超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed   作:シモツキ

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第九話 更に遊んで、最後には

 部屋に誘われ、ロムちゃんラムちゃんと共にポシェモンをする事になったイリスちゃんと愛月君は、その後私からの提案でパーティーゲームを行った。それは運の要素も大いに関わってくる、つまり経験や技術じゃどうにもならない部分がそれなり以上にあるゲームだから、ロムちゃんとラムちゃんが圧勝!…という事にはならず、思った通りに盛り上がる事となった。

 そのパーティーゲームをした後、私達は教会でお昼にする事に。ゲームをした事、何だかんだ言ってもまだ子供だって事もあり、イリスちゃんだけでなく愛月君の事もその頃には結構受け入れられていて、お昼は主にロムちゃんラムちゃんからの質問(ポケモンの事だったり、旅の事だったり)に愛月君が答え、時々イリスちゃんも質問をする…という形で会話が進んでいった。専ら私、それに同席したブランは聞き手に徹していたけど…私も旅の事はそこまで知ってる訳じゃなかったから、聞いているだけでも普通に楽しかった。

 そうして昼食も済んだ午後。ロムちゃんとラムちゃんはまだ遊びたいみたいで、イリスちゃんも乗り気で…私達は、外に出た。

 

「…で、雪合戦をする事になったんだね」

「うん。で、僕とイリスちゃん、ロムちゃんとラムちゃんでチーム分けしたところだよ」

 

 帰還に纏わる事について、電話とは別途で改めてブランとミナさんに話していた私は、四人に遅れる形で教会の外へ。

…と、言っても別に敷地の外に出た訳じゃなく、今いるのは所謂庭。それもただの庭ではなく、前に私がロムちゃんラムちゃんと雪合戦をやった場所。…覚えてるかな?OIの話だよ?

 

「イリゼ、ブランは?」

「ブランも後で来るよ。取り敢えず片付けておきたい仕事があるから、それが済んだら…だって」

「そっかぁ…じゃあ、イリゼちゃんはしんぱんね!」

「あ、うん(雪合戦の審判って何だろう…雪玉に石を仕込んだりしてないか見張るとか…?)」

 

 元々奇数だから私は見ているだけにしよう…と思っていたから、ラムちゃんの言葉へすぐに首肯をする私。…因みに後で知ったけど、雪合戦を競技としてやる場合は、ちゃんとしたルールがあるんだとか。……まぁ、競技としてやるならルールがあって当然だけど。

 

「よーし、頑張ろうねイリスちゃん!」

「ん、イリス頑張る」

「わたしたち、負けないよ…?(ぐっ)」

 

 片腕でガッツポーズを取るようにして愛月君が言えば、イリスちゃんは真似をする。ラムちゃんは利き腕をぶんぶんと振って、ロムちゃんは胸の前で両手を握る。

 全員、やる気は十分。これからするのは遊びとしての、極論雪玉をぶつけ合うだけの雪合戦だけど…遊びだって、本気でやれば熱くなるものだし、本気だからこその楽しさもある。…っていうのは、言うまでもない事だよね。

 

「それじゃあ皆…というか、愛月君以外は慣れてるとは思うけど、足元には気を付けるように。それからロムちゃんとラムちゃんは魔法禁止だからね?」

『はーい』

「では……始め!」

 

 一応審判を任されたという事で、私は両陣の境辺りに立ち(勿論端っこにだよ?モッヂボールじゃないんだから)、二チームは対して号令をかける。

 そうして始まる、二対二の雪合戦。女神候補生の二人と、別次元&別世界からの来訪者二人という、こう表現するとかなり凄そうな組み合わせの勝負。その戦いの幕開けは……

 

「よーし、まずはいっぱい雪玉作ろっ!」

「うん…!(ぎゅぎゅっ)」

「イリスちゃんイリスちゃん、雪玉作る時は壁の裏の方が良いよ…!」

「ん、確かに…」

 

……正直言って、地味なものだった。全員がしゃがみ込んで、雪を集めて玉にするという、なんともまったりとしたものだった。…仕方ないね。まず雪玉を作らないと、雪合戦が成り立たないし。

 

「…よし、この位かな。イリスちゃん、気を付けて攻撃開……うわわっ!?」

「ふふーん、こっちの方がはやいもんねー!」

「もんね…!(めらめら)」

 

 愛月君が作った玉を持って雪壁の裏から出ようとした瞬間、そのすぐ側を駆け抜けていく雪玉。それは勿論…ロムちゃんラムちゃんチームのもの。

 やはりと言うべきか、立ち上がりは双子チームの方が早かった。作ってある雪玉の量もぱっと見だと来訪者チームの方が少なくて、雪玉の作製速度は双子チームが明らかに上。

 

「それそれーっ!」

「えいえい…っ!」

「むむ…けど、この位の玉を投げる経験なら…僕だって……!」

 

 ぼすんっ、ぼすんっ、と雪玉が雪壁にぶつかり音を立てる中、隙を見て愛月君も反撃開始。投げ放たれた雪玉はかなりの勢いで飛び、今正に投げようとしていたラムちゃんの肩を掠めていき、二人はびっくりして壁へと隠れる。

 

(あ、そっか…モンスターボール…)

 

 二人程雪国の環境に慣れてない筈なのに、速度も精度も中々な投擲を立て続けに行えている愛月君に驚く私…だったけど、よくよく考えたら愛月君は普段からボールを、モンスターボールを投げている。それに野生のポケモンを捕まえる際にはそのポケモンに向けてボールを投げる必要があるらしいから、手に収まる位の玉を投げるのはお手の物、って事なのかもしれない。

 

「むむ、いがいとやるじゃない!」

「きょうてき、かも…(どきどき)」

「僕だって、負ける気はないからね…!」

 

 とはいえ、総合的なアドバンテージでいえばやっぱり双子チームが上。単純な慣れってだけじゃなく、双子ならではの連携も抜群で、愛月君に落ち着いて狙うチャンスを与えていない。でも愛月君も僅かな隙で良いボール…もとい雪玉を投げるから、二人も反撃を警戒する為に攻め切れず、双子チームが優勢ながらも良い感じの試合運びに……って、あれ?

 

「ねーねー、そういえばイリスちゃんはー?」

「かくれてるの…?(きょとん)」

「へ?…あ…い、イリスちゃん?さっきからずっと黙ってるけど、もしかして調子悪い……」

 

 私とラムちゃん達がそれに気付いたのはほぼ同時。三人が積極的に雪玉を投げ合っている一方で、来訪者チームのもう一人…イリスちゃんはここまで、一切目立った動きを取っていない。それどころか、さっきから声も聞いていない。

 一体イリスちゃんはどうしたのか。隠密行動を取ってるとかなら良いけど、そうじゃないなら何か不味い事が起きてるんじゃないか。そう思った私は、同じく心配する愛月君と共に、来訪者チームの陣地に目を走らせる。

 すると、然程苦労する事もなく、イリスちゃんは見つかった。というより、場所を動いていなかった。最初に愛月君に呼ばれて入った雪壁の裏、そこから一歩も動いておらず……

 

「…ふぅ。愛月、雪玉を作るの、中々楽しい。…愛月?」

 

……その場で山の様に、ひたすらに雪玉を作っていた。…どうやら、雪玉を作るのが楽しくなっていたらしい。い、イリスちゃん……。

 

(確かにそのマイペースというか、状況に流されない具合は、イリスちゃんらしいとも思うけど……)

「あ、う、うん…えっと、この山になった雪玉、使ってもいい?」

「…………」

「…イリスちゃん?」

「雪合戦の事、忘れていた。イリスも投げる」

 

 今は何をしているのかを思い出したらしく、数秒固まった後に雪玉を持って動き出すイリスちゃん。雪壁の裏のやり取りであった為に、何が起こっているか分からないロムちゃんラムちゃんはきょとんとしていて、でも壁から顔を出したイリスちゃんがひょいと雪玉を投げた事で試合は再開。やっぱり投げ合いとなれば優勢となるのは双子チームで、でもイリスちゃんがずっと雪玉を作っていた事もあり、今あるストック量じゃ来訪者チームがかなり有利。

 だから、白熱する。元気なラムちゃん、はきはきしている愛月君は勿論の事、控えめなロムちゃんや静かなイリスちゃんも動き回って、四人とも目一杯に雪合戦をしている。雪合戦を、楽しんでいる。

 

「盛り上がってるようね」

「あ、ブラン。…うん。皆、本気で遊んでるよ」

 

 初めは雪壁の裏から少しだけ身を出して投げていた四人も、白熱していくにつれ積極的に、雪壁から出て攻め込むような動きが増えていく。時には投げる役と作る役で分担したり、二人で挟み撃ちを狙ったりと、連携や戦術も増えていく。

 そうして暫く経った頃、ブランがやってきた。私からの言葉に頷き、四人の方を見たブランは、小さくだけどくすりと笑う。

 

「二人共、案外受け入れてくれて…というか、普通に仲良くなってくれて安心したわ。…ネプギアやユニの時は、二人は勿論イリゼやパーティーの皆に迷惑をかけたらしいし…」

「あぁ…あれから二人も成長した、って事じゃない?それに加えて、別次元の人との交流ももう経験してる訳だし」

「ま、そうね。女神としても、こういう社交性が育ってくれるのは良い傾向……」

「あ、ブラン」

「ほぇ?ほんとだ…(ふりふり)」

「おねーちゃーん!おしごとおわったのー?」

 

 頑張る四人を眺めながら話していると、ブランの存在にまずイリスちゃんが気付き、続いてロムちゃんラムちゃんがブランへ手を振る。そしてその隙に、愛月君が双子チームを強襲…なんてする事はなく、投げようとしていた雪玉をその場で下ろす。

 

「待たせてたわね。二人共、楽しんでる?…っていうのは、愚問かしら」

「ぐもん…?ぐもんいっくもん?」

「いやラムちゃん、それは濁点ない塾だね…」

「愚問は愚かな質問…つまり、馬鹿馬鹿しかったり訊く必要もない質問だったりを指す言葉よ」

「ん…流石ブラン。説明が、辞典の様に分かり易い」

「あー…確かに。ブランさんって、見た目通り博識なんですね」

「…ふっ。中々見る目があるわね、貴方は」

 

 愛月君からの穢れのない視線を向けられたブランは、頬を緩めつつも得意気な顔に。…まあでも確かに、分かり易いっていうのには私も同感かな。

 

「おねえちゃん。おねえちゃんも、雪合戦…やる?」

「わたし?わたしは別に……やってもいい、けど…」

 

 その後ロムちゃんから雪合戦をするか訊かれたブランは、恐らく「別にいい(やらない)」と言おうとして…けど妹二人、それにイリスちゃんからの熱烈な視線を受けて、軌道修正。それを聞いた三人は、一緒に遊べるという事で見るからに嬉しそうな表情を見せる。

 

「…あ、となるとイリゼもだよね?そうすれば三対三になるし」

「そうだね。ふぅ、ずっとただ見てて身体が冷えてきちゃったところだし、私もしてもありがたいかも」

「じゃあ、わたし達はそれぞれ分かれるとして…どっちがどっちにする?」

「…イリス、ブランとがいい」

 

 チーム分けはどうするか。その話になったところで、イリスちゃんはブランをじっと見つめて一言。指名を受けたブランは「わたし?」と自分を指差し…次に声を上げたのはラムちゃん。

 

「イリスちゃんは、おねえちゃんとがいいの?じゃあ、おねえちゃんはイリスちゃんにあげるわ!」

「…ラムちゃん、いいの…?(ぱちくり)」

「ふふんっ。だってイリスちゃんは、ベツジゲンのわたしの妹なんだもの!」

「ラム、優しい。イリス、優しい姉がいて、嬉しい」

「えへへ〜、でしょでしょ?」

 

 無表情ながらもラムに駆け寄り手を握るイリスちゃんと、姉と呼ばれたからか凄く嬉しそうにするラムちゃん。ロムちゃんもラムちゃんが嬉しそうだからか微笑んでいて…とてもほっこりする光景が、今ここで出来上がっていた。

 

「そうなると、私はこっちのチームだね。二人共、パーティーゲームじゃサポートしたけど、今度は相手としてぶつからせてもらうよ?」

「イリゼと勝負…そういえばした事なかったし、雪合戦とはいえ腕がなるな…!」

「イリスは楽しければいい。…けど、二人ともやる気。だからイリスも、やる気出す」

 

 今日…というか、二人が来てからは基本保護者代理みたいな立ち回りをしていた私だけど、それはあくまで状況やら精神年齢やらの関係であって、私としては二人の事を友達だと思ってる。ならその二人と雪合戦をするのが楽しみじゃない筈がないし、ブラン達を含めた三対三の勝負となれば、更に気持ちは盛り上がる。

 それぞれの陣地に分かれ、軽く作戦会議を行い、雪合戦再開。二人程雪玉作りに慣れてない私は、作る事より幾つか持って走り回る撹乱役をやってみたり、ブランも雪に慣れてる事と二人との兼ね合いを考えてか突撃主体の攻め方をしてきたりと、私達が参加した事で一層勝負は白熱化。最後はもうぶつけられるのお構いなしで全員走り回っていて、もう雪合戦なのかどうかも怪しい状態だったけど…それでもやっぱり、楽しかった。気兼ねなく、全員でただ楽しむ…そんな純粋な楽しさ面白さが、そこにはあった。

 

「あははははっ!たのしーね、ロムちゃん、イリスちゃん、愛月!」

「うん、楽しい」

「もっと、やろ?(るんるん)」

「だねっ。それそれっ!」

 

…そういえば、私はルウィーに来る際、イリスちゃんだけじゃなくて、愛月君も楽しめたら…と思っていた。

 さて、それじゃあその件はどうか。愛月君も楽しめているか。…なんてのは、考えるまでもないよね。だって、皆…屈託のない笑顔を浮かべているんだから。

 

 

 

 

 雪に覆われた大地と、カラフルで綺麗なルウィーの街並みを空から見る事が出来て、教会に着いてからもゲームや雪合戦で思い切り遊べて、ルウィーを代表する料理なんかも食べさせてもらって…今日もほんとに楽しい一日だった。イストワールさんからの話で、僕はまだ帰れそうにないって分かった時は、確かにちょっとショックだったけど…それでも今日も良い一日だったって、僕は自信を持って言える。

 折角だから、泊まっていくといいとも言ってもらえた。最初に僕を助けてくれたベールさんもそう、僕が勝手に勘違いしたのに全然嫌そうな顔をしなかったネプテューヌさんもそう、初日に色々付き合ってくれて、今日も気にかけてくれたブランさんもそう。女神の人達は皆優しくて、ほんとに僕は感謝しかない。ラステイション?…は行ってないから分からないけど、きっとそこの女神の人も優しいと思う。……あ、勿論女神候補生?…の皆も良い人だよ?

 とにかくルウィーに泊まっていこうという事になって、僕がお風呂に行こうとして……そんな中で、僕はイリゼに呼び止められた。

 

「愛月君愛月君、ちょっといい?」

「んぇ?」

 

 部屋の中から出たところで呼び止められて、何だろう、と思って立ち止まる僕。そういえばさっき、イリゼも電話が来たって事で廊下に出ていた。それと関係があるのかな?

 

「実はちょっと、急用且つ重要な用事が出来た…というか、やってきたんだよ」

「……?よく分からないけど…うん。そういう事なら大丈夫だよ。イリスちゃんの事なら僕がブランさん達と見てるし、安心して」

「あ、そういう事じゃなくてだね…その用事、愛月君も関わってくる事なんだよ」

「僕が…?」

 

 行ってらっしゃい、ってつもりで言葉を返した僕だけど、そういう事じゃないみたい。

 僕の関わる用事、というのもよく分からない。でもイリゼが嘘を吐くとは思えないし、お世話になっている訳でもあるから「着いていくよ」と改めて返す。返してそれから、それを皆に伝える為に部屋の中へ。

 

「皆、私達ちょっと用事でプラネテューヌに戻らなきゃいけないんだけど、いいかな?」

「いいも何も、用事なんでしょう?行ってらっしゃい」

「そうですね。イリスさんは、わたし達にお任せを」

 

 イリゼからの声に反応したのは、ブランさんとミナさんの二人。ロムちゃんとラムちゃんはお絵かきをしていて、それをイリスちゃんがミナさんの膝に座って眺めてる状態。よくは知らないけど、イリスちゃんはミナさんの事も大好きみたいで、ミナさんはそんなイリスちゃんを優しい目で見つめていた。…何だかちょっと、お母さんみたいだなぁ……。

 

「……あ、僕はイリゼの事も、お母さんっぽいと思ってるからね?」

「いきなり何の事!?後そろそろネタとしてしつこいって思われやしないかなぁ!?」

「……イリゼ、愛月、プラネテューヌ行く?」

「あ…う、うん。明日には回せない用事だからね」

 

 いつもの静かな声でイリスちゃんに訊かれて、イリゼも声のトーンをダウン。イリゼから回答されたイリスちゃんはイリゼから視線を移す形で僕を見て、それからブランさん達を順番に見ていって……

 

「…イリスも行く」

「え?イリスちゃん、ブランさん達と一緒じゃなくていいの?」

「…イリスも、一緒に行きたい。駄目…?」

 

 自分も行く、というイリスちゃんの言葉に、僕もイリゼも驚いた。てっきりイリスちゃんは、まだブランさん達と居たいって言うかと思ってたから。

 でも別に、イリスちゃんが来ちゃ不味いなんて事はない。だから勿論いいよと言葉を返して、僕達は三人で行く事に決定。…って言っても、いいよと言ったのはイリゼだけどね?僕もイリスちゃんも、飛んでいくならイリゼ頼りな訳だし。

 

「それじゃ、行くよ二人共」

「ん」

「お願いね、イリゼ」

 

 女神化したイリゼに掴まって、僕達は空へ。当然夜の空は暗くて、でも夜の空から見るルウィーはまた違った綺麗さがあって、何となくだけど幻想的。

 ある程度上昇すると、イリゼはプラネテューヌに向かって更に加速。僕やイリスちゃんがこの形での移動をもう何度も経験しているからか、初めての時よりそこそこ速くて、その内にプラネテューヌの生活圏が見えてくる。

 

(わっ…ルウィーも綺麗だったけど、プラネテューヌも綺麗だなぁ……)

 

 ルウィーは幻想的な綺麗さだったけど、プラネテューヌはほんとに都会の夜景、って感じの綺麗さがあって、ついついじっくり眺めたくなる。というか、降下が始まるまでずっと僕は眺めていた。

 

「よいしょ、っと。今回は結構スピード出したけど、怖くなかった?」

「大丈夫だったよ。だよね?イリスちゃん」

「うん、大丈夫」

 

 着地して、イリゼから離れて、軽く言葉を交わしてから僕達はプラネタワーの中へ。エレベーターに乗って、上へ上へと登っていく。

 

「そういえば、用事って具体的には何なの?」

「ふふ、それは行けば分かるよ」

『……?』

 

 何故か含みのある言い方のイリゼに僕達は小首を傾げるけど、それでもイリゼは答えてくれない。何だろうなぁと色々考えてみたけど「これだ!」…っていうのは思い付かなくて、分からないまま目的の階に。 そうしてイリゼに案内されたのは…リビングルームに当たる部屋。

 

「え、イリゼここって……」

「なんでここ?…って事でしょ?その理由は、入ってみてのお楽しみ、かな」

「えぇぇ……?」

 

 含みがあるどころか、勿体ぶってる感じのイリゼ。けどここまで来たなら後は入ってみれば分かる事だし、言われた通り僕は中へ。

 ここ、って事は、待っているのは人か物。ネプテューヌさんかネプギアさんが、直接会って話したいって事なのかな?それとも、実はイリゼが何かを注文していたのかな?そんな事を考えながら入ると、中にいたのはベージュ色の髪をした、僕より背が高くて眼鏡を掛けている……って、

 

「よっ。災難だったな、愛月」

「あ、えっ、うぇっ……ぐ、グレイブ!?えぇぇぇぇええええええっ!?」

 

──部屋の中にいた人、それは僕の旅の同行者にして、僕が知る中で一番常識が通用しない無茶苦茶なポケモントレーナー……グレイブだった。

 

「嘘ぉ!?な、なんで!?なんでいるの!?」

「う…愛月、声が大きい……」

「あっ…ご、ごめんねイリスちゃん…でもほんと、なんでいるの…!?というか、イリゼは知ってたの…!?」

「うん。さっき私、電話してたでしょ?あれ、イストワールさんからの連絡だったんだ。なんでもイストワールさんが愛月君の世界を探ってる中で、急に現れたんだとか……」

 

 びっくりして、あんまりにもびっくりして、つい大声を出してしまった僕は、イリスちゃんの言葉で少し声量を落としたけど…落としたって、びっくりしてる事には変わりない。だってまだ、全然状況を飲み込めていないんだから。

 

「グレイブさん…っと、皆さんもう着いていたんですね(・∀・)」

「あ、はい。それにしても、私だって連絡を受けた時は驚いたよ、グレイブ君。どうやって愛月君を見つけ出した…というか、信次元にいるって分かったの?」

「そりゃ、愛月のチャクラを辿ってだな…」

「まさかの時空間忍術方式…!?…もう、ここで冗談言うのは止めてよね」

「ははっ、悪い悪い。まー、細かいとこは省くが、パルキアが空間の異変に気付いたみたいでな。で、それに愛月と信次元も関わってるって察知して、テレパシーか何かで俺に教えてくれたんだよ」

「え、あ、パルキアが…?」

「パルキアがだよ。…なんか、『またか…』みたいな声音してたな」

「あ、あー…次に会う機会があったら、度々お世話になりますって伝えておいて……」

 

 僕が混乱している中、イストワールさんがやってきて、しかもそのまま話が進む。ぱ、パルキアって…確かにイリゼが僕達の世界に飛ばされてきた時一回お世話になったし、空間の神って呼ばれるパルキアなら、察知出来てもおかしくなさそうだけど…向こうは向こうで、そんな事があったんだ……。

 

「んで、また前みたいにやるかって話にもなったんだけど、丁度こいつがいたからな。大体の情報だけ聞いて、後は走ってきたんだよ。だよな?」

「グガゥ!」

 

 そう言ってグレイブは、後ろで堂々と立つソルガレオへと声を掛ける。呼び掛けられたソルガレオは、これまた短いけど堂々とした声で返す。あぁそっか、ソルガレオはウルトラホールで異世界を行き来する力がある……

 

「…ってなんで!?なんでソルガレオがさらっといるの!?」

「え、そこ突っ込むの遅くね…?後、普通に認め合って仲間になってくれたからだが?」

「そういう事を普通に言うからグレイブは無茶苦茶なんだよぉぉ……!」

「はぁ……?」

 

 太陽の使者なんていう異名もある、伝説のポケモン、ソルガレオ。普通なら出会う事すら困難な伝説のポケモンの一体であるソルガレオを、さらっと紹介されたんじゃ、ほんとに常識なんて言葉は役に立たない。……まぁ、女神と友達になってたり、別世界に飛ばされてたりする時点で何を言ってるんだって気はするけども…!

 

「…イリゼ、この人は?」

「っと、そういえば紹介がまだだったね。この子は愛月君の友達のグレイブ君。グレイブ君、この子はまた別の次元から飛ばされてきちゃった、イリスちゃんだよ」

「あ、なんだこの子もそうだったのか。グレイブだ、宜しくな」

「ん…イリス。別次元の、ルウィーから来た。…その子、触ってもいい?」

「あぁ、構わねぇよ。ソルガレオ、悪いが触らせてやってくれ……って、んん?…おぉ、よく分からんが凄いなイリス…」

 

 げんなりと僕がしている間に、自己紹介し合ったイリスちゃんはソルガレオの鬣を撫で始める。グレイブは、イリスちゃんが全く怖がってないのと、ソルガレオが自然に撫でられているのへ驚いている様子で…はぁ、駄目だ…もうこれは、そういうものだって状況を受け入れるしかない…。

 

「しかしやはり、そのパルキアという神は凄いですね。結局わたしは、愛月さんの世界の捜索に対して何も出来なかった訳ですし……(。-_-。)」

「いや、そんな事はないぞ?ざっくりとしか聞かなかったから、実は最終的にはそれっぽい次元とか世界全てに入って確かめなきゃいけない状態だったんだよ。けど、イストワールの…捜索する力?…か何かが目印になったおかげで、すんなり信次元を見つけられたんだ。…だから、感謝するよイストワール。愛月を見つける、目印になってくれて」

 

 肩を竦めたグレイブは、イストワールさんに頭を下げる。それからグレイブはこっちを見て、にっと笑って……

 

「それと……待たせたな、愛月。それとも、観光の為にもう少し遅れた方が良かったか?」

「…ばーか。グレイブは初めから、そんな気遣いなんて出来ないだろ?」

 

 相変わらず、いつ見てもどれだけ話しても、グレイブの無茶苦茶さは尽きないし消えない。けど、僕が何度も一緒に、色んな旅をしている仲間のグレイブは、どこまで行ってもそういうトレーナーな訳で……だから僕も、にっと笑い返してやるのだった。

 

 

 

 

 

 

「…あー…そういや今更だが、もうちょっとイストワールとかイリゼとかが頑張った末に、なんとか俺の方も見つけられた、って方が良かったか?これまでのコラボって、大概終盤でクライマックスらしい山場があっただろ?」

「あー、それは確かに……って、そんな事気にしなくて良いんだよ!?何そのかっ飛んだ気遣い!?それは最早気遣いじゃなくて、ただのメタ発言だからね!?」




今回のパロディ解説

・モッヂボール
ギャグマンガ日和シリーズに登場する、オリジナルのスポーツの事。もし真ん中にイリゼがいたら、悪戯心に駆られたラム辺りが雪玉をぶつけそうですね。

・「〜〜ぐもんいっくもん?」
株式会社公文教育研究会、通称くもんのCMにおける代名詞的なフレーズのパロディ。ぐもん、だったらちゃんとした教育を受けられるか不安になりますね…。

・チャクラ、時空間忍術
NARUTOシリーズにおける、用語の事。当然冗談なので、愛月にチャクラはないと思いますし、グレイブにも時空間忍術なんてないと思います。…多分ですが。
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