超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed 作:シモツキ
恐らくこれが、この次元のマジェコンヌとの決戦。その直前に、増援として信次元から来てくれたのは、イリゼさん達が送り出してくれた、ユニちゃん、ロムちゃん、ラムちゃんの三人。とっても心強い、最高の増援。
加えてお姉ちゃんが、下での戦闘に…大きいお姉ちゃんの方へ向かってくれた。一人と二人は大違いで、それが二人のお姉ちゃんなら…もう何も、不安に思う事なんてない。
ここにいるのは、信頼出来る友達と、尊敬出来る先輩達。相手は前に倒したダークメガミよりも強い、これまでわたしが戦ってきた全ての敵の中でもトップクラスの存在だけど…分かる。感じている。皆となら……勝てるって。
「遠隔操作端末の相手は任せてっ!ロムちゃん!ラムちゃん!二人はうずめさんの援護をお願い!ユニちゃん、全体への火力支援は出来そう!?」
「当然ッ!でも流石に、この距離で小型端末の撃破までは難しいわ!」
「大丈夫!端末の方は散らしてくれればそれでいいからッ!」
後方から照射ビームでマジェコンヌへ攻撃を仕掛けながら、皆へと指示を出すわたし。言い終わったところで前衛のうずめさん、援護の為に左右へ展開したロムちゃんとラムちゃんに続いて、わたしも突撃を開始する。
「ろむっち、らむっち、いっくよーっ!」
「はい……っ!」
「ふふん、ぶっとばしてやるわっ!」
初めて連携する相手だから、二人共動きはいつもより慎重。でもうずめさんを疑ったり、連携を拒否したりするような雰囲気はない。
それはイリゼさんが、うずめさんの事を話してくれたからだって聞いた。それにウィードさんの言葉を聞いて、その言葉に籠る思いから、信用していい人なんだって…そう分かったんだって、三人は言っていた。…状況も、予備知識も違うとはいえ…一方的に疑って武器まで向けちゃった自分が、ちょっと恥ずかしいな……。
(…って、そんな事を考えてる場合じゃないよね…。まずは、端末の数を減らす……!)
戦闘に関係しない思考を頭の中から締め出して、わたしもマジェコンヌの間合いへ…エネルギー刃の迎撃範囲へ突入。出来る事なら迎撃範囲の外から端末を撃ち落としたいところだけど、そもそも狙い撃つのが難しい端末を、技術的にも武器的にも狙撃に長けていないわたしが落とせる訳がない。つまり、わたしがこれからするのは……迎撃を避けながらの、端末へ対する高機動戦。
「はぁぁああああッ!」
エネルギー刃を避けて、砲火を斬り払って、フルオートでの偏差射撃。その攻撃は全て外れてしまったけど…問題ない。何も全弾命中させようだなんて思ってないし……わたしが端末へ仕掛けた事で、端末がわたしへも攻撃をしている時点で、接近しているうずめさん達への攻撃は減っているんだから。
「ハーッハッハッハ!ドコかラ湧イタノカ知ラんガ、ソンナ赤子ノ様ナ女神スラデてクルとは、遂ニ貴様等モ打チ止メのヨウダナァッ!ハーッハッハッハッハ!」
「あーっ!?今わたしとロムちゃんのことを赤ちゃんって言った!?」
「言ったね…赤ちゃんじゃ、ないもん……っ!(むかっ)」
「わぁっ!?…さっすがぎあっちの友達、すっごーいッ!」
「とーぜんよっ!でも、うずめさん…のバリアもやるじゃない!」
ちらりとマジェコンヌの方へ目をやれば、その瞬間二つの巨大な氷塊が飛来。どうもマジェコンヌは二人の事を軽んじていたらしく、飛来した氷塊はエネルギー刃に削られつつも左右から直撃。その隙にシールドで迎撃を弾きながら、一気にうずめさんが肉薄をかける。
「……!ユニちゃんッ!」
「大丈夫、見えてるわッ!」
立て直そうと開いた翼へ、そうはさせないとばかりにユニちゃんからの狙撃が強襲。
そして、追い打ちによって立て直しが遅れたマジェコンヌへ叩き込まれる、うずめさんの鋭い飛び蹴り。上昇軌道のまま放たれた蹴りは頭部に突き刺さり、アッパーカットの如く仰け反らせる。
「ガッ、グ……ッ!?」
「まだまだぁーッ!」
続く裏拳型のシールドバッシュと、後退しながらの音波攻撃。バイザーで見えない、けれど感じるギロリとした視線でマジェコンヌは睨んで端末による一斉掃射をかけるけど、飛び込んだロムちゃんラムちゃんの魔力障壁で全て拡散。更に端末がマジェコンヌの前へ密集した瞬間を見逃さず、わたしが数基を纏めて撃ち落とす。
「どーよっ!そんなへなちょここーげきなんて、ぜんぜん怖くないもんねーッ!」
「まだまだ、よゆう…!(ふんすっ)」
「ハッ……ソノ言葉、ソックリそノママ返しテヤルワッ!」
杖を振るいながら障壁を解除し、すぐに散開するロムちゃんとラムちゃん。墜落していく端末の先で、悪意の雰囲気を一層膨らませていくマジェコンヌ。
今、立て続けに攻撃が入った。本命であるうずめさんの攻撃は、確かなダメージにもなった筈。だけどまだマジェコンヌの雰囲気も、勢いも衰えてはいない。つまり、戦いは…まだまだここから…ッ!
「落チロッ!女神ィィッ!」
激しい風を起こしながら飛翔したマジェコンヌは、ユニちゃん達からの攻撃も気にせず上空へ。そこから身を翻し、端末を自身の周囲へ並べ、電撃と端末で同時斉射。殺意の籠った砲火の豪雨が、わたし達へと降り注ぐ。
それをわたし達は、光芒の合間を縫うように回避。隙を見つけてわたし達も対空攻撃を仕掛けはするけど、流石に火力はマジェコンヌの方が数段上。余裕のある状態ならともかく…高速で飛び回りながらじゃ、押し返せるだけの攻撃なんてしようがない。
「ソラソラソラソラァッ!避ケルダケカッ!?逃げルダケカァァァァッ!」
「ちッ…品性の欠片もない物言いねッ!ジャッジと同レベルなんじゃないのッ!?」
「かも、ね…ッ!」
不愉快さを露わにしたユニちゃんの声が、砲火の音に混じって耳のインカムから聞こえてくる。ジャッジの事を、ただの敵とは思ってないらしいイリゼさんが聞いたら、今のユニちゃんの発言には何か異を唱えたのかもしれないけど…それより今考えるべきは、この攻撃をどうするか。
避け続ければ、向こうが先に息切れを起こす可能性は低くない。でもそれがいつになるか分からないし、こっちは一発でも当たれば無視出来ないダメージになるし……何より、そんな受け身の戦い方はすべきじゃない。
わたし達は女神で、これはこの次元の行く末を左右するであろう戦い。だったら、すべきなのは止まるのを待つ事じゃなくて…こっちから、打ち砕く事……ッ!
「…皆ッ!わたし、今からちょっとだけ無茶するけど…協力、してくれる!?」
「無茶!?…って、何する気よ!」
「正面から突っ込んで、端末の陣形を突き崩すッ!」
そう言った瞬間、全員がわたしの発言に息を飲んだ…ような、気がする。少なくとも、一瞬は誰も何も言わなくて……次に返ってきたのは、訊き返してきたユニちゃんの声。
「それって…要は単なる力技じゃない…。確かに無茶な話ね……」
「うん、でも…勝利は切り開くもの、女神は自ら切り開いていくもの…そうでしょ?」
『…………』
再び訪れる皆の沈黙。距離と砲火で皆をゆっくりと見る事は出来ないから、その沈黙がどういう感情からくるものなのかは分からない。
でも、わたしは二つの事が言える。一つは、これをわたし一人で達成するのは困難だって事。もう一つは、わたしが皆を信じてるって事。そして……
「…いいよ、ぎあっちがそうしたいなら…うずめは協力する!だってこれまでも、うずめ達は力を合わせてきたんだもんねっ!」
「うん…!わたしもいいよ、ネプギアちゃん…!」
「しょーめんとっぱするんでしょ?おもしろそーじゃない!」
「…ま、確かに正面切って打ち破ってこそ女神よね…乗ったわ、ネプギア!」
「皆…じゃあ、ユニちゃんはマジェコンヌの動きを妨害してッ!ロムちゃんとラムちゃんには、出来る限りわたしを守ってほしいのッ!」
「ぎあっち、うずめはどうしたらいい?」
「うずめさんは、ユニちゃんの防衛をお願いしますッ!ユニちゃんには、攻撃に専念してほしいんですッ!」
「オッケー!ゆにっちの事は、うずめに任せてっ!」
力強い、心強い皆の言葉に力を貰って、わたしは螺旋を描いて上昇。当然弾幕の発生源へと近付けばその分避けるのも難しくなって、すぐにエネルギー刃もわたしへ向かって放たれ始めるけど、下からの魔法弾がわたしへ迫る刃を迎撃。時にはわたしの身体すれすれの位置を飛んでいく事もあるけど、まるで怖くない。だって、この迎撃を放っているのはロムちゃんとラムちゃんの二人だから。
「フンッ!飛ンデ火ニイる夏ノ……」
「遅いッ!」
「何……ッ!?」
広範囲へ満遍なく展開している、大小無数の遠隔操作端末。わたしが上昇を続ける中、その内の数十基が、わたし達全員ではなくわたし一人を狙う為に一斉にその砲門を向けてくる。
そして次の瞬間、放たれる必殺の光芒。弾幕の中にわたしを捉え、そのまま仕留めんとする光の檻。
見える。分かる。このまま飛んでも、回避をしても、ブレーキをかけても凌ぎ切る事は出来ないって。それ位の絶妙な位置で、絶妙な射線で、端末は光芒を放ってきている。でも、わたしは…だからこそわたしは…その先の空間を、空を見据えて……最高速度で、偏差射撃の先を行く。
「……ッ!取っ、たぁぁぁぁぁぁッ!」
爪先を掠めていく光芒。紙一重のところまで迫って…だけど、一条たりともわたしを捉える事なく何もない空間を切り裂いていく。それを肌で感じながら、遂にわたしは十分な高度にまで到達し、反撃の光弾を撃ち込み始める。
狙いが甘かった訳じゃない。確かにマジェコンヌは、確実に落とせる自信を持ってわたしを狙っていたと思う。だけど…マジェコンヌは知らなかった。ここまで、今この瞬間に至るまで…わたしの出せる、最高速度を。
でもそれも当然の事。電波塔防衛戦、洞窟戦、それに昨日及び今日と、これまで三度(昨日今日で分けるなら四度)わたしはマジェコンヌと交戦しているけど、状況や環境の関係でフルスピードは出せなかったり、出す必要が無かったりでマジェコンヌに最高速度を見せてはいなかったから。勿論、意識して最高速度を見せなかった訳じゃないけど……偶然でもなんでも、取り入れられるものは全て組み込むのが戦いってもの。
「貴様……ッ!ダガッ、こノ距離ナラバ今度コソ……ッ!」
「させないってのッ!」
「グッ、ァ……ッ!?」
想定外の接近を受けたせいか、動きの鈍った端末を次々と撃ち抜いていくわたし。狼狽しながらもマジェコンヌは近くの端末数基をこちらに向け、更に掌底部のビーム砲とエネルギー刃でわたしを撃ち落とそうとするも、その瞬間にユニちゃんの長距離射撃が先程うずめさんの傷付けた部位を寸分違わずビームで撃ち抜き、わたしへの攻撃は全てが逸れて飛んでいく。
完全に統率を失った羽根状の端末。そこに最大のチャンスを感じ取ったわたしは、一気に刀身へとシェアエナジーを集中し……一回転と共に振り抜く。
「……!スラッシュウェーブ…リプルッ!」
刃の軌跡が実体化するように、円状となったスラッシュウェーブが広がりながら軌道上の端末を切断。そしてそこに、ユニちゃん達の追撃が続き…マジェコンヌが体勢を立て直したその時にはもう、端末の数は最初の半分以下となっていた。
「…………」
「グ、ググ…グググググ…ッ!小娘ガ…小娘如キがッ、小娘共程度ノ分際デェェェェェェッ!!」
何も言わず、ただM.P.B.Lの銃口をわたしは向ける。睨む事はせず、ただ倒すという意思を込めてマジェコンヌを見据える。
それが癪に触ったのかもしれない。完全にしてやられた事に、腹を立てたのかもしれない。或いはまだわたし達を倒せていない事が…思い通りにならない戦い全てが不愉快で仕方がないのかもしれない。
真相は分からない、でも……その瞬間、マジェコンヌの中で…何かが、完全なまでに引き千切れる。
「……っ…!?こ、この動きって…わ……ッ!」
荒々しく放たれる掌底部からの薙ぎ払い。それを避けたわたしを襲うのは、端末による直接攻撃。突起状になっているとはいえ、近接攻撃用とは思えない端末群の突進はわたしの予想を超えていて…だからこそ、わたしは後退を強いられる。
「ネプギアちゃん、だいじょうぶ…!?」
「あ、ありがとうロムちゃん!大丈夫だよっ!」
「どーするのネプギア!このままぜんぶ落としちゃう!?」
「…ううん、待って。ユニちゃん、うずめさん、今のマジェコンヌをどう見ますか!?」
すぐに下がる為の道を作ってくれたロムちゃんラムちゃんの援護を受けつつ、わたしは斬撃で端末を迎撃。この動きの中で更に数基を撃破したものの、端末の勢いは全くもって衰えない。
だけど、その動きには感じるものがあった。そうだ、多分だけどこれは……
「…怒りに任せてる、って感じかしらね…!」
「やけっぱち、って感じかなー!」
「ですよね!だったら…皆、ここで決めようッ!マジェコンヌが冷静になる前に、わたし達を倒す事で頭が一杯になっている内に、一気に…全力でッ!」
ユニちゃんとうずめさん二人の見立ては、わたしが思ったものとほぼ同じもの。わたし一人じゃなくて、二人もそう見るのなら…この見立ては、きっと間違いない。
そして、マジェコンヌが冷静さを失っているのなら、今が最大の攻め時。端末と違って生半可な攻撃は通用しない、全力な攻撃じゃなきゃ打ち倒せない相手だからこそ……倒すなら、今しかない。
(…見てて、ってのは無理だよね…。……頑張って、お姉ちゃん達。必ず、絶対に…マジェコンヌは、わたし達が倒すから…!)
皆の揺るぎない応答を一番前で受け取りながら、わたしはちらりと一瞬だけ下を見る。
そこに、その方向に見えているのは、大群としか言いようのないモンスターの集団。その中で、ほぼ孤立状態で…でも、一歩も引かずにモンスターを斬り伏せている二人のお姉ちゃん。
その姿を見るだけで、わたしは勇気を貰える。けど、この戦いを終わらせられるのはお姉ちゃんじゃない。終わらせるのは、わたし達で…今は勇気を、希望をあげるのもわたし達の方。だから、わたしは二人のお姉ちゃんに心の中でエールを送って…飛ぶ。お姉ちゃん達の為に、この次元の為に、皆の為に……この戦いを、終わらせる。
*
「おーおー、皆ド派手に飛び回ってるねぇ…っとッ!」
斬り裂いて、突き上げて、蹴り飛ばす。跳んで、走って、翻す。倒して、倒して、また倒す。
戦闘が始まってから数十分。最初の数分で、わたしとおっきいわたしは押し寄せるモンスターに囲まれて…そこからはずっと、おんなじような状況の中で戦っている。
「よいしょ、っとぉ!おっきいわたし、だいじょーぶ!?」
「だいじょーぶ!ちっちゃいわたし…は、まだまだいけそうだねっ!」
横から突っ込んできたモンスターをノールックで斬り付けて、正面からのモンスターの頭に左手を当てて、モンスターの勢いを利用して一回転。おっきいわたしのすぐ側に着地したわたしは、立ち上がりながら太刀の鍔で近くのモンスターの顎をかち上げる。
両手剣一本じゃ対応し切れなくなったのか、おっきいわたしは双剣スタイルで奮戦中。…やっぱり近くで見ると、かなり豪快な戦い方だなぁ…。
「とりゃ!せぇいっ!…そういえば、どうしてちっちゃいわたしは女神の姿にならないの?」
「え、だっておっきいわたしと連携するなら、こっちの姿の方がより以心伝心出来るでしょ?」
「あー、確かに。じゃ、ここらでわたし達の絶技、デュアルねぷねぷコンビネーションといこうか!今即興で考えた連携だけど!」
「いいね!ねぷの名を持つ者の真価、モンスターと読者の皆に見せてやろーじゃん!」
ぱっと背中合わせになったわたし達は、構え直しながら会話。そのまま二人同時に頷き合い、小さく一つ深呼吸。…あ、因みにデュアルねぷねぷコンビネーションのねぷねぷは、わたしとおっきいわたしだからねぷねぷなんだよ?ネプギアもいたら、トリプルねぷねぷねぷコンビネーションだね!…まぁ、発案者のおっきいわたしには確認取ってないけどさっ!
「よーし、じゃあ…いくよっ!」
わたしの声を合図にして、わたし達は同時に地を蹴る。まずは目の前のモンスターに一撃。即座に回転斬りで左右から飛び込んできたモンスターを迎撃し、飛び膝蹴りを斜め前のモンスターへ。そこからおっきいわたしと二人で円を描くように、移動しながら斬り付けまくる。
『てりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃーッ!』
攻撃は最大の防御…とは言わないけど、攻撃されている最中に、刃が振るわれている真っ只中に、自分から飛び込んで反撃しようとする人はそういない。本能で動いているモンスターなら、尚更そういう事はしない。だから全力の攻撃を仕掛けていれば、その方向からの反撃の心配はあんまりなくて…けど当然、常に全方位へ攻撃し続けられるわけもない。
だからこその協力、だからこその連携。わたし達は半円状、二人で丁度円を一つ作った辺りで…ぐっと一気に方向転換し、円の中央へと走り出す。
「せー…」
「のッ!」
すれ違う瞬間、違いに右足を道路ではなく、後ろの空間に勢い良く突き出す。普通、そんな事をすればバランスが崩れて道路に顔からびたーん!…となっちゃうところだけど、わたしの突き出した右足の先にあるのは、同じように突き出されたおっきいわたしの右足裏。わたし達は、お互いの足を押し出す形になって…モンスターの予想よりも一瞬早く、わたし達は肉薄する。
(わー…予想はしてたけど、これは凄いね…まさかここまで息が合うなんて……)
更にモンスターを撃破していく中で、頭を過った一つの感想。
同じわたしだし、元々わたしって感覚派だから、上手く連携出来る気はしていた。でも、その結果は予想以上。こうして連携するのは初めてなのに、イリゼや守護女神同士でやるのと遜色ない位、カップリングシステムとか魂の共鳴とかが使えちゃいそうな位、正直ちょっと引く位……何から何まで、完璧に思った通りの連携をしていた。まるで、分散しているような気分だった。
「……!ちっちゃいわたしっ!」
「……!うんっ!」
示し合わせた訳でもないのに、同じタイミングでわたし達は袈裟懸けからの半回転。そこでわたし達は路面を踏み締めて、わたしはおっきいわたしの方を見据えて……太刀を投げ付ける。おっきいわたしも、二本の両手剣をこちらに向かって投げ放つ。
真っ直ぐに、鋭く飛翔する三本の刀剣。わたしの太刀はおっきいわたしの左肩の側を、おっきいわたしの両手剣もわたしの両肩の側を通り過ぎて……わたし達を背後から襲いかかろうとしていた大型モンスターへ、狙い通りに突き刺さる。
『(おっきい・ちっちゃい)わたし、これ借りるよっ!』
そして次の瞬間、振り向きざまにわたしはおっきいわたしの両手剣を、おっきいわたしはわたしの太刀を引き抜き構える。さーて、こっからはわたし…双剣スタイルでもっともっと暴れちゃうよーっ!
「なんだか楽しいねっ!ちっちゃいわたしっ!」
「あははっ、だよねっ!」
聞こえてくるおっきいわたしの声は、スポーツでもしてるかのように楽しげで爽やか。実際には全然楽な戦いじゃなくて、最悪の場合冗談抜きに骨も残らない位喰べ尽くされる可能性もあるんだけど…分かる。凄く分かる。二人で連携せざるを得ない、完全完璧な連携が必要な状況だからこそ、何も考えなくたって上手くいっちゃう位にシンクロしている今が面白くてしょうがない。
そうして武器を取り替えたまま、相手の太刀筋を再現するような感覚で、わたし達は戦い続ける。戦い続けて……今一度、わたし達は背中合わせに。
「ふー…やっぱ凄いね、両手剣で二刀流やるなんて。わたし、何度もバランス崩れそうになっちゃったよ」
「ちっちゃいわたしだって凄いよ。常に意識を集中させ続けなきゃまともに斬れないって、よーく分かったもん」
「でしょ?…さて、と。もう暫く戦う必要がありそうだね、おっきいわたし」
「みたいだね。もう一踏ん張り…いや、二踏ん張りかな?…しよっか、ちっちゃいわたし」
警戒してゆっくりと包囲を狭めてくるモンスター群を見やりながら、わたしは緩く両手剣を上へ。同じタイミングで後ろから太刀が回転しつつ降ってきて、伸ばした右手で愛刀をキャッチ。
それからわたしは、ちらっと一瞬上を見る。そこにいるのは、ネプギア達女神候補生四人と、うずめと、皆と戦うマジェコンヌ。端末を大きく減らしたマジェコンヌは、苛烈な攻撃を仕掛けていて……だけど、分かる。今皆は、そのマジェコンヌに対して勝機を見出しているんだって。
(…頑張って、ネプギア。頑張って、皆。心配しなくたって、わたし達はちゃーんと…皆が終わらせてくれるまで、ここでモンスターを押し留めるから)
頑張る友達や妹達を見ていると、わたしも頑張ろうって気持ちになる。胸の中から、力が湧いてくる。
ここでの戦いは、勝利や平和には直結しない。しないけど、ちゃんと繋がってる。場所は違っても、わたし達全員、心を一つに戦ってる。だから、わたしとおっきいわたしは駆ける。刃を振るって、モンスターを引き付け続ける。
*
力任せな、出し惜しみなしだって一目で分かる、マジェコンヌの猛攻。防御してもそのまま吹き飛ばされるような、回避必須な圧倒的火力。端末の減少で、同時攻撃出来る範囲こそ落ちているものの……脅威的な力を持っている事には、まだ変わりない。
だけどわたし達は臆してない。だって、その先に勝利が見えているから。確かに勝利は…近付いているから。
「ユニちゃん…!」
「えぇッ!」
「とりゃー!」
「はぁぁッ!」
「てーいッ!」
ロムちゃんが真正面から打ち込む、巨大な氷塊。それをマジェコンヌは打ち払おうとするも、それよりも先にユニちゃんの射撃が氷塊を直撃。氷塊が壁となった事で、貫通した弾丸は防御される事なくマジェコンヌの胴へと直撃し、氷塊も砕ける事でマジェコンヌによる迎撃を回避。そこにうずめさん、わたし、ラムちゃんの三人が滑り込んで、それぞれ蹴り、掌底、魔法で比較的大きな欠片を打ち返してマジェコンヌへとぶつける。
「ウガァァァァッ!落ちロッ!落チロッ!落チロォオオッ!!」
「はっ、もう殆ど暴走列車ねッ!」
苦悶の叫びを上げながらも、弾丸と氷塊を喰らったマジェコンヌはそのままわたし達へと攻撃を続行。
間違いなく今の攻撃は効いている。それまでの攻撃も、今わたし達が散開しながら放っている遠隔攻撃も、エネルギー刃の発射部位を壊し、関節部に着弾し、最初に比べれば若干だけど動きも鈍っている。
けれど止まらない。そんな事はどうでもいいとばかりに、マジェコンヌは攻撃を続けてくる。…もしも、四天王や犯罪神との戦いを経験していなければ、その狂気的な執念に恐怖を抱いてしまう位に。
(…凄いな…全力を出さないとはいえ、わたし達女神五人からこれだけの攻撃を受けても、まだこれだけの勢いで攻めてくるなんて…。……でも…)
本当に、マジェコンヌは凄い。この力は、凄いとしか言いようがない。だけどわたし達は負けない。わたし達が戦っているのは勝つ為、守る為で……たった一人で戦っていたとしても、思いは絶対に負けていないって自負してる。…それが、女神ってものだから。
そして、遂にその瞬間が……終わりへと繋がる、最後の道が開かれる。
「ァアあアアアッ!私ハマジェコンヌッ!次元ヘ終焉ヲ齎ス者ッ、マジェコンヌダァアアアアッ!終焉ヲッ、次元ニ破滅ヲォォォォォォッ!!」
掲げた杖から全方位へと迸る、膨大な電撃。叫びが形になったような、光芒とエネルギー刃の暴風。それ等は地を裂き、空を焼き……けれどその呪怨の様な言葉と同じように、支離滅裂でわたし達を狙っているようには思えない。
「ウォォォォォォッ!ォオオオオ……、……ッ!?」
「……ッ!今だよ、皆ッ!」
わたし達のいない、何もない空間にすら放たれ撃ち込まれ続けていた砲火が、不意に途切れて消滅する。…それはまるで、ガス欠を起こしてしまったように。
勿論、それを見逃すわたし達じゃない。それが途切れた瞬間、わたしは声を上げ、わたし達四人は得物は一気にシェアエナジーを込めて……四人同時に、光芒を放つ。
空を駆ける、四条の光。それ等は全てマジェコンヌの持つ杖へと飛来し、砕き…その腕から、叩き落とす。
「うずめさんッ!わたし達が、うずめさんを送り出しますッ!だから、うずめさんが……決めて下さいッ!」
「……!…任せて、ぎあっち…信じて、皆っ!」
衝撃により、大きく姿勢を崩すマジェコンヌ。それを前にわたしは声を上げ、ユニちゃん達は何も言わずに意思の籠った瞳で見つめ……うずめさんは、力一杯わたしの言葉に、わたし達の思いに頷いてくれる。
最初に動くのは、ロムちゃんとラムちゃんの二人。わたしの意図を汲んでくれた二人は、門番の様に左右に分かれて、杖を前に。杖の先から魔法陣が、二人の間からは光のゲートが現れる。
そのゲートが展開すると同時に、わたしとユニちゃんは二人並んで身体を捻る。そして、ゲートとわたし達の間にいるのが……うずめさん。
「全力で飛ばしますッ!アタシ達の力に、振り落とされないで下さいねッ!」
「いいね、相手はあのオバさん…マジェコンヌなんだから、それ位してもらわなくっちゃッ!」
「なら、いきますッ!ネプギアッ、名前ッ!」
「えぇ!?な、名前!?じゃあ、えと……シスターズ・カタパルトッ!」
ふっ…と小さく笑ったユニちゃんからの、突然の要求。まさかそんな事を求められるとは思ってなかったわたしは、一瞬驚いて…でも考えている時間なんてないから、ぱっと思い付いた言葉を……叫ぶ。
『いっ、けぇぇぇぇぇぇぇぇッ!』
叫びと共に、振り抜く脚。わたしとユニちゃんは、同時に脚を振り抜いて……姿勢を取っていたうずめさんの両脚裏を左右から蹴り、うずめさんを目標へ放つ。
一瞬の間もなく、うずめさんはロムちゃんとラムちゃんによるゲートを通過。その瞬間、うずめさんの身体は輝き、爆発的にそこから加速し……一気にマジェコンヌの胴体へと肉薄。
「ナ……ッ!?」
「──世界へ広がる悪と闇!拳打ち込み貫いてッ、開け次元の夢と希望ッ!これで終わりだよッ、マジェコンヌッ!夢幻…粉砕拳ッ!!」
放たれた矢の如く、マジェコンヌへと迫ったうずめさんの右手に輝く、橙色のシェアエナジー。その淡い光は形を変えて、円錐状に…うずめさんの意思を乗せて貫くドリルとなって、思いと共に打ち込まれる。
「ガァアアアアアアァッ!マ、マダ…マダ、私ハ…次元の…終焉、ハ……」
「はぁああああぁぁぁぁッ!貫けぇぇぇぇええええええッ!!」
激しく、鮮烈に散る橙色と闇色の光。ドリルが、拳がマジェコンヌの胸部を砕き、破り、壊していく。
それにマジェコンヌは抵抗する。ギリギリのところで踏み留まるように、呻くような声を上げながら。だけど、うずめさんの思いは…わたし達の思いは、マジェコンヌの思いを遥かに、どこまでも上回っている。そして、シェアエナジーは思いを形に、力にするもの。だから、うずめさんの叫びと共に、うずめさんの願いと共に……拳が、闇を貫いた。
「……勝ったよ、皆…」
貫いた、拳を振り抜いた姿勢のまま、固まるうずめさん。訪れる、静かな空間。五秒経って、十秒経って……うずめさんが姿勢を解くと同時に、マジェコンヌは崩れるように倒れていく。そうして、それを背にうずめさんは右手を突き上げて……戦いは、終わった。
*
遥か遠くの、遥か上の空で、花火の様に輝いていた戦いの光。最後に光が、オレンジ色の光が一層強く輝いて……それが収まった時、ダークメガミと一体になったマジェコンヌが落ちていく。
「…終わった、みたいだな……」
「終わった、みたいだね……」
ぽつりと呟いた俺の言葉に、海男がゆっくりと答えてくれる。あぁ、そうだ、分かる。今、戦いが終わったんだって。
あまりにも離れていて、俺には皆の姿がよく見えない。正直、何かが起こっているんだ…としか分からない。でも、何故か…何故か分かった。今、うずめが……右手を天高く突き上げている事が。
(…やったな…凄かったぜ、皆。本当に…格好良かったぜ、うずめ)
俺の中で湧き上がる、熱い気持ち。情熱とも感激とも違う、自分でも上手く言えない気持ち。だけど俺は、俺にとってこの思いは、どうしても形にしたい気持ちで……無意識に俺は、うずめと同じように右手を突き上げていたのだった。
今回のパロディ解説
・カップリングシステム
バディコンプレックスに登場する、システムの一つの事。同じ人物だからこそ反りが合わない場合もあるでしょうが…ネプテューヌならこうなるだろうなと思います。
・魂の共鳴
ソウルイーターシリーズに登場する、用語の一つの事。コンパイルハート作品で人格のある武器というと、FFFとか…後は、メガミラのとあるイベントとか、ですかね。
・「──世界へ広がる〜〜夢と希望ッ!〜〜」
天元突破グレンラガンのCMにおける、カミナの台詞のパロディ。ドリルで貫くんですもの、この作品を連想します。そしてこのパロディ、かなり前から考えてました。