超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed   作:シモツキ

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第二十八話 激闘の夜に

 設置した機材を回収して、ついでに役に立ちそうな物も幾つか拝借して、一応発電設備の電源も落として、わたし達は電波塔を後にした。…ここと信次元とを繋げるっていう大役を果たしてくれた電波塔な訳だから、立ち去る前にびしっと敬礼してから、ね。

 で、電波塔を引き上げたわたし達は、拠点のビルに。今日はほんとに色々あって、話数にして十話位振りに拠点へと戻った時にはもうくたくたで……

 

「わっ、わぁぁぁぁ!な、何これ何これ!?あっちにもこっちにも超掘り出し物レベルの機械が置いてあるよお姉ちゃん!宝庫!?オールズモビルならぬオールズマシンの宝物庫なの!?」

「あー…うん、ソダネー……」

 

 まさかそんな状態で、目を輝かせたネプギアに腕を引き千切れそうな程ぶんぶん振られまくるとは思わなかったよ……。

 

「どうしよ、どうしよお姉ちゃん!わたし興奮し過ぎて、早速どうにかなっちゃいそうだよぉぉっ♪」

「それは大変だー…でもネプギア、語尾が『♪』になってるよー……」

「ど、どうしたんだよぎあっちは急に……」

「…メカオタなんだよ、ネプギアは……」

「そ、そうなのか…。…あ、だったら電波塔のメインコンピュータールームにも来ればよかったな。あそこ、色んな電子機器が置いてあったし」

「……!?お、お姉ちゃん!わたしちょっとお散歩に……」

「待った待った流石にそれは流せないよ!?え、行く気!?今帰ってきたばっかりなのに、また電波塔まで戻る気なの!?」

 

 ネプギアの機械好きをすっかり忘れていた結果、開始直後からへろっへろの状態になっちゃったわたしだけど、流石にうきうきで出て行こうとするネプギアの事は全力を持って引き止める。あ、あっぶなぁぁ…!今のネプギア、フルスロットルで暴走してるんですけど…!?

 

「ええ、っと…もしや、道中でネプギアは誰かと入れ替わってたり……?」

「え?してませんよ?」

「そ、そっすか……」

「…個性的だね、ぎあっちも……」

 

 殆ど別人レベルの豹変を見て、人も女神も魚類だって困惑中。…周囲を引っ掻き回すのはわたしの得意分野だけど…瞬間最大風速に関しては、ネプギアもわたしと同等かそれ以上って可能性あるよね……。

 

「うー…お姉ちゃん、行っちゃ駄目…?」

「だーめ。明日お姉ちゃんが一緒に行ってあげるから、今日は我慢」

「あ、明日はOKなのかネプテューヌ…」

「うん。だってそういう約束してあげないと、隙を見て勝手に行っちゃいそうだもん」

「うっ…わ、わたしそこまで子供じゃないよ……」

 

 という訳で、明日もう一度行く事になってしまったわたし。…おっかしいな…本来逆だよね…?わたしがネプギアを振り回して、それに仕方ないなぁって言いながら付いてくるのが本来のわたしとネプギアの関係だよね…?

 

「…あ、皆さんお帰りなさいなのですー!」

「おー、帰ったぞエビフライ。何か問題はなかったか?」

「わっ……ほ、ほんとにモンスターが喋ってる…」

 

 そこで部屋の中にモンスターの一体…エビフライがやってきて、ネプギアは驚きに目を見開く。エビフライや皆の事は話しておいたから、いきなり斬りかかっちゃう事はなかったけど…まぁ、聞いてたってこれは驚くよね。

 

「はわっ!?何やら見知らぬ人が…それに、イリゼさんはどこなのです…?」

「あ…っと、うん…。そうだよね、皆にも話しておかなきゃだよね…」

「ほぇ……?」

 

 きょとんとしているエビフライに皆を集めるように言って、待つ事数分。今居る全員が揃ったところで、わたしはイリゼの事、それにネプギアの事を説明した。

 

「…という事なの。だから、イリゼはもういないんだけど…また会えるって信じてたから、皆もそれを信じてくれると嬉しいな」

「そ、そうなんですか…イリゼさん、帰っちゃったんだ……」

「…残念、だね…イリゼさん……」

「皆……」

 

 説明を聞き終えた時、皆は…特にスライヌの子達は、しゅんとしていた。それを見て、わたしはイリゼが皆と仲良くしてたんだなぁって事を理解する。…そうだよね、イリゼはほんとに皆との繋がりを大切にしてるから、短い中でもきっとこの子達と絆を育んで……

 

『…もう、あのなでなでは受けられないんだ……』

「あ、あー…そこなんだ……」

 

……と思いきや、惜しまれていたのはイリゼじゃなくてなでなででした。…い、いやまぁイリゼはライヌちゃんを日々撫でてるもんね!それになでなでだけが惜しまれてるって訳じゃないよねきっと!

 

「ま、まあまあそう気落ちするなって。今ねぷっちも言ったろ?また会える事を信じてほしいって」

「…そう、ですね。皆、イリゼさんを悲しませないよう、頑張って生き残るですー!」

『おー!』

「い、生き残るって……でも、うん…ここは、そういう環境なんだよね…」

 

 エビフライの掛け声に呼応する皆。賑やか好きのわたしとしては、元気になってくれて嬉しいところだけど、ネプギアはちょっと複雑そう。ふふん、ここはお姉ちゃんとして大丈夫だって事を……

 

「…大丈夫だぞ、ネプギア。俺もまだ、数日しか積み重ねのない人間だから慣れない事も多いが…だからこそ分かるんだ。皆がこの次元で生きている事を、悲観なんかしてないって」

「ウィードさん…ありがとうございます…」

「いやいや、この位なんて事ないって」

「…って、ネプギアが口説かれてる!?」

『ぶ……ッ!?』

 

 と思っていたのに先越されちゃったよ!?しかもよりにもよって男の子にだよ!?ちょぉぉっ!?

 

「く、くどっ、口説き!?わたし口説かれてたんですか!?」

「いや口説いてない口説いてない!ってか、これだけで口説きになんの!?」

「ほーぅ…ウィードは会って半日にも満たない女の子を口説くのか……」

「だから口説いてねぇって!マジトーンは止めて!?」

「むむ…駄目だよっ!ネプギアはわたしのもので、百歩譲ってもまずはユニちゃん達だからね!?」

「な、なんでそこでユニちゃん達が出てくるの!?」

 

 危機を察知したわたしは、ネプギアを抱き寄せ(ネプギアの方が背が高いから、抱き着く形になっちゃったけど)猛抗議。そこにうずめも参戦してきて、一気に会話はカオス状態。ネプギアもちょっと顔赤くしてるし、ほんとにお姉ちゃん口説きは許さないよっ!

 

「ねぷーッ!」

「お、お姉ちゃんが唸ってる……」

「そ、それは唸りなのか…?」

「はぁ…ほんと違うんだって…何故あれで口説いたになるんだよ……」

「何故も何も、ネプギアは可愛いんだから一人や二人に口説かれてもおかしくないでしょ?っていうか…まさかネプギアに魅力がないって思ってたりするんじゃないよねぇ!?」

「今度はそっち方面!?俺どんだけ疑われてんの!?」

 

 そんな感じでわーきゃー言う事数分間。最終的にネプギア口説き問題は……全員が疲れた事でお開きとなった。…うーん、最初は冗談半分だったのに…途中から結構本気になっちゃった、これはいけないね……。

 

「はふぅ…ただでさえ疲れてるところで大声沢山出したから、もうお腹ぺこぺこだよ……」

「それまで俺のせいにされたら、流石に怒るぞ…?」

「いやいやしないって。とにかくご飯にしよご飯!」

「だな。…って待て、いりっちがいないって事は…もう凝った料理は食べられないって事か…?」

「それなら心配ないよ!だってネプギアもお料理は出来るからね!」

「…そうなのかい?ぎあっち」

「あ…はい。ちょっとですけど……」

「いやいや助かるぜぎあっち!俺達は少しどころか殆ど出来ないからな」

 

 そう言ってうずめは笑いかけて、わたし達もうんうんと頷く。わたしの場合、そもそもほぼやった事ないから未知数だけど…まぁ、適当にやって上手くいくのはDAIGO’sキッチン位だもんね。ここはネプギアに任せるのが一番だよ。

 って事で、今日のお夕飯はネプギアが作ってくれて、それを仲良く食べるわたし達。ちょっとなんて言ってたけど、ネプギアの作った料理は普通に美味しかったし、お腹ぺこぺこなのもあってわたしはぺろりと平らげちゃったね。ねぷぅ……あっ、今のはげっぷじゃないよ!?お腹一杯による充足の溜め息だよ?

 

「ふぅ…調理器具はそこそこあってよかった……」

「割と物はあるんだよね。…あ、そういえばネプギア、床で寝るのは大丈夫?」

「床?…うん、まぁ…偶に床で機械弄りしてて、そのまま寝ちゃうって事はあるから大丈夫だけど……」

「うんうん、そういえば確かにそうだったね!よーし、じゃあ今日は一緒に寝よっか!」

「一緒に?うん、いいよお姉ちゃん」

「……ほんと仲良いよなぁ、ねぷっちとぎあっちって」

「あぁ。ぎあっちもそうだけど、ねぷっちも嬉しそうにしているね」

『……?何か(言った・言いました)?』

「いーや、何でもねぇよ」

 

 何か言ってるな〜と思ってネプギアと一緒に振り返ると、何故かわたし達を見て微笑んでる皆。きょとーんとしてわたし達が首を傾げると、更に皆は微笑んで……変なの。

 とまぁ、こんな感じでわたし達はご飯を終えて、寝る準備に入っていく。色々あったし、何よりイリゼがいなくなっちゃったけど…こうして、今日一日を終える事が出来た。だから……

 

(…心配しなくたっていいからね、イリゼ)

 

 わたしは心の中で、そう呟く。遠く離れた…けれど確かに繋がっている、友達へ向けて。

 

 

 

 

 毎日のように、凄い事が起こる。今日なんて、三日か四日位に分けてもまだ濃いんじゃないかって思う程に、濃密過ぎる程濃密な一日だった。

 だがそんな一日でも、夜は静かだ。まるでここが郊外であるかのように、どこもかしこも静寂に包まれている。けど…俺は記憶がないから確証はないが、こうなる前この街は……きっと夜も、賑わいがあったんだろう。

 

「…祭りの後は寂しいだけ…ってのは、こういう事を言うのかねぇ……」

 

 ビル前の道路に出て、俺は呟く。勿論祭りなんてやってないけど…今日あった事のボリュームは、祭りにも匹敵していたんじゃないだろうか。

 

(……俺が出会った時は皆がもういたから、思いもしなかったが…ネプテューヌ達は一時的に来ているだけで、いつかは帰るんだよな……)

 

 今俺が寂しさを感じているのは、濃密だった一日と今の静寂の対比によるものが大きいが……恥ずかしい事を承知で言えば、イリゼがいなくなった事も理由…だと、思う。だって…俺にとってそれは、初めての『別れ』なんだから。例えそれが死別じゃないとしても……

 

「おや、うぃどっちじゃないか。どうしたんだい?」

「ん?…あ、海男……」

 

 なんて考えていたところで、後ろから声をかけられる。…凄く特徴的な声だから、ぶっちゃけ振り返るまでもなかったが…やっぱり、声をかけてきたのは海男。

 

「…別に、具体的な理由がある訳じゃないんだ。ただ、ちょっと眠れなくて……」

「それは、今日は色々あったからかな?」

「…多分、そう」

「はは。うずめ達は全員ぐっすりだけどね」

「う……戦ってた皆がぐっすりで、俺が興奮冷めやらぬ的な状態って…なんか少し恥ずいな……」

 

 何とも言えない恥ずかしさに、ちょっと目を逸らしつつ頬を掻く俺。うずめ達がぐっすりなのは分かる。だって、あれだけの戦いをして、疲れていない訳がないんだから。

 なのに何故、見ているだけ、避難しただけの俺が眠れないのか。……いや、理由はほんとに分からんけど。

 

「…てか、そういう海男はどうしたんだ?」

「オレは見回りさ。普段うずめは何かあればすぐ目が醒めるし、多分同じ女神のねぷっち達もそうなんだろうが…流石に疲れている今日は、その神経も鈍っているだろうからね」

「そっか…。…なら、俺も付いていっていいか?」

「勿論。付いてきてくれるなら、むしろありがたい位さ」

 

 という訳で、俺は海男と共に歩き出す。…まぁ、歩いてるのは俺だけだが。

 

「…静かだよな、ほんと」

「静かだね。けど、油断してはいけないよ?」

「分かってる。自分の強さは、よーく知ってるからな」

 

 特に急ぐ事はなく、海男に付いていく形で進む。歩き出してから暫くは、散発的に他愛のない事を言い合って……ある時ふと、海男は言う。

 

「そういえば…うぃどっち、頭痛の方はもう大丈夫かい?」

「あーっと…おう、大丈夫だ」

「…あーっと……?」

「…実を言うと、あの時何かを思い出しそうになったんだよ。けど、それ以上の事は何もなかったっていうか……」

 

 別に今は切羽詰まった状態じゃないし、隠す事でもないか。…そう思って、俺はあの時の事を伝える。

 女神化したうずめの姿を見た時、確かに俺は何かを思い出しそうになった。…けれど、それだけ。その後同じような感覚は一度もこなかったし、あの時だって朧げなものが幾つか脳裏に浮かんだだけ。思い出しそう、だなんて言ったが…正直、その表現でいいのか怪しい位にあれはぼんやりとしたものだった。

 

「そうか…。…なら、ねぷっちに訊いてみるのはどうだい?記憶喪失の先輩である彼女なら、それについて何か知っているかもしれないよ?」

「あー…。…でも、ネプテューヌって別に記憶取り戻した訳じゃなかったよな…?」

 

 同じ記憶喪失経験者なら、あの時俺が抱いた感覚の事も分かるかもしれない。…それは確かにそうだが、解決に至った先輩ではなく、今も解決してない(そのままの自分を選んだらしいから、解決してるとも言えるが)相手に訊いても良い答えは得られないんじゃないか。…そんな思いで海男に訊き返すと、海男は「あ……」って顔をしていた。……忘れてたのね…。

 

「…すまない、俺が短絡的だったよ……」

「い、いやまぁ分かるけどな!ネプテューヌ、全然記憶喪失感ないし!」

「ありがとう、うぃどっち…。…うずめもそうだが、本当にねぷっちは記憶喪失である事を忘れてしまうね……」

 

 俺が慌ててフォローすると、海男は自嘲気味に苦笑い。…ほんと、滅茶苦茶明るいし前向きだし、記憶喪失感がまるでないんだよな…まぁ、これに関しちゃ「記憶喪失になったのは随分前で、もうかなりの積み重ねをしてきたから」…ってのもあるのかもしれないが…。

 

「…やっぱ、記憶喪失の事はあんま気にせず、呑気な位に構えてる方がいいのかねぇ……」

「…それは、その人次第だと思うよ。確かに気にし過ぎてストレスになるなら考えものだが、無理矢理頭から追い出そうとするのもそれはそれでストレスになるだろうからね」

「…俺次第、か…だよな……」

 

 そこで、暫く続いていた会話が終了。だがそれによって訪れた沈黙は別に気不味いものじゃなく、俺はぼんやりと自分の記憶について想像を巡らせる。俺は元々どんな人間で、どんな人生を送ってきたのか…って。

……と、そんな時だった。それまで俺の半歩前を進んでいた海男が、不意に歩み(泳ぎ)を止めたのは。

 

「…………」

「…海男?」

「……うぃどっち。ぎあっちが言っていた事…君は、どう思う?」

 

 追い越す形になった俺が振り返ると、いつの間にか海男が浮かべていたのは真剣な表情。そして海男が言った言葉に…少し俺は、驚いた。

 正確に聞いた訳じゃない。だが、ネプテューヌ達の次元…信次元にもうずめがいて、そのうずめは自分が異常の元凶だと言ったらしい。あの巨人、ダークメガミを従えていた事からも、全くの嘘…って可能性は低いんだとか。…それを聞いた時の俺は本当に驚いたし、正直訳が分からなかったが……

 

「…どう、って…どうして信次元のうずめは、そんな事をするんだろうな…としか…。…あ、いやそもそもの事を言えば、まだ俺は『別次元にいる同一人物』ってもの自体あんまし現実味を感じてないんだが……」

「まあ、そうだね。…なら、訊き方を変えよう。信次元に現れたうずめは、それこそうぃどっちの言う別次元の同一人物、と推測されているけど……本当に、そうだと思うかい?」

「え……?」

 

 最初の質問には、戸惑った。海男は急に何を言い出すんだろう、と。けど別次元のうずめ、だなんて言われたらそりゃ気になるし、誰かに意見を求めたくなるのも理解は出来る。

 だが、次の質問は…訊き方を変えよう、と言って海男が口にした言葉は……意味が、分からなかった。何故海男が、そんな事を言うのか分からなかった。…だって、それじゃあ…その言い方じゃあ…海男が、うずめを疑ってるみたいじゃないか。

 

「…海男は、うずめが信用ならない…って言うのか……?」

「いいや、そうじゃないよ。けどオレ達は、信次元のうずめの事を『聞いただけ』だし、次元に関しては知らない事が多過ぎる。だから、例えばこういう事も言えるとは思わないかい?…ここと信次元は別の次元ではなく、この次元が復興した末にあるのが信次元、或いは信次元が荒廃した末にあるのがこの次元である…とか、ね」

 

 真剣な表情を一切崩さず、海男は言う。うずめが別次元のではなく、同じ次元の同一人物である可能性を。ここと信次元とは、別次元ではなく未来と過去の関係である可能性を。

 言いたい事は分かる。その場合、ネプテューヌ達は次元移動じゃなくてタイムトラベルをしてるって事になるけど、俺からしたらどっちだって超常的な話だし、むしろ同一人物が複数いる…って部分が否定される分、そっちの方がまだ信じられそうな気すらする。それに結構ここの次元と信次元とは共通点が多いみたいだが、それだって同じ次元だって言うならそれは当然の事になる。だから…俺は海男の言う事を否定出来ないし、俺個人で判断するならば、それは『あり得る事』だって思う。……だけど、

 

「…そうかも、しれないな。俺は信次元のうずめの事も、別次元の事も皆の中で一番知らないから、それについて『こうだ』って言える事は、何もない」

「…………」

「…けど、この次元にいるうずめの事は知っている。海男よりも、ネプテューヌよりも一緒にいる時間は少ないが…それでも俺は、うずめの人となりを知っているんだ。……だから、俺は信じてる。少なくとも、俺達が今一緒にいるうずめは…そんな事、しないって」

 

 我ながら、まるで根拠のない主張だな、と思う。たった数日の奴が、長い間一緒にいる相手に対してこんな主張をするのは、いっそ滑稽なんじゃないかとすら思える。

 けどそれでも、俺の中にうずめを疑う気持ちはない。もしかしたらうずめが…だなんて思いは、一瞬たりとも生まれていない。何故か、って言われても上手く説明出来ないが…論理的に反論されたらきっと何も言い返せないだろうが……この気持ちだけは、揺るがない。揺るぐような気すらしない。だって俺は……うずめの事を、信じているから。

 詰まる所、これは海男に対する反論じゃない。ただ俺は、俺の思いを伝えただけで、それ以上でもそれ以下でもない。でもこれが本気の思いなんだって事だけは伝わってほしかったから、俺は海男を真っ直ぐに見つめて……次の瞬間、海男は笑う。

 

「……ふふっ、安心したようぃどっち。君が、うずめを信じてくれていて」

「へ……?…じゃあ、海男は……」

「あぁ、オレも同じ気持ちだよ。別次元の、或いは過去や未来のうずめは知らない。だが、今この次元にいる、この次元で共に過ごしてきたうずめは、そんな事をするような女神じゃないって断言出来る。…そう、胸を張って言える位には、長い時間共に過ごしてきたからね」

「海男……」

 

 そう言って俺にウインクしてくる海男。さっきまでの雰囲気はどこへやら、さっきの俺の発言を意識しているらしい今の海男には安心出来る茶目っ気があって…ふっと肩の力が抜けた。……って、俺…知らない内に、肩に力入ってたんだな…。

 

「すまないね。…けど、訊いておきたかったんだ。女神でも、信次元の住民でもない君が、うずめをどう思っているのかを」

「そうだったのか…顔が一切笑ってなかったから、本気なのかと思った……」

「演技派だろう?…でも実際、信次元のうずめの事は気になるからね。信じてはいるが、こういう可能性もゼロじゃない…と思っているのは事実だよ」

 

 再び動き出した海男と共に、俺もまた歩みを進める。…信じてはいるが、か…その二つを両立するのって、きっと難しい事だよな…。

 

「しかし、うずめも幸せ者だね。決して長い付き合いじゃないうぃどっちに、ここまで信じてもらえているんだから。……あ、いや…どちらも記憶喪失だから、過去に出会った事がある可能性も、ゼロではないか…」

「んまぁ、それはうずめの…ってか、女神のカリスマ性もあると思うぞ?ネプテューヌやイリゼだって、出会ってすぐに信頼出来るって思ったし、ネプギアだってそれは同じだし」

「女神のカリスマ…うん、それは確かにあるだろうね。けれど、女神だから信用してる訳ではないだろう?」

「そりゃ勿論」

 

 俺はうずめのカリスマ性に信頼を抱いている部分もあるんだろうけど、俺がうずめを信頼しているのであって、うずめが女神という存在だから信用している訳じゃない。というか、俺記憶喪失だから女神がどんな存在なのかって知識としての理解は出来ても、経験的にはまだしっくりきてないんだよな。そもそも、向こうも俺も対等の相手として接してる訳だし。

 そんな感じで、凡そ数十分位俺は海男と話しながら歩いた。お互いうずめへの信用を知る事が出来たし、それ抜きにも海男とじっくり話せる良い機会になったと思う。で、拠点ビルの前まで戻ってきた俺達は、そこでもう一度だけ立ち止まる。

 

「……さて、と。助かったようぃどっち。君がいてくれたおかげで、安心して見回りをする事が出来た」

「こっちこそありがとな、海男。知識も戦闘面も役に立たない俺だけど、それでも付き添い位なら出来るから、また何かあれば言ってくれよ?」

「あぁ、そうさせてもらうよ。…じゃあ、そろそろ寝るとしようか」

「だな」

 

 にっと軽く笑い合って、俺達は静かなビルの中へ。外も中も、見回りに行くまでと何も変わらない静かなままだが……何故か今は、そこに感じる寂しさが少しだけ薄れていた。

 そして俺は、眠りに就く。明日も、これからも皆と頑張る為に。




今回のパロディ解説

・オールズモビル
機動戦士ガンダムF90に登場する組織の事。原作とは展開が変わった事により、この段階でネプギアはメカオタ精神が反応する訳ですね。

・DAIGO’sキッチン
テレビ千鳥内の企画の一つの事。適当に作って、何なら途中で飲酒までしているのに美味しく作るって凄いですね。…イニガ’sキッチンも見てみたい私です。
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