。では、お二人の事を少々調べさせて頂くとして…この後は、どうするんです?(・・?)」

「この後、ですか?」

「三日間、或いはそれ以上の間の行動の事です。今は状況が状況なので、予定通りの事が出来るとは限りませんが……(。-_-。)」

 

 お願いしますの後に、イリゼとイストワールが話し合う。

 それを眺めていると、イストワールが黙ったところでイリゼがこっちを見て、言う。

 

「んー…二人共、何かしてみたい事とか、見てみたいものってある?」

「うーん……あ、街は色々見てみたいな。それと…そうだ、るーちゃん!るーちゃんも元気なんだよね?」

「ふふっ、勿論。イリスちゃんはどう?」

「ん、イリスも街、気になる」

「そっか、じゃあ今日…にするかどうかは別として…街の中、色々行ってみよっか」

 

 プラネテューヌ、尖っていた。

 でも、もっと知りたい。もっと見たい。

 そう言うと、イリゼは頷いてくれた。行ける事になった。…イリゼは、親切。

 

 イリス、大変な事になった。ブランもいて、ミナもいるのに、違うらしい。

 だけど、ここでも色々知る事が出来そうな気がする。

 だから、イリス…少し、楽しみ。




今回のパロディ解説

・「…これはチャンス、逃さない」
進撃の巨人の主人公、エレン・イェーガーの台詞の一つのパロディ。イリスと巨人……い、イリスは食べかねない気がします。あまり想像はしたくないですが…。

・『ば、バトル級〜〜宇宙空母に…!?』
マクロスfrontierに登場する艦船の一つ、バトル・フロンティアの事。バトルフロンティアと言えばポケモンですが、こちらを連想する人も少なからずいると思います。

・「〜〜イリスを飛べるようにしてくれる?」
ピーター・パンに登場するキャラの一人、ティンカー・ベルの事。イストワールは元々妖精みたいな見た目をしていますし、そう思うのも無理はない…のかもですね。
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