超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed   作:シモツキ

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第五話 遊んで、食べて、話して

 二人を連れて、二人と一緒に行く、プラネテューヌの街へのお出掛け。まずはゲームセンターに行き、そこで遊んだ。そこではイリスちゃんが音にびっくりしてまたしゃがみ込んじゃったり、愛月君の意外な才能を知る事になったり、予想外の事も色々あったけど…そこでは楽しい時間を過ごせた。

 そのゲームセンターを出た後はたこ焼きを食べたんだけど…そこでもイリスちゃんはたこ焼きを冷まさずに食べちゃったのか、ちょっとしたハプニングが起きた。その時は理由が分かって、思わず愛月君と苦笑いし合ったけども、これは気を付けた方が良いのかもしれない。今回は熱い思いをしただけで済んだみたいだけど、似たような事があった時、今度は火傷してしまうかもしれないし。

 ともかく、ゲームセンターとたこ焼きを経て、私達はまた街中を歩いている。さて、次はどこに行こうかな?

 

「イリスちゃん。イリスちゃんは、普段ルウィー?…の教会で暮らしてるんだっけ?」

「そう。イリス、ミナとブラン、ロムとラムの家族。ミナは母。ブランとロムとラムは姉。イリス、末っ子」

「そっかそっか、末っ子かぁ…僕も偶に、グレイブといると弟に見られる事あるんだよね…」

「グレイブ…愛月の、友達?」

「うん。友達で、旅の仲間…って感じでもあるかな」

 

 イリスちゃんを挟む形で、私達三人は歩いている。今もイリスちゃんとは手を握っていて、その手は少し冷たいけど…この小さくて柔らかな手は、握っていると心地が良い。…ろ、ロリコンではないよ!?小さい子の手は、大概誰でも心地良いって思うものでしょ!?

……ごほん。それはさておき、イリスちゃんと愛月君の関係は良好。新たに出会ったイリスちゃんと、再会出来た愛月君が仲良くなってくれるのは、私としても嬉しい事で…っと、そうだ。

 

「イリスちゃん、まだ脚が疲れたりとかしてない?」

「大丈夫。疲れてない」

「それなら良かった。でも、疲れたり痛くなったりしたら言ってね?」

 

 まだそこまで歩き回っていないとはいえ、イリスちゃんはまだ小さい子。念の為と思って訊いてみたけど、今のところは平気な様子。とはいえイリスちゃん、あまり感情が顔に出ないタイプみたいだし、気を配っておかないと…。

…と、思っていたら、何やら愛月君から不満そうな視線が私へ。

 

「…えと、愛月君…?」

「イリゼ、僕には心配してくれないの…?」

「あ、あー…ほら、愛月君は旅に慣れてるでしょ?それに前の時も、かなり歩いたのに愛月君もグレイブ君も平気そうにしてたから、きっと大丈夫だよねと思って……」

「それは…う、確かに……」

「…もしかして、心配してほしかった?」

「…の、ノーコメント…」

 

 ちょっとにやりとしながら訊いてみると、愛月君はぷいっと横を向いてしまう。でもそういう反応をする事自体が、少なからず照れてるっていう証拠な訳で…ふふっ、愛月君は時々可愛いところがあるんだよね。…しょ、ショタコンでもないよ!?歳下の子(私女神だけど)に対して、男女関係なく「可愛いなぁ」って思う時は誰でもあるでしょ!?

……ごほんっ。とにかくそんなやり取りも交わしながら、私達は街中を進む。時々イリスちゃんが興味を示した物事に対して説明したり、愛月君の世界や向こうの神次元であった事を振り返りながら軽く話したりなんかして、歩いていく事十数分。左手側に、自然公園が見えてきて…そこで愛月君が、声を上げる。

 

「あ…イリゼ、イリスちゃん。ここに少し寄ってもいいかな?」

「え?いいけど…ここで遊びたいの?」

「遊びたい、っていうか…スターを遊ばせてあげたいんだ」

「あ、そっか。うーん…そうだね、そうしよっか。イリスちゃんも良い?」

「良い。イリスも遊びたい」

 

 可能なら、どこかでスターも外に出してあげたい。愛月君がそう言っていたのを思い出した私は軽く見回し、今のところ近くに人がいないのを確認した事で愛月君の言葉に首肯。イリスちゃんも同意してくれた事で、私達は自然公園の中に入る。

 

「愛月君。スターは遠目に見たら小動物っぽいから一応大丈夫だとは思うけど、念の為人が来そうなら……」

「大丈夫、分かってるって。出ておいで、スター!」

「イブーイっ!」

 

 鍵を刺す私の言葉にうんうんと頷いた愛月君は、モンスターボールの中からスターを外へ。軽やかに着地したスターはくるりと見回し、それから愛月君の脚にすりすり。…ライヌちゃんやるーちゃんも連れて来れば良かったかなぁ…ライヌちゃんはスライヌだし、るーちゃんもスターよりモンスター感強いから、スター以上に気を付けなきゃだけど…。

 

「スター、僕が見えない所まで行っちゃ駄目だよ?」

「ブーイ!」

「……愛月。スターと遊んでも良い?」

「勿論!スターもイリスちゃんには興味あるみたいだしね」

 

 しゃがんだ愛月君に撫でられた後、小高い丘の様になっている場所へ駆けていくスター。それを追う形でイリスちゃんも走っていって、私と愛月君はそれを見送る。

 

「…愛月君は行かないの?」

「うん。スターとはいつでも遊べるし、今はイリスちゃんと遊ばせてあげよっかな、って」

「そっかぁ…やっぱり優しいっていうか、気遣いが出来るよね、愛月君って」

「えへへ…そう?」

 

 頭や顎の裏を撫でるイリスちゃんと、心地好さそうにそれを受けるスターを見ながら、私達は近くのベンチへ。そこに座って、私達はのんびりと話す。

 

「イリスちゃんって、ほんとに純粋…って感じだよね」

「だね。ルウィーの女神には、ロムちゃんラムちゃんっていうイリスちゃんと同じ位の見た目の子がいるんだけど…もしかすると、その二人よりも幼い感じあるかも」

「ロムちゃんラムちゃん…あー」

 

 あの子達かー、みたいな反応をする愛月君に一瞬驚いた私だけど、すぐに「そうだ、向こうの神次元ではロムちゃんラムちゃんとも会ったんだ」と思い出す。まあ、向こうの二人はこっちの二人より精神年齢が少し高そうな感じもしたけど…それはともかく、本当にイリスちゃんは純粋というか無垢というか、真っさら…って感じがする。それもただ幼いってだけじゃなく、見た目から想像出来る知識量以上に知らない事が多そうというか…教会で『保護』されてるとも言っていたし、イリスちゃんにも色々と事情があるのかもしれない。

…因みにこの時、「愛月君も結構純粋だけどね」…というのは、思ったけれども言わなかった。言ったらまた顔を背けちゃいそうだったからね。

 

「ブイブーイっ!」

「おー、スターは軽快。…イリスも、負けない」

 

 暫く触れ合っていたイリスちゃんとスターは、今度は…追いかけっこ?…を開始。その姿も私は微笑ましい気持ちで眺め…それからふと、思い出した事を口にする。

 

「そういえば…愛月君、さっきはほんとにクレーンゲーム上手だったね。普段からよくやるの?」

「ううん。そういう訳じゃないけど、やっぱりぬいぐるみの事なら色々分かる……」

「…愛月君?」

「うぅ…さっきネプテューヌさんの事、お姉ちゃんって呼んじゃったの思い出した……」

「あぁ……」

 

 膝の上に置いた紙袋。その中に目をやったと思ったら、恥ずかしそうな顔をして俯きがちになる愛月君。…まぁ、気持ちは分かる。別次元の同一人物な訳だから、完全に間違いだった訳じゃないけど…あれって要は、知らない人を知り合いだと思って話しかけちゃったようなものだから。

 

「ネプテューヌさん…僕の事、変なやつだって思ってたりしないかな……」

「それは……その心配は、ないと思うよ?」

「そう…?」

「うん。まあ、いきなり自分をお姉ちゃんと呼んできた男の子…っていう印象にはなっちゃってると思うけど、だからって相手を悪く言うような感情は持ってない筈だよ。…だって、ネプテューヌだもん。愛月君が知ってるネプテューヌも…そんな事は、考えたりなんてしないでしょ?」

「イリゼ…うん、だよね。お姉ちゃんなら、きっとそうだもんね…!」

 

 愛月君の不安は、当然の事。確かに私だって、愛月君と同じような事をしちゃったとしたら、相手にどう思われてるか不安になる。

 けど、そんな心配はないと私は返す。だって、ネプテューヌなんだから。そしてそれに、説明は要らない。説明なんて不要なのがネプテューヌってもので…それを聞いた愛月君は、小さく頷いた後、私に笑顔を見せてくれた。ふふっ…良かったねネプテューヌ。別次元のネプテューヌの手柄ではあるけど…ばっちり信じてもらえてるよ?

 

「ブーイブーイっ!」

「わっ、とと…!どうしたの、スター」

「ブイブイ、イブイっ!」

「ふぅ、スターは足が速い…。…イリゼと愛月は、遊ばない?」

「んー…ううん。スターも一緒に遊びたいみたいだし、ここから僕も遊ぼっかな。イリゼはどうするの?」

「ふふっ、ぬいぐるみの紙袋もあるし、一人は誰か来ないか気を付けていた方が良いと思うから、私はこのまま見てるよ」

 

 それから飛び込んできたスターを抱えて撫でた後、愛月君はベンチから立つ。一緒に遊ばないの?…と二人から訊かれた私だけど、今は気にするべき事が複数あるからと軽く肩を竦めて遠慮。すると愛月君は、「それもそうだね」みたいな表情を浮かべて……

 

「そっかぁ。色々気にしてくれてありがとね、イリゼお母さん」

「ううん、気にしないで。…って、だからもぉぉ!ほんとになんでお母さん扱いするの!?」

「…イリゼはお母さん?」

「ち、違うよ!?これは冗談っていうか、愛月君の悪ノリだからね!?」

 

 危うくスルーしかけた私はノリ突っ込みが如く言葉を返すも、イリスちゃんから曇りのない目で「お母さん?」と訊かれ、何だか凄く居た堪れない心境に。うぅ…ほんとにこれはちゃんと訂正しないと、最悪イリスちゃんに勘違いされたまま帰られちゃう…。

 

「い、いいかなイリスちゃん。私は愛月君のお母さんじゃないし、他の誰かのお母さんでもないの。…だよね…!?愛月君」

「あ、う、うん…そうだね……」

「ん、分かった。じゃあ、代わりに訊きたい事、ある」

「代わりに…?うん、何かな?」

「…あれは、何?」

 

 重ねる形で母ではないと伝えると、どうやら分かってくれた様子のイリスちゃん。それにほっとした私は、代わりに訊きたいという言葉に首肯。

 代わりに訊きたいというのは、一体何だろうか。この自然公園の中で、気になる事があったのか。そう考えていた私だけど、イリスちゃんの疑問は違った。

 あれは、何?…その言葉と共に、イリスちゃんが挙げた右の手。その人差し指で指し示しているのは…空に浮かぶ、闇色の城。

 

「あ…イリゼ、実は僕も気になってたんだよね。あのお城?…と大陸も、信次元の一部なの?」

「…やっぱ、気になるよね。空に浮かぶ城と大陸なんて、目立つし普通の存在な訳ないし」

「空にあるお城…暗い色…はっ。空にそびえる、黒金の城……?」

「いや違うよ!?確かに空にそびえてるし、暗色系だけど、ロボットじゃないのは見れば分かるでしょう!?」

「なら、あっちは超古代電波文明の……」

「その大陸でもないよ!?浮遊大陸だし連想するのは分かるけど、そういうのでもないからね!?」

 

 早くも信次元に毒され始めているのか、全然違う事を言う二人。斜め上の発言に私は思わず振り回され…けれどこれは、事が事。だから頭をクールダウンさせ、その上で改めて問いへと返す。

 

「…こほん。少し、難しい話になるけど…言うならばあれは、今の信次元にある脅威、その象徴…かな」

 

 私は答える。積極的に話すような事じゃないけど…それが、信次元の紛れもない「今」だから。もう一人の私の《女神化》で大損害を与えられたからか、あの時以降負のシェアの城に歪みの壁が発生した事以外は一切の動きが見られないけど…解決した訳でもないのが、事実だから。

 そういう意味では、こうしてのんびりお出掛けしてる場合じゃないのかもしれない。別次元、別世界の二人が万が一にも巻き込まれたりしないよう、帰還出来るようにする事に全力を尽くすべきかもしれない。…けど、理由はどうあれ二人は信次元に訪れたお客様。私と同じような経験をしている人達。だったら精一杯もてなしたいというのが私の思いで…この思いだって、きっと間違ってはいない。私はそう、信じてる。

 

「…その…イリゼ。それは…大丈夫、なの…?」

「大丈夫。私は負けないよ。私も、皆も、滅亡なんて望んでいない。望まれているのは、希望の未来。その思いを持つ人がいる限り…女神は、折れたりなんてしないんだから」

 

 大丈夫なの?…その言葉が、自分は巻き込まれたりしないだろうかという不安ではなく、私や信次元に対する心配の気持ちから言ったんだって事は、すぐに分かった。だから私はしっかりと頷き、自信を持ってそれに答えた。虚勢でも建前でもなく…本心として。

 

「…イリゼ。その話は、とても難しい。イリスには、よく分からない事ばかり。けど…今のイリゼは、頼もしい…と、思う」

「イリスちゃん…うん、ありがとねイリスちゃん。そう思ってもらえて、嬉しいよ」

 

 どんな言葉を伝えるべきなのか、なんて言葉を言えばいいのか分からない。そんな顔を浮かべながらも、「頼もしい」と言ってくれた事が嬉しくて、私はイリスちゃんの頭を軽く撫でる。

 そして、今一度心に決める。二人が帰れるまで、ちゃんと…最後まで、私が二人をもてなそうと。

 

「…さて、行っておいで皆。その後は…お昼にでもしよっか。どういうお店が良いかも、思い付きそうなら考えておいてね」

「ん、分かった。考えておく」

「ぬいぐるみ、お願いねイリゼ。…あ、それと……」

「何かな?」

「…多分、そういう台詞をさらっと言えちゃうのが、お母さんっぽい理由の一つなんじゃないかなぁ…」

「うっ…た、確かに……」

 

 割と納得出来る返しをされてしまい私が言葉に詰まる中、イリスちゃんはスターと共に、愛月君は苦笑い気味に駆けていく。それを私は見送って…ふぅ、と軽く息を漏らす。どうせここから暫く眺める事になるだろうし、気にし過ぎても仕方がないよね、と。

 そうしてイリスちゃんと愛月君達は、また追い駆けっこをしたり、愛月君がスターに指示をする事で色々演技をさせたりして(愛月君曰く、ちょっとコンテストを意識したとの事。愛月君の世界にはポケモンコンテストいうのもあるらしい)、自然公園の中で存分に遊んだ。幸い遠くを歩く人は見えても近付いてくる人はいなかったからスターを隠す必要もなかったし、おかげで皆十分に楽しめたんじゃないかと思う。

 折角のお出掛けなのに、自然公園とはいえただ外で遊ぶだけ?…と思わなくもなかったけど、そもそも大事なのは楽しめるかどうか。だから、別に良いんだよね。楽しめるのなら、どこだって。

 

 

 

 

 自然公園で色々やって遊んだ後、僕達はお昼ご飯を食べる事にした。ゲームセンターの後でたこ焼きを食べたけど、やっぱりそれだけでお腹一杯になる事はなくて、自然公園で遊んだ後はもうお腹ぺこぺこ。だから僕達は、どこが良いか、何を食べるか話しながら歩いていって…結果ファミレスで、お昼を食べる事になった。

 

「良い匂い…」

「だね。こういう所に来るのも、久し振りだなぁ…」

 

 中に入って、店員さんに案内されて、僕達は四人が座れる席に。

 ファミレスを選んだのは、結局「何を食べたいか」が決まらなかった…というか、何でも良いよねって感じになっちゃったから。だから色々あるファミレスにしようって事になって…今は、メニューを開いたところ。

 

「どれも美味しそう…」

「うんうん、ハンバーグも良いしパスタも良いし、サイドメニューも美味しそうなのが多いよね」

「二人共、どう?これが良い、っていうのはある?」

『うーん…』

 

 イリゼからの言葉に、僕もイリスちゃんも同じ反応。美味しそうなのは沢山ある。お腹空いてるから、ほんとにどれも美味しそう。でもだからこそ迷うっていうか…うぅ、どうしよう……。

 

「あはは……じゃあさ、ちょっと思ってたんだけど…ピザ、頼むのはどうかな?」

「ピザ?…この、丸い食べ物?」

「あー…そっか、うん。良いかも」

 

 軽く苦笑いしたイリゼは、それからメニューのピザを指差す。確かにピザは良いかもしれない。一人一人別の物を食べても良いけど…ピザだったら、皆で食べられるもんね。

 

「でしょ?イリスちゃんはどう?」

「イリスは…この、赤いの気になる」

「マルゲリータ?まあ、やっぱりピザと言えばまずマルゲリータだよね。じゃあ、一つはマルゲリータにして…もう一つ位にする?」

「え……」

『……?』

 

 普通の事をイリゼは言っていた筈なのに、驚いた反応を見せるイリスちゃん。…なんだろう?

 

「イリス達、三人。ピザ、二つだと…誰か一人、食べられない……」

「あ、あー…違うよイリスちゃん」

「違う…?」

「うん。ピザはね、皆で分けて食べられるんだよ?」

 

 しゅんとした感じにそういうイリスちゃんだけど、僕達は思わず苦笑い。その勘違いにまずイリゼが違うと言って、次に僕がピザを説明。それを聞いたイリスちゃんはほっとしたみたいで…ふふっ。イリスちゃん、あんまり表情は変わらないけど、反応は結構豊かだよね。

 

「愛月君はどう?どれを食べたい?」

「僕は…この、バンビーノってピザが良いかなぁ。でも、イリゼが食べたいのあるなら、そっちでも良いよ?」

「ううん大丈夫。私もそれは気になってたから。じゃ、デザートは後にするとして…注文しよっか」

(あ、イリゼも気になってたんだ…イリゼと同じのが気になってたって、なんだかちょっと嬉しいなぁ…)

 

 頼む二つのピザが決定。イリゼが店員さんに注文をして、その店員さんが戻ったところで僕はコップの水を一口。

 

「二人共。取り敢えず、ここまでプラネテューヌの街を歩いてきた訳だけど…感想としては、どう?」

「感想…うーんと、プラネテューヌは本当に色々進んでるんだなぁ、って思ったかな」

「プラネテューヌは、ルウィーよりキラキラしている。ルウィーより温かい。でも、イリスはルウィーの方がほっとする」

「そっかそっか。進んでいる、キラキラしている…そっかぁ…」

 

 感想を聞かれて、僕は感じていた事を素直に言う。その僕とイリスちゃんの回答を聞いたイリゼは、うんうんと何度も頷いて…それから、不思議な表情を浮かべる。何を考えているのか分からない、だけど前向きというか…温かい感じもある顔を。

 

「…イリゼ?何か、言いたい事があるの?」

「あ…ごめんね、そうじゃないの。そうじゃなくて…思ったんだ。私だったら、私の国があったとしたら、私はどんな感想を持ってもらえたら嬉しいかな…って」

 

 肩を竦めて、ちょっぴり頬を緩ませながらイリゼは言う。もしも、私の国だったら…って。

 僕も法律とかまではよく知らないけど、ここはネプテューヌさんとかベールさんとかみたいに、女神が国のリーダーをしている世界。でもイリゼは、別にプラネテューヌの女神じゃないらしくて…だからもしかしたら、気になるのかもしれない。

 僕は女神じゃないし、女神の事もまだよく知らないから、それがどんな気持ちなのかは分からない。でも……

 

「…イリゼ。もしイリゼの国があったら、きっとそれは明るくて優しい国なんだと思うな」

「…愛月君……」

「だってイリゼが、明るくて優しい女神だもん。だからきっとそうだよ、イリゼ」

 

 その時の気持ちは分からないけど、もしもイリゼがリーダーをしてる国があったら…って想像は出来る。だから僕は、それ言って…笑った。…ううん、違うかな。言った時、気付いたら笑っていたんだから。

 

「……っ…」

「え…い、イリゼ?あれ…?僕もしかして、何か不味い事言っちゃった…?」

 

 僕としては、思った事をただ言っただけ。でも僕の「イリゼはそういう女神だから」って言葉を聞いた途端に、イリゼは僕から顔を逸らす。

 そんな反応に、僕は不安になった。何か嫌な思いをさせたから、顔を逸らしたのかも…って。だけど、そういう事じゃないみたいで……

 

「…イリゼ、嬉しそう。凄く嬉しそうな顔、してる」

「ちょっ…!?も、もうっ!なんで言うのイリスちゃん……っ!」

「あ、な、なんだ…良かったぁぁ……」

 

 イリスちゃんの言葉でそれがただ照れてただけだと分かって、僕は凄くほっとした。…けど、そっかぁ…イリゼ、照れ臭くて顔を逸らしたなんて…やっぱりイリゼって、大人の女の人って感じだけど、時々凄く可愛いなぁ…。

 

「う…イリゼ、怒ってる……?」

「あ…そ、そういう訳じゃなくてだねイリスちゃん…!これは…っと、ピザ!ピザ来たみたいだよ…!」

 

 わたわたとイリゼがしているところで、運ばれてきた二枚のピザ。どっちも見るからに美味しそうで、匂いも良くて、僕達の意識は皆ピザに。三人で二枚、は少し多い気もするけど…大丈夫だよね、きっと。

 

「イリゼ、愛月。これは、どう分ける?」

「それはね、このピザカッターっていう道具で…あ、でもイリゼなら、この普通のナイフでも上手く切れたり?」

「え?…見たい?」

「うんうん!」

 

 神次元で見たイリゼの剣捌き、それに料理する時の包丁捌きを思い出した僕は、期待を込めてイリゼに言う。するとイリゼは「見たい?」と言ってくれたから、僕は強く頭を振って首肯。そうしたら、イリゼは機嫌の良さそうな顔になって…用意されたナイフ、その一つを手に。

 

「それじゃ…よ、っと」

「おー」

「続いて…っと」

「おぉー」

「最後は…ほいっと!」

『おぉぉー!』

 

 ナイフの刃をピザの耳に添えて、小気味良くその手を引くイリゼ。すると綺麗に、全然引っかかったりピザがぐにゃってなったりせずに二つに切れて、続くカットも全部好調。あっという間に二つのピザがそれぞれ六等分、一人二切れずつの振り分けになっていって…最後の一刀が通った時、僕もイリスちゃんも揃って声を上げていた。

 

「流石イリゼ!やっぱりイリゼに頼んで正解だったね!」

「ふっふっふ、刃物の扱いには慣れてるからね。これが女神の実力だよ?……なんちゃって」

「…イリゼは、刃を使う女神…剣神オリジンハート?」

「それだと体感アクションRPGみたいになっちゃうけどね…!…ともかく、冷めないうちに食べようか。あ…イリスちゃん、これはたこ焼き程は熱くないから大丈夫だとは思うけど、一応気を付けて食べてね?」

「分かった。頂きます」

「僕も頂きまーす」

 

 おしぼりで手を拭いて、両手を合わせて、食事の挨拶をしてバンビーノのを一口。ほかほかのバンビーノは食べた瞬間チーズの味が口の中で広がって、次にコーンとかベーコンのそれぞれの味も追い掛けてきて…んん〜、美味しい!

 

「温かい、柔らかい…これは、トマトの味?」

「そうだね。マルゲリータに塗られてるのは、トマトソースだよ。…んっ、両方美味しいねぇ…はふぅ……」

「おぉ…こっちは、チーズ?…が、よく伸びる。…けど…う、食べ辛い…」

 

 バンビーノ、マルゲリータ、どっちも違う良さがあって、どっちも美味しい。だから僕もイリゼも頬が緩んで…けれどそこで、イリスちゃんだけは困った様子。どうしたんだろうと思ってみれば…ピザの内側がへにょんと下に曲がっちゃって、だから食べ辛いっていう事らしい。

 分かる。凄く分かる。ピザは具材が色々載ってる方が嬉しいけど、その場合重さで垂れ易いんだよね。

 

「あぁ…それならイリスちゃん。こうやってナイフとフォークを使って、内側からくるくる巻いて、最後にフォークで刺すと、垂れたり崩れたりせず食べられるよ」

「へぇ、それは僕も知らなかったよ。ピザって、そうやって食べるものなの?」

「うーん…これが正しい食べ方、って訳じゃないと思うよ。こういう食べ方もある、って位のものじゃないかな」

「…イリゼは物知り。イリゼ、凄い」

「だよね、凄いよイリゼ!」

「んもう…二人共、褒めても何も出てこないよ?嬉しくはなるけど、ね」

 

 そんなやり取りをしながら、微笑むイリゼに僕も嬉しくなりながら、僕達は二種類のピザを食べていく。やっぱり同じものを食べるのは、同じ感想を分かち合える楽しさがあって、だから僕はこういうのが好き。

 ゲームセンター、たこ焼き、自然公園、それにお昼。どれも楽しい事があって、ここまでのお出掛けは凄く満足。けど、まだ今日は終わってない。まだお昼を食べた後も今日はあって、という事はまだ色々な所に行けるって事で…だから僕は楽しみだ。凄く楽しみだ。ふふっ、次はどこに行けるかな?

 

 

 

 

 

 

「……あ、因みにこのお出掛けの話は、今回でお終いだよ?まだ続くみたいな終わり方だけど、そうじゃないからね?」

「……?イリゼ、誰もいない方を見てる…」

「えっ…い、イリゼは誰に何を言ってるの…?」




今回のパロディ解説

・「〜〜空にそびえる、黒金の城……?」
マジンガーZ(曲)のフレーズの一部の事であり、マジンガーZを表す言葉のパロディ。勿論負のシェアの城は、スーパーロボットだったりしません。

・「超古代電波文明の〜〜」
流星のロックマン2に登場する、ムー大陸の事。勿論こちらも電波文明だったりしませんし、最深部にラ・ムーが存在していたりする事もありません。

・体感アクションRPG
ドラクエシリーズの一つ、剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣の事。剣神の名前は…ネプテューヌ、ノワール、ネプギア、プルルートと、競合相手が多いですね。
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