超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed 作:シモツキ
目覚めた時、感じたのは肩甲骨やら尾骶骨やらの痛み。それも攻撃を受けた時のそれじゃなくて、負担がかかり続けた時の類い。物凄く痛い訳じゃないけど、捻る度に鈍い痛みが走って、「あー、動かしたくないなぁ…」って思う感じの、アレ。…そんな痛みを感じながら……この次元での二日目の朝、私は床から身体を起こした。
「ふぁ、ぁ…あ、うずめおはよ……」
「おはよう、いりっち。よく眠れたか?」
「結構ぐっすり眠れたよ…うずめは朝の体操中?」
「まぁな。じゃないと背中やら腰やらが……」
「あー…だよね……」
ぽけーっとしながら見回した先で、見つけたのはうずめのストレッチ姿。身体を捻ってる為に、普段以上にお腹が見えていて…うずめって、ほんとに健康的だなぁ……。
「ネプテューヌは…まだ寝てるんだね。うずめはいつ起きたの?」
「つい数分前だ。ねぷっちはいつも起きるのは遅いのか?」
「日にもよるかなぁ。夜更かししてお昼過ぎまで寝てる事もあれば、早朝から起きて元気一杯…なんて事もあるし」
「はは、どっちの姿も目に浮かぶな」
この痛みは少しでも解消したいなぁと思って、うずめの隣で同じくストレッチをする私。
「じゃあ、皆は?」
「海男はもう起きてると思うぞ。皆は…俺も起きてすぐこれを始めたから、見に行かなきゃ分からねぇ」
「そっか。…朝食はどうする?使ってもいい食料があるなら、私達の持ち合わせと合わせて何か作るけど…」
「じゃ、手伝うぜ。へへっ、朝からちゃんとした料理なんて久し振りだなぁ…」
「…うん、手伝ってくれるなら助かるよ」
嬉しそうに顔を綻ばせるうずめに、私は笑みを見せて首肯。その笑顔は、半分は手伝いに対する感謝だけど……もう半分は、作り笑いだった。…調理した朝食も満足に食べられないのが、うずめの日々なんだって思うと、顔が曇ってしまいそうだったから。
そうして身体を解した私とうずめは、もう日持ちしそうにない食料や食材を中心に使ってあり合わせのスープを作成。出来ればもう一品か二品作りたかったけど…状況が状況なんだから、あんまりほいほい食材を消費は出来ないんだよね。
「んぅ…おはよぉ……」
「おはよう。パンとスープだけだけど、ご飯出来てるよ」
「早く顔洗ってこないと冷めちまうぞ」
「はぁい、おかーさんおとーさん……」
「お母さん!?」
「お父さん!?」
スープを作り終え、お椀に入れ、並べたところでネプテューヌが起床。起きて早々とんでもない事を言って私達を戦慄させたネプテューヌだけど、どうもちゃんと働いてない頭で適当に言った事らしく、戻ってきたネプテューヌは「ほぇ?二人共どったの?」…なんて言っていた。
「おー!具材色々入ってて、栄養たっぷりって感じだね!頂きまーす!」
「ねぷっちは朝から好調だね。さて、それじゃあオレも頂くとするよ」
ネプテューヌより少し前に部屋に来た海男さんと共に、私達は朝食を済ませる。…因みにスライヌとひよこ虫(虫と魚の中間みたいなあの子達は、そういう名前の種族なんだって)達は、自分達で食料を用意するから大丈夫だって言っていた。
「ねぇねぇうずめ、今日はどうするの?シムシティばりの開拓?」
「出来たらやりたいところだが、それはずっと先の話だな。今日は皆が避難中に見かけたらしい、シェアクリスタルを回収しに行こうと思ってる」
「へぇ……ん?シェアクリスタルを回収って…え、落ちてるの?」
「あぁ、理由はよく分からないが、偶に落ちてるんだよ」
『えぇー……』
一瞬普通に流しかけた私が訊き返すと、うずめはなんて事ないかのようにさらーっと回答。でもシェアクリスタルが普通に落ちてる訳がなくて、私とネプテューヌは揃って困惑。
「…俺も変だとは思ってるぞ?ただ、それを解明する手段も知識も全くもってさっぱりだからな……」
「あ、変だとは思ってるんだね……じゃ、わたし達も同行するよ」
「へ?…ねぷっち達は、次元衝突の回避と信次元との接続確立をしなきゃいけないんじゃないのか?」
「それは勿論。でも言ったでしょ?私達は、うずめに協力するって」
「…いいのかい?」
「いーのいーの。普通に暮らすのも大変な皆を放っておいて自分達の目的だけ果たそうとするなんて、そんなの女神がする事じゃないもん」
柔らかな、けれど芯を感じさせる笑みで答えるネプテューヌに、私も力強く首肯。それはそれ、これはこれ…じゃないけど、どっちかじゃなくてどっちも……どれもこれも全部選ぶのが、女神だもんね。
「それに現実的な話として、この次元の知識や土地鑑のある海男さんやうずめと協力関係を築いた方が、私達としても目的達成に近付きますからね。ギブアンドテイク、というやつです」
「そうそう、ギブテクギブテク!」
「なんでシブタクっぽく言うの…ともかくそういう事ですから、私達は今の関係を続けたいんです。…どう、ですか?」
気持ちとしても協力したいし、目的の為にもその方が効率的。その両方から私達は意思を伝え……数秒の沈黙の後、海男さんは口を開く。
「…ありがたい話だ。君達が手を貸してくれるのはオレ達としても心強いし、話の筋も通っている。だから、二人がそう言ってくれるのなら、オレは是非同行してもらいたいと思うが…うずめはどうだい?」
「…ここまで言ってくれるなら、むしろ突っ撥ねちまう方が二人に対して失礼…ってもんだよな、ねぷっち、いりっち」
『じゃあ……』
「おう。俺達も、出来る限りの協力をする…ってか、次元衝突が起きちまったらこっちだってヤバいんだから、全面的に協力する。…昨日会ったばっかりだが…これからも、宜しく頼むぜ?」
にっと笑い、私達に向けて拳を突き出してくるうずめ。ふっ…と大人っぽい笑みを浮かべている海男さん。そんな二人に、私達も笑顔を見せて…こつんと、私達は拳を突き合わせ、あんまり女の子らしくないスキンシップを取るのだった。
*
朝食を終え、片付けもし、拠点周辺にモンスターの群れがいない事も確認した私達は、シェアクリスタルを見かけたらしい場所へと出向いた。皆の事を考えると、一人は残った方が良いんじゃ…とも思ったけど、隠れるのは得意(だから、無差別破壊を行う巨人が現れない限りは割と何とかなる)なんだとか。
「へぇ、ここにシェアクリスタルがあるのか」
「この国にも、まだこんな綺麗な場所が残ってたんだね」
青々とした草に、まだ生命を生み出せそうな地面。そして何より、見惚れてしまいそうな桜の数々。荒廃していた街とは真逆の、一眼で『綺麗』と思えるような空間が、そこには広がっていた。
「シェアクリスタルがある場所だけ、だけどね」
「そうなの?」
「この国…いや、この世界の土地は、もう殆ど死んでいるのさ」
見回す私達の後ろから、海男さんが私の発言に答えてくれる。それだけなら、「あ、そうなんだ…」と流さない事もなかったけど、続くネプテューヌへの返答は私達の歩みを止める。
「死んでいる…というのは、もう草木や農作物を作るだけの栄養がない…って事ですか?」
「それもある。けれどそれ以上に、もっと根本的……っと、そうだ…ふふ、ここには別次元とはいえ、きちんと機能している国から来た女神が二人もいるじゃないか」
『……?』
「すまないが二人共、オレの考えを聞いてくれないかい?この次元の現状に関する、オレの見解を」
訊き返した私の言葉に、海男さんは途中まで答え……そこから急に声音が変わり、自分の考えを聞く事を…もっと言えば、聞いた上での意見を私達に求めてきた。
「いい、けど…急だね。どこかに座る?…って、海男は座るも何もないのか……」
「いや、優先すべきはクリスタルの回収だ。だから探しつつ、片手間に聞いてくれれば構わない」
突然の話で私達は少し驚いたけど、海男さんが真面目なのは間違いない。だから聞いてほしいという求めに頷き、話を聞きつつクリスタル探しを開始する。
「では…結論から言おう。オレはこの次元は今、死に瀕していると思っている。そしてその理由として考えられるのは、二つ」
「一つは、あのデカブツが壊そうとしてるから…だよね?」
「あぁ。それが死に瀕している外的要因であり…もう一つは、守護者たる女神の不在という、内的な…女神統治のシステム不全とでも言うべき状態が、影響しているんじゃないだろうか」
「…女神の、不在……」
海男さんの言葉を、なぞるようにぽつりと呟いたのはうずめ。
いないも何も、ここにはうずめが…オレンジハートがいるじゃないか。…なんて事は言わない。それを海男さんが忘れる訳がないし……何となくだけど、その言葉が意図するものは分かっているから。
「無論、うずめはオレ達や国の為に戦っている。だが今のうずめの力の源は、自らに向けられた信仰心によるシェアエナジーではなく、出自不明のシェアクリスタル。確かにそれでも、個体としての能力は使えるのだろうが…国の守護者としての、システムとしての女神の力は行使出来ないのではないだろうかと、オレは思っているんだ」
今のうずめは皆を守ってはいるけど、それはあるべき『守護者』の形じゃない。本来の女神の在り方をしていないから、本来の力全てを行使出来ていない。…それが、海男さんの見解で…やっぱり、うずめの事を踏まえての考えだった。
良いとか悪いとかじゃない。推測される事実がそうなんだってだけの事。そしてそれは…筋の通らない話でもない。
「そこに加えて、先程言ったシェアクリスタルと環境の関係だが…女神やシェアエナジーは、そもそもの性質として加護の様な力があるのではないかとオレは見ている。性質としての周辺への加護と、能力としての広域加護。そこに任意のものか否かという違いがあるとすれば、先の見解と食い違う事はない……と、思うんだが…これについて、二人の所感を聞かせてもらえないかな?」
「む、むむ……」
「…ねぷっち?」
「…イリゼ、難しく考えず、思った通りの事を言えばいいんだよ」
「え……あ、うん…(体良く投げられた……)」
見解を海男さんが話し終え、それに対する所感を求められたところで、ぽふりと肩に置かれた手。声で分かってはいたけれど、その手の主は謎の余裕を見せているネプテューヌ。…と、いう訳で、私がその問いに答える事に。
「え、と…まず加護に関してですが、そこは正しい解釈だと思います。実際、私達女神や私達の作るシェアクリスタルには負のシェアによる汚染を緩和させる力がありますし、国全域に対する加護がなされているのも事実です」
「あ、そういえばそうだね。わたしもモンスターが街中に入ってこないように加護張ってるし、ルウィーが住めないレベルで寒くならないのも、加護の力なんだっけ?」
「…なんだっけ?って…ねぷっち、もしや……」
「おおっと、なんだよねをなんだっけと間違えちゃったなー!わたしとした事が、言い間違……って、待って!?ちょっ、じゃあ今プラネテューヌにはわたしの加護ないんじゃないの!?」
語尾を聞き逃さなかったうずめにジト目で指摘されかけたネプテューヌは、なんともわざとらしく誤魔化し……ている最中に、「わたしが別次元にいる=プラネテューヌの加護消滅」と繋がったらしく、一気に青い顔をして慌て出す。それを見た私は、嘆息しつつ……一言。
「…加護は、その国の女神全員が行っている力だったでしょ?」
「…ふぇ?…そ、そうなの…?……じゃなくて、そ、そうだったね!い、いやぁ、皆の事が心配になり過ぎてうっかり忘れてたよ〜!」
「…なぁいりっち、こういう時のねぷっちにはどう接するのが正しいんだ…?」
「そういう事にしてあげるのが、一番丸く収まるんじゃないかな…」
「そ、そっか…」
知ってるよね?…というニュアンスになるよう言ってあげると、ネプテューヌは予想通りの反応を展開。その後うずめからの質問に呆れ混じりで回答し……私は心の中で、もう一度深く嘆息するのだった。
「…話を戻しますね。女神やシェアエナジーに加護の力がある事は間違いありません。そして、今のうずめの在り方ですが……それも、人の思いで生まれ、願いで形作られる、理想の体現者が女神であるとすれば…その人の集合体である国と女神は、本来切っても切れない関係であるとすれば……」
「…あくまでシェアクリスタルからシェアエナジーを受けているだけで、人との繋がりが殆ど切れちまってる俺は、この国の女神として成立してない、って事か……」
私から引き継ぐ形で、見えた結論を口にするうずめ。その声は、表情は悲しそうで……だけどまだ、私の言葉は終わってない。見解に対する言葉は今の通りだけど…まだ私には、言っていない『思い』がある。
「…大丈夫だよ、うずめ。それは私も、同じだから」
「同じ…?」
「私も守護する国がない、宙ぶらりんな女神だし、最初はもう一人の私が残してくれたシェアエナジーで活動していた、それこそ戦闘能力だけの女神みたいなものだったから」
「いりっち……」
単なる偶然に過ぎないと思う。違う点も多くある。けど、本来とは違う在り方という点において、うずめと私…特に一度女神化出来なくなる前の私は本当に似た境遇をしていたから、どうしてもこれは伝えたかった。そして、それを聞いたうずめは私を見つめて……
「…………」
「…………」
「……え?…続きはないのか…?」
「…つ、続き……?」
「あ、いや…その、ないならないでいいんだが……」
「…え、ええっと……」
気不味い空気になってしまった。あ、あるかないかで言えばないんだけど…しまった、確かにこれじゃ「私と一緒だね」って言ってるだけじゃん…ど、どうしよう…えとえと、こういう時はなんて繋げれば……。
「ふふーん。二人共、このわたしを忘れてないかなー?」
「…ネプテューヌ?いや、忘れてないけど…何……?」
「何?…って、察し悪いなぁ。ほらっ、このとーり…守る国のない女神でも、友達や仲間は一杯いるし、信じてくれる人もいる。そういう事だよ、うずめっ!」
「わっ!?も、もう!危ないから急に飛び付いてこないでよネプテューヌ!」
「ねぷっち…」
内心おろおろの私を見てか、両手を腰に当てて前に出てくるネプテューヌ。全く脈絡の見えない言動に私もうずめもぽかんとする中、これまた急に私へ飛び付き、満面の笑みで言った。私には、ネプテューヌや皆がいるんだって。
理由はともかく、突然飛び付かれたら内容どうこう以前に驚くに決まってる。でも、うずめにはちゃんと伝わったみたいで…ふっと浮かぶ、柔らかな表情。
「…そうだな。女神としちゃ問題があっても、二人や海男、皆がいるし、俺は女神だから皆を守ってる訳じゃねぇ。そういう事だよな、ねぷっち」
「そういう事!んもう、イリゼったら詰めが甘いな〜」
「うっ……あ、ありがとネプテューヌ…」
ぎゅーっ、とホールドされたままの私は、恥ずかしさとドキドキとで頬が熱くなりながらもぼそりとネプテューヌに対してお礼。するとネプテューヌは、こういう時に限って茶化さずただにっこりと笑っていて……そういうとこだよ、ネプテューヌ…。
「…すまない、うずめ。興味本位で、君に無神経な話をしてしまって」
「いや、気にすんな。俺が難しい事を海男に丸投げしてなきゃもっと早く知ってただろうし、今の自分の状態を知る良い機会にもなったしな。この通り俺は落ち込んじゃいねぇし、結果オーライさ」
「…君の優しさと前向きさには、いつも救われるよ」
「そりゃ、それが俺の取り柄の一つだからな」
聞こえてくる言葉の通り、うずめの表情には無理をしている様子もない。空元気とか、気を遣ってるとかじゃなくて、うずめはネプテューヌと同じように根っからの前向きな性格なんだ。二人のやり取りからは、そんな事を感じられて……やっとネプテューヌも離れてくれる。…はぅ……。
「にしても、海男って詳しいんだね。実は天才キャラだったの?」
「まさか。オレなりに調べて、想像してみただけさ」
「こんな世紀末状態でここまで調べて想像出来るのも中々凄いと思うけど……ってあれ?あそこで光ってるの、シェアクリスタルじゃない!?」
「何!?…って、ビー玉じゃねぇか……」
文献があったのか、それとも誰かから聞いたのかは分からないけど、もし知識ゼロの状態からここまで考察したなら本当に凄い。…いや、もう外見の突飛さとか、その外見と声のギャップとか、とにかく海男さんは個性が強過ぎる…っと、そうだ。
「…海男さん、それにうずめ。一つ、言い忘れてた事がありました」
「オレの考えに関して、かい?」
「はい。海男さんは次元が女神ありきのものと見ているみたいですし、それも間違ってはいないと思います。けれど、信次元は人と女神が同時期に生まれたのではなく、先に人がいて、その人達に望まれる事でもう一人の私が……原初の女神が生まれ、海男さんの言う『女神統治というシステム』が成立したんです。だから……」
「あぁ、そうか。それは希望のある話だね」
「…海男、どういう事だ…?」
「信次元には、女神が存在しない時代もあったという事さ。そして生活はどうあれその時代でも人が生きていたという事は、女神が統治している国には女神の加護が必要不可欠だが、加護がなければ次元は成り立たないという訳ではないという証明になる。つまり……」
「俺が…俺達が、ここから国を…次元を復興させられる可能性は、ゼロじゃない…?」
大切な事を言い忘れていた私は、補足として説明。するとまず海男さんが理解して、その海男さんにヒントを貰ったうずめも結論に辿り着いて……うずめはぐっ、と拳を握り締めた。その手にやる気を、漲らせるように。
「そっか…だったら尚更、頑張らなくちゃいけないよな…よっし!先は長ぇが、ゴールは確かにあるんだ。やってやろうじゃねぇか!」
「いいね!わたしもベテラン女神として、沢山手伝っちゃうよー!」
「あはは。じゃあまずは、目の前の目的を達成させよっか」
「だなっ!」
そうして私達は、クリスタル探しを続行。話が終わった事と、私達のやる気が一層増した事で捜索能力は上昇し、遂にシェアクリスタルが見つかり始める。
「…っと、あった!これは携帯するにも丁度良いサイズだな」
「こっちもあったよー!けど、かなり小さいかなぁ…」
「いや、問題ねぇよ。小さくたって複数ありゃ、このサイズにも負けない量のシェアを確保出来るしさ」
ちらほらと発見されるクリスタル。大概は小指の爪位の小さな欠片だったけど、幾つかは昨日うずめが女神化に使ったようなサイズのものもあって、加護の話はやっぱり正しかったんだなぁと感じさせる。…ってあれ?もしかして最初の行…川柳になってる……?
「…うっ、見返してみたら狙ってやった感が凄い……」
「…急に何言ってんだ?イリゼ」
「あ、な、何でもないよ?…にしても、ほんとに変だね…シェアクリスタルは女神が作る、言ってしまえば人工物なのに、こうして落ちてるなんて……」
「落ちている理由については、オレもさっぱりだ。だが自然に生まれるものではないのなら、何かしらからくりがあるのだろう…」
「変と言えばさー、こんなに広い範囲が緑豊かってのも変じゃない?今見つかった分だけのクリスタルでこれだけ効果があるなら、わたし達がいる場所はどうなのって話だもん」
「…言われてみれば、確かに……」
目的の進行はそこそこ順調だけど、その最中にも解決しない疑問が浮かぶ。シェアクリスタルが自然発生なんてそもそもおかしいし、私達女神もシェアエナジーの塊なんだから、両手に収まる程度のクリスタルで広範囲に加護を与えられるなら、それこそどこかに長期滞在するだけでその周辺の環境は改善されるんじゃ?…とも思ってしまう。
「まだ一杯落ちてるのかなぁ…」
「それはないんじゃない?だって現に、そんな沢山は見つかってないんだから」
「…なら、沢山じゃなくて…凄くでっかいクリスタルがある、とかか……?」
「ふーむ…それもどうだろうか。大きいならその分、目に付き易い筈だろう?」
一度手を止め、私達は思考。今ある量と効果が釣り合っていない以上、絶対何かはある筈で、でもそれが分からないから気になってしまう。けれど、暫し考えてもそれらしき答えは出ず……意見も出なくなったところで、よし、と空気を切り替えるように海男さんが声を発した。
「それじゃあ明日、皆にもここに来てもらって、全員で探索と調査を行うというのはどうだろうか。どちらにせよオレと君達だけでは到底一日で探し切れる面積ではないし、オレ達守ってもらっている側は、普段の恩返しをする事が出来る。効率の面を考えても悪くないと思うが…どうかな?」
「人海戦術、ってやつか…。普段から助け合ってるんだから、わざわざ恩返しなんて…とは思うが、俺はそれでも良いと思うぜ。二人はどうだ?」
提案されたのは、数で解決しようという至って単純な策。でもなんら問題はないし、人海戦術なら見落としも大きく減るだろうと思って、私達もそれに首肯する。
「わたし達も別に良いよね?」
「うん、問題ないよ」
「なら、決定だな。じゃ、もう一つの目的もぼちぼち始めるとするか」
『もう一つの目的…?』
「食糧調達だよ。見ての通り、ここは緑豊かで色々あるからな」
そう言ってまた歩き出すうずめ。考えてみればそれもここで生きる上では凄く大切な事で、当然私達はそれにも首肯。
果実を採ったり、食べられる野草を採ったり、川魚を取ったり……そんなTHE・サバイバルな事をしながら、私達は食べられるものを集めていく。うずめは勿論、私達も旅の中で多少はそういう知識を得ていたし、身体能力のおかげで高所にある果実や素早い魚もばっちり確保する事が出来たから、帰る頃には結構な量の食糧が私達の手元に。そうして十分な量を確保する事が出来た私達は、翌日の事を考えて帰還するのだった。
*
「…ほぅ、奴等は明日もまた来るのか。偶発的に発見した時は、どうしたものかと思ったが……面白い。奴等がどれ程のものなのか、明日は試させてもらおうじゃないか」
今回のパロディ解説
・シムシティ
シムシティシリーズの事。女神は国の長ですし、原作シリーズにも国作りのゲームが出てくるかもしれませんね。…いや、出てきたら面白いかもなぁ、位の感覚ですが。
・シブタク
DEATH NOTEに登場するキャラの一人、渋井丸拓男の通称の事。こんな形でこんなパロネタが入るとは私も思いませんでした。意外なところでコンニチハ、ですね。
・意外なところでコンニチハ
ポケモンシリーズの一つ、ハートゴールド・ソウルシルバーに登場するキャラの一人、ゲンゾーの台詞のパロディ。OA振りの、パロ解説で出たパロネタですよー!