超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed 作:シモツキ
見ようによっては、わたし達が追い詰めたようにも見えるマ・ジェコンヌ。相手が相手だから、勿論油断は出来ないけど…前の戦いでの雰囲気と今の覇気からして、実際追い詰めてるっていうのも間違ってはいないと思っていた。
だけど、妙に格好良い口上を述べたマジェ・コンヌは…紫の巨人と、融合した。融合して、覇気と威圧感が膨れ上がる。……まぁ、格好良いのはある意味当然と言えば当然だけどね!
「んなとこに言及してる場合じゃねぇだろ小さいねぷっち!」
「お、うずめも地の文が読めるようになったんだね!…って言ってる場合でもないね、これは確かに…ッ!」
思わず
「ハーッハッハッハッハ!力が…力が拡大されていくッ!この力が…いいや、この姿こそが私に相応しいッ!ふふ…ははッ…ハーッハッハッハッハッハ!!」
咆哮を轟かせたマジェコ・ンヌは、巨人の…ダークメガミの目でわたし達を睨む。
外見は殆どダークメガミのそれ。でも関節が、関節を始めとする装甲に覆われていない部分が暗く輝いていて…いや、違う…あれは……
「さぁ小娘共、この絶望…止められるものなら止めてみよッ!」
(……ッ!落ち着いて観察してる余裕はなさそうだね…ッ!)
振るった右腕に槍の様な杖を顕現させ、周囲にエネルギー刃を放つマジェコン・ヌ。
今の攻撃は、わたし達を狙ったものじゃない。でも、今ので確信した。ここでこのまま戦うのは…不味い……ッ!
「一旦退くよ皆ッ!勝てる勝てない以前に、ここじゃ最悪余波が施設にまで及んじゃうッ!」
「……っ、だよねッ!大きいお姉ちゃん、わたしに掴まってッ!」
「え、わぁぁっ!?」
まともに戦えば周囲に甚大な被害が出る事を悟ったわたしは、振り向きながら女神化すると同時に海男を掴む。
同じく女神化したネプギアがおっきいわたしを、うずめがウィードくんをそれぞれ掴んで、わたし達はその場から飛翔。低空飛行をする事で建物を遮蔽物にして、とにかく距離を取っていく。
「お、おっきいわたし!運んでもらってるわたしが言うのもあれだけど…退いた後はどーする気!?」
「取り敢えず、海男とウィードくんには離れてもらうわ…!…ごめんなさい、一緒にいた方がなんて言ったけど……」
「いや、分かってる!ある程度運んでくれれば後は自分達で退避するから、皆は心配しないでくれ…!」
わたしが最後まで言う前に、ウィードくんは首を横に振る。横に振って…強い意思の籠った言葉で、わたし達に言葉を返してくれる。
だから、わたしはそれに頷いた。ありがとう、って思いを込めて。
「ハーッハッハッハ!ハーッハッハッハッハ!逃げろ逃げろ!逃ゲ惑え女神共ッ!」
「むむむ、これまでに増して嫌な声…!気持ち悪い感じも大きくなってるしぃ…!」
「確かに…ダークメガミと融合して、力が増幅されているの…?」
背後に感じる、無視なんか出来ない気配。うずめとネプギアの言う通り、間違いなくただ大きくなっただけじゃない。
(…でも、どういう事…?融合能力まで持ってたって事?それとも、あれはダークメガミ側の能力…?)
高速で飛び、偏差攻撃を避ける為に何度も曲がり、引き付けながらもとにかく逃げる中で、わたしの頭は起こった事を推理しようとフル回転。…だけど、現状じゃ推測する為の情報が少な過ぎるし、思考ばかりに意識は避けない。……兎にも角にも、まずは一度姿を見失わせなきゃ次の段階には進めそうにないわね…。
「……!ねぷっち!ぎあっち!あそこはどう!?」
そうして飛ぶ事数分。どこで降ろすのがいいか探していたところで、不意にうずめが声を上げる。
うずめが指差したのは、わたし達が今いる場所よりも標高が低くなっている住宅街。そこなら高低差と周囲の家のおかげで隠れるのにはうってつけだし…攻撃も、頭上を通り過ぎる形になってくれる可能性が高い。
そんな判断をわたし達は下して、素早くそちらへ。一先ずは見失わせる事にも成功していたおかげで、邪魔される事なく住宅街へと辿り着く。
「…ごめんね、ウィード、海男」
「気にすんなって。…俺さ、早く皆を支えられるようになりたいけど…やっぱ、凄いって思える皆をすぐ支えられるようになるのは、それはそれでなんか違うと思うんだ。だから…ちゃんと見てるぜ。皆は俺が思ってるより、更に凄いんだってとこを」
「……っ…!…うん、うんっ!見ててよウィード!うずめ、凄くて格好良いとこ…たっくさん見せちゃうんだからっ♪」
そう言って、にっと笑うウィードくん。その言葉に、その思いにうずめは表情を輝かせて、裏ピースと共に笑顔で返答。海男も何も言わず、だけどわたし達を信じてくれてる事が分かる瞳を浮かべて頷いてくれて…わたしとネプギアも、力強く頷きを返す。
うずめだけじゃない。わたし達にとっても、ウィードくんの言葉は嬉しかった。力が湧いてくるようだった。ふふっ…こんな素敵な言葉をかけてもらったんだもの、これは情けない姿なんて見せられないわね。
「じゃあ、行ってくるわ」
「あぁ。頼むよ、皆」
見送る言葉を背に受けながら、わたし達は飛び上がる。おっきいわたし達が走り出す音も、聞こえてくる。
「…ふふっ……」
「…どうしたの?ネプギア」
「あ、うん。…さっきウィードさんが言った事…わたし凄く分かるんだ。凄いって思う相手に追い付きたくて、でもすぐ追い付けるようになるのは……っていう気持ちは、わたしもずっと持ってる思いだから」
「そうなのね。…じゃあ、それを向けられる側になって…どう思った?」
「そんなの…嬉しいに決まってるよ。そうでしょ?お姉ちゃん」
「…そうね。その通りよ、ネプギア」
とはいえ、三人ですぐ姿を現すわたし達じゃない。まずうずめが直上に上がって、わたし達は横へ飛ぶ。理由は勿論、姿を見せる地点をバラけさせる事で、降ろした場所を隠す為。
その為の移動の中で、不意にネプギアが零した笑み。続くやり取りでまた一つ成長を感じたところで、ネプギアも高度を上げていく。それを見送ってから数十秒後、わたしも同じように高度を上げ……改めて、対峙する。
*
ダークメガミと一体化したマジェコンヌと戦いを始めて、幾つかの事が分かった。
まず第一に、全体的な能力はダークメガミ寄りだって事。攻撃力は凄まじいし、防御力も普通の射撃じゃ殆ど意味無い位に高いけど、巨体故にわたし達からすれば身体の動きは全て大振り。
第二に、信次元で相手をしたダークメガミよりも、動きが複雑で読み合いになる事。これは多分、マジェコンヌ寄りの要素で……ダークメガミ単体なら比較的単調だったその部分が補われるのは、思った以上にキツいかも…ッ!
「ほーにゃあぁぁぁぁぁぁッ!」
側面から突進をかけるうずめさんは、シールドを展開する事によってエネルギー刃の迎撃を強行突破。ある程度の距離にまで踏み込んだところで、シールド解除と同時に音波攻撃。
対するマジェコンヌは、得物の一振りで音波を両断。音を切る、って言うと変だけど…うずめさんの音波攻撃は、音の性質を持ったエネルギー波というのがより正しい表現だから、物理干渉が出来ない訳じゃない。
「はッ!効かんワその程度ォッ!」
「そっちの攻撃だって、当たらないもんねーッ!」
お返しとばかりに槍状の杖から放たれる電撃を、うずめさんは自在に飛び回る事で回避。その電撃は、一条一条を見れば何倍もの太さになっているけど……発生源が巨大になった分、合間を縫って避ける事が大分容易になっている。…尤も、だからって油断をすればきっと一発でやられてしまうけれど。
「いくわよネプギアッ!」
「うん、任せてッ!」
そうしてうずめさんが注意を引いている間にわたしとお姉ちゃんは背後に回り、わたしはマジェコンヌから見て左後方側から出力を上げた光弾で射撃。ある程度の連射性を犠牲に一発の威力を高めた攻撃を撃ち込んで、今度はわたしが注意を引き付ける。
(やっぱり、この威力でも装甲を貫通は出来ないか…でも……ッ!)
ここまでの戦いで見えた、近くも遠くもない、マジェコンヌにとっての『鬱陶しい』距離を維持しながら、わたしは射撃を続行。その結果目論見通り、初めは無視していたマジェコンヌも、次第に五月蝿そうに動き始めて…遂にはわたしの方へと振り返る。
「えェいッ!効きもシない攻撃ヲ後ろカらちょこマかとッ!」
振り返りざまに放たれる、掌底部からの砲撃。それを真横へのスライド飛行で避けたわたしへ続けてエネルギー刃の集中砲火が襲いかかり、上下左右で一気に安全地帯が失われていく。
けれどそうなる事も想定済み。むしろ、それ位してもらわなくちゃ困ってしまう。だって…って、これは言わなくても分かるよね…ッ!
「貰ったわッ!」
「こっちもがら空きだよーッ!」
次の瞬間、一瞬でマジェコンヌの正面に躍り出るお姉ちゃん。でも勿論、瞬間移動をした訳じゃない。お姉ちゃんは右後方側から地表すれすれの低空飛行でずっと接近を仕掛けていて、わたしの行動はその為の陽動。同時にマジェコンヌが振り向いた事で背後を取る形になったうずめさんも、再度の突撃をかけていて…二人は前後から、大太刀とメガホンで挟撃をかける。
二人共、既に十分な距離にまで接近していて、もう回避は間に合わない筈。仮に間に合ったとしても、それならそれで避け切ったわたしが追撃をかけるだけ。盤石…とまでは言わずとも、それなりのダメージが見込める攻撃を一発は見込める筈だって感覚がわたしの中にはあって……だけど次の瞬間、お姉ちゃんとうずめさんの眼前へ、数条の光芒が駆け抜ける。
『な……ッ!?』
砲撃でも、エネルギー刃でも、杖からの攻撃でもない全く別の、別方向からの迎撃に、お姉ちゃん達は反射的に離脱。そこへわたしから狙いを変えたエネルギー刃も迎撃に加わり、お姉ちゃん達はマジェコンヌから強引に引き離されていく。
一瞬、訳が分からなかった。マジェコンヌと近いお姉ちゃん達は、まだ見えていないかもしれない。でも、離れていたわたしは…気付いた。マジェコンヌの周囲に、羽根の形をしたビーム砲の様な物が飛び回っている事に。
「あぁ、アァ…遂に我ガ力全てガコの傀儡ノ中に満チた…ッ!分カル、今ナらコノ身体ノ全てガ…ッ!」
(あれって…まさか……ッ!)
直掩の様に飛ぶそれを見た瞬間、わたしが視線を走らせたのはマジェコンヌの背後。そこにある巨大な翼は、いつの間にか形状が変わっていて……わたしは視認した。その翼に生えた羽根が、飛んでいる羽根らしき物と同じ形である事を。
思い出すのは、真の姿となった犯罪神。その犯罪神の翼と、ダークメガミと一体化したマジェコンヌの翼は似ていて…犯罪神の翼も、遠隔操作端末のプラットフォームとしての機能を有していた。…って事は…やっぱり……!
「お姉ちゃんッ!うずめさんッ!もっと離れてッ!その距離じゃ……」
「フフフフフッ!ハーッハッハッハッハッハッハ!!蜂ノ巣ニナルがイいッ!」
「くぅぅ……ッ!」
「うわわッ!?嘘っ、まさかこれ全部オバさんの攻撃!?」
不味いと感じたわたしは声を上げる。だけど言い切る前にほぼ全ての羽根が射出され、大小合わせて数十基にも及ぶ遠隔操作端末の全方位攻撃が二人を強襲。全方位からのビームが網の様にお姉ちゃん達二人を捕らえ、そこにエネルギー刃が一切の容赦なく飛びかかっていく。
勿論、それをただ見ているわたしじゃない。すぐにM.P.B.Lの銃口を向けて、飛び回る端末を撃ち落としにかかる。でも…わたし一人じゃ、たった一門じゃ、あまりにも手数が足りな過ぎる。
「……っ!こうなったら、踏み込んででも…ッ!」
「…ネプギアッ!わたしはいいから、うずめの援護に行って頂戴ッ!」
「え…!?で、でも……ッ!」
「大丈夫よッ!もうこの攻撃は…見切ったわッ!」
だったらいっそ、わたしも光芒の網の中に踏み込めば。そうすれば何割かはわたしを狙って、お姉ちゃん達の負担が少しは減る筈。
そう思ったわたしの機先を制すように、声を上げるお姉ちゃん。一瞬、その言葉でわたしは自己犠牲を連想して不安に駆られたけれど…すぐに気付く。お姉ちゃんは、本当に見切れる自信があるんだって。
(そっか…確かこれと同系統の攻撃は、負の女神になった時のマジェコンヌさんも……!)
激しい剣舞を踊るかのような機動で、全方位からのビームを巧みに避けるお姉ちゃん。見えている範囲は勿論の事、死角からの光芒にすら、一切の無駄がない、まるで予め来る場所を伝えられていたかのような華麗な動きで避けていく。
極力避けて、避け切れない分は斬り払って、エネルギー刃も含めて一発足りとも自分への着弾を許さない。確かに犯罪神とマジェコンヌさんで、過去二回遠隔操作端末による全方位攻撃の嵐を乗り切っているとはいえ…お姉ちゃんの動きは、同じ女神のわたしから見ても惚れ惚れする程圧倒的だった。
だからわたしも不要な心配は全部取っ払って、うずめさんへの援護に集中。わたしの横槍で弾幕が乱れた瞬間うずめさんはシールドを展開しながら一気に下降し、地面を背にした背面飛行でビームの豪雨地帯から無事離脱。そこでわたしは振り返り、斬り上げの要領でスラッシュウェーブを叩き込む。
「チィィ……ッ!」
「助かるわッ!うずめも無事ッ!?」
「だいじょーぶ!でも、大きいねぷっちもぎあっちもどうしてそんな上手に対応を…?」
「もっと小さい端末による全方位攻撃を前にも受けた事があるの。だから数はともかく、大きい分まだ今回のは対応し易いってだけよ…!」
飛翔する斬撃でお姉ちゃんへ向かっていた端末も散らして、お姉ちゃんとは別方向にわたしも離脱。無理に追ってもエネルギー刃との連携が出来ないんじゃ撃ち落とされるだけだと判断したのか、端末はある程度の距離まで来るとくるりと戻って翼へ合体。そのおかげでわたし達も難なく合流出来たけど……端末は、まだ殆ど減っていない。
「ドおシタ女神ィ!今更怖気付イテもモウ遅イゾォッ!」
「……っ…酷い状態ね…」
構え直すわたし達の前(と言っても結構距離があるけど)で、マジェコンヌはエネルギー刃を乱射。でも距離的に届いてないし、そもそもわたし達を狙っているようですらない。かといって、街を焼こうとしているのかと言えば…空や何もない方向へも放っている事からして、恐らくそれも違う。だから、多分…意味もなく、完全に無駄に、ただ攻撃を放っている。
視線はこちらを向いているし、わたし達を認識しているようだから、暴走している訳じゃないと思う。…でも、だからこそ…お姉ちゃんの言う通り、わたしも思った。今の、理性が感じられないマジェコンヌは…酷い状態だって。
(…けど、端末の動きはしっかりしてた…頭は働いてて、その上で理性のタガが外れてるんだとしたら…戦う上じゃ、一番厄介かも……)
「…ねぇ、二人共。今のオバさんを、一気に倒せる策ってある?」
「……?どうして…って、もしや……」
「うん…もしこれまでと同じ位かかるなら、時間的に危ないかも……」
そんな中、表情を曇らせて不安要素を口にしたうずめさん。言われてみれば確かに戦闘開始から暫く経ってるし、その前はウィードさん達を離脱させる為に動いていた。となれば、うずめさんの活動限界はそこそこ近付いている筈で…数秒考え込んだお姉ちゃんが、口を開く。
「…ここはわたし達も、一度撤退した方が良さそうね…うずめは勿論だけど、わたし達も今のペースで消費しながら長期戦をするとなると、どこかで配給が追い付かなくなる可能性があるわ」
「…でも、それならどうやってマジェコンヌを撒く?今はこっちの動きを伺ってるみたいだけど、撤退するとなれば……」
「そうね。だから…うずめ、ビル一つを使っちゃってもいいかしら?」
「へ?……あ…!」
ぴっ、と左手の人差し指を立てて、お姉ちゃんはある豪快な策を提案。それを聞いたわたしとうずめさんは驚いたけど…ちょっと大変そうな事を除けば、良さそうな案でもある。だからすぐに頷いて、わたし達は行動に移す。
「一気にやるわよ、ネプギア!」
「うん…ッ!」
踵を返してお姉ちゃんが指差したビルへと向かうわたし達二人。うずめさんが防御と目視の妨害を狙ったシールドを展開している間にわたしは刀身へとビームを纏わせ、更に出力を上げる事で何倍もの長さを持つビームソードをM.P.B.Lから形成。同じようにお姉ちゃんもエクスブレイドを発生させて……わたし達は同時に、ビルへと刃を突き立てる。
そこからお姉ちゃんは左に、わたしは右に向かって切断開始。二本の剣で素早くビルを斬り裂いていき…裏側で再び合流したところで、ビルは完全に切断された。…これで準備は完了…後は……ッ!
「うずめッ!」
「もういるよーっ!せーの…ッ!」
一度M.P.B.Lを離して、わたしもお姉ちゃんもうずめさんも斬ったビルの上側を掴む。そして、全身に力を込める事でわたし達はそれを持ち上げ……全力をかけて投げ付ける。
『てぇええええぇぇぇぇいッ!!』
「何ィィッ!?」
唸りを上げて、普通なら絶対あり得ないような光景を作り出しながら飛んでいくビルの上半分。流石にマジェコンヌもこれには舌を巻いたらしく、明らかに一瞬遅れて迎撃を開始。ビルは光芒や電撃で次々と崩壊していくも、元々が巨大だった分、ダークメガミの胴に当たる直前まで飛んで…後一歩というところで、遂に完全崩壊。崩れ去った事で、恐らく瓦礫が多少装甲を叩いた程度に留まってしまったけど……そのビルが崩れ去った時、もうマジェコンヌの視界にわたし達はいない。
「作戦せいこーっ!いやー、ミーティアと
「ふぅ…まさかビルをぶん投げる日が来るとは思わなかったぜ…」
「で、ですね……」
何故マジェコンヌの視界にいないか。それは簡単、今の投擲はマジェコンヌの注意をわたし達から逸らす為のもので、わたし達は最初から街の中に紛れる事が目的だったから。…けど、ほんとにまさかビルを投げる事になるなんて…わたしは大怪獣になった気分だよ、あはは……。
「…さて、とはいえまだ安全には程遠いんだ。まずは大きいねぷっちと合流して……」
「その必要はないんだなーっ!…はぁ、はぁ…ふー……皆、お待たせっ!」
「おー!おっきいわたし、ナイスタイミング!」
まるで呼ばれるのを待っていたかのように、呼ばれた次の瞬間大きいお姉ちゃんが登場。息が上がってる様子からして、完全に偶然なんだろうけど…ほんとに今のはドンピシャなタイミング。
大きいお姉ちゃんは、最初はウィードさん達と一緒に降りていて、その後機を見て合流する予定だった。その大きいお姉ちゃんがこうしてすぐに合流出来たのは、正直かなり驚きだったけど…戦っているわたし達を、ずっと追ってきたんだとか。…ぱ、パワフルだなぁ……。
「…って訳で、一回撤退する事になったの。おっきいわたし、OK?」
「OK!流石にわたし一人加わっただけじゃ、戦況は変わらないだろうしね」
「よし、それじゃあさっさと行こうぜ。じゃねぇと……」
息を整えている間に、わたし達は考えを説明。了解を得たところで、うずめさんが一歩踏み出そうとして……その瞬間、飛来した光芒が近くの建物を吹き飛ばす。
「……あんな感じになっちまう」
『…だ、だね!』
「ですね!」
木っ端微塵になった建物の残骸を見て、わたし達は揃って首肯。今の攻撃からして、無差別に攻撃を仕掛けてるだけなんだろうけど…だからこそ、どこに飛んでくるか分からない分恐ろしい。そしてシェアエナジーを温存する為に、今は再女神化も出来れば避けたい。
そんな状況だからこそ、ほんとに一刻も早く逃げなきゃいけない。……そう、思った時だった。
「……へ?誰か、今唸り声出した?」
「う、唸り声?…俺は出してねぇが……」
「じゃあ、おっきいわたしかネプギア?」
「違うよ?」
「わたしもしてない、けど…」
「え、じゃあ……まさか…」
急に変な事を言い出すお姉ちゃん。でも平時ならともかく、今はまだ戦闘中の意識で…だからこそ、すぐにある可能性が思い付く。
もしや…とわたし達は揃って振り向く。いやいやそんな、でも…って思いで。そうして、振り向いたわたし達が目にしたのは……ぱっと見でも数十体はいるモンスター。
『え、ちょっ…嘘でしょぉおおおおおおッ!?』
わたし達が唖然とした次の瞬間、モンスターは一斉に襲いかかってくる。当然、それを受けたわたし達の対応は……逃げるしかない。だって、今も無差別攻撃が飛んできてるんですもんっ!正直、ここに留まるのってかなり怖いんですからね!?
『わぁああああぁぁぁぁっ!?』
一目散に逃走するわたし達と、唸りながら追いかけてくるモンスター群。もうこうなると、どこに逃げようかとか、どこで作戦を練り直そうかみたいな事は考えていられない。とにかくただ逃げるしかなくて、全力で走るしかなくて、それ以外の事なんて何にも考えられる訳が……
「あっ!?今幻のアーケードゲームが…!」
「あっ!?今超格好良いグローブが…!」
「あっ!?今凄く渋いCPUクーラーが…!」
「皆凄い余裕だねっ!?そんなものに気を取られてる場合じゃ……あっ!?今見た事ない虫が…!」
『そんなものに気を取られてる場合じゃ(ないでしょ・ねぇだろ)!?』
「皆がそれ言う!?皆に言われたくはないよ!?」
「お前もだけどなッ!」
……うん、まぁ…ほんの少し、ちょーっとだけ逃走に関係のないものに目を奪われたりしたけど…ともかくわたし達は一度立て直す為、マジェコンヌの無差別攻撃とモンスター群の追走から、全速力で逃げるのでした。
今回のパロディ解説
・ミーティア
機動戦士ガンダムSEEDシリーズに登場する兵器の一つの事。ビームソードでレクイエムの中継ステーションを破壊したシーンですね。…大型ユニット、素敵です…。
・
デート・ア・ライブに登場する用語(能力者)の一つの事。こちらは二巻における折紙の奇策の事ですね。因みに女神の膂力なら、三人でなくても投げられる設定のつもりです。