超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed   作:シモツキ

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第四十二話 必ずまた、皆で

 偶然も、三度続けば、必然だ。…これは、誰の川柳だったろうか。…いや、そもそもこれ…川柳だっけ?偶々そんな感じになってるだけで、川柳全く関係なくね?

 なんて事を、俺はふと考えた。何故かといえば……三度目の偶然に、たった今遭遇したから。

 

「はは、なんか凄いよな。まさか三度も偶然同じ時間、同じ時間に居合わせて、しかも接触するなんてよ」

「だよなぁ…普段からこの辺りにはくるのか?」

「いいや、今日は別の場所に用事があって、その帰りにちょっと寄ってみただけさ」

「マジか…俺もこの辺りに来るのは初めてなんだよな……」

「おー、マジか。へへっ、なんか俺達気が合うな」

「これを気が合うって言うのか…?まぁ、通じるものがあるんだなぁ、とは思ったけど……」

 

 三度目の偶然という、普通はあり得ない…しかも立場が立場だから、普通じゃなくてもそうそうあり得ないような、いっそ奇跡的な経験をしてから数十分。俺達二人は、こんな会話をしながらのんびりと歩いている。

 

(…最初の時から思ってたが…こんなにフレンドリーだったんだなぁ……)

 

 イメージと違う…って訳じゃないが、この人物の事を俺は住む世界の違う相手だと思っていた。それは実際、間違っちゃいないんだろうが…まるで近所の知り合いにあったのかって位に、ずっとこんな調子で話してくれている。しかも、もう敬語で話さなくてもいい(折角プライベートで知り合ったんだから、との事)と言ってくれて……すっごい話し易いし何なら楽しくもあるが、これは果たしていいのだろうか…。

 

「ん?どうかしたのか?」

「いや、何でもない。…けど、俺とこんな普通に話してて大丈夫なのか?ほら、立場的に……」

「大丈夫だって。お前だって、一回目は俺が誰かすぐには気付かなかったろ?」

「あ、あぁ…そういえば……」

「な?だから即気付かれるって事はないだろうし、仮に『ん?』って思っても、大概の奴はこう思うさ。ただの似た人だろうな、って」

 

 そう言ってふっと浮かんだ笑顔。別に満面の笑みとか、泣き笑いみたいなものじゃなくて、それはただの、普通に会話してたら何度も出てきそうな笑みだったのに…俺の目には、それだけでも素敵に見えた。

 

「ま、そういう事だから気にすんな。それよりちょっと……」

「はぁ…やっと見つけましたよ」

「へっ?……あ…」

 

 そんな楽しい時間の中、不意に聞こえた第三者の声。驚いてそちらに目を向けると、そこに居たのは一度見たら忘れないような、世界でもトップレベルで特殊な見た目をしている人物。ええっと…そうだ、この人の名前は……

 

「あ、じゃないですよもう。クエストに行くと出て行ったきり、連絡も無しにいつまでも帰ってこないなんて……」

「うっ、すまん…。で、でも別に遊んでた訳じゃないぞ…?」

「ほぅ、では何をしていたんですか?」

「そ、それは……」

 

 急に現れた…というか、口振りからして俺達を発見したその人物に問い詰められ、完全に消えてしまう笑み。明らかに返す言葉が見つからない様子で、泳いでいる目が俺の方を向いてきて…その瞬間、俺の頭の中にある事が思い浮かぶ。

 それは、あまり褒められた行為じゃないのかもしれない。上手くいくとも限らない。でも俺は、何故だか放っておけなくて…言う。

 

「あ、あの…すみません!実は、俺の財布を一緒に探してもらっていたんです」

「…お財布を、ですか?」

「あ…そ、そうなんだ!偶然財布を落としたって時に出くわしてさ…」

「そうだったのですか…では、お財布は見つかりましたか?」

「お、おう。無事見つかったぜ」

「…では、教えて下さい。その見つかったという、お財布の色を」

「え……?」

 

 俺が口にしたのは、誤魔化しの言葉。出任せの嘘。それでも、手助けになればと思って言って、一時は「いけるか…?」と思ったものの、逆にこの嘘を利用されて、尚更窮地に立たされてしまう。

 当然これは嘘だから、俺の財布の色が分かる訳がない。当てずっぽうで言うにしても、色なんて沢山ある訳で……

 

『…ごめんなさい……』

「全く…寄り道をするなら、ちゃんと連絡を下さい。心配するじゃないですか」

「反省するよ…お前も悪かったな。わざわざ嘘なんて吐かせて…」

「い、いやいや謝る必要はないって。嘘は俺が勝手に言った事だし……」

 

 そうして二人して俺達は謝罪。でも怒っていた訳じゃないらしく、返ってきた言葉にほっと安堵。…かと思いきや、そのすぐ後に「まだお仕事はあるんですよ?」「そうだった…」というやり取りが起こり、仕事を忘れていた事が判明。無論、それを放置出来る筈もなく、三度目の交流は終わりを迎える。

 

「…あー…その、すまん!俺は……」

「大切な仕事なんだろ?いいって、というか絶対俺よりその仕事の方が重要だって」

「ばーか、確かに仕事は大切だが…人より重要な仕事なんざねぇよ」

「あ…そ、そっか……」

「おう。って訳で、また会おうぜ!何ならうちに来てくれたっていいからよ!」

 

 にこり、と快活さに溢れた笑みを浮かべて、その言葉を最後に去っていく。また会おうぜと、再会を…四度目の、或いはそれ以上の出合いを望む言葉を残しながら。

 そんな言葉を聞けて、俺は嬉しかった。光栄だし…俺も、また会いたいと思っていたから。だから、その言葉に頷いて……気付いた。何ならも何も、約束しないんじゃそれ以外で意識して会う事は出来ないじゃん、って。…え、と…つまりこれは、会いに来てくれ…って意味だったり……?

 

「…すみません、お邪魔する形になってしまって……」

「い、いえ…その、さっき俺が言われた事は……」

「構いませんよ、本人がそう言ったのですから。…どのような出会いをしたのかは知りませんが…もし宜しければ、これからも仲良くしてあげて下さいね(⌒▽⌒)」

「そ、それは…はい!勿論です!」

 

 そして、最後にかけられたのはもう一人からの言葉。穏やかな、優しそうな笑みでそう言ってくれて…それに俺は頷きながら、帰る二人の姿を見送る。胸の中に嬉しさと、これからへの期待を抱きながら。

 

 

──こうして三度の出会いを経て、偶然会うだけだった俺達は、偶々会っていただけの俺達は、自分達の意思で…会いたいと思って、会うようになった。

 それはもう、随分と昔の事。だけど俺は覚えている。思い出せる。あの時感じた思いも……見せてくれた、あの笑顔も。

 

 

 

 

 ウィードくんや海男のおかげで、ユニちゃんラムちゃんラムちゃんの増援を受けて、皆の力で、わたし達はマジェコンヌに勝った。その勢いのまま…って訳じゃないけど、黄金の塔の破壊にも成功した。

 だけどわたし達はまだ帰れない。やる事が残ってる…とかじゃなくて、帰る手段の問題で。だから撃破と破壊を終えたわたし達は、まず交信用の施設に寄って、それから拠点のビルで一夜を明かして……

 

「はっぴー!」

「らっきー!」

「すまいるー!」

『いぇーいっ!』

「ふぇぇ…」

 

 今日は緑豊かな本拠点で、ピクニック&バーベキューだよっ!略してピクニッキューだよーっ!

 

「昨日の今日で元気だなぁ、ねぷっち達は……」

「だよなぁ……」

『あはははは……』

 

 うきうきのハートを表すように、ぴょこんと跳び上がるわたしとおっきいわたしとラムちゃん。後ろじゃロムちゃんがわたわたしていて……うん、掴みのパロはばっちりだね!

 

「じゃ、早速お肉焼いていこうよ!それとも初手でマシュマロいく?」

「あっ、わたしマシュマロすきー!」

「わたしも…!(こくこく)」

「いやいやいや…一袋しかないんですし、マシュマロは最後にしましょうよ……」

「あはは、冗談だって。ささっ、お肉焼こ?」

 

 じゃんっ、とお肉を取り出すおっきいわたしに、ユニちゃんは苦笑いしつつ視線をこっちに。あ…これは「ほんとにネプテューヌさんと同じだ…」的な事思ってるね?

 という訳で、用意した食材でバーベキュー開始。このピクニッキューは祝勝パーティーも兼ねてるから、前の牛丼&プリン以上に出し惜しみなしで焼いていく。

 

「串に刺すの、手伝うわよネプギア」

「ありがと、ユニちゃん。でも、ほんと良かったよ。無事にどっちも解決したし、皆さんも結構元気そうで」

「そうね。今日もまだ微熱があるらしいけど…お姉ちゃん達だし、もうケイ達だっているんだもの。アタシ達が戻る頃には、きっと完治してると思うわ」

 

 遊んだり、ここにいるモンスター達とお話ししたり、食材を焼いたり。各々やろうと思った事をして過ごす中で、そんな会話を二人は交わす。

 昨日ユニちゃん達三人は、次元を超えてこっちにやって来た。でも、いーすんの負担を考えれば、今はまだ扉を開けない。…その問題を解決したのが、イリゼ達による肩代わりだって、ユニちゃんは言っていた。

 いーすんは、わたし達に近い存在。だからいーすんの負担をシェアエナジーの負担と置き換える事で、イリゼ達四人が負担を肩代わりして開いたんだとか。でも当然、法律やルールじゃないんだから解釈を変えたって現実そのものが変わる訳じゃないし、そもそもいーすんですら『出来る』であって『得意』ではないんだから、結局は力技で強引に肩代わりしたようなもの。そんな方法じゃ肩代わりした負担とは別の負荷がかかってもおかしくない訳で……ユニちゃん達だけじゃなく、皆にも感謝しなきゃいけないよね。心意気は勿論だけど、皆がそれに気付けない訳がないんだから。

 

「あっ、ちっちゃいわたしボールボール!」

「うぇっ!?おおっとぉ!」

『えぇ!?』

 

 なーんて思っていたわたしだけど、そもそもわたしはロムちゃんラムちゃん、それにおっきいわたしとボール遊び中。あ、勿論これはわたし達が、二人と遊んであげてるんだよ?やだなぁ、わたしが準備ほっぽり出して、我先にと遊びに行ってる訳ないじゃーん。…ほ、本当だよ!?本当だって!

……こほん。まぁとにかくわたしはボール遊びしてて、気付けばそのボールが眼前に。びっくりしたわたしは咄嗟にオーバーヘッドキックをしちゃって、それ自体は見事に成功して気分良かったんだけど……蹴り返したボールはロムちゃんとラムちゃんの間を抜けて、森の中へゴールイン。…あちゃー…やっちゃった……。

 

「す、すごいスピードで行っちゃった……」

「もう、見えない…(あわあわ)」

「ご、ごめんね皆!ちょっ、急いで探してくるから!」

「んー…そうだ!ならさ、皆でちょっと探検しない?何か面白いものがあるかもよ?」

 

 今のは完全にわたしのミス。だからわたしは急いで取りに行こうとして…そこでおっきいわたしが、ある事を提案。

 

『おもしろいもの?』

「うん!不思議なアイテムとか、謎のダンジョンとか、後見たことない虫とか!」

「え、虫?…虫はやだ……」

「わたしも、虫さん…すきじゃない……」

「あ、あー…でもほら、お宝とかもあるかもしれないし…」

『おたから…!?』

 

 二人の興味を上げたり下げたりするおっきいわたし。虫が一般受けする訳じゃないのを分かってる筈なのに普通に虫の事を出しちゃってミスる辺り、ほんとおっきいわたしらしいけど……気になるのはそっちじゃない。

 

「ね、おっきいわたし。二人を焚き付けてどうする気なの?」

「いやほら、今思ったんだけど…ここでこのままボール遊びしてたら、その内バーベキューの方へ飛んじゃって大惨事…って事もあり得るでしょ?」

「あー、確かに。おっきいわたし、しっかりしてるね」

「ふふーん、どーだ!…って言いたいところだけど、実は前に似たような事しちゃっただけなんだ。あはは…」

 

 その通りだと思ったわたしは、おっきいわたしの考えに同調。それからはわたしも協力して、ロムちゃんラムちゃんと四人で森へ行く事に決定。

 実際お宝…はあるかどうか微妙だけど、前に入った時も美味しそうな木の実とか綺麗なお花とかがあったから、二人にもそれなりには楽しんでもらえる筈。という訳で、ネプギア達に一言伝えて……わたし達は、森の探検に向かうのだった。さー、ねぷぷ探検隊出発だよっ!

 

 

 

 

「うん、美味しい!火がよく通ってるね!」

「だろ?本格的な料理は出来ないが、単純な事なら結構得意なんだぜ?けど、大きいねぷっちも中々上手いよな」

「まー、わたしも旅の中でキャンプをする事が多いからね。やっぱ慣れってやつかな」

「…キャンプ、か…同じ旅でも、アタシ達は各国で支援してもらってたし、そういう意味じゃほんと恵まれてたわね……」

「良い事じゃないかい?ゆにっち達の旅というのが、どういうものかは知らないが…それは国がきちんと機能している証拠だろう?そしてそれは、君達女神が国を成り立たせているから…そうじゃないかな?」

「それは…そう、ですね。…ありがとうございます、海男さん」

「流石海男。いつも安定して良い事言ってくれるよな」

「そうかい?そう言われると、悪い気はしないね」

 

 木製テーブルを囲んで、皆で食べるバーベキュー。お肉に野菜、作ったサンドイッチにデザート(としてお姉ちゃん達が採ってきてくれた)果物。テーブルの上には、食べ物が所狭しと並んでいて…多分これが、こっちに来てから一番豪華で豪勢なご飯。

 

「はふぅ…ロムちゃんラムちゃんもありがとね。こんなに沢山果物採ってきてくれて」

「ううん、ネプギアちゃんたちも…いっぱいようい、してくれたから(にこにこ)」

「ふふん、ほかにも色々あったよね。きらきらした石とか、かわいいどうぶつさんとか、あとは何より……」

『トーテムポール!』

「う、うん…あれはほんとに凄いよね……」

 

 そう言った二人の後ろでとんでもなく異彩を放っているのは、ほんとにどこにあったのとしか言いようのないトーテムポール。…これ持って帰るのかな…持って帰るならルウィー教会で、残していくならこっちの皆さんが凄く扱いに困りそうだなぁ……。

 

「でさ、食べ終わった後は何しよっか?折角だから、わたしは皆で何かやりたいな!」

「お、いいな。でも身体動かす系だと、大きいネプテューヌはまだしも俺と海男が圧倒的に不利な気が……」

「じゃ、頭使うゲームにする?それならわたし達女神も人も魚も対等でしょ?」

「いやでもネプテューヌさん、その場合今度はロムとラムが……」

「むむ、それはしつれーじゃない?」

「でも、むつかしいことは…わたしたち、できない…(しょぼん)」

 

 それからわたし達は、食後何をするかでわいわいと話し合う。これまでも、ご飯の時はいつも賑やかだったけど…今日は特に、とっても賑やか。それは、ユニちゃん達がいるっていう事もあるけれど……やっぱり、マジェコンヌを倒せて、黄金の塔の破壊も出来たからだと思う。

 

(…でも、まだ疑問も多く残ってるよね…どうしてマジェコンヌはダークメガミと融合出来たのかとか、こっちの次元に塔はいつ出来たのかとか…お二人の記憶もまだ戻ってないし、そもそもこの次元はどうしてここまでの荒廃を……)

「…ぎあっち?何か考え事かい?」

「あ…えと、はい…よくよく考えてみたら、全部解決して平和に…って状況には、まだまだ遠いなって……」

「あぁ…ぎあっちはしっかりしているね。けど、今は楽しもうじゃないか。ぎあっち達が守ろうとしたのは、オレ達の為に守ってくれたのは、こういう穏やかな時間だろう?」

「海男さん…さっきウィードさんも言ってましたが、ほんとに海男さんは心強い言葉をかけてくれますね…」

「ふふ、ぎあっちもそう思うのかい?…だとしたら…オレは戦えない分、離れた所で沢山のものを見て考えてきたから、言葉だけは達者になっているのかもしれないね」

 

 そんな言葉と共に、ぱちんと一つウインクする海男さん。誇示する事なく、過度に卑下する事もなく、的確に嬉しいなって思える言葉をかけてくれて、すぐに話を切り替えたり他へ視線を移す事で、「感謝しなきゃな、気にかけさせちゃって申し訳ないな」って思いも抱かせない。…ほんとに、海男さんはよく出来た人(お魚)で…うずめさんが一人で頑張ってこれたのは、こうして心を支えてくれる海男さんが側にいたからなんだろうなぁ、とこの時改めてわたしは思った。

 海男さんの言う通り、わたし達が守りたかったのはこんな時間。勝って兜の緒を締めよ、とは言うけど…常に締め続けてたら、いつかは苦しくなっちゃうもんね。

 

「あ、あのさ。頭を使うゲームって言っても、知識を必要とするものと、閃きを必要とするものがあるでしょ?だから閃きとか、頭の柔らかさが重要になるゲームなら良いんじゃないかな?」

「ふむふむ、閃きとか柔らかさ……あっ、つまりコンテンポラリーダンスしりとりだね!流石ネプギア!今の発言の時点で頭が柔らかい!」

「あ、う、うん…それもいいよね…(閃きと柔らかさからそれが出るって…わたしはそっちの方がずっと頭柔らかいと思うよ、お姉ちゃん……)」

 

 今は楽しもう。疑問は残っていても、目下の危機は取り除く事が出来たし、疑問もこれから解決していく可能性はある。だからこそ楽しもう。これから先、またわたし達皆で頑張る為に。

 

「こんてんぽらりー…?」

「しりとり?それってしりとりなの?ダンスなの?」

「それはねぇ、説明するより見せた方が早いかな。よーし、ネプギア!おっきいわたし!デモンストレーションだよ!」

「あいさー!」

「え、わたしも!?」

「だってネプギアも発案者でしょ?」

「わたしは方向性を示しただけだよ!?」

 

 とまぁ、シリアスというかちょっといい感じの事を考えていたわたしは、何故か大きいお姉ちゃんと共にデモンストレーションに呼ばれる事に。

 断り切れずに前へ出ると、興味津々で見ているロムちゃんラムちゃんとか、にやにやしてるユニちゃんとか、頑張れ〜って感じのゆるゆるな顔をしているうずめさんにウィードさんに海男さんとか、多種多様な視線がわたしの方へ。うぅ、これじゃもう引くに引けないじゃん……。

 

「この三人が並ぶと壮観だよなぁ…」

「前も言ったけど、ほんと三姉妹っぽいよな…」

「あ、もう!いいよじゃあ女神化するもん!…って、こうして女神化しても微妙に虚しさが心に残るのよね……」

「あー…その、すまんネプテューヌ……」

「……大きくなるだけ、まだマシじゃないですか…」

「あ"…ご、ごめんなさいねユニちゃん……でも、人の姿で言えば貴女こそまだマシじゃない…」

「…お互い、望むものは中々手に入りませんね……」

 

 しかもウィードさんの何気ない発言が引き金になって、お姉ちゃんとユニちゃんの二人が揃って落ち込む急展開。何とも気不味い雰囲気を瓦解する為、大きいお姉ちゃんからのアイコンタクトでデモンストレーションを強行する事になって……それはもう、恥ずかしい気持ちになったわたしでした。…いざやると楽しいけど、見られるのは恥ずかしい事ってあるよね……。

 

 

 

 

 美味しいものをお腹一杯食べて、目一杯遊んで、お喋りもして……真面目に描写したらそれだけで一話分になっちゃうような、大ボス撃破後のパーティーパートには相応しい時間を、わたし達は過ごした。

 本当に、本当に楽しい時間。皆笑顔で、皆で盛り上がる事が出来た、賑やかな事が大好きなわたしとしては大満足な一日。…だけど、いつまでもこうしてはいられない。マジェコンヌとこの次元の塔は解決したけど、全てが何とかなって平和になった訳じゃない。そして、わたしはお姉ちゃん。プラネテューヌの守護女神。だから……わたしは、言う。

 

「……皆。そろそろ、帰ろっか」

 

 出来れば言いたくなかった、出来る事なら「んー、まぁ明日でいっか」とか言って後回しにしたかった事を、口にする。

 その瞬間、ふっと消える賑やかな雰囲気。…だって、皆分かってるから。これは、街の拠点へ戻るとかじゃなくて…わたし達が、信次元へ帰るって事だから。

 

「…え、と…クロちゃん、別次元へ飛ぶのは……」

「ん?まあまだ何度もポンポン飛べる状態じゃねぇが…扉を開きっ放しにして、向こうにあるっていう機材も使わせてもらえば、まあ何とかなるさ」

「そっか……」

 

 わたしの言葉へ最初に反応したのは、おっきいわたし。というのも、わたし達を信次元に帰してくれるのは、おっきいわたし…というか、クロワールだから。今言った通り、まず信次元と繋いで、それからその扉を再利用してそのまま二人も帰るんだとか。

 

「…………」

「…………」

「……うっし…じゃ、見送ってやるか」

 

 帰るネプギア達も、ウィードくんも、海男も黙ったまま。そんな中で、空気を変えるように口を開いたのはうずめ。それからうずめはにこっと笑って、ウィードくん達の方を見る。

 

「今日、最後に皆で遊んで、それから帰るって事は昨日の夜に話した事だしな。名残惜しいが……ねぷっち達も、まだまだやらなきゃいけない事が沢山あるんだ。だったら…良い雰囲気のまま、見送ってやろうぜ?」

「…うずめ……」

「…そうだね、うずめの言う通りだ。…うぃどっち、笑顔で見送ろうか」

「…だな」

 

 別れはいつも寂しいもの。しかも次元と次元の隔たりがあるから、帰ってしまえばずっと遠くなってしまう。だから、それがあるから言い出すのは辛くて…だけどうずめは言ってくれた。海男もウィードくんも頷いてくれた。わたし達を、笑顔で見送ってあげようって。

 

「えっと…じゃあ、こほん。…一日ですが、お世話になりました」

「たのしかったわ!」

「がんばって、ね…!」

「おう。わざわざ来てくれてありがとな。三人が助力してくれて、凄く心強かったぜ」

 

 空気を読んでくれたのか、最初にユニちゃんが挨拶をして、それにラムちゃんとロムちゃんが続く。三人の言葉に、うずめはまた笑顔で返して、お姉ちゃん達に宜しく伝えてくれと言葉を続ける。

 

「皆、わたしも一度帰るけど…出来るだけ来るようにするから!お土産も持ってくるから!だからわたしの事、忘れちゃ駄目だよ?」

「ははっ、大きいねぷっちの事は忘れねぇよ。ってか、ねぷっち程個性的な奴の事、忘れたくても忘れられないって」

「…ま、一応俺も言っておくか…飯は貰ったしな。世話になったぜ」

「あいよ。お前の事はよく分からねぇが…お前のおかげで捜索が効率よく進んだんだ。だから感謝してるぜ」

 

 次におっきいわたしとクロワールも挨拶。おっきいわたしはにこにこと挨拶してきたけど…知ってる。昨日この話をした後、寂しそうな顔をしていた事を。…ずっと旅をしてるって事だし…きっと、別れも沢山経験してきたんだよね…。

 

「…じゃあ、次は……」

「…うん」

 

 五人が済んで、後は二人。後はわたしとネプギアだけ。思い返せば色々な事があって、楽しい事も大変な事もあって、やっぱり名残惜しいけど……帰らないなんて事は出来ない。それにこれが今生の別れって訳じゃない。だったらやっぱり…笑顔で、挨拶しなきゃだよね。これを、悲しい別れにしない為に。次に会う時へ、期待を持って別れる為に。

 

「うずめ、海男、ウィードくん。それに皆も…わたし、ちょくちょく連絡するから!何かなくても、雑談だけでも連絡するから!だからうずめ達も気軽に連絡してね?それと何かあったら、すぐに言って!その時はわたし…ううん、わたし達が駆け付けるから!」

「いいや、ねぷっち達にこれ以上迷惑はかけられねぇよ。これからは俺一人で…って、前の俺なら言ってたところだが…ここまで来られたのは、ねぷっち達の…皆のおかげだもんな。だから…何かあったら、その時は頼む。けど代わりに、ねぷっち達も大変な時は言ってくれよ?言ってくれれば…いつでも、力になるからさ」

「はい、頼りにしてますね。…うずめさん、皆さん。わたし達は、いつでも皆さんの味方です。もうわたし達は仲間です。だから、えと…うぅ、言いたい事はお姉ちゃんに言われちゃったし……そうだ、今度信次元に遊びに来て下さい!まだ信次元も完全復活はしてないので、すぐには無理ですが…その時は女神として、目一杯持て成しますから!」

「そりゃ楽しみだ。なら…まずはお互い、自分達のやるべき事を頑張ろうぜ?俺も女神として頑張るからよ。んで、俺がそっちに行った時は…色んな場所を案内してくれると嬉しいな。ぎあっちやねぷっちの…皆の守る、皆の導いている国の事を、自分の目で見て回ってみたいからよ」

 

 そう、まだこれから何があるか分からない。未知の脅威や問題があるかもしれないし…ダークメガミにしたって、こっちと信次元でそれぞれ二体出てきた以上、三体目以降が現れたって何にもおかしくはない。マジェコンヌ以上の敵が出てくる可能性だってゼロじゃない。

 だけどそれなら、もしそうなったのなら、その時はまた皆で…力を合わせて乗り越えればいいだけの事。これまでだってそうしてきたんだし、それが女神の力ってもの。

 それに、未来へ期待を持つのも大切。だって、いつかこうしたい、こうなったらいいって思う気持ちは…頑張る力になるんだからね。

 

「よーし!それじゃあおっきいわたし、ゲートオープンお願いね!こういうのは、長く話し過ぎない方がいいものだしさ!」

「はいはーい!じゃ、クロちゃんお願いしてもいい?それともわたしが開く?」

「俺が開くからお前は静かにしてろ。さて…んじゃあ開くが、全員ふざけるなよ?何かおかしいと思ったらすぐに言えよ?次元の扉を開くってのは本来、ルールの違う世界を無理矢理繋げる行為なんだからな」

「……?注意喚起なんて珍しいね、今日は気分が良いの?」

「まぁな、昨日の戦いじゃそれなりに楽しませてもらったしよ。…特に、うずめがマジェコンヌを肉片一つ残さず抉り削った場面なんて、完全に俺の想像を超えてたぜ…!」

「え、抉り削ったって…あれば別にそうしたかった訳じゃ……」

「ちょっ…そ、それならわたし達二人の連携はどうだった?」

「お前等二人の連携は…まぁ、凄まじくはあったな……ある意味貴重なものが見れたとは思うぜ…」

 

 そうしておっきいわたしは少しだけ離れて、本の中のクロワールが信次元へと繋がる扉…その場の空間が歪んだような、不思議なゲートを作り出す。

 これを潜ってしまえば、その先は信次元。わたし達の帰るべき場所で、ここからは遠く離れた世界。だけど、もう大丈夫。ちゃんと挨拶は出来たし、イリゼじゃないけど……わたしも、信じてるから。皆とまた、必ず会う事が出来るって。だから……

 

「ばいばい、皆!またね、皆!絶対また会いに来るし、会いに来てくれるって信じてるし……何ならOEはまだまだ三分の一終わったかどうかも怪しいところだから、これからも皆の出番はあるからねーっ!」

『えぇぇぇぇッ!?最後の一言それなのぉおおおおおおッ!?』

 

 わたしは笑顔で、わたし達皆が笑顔で……わたし達は、信次元に帰るのだった。…また会おうじゃないよ?また会うんだ、だからね、皆。

 

 

 

 

 最後の最後でまさかのふざけ方をして、ネプテューヌ達は帰っていった。全く…ほんっとネプテューヌは、愉快な女の子だよな…。

 

「…行っちまったな」

「あぁ」

「なんつーか…嵐が去っていった感、あるよな…」

「はは、確かに…」

 

 次元の扉…らしき空間の歪みが消えたところで、うずめが呟く。遠く離れた、俺には見えない信次元を見つめるようにしながら、言葉を返す。

 

「…なぁ、ウィード」

「うん?」

「お前は…一緒に、行ってもよかったんだぞ?」

 

 それから数秒後、同じように遠くを見つめながら…うずめは言う。昨日も言った、俺の事を案じた言葉を。

 

「俺にはこの次元での使命がある。皆も住めば都っつーか、慣れた暮らしを捨てるのには抵抗があるって言ってた。でも、ウィードは違うだろ?確かに、記憶を取り戻す為にはこっちの方がいいかもしれねぇが…ウィードはきっと、向こうの方が……」

「…だから、言ったろ?俺だって、まだここを離れちゃいけない気がするんだって。まだ、こっちでやりたい事をやり切った訳じゃないんだって」

 

 うずめが俺の安全を思ってくれてる事は分かってる。伝わってる。でも、俺の気持ちは変わらない。上手くは言えないけど…まだ、俺には探さなきゃいけないものがある気がするから。ここを離れてしまったら、もう取り戻せないような気がするから。それに……

 

「…それにさ、なんだかんだ言ってもうずめはやっぱ無鉄砲だし、海男達も人手が…人が必要な場面ってあるだろ?だから、ここには俺がいなくちゃ…な」

「ウィード…お前が言うと、なんかグダッとしてる感があるな…」

「えぇ!?ちょっ、うずめ…そんな事言うなよ…そういう事は思っても心の中に仕舞ってくれって……」

「ははは。でも実際、うぃどっちがいると助かると思うよ。今言った事もそうだし…うずめ、実は寂しいんだろう?」

「うっ…そんな事は……まぁ、あるか…。皆とは…長くなくても、濃密な時間を過ごしてきたんだからよ……」

 

 恥ずかしそうに、頬を掻くうずめ。その表情は、中々可愛かったが…それはさておき、俺だって同じだ。俺だって、寂しい気持ちが胸にある。

 だけど、皆は言った。何かあれば来るって。うずめも言った。お互い頑張ろうって。…それは約束だ。仲間としての、大事な約束だ。だから守らなきゃいけないし…守りたい。守って、頑張って…そして、また会おうじゃないか。元気で、胸を張って……その時は、今より強い俺になって。

 

「…もう、何回か言ってるけど…俺は、もっと強くなる。うずめを支えられるようになる。だからさ…一緒に頑張ろうぜ、うずめ」

「…おう。頼りにしてるぜ、ウィード」

 

 振り向いて、軽く突き出した右手。それに応える、うずめの右手。俺達は、こつんと拳をぶつけ合わせて…それからまた、空を見上げる。例え、遠く離れていても、すぐには会えなくても……心は、思い出は、変わらず繋がっていると信じて。




今回のパロディ解説

・「はっぴー!」「らっきー!」「すまいるー!」『いぇーいっ!』
バンドリシリーズに登場するバンドの一つ、ハロー!ハッピーワールドの代名詞的なフレーズの事。ネプテューヌ二人とラムなら、十分世界を笑顔に出来るでしょう。

・「ふぇぇ…」
上記同様バンドリシリーズに登場するキャラの一人、松原花音の口癖のパロディ。性格だったり(女神化した時の)髪色だったり、ロムと花音は親和性が高い気がします。

・コンテンポラリーダンスしりとり
いろはに千鳥の番組内で生まれたゲームの事。あの後実際にネプテューヌ達はコンテンポラリーダンスしりとりをしています。とっても面白いシーンになっているでしょう。
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