超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed 作:シモツキ
うずめの前に現れた二人の女神。一人はねぷっち。もう一人は知らない誰か。初めて見る、名前も知らない、銃剣を携えた女の子。
だけど、分かる事もある。その子が、ねぷっちの隣に並び立っている事。オバさんやわんわん達に、武器を向けている事。っていう事は、きっと……
「待たせてごめんなさい。でも、ここからは……」
「わたし達が、相手です!」
武器を振るって、見得を切る二人。その言葉で、うずめの中にあった「もしかしたら」が、「やっぱり」に変わる。やっぱり、この子は…ねぷっちの、うずめの味方なんだって。
「ちぃッ…四人目がいたとはな……!」
二人を前に、オバさんは舌打ちをしながら後退。同時にわんわん達に指示を出したみたいで、広がったわんわん達が襲ってくる。
それに対して二人は、左右に分かれて迎撃開始。…って、見てる場合じゃないようずめ……っ!
「ねぷっち!それに…あ、えっと……」
「…あ、わたしですか!?わたしはネプギアです!」
「ネプギア……じゃあ、ぎあっちだね!ねぷっちとぎあっちは、わんわんをお願い!」
「……ぎあっち…それに、わんわんって…」
「わんわんはモンスターの事よ!色々気になるとは思うけど……」
「う、うん!大丈夫だよ!」
女の子の名前はネプギアだから、ぎあっち。前から取ったらねぷっちと同じになっちゃうもんねとか、二人とも「ネプ」から始まるなんて、何か関係あるのかなとか、聞いた途端に色々思ったけど…一回それは頭の隅っこに置いておいて、うずめは下がったオバさんに突進。するとすぐに女の子…ぎあっちが邪魔になるわんわん達を射撃で牽制してくれて、一気にうずめはオバさんの前に。
「今度こそ、もうオバさんの好きにはさせないよっ!」
「はんっ!味方が来た途端に強気になるとは、情けない奴だなッ!」
「ダークメガミとかわんわんを呼び出してるオバさんに言われても、全然響かないもんねーッ!」
近付きながら左手の拳を突き出して、それをオバさんは槍の柄で防御して、うずめとオバさんは激突する。
防御された次の瞬間、うずめは身体を捻って右手のメガホンでオバさんへ横薙ぎ。サイドステップで避けるオバさんを追って、そこから飛び膝蹴りを叩き込む。
「だが、白髪の女神はどうした!…まさか、貴様等も伏兵として……」
「それはうずめだって聞きたいもん!いりっちはどこなの!?」
「仲間の貴様が知らんのなら、私が知る訳がないだろうが!えぇい、貴様の頭が緩いせいで馬鹿馬鹿しい会話をしてしまったではないかッ!」
飛び膝蹴りも避けたオバさんの斬撃を、横から盾で弾いて防御。続けて放たれた衝撃波はジャンプで避けて、空から音波ですぐに反撃。むむ、うずめの頭が緩いなんて…ほんっと嫌な性格してるよね、オバさんって…!
「まぁでもいいもんね!オバさんはここで倒しちゃうんだから!」
「驕るなよ小娘ッ!貴様一人にやられる私では……ッ!」
下降しながらパンチして、すぐに次の攻撃を仕掛けて、オバさんからの攻撃は盾と回避で凌いで、うずめはオバさんに猛攻をかける。まだ戦えるけど……オバさんだって、まだ作戦を残してるかもしれないもんね…!だったらそれを出す前に倒すか、出せない位に攻め込まないと…っ!
そうしてうずめはオバさんとタイマンで戦って、ねぷっちとぎあっちは電波塔を守りながらわんわん達を倒してくれて、少しずつ流れはうずめ達の方に。
「……いや、既に塔へのダメージは与えられた…拠点として使うにしても、場所が分かっていて防衛設備もないのなら、攻撃なぞ幾らでも出来る…ならば、無為に戦力を散らしてまで戦闘を継続する旨味は薄い、か……」
「何をごちゃごちゃ言ってるの、オバさんっ!」
「ふんッ、戦術的勝利は既に我が手中と言ったのだ!喜べ女神、貴様等の命は見逃してやるッ!」
「見逃すって……わわっ!?」
そんな中、急に距離を取ってぶつぶつ何かを言い出したオバさん。よく聞こえなかったうずめが接近すると、オバさんはまた飛んで、うずめの前に向けて電撃。それで生まれた砂煙をうずめが払うと……オバさんは電撃で、次々砂塵を巻き起こしてくる。
「これって…オバさん、また逃げる気ッ!?」
「いいや、逃走ではなく離脱さ!目的は果たしているんだ、間違えないでもらおうかッ!」
「偉そーに言っても、逃げる事には変わりないでしょー!あーもうっ!」
払って、払って、また払って。オバさんは下がりながら電撃を連射してるから、払っても払っても砂煙は上がって、しかも一回毎に少しずつ左右にも移動してるせいで砂煙越しに音波を放っても当たらない。むむむ、焦れったいぃ〜っ!
「こうなったら……!」
こーゆー時、砂煙から出ようとするのは実は危ない。だって、相手が見えないって事は攻撃も見えないって事で、攻撃がある方向に動いちゃうかもしれないもんね。
だけど、このままじゃ駄目だって思って、うずめは盾を前に出しながらジャンプ。空に飛んじゃえば砂煙なんて関係なくなるし、そうすれば追い掛ける事も出来る。…その考えは、多分間違ってなかったんだけど……
「ハーッハッハッハッハ!追いたければ追ってくるがいい!その場合、残ったモンスター共が電波塔を鉄屑に変えるだろうがなぁッ!」
「〜〜ッ!この…性悪オバさんめーッ!」
その時にはもう、オバさんは街の方へと消えていた。嫌ーな、ほんとに嫌な言葉を残して。
むぅぅ…!って思いながら下を見れば、後ろの方にいたわんわん達はオバさんと同じように逃げてるけど、前の方のわんわん達は今も電波塔に突撃中。もうねぷっち、ぎあっちがいるから十分守れそうだけど……今はオバさんを追う事より、もう一撃も電波塔を攻撃させない事の方が大事だよね…!
「二人共、挟み込んで一気に決めちゃうよっ!」
「……!えぇ、分かったわッ!」
「了解です!」
二人にそう声をかけて、ねぷっち達は前から、うずめは後ろから、三角に挟み込む形でわんわん達に一斉攻撃。うずめがオバさんと戦ってる間に二人は結構な数を倒していてくれて、しかもわんわんの一部は逃げていたから、残りのわんわん達には圧勝。そして……
「これで、終わりよッ!」
音波で足止めしたわんわんを、飛び上がってからの斬撃で真っ二つにするねぷっち。まだわんわんは数体残っていたけど、大太刀を振るったねぷっちがそっちを睨むと、わんわん達は皆逃走。もうここには、襲ってくるわんわんなんて一体もいなくて…漸くうずめ達は、電波塔を守る事に成功した。…勿論、完璧に守れた訳じゃないけど、ね……。
「…ふぅ。取り敢えずこれで防衛は成功ね。間に合って良かったわ」
「うん、ありがとねねぷっち。…それと、ごめんね…オバさんの方は……」
「大丈夫、捨て台詞は聞こえてたから。確かに逃がしちゃったのは残念だけど……今は電波塔を守れた事を喜びましょ」
そう言ってねぷっちは肩を竦める。うずめ的には、電波塔も完璧に守りたかったから、ダークメガミを倒せた時みたいには喜べないけど……あんまりしょげるのもうずめっぽくないよね、うん。
…って思ったところで、ちょっと落ち着いたうずめは思い出す。いりっちは、どうしたんだろうって。ぎあっちは、一体どこから来た、誰なんだろうって。
「ねぇ、ねぷっち。ちょっと訊きたい事があるんだけど……」
「あ…マジェコンヌさんの事とか、わたしも訊きたい事が……」
「…まぁ、そうよね。両方にそれぞれ伝えなきゃいけない事があるし。でもまずは一旦海男達と合流しない?」
「それもそうだね。じゃあ……っと、そろそろ時間切れかなぁ…」
「時間切れ…?」
ねぷっちの提案に頷いたうずめは、そこでもうそろそろ女神化が解けちゃう事を感じ取って、取り敢えず先に海男達へ連絡。それから「わざわざ時間切れになるまで待つ必要なんてないよね〜」と思いながら、時間切れの前に女神化を解除した……その、次の瞬間だった。
「…はぁ、にしてもほんとあのババァは性格悪──」
「な……ッ!?」
『え……?』
女神化を解き、俺が溜め息を吐いた瞬間、目を見開き声を詰まらせるぎあっち。そして、ぎあっちはモンスター共に向けていたのとは比べ物にならない程の敵意を発しながら……俺に向けて、銃剣の斬っ先と銃口を向けてくる。
*
イリゼの意外な…確かに問題全てを解決出来るけど、どう考えたって苦肉の策としか思えない手段を経て、わたしとネプギアはよーやくうずめの増援に。電波塔の完全防衛は出来なかったけど、本日二度目のマジェさんを撃退して、モンスターも掃討出来て、やっと皆一安心。わたしもうずめに合わせて女神化を解いて、さぁここからは皆(勿論これを読んでる君達も含めてだよ?)への説明パート!…と、思っていたのに……
「…ぎ、ぎあっち……?」
「何故…貴女がここに……ッ!」
何がどうなっているのか、女神化を解除したうずめにネプギアがM.P.B.Lを向けていた。
…………。
…いや「向けていた」じゃないよ!?ちょぉぉ!?え、どういう事!?え、サプライズ!?久し振りに視点を担当するわたしへのサプライズか何か!?だとしたらタチ悪いにも程があるよ!?サプライズじゃなくてハプニングだよ!?
「ちょっ、ネプギアストップ!ストップストーップっ!」
「下がってお姉ちゃん!気を抜いちゃ駄目ッ!」
「気を抜いちゃ駄目って…待ってよネプギア、どういう事…?」
「この人、なんだよ…信次元に起きた事も、次元同士が衝突の危機にある事も…全部、この人が…うずめさんが、仕込んだ事なの…ッ!」
「へ……?」
キッ、と普段の様子とはかけ離れた、激しい怒りの籠った瞳でネプギアはわたし越しにうずめを睨む。それはどう見てもドッキリとか、単純な好みの域とかじゃない雰囲気で、だからこそ余計に混乱するわたし。…そんなわたしへ向けて、ネプギアは言った。うずめこそが、今起きている異常の元凶だって。
「まさか、こっちの次元に潜んで、しかもお姉ちゃん達を騙していたなんて…ッ!」
「ま、待ってくれぎあっち!俺には何の事だかさっぱり分からねぇよ…」
「……っ…この期に及んで、あんな事を言っておいて、しらばっくれるつもりですか…?」
姉で、こっちに来るまでは一緒にいたわたしだってどういう事なのか分からないんだから、うずめだって理解出来る訳がない。だから、うずめの反応は当たり前のものだったんだけど……その反応を聞いた瞬間、ネプギアは表情を歪ませて、声音からそれまであった怒りが消える。
でもそれは、怒りが解消されたって事じゃない。むしろ、これは……
「…うずめさん、大人しく投降して、全ての次元を元に戻して下さい。さもなければ……」
「だから待ってって!い、一回M.P.B.L下げよ?っていうか今、うずめの返答次第じゃ本気で斬るつもりじゃなかった…?」
「…わたしだって、女神だからね」
「ね、ネプギア……」
完全に覚悟が完了している顔のネプギア。確かにそれも、女神としての成長の一つかもしれないけど…状況が状況だし、そうじゃなくてもこんな成長は喜べない。こんな成長、なんてわたしのエゴだけど…って違う違う!とにかく今は、この状況を何とかしないと……!
「え、えっと…あ、そうだネプギア!人違いは?人違いって可能性はない?」
「ないよ。確かに髪の色や雰囲気は違うけど、元凶の顔を見間違える筈がないもん。それに…お姉ちゃん自身あの人の事をうずめって言って、あの人も訂正をしなかったでしょ?」
「で、でもそれだけじゃ断定出来なくない!?ほら、ダーク王子とかダークファルス・ペルソナ的な存在って可能性も…!」
「いやねぷっち、ペルソナの方は結局同一人物だったってパターンじゃねぇか……」
「うっ…って、あ…そうだ、そうだよ!ネプギア、もしやネプギアの言う元凶って、わたしとネプギアが前にクエストの後出会ったうずめの事じゃない!?」
「…そうだよ」
「なら、それは信次元の…別次元のうずめだよ!」
慌てたせいで適切じゃない例えを出しちゃったわたしだけど、怪我の功名的な感じで、わたしも前に陥った勘違いを思い出す。これだ、これだよ…!だって現に、うずめはこっちにも信次元にもいるんだもん!
「別次元の、って…確かにわたし自身、別次元の自分を見た事があるから、その可能性は否定出来ないけど……」
「でしょ?それにこっちに来て以降、ほぼ毎日わたしはうずめといたんだよ?そりゃ勿論、片時も離れなかったって訳じゃないけど、十分アリバイの証明は出来るって!」
「…分身とか、どっちかは変装してたって可能性は?」
「いや分身はともかく、こんな再現度高い変装なんて出来る訳……あったぁぁ…よく考えたら、犯罪組織にあり得ない位変装が得意な人がいたんだった……」
折角流れが変わったのに、ネプギアの反論を補強してしまうような例を思い出し、わたしは思わず頭を抱える。うぅ、まさかこんなところでまた下っ端に苦しめられるなんて…っていうかあの子、今どこで何やってるんだろう…見かけなかったって事は、どこかの屋内で昏睡してるんだろうけど…。
「と、とにかく…違うよ、ネプギア。もしかしたら、本当にうずめが元凶なのかもしれないけど…それは、今ここにいるうずめじゃない」
「……ごめんね、お姉ちゃん。お姉ちゃんの言葉が嘘だとは思わないし、お姉ちゃんの事は信じてるけど……」
「ううん、それはいいよ。…わたしも、ネプギアの事は信じてて、その上で言ってるから」
M.P.B.Lをうずめに向けたままのネプギアと向き合って、わたしはネプギアと見つめ合う。
辛い。悲しい。ちょっとだけど離れ離れだったネプギアと再会して、早速力を合わせてモンスターを撃退して、やっぱり姉妹って良いなぁって思ってたところなのに、ネプギアとこんな殺伐とした話をしなきゃいけないなんて。ネプギアは覚悟を決めていて、そのネプギアが武器を向けているのはわたしの友達で、わたしはネプギアの隣じゃなくて、ネプギアの前に…相手側に、いるなんて。……こんなの、望んでない。ネプギアとの再会が…こんな、ちっとも嬉しくないものだなんて…。
「…………」
「…………」
「……仕方ねぇ、か…」
「…うずめ……?」
喧嘩なんてまずしないわたしとネプギアの間に訪れる、数秒の沈黙。その中で不意に声を発したのが、ぽつりと一言呟いたうずめ。反射的にわたしが振り向くと、うずめはネプギアの方を見たまま…すっと一歩前に出る。
「…動かないで下さい」
「そうはいかねぇよ」
「だったら…!」
前に出たうずめを、ネプギアは冷たい声で牽制。それにうずめは首を横に振って、もう一歩前に。
その行動は、ネプギアにとって敵対の意思を見せられるようなもの。だから次の瞬間、ネプギアは動こうとしたけど……それよりも早く、うずめは落とす。自分の武器であるメガホンも、女神化に必要なシェアクリスタルも。
「へ……?」
「…これで俺は丸腰だ。落としたもんは預かってくれて構わねぇし、信用ならないってなら身体検査をしてくれてもいい」
「……なんの、つもりですか」
「これで油断させようとしてる…と、思うか?」
思ってもみない行動にわたし達が戸惑う中、両手を挙げて無抵抗の意思を示すうずめ。ネプギアは、うずめがシェアクリスタルで女神化してる事を知らないから、そんな事を言われてもってなってると思うけど……、…いや、違う。ここで大切なのは意思を伝える事で、それはきっとネプギアにも伝わっている。
「…そこまでして、信用を得たいんですか?もし貴女の言う通り、本当に丸腰なら…わたしはここで、貴女を斬り伏せる事も出来るんですよ?そのリスクを負ってまで、わたしに信用されたい理由が……」
「あるさ。だって俺は、辛そうにしてるねぷっちの顔も、それを見て辛そうにしてるぎあっちの顔も見たくないからな」
「……っ…!」
自分の為じゃなく、わたしの為。ネプギアの為。…そう言ったうずめの言葉で、初めてネプギアの表情が揺らぐ。
うずめの表情に浮かんでいるのは、ごめんねって感情。あぁ、そっか…うずめは自分が疑われてる事より、それでわたしとネプギアが言い合う形になっちゃった事の方が、ずっと嫌だったんだ……。
「それに、誰かから疑われるのも気持ちの良いものじゃないし、それが助けてくれた相手なら尚更だ。だから、まだ信用出来ないなら、何を言ってくれても、何をしてくれてもいい。俺は出来る限りの事をする。ぎあっちに、信用してもらう為ならな」
「…うずめさん…貴女は、そこまで……」
「…でも、出来れば五体満足な身体ではいさせてくれ。じゃなきゃ…皆を、俺を支えてくれるあいつらを、守れなくなっちまう」
「…………」
「…頼む、ぎあっち。俺の言葉なんか、って思ってるかもしれないが…俺を、いや……ねぷっちを、信じてくれ」
最後まで、一言足りとも真剣な様子を崩さないままうずめは言って、頭を下げる。わたしを信じてほしいって。このままは嫌だって。
それはまるで、ネプギアに首を差し出してるようにも見える。それ位の覚悟があるんだって、行動で示しているようにも見える。勿論、うずめには女神としてやらなくちゃいけない事があるから、本当に首を差し出そうとしてる訳じゃないと思うけど……多分、一発位なら撃たれても良いって…本気で、思ってる。…それ程の思いを、今のうずめからは感じられる。
そんなうずめの姿を、ネプギアはじっと見ていた。見つめていた。見つめて、五秒過ぎて、十秒過ぎて、静かな時間が流れて……そしてネプギアは、女神化を解く。
「……顔を上げて下さい、うずめさん」
「…信じて、くれるのか…?」
「うずめさんの言葉からは、本気の思いも覚悟も伝わってきました。それは、その言葉は…十分信用に値すると思いましたし、今のうずめさんを討たなきゃいけないとは思えませんでした。…だから、わたしも武器を下ろします」
「ぎあっち……」
「…けど、まだうずめさんの全てを信用した訳じゃありません。本当に信用出来るかどうかは、これから見極めようって思っただけです。だから、勘違いは……」
「うぅ…ネプギアぁ〜っ!」
「わぁぁっ!?お、お姉ちゃん!?」
顔を上げたうずめに向けて、ネプギアは返す。表情は硬いままだけど、うずめの言葉を信じるって。今のうずめを討とうとは思わないって。
嬉しかった。安心もした。やっと、分かってくれてんだって。やっぱりネプギアはネプギアだって。だからその嬉しさから、まだネプギアは話してる最中だったけど……思わずわたしはネプギアに飛び付く。
「嬉しい、嬉しいよネプギア!100%疑ってた相手を、わたしとその本人の言葉で一旦信用しようって思ってくれるなんて、お姉ちゃん感激も感激だよ!いざって時の女神の選択が出来るようになっても、優しさを忘れてない今のネプギアがこれからもその優しさをなくさないよう、お姉ちゃんも頑張るからねっ!それとちょっと離れてる間にツンデレ属性まで会得するなんて、ネプギアも油断ならないな〜!」
「あ、ありがとお姉ちゃん…わたしもお姉ちゃんからそういう事言ってもらえて嬉しいよ…。でも、別にツンデレ属性を会得したとかじゃないからね…?」
「え?…あっ、ごめん今のはどっちかって言うとクーデレだったね。でもあんまりそっち方面伸ばしちゃうと、わたしが前に迷い込んだところのメイド長さんみたいになっちゃうぞ?」
「く、クーデレでもないよ!?後それはお姉ちゃんであってお姉ちゃんじゃないよね!?それは今作で初の次元移動っていう設定と矛盾しちゃう発言だよ!?」
ここまで出すに出せなかった(途中出してた?あれはうっかりだからノーカンノーカン)ボケを大いに発してネプギアにじゃれ付くわたしと、それに見事に突っ込んでくれる普段通りの調子のネプギア。はふぅ、こういうやり取りが今話中にやれて良かったよぉ…ギスギスしたまま次回へ続くなんて、Oiginsシリーズの作風に合わないもんね!
「…えーっと、二人共…俺、そろそろ質問をしたいんだが……」
「あっ、そうだよお姉ちゃん!一応話は付いたし、今度こそ説明を…後、そろそろ離れてくれないとわたし転んじゃうかも……」
「あー、そうだったそうだった。じゃあ改めて説明を……」
寄りかかるを超えて半ば抱き着いていたわたしへ、前と後ろから続けて説明要求が。そういえば元々はその話をしようとしてたんだよね、とわたしも言われて思い出し、ネプギアがバランスを崩し切る前にぴょこんと離脱。……と、そこで更に聞こえてくる声。
「おーい!うずめー!ネプテューヌ!イリ……ぜ…?うん…?」
「…いりっち、ではなさそうだね……」
「っと、海男達も来たみたいだな」
「……?あ、もしかして最初に言ってた人達っていうのは……ってえぇぇ!?人面魚がいるぅ!?」
丁度良いタイミングで来てくれたみたいで、声のした方を見てみればそこには避難していた二人…じゃないね、一人と一匹の姿。案の定ネプギアは海男に対して愕然としていて、その後渋い声にもう一驚き。いやぁそうだよね。海男を見て驚かないなんて、それこそ海男と同族の魚位じゃないかな?
「うぅ…まさかうずめさんを見た瞬間の驚きに追い縋る程のものが、こんなすぐに来るなんて……」
「あはは。…で、どうしよっか?ぱっと見電波塔はすぐ倒れちゃいそうな感じじゃないし、話す場所は施設の中でいいと思うけど……」
「…それなら、道中でさっきの話の続き…信次元で塔の調査に行ってどうなったのかを説明してもいいかな?そこをお姉ちゃんに話しておいた方が、わたしと皆さんとの相互理解が上手く進みそうな気もするし」
「それもそうだね。うん、お願いネプギア」
こっちの事を知らないネプギアと、信次元の事を知らないうずめ達の橋渡しとなるのは、勿論主人公たるこのわたしで、ならネプギアの言う通りまずは信次元で起きた事を全部聞いておいた方がいい。そう思ったわたしは頷いて、皆にも一度戻る事を提案。それに皆も頷いてくれて、うずめはメガホンとシェアクリスタルを拾い上げて、わたし達は電波塔下の施設へリターン。
その道中、最後尾にわたしが付くと、隣のネプギアは咳払い。それを始めるよっていう合図にして、ネプギアは話してくれる。塔の調査に行って、何があったのか。何が起こったのか。そして……どうして、うずめが元凶だって分かったのかを。
今回のパロディ解説
・ダーク王子
千年戦争アイギスに登場するキャラクターの一人の事。元々エイプリルフールネタだった訳ですし、昨日出せればよかったのですが…そこはまぁ、仕方ないですよね。
・ダークファルス・ペルソナ
PSOシリーズに登場するキャラクターの一人の事。未来から来た主人公…これって多くはないものの、様々なジャンルの作品に出てくる要素だったりしますよね。
・わたしが〜〜メイド長
アズールレーン及び、アズールレーンに登場するKAN-SENの一人(一隻)、ベルファストの事。クールに戦うネプギア…未来編とかで書いてみたいですね、えぇ。