超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed   作:シモツキ

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第二十四話 今、自分に出来る最善手

 突如響いた振動と瓦解音。ただならぬ事態に私達が状況確認の為部屋を出ようとした時、うずめからの通信が入った。マジェコンヌに、嵌められた…と。

 

「嘘でしょ…!?皆は大丈夫!?」

「ウィードと海男には一先ず隠れてもらった!俺も無事だ!けど、奴が狙ってるのは……」

「……っ…私達じゃなくて、この施設…だね…!」

 

 まるでうずめの結論を勝手に引き継ぐかのように、再び部屋の中に響く振動。響き方からして、この音と振動は戦闘のもの。

 

「くっ……ここに来て強襲なんて、まさかマジェコンヌ…最初からそのつもりで、さっきはわざと身を隠したって事……!?」

「分からねぇ…!くそッ、とにかく二人も来てくれッ!奴だけならともかく、奴の呼び出したモンスターと同時攻撃じゃ流石に捌ききれねぇ…ッ!」

 

 その言葉を最後に、うずめからの応答はなくなる。それはつまり、通信してる余裕もないって事。…それはそうだ。うずめは今、マジェコンヌとモンスターを同時に相手しながら、一人でここを守ろうとしているんだから。

 

「もうっ、どんだけタイミング悪いのさマルシェコンヌは!悪辣にも程があるよ!」

「タイミングは偶々だろうけど、同意するよネプテューヌ!ゆっくり出入り口まで戻る時間はないし、ここは窓から……」

「ちょ、ちょっと待ってお姉……イリゼさん!どういう事…っていうか、さっきイリゼさんマジェコンヌ……言いませんでしたか!?どういう…ですか!?」

 

 この部屋に窓はなくて、一番近くであるのは廊下。だから私達は再び部屋から出ようとして……そこで私達を引き留めたのは、ネプギアの声。その声に私達は一瞬止まって、顔を見合わせ…その場で振り返って声を張る。

 

「ごめんねネプギア!気持ちは分かるけど、ちょっとだけ待ってて!」

「説明は後でちゃんとするから!今は一刻を争う事態で……」

「……っ…!待って下……ネプテューヌさん、イリゼさん…!」

 

 ネプギアの混乱は分かる。私が同じ立場だったら同じように動揺してたと思うし、心配にもなる。だけど説明している時間はない。うずめの切羽詰まった声を聞いてのんびりなんてしてられる訳がないし、この電波塔が破壊されたら、交信自体が出来なくなってしまうんだから。

 そしてそれは、うずめとの通信が聞こえていたなら、ネプギア達も分かってくれる筈。そう思っての言葉だったけど……私の発言に割って入る形で、イストワールさんもまた声を上げた。…私達と同じ位、声音に緊張を籠らせて。

 

「…イストワール、さん……?」

「…今が一刻を争う……事は、こちらにも伝わってきています。だからこそ、単刀直入に言……さい。……恐らくこの交信は、もうそう長く持ち…せん」

『……──ッ!?』

 

 声から感じる緊迫感に、思わず私は訊き返してしまう。その私に、ネプテューヌに向けて発されたのは……想像を遥かに超える、マジェコンヌの強襲にも匹敵するような衝撃の言葉。…この交信が、もうそう長く…持たない……?

 

「ちょっ、ど、どういう事さいーすん!?え、通信費!?次元間だと電話代があり得ない位かかっちゃうとか!?」

「ネプテューヌ!?こういう時位冗談は止めてよ!正気!?」

「うっ…で、でも今のはふざけたかったんじゃないの!こう見えてわたしもかなりテンパってて、だから……」

「あ……それはその、ごめん…」

「ううん、わたしも普段からふざけ過ぎてるのが悪い……って、こんな事言ってる場合でもないよ!?いーすん、理由は!?理由は何!?」

 

 ばっとコンピューターの前に戻り、齧り付くように端末を掴むネプテューヌ。私も同じように踵を返して、イストワールさんの言葉を待つ。

 分かってる。急いで応援に行かなきゃいけない事は。けれど……信次元との、帰るべき場所との繋がりが途切れてしまうかもしれないというのは、それ程までに私達の心を掌握していた。

 

「…理由は、単純……先程の振動と同時に、一気に……環境が不安定となりました。現に、こちらからの…が、途切れ途切れになっているので……いですか?」

 

 返答として発されたイストワールさんの言葉に、私もネプテューヌも息を呑む。

 確かにその通り、さっきからイストワールさんとネプギアの声は、聞こえが悪くなっている。それを私は、外からの音のせいで聞き辛くなっていただけだと思っていたけど……もしもそうなら、イストワールさんの言う通りだ。普通の機械が勝手に直る訳ないし、それどころか今は悪化するのがほぼ確実の状況。だって今も、攻撃は続いているんだから。

 

「……ネプギア、どうにか…出来ない…?」

「…めん、お姉ちゃん…こっちから出来る事は、何も……」

「……っ…な、ならネプテューヌは行って!せめて大体でも聞こえる内に、聞いておくべき事を……!」

「それも難し……リゼさん…!それに半端に伝え……態で途切れてしまった場合、な…か致命的な誤解に繋がっ……まう可能性もあります…!ですから……」

 

 通信環境の回復が困難なら、今の内に原因・要因の話だけでも。そう考えた私だけど、状況はそれすら許してくれない。

 交信が途絶えて、この電波塔が壊されたら、私達は信次元との繋がりを失う事になる。けどそれは、ここに来るまで、交信出来る状態を確立するまでと同じなようで、全然違う。何故なら……私達には機材を修理する技術も予備の機材もなく、修理に使えるパーツがこの次元にあるかどうかすら分からないんだから。だから、このままいけば、もしも必要な事を聞けたとしても……『交信の為の手段がある』という、私達にとって心の支えとなっていた大きな柱の一つが、失われてしまう。

 

「ど、どうしよイリゼ!?何かオロナミン…じゃなくてウルトラC的解決方法思い付いたりしない!?」

「それは今考えてる…!」

「そ、そっか…ならわたしも考え……ううん、わたしは一先ず迎撃の方に行くよ!向こうも大変だし、下手な考え休むに似たりって言うしね!」

 

 そんな事はさせない、この繋がりをただ奪われてなんてやるものか。その思いで私は頭をフル回転させ、考える。完璧な状態なんて求めない。今千切れそうになっている糸を、少しでも……繊維一本分でも繋ぎ留められる方法を、手段を全身全霊で考え探す。

 速攻でマジェコンヌを倒す?…無理だ、マジェコンヌはそんな簡単に倒せる相手じゃない。じゃあ、端末の調整を色々弄ってみる?…そんなの意味ない、問題が生じてるのはハード側だから。なら、取り付けた機材だけでも回収して、他の電波塔で試す?…これも駄目だ、壊さないように取るならこれも相当な時間がかかってしまう。……っ…だったら…だったら……ッ!

 

(…なら、やっぱり…これしかない……ッ!)

 

 今のこの状況で、最も必要なのは何か。今出来る中で、繋がりを繋ぎ止める事と、必要な情報を誤解や抜け落ちなく得る事を、どうすれば両方成立させられるか。…私はそれを…たった一つだけど、私はその方法を思い付いている。

 それは、出来れば取りたくない方法。例えそれが最善手だとしても、私はそれをしたくない。そんなの、投げ出すようなものだから。あまりにも『人任せ』だから。…だけど、それしかないなら…それをする事で、私達の目指す『次』に繋がるのなら……ッ!

 

「……待って、ネプテューヌ!」

 

 意を決し、声を上げる私。それを向けた先は…ネプテューヌ、だけじゃない。

 心も、やる事も決めた。ならばもう、それに突き進むだけ。だから私は……言う。

 

「イストワールさん!ネプギア!二人に──お願いが、あるの!」

 

 

 

 

 空から放たれる電撃。次々と迫るモンスター。俺の背にあるのは、守らなくちゃいけない重要な施設。はっきり言って……最悪だ、くそ…ッ!

 

「ハーッハッハッハ!怖かろう小娘!」

「怖くねぇよババァがッ!」

 

 モンスターを殴り付け、蹴り飛ばし、メガホンでも殴り、ギリギリのところで押し留める。電波塔に向けて撃ち込まれる電撃は、音波を放って撃ち落とす。その合間に降り注いでくるのは虫酸の走る高笑い。

 

「ほーぅ、その割には女神化も出来ていないではないか」

「そりゃテメェの差し向けたモンスター共がひっきりなしに来るからだろうがッ!」

「ふっ、すまないなぁ。上に立つ者の格の違いか、どこぞの軟弱者しか集まらん奴と違って私の下には血に飢えた者共ばかりが集まってしまうのだ」

「……ッ!テメェ…ッ!」

 

 口だけは達者な紫ババァ…マジェコンヌの煽りで一気に頭に血が上り、今すぐにでも殴り飛ばしたい衝動に駆られる。俺だけならともかく、あいつらを…強くはなくとも優しいエビフライ達を馬鹿にされて、怒りが湧かない訳がない。

 だがそこで、俺は俺自身に向けて説き伏せる。落ち着け、と。ダークメガミの時に、俺は何を学んだんだ、と。…そうだ、俺が今すべき事はなんだ?怒りに任せて突っ込む事か?……いいや、違うよな俺…ッ!

 

「…はっ、格の違い…ねぇ?負け惜しみも言わずに逃げ帰ったビビりと俺とじゃ、確かに格は違うだろうな…ッ!…いいや、言わずにじゃなくて言えずに…か?」

「…何だと?」

「聞こえなかったか?だったらもう一度言ってやるよ、ビビりのテメェと俺じゃ、格が違うんだよッ!」

 

 嘲笑うように口角を吊り上げ、メガホンで目の前の比較的小さいモンスターを打ち上げ、後ろ回し蹴りでマジェコンヌに向かって蹴り飛ばす。攻撃としちゃ下の下、そもそも奴のいる場所にまで届くかどうかも怪しいところだが……マジェコンヌは、それを攻撃で撃ち落とす。モンスター諸共、俺の放った言葉を跳ね除けるように。

 

「…ふんッ、抜かせ小娘が!逃げ帰った?ビビり?今こうして追い詰められていながらもそう思っているなら、貴様の頭は随分とめでたい作りをしているのだろうなッ!」

「あぁ?悔しくてまた来ただけだろ?それとも何か?忘れ物でもしてきたってか?」

「…ふっ」

「……何がおかしいんだよ…」

「いやなに、よもや煽りではなく、本当に気付いていないとは思わなくてな。そもそもまさか、ダークメガミがやられた時点で、私の策も潰えたとでも?」

 

 お返しとばかりに飛来する衝撃波。それを避けつつ煽りを重ねると……予想に反し、マジェコンヌは俺を鼻で笑う。…ちっ、冷静になりやがったか…だが……

 

「…どういう事だ、ババァ」

「どうもこうも、端から私の目的はこの施設の破壊だったという事だけだ。だがここを貴様等が単に拠点として使いたいのか、電波塔として何かに使うのか、はたまた爆薬を仕込み、ダークメガミを打ち倒す切り札にしようとしているのかは分からなかったからな。だからこそダークメガミをけしかけ、試したのさ。貴様等が、塔をどうするのかをな」

「…………」

「そしてその結果、貴様等の行動からこの塔は中・長期的な利用を目的にしているのだろうと判断し……」

「退いたフリして俺達を油断させたって訳かよ…ッ!」

「漸く理解したか。…まぁ、ダークメガミがやられた事は確かに驚きだったがな」

 

 得意げに話すマジェコンヌ。モンスターを捌きながら俺は嵌められた事に歯噛みし、やられたとばかりの声を上げ……るフリをしながら、内心で頭をフル稼働させる。

 

(…そういう事か…道理でいなくなってから一切殺意を感じなかった訳だ。そりゃ、最初から狙いが俺達じゃなきゃ殺意もねぇよな…ッ!)

 

 今すべき事を考えた俺が選んだのは、少しでも情報を引き出す事。一応それは成功したが…だからって状況が変わる訳じゃない。

 だがそれでも、この行為に意味はあった。何せ…一旦でもババァが攻撃を止めたおかげで、こっちも余裕が出来たからなッ!

 

「──ねぷっち!いりっち!無事か!?もし無事なら、すぐに出てきてくれッ!」

 

 少しずつ、少しずつババァの攻撃がこない間にモンスター共を押し返していた俺は、バックステップと同時に音波を打ち込みモンスターを纏めて一度押し留める。

 これは、前進していたからこそ出来た事。そしてその隙に俺はねぷっちといりっちに通信を掛け、素早く今起きている事を伝え、懐からシェアクリスタルを引っ張り出す。

 

「そうは…させないよッ!」

 

 距離が開いたからか、モンスターは俺に…いや、俺を跳び越え電波塔に突進をかけようとする。でも越えるより先に()()()はもう女神化していて、うずめの上を通ろうとするわんわん達をもう一度音波攻撃。それで今度は吹き飛ばして……そこからうずめの怒涛の反撃。

 

「ほにゃにゃにゃにゃーッ!」

 

 パンチして、キックして、とにかく片っ端からわんわんに攻撃。さっきまでは、踏み込み過ぎると相手にしてないわんわんに横を抜けられちゃうから重い攻撃は出来なかったけど、こっちの姿ならそれが出来る。

 ねぷっち達が来るまで強力な攻撃を電波塔に当てさせなければ、うずめの勝ち。オレンジハートになった今のうずめなら、それもきっと不可能じゃない。

 

「ちっ、小癪な真似を…ッ!」

「油断したオバさんが悪いんだよーッ!」

 

 ここまでは次から次へと襲ってきたわんわんも、うずめが一気に強くなったからちょっと怖くなっちゃったって感じで、攻撃の勢いが減る。

 そこでうずめは飛び上がって、電撃を避けながらオバさんに一撃。それは防がれちゃったから、ダメージはあんまりないと思うけど…叩き落とす事には成功……っ♪

 

「……っ…そういう事か…ッ!」

 

 踵落としでうずめが落とした先は、わんわん達の最前線。驚いたわんわん達は飛び退いて、そこにうずめは空から突進。オバさんはうずめの狙いに気付いたみたいだけど…もう遅いよ…ッ!

 

「オバさんはうずめを追い詰めてたつもりみたいだけどー、これでもうわんわん達は攻撃出来ないよねっ!」

 

 地上のオバさんに肉薄して、うずめは真正面からぶつかり合う。全力でオバさんに攻撃を仕掛ける。…それじゃ、わんわんの対応が出来ない?ううん、わんわん達と電波塔の間にうずめはいて、そこでオバさんと全力でぶつかってるんだよ?それなら、わんわん達は不用意に進む事なんて出来ないでしょ?

 

(ちょっとこの戦い方は危ないけど…うずめが一人で勝つ必要は、ないもんね…!)

 

 わんわんが回り込まないように動き回って、音波も飛ばしまくってるから、普通に戦うより消耗は早い。女神化無しでオバさんに勝つのは難しいから、危ないって事は分かってる。でも、ちょっと位の危険ならだいじょーぶ!ダークメガミとの戦いの方が、ずっと危なかったんだもんね!

 

……そう、思ってる時だった。

 

「…緊張感のない言動をしていようと、その思考までもが腑抜けているとは限らない、か……」

「む…オバさん今度は何?うずめはもうオバさんとお喋りするつもりは……」

「いやなに、ほっとしているだけさ。…念の為と、伏兵を用意しておいて正解だったとなッ!」

「え……ッ!?」

 

 そう言い放って、空に向けて電撃を放ったオバさん。そして次の瞬間、わんわん達の間を掻き分けるようにして飛び出してくるロボットわんわん。そのロボットは、うずめ達の戦いを気にもせず突っ込んでいって……電波塔の柱に当たった瞬間、爆発する。

 

「──ッ!」

 

 自爆を受けて、大きく損傷する柱。損傷しただけで、電波塔も揺れただけで、崩れちゃうような感じはないけど……安心出来ない。出来る訳ない。だって…ロボットわんわんが、一体だけな筈がないもん…ッ!

 

「さぁ行け、マシンモンスターよ!」

「そんな事…ッ!」

「いいや、させてもらうさッ!」

 

 次々と現れるロボットわんわん。一体は蹴り飛ばして、一体は叩き潰して止められたけど、三体目を止めようとしたところで割って入ってくるオバさん。その内にロボットは跳んで…また激突。今度はさっきより、大きく揺れる。

 

「……ッ、退いてオバさんッ!」

「はは、それは出来ない相談だなぁ…ッ!」

「こ、のぉぉッ!」

 

 じわりと垂れて、すぐに吹き飛んでいく嫌な汗。振り切ろうとするけど、オバさんは離れてくれない。…ううん、違う。退いてとは言ったけど…うずめはオバさんも、わんわんも止めなきゃいけない。どれか一つでも忘れたら、それに電波塔が壊されちゃう。

 焦る。これが壊されたら、ねぷっち達は友達とも仲間とも連絡出来なくなっちゃうんだって思うと、凄く凄く焦っちゃう。ねぷっち達が悲しむ姿なんて、見たくないから。

 だけど、どうしても全部は止められない。後少しってところで、抜けられる。だから余計に焦って、何とかしなきゃって気持ちが強くなって……そんな中、不意に通信器が音を鳴らす。

 

「皆、聞こえてる!?」

(……!いりっち!?)

 

 続けて聞こえてくる、いりっちの声。その声を聞いて、うずめの中で広がる希望。…それは、いりっちねぷっちの二人が来てくれれば、逆転出来るって期待。二人がいれば、三人でなら、守れるっていう自信。

 きっと二人ももう動いてる。もしかしたら、もう次の瞬間には来てくれるかもしれない。そうだよ、こういう時二人なら、ねぷっちといりっちなら……!

 

 

 

 

 

 

「──ごめんね、急にこんな事言われても意味が分からないと思うけど……」

 

「お別れじゃないから!必ずまた会える、そう信じてるからっ!」

 

 

「え……?」

 

……だけど、うずめの耳に届いたのは、想像もしなかった言葉。本当に、意味の分からないいりっちの声。…お別れじゃない?必ずまた会える?…どういう、事…?え…いりっちは、何を言ってるの…?それじゃあ、まるで……

 

「貰ったぞ、小娘ッ!」

「きゃ……ッ!?」

 

 そう、動揺していた一瞬の隙を突かれて、オバさんの槍がうずめに迫る。それは咄嗟に盾を掲げる事で防げたけれど、踏ん張れる体勢になかったうずめは大きく後ろに吹き飛ばされちゃう。

 飛んで、地面にぶつかって、転がって……それでもすぐに、身体を起こす。そんな場合じゃないって、跳ね起きる。だけどうずめと塔の間にあるのは、守るには遠過ぎる距離。防御なんて、間に合わない遠さ。そして……うずめの目の前で、わんわん達と、オバさんの同時攻撃が、電波塔に直撃する。

 

「……──ッ!!」

 

 激しい音を立てて、一部が崩れ落ちる電波塔。軋んで、歪んで……壊れていく。

 分からない。まだ使えるのか、それとももう無理なのかが。だけど、分かる事もある。それは……オバさん達は、更に攻撃をしようとしてるって事。

 

(…させ、ない…これ以上は、絶対させない……ッ!)

 

 メガホンを握り締めて、地面を蹴って、オバさんに向けて一直線。振り向いて防御の姿勢を取るオバさんに向けて、振り上げたメガホンを叩き付ける。…もしかしたら、もう使えないのかもしれないけど…だからって、好きになんてさせないもん…ッ!

 

「おおっと、私一人を相手にしていていいのか?」

「オバさんの意見なんか聞いてないよッ!これはッ、ねぷっちといりっちにとって大切な物なんだからッ!だから、これ以上壊させなんて……ッ!」

 

 うずめは一人。相手は沢山。うずめは電波塔を守り切らなくちゃいけなくて、相手は壊せればそれでOK。それは本当に難しい事で、もう完璧には守れなくて…だけど諦めない。諦められない。諦めなければ、少しは守れるかもしれないけど……諦めちゃったら、何も守れないから。

 だからうずめはオバさんを押し切って、押し退けて、ロボットわんわんを止めようとした。体当たりでも何でもして、一体でも減らそうとした。そうして、後ろからくるオバさんも気にせず、うずめがわんわんに手を伸ばした時…………その先のわんわんが、撃ち抜かれる。

 

「な……ッ!?」

「ほ、ぇ……?」

 

 電波塔にぶつかろうとしていたわんわん達を蹴散らす、横からの弾丸。背後のオバさんを追い返す、紫と黒の大きな太刀。

 そして振り向いたうずめの前に降り立つ、二人の女神。一人は見間違える筈もない、女神の姿になったねぷっち。だけど、もう一人はいりっちじゃない。もう一人は、ねぷっちよりも薄い紫色の髪の毛をした……うずめの知らない、女神だった。




今回のパロディ解説

・オロナミン
大塚製薬が販売する炭酸栄養ドリンク、オロナミンCの事。原作ではネプビタンやネプ矢サイダーとか出てきましたし、ネプナミンCとかもあるかもしれませんね。

・「ハーッハッハッハ!怖かろう小娘ッ!」
機動戦士ガンダムF91に登場するキャラの一人、カロッゾ・ロナの台詞の一つのパロディ。いやほんと、ガンダムネタは色んな戦闘場面で使えますね。

・「〜〜必ずまた会える、そう信じてるからっ!」
カードファイト!ヴァンガードに登場するユニットの一つ、クロノ・ドランZのフレーバーテキストのパロディ。次回からはOA(2020版)に…なんて事はありませんよ。
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