超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed   作:シモツキ

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第三十話 消えぬ懸念を討つ為に

 残念!何か発見出来そうな気がしてたわたしだけど、何も見つけられませんでしたっ!

 

「お、お姉ちゃん!?数日とはいえ前話からは日が空いてるんだから、いきなりそれ言っても読者の皆さんにぽかーんとされちゃうよ!?」

「あ、やっぱりー?因みにこの場面は、前話の数時間後に書いていたりするんだよっ!」

「何その誰得情報!?」

 

 ネプギアのナイス突っ込みを得て、水を得た魚状態のわたし。あぁいや、わたしなんだから水じゃなくてプリンかな?

 

「冒頭から飛ばしてんなぁねぷっち…」

「マイペースに全力振ってるよなぁネプテューヌ…」

「オレは元気で何よりだと思うよ、ねぷっち」

 

 聞こえてくるのは、うずめ達による三者三様の反応。こういう時さらっと肯定してくれる辺り、海男ってばほんと紳士だよねぇ。

 

「けど、ほんと残念だったよね。何かしらイベント起きるかなぁと思ったけど、おっきな発見は何もなかった訳だし」

「うん。でも収穫はあったよ?深くは調べられなかったけどローカルサーバーが生きてる施設は幾つか見つけたし、その中のデータを色々調べてみれば何か分かるかもしれないもん」

「それに、うぃどっちの件もあるしね」

「あぁ。やっぱり俺、この街に住んでた…かどうかは分からないが、一回は来た事があるんだと思う」

「それは分かってるよ。でもほら、電波塔見つけたりダークメガミが現れたりした前回に比べると…ね?」

「いやまぁ、確かにそれと比較すりゃ、俺の『なんとなく覚えがあるような気がしないでもないなぁ…』は薄いけどよ……」

「あ、でも大丈夫!君だってわたしの友達だからね!言ってくれれば、記憶探しはいつでも手伝うよ!」

 

…とまぁこんな感じで元気一杯に話を回してるわたしだけど、今は探索を終えて帰ってきた後。でもあれかな。早速ネタになった事を考えれば、目立った発見ゼロでも意味のある探索にはなったって言えるかな。ネプギア達の言った事もあるし。

 

「さて、と。それじゃあわたしはご飯の準備をしてくるね」

「はいはーい。あ、でも明日に備えて今日は早く寝たいと思うし、お夕飯は簡単なのでいいよ。皆もそれでいいよね?」

「勿論。明日の朝食もおにぎりだけとかでも大丈夫だぞ。手が必要なら手伝うしな」

「…じゃあ、お言葉に甘えてぱぱっと作ってきちゃいますね」

 

 そう言ってネプギアは台所へ。それを見送ったわたしが視線を戻すと、何やらうずめは筆記用具を手に。

 

「あれ、どしたのうずめ。宿題?」

「な訳あるか…ちょっと明日行く洞窟とそこまでの道を書こうと思ったんだよ。何かあって別々の行動をしなきゃいけなくなった時、道が分からなきゃ困るだろ?」

「あ、確かに。もしも洞窟内で一人になったら……うん、俺は終わりだな」

「でもウィード、最初は洞窟っぽい所に居たんだよな」

「それは……マジで俺もよく分からん。食事とかどうしてたんだろう俺…」

 

…って感じの会話をしながら、うずめは紙に地図を書いていく。ふむふむ…シンプルで読み取れないって事はないけど…これは説明無しじゃ正確な把握は出来ないかも……。

 

「うずめ、その調子で書いていたら一枚に収まりきらないんじゃないかい?」

「あ、そうだな…ねぷっち、そこのチラシ取ってくれるか?あ、裏が白いやつをだぞ?」

「それ位分かってるって。えーっと……あぁッ!?」

「……!?ど、どうしたねぷっち!」

「こ、このお店メガステーキと特盛プリンアラモードのセットを時間内に食べ切れたら無料って書いてあるよ!?」

「何ぃ!?す、ステーキとプリンが無料…!?」

「…いや、どこに反応してんだよ二人共…しかもその店、絶対今はもうやってないだろ……」

 

 プリン好きとお肉好き必見のチラシを見つけてはしゃぐわたしとうずめ。…え、まさか本気でこのお店行く事を考えてたのかって?やだなぁ、わたしもうずめもそこまで天然じゃないってば。

 

「…こほん。ま、こんな感じだな。夕飯が出来たら、ぎあっちを交えて説明するよ」

 

 その後うずめは簡単な地図を完成させて、言葉通りにお夕飯の時地図…っていうか地形の説明をわたし達は受ける。それからは仲良くご飯を完食して、明日に向けた準備も整えて、あっという間に後は寝るだけのわたし達。

 

「ふぁぁ…昨日もだけど、今日もぐっすり寝られそうだよ。…事情が事情とはいえ、環境が整ってる信次元より、床で寝てるこっちの方がぐっすりって変な話だよね……」

「あはは、だよねぇ。…早く、信次元でもぐっすり眠れるように頑張らなきゃね」

「うん。…じゃあ、お休みお姉ちゃん」

「お休み、ネプギア」

 

 二人並んで横になって、わたし達は言葉を交わす。ネプギアにお休みって言ってからは、天井を見上げてもう一度思う。わたし達だけじゃなくて、今昏睡してる皆が、昏睡じゃなくてちゃんとお布団やベットでゆっくり眠れるよう、明日も明後日も頑張らなくちゃね…って。

 そんな事を思いながら、わたしも目を閉じ眠りに就くのだった。

 

 

……っていきたいところだったんだけど、その十秒後位にうずめからの「いいなぁ…姉妹って憧れちゃうなぁ……」みたいな視線に気付いて、それが気になって中々眠れなかったんだけどねっ!

 

 

 

 

 翌日。朝ご飯を食べて、今日の作戦の確認をして、わたし達は拠点のビルを出発した。

 まずは安全確認とマジェコンヌの注意を引く事を目的に(全部わたし達の思い過ごし…って可能性もあるけど)、わたし達が先行。ある程度行ったところで海男さんとモンスターの皆も出発して、皆で本拠点へと繋がる洞窟へと向かう。…って言ってもそれも数分前までの事で、今はその洞窟の前にいるんですけどね。

 

「ここが入り口かぁ…こっちも本拠点に繋がってはいるんだよね?」

「そうだ。こっちは海男達の行くルートより入り組んでるし地形的にも面倒だから、好き好んでこっちを使う理由はねぇし、何なら実際に入ったのもどこに繋がってるか調べる為の一回だけだけどな」

「え…それは大丈夫なんですか…?それだと、崩落で道が塞がってしまってる可能性もあるんじゃ……」

「その場合は、瓦礫を吹っ飛ばすなり引き返すなりするだけだ。そもそもババァの目を引き付ける事が目的だしな」

「…じゃあ、途中で道が分からなくなる可能性は……」

「そっちは…まぁ、あれだ。入り組んでるっつっても巨大迷路みたいなレベルじゃないから、最悪迷っても何とかなる!」

『えぇー……』

 

 ぐっと拳を握って自信を見せるうずめさんだけど、わたし達はむしろ不安に。…ね、念の為定期的に壁を傷付けて、目印を作っておこうかな……。

 

「と、とにかく行こうぜ!ここで立ち止まってババァに勘付かれたら、それこそ最悪の展開になるだろ?」

「ま、まぁそうだけど…あのさうずめ、行き当たりばったりは良くないと思うよ…?絶対わたしが言える事ではないけど……」

(ほ、ほんとにお姉ちゃんが言える事じゃない……)

 

 不安感を心の中に残しながらも、わたし達は洞窟の中へ。中は四人で並んでも難なく歩ける位には広いけど…さっき言っていた通り、くねくねしてたり起伏が激しかったりして、通り抜けるだけでも疲れそうな感じ。特に、ただの人間らしいウィードさんにとっては……

 

「なんかここ、特に凸凹だな……うぉッ!?」

「っと、ここは陥没し易いっぽいから気を付けろよ」

「お、おう…でもうずめ達は普通に歩けて…ぬぉぉッ!?」

「おおっと。…それはバランス感覚の差じゃね?あ…また抱っこしてやろうか?」

「そ、それは良い…安全性と引き換えに男としてのプライドがぼろぼろになるから遠慮する……」

 

 もう、見るからに大変そうだった。今も二度うずめさんに助けられてるし、わたし達も気を付けた方がいいかもしれない。

 

「はぁ…羨ましいなぁ、女神の身体能力……」

「女神だって苦労はあるんだぞ?例えば五感が優れてる分、不快な音が遠くからでも聞こえちまったり、嫌いな物を発見し易かったりする訳だからな」

 

 ウィードさんは自分の事を、うずめさんはウィードさんの事を気を付けながら、二人は仲良く道を歩く。……それを見て、これまで何度も感じていたある思いがまた心の中に浮かぶわたし。

 

(…やっぱり、このうずめさんが災厄を起こしてるようには見えない…よね……)

 

 これまで…って言ってもまだ数日だけど、わたしはうずめさんを見てきた。あんまり気分の良い事じゃないけど、疑いを持ってうずめさんを見ていた。だけど、わたしは疑いの目で見ていたのに、それでもうずめさんが悪い人であるようには思えなかった。そう思う出来事なんて、一度もなかった。

 ううん、なかったなんてレベルじゃない。うずめさんはいつも皆の事を気にかけてて、真面目な時は真面目に話して、逆に楽しい時はお姉ちゃんと一緒に笑顔を見せて、武器を向けたわたしにもお姉ちゃん達と変わらない態度で接してくれて……凄く、凄く良い人だった。お姉ちゃん達守護女神の皆さんと同じ、自然に尊敬出来る相手だと感じた。

……だからこそ、わたしは分からなくなる。本当に二人のうずめさんは別人なのか、同じ人なのかが。信次元のうずめさんがもっと悪意を剥き出しにしたような人なら、別人なんだってすぐに思えただろうけど、信次元のうずめさんは感情が読めない…ただ、深い何かを心の中に抱えてるような人だったから、二つの気持ちがどうしてもわたしの中で渦巻いている。…信じても良いのかもって気持ちと、これも演技かもって気持ちの二つが。

 

「…やっぱり、気になる?」

「ふぇ…!?あ、お、お姉ちゃん……。…う、うん…」

 

 どうするべきか分からない。信じるか疑うかで迷った時は、信じる事が出来る女神でありたいとは思うけど、この判断が三つの次元と数え切れない程の人達の未来に直結するかもしれないと思うと……どうしても、わたしは心を決める事が出来ない。

 そんな中で、不意にお姉ちゃんからかけられた声。驚いたわたしが横を向くと、お姉ちゃんは薄く笑っていて……も、もしやお姉ちゃん、わたしの考えは全部お見通しだって事…!?す、凄い…流石お姉ちゃ──

 

「だよねだよね!あの二人、中々良い雰囲気してるよねぇ」

「……あー…」

「…ネプギア?」

 

…と思ったけど、お姉ちゃんはやっぱりお姉ちゃんでした。まぁ、そんなお姉ちゃんも好きだけど…。

 

「…うーん、確かに良い雰囲気ではあるけど…普通に仲良いだけじゃない?うずめさんって女の子女の子してる感じじゃないし……」

「と、思うでしょ?でもうずめってばああ見えて…あ、噂をすれば……」

「へ……?」

 

 女神化している時のうずめさんはほわほわしてるけど、人の状態の時は女神化したり怒った時のブランさんっぽいっていうか、可愛いというより格好良い感じ(勿論ブランさんもうずめさんも、同性から見ても魅力的だって思える女の人だけど)。

 だから、お姉ちゃんの言う雰囲気とは違うんじゃないかなぁと思ったわたし。でもお姉ちゃん的には何か言いたい事があるみたいで、しかもお姉ちゃんは何やらにやりと笑みを浮かべる。そして、促されたわたしが前を見ると……

 

「なんか途中で土竜とか出てきそうだよなぁ。…てか、土竜って名前格好良くね?」

「お、やっぱウィードもそう思うか?名前に竜が付くなんてシンプルにかっけーし、真ん中に砂を入れたらもう獣竜種だもんな!」

「だろだろ?けど、ひょっこり身体を出してる…って考えると、可愛さもあるよな」

「あー、それも分かる。実際もぐらポケモンになると可愛いしな。それにカンガルーの子供とかも可愛いし、ちょっとだけ出してるのって可愛いよね〜♪」

「あ、おう。…えーと、うずめ…口調が……」

「口調〜?……はっ!?」

 

 途中からまではなんて事ない会話だったのに、ある段階からまるで女神化したかのように口調と雰囲気が変わるうずめさん。はっとしてわたしがまたお姉ちゃんの方を見ると、お姉ちゃんは「ほらね?」と言わんばかりの顔。…これが言いたかったんだ、お姉ちゃん…。

 

「…女神化してなくても時々したみたいになるって…ほんと、うずめさんってブランさんと似てるね……」

「もしかすると、信仰者層が近いのかもよ?外見の好みは明らかに違うだろうけどね」

「そ、それはまぁ…うん……」

 

 お姉ちゃんは面白そうに言っているけど、わたしは目を逸らしつつ回答を濁す。…え、理由?理由は…に、濁したんですから訊かないで下さい…!……こ、こほん。

 もう一度前を見てみれば、まだお二人は談笑中。良い雰囲気云々はともかくうずめさんとウィードさんの仲が良いのは間違いなくて、楽しそうに笑ううずめさんの表情は……それが偽りのものだとは、思えない。

 だけどそれでも、不安な気持ちは残ってる。だからもう少し、わたしはうずめさんの事をよく見ていようと思う。わたしが間違った判断を……自分が後悔するような選択を、しない為に。

 

(……でも、これからは…疑いの目だけじゃなくて、信じても良いのかもって目でも見てもいい、よね。だって…わたしの心は、そう感じたんだから)

 

 

 

 

 洞窟の中に入ってから数十分。わたし達はまだ洞窟内を進んでいて……今のところ、一度モンスターに襲われた事以外は何も起きていない。

 

「ねーねーうずめー、まだかかるの?」

「まぁな。けどもう半分以上行ってるから、まだここまでの倍かかる…みたいな事はないぞ」

「なら良かった。…慣れない地形って、ただ歩くだけでも結構疲れるもんなんだな…」

「分かる分かる。わたしも一作目序盤で同じ苦労を味わったよ。…っていうか、あれももう四年以上前の事かぁ……」

 

 うずめさんの返答に、ほっとした様子を見せるウィードさん。…あ、四年っていうのはメタ視点での事で、作中時間の方じゃないですよ?作中時間の方は……秘密です。

 

「…あ、ところで何もなかった場合、わたし達はどうするんですか?」

「それなんだよなぁ…なぁねぷっち、ババァの場所をこっちから割り出す方法ってないか?」

「うーん、マジェジェっちって基本どこにでも現れるからなぁ……あっ、対象は別の人だったけど場所が分からない相手を見つけ出した実績のある手段ならあるよ?」

「お、マジか。どんな手段なんだ?」

「樹の枝倒し!」

「え?」

 

 にかっと笑って答えるお姉ちゃんに、うずめさんは一瞬硬直。それから答えを求めるようにわたしに視線を送ってくるけど…すみませんうずめさん、その話はわたしも知らないです……。

 

「どうどう?案外当たったりするものだよ〜?」

「…しゅ、手段の一つとしては有りかもな〜。けどそれよりはまず、今進んでる道のりを……うん?」

「ん?どうしたようずめ…って、あ……」

 

 どこで手に入れたのか樹の枝を出してくるお姉ちゃんから目を逸らしつつ、うずめさんは角を右に。

 するとその数秒後、うずめさんの妙な声が聞こえてきて、続いてウィードさんが立ち止まる。なんだろう、と思ってわたしが奥に目を凝らしてみると……そこにあったのは、続く道のない開けた空間。

 

「…あの、うずめさん…これって……」

「…だ、だいじょーぶだいじょーぶ!ちょっと間違えただけだし、まだ迷った訳じゃねぇって!えーっと……あ、そうだ!一つ前の分かれ道を逆に進むんだったな!」

「だったなって…ほんとに大丈夫かうずめ…」

「大丈夫だって!ほら戻ろうぜ皆!これでまた間違ってたら流石に反省するが、一回位のミスは誰だって……」

 

 間違えた事の恥ずかしさからか、いそいそと来た道を戻ろうとするうずめさん。そのあたふた具合が逆に不安だったりもするけど…確かに、一度通っただけの道なら一回位のミスは普通の事。だからきっと、多分大丈夫だよね…と心の中で言い聞かせつつ、わたし達も振り返ろうとした……その時だった。

 

「──いいや、反省するべきは今だ小娘。この袋小路に、自ら入ってしまった事をなぁ!」

『……ッ!』

 

 突如として洞窟の中に響いたのは、嘲るような声。この声を、この悪意に満ちた声音をわたしはまだ一度しか耳にしていないけど……分かる。これは、この声を発した人物は……っ!

 

「ミジェコンヌ!」

「紫ババァ!」

「マジェコンヌ!」

「せめて呼び方を統一しろぉッ!」

 

……何か、いきなり怒られてしまった。…わ、わたしは悪くないよね…?普通に名前呼んだだけだし…。

 

「貴様等は本当にいつもいつも…マナーがないにも程があるわ!」

「はっ、マナー?それをテメェが言うのかよ」

「そうだそうだ!それに前々作には、ほぼ下っ端としか呼ばれなかったキャラだっているんだぞー!」

「ほぼ下っ端としか…?……お前等、それは流石に酷いというか…存在そのものを侮辱しているレベルじゃないのか…?」

「そ、それは……ど、どうしよネプギア!?わたし正論で返されちゃったよ!?」

「う、うん…そうだね、言われてみるとわたし達…この件に関してだけは、性格悪いって言われても何も言い返せないよね……」

 

 軽く引いた様子のマジェコンヌさんから意外な返しをされて、反論が出来なくなってしまうわたし達。…うん、確かに…悪い事してる相手だからって、ほぼずっと下っ端呼ばわりする事が正当化されたりはしないよね…。

 

「お、おーい…ねぷっち、ぎあっちー…?」

「…はっ!?しまった、今関係ない話で戦意を喪失させようなんて…せこいよムジェコンヌ!」

「先にその話を出したのは貴様だろうが!…ふん、まぁいい。良くないがいい。どうせ貴様等を叩き潰せば、この気分も晴れるのだからな」

 

 鼻を鳴らしたマジェコンヌは、にやりと笑みを浮かべてこちらへ一歩進んでくる。その表情に、あの時のうずめさんみたいな「戦うつもりはない」って感じの様子は…ない。

 

「叩き潰す、ねぇ。テメェとはここまで二度、ダークメガミ戦も含めりゃ三度戦ってるが…その結果があっても尚言えるなんて、随分と図太い神経してんだな」

「あぁ言えるさ。実際貴様等は油断し電波塔を守り切れなかっただろう?」

「だが、テメェ自体にゃ負けてねぇ。確かにテメェも強いが……モンスターも無しに、俺達に勝てるつもりだってか?」

 

 そう言いながら、うずめさんはこちらに目配せ。うずめさんが伝えようとしているのは、恐らく上手く誘い込めたって事と、海男さん達の事を気取られないよう慎重に…って事。

 

「ほぅ。こちらが一人だと思っていながら、一対一で戦う気概は見せないのか。存外臆病なのだな、女神というものは」

「何をー!いいよ、だったら一対一でやってやろうじゃん!」

「あ、ちょっ!?お姉ちゃん!?」

「…って言いたいところだけど、そうはいかないかな。…だって、貴女は本当に強くて、絶対に油断しちゃいけない相手だって事を、わたしはよーく知ってるからね」

 

 見下すような煽りを受けて、お姉ちゃんは乗ってしまう…と思いきや、ふっと真面目な顔になって、真剣な目をして言葉を返す。

 そう、マジェコンヌは…昔のマジェコンヌさんは、何度もお姉ちゃん達を追い詰めて、最後はお姉ちゃん達が全員ボロボロになって、漸く倒す事が出来た相手。だから、油断なんて出来る訳がないし……わたしも、全力で迎え撃つべき相手だって分かってる。

 そしてそれは、うずめさんも分かってる事。分かっているからこそ、わたし達は周囲やマジェコンヌの背後…通ってきた道の奥へと目を走らせて……そんな中、煽りに乗らないわたし達を見たマジェコンヌは…嗤う。

 

「……ふっ…」

「…何がおかしい」

「いや何、滑稽なものだと思っただけさ」

「滑稽…?…何が、滑稽だって言うんですか…」

 

 にやりと嗤ったマジェコンヌの顔には、余裕と自信の色が浮かぶ。…それは、何か策が…勝てると本気で思える作戦がある人の表情。

 

「まぁ焦るな。急がずともすぐに見せてやるさ。…あぁ、分からないからと言って嘆く必要はないぞ?貴様等は浅はかなのではなく、ただ知らんだけなのだからな」

「…ふぅん…随分自信があるんだね」

 

 落ち着いた顔で、裏に冷静さを感じさせる声で、お姉ちゃんは短く返す。

 少しずつ、でも確かに張り詰めていく空気。マジェコンヌが何を考えているのかは分からない。だけど…女神としての感覚が、伝えてきている。今は、最大限の警戒をするべきだって。

 

「…奴が動かない内に、先制攻撃を仕掛ける…ってのは駄目なのか…?」

「駄目だな。向こうが気付いてる以上、何をしてくるか分からない相手に突っ込むのは危険過ぎる」

「だね。わたし達が何か言う前に、勝手に動いちゃ駄目だよ?」

「お、おう…分かった…」

 

 お姉ちゃんとうずめさんの返答を受け、緊張した面持ちで頷くウィードさん。そうしてわたし達が、全神経を張り詰めて警戒する中……マジェコンヌが、動く。

 

「さぁ、見るがいいッ!次元を破滅へと導きし、我が醜きもう一つの姿をッ!」

 

 マジェコンヌが目を見開いた瞬間、周囲に突風の如く闇色の光が収束。それはまるで、わたし達が女神化する時のようで…けれど全く違う、ある部分において真逆とも言える光の柱。その光は次第に大きくなっていき、そして……

 

「…ゥ……ォォォォオオオオオオオッ!!」

『……──ッ!?』

 

 光の柱が解けると共に、その柱の中からマジェコンヌは姿を現わす。けれどもう、そこにいたのはマジェコンヌじゃない。そこにいたのは異形の巨躯……嘗てわたし達が討ち滅ぼした、犯罪神に瓜二つの化け物だった。




今回のパロディ解説

・「〜〜真ん中に砂を入れたらもう獣竜種〜〜」
モンハンシリーズに登場するモンスターの一つ、ボルボロスの事。いやほんと格好良いですよね、土竜って。つい『どりゅう』と呼んでしまいそうな名前でもありますが。

・もぐらポケモン
ポケモンシリーズに登場するポケモンの一つ、ディグダ及びダグトリオの事。どうでも良いと思いますが、よく私はダグトリオをダグ『ド』リオと間違えてしまいます。
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