超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed   作:シモツキ

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第三十六話 街に戻って

──あれから、数日経った。あの時は驚いたが、まさかと思ったが、過ぎてしまえば同じ事。これまでと同じように、所詮は積み重ねてきた日々の一つでしかない。

 

「うーん…やっぱここにもねぇのかなぁ…」

 

 棚を左から右へ、上から下へ、文字を認識出来る位の速度で流れるように視線を移す。

 今、俺がいるのは近所のゲームショップ。あまり大きくはない、品揃えも充実してるとは言い難い、多分違う地域に住んでてここの事を知ってるって奴は殆どいないんじゃないか…なんて思うような、そんな店舗。

 だが、どういう訳か掘り出し物…他の店舗じゃ中古もないようなゲームが、割とここにはあったりする。だからこそ、俺は時々ここに来ている。

 

(ここにないってなると、いよいよ諦めるしかないんだけどなぁ……)

 

 とはいえ、当然ここなら欲しいゲームが必ずある…なんて事はない。ない時はないし、多分裏に仕舞ってある…って事もないだろう。…いやまぁ、その根拠だって特にはないが。

 そんな感じで探す事数分。そのゲームが対応しているハードのコーナー全てを見たが発見は出来ず、やっぱないみたいだな…と内心諦めてしまった俺。だが、そこでふとセール品を載せているワゴンが目に付き、もしやと思って見てみると……わぉ、あったよ。

 

「ははっ、まさかこっちにあるとはな」

 

 無いと思っていた物が、予想外のところにあった。そんな良い意味での裏切りにあった俺だが、勿論これは俺にとって幸運な事。あっただけでも嬉しいのに、それがセールでより安く買えるんだから。だから当然、俺は迷わずそのパッケージへと手を伸ばし……

 

『……え?』

 

 パッケージを掴む直前、誰かの手と俺の手が重なる。──それはまるで、数日前のあの日のように。

 

「っと、悪ぃ。不注意だった…って、お前は……」

「…な、なんでここに……?」

「なんで、って…そりゃ、ここは意外と他じゃ置いてないようなゲームが売ってたりするからだが……」

 

 あの時と同じ…いや、あの時以上の驚きを感じながら振り向けば、そこにいたのはあの日と全く同じ人物。

 こんな偶然があるだろうか。普段から付き合いがある訳じゃない、示し合わせた訳でもない相手と、同じ形での出会い方を二度もして、しかもこの店に対する認識までもが同じだなんて。

 

「……ははっ」

「……?」

 

 驚いた。それはもう驚いた。そして次に俺の口から出てきたのは…自分でもちょっと意外な笑い声。驚き過ぎて、思わず出てきてしまった乾いた笑い。

 数日前の出来事は、単なる思い出になると思っていた。誰しもそれなりに生きていれば、滅多にないような事でも一度や二度は経験するもんだと思っていたから。…けれど内心…本当は、惜しいと思っていた。だって、あんな偶然の出会い方をしたのに、あれがただの、その時だけの思い出で終わってしまうなんてあまりにも残念だから。

 だけど、あぁ…もしかしたら、そうじゃないかもしれない。あれは、あれきりの思い出じゃなくて、始まりとなる切っ掛けだったのかもしれない。……この日、俺が経験したのは…そんな事を思わせてくれる、出来事だった。

 

 

 

 

 テント越しに感じる、朝の光。昨日までと何ら変わらない筈なのに、場所が違うというだけで何か別のもののように感じる、不思議な感覚。それをなんとなく覚えながら…俺は目を覚ます。

 

「ふぁぁ、ぁ……」

 

 むくり、とゆっくり上半身を起こして、伸びを一つ。昨日までと違って、身体に痛みや強張りはない。何故なら今日は、マットを敷いて眠れたから。

 

「……あの夢の、続き…だよな…」

 

 外に出て、顔を洗って、軽く空を見上げながらぼそりと呟く。

 まるで自分の経験のように思えるこの夢を見られたのは、これで二回目。相変わらず、記憶喪失の俺にとっては本当に経験した事なのか、俺が勝手に作り出した架空の夢なのかの判別がつかないが、今回も良い夢だったと俺は思う。少なくとも、夢の中の俺は…俺の心は、そう感じていた。

 

(…この夢、まだ続きがあるのか…?あるとしたら……また、見られるといいな…)

 

 夢に期待したってしょうがない。夢は夢で、誰かが作ってるアニメやドラマじゃないんだから。

 だが同時に、俺はこれがただの夢じゃないようにも思っている。根拠はないが、そう感じている。だから…俺は、期待したい。また、この夢を…夢の続きを見られる事を。そして……この夢の中で、俺達が楽しくいられる事を。

 

 

 

 

 行きは陽動の為に、通り辛い方の道を通ったわたし達。でももう陽動の必要はなくなったから、街へ戻る為に今通っているのは楽な方。

 

「やー、やっぱり平坦な道って楽でいいよね」

「全くだ。…ところで…今更なんだが、女神は飛べるんだから山脈を越えたり回り込んだりした方が楽だったんじゃないのか?」

「まぁ、なくはないな。けど女神化するんじゃシェアエナジーを余分に消費しちまうし、ウィードを抱えた状態で襲われたら危ないだろ?」

「あ…そうか、そりゃそうだ……」

 

 なーんて会話をしながら、わたし達は洞窟内を移動中。折角来た本拠点をたった一泊で出ちゃうのはちょっと残念だけど……まぁ、別にストーリーを進めると訪れる事が出来なくなるエリアとかじゃないもんね。…あれ?違うよね?

 

「〜〜♪」

「…楽しそうだね、大きいお姉ちゃん」

「うんっ!全然違うところで生まれ育った人達と、人も女神も関係なく色んな事をするのって、とっても楽しそうだなぁって思ってたからね!」

「そっか。ふふっ、ほんとに大きいお姉ちゃんはお姉ちゃんと心もそっくりなんだね」

「まぁ、同じネプテューヌだからね〜」

 

 

「……むぅ…」

 

 ちらりと横を見てみれば、そこにいるのは楽しそうに歩くおっきいわたしと、そんなおっきいわたしを見て微笑むネプギアの二人。で、それを見たわたしは……なーんとなくむむむって気持ちになって、思わず頬を膨らませちゃう。

 いや、おっきいわたしの言ってる事は同感だよ?ネプギアの言葉だって、全然嫌じゃないんだよ?でも、でもさー…ネプギアってば、しれっと敬語も止めてるし…。

 

(…って、いけないいけない。これじゃあ「お前なんかが仲間になるなんて認めねぇぞ!」とか、「貴女さえいなければ、○○さんはわたしのものなのに…!」みたいな事言って主人公や新キャラに勝負を仕掛けた挙句負けちゃう、主人公の仲間or友達ポジになっちゃうよ…。わたしは主人公オブ主人公のネプテューヌなんだから、もっとドーンと構えていなくっちゃ…!)

 

 と、そこで主人公らしからぬ考えになってる事に気付いたわたしは、頭をふるふると振って思考をリセット。うんうん、もっとポジティブにいこうよわたし。ネプギアがおっきいわたしとあんな仲良くしてるのも、考えようによっては「わたしが絶大な信頼を得ているからこそ」とも捉えられるしさ!

 

「ねぇねぇうずめ、ここ抜けたらどうする?そのまま探す?それとも一回拠点に行く?」

「そうだなぁ…一応拠点に戻っておくか。クリスタルの確認はしておきたいしよ」

「あ、それわたしもさんせー!廃ビルを利用した拠点ってのも、わたし見てみたかったんだよね」

「…大きいねぷっち、君目的を忘れていたりは……」

「あっはは、それはちゃんと覚えてるからだいじょーぶだよ!さっ、早く行こ皆!」

 

 そう言って駆け出すおっきいわたしの後を、肩を竦めつつわたし達も続く。考えてみれば…ううん、考えるまでもなくそれは、わたしがおっきいわたしの立場だったら間違いなくしてる言動な訳で……やっぱり、ネプギアが懐いてるのは同じ『わたし』だからこそなんじゃないかなぁ…なんて思うわたしだった。

 

 

 

 

 その後洞窟を抜けたわたし達は、真っ直ぐ街へと向かって拠点に到着。そこでシェアクリスタルに異変がない事を確認して、ご飯を兼ねた休憩もして、それからクロちゃんの能力を頼りにジェジェジェコンヌの捜索を開始した。

 

「クロちゃん、どう?分かった?」

「んー…まぁ、まだ近くにはいねぇな」

 

 開かれた本(ねぷのーとって言うんだって)から聞こえるのは、クロちゃんの声。その声は、なーんとなく聞いた事があるような気もするんだけど…誰だっけかなぁ……。

 

「あんまり当てにならない情報だな…ほんとに探せるのか?」

「文句ならネプテューヌに言うこったな」

「えっ?よく分かんないけど…ごめんなさい?」

「お前じゃねぇよ大きい方だよ!…ただでさえあるのは残り滓みたいなエネルギーだけだし、おまけにこの本の中じゃ力を吸われて一層上手く出来ねぇんだよ」

「え…それってそんな力もあるんですか?」

 

 わたしが思い出そうと頭を捻る中、他の皆は別の事で会話中。その最中に何やら気になる話が出てきて、わたしもそっちに耳を傾ける。

 

「そうだよ。ノートとして書く事も出来るし、ペタンコプレスっぽい事をすれば何でも標本に出来るし、しかも標本にした相手が特殊能力持ちだと、その力の一部を引き出して使う事も出来る、とにかく便利なノートなんだ」

「す、凄いですね…そんなノートが実在するなんて……」

「わたしからすれば、女神だって十分凄いと思うけどね。あ、因みにわたしが次元の旅を出来てるのも、クロちゃんの力を借りてるからなんだよ?」

「へぇ…って待った。って事は、クロちゃんは次元を超える力を持ってるの!?」

「うん。…あれ、言ってないっけ?」

 

 さらっと出てきたトンデモな事実に、思わず勢いよく振り向いちゃうわたし。そ、そうだ…そういえばわたし達、おっきいわたしがどうやって来たのかは聞いてなかったっけ……。

 

「じゃあ…大きいネプテューヌ…ってかクロちゃんの力を借りれば、小さいネプテューヌ達はいつでも帰れるんじゃないか…?」

「…一応言っておくが、俺の本名はクロワールだからな?」

「クロワール…?…クロ、ワール……あぁいやそれより大きいお姉ちゃん、今ウィードさんが言った事は……」

「え、っと…その前に、ネプギア達は元の次元に帰れないの?」

『あ……』

 

 きょとんとしたおっきいわたしに言葉を返されて、わたしとネプギアは顔を見合わせる。…しまった、考えてみたらわたし達も何の為にこの次元にいるのかは話してなかったね……。

 って訳で、まずはわたし達の事を説明。もうそこそこの回数している事だから、話はスムーズに進んでいく。

 

「……だから、わたしとネプギアは黄金の塔、それに交信に使える施設を探してるんだ」

「……そうなんだ…だから旅をしてる訳でもないのに、二人だけでここにいるんだね…」

「そういう事。あ、でも最初からわたし達二人で来た訳じゃないよ?咄嗟の判断でネプギアと交代する事になったんだけど、元々はイリゼっていう……」

 

 歩きながら説明をしていると、気付けば道路がガッタガタの所に。で、それに足を取られちゃったのかな?丁度イリゼの名前を出した瞬間、おっきいわたしとウィードくんの二人が揃って転びかける。

 

「わっ、とと……」

「気を付けろよー、ウィード」

「大きいお姉ちゃんも大丈夫?」

「あ、う、うん。いやぁ、うっかりうっかり……まぁでも、大丈夫だよ二人共!絶対大丈夫!」

「へぇ、自信満々だねねぷっち」

「それはそうだよっ!だって……」

 

 よろけ状態から立て直し、ぱっと表情を輝かせるおっきいわたし。でも…おっきいわたしは海男の言葉に威勢良く返しかけて、その途中ではっと止まる。…あ、これは……

 

「…おっきいわたし、よく考えず勢いだけで言ったね…?」

「うっ……そ、そう見えた…?」

「その反応…さては図星だなー!」

「はぅ、バレたかー!」

「……楽しそうだなぁ、ほんと…」

 

 びしっと突っ込みを入れて、おっきいわたしは頭を叩きつつ『(>∀<)』みたいな顔をして、わたし×わたしによる即興漫才は華麗にフィニッシュ。うずめを筆頭に皆凄い苦笑いをしてたけど……わたしは楽しかったからいいもんね〜。…って、あれ?わたしは漫才がしたいんだっけ?

 

「あ、違う違う…話を戻すんだけどさ、さっき言われた事って出来たりする?」

「うーん…適当に飛ぶのと、狙った次元に飛ぶのとじゃ難度が違うんだけど…出来るかな?クロちゃん?」

「あぁ?……まぁ、出来ない事はねぇよ。俺から吸った分だけでの次元移動するなら、もう暫く時間かけねぇと無理だろうがな」

「…だって。ごめんね、ほんとここでクロちゃんに逃げられたら、見つけ出して捕まえるより先に次元移動されちゃうだろうから……」

「ううん、気にしないで大きいお姉ちゃん。わたし達も、交信を成立させれば戻る事が出来るから」

 

 首を横に振るネプギアの言葉に、わたしも頷く。ネプギアの言う通り、これはおっきいわたしが気にするような事じゃない。そもそも次元移動はいーすんの力頼りだったんだし、時間をかければ別の方法で戻る事が出来るかも…って分かっただけでも、わたし達にとってはありがたいんだからね。

 

「そっか…じゃあクロちゃん、わたし達は探す方に精を出そうね!」

「出そうねも何も、お前はこれ持ってるだけだろうが…。…確認だが、探してるのはモンスターの一体とかじゃないんだよな?」

「あぁそうだぜ。けど、何でだ?」

「ただのモンスターの場合、同じ種類の違う個体がいるとややこしくなるんだよ。まっ、それも本領発揮さえ出来りゃ、普通に判別出来るけどな」

 

 自慢がしたかったのか、それともおっきいわたしへ皮肉を言ってるのかは分からないけれど、そんな事を言うクロちゃん。それをわたしは、ふーん位の感覚で聞いていたけど……次の瞬間、モンスターの気配に気付く。

 

「……!皆さん、あそこの瓦礫の上…!」

「わっ……もー、クロちゃんがモンスターの話するからー…」

「いや偶然を俺のせいにするなよ!」

「…ウィード」

「おう、分かってる」

 

 警戒を見せながらモンスターがゆっくりと瓦礫の山を降りてくる中、うずめはウィードくんに声をかけて、ウィードくんはこくんと頷く。…うん、そうだよね…わたしだって、もう二度とあんな思いはしたくないもん。

 

「どうする?あの程度なら、わたし一人でも片付けられると思うけど…」

「そうだな……っと、そういや大きいねぷっちは戦えるのか?」

「ふふん、自慢じゃないけどわたしはそこそこ強いよ?…あ、そうだ。ここはわたしに任せてよ。今後皆で戦わなきゃいけない事になった時の為に、わたしの実力は知っておいてもらいたいしさ」

 

 そう言っておっきいわたしはねぷのーとを仕舞って、一歩前に。…女神じゃないらしいし、流石に女神化したわたし程は強くないと思うけど……うん、顔を見れば分かる。おっきいわたし、結構戦い慣れてるみたいだね。

 

「…うん、分かった。でも一応、すぐに援護が出来るようには備えておくからね?」

「お願いね、ちっちゃいわたし。よーし、万が一の事があっても女神様がフォローしてくれるって思ったら、もう何も怖くない気がしてきたぞー!」

「わぁぁ大きいお姉ちゃんそれフラグ!フラグだよ!?」

「頑張ってー、おっきいわたし!この戦いが終わったら、わたし伝えたい事があるからね!」

「なんでお姉ちゃんはフラグを重ね掛けするの!?」

 

 いつものノリでフラグを共同建築し、目を白黒させるネプギアの反応を楽しんだわたし達二人。

 でも勿論、ふざけたノリをするのはここまで。軽く肩を回したおっきいわたしはふっと真面目な顔になって、わたしも他にモンスターや脅威がいないか周囲へ視線を走らせる。

 

(…そういえば、おっきいわたしも刀剣を使うって言ってたけど…やっぱり、わたしと同じで刀なのかな?)

 

 ふとそんな事をわたしが思う中、ある程度の距離まで行ったおっきいわたしはそこから一気に加速。同時に右手をさっと伸ばして、その手に剣を携える。

 その瞬間、ばっと瓦礫の山から降りて散開するモンスター。まずはおっきいわたしを倒そうとしているみたいで、こっちへと来る気配はない。

 

「それじゃあ、いく…わわっと!」

 

 先制攻撃を取ったのは、モンスターの方。おっきいわたしが左手を剣の柄に触れさせた瞬間、一体のモンスターがおっきいわたしへと飛び掛かってくる。

 この時おっきいわたしも仕掛けようとしていたみたいで、迫るモンスターを前に驚きの声を上げる。でも驚きつつもモンスターの方を向きながら横に跳んで、更にバックステップで距離を取る。

 

「…今の動き……」

「うん、バックステップに躊躇いがなかったね。やっぱりおっきいわたし、結構戦い慣れてるみたい」

 

 隣のネプギアの呟きに頷いて、わたしはまた視線を向ける。…勿論、周辺警戒は続けたままで。

 相手のモンスターは三体。単純に考えるだけでも三倍の数が相手だし、三体となれば挟まれるどころか包囲される事だってあるとか、三体全てを常に視界に入れ続けるのはかなり難しいとか、厄介な事は色々あるんだけど……そんなのはおっきいわたしだって分かってる筈。だからわたしが気になるのは、勝てるかどうかより…どう戦って、どう勝つか。

 

「うーん、結構早いね…でも、それ位じゃわたしには届かないよッ!」

 

 暫く回避と防御に徹するおっきいわたし。避けて、凌いで、モンスターの動きを観察して……三体が一斉に仕掛けてきた瞬間、遂におっきいわたしも攻撃に転じる。

 次々と飛び掛かってくるモンスターに対し、一体目はひらりと回避。二体目は剣の腹で受け止めながら横に流して、三体目も斜め前へ出る事で避けると同時に……両手で握った両刃剣で、すれ違いざまに斬りつける。

 

「よっ、ほっ、てやぁぁッ!」

 

 そこから立て続けに攻撃するおっきいわたし。今さっき斬った個体を後ろ蹴りで飛ばして、振り返りながらの回転斬りで反転してきた二体目を返り討ちにして、その二体目の背中に左手を乗せてパルクールのヴォルトの様にジャンプ。一体目へ接近して放った斬撃はギリギリのところで避けられたけど…だからって動きを止めるような事はせず、すぐに次の行動へ身体を移す。

 一言で言うなら、おっきいわたしの動きは自在。ダイナミックで、ちょっと無駄に見える動きもあるけど…多分その分、相手からすれば次の行動を読み辛いと思う。

 で、それからもおっきいわたしはカウンターを主体に戦って……あっ、今の動きはわたしもよくやるやつだ…。

 

「よーしっ!ここからは一気に決めちゃうよッ!」

『……!』

 

 勢いに乗るおっきいわたしとは裏腹に、モンスターの攻勢は少しずつ弱体化。そして三体の動きが止まった瞬間……おっきいわたしは左手を水平に伸ばし、その手にも右手と同じ剣を持つ。

 そこから始まった怒涛の攻撃に、わたし達は息を飲んだ。まさか、こんな事をするなんて…って。

 

「マジか…あれで二刀流やるのかよ……」

「……?二刀流って、そこまで凄いのか…?確かに俺だって、二刀流はただ両手に剣を待つだけじゃない…って位は分かるけど……」

「うん、その通りだよ。でも…おっきいわたしの二刀流は、ただの二刀流じゃない。だって……あれ、両手剣だもん」

「え…って、事は……本来両手で持つ物を片手で振るって、しかもそれで二刀流してるって事か…?」

 

 目を見開くウィードくんに、こくんとゆっくり頷くわたし。勿論、大きいだけで実際には凄く軽い剣なのかもしれないけど…それにしたって、長さは間違いなく両手剣のそれ。両手剣を片手で振るって……それもうどこぞの天空使いさんじゃん…。

 

「これでッ!終わりッ!だよッ!」

 

 おっきいわたしが二刀流になってからは、もう殆ど一方的な戦い。最後は真正面に突っ込んだおっきいわたしが二本の剣を交差させるように斬り裂いて……戦闘は、おっきいわたしの完全勝利で終了した。

 

「ふー……ウィナー、わたしっ!」

 

 最後の一体も消滅していくのを確認した後、振り返ったおっきいわたしは左手の剣を道路に突き立ててVサイン。それを受けたわたしは……勿論、サムズアップ。

 

「お疲れ様、大きいお姉ちゃん」

「うんっ!どうだった?格好良かった?」

「おう、格好良かったぜ大きいねぷっち」

「えへへ〜、でしょー?」

 

 駆け寄ってきたおっきいわたしは、勝利の高揚感でにこにこ笑顔。うんうん、分かる分かる。完封出来た時って、すっごく気持ち良いもんね。

 

「けど、凄いねおっきいわたし。いつも両手剣二刀流やってるの?」

「へへーん、そうだよっ!…と、言いたいところだけど…普段は最初にやってたみたいに、普通に一本で戦ってるよ。やっぱり両手剣二刀流じゃ腕にも他の部分にも負担が大きいし、どうしても精密性は落ちちゃうからね」

「じゃあ、二刀流は一気に決める時とか用なんだね。良い浪漫してるよ、わたしっ!」

 

 まさかおっきいわたしにそんなにパワーがあったなんて…と思いきや、流石に常には出来ないみたい。でも両手剣で二刀流なんて間違いなく浪漫だし、常には出来ないっていうのも浪漫的には高ポイント。詰まる所、おっきいわたしがした事はわたし的にも好きな事で……今度、機会があったらわたしもやってみようかな。

 

「さて、それじゃあ改めて進もうか。それとも大きいねぷっち、少し休憩しておくかい?」

「ううん、だいじょーぶ。クロちゃん、何か進展はあった?」

「まだ特にはねぇな。腰を据えて探そうぜ」

「あ…じゃあ皆さん、ちょっとあそこのビルとビルの隙間から見える施設に行ってみませんか?よくは見えませんけど、あそこは通信関係の施設のように思えるんです」

「そっか、じゃああっちに行ってみよー!」

 

 ぴっとある方向を指差して、一見いつも通りに…でも瞳の奥に「あそこにはどんな機械があるかな?面白い機械があるといいなぁ…」ってメカオタ魂を灯らせるネプギア。それにわたしは頷いて、右の拳を上げつつ先頭を切って歩き出す。

 昨日も十分見られたけど、今日もおっきいわたしの色んなところを見る事が出来た。そしてそれで分かったのは、やっぱり同じわたしなだけあって、おっきいわたしは沢山の魅力に溢れてるって事。でも…なんたってわたしは主人公で、女神だからねっ!おっきいわたし、わたしは負けないよーっ!




何回のパロディ解説

・ペタンコプレス
デュエマシリーズに登場するキャラの一人(一つ?)、デッキーの行動の一つの事。実際ねぷのーとに入れる時って、叩き潰す要領で押し付けてるんでしょうね。

・「〜〜もう何も怖くない〜〜」
まどマギシリーズに登場するキャラの一人、巴マミの代名詞的な台詞の一つのパロディ。ネプテューヌの場合、フラグ建てても普段の言動の影響か逆に成立しませんよね。

・どこぞの天空使いさん
ファイヤーエムブレムシリーズに登場するキャラの一人、アイクの事。常に二刀流じゃない、というのはこのシリーズの独自設定ですよ〜。
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